(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電動カーテンの一種類として、マイコンで制御される直流モーターの駆動力でカーテン生地をカーテンレールに沿って移送可能としたものがある。
このような電動カーテンでは、電源回路から例えば24Vの直流電圧をステッピングモーターに電源として供給し、5Vの直流電圧をマイコンに電源電圧として供給する必要がある。
【0003】
異なる直流電源電圧を生成するための電源回路の一手法として、スイッチング電源に2種類の交流電圧を出力可能とした高周波トランスを備え、その高周波トランスから出力される2種類の交流電圧をそれぞれ直流電圧に整流する整流回路を備えたものがある。
【0004】
このような電源回路では、2種類の交流電圧を出力する高周波トランスで電力消費が発生し、かつ各交流電圧を直流電圧に整流する整流回路で電力消費が発生するため、効率が悪い。
【0005】
そこで、高周波トランスから1種類の交流電圧を出力し、その交流電圧に基づいて一つの整流回路でモーターに供給する直流電圧を生成し、その直流電圧からDC/DCコンバーターでマイコン用の直流電圧を生成する電源回路が提案されている。
【0006】
特許文献1には、待機時にスイッチング電源の発振周波数及びデューティを制御して、消費電力を低減するようにしたスイッチング電源装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようにDC/DCコンバーターでマイコン用の直流電圧を生成する電源回路では、ステッピングモーター用に生成された24Vの直流電圧をDC/DCコンバーターで5Vに変換して供給するため、DC/DCコンバーターによる電力損失が大きくなる。一般に、DC/DCコンバーターでは入力電圧と出力電圧との差が大きくなるほど電力損失が大きくなるからである。
【0009】
また、電動カーテンの操作時間すなわちステッピングモーターの動作時間は、ステッピングモーターの停止時間に比して僅かな時間であるにも関わらず、高周波トランスから出力される交流電圧が整流回路で常時直流電圧に整流されて出力される。従って、整流回路での電力損失も大きくなる。
【0010】
特許文献1に開示されたスイッチング電源装置では、通常時には負荷に十分な電流を供給可能とした電流容量の大きい高周波トランスを使用するため、待機時にスイッチング電源の発振周波数及びデューティを制御しても、待機時の消費電力を十分に削減できていない。
【0011】
この発明の目的は、スイッチング電源で直流モーター及びマイコンに直流電圧を供給する
電動日射遮蔽装置において、消費電力を十分に低減し得る電動日射遮蔽装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための電動日射遮蔽装置は、
直流モーターの駆動によって日射遮蔽材を移動する電動日射遮蔽装置において、前記日射遮蔽材と、操作スイッチと、交流電源の供給に基づいて直流電圧を生成するスイッチング電源と、前記スイッチング電源から出力される直流電圧の供給に基づいて
、前記日射遮蔽材を移動するための前記直流モーターを駆動するモーター駆動回路と、前記スイッチング電源から出力される直流電圧
を電源とし、前記日射遮蔽材を移動するための操作信号が前記操作スイッチから入力されるとき、待機モードから動作モードに移行して前記日射遮蔽材を移動させるように前記モーター駆動回路を制御
し、前記直流モーターの回転量及び回転方向を検出するエンコーダーの出力信号に基づいて、前記日射遮蔽材の移動の完了である前記直流モーターの停止を検出するときに前記動作モードから前記待機モードに移行するマイコンとを備え、前記スイッチング電源は、前記モーター駆動回路に直流電圧を供給する第一のスイッチング電源と、通常の動作モード時と待機モード時とにおいて前記マイコンに直流電圧を供給する第二のスイッチング電源と、
前記動作モードから前記待機モード
に移行するときに、前記マイコンから出力される制御信号に基づいて前記第一のスイッチング電源における第一の整流平滑回路への交流電源の供給を遮断するリレー装置とを備えた。そして、前記第一のスイッチング電源は、前記交流電源を平滑した第一の直流電圧を生成する前記第一の整流平滑回路と、前記第一の直流電圧をスイッチング電圧に変換して第一の高周波トランスの一次側コイルに供給する第一のスイッチング部と、前記第一の高周波トランスの二次側コイルの出力電圧を平滑して前記モーター駆動回路に供給する第二の直流電圧を生成する第一の高周波整流回路とを備え、前記第二のスイッチング電源は、前記交流電源を平滑した第三の直流電圧を生成する
、前記第一の整流平滑回路よりも電流容量が小さい第二の整流平滑回路と、前記第三の直流電圧をスイッチング電圧に変換して
、該スイッチング電圧を、前記第一の高周波トランスよりも電流容量が小さい第二の高周波トランスの一次側コイルに供給する第二のスイッチング部と、前記第二の高周波トランスの二次側コイルの出力電圧を平滑して
、DC/DCコンバーターを介して、前記マイコンに供給する
電源となる前記第二の直流電圧よりも低電圧である第四の直流電圧を生成する
、前記第一の高周波整流回路よりも電流容量が小さい第二の高周波整流回路とを備えた。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スイッチング電源で直流モーター及びマイコンに直流電圧を供給する直流モーター制御装置において、消費電力を十分に低減し得る直流モーター制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を具体化した直流モーター制御装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、電動カーテンのカーテン生地(日射遮蔽材)を移送するための直流モーターの動作を制御する直流モーター制御装置を示す。
【0019】
スイッチング電源1の第一の整流平滑回路2には、半導体リレー4を介して交流100Vの商用交流電源が交流電圧Vacとして供給されるとともに、第二の整流平滑回路3には交流電圧Vacが直接供給されている。半導体リレー4は、後記マイコン14から出力される制御信号CT1に基づいて導通して、第一の整流平滑回路2に交流電圧Vacを供給するとともに、制御信号CT1が入力されない場合には交流電圧Vacの供給を遮断する。
【0020】
前記第一の整流平滑回路2は、入力された交流電圧Vacを直流電圧Vdc1に平滑して第一のスイッチング部5に出力する。第一のスイッチング部5は、直流電圧Vdc1の供給に基づいて、あらかじめ設定された周波数及びデューティのスイッチング電圧を生成し、そのスイッチング電圧を第一の高周波トランス6の一次側コイルL1に供給する。
【0021】
前記第一の高周波トランス6の二次側コイルL2には、一次側コイルL1との巻数比に応じた交流電圧が誘起され、その交流電圧は第一の高周波整流回路7で直流電圧Vdc2に整流されて出力される。
【0022】
前記第一の高周波整流回路7から出力される直流電圧Vdc2は、モーター駆動回路8を介して直流モーター9に供給される。直流モーター9は、モーター駆動回路8の動作に基づいて正転方向あるいは逆転方向に回転される。そして、直流モーター9の動作に基づいて、カーテン生地が引き出し方向あるいは畳み込み方向に移送される。
【0023】
前記第二の整流平滑回路3は、入力された交流電圧Vacを直流電圧Vdc3に平滑して第二のスイッチング部10に出力する。第二のスイッチング部10は、直流電圧Vdc3の供給に基づいて、あらかじめ設定された周波数及びデューティのスイッチング電圧を生成し、そのスイッチング電圧を第二の高周波トランス11の一次側コイルL3に供給する。
【0024】
前記第二の高周波トランス11の二次側コイルL4には、一次側コイルL3との巻数比に応じた交流電圧が誘起され、その交流電圧は第二の高周波整流回路12で直流電圧Vdc4に整流されて出力される。
【0025】
第二の高周波整流回路12から出力される直流電圧Vdc4はDC/DCコンバーター13を介してマイコン14に電源として供給される。DC/DCコンバーター13は、直流電圧Vdc4をマイコン14の電源電圧として最適な電圧に変換する。
【0026】
前記第一の高周波トランス6及び第一の高周波整流回路7の電流容量は、直流モーター9に駆動電流を供給する必要があるため、前記第二の高周波トランス11及び第二の高周波整流回路12より十分に大きな電流容量が確保されている。
【0027】
前記マイコン14には、前記直流モーター9の回転量及び回転方向を検出するエンコーダー15の出力信号が入力される。そして、エンコーダー15の出力信号に基づいて直流モーター9が停止状態であることを検出すると、前記半導体リレー4を不導通とする制御信号CT1を出力して、第一の整流平滑回路2への交流電圧Vacの供給を遮断するようになっている。
【0028】
前記マイコン14には、操作スイッチ16からカーテン生地を移送操作するための操作信号が入力され、マイコン14はその操作信号に基づいて前記直流モーター9の動作を制御する。
【0029】
図2は、
図1に示す直流モーター制御装置の具体的構成を示す。前記第一の整流平滑回路2は、ブリッジ回路17とコンデンサC1により交流電圧Vacを平滑して直流電圧Vdc1を生成する。前記第二の整流平滑回路3は、ブリッジ回路18とコンデンサC2により交流電圧Vacを平滑して直流電圧Vdc3を生成する。
【0030】
前記第一のスイッチング部5の出力端子は、ダイオードD1のアノードに接続され、そのダイオードD1のカソードが抵抗R1とコンデンサC3の並列回路を介して第一の高周波トランス6の一次側コイルL1の一端に接続される。また、一次側コイルL1の他端がダイオードD1のアノードに接続される。
【0031】
そして、第一のスイッチング部5からスイッチング信号が出力されると、一次側コイルL1にスイッチング電圧が供給される。
前記第一の高周波整流回路7の出力端子には、比較検出回路19が接続されている。この比較検出回路19は、第一の高周波整流回路7から出力される直流電圧Vdc2を検出し、その直流電圧Vdc2があらかじめ設定された電圧より低くなると、第一のスイッチング部5に制御信号CT2を出力する。
【0032】
第一のスイッチング部5では、制御信号CT2に基づいてダイオードD1に出力するスイッチング信号のデューティを制御する。このような動作により、第一の高周波整流回路7から出力される直流電圧Vdc2が直流モーター9の電源として最適な電圧、例えば24Vとなるように制御される。
【0033】
前記モーター駆動回路8は、マイコン14から出力される制御信号CT3に基づいて動作するMOSトランジスタTと、マイコン14から出力される制御信号CT4に基づいて動作するリレー20とで構成される。
【0034】
そして、通常動作時には制御信号CT3によりMOSトランジスタTがオンされ、直流モーター9に直流電圧Vdc2が供給される。また、制御信号CT4によりリレー20が切り替えられて、直流モーター9に供給される駆動電流の方向が切り替えられ、直流モーター9の回転方向が制御される。
【0035】
また、待機時には制御信号CT3によりMOSトランジスタTがオフされ、直流モーター9への駆動電流の供給が停止され、直流モーター9の動作が停止される。
前記第二のスイッチング部10の出力端子は、第一のスイッチング部5と同様な構成のダイオードD2、抵抗R2、コンデンサC4を介して第二の高周波トランス11の一次側コイルL3の一端に接続される。また、一次側コイルL3の他端がダイオードD2のアノードに接続される。
【0036】
そして、第二のスイッチング部10からスイッチング信号が出力されると、一次側コイルL3にスイッチング電圧が供給される。
前記第二の高周波トランス11に設けられた二次側コイルL5には、第二の高周波整流回路12から出力される直流電圧Vdc4をモニターするためのモニター回路21が接続されている。モニター回路21から出力されるモニター電圧Vmは、第二のスイッチング部10に入力される。そして、第二のスイッチング部10は入力されるモニター電圧Vmが所定の電圧となるように、第二の高周波トランス11の一次側コイルL3に出力するスイッチング信号のデューティを制御する。
【0037】
前記マイコン14は、前記エンコーダー15から出力される検出信号と、前記操作スイッチ16から出力される操作信号と、あらかじめ格納されているプログラムとに基づいて前記制御信号CT1,CT3,CT4を出力する。
【0038】
次に、上記のように構成された直流モーター制御装置の作用を
図3に従って説明する。
スイッチング電源1にAC100Vが供給されると、スイッチング電源1から直流電圧Vdc2,Vdc4が出力され、マイコン14に電源が供給された状態となる。
【0039】
マイコン14は、電源の供給に基づいて電動カーテンのカーテン生地の移送位置情報等の初期化を行い(S1)、待機モードに移行する(S2)。待機モードでは、マイコン14から半導体リレー4に制御信号CT1が出力されず、半導体リレー4が不導通状態となって第一の整流平滑回路2への交流電圧Vacの供給が遮断される。
【0040】
また、マイコン14からモーター駆動回路8に制御信号CT3,CT4が出力されず、MOSトランジスタTがオフされてリレー20が不導通状態となる。
待機モードに移行後は、マイコン14は操作スイッチ16からの操作信号の入力を待つ状態となる(S3)。
【0041】
この状態で、操作スイッチ16が操作されると、マイコン14は操作信号の入力に基づいて通常の動作モードに移行して(S4)、制御信号CT1,CT3,CT4を出力する。すると、半導体リレー4が導通状態となって第一の整流平滑回路2に交流電圧Vacが供給され、第一の高周波トランス6及び第一の高周波整流回路7を介して直流電圧Vdc2がモーター駆動回路8に供給される。
【0042】
モーター駆動回路8では、制御信号CT3によりMOSトランジスタTがオンされて、直流モーター9に直流電圧Vdc2が供給される状態となる。
そして、マイコン14に入力された操作信号に基づいて、直流モーター9が作動してカーテン生地が移送される(S5)。操作信号に基づく動作が終了して、エンコーダー15の出力信号に基づいて直流モーター9の停止を検出すると(S6)、S2に移行して上記のような待機モードの処理に移行する。
【0043】
上記のように構成された直流モーター制御装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)第一及び第二の高周波トランス6,11を使用したスイッチング電源1で直流モーター9及びマイコン14に供給する直流電圧Vdc2,Vdc4を生成することができる。従って、商用電源をトランスで降圧して平滑する電源回路に比して、電力効率を向上させることができる。
(2)動作モードでは、電流容量の大きい第一の高周波トランス6及び第一の高周波整流回路7から直流モーター9用の直流電圧Vdc2をモーター駆動回路8に供給し、電流容量の小さい第二の高周波トランス11及び第二の高周波整流回路12からマイコン14用の直流電圧Vdc4を供給することができる。待機モードでは第一の整流平滑回路2への交流電圧Vacの供給を遮断することができる。従って、待機モードにおいて電流容量の大きい第一の整流平滑回路2への交流電圧Vacの供給を遮断して、第一の整流平滑回路2、第一のスイッチング部5、第一の高周波トランス6及び第一の高周波整流回路7での電力損失を無くすことができる。
(3)待機モードでは第一の整流平滑回路2への交流電圧Vacの供給を遮断することができる。従って、モーター駆動回路8のリレー20やMOSトランジスタTに動作不良が発生しても、待機モード時には直流モーター9に電源が供給されないので、待機モードでの直流モーター9の誤動作を確実に防止することができる。
(4)通常モード及び待機モードにおいて、小容量の第二の整流平滑回路3及び第二の高周波トランス11及び第二の高周波整流回路12でマイコン14用の直流電圧Vdc4を効率よく生成することができる。
(5)第一の整流平滑回路2の前段に位置する半導体リレー4で交流電圧Vacの供給を遮断することにより、直流モーター9への電源供給を遮断するので、半導体リレー4の接点容量を小さくすることができる。従って、半導体リレー4の使用が容易となる。また、制御信号CT1により、半導体リレー4を交流電圧Vacのゼロクロスポイントで開閉することにより、開閉動作時の電力損失を低減することができる。
(6)待機モードとなる時間が動作モードとなる時間に比して充分に長い電動カーテンでは、待機モード時の消費電力を低減することにより、総消費電力を大きく低減することができる。
【0044】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・電動カーテン以外に、直流モーターを使用した横型ブラインド、ロールブラインド、オーニング、シャッター、縦型ブラインド等の直流モーター制御装置として実施することもできる。