(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のようにHGWのルータ機能を停止させた場合、外部からHGWのルータ機能を再度有効にすることができないという問題があった。これは、ルータ機能が停止されたHGWはIP(Internet Protocol)アドレスを保持しないため、外部の管理装置からHGWを操作することができなくなるためである。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、ルータ機能が停止された通信装置を外部から操作することを可能にする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、自装置をWANに接続する第1通信インターフェースと、自装置をLANに接続する第2通信インターフェースと、を備える通信装置であって、自装置の通信を制御する通信制御部と、自装置を宛先とするパケットを受信する受信部と、前記通信制御部の動作モードを第1モード又は第2モードのいずれかに設定するモード制御部と、を備え、前記第1モードにおいて、前記通信制御部はルータとして動作することにより、前記WAN側のネットワークに接続された機器と、前記LAN側のネットワークに接続された機器との間の通信を中継するとともに、自装置を宛先とするパケットを前記受信部に出力し、前記第2モードにおいて、前記通信制御部はブリッジとして動作することにより、前記WAN側のネットワークに接続された機器と、前記LAN側に接続された機器との間の通信を中継し、前記受信部は、前記通信制御部が前記WAN側から前記LAN側に中継するパケットのうち、自装置を宛先とするパケットのみを取得する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の通信装置であって、前記第2モードにおいて、前記通信制御部は、第1通信インターフェースに接続されたハブと、前記ハブ及び前記第2通信インターフェースに接続されたブリッジと、を備え、前記ハブは、第1通信インターフェースによって受信されたパケットを前記ブリッジと、前記受信部とに出力し、前記ブリッジは、前記ハブから出力されたパケットを前記第2通信インターフェースに出力し、前記受信部は、前記ハブから出力されたパケットのうち、自装置を宛先とするパケットのみを取得する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の通信装置であって、前記ハブ及び前記ブリッジはプログラムによって実現され、前記第1モードにおいて、前記モード制御部は、前記プログラムを自装置にインストールすることにより、自装置を前記第2モードに移行させ、前記第2モードにおいて、前記モード制御部は、前記プログラムを自装置からアンインストールすることにより、自装置を前記第1モードに移行させる。
【0010】
本発明の一態様は、自装置をWANに接続する第1通信インターフェースと、自装置をLANに接続する第2通信インターフェースと、を備える通信装置が行う通信方法であって、自装置の通信を制御する通信制御ステップと、自装置を宛先とするパケットを受信する受信ステップと、前記通信制御ステップの動作モードを第1モード又は第2モードのいずれかに設定するモード制御ステップと、を備え、前記第1モードの前記通信制御ステップにおいて、自装置をルータとして動作させることにより、前記WAN側のネットワークに接続された機器と、前記LAN側のネットワークに接続された機器との間の通信を中継するとともに、自装置を宛先とするパケットを前記受信部に出力し、前記第2モードの前記通信制御ステップにおいて、自装置をブリッジとして動作させることにより、前記WAN側のネットワークに接続された機器と、前記LAN側のネットワークに接続された機器との間の通信を中継し、前記第2モードの前記受信ステップにおいて、前記通信制御ステップにおいて前記WAN側から前記LAN側に中継されるパケットのうち、自装置を宛先とするパケットのみを取得する。
【0011】
本発明の一態様は、上記の通信装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ルータ機能が停止された通信装置を外部からの操作することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態の通信装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図1における実施形態の通信装置はHGW1である。HGW1には、NGN(Next Generation Network)網2及びユーザ端末3が接続される。NGN網2には、HGW1を管理する端末管理装置4と、HGW1との通信により各種サービス(以下、「サービス」という。)を実現するOSAP(OSGi Service Aggregation Platform)サーバ5と、インターネット6とが接続されている。このような接続構成において、HGW1は、ユーザ端末3をNGN網2に接続するゲートウェイとして機能する。例えば、ユーザ端末3は、HGW1を介してNGN網2に接続されたISP(Internet Service Provider)に接続し、ISPの認証を受けることでインターネット6に接続可能となる。以下では、HGW1に対して、NGN網2側のネットワークをWAN(Wide Area Network)と称し、ユーザ端末3側のネットワークをLAN(Local Area Network)と称する。
【0015】
HGW1は、OSAPサーバ5によって提供されるサービスをHGW1の利用者に開放する場合はルータとして動作する。ルータとして動作するHGW1は、WAN側のIP(Internet Protocol)アドレスを保持しているため、端末管理装置4やOSAPサーバ5等の外部システムと通信可能である。一方、HGW1は、利用者にサービスを開放しない場合にはブリッジとして動作する。ブリッジとして動作するHGW1はIP(Internet Protocol)アドレスを保持しないため、外部システムと通信不能となる。すなわち、利用者はOSAPサーバ5によって提供されるサービスを使用できなくなる。よって、通信事業者は、端末管理装置4からHGW1の動作をルータからブリッジに切り替えることによって、利用者のサービス利用を抑制することができる。以下では、HGW1がルータとして動作している状態をルータモードと称し、ブリッジとして動作している状態をブリッジモードと称する。
【0016】
上述したように、HGW1がブリッジモードで動作している場合には、外部システムはHGW1と通信不可となる。そのため、端末管理装置4からHGW1を操作することができず、HGW1をブリッジモードからルータモードに切り替えることができない。以下では、ブリッジモードで動作する場合でも外部システムからの通信を可能にするHGW1の構成について詳細を説明する。
【0017】
図2は、実施形態のHGW1の機能構成の具体例を示すブロック図である。HGW1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。HGW1は、プログラムの実行によってWAN通信部11、LAN通信部12、記憶部13、通信制御部14及びバンドル制御部15を備える装置として機能する。なお、HGW1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0018】
WAN通信部11(第1通信インターフェース)は、自装置をWANに接続させるための通信インターフェースを備えて構成される。具体的には、WAN通信部11は、HGW1をNGN網2に接続する。同様に、LAN通信部12(第2通信インターフェース)は、自装置をLANに接続させるための通信インターフェースを備えて構成される。具体的には、LAN通信部12は、自装置をユーザ端末3に接続する。なお、LAN通信部12には、ユーザ端末3が直接接続されてもよいし、ユーザ端末3と自装置とを接続するルータやスイッチ等が接続されてもよい。
【0019】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部13は、HGW1の各種機能を実現するプログラム(以下、「バンドル」という。)や、各種機能の設定情報(以下、「コンフィグ」という。)などの情報を記憶する。例えば、コンフィグにはIPv6(Internet Protocol version 6)及びIPv4(Internet Protocol version 4)における、自装置の各種のIPアドレス情報が含まれる。具体的には、コンフィグには、WAN側のIPv6リンクローカルアドレス、LAN側のIPv6リンクローカルアドレス、IPv6グローバルユニークアドレス、IPv4プライベートアドレス及びIPv4グローバルアドレスなどのIPアドレス情報が含まれる。また、例えば、コンフィグには、LAN側の端末に対して払い出された各種の払い出し情報が含まれる。
【0020】
図3は、ルータモード及びブリッジモードにおいてコンフィグに保持されるIPアドレス情報の具体例を示す図である。
図3に示されるように、ルータモードにおいては、上述したIPアドレスの全てがコンフィグに保持されるのに対して、ブリッジモードにおいては、WAN側のIPv6リンクローカルアドレス及びIPv6グローバルユニークアドレスのみが保持される。なお、ルータモードにおいて保持されるIPアドレスは、後述するルータ部141に付与されるIPアドレスであり、ブリッジモードにおいて保持されるIPアドレスは、後述する仮想HGW144に付与されるIPアドレスである。
【0021】
図4は、ルータモード及びブリッジモードにおいてコンフィグに保持される払い出し情報の具体例を示す図である。
図4に示されるように、ルータモードにおいては、全ての払い出し情報が保持されるのに対して、ブリッジモードではいずれの払い出し情報も保持されない。これはルータモードがレイヤ3で動作するのに対して、ブリッジモードがレイヤ2で動作することによる。
【0022】
図2の説明に戻る。通信制御部14は、HGW1の通信を制御する機能部である。具体的には、通信制御部14は、ルータモードにおいてはHGW1をルータとして機能させるように動作し、ブリッジモードにおいてはHGW1をブリッジとして機能させるように動作する。通信制御部14は、ルータ部141、仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144を備える。ルータ部141は、自装置をルータとして動作させる機能部であり、ルータモードにおいて機能する。仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144は、自装置をブリッジとして動作させる機能部であり、ブリッジモードにおいて機能する。
【0023】
ルータ部141は、WAN通信部11によって受信されたパケット(以下、「WAN側受信パケット」という。)のうち、自装置を宛先とするパケットをバンドル制御部15に出力し、LAN側の機器を宛先とするパケットをLAN通信部12に出力する。また、ルータ部141は、LAN通信部12によって受信されたパケット(以下、「LAN側受信パケット」という。)のうち、自装置を宛先とするパケットをバンドル制御部15に出力し、LAW側の機器を宛先とするパケットをWAN通信部11に出力する。ルータ部141が行うこれらの処理は、ルータ部141がルータとして機能することにより実現される。
【0024】
仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144は、ルータOFFバンドル153の実行により生成される仮想的な機能部である。仮想ハブ142は、WAN通信部11によって受信されたパケット(以下、「WAN側受信パケット」という。)を仮想ブリッジ143に出力するとともに、受信パケットを複製して仮想HGW144に出力する。また、仮想ハブ142は、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144から出力されるパケットをWAN通信部11に出力する。
【0025】
仮想ブリッジ143は、仮想ハブ142から出力されたWAN側受信パケットをLAN通信部12に出力する。また、仮想ブリッジ143は、LAN通信部12によって受信されたパケット(以下、「LAN側受信パケット」という。)を仮想ハブ142に出力する。
【0026】
仮想HGW144(受信部)は、仮想ハブ142から出力されたWAN側受信パケットのうち、自装置宛てのWAN側受信パケットのみを取得して、バンドル制御部15に出力する。具体的には、仮想HGW144は、IPv6(Internet Protocol version 6)のリンクローカルアドレス及びグローバルユニークアドレスを保持しており、WAN側受信パケットのうち、自装置のIPv6リンクローカルアドレスを宛先とするパケットを取得する。すなわち、ブリッジモードにおいては、WAN側から送信される自装置のIPv6グローバルユニークアドレスを宛先とするパケットはユーザ端末3に転送され、自装置のIPv6リンクローカルアドレスを宛先とするパケットは仮想HGW144に転送される。また、ブリッジモードにおいて、仮想ハブ142は、LAN側受信パケットを仮想HGW144向けに複製せず、WAN通信部11に出力するのみである。そのため、ブリッジモードにおいては、ユーザ端末3は仮想HGW144と通信することができない。このような機能により、HGW1は、利用者のサービス利用を抑止しつつ、端末管理装置4やOSAPサーバ5等の外部システムと通信することができる。
【0027】
バンドル制御部15(モード制御部)は、通信制御部14の動作モードを制御する機能部である。具体的には、バンドル制御部15は、自装置をルータモード(第1モード)又はブリッジモード(第2モード)のいずれかで動作させる。例えば、バンドル制御部15は、OSGi(Open Services Gateway initiative)アライアンスによって標準化されたJava(登録商標)ベースのサービスプラットフォームを用いて構成される。
【0028】
具体的には、バンドル制御部15は、記憶部13に記憶されたバンドルの実行により、バンドルリスナ151、状態監視バンドル152、ルータOFFバンドル153及びOSAPエージェント154を生成する。バンドルリスナ151は、状態監視バンドル152、ルータOFFバンドル153及びOSAPエージェント154と通信制御部14との入出力を仲介する。具体的には、バンドルリスナ151は、自身に登録されたバンドルについての入出力を仲介する。
【0029】
状態監視バンドル152は、バンドルの起動状態を監視し、起動したバンドルをバンドルリスナ151に登録する。なお、状態監視バンドル152自身は予めバンドルリスナ151に登録されている。
【0030】
ルータOFFバンドル153は、自装置をブリッジモードで動作させるバンドルである。ルータOFFバンドル153は、ブリッジモードの通信制御部14として仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144を生成する。
【0031】
OSAPエージェント154は、仮想HGW144を介してOSAPサーバ5と通信することにより、自装置の利用者に対するサービスの提供を実現する。OSAPエージェント154は、予めバンドルリスナ151に登録されている。
【0032】
図5は、ブリッジモードのHGW1がLAN側受信パケットをWAN側に中継する処理の流れを示すフローチャートである。まず、LAN通信部12がLAN側の機器から送信されたパケットを受信する(ステップS101)。LAN通信部12は、受信パケットを仮想ブリッジ143に出力する(ステップS102)。仮想ブリッジ143は、LAN通信部12から出力された受信パケットを仮想ハブ142に出力する(ステップS103)。仮想ハブ142は、仮想ブリッジ143から出力された受信パケットをWAN通信部11に出力する(ステップS104)。ブリッジモードのHGW1がこのような処理を行うことによって、LAN側の機器は、HGW1がブリッジモードで動作する場合であってもNGN網2にアクセスすることができる。
【0033】
図6は、ブリッジモードのHGW1がWAN側受信パケットをLAN側に中継する処理の流れを示すフローチャートである。まず、WAN通信部11がWAN側の機器から送信されたパケットを受信する(ステップS201)。WAN通信部11は、受信パケットを仮想ハブ142に出力する(ステップS202)。仮想ハブ142は、WAN通信部11から出力された受信パケットを仮想ブリッジ143に出力する(ステップS203)。仮想ブリッジ143は、仮想ハブ142から出力された受信パケットをLAN通信部12に出力する(ステップS204)。
【0034】
また、仮想ハブ142は、受信パケットを仮想ブリッジ143に出力する一方で、受信パケットを複製して仮想HGW144に出力する(ステップS205)。仮想HGW144は、仮想ブリッジから出力された受信パケットの宛先が自装置のIPv6グローバルユニークアドレスであるか否かを判定する(ステップS206)。受信パケットの宛先が自装置のIPv6グローバルユニークアドレスでない場合(ステップS206−NO)、仮想HGW144は、受信パケットを破棄する(ステップS207)。一方、受信パケットの宛先が自装置のIPv6グローバルユニークアドレスである場合(ステップS206−YES)、仮想HGW144は、受信パケットを取得する(ステップS208)。
【0035】
ブリッジモードのHGW1がこのような処理を行うことによって、WAN側の機器は、HGW1がブリッジモードで動作する場合であっても、HGW1と通信することができる。例えば、受信パケットが、端末管理装置4から送信された自装置の管理に関するデータを含む場合、仮想HGW144は当該データに応じた処理を実行して端末管理装置4に応答することができる。また、例えば、受信パケットが、OSAPサーバ5から送信されたサービスに関するデータを含む場合、仮想HGW144は当該データをバンドルリスナ151に出力することにより、OSAPエージェント154とOSAPサーバ5との通信を可能にすることができる。
【0036】
図7は、ブリッジモードにおける通信の具体例を示す図である。
図7(A)は、ユーザ端末3と、インターネット6との間の通信の流れを示すシーケンス図である。まず、ユーザ端末3がインターネット6に対してパケットを送信する(ステップS301)。ユーザ端末3から送信されたパケットは、HGW1のLAN通信部12によって受信され、仮想ブリッジ143に出力される。仮想ブリッジ143は、受信パケットを仮想ハブ142に出力する(ステップS302)。仮想ハブ142は、受信パケットをWAN通信部11に出力する(ステップS303)。受信パケットは、WAN通信部11によってWAN側に送出され、NGN網2を介してインターネット6に到達する。
【0037】
一方、インターネット6側から送信されたパケットは、HGW1のWAN通信部11によって受信され、仮想ハブ142に出力される(ステップS311)。仮想ハブ142は、受信パケットを仮想ブリッジ143に出力する(ステップS312)とともに、受信パケットを複製して仮想HGW144に出力する(ステップS313)。仮想ブリッジ143は、受信パケットをLAN通信部12に出力する(ステップS314)。受信パケットは、LAN通信部12によってLAN側に送出され、ユーザ端末3に到達する。なお、仮想HGW144に出力された受信パケットは、宛先がユーザ端末3であることから仮想HGW144において破棄される。
【0038】
図7(B)は、HGW1が端末管理装置4に対してユーザ端末3を登録する処理(以下、「端管登録」という。)における通信の流れを示すシーケンス図である。ブリッジモードにおける端管登録では、まず、仮想HGW144が登録対象となるユーザ端末3を端末管理装置4に通知する。このとき仮想HGW144は、端末管理装置4に登録対象となるユーザ端末3を通知する通知パケットを仮想ハブ142に出力する(ステップS321)。仮想ハブは、通知パケットをWAN通信部11に出力する(ステップS322)。通知パケットは、WAN通信部11によってWANに側に送出され、NGN網2を介して端末管理装置4に到達する。
【0039】
端末管理装置4は、HGW1から送信された通知パケットを受信する。端末管理装置4は、受信した通知パケットが示す登録対象のユーザ端末3を自装置に登録するとともに、登録対象のユーザ端末3について端管登録を実行したことを通知する応答パケットを生成する。端末管理装置4は、応答パケットをHGW1に送信する(ステップS331)。このとき、端末管理装置4は、HGW1のIPv6グローバルユニークアドレスを宛先として応答パケットを送信する。応答パケットは、NGN網2を介してHGW1に到達する。
【0040】
応答パケットは、WAN通信部11によって受信され、仮想ハブ142に出力される。仮想ハブ142は、応答パケットを仮想ブリッジ143に出力する(ステップS332)とともに、応答パケットを複製して仮想HGW144に出力する(ステップS333)。仮想ブリッジ143は、応答パケットをLAN通信部12に出力(ステップS334)。応答パケットは、LAN通信部12によってLAN側に送出され、ユーザ端末3に到達する。なお、ユーザ端末3に到達した受信パケットは、宛先がHGW1であることからユーザ端末3において破棄される。
【0041】
図8は、ブリッジモードにおける通信の概略を示す図である。C1は、HGW1のLAN側に接続されたルータやPC等のユーザ端末3と、インターネット6との間の通信を表す。C2は、HGW1とユーザ端末3との間の通信を表す。C3は、HGW1とOSAPサーバ5との間の通信を表す。C4は、HGW1と端末管理装置4との間の通信を表す。実施形態のHGW1は、ブリッジモードにおける通信制御部14として、仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144を備えることにより、C1、C3及びC4の通信を可能とし、C2の通信を不可能にすることができる。
【0042】
図9は、ルータモードで動作しているHGW1をブリッジモードに切り替える処理の流れを示すシーケンス図である。まず、状態監視バンドル152が、ルータOFFバンドル153を、バンドルリスナ151に登録する(ステップS401)。続いて、OSAPエージェント154がOSAPサーバ5に対して、自装置がブリッジモードに移行しようとしていることを通知する(ステップS402)。この通知に応じて、OSAPサーバ5は、OSAPエージェント154に対してルータOFFバンドルを送信する(ステップS403)。OSAPエージェント154は、OSAPサーバ5から送信されたルータOFFバンドルを受信し、受信したルータOFFバンドルのインストールをバンドルリスナ151に指示する(ステップS404)。
【0043】
バンドルリスナ151は、OSAPサーバ5から取得されたルータOFFバンドルを自装置にインストールする(ステップS405)。このルータOFFバンドルのインストールにより、バンドル制御部15にルータOFFバンドル153が生成される。バンドルリスナ151は、ルータOFFバンドルのインストールが完了したことを状態監視バンドル152にコールバックする(ステップ406)。状態監視バンドル152は、インストール完了のコールバックに応じて、ルータモードで動作している通信制御部14に対して、ルータ機能の停止を要求する(ステップS407)。通信制御部14は、ルータ部141の動作を停止させることにより、自身のルータ機能を停止する。通信制御部14は、自身のルータ機能を停止すると、記憶部13に記憶されたルータモードのコンフィグをブリッジモードのコンフィグに書き換える(ステップS408)。通信制御部14は、状態監視バンドル152に対してAckを送信することにより、ルータ機能の停止が完了したことを通知する(ステップS409)。
【0044】
一方で、OSAPエージェント154は、ルータOFFバンドルのインストールを指示した後、バンドルリスナ151に対してインストールされたルータOFFバンドル153の開始を指示する(ステップS410)。バンドルリスナ151は、ルータOFFバンドル153を開始させる(ステップS411)。このルータOFFバンドル153の開始によって、通信制御部14に仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144が生成される。この間、通信制御部14は、ルータOFFバンドルの開始を待機している(ステップS412)。
【0045】
ルータOFFバンドル153が開始されると、HGW1は、自装置を一旦再起動させる(ステップS413)。HGW1の再起動後、通信制御部14は、ブリッジモードのコンフィグを読み込む(ステップS414)ことにより、ブリッジモードで動作する。
【0046】
図10は、ブリッジモードで動作しているHGW1をルータモードに切り替える処理の流れを示すシーケンス図である。まず、状態監視バンドル152が、バンドルリスナ151に対するルータOFFバンドル153の登録を解除する(ステップS501)。続いて、OSAPエージェント154がOSAPサーバ5に対して、自装置がルータモードに移行しようとしていることを通知する(ステップS502)。OSAPサーバ5は、OSAPエージェント154に対してルータOFFバンドルのアンインストールを要求する(ステップS503)。OSAPエージェント154は、バンドルリスナ151に対してルータOFFバンドルのアンインストールを指示する(ステップS504)。バンドルリスナ151は、ルータOFFバンドル153に対して、仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144の停止を要求する(ステップS505)。ルータOFFバンドル153は、仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144を停止させる。
【0047】
仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144が停止されると、バンドルリスナ151は、ルータOFFバンドル153のアンインストールを実施する(ステップS506)。このルータOFFバンドルのアンインストールにより、バンドル制御部15からルータOFFバンドル153が削除される。バンドルリスナ151は、ルータOFFバンドルのアンインストールが完了したことを状態監視バンドル152にコールバックする(ステップ507)。状態監視バンドル152は、アンインストール完了のコールバックに応じて、ブリッジモードで動作している通信制御部14に対して、ルータ機能の開始を要求する(ステップS508)。通信制御部14は、ルータ部141の動作を開始させることにより、自身のルータ機能を開始する。通信制御部14は、自身のルータ機能を開始すると、記憶部13に記憶されたブリッジモードのコンフィグをルータモードのコンフィグに書き換える(ステップS509)。通信制御部14は、状態監視バンドル152に対してAckを送信することにより、ルータ機能の開始が実行されたことを通知する(ステップS510)。通信制御部14は、ルータ機能の開始が完了を待機する(ステップS511)。
【0048】
通信制御部14のルータ機能が開始されると、HGW1は、自装置を一旦再起動させる(ステップS512)。HGW1の再起動後、通信制御部14は、ルータモードのコンフィグを読み込む(ステップS513)ことにより、ルータモードで動作する。
【0049】
このように構成された実施形態のHGW1は、LAN側の機器とWAN側の機器との間の通信をブリッジすることによって中継する仮想ブリッジ143と、WAN側の受信パケットを仮想ブリッジ143及び仮想HGW144の両方に出力する仮想ハブ142と、仮想ハブ142から出力される受信パケットのうち自装置のIPv6グローバルユニークアドレスを宛先とする受信パケットのみを取得する仮想HGW144と、を備えることにより、ルータ機能が停止されたHGW1を外部(例えば、端末管理装置4やOSAPサーバ5など)から操作することを可能にする。
【0050】
これにより、通信事業者は、非サービス状態にある(すなわちブリッジモードで動作している)HGW1を、再度サービス状態に切り替える作業(すなわちルータモードに切り替える作業)を、利用者宅に赴くことなく、リモートから行うことができるようになる。
【0051】
また、実施形態のHGW1はブリッジモードで動作している場合であっても、LAN側の機器とWAN側の機器との間の通信をブリッジすることによって中継することができる。そのため、通信事業者は、サービスを利用しない利用者に対して、HGW1を、LAN側の機器とWAN側の機器との間の通信を中継するルータと同様の通信機器として使用させることができる。
<変形例>
【0052】
上述した実施形態では、仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144をプログラムの実行によって生成される仮想的な機能部として実現するHGW1について説明したが、仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144のそれぞれは、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて構成されてもよい。この場合、HGW1は、ルータモードにおいてはルータ部141を動作させ、ブリッジモードにおいては仮想ハブ142、仮想ブリッジ143及び仮想HGW144に相当するハードウェアを動作させるように切り替えるスイッチを備えてもよい。
【0053】
上述した実施形態におけるHGW1をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0054】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【解決手段】HGW(ホームゲートウェイ)1は、WANに接続するWAN通信部11と、LANに接続するLAN通信部12を備える。通信制御部14は、ルータモードにおいてはHGWをルータとして機能させるように動作し、ブリッジモードにおいてはHGWをブリッジとして機能させるように動作する。通信制御部14の仮想ハブ142は、WAN通信部によって受信されたパケットを複製して仮想HGW144に出力する。仮想HGWは、受信パケットのうち自装置宛てのWAN側受信パケットのみを取得してバンドル制御部15に出力し、OSAP(OSGi_Service_Aggregation_Platform)エージェント154は、仮想HGWを介してWAN側のOSAPサーバと通信することにより、自装置の利用者に対するサービスの提供を実現する。