特許第6116824号(P6116824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6116824救護支援サーバ、救護支援システムおよび救護支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116824
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】救護支援サーバ、救護支援システムおよび救護支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20170410BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20170410BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20170410BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20170410BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   G06Q50/10ZIT
   A63B69/00 C
   A63B71/06 J
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-160982(P2012-160982)
(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-18490(P2014-18490A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】508098109
【氏名又は名称】株式会社アイ・サム
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100133260
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 基子
(74)【代理人】
【識別番号】100145126
【弁理士】
【氏名又は名称】金丸 清隆
(74)【代理人】
【識別番号】100164220
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 史織
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】石黒 陸王
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−253322(JP,A)
【文献】 特開2004−248703(JP,A)
【文献】 特開2009−157485(JP,A)
【文献】 前住 智也,国士舘大学における市民マラソン大会での救護活動について―モバイルAED隊に関する報告―,[online],日本,国士舘大学体育・スポーツ科学学会,2010年,第10巻,第11−19ページ,インターネット,URL,https://kokushikan.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=5331&item_no=1&page_id=13&block_id=21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
A63B 69/00
A63B 71/06
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼッケンを装着した競技者の救護を支援する救護支援サーバであって、
通報者の携帯端末から送信された救護が必要な競技者のゼッケン番号および前記携帯端末の位置情報を含む通報情報を受信する通報情報受信部と、
前記通報情報を受信した場合に前記ゼッケン番号に対応付けて前記競技者を特定する競技者情報を記憶している競技者情報記憶部を参照し、前記ゼッケン番号に対応する前記競技者情報を取得する競技者情報取得部と、
前記競技者情報および前記位置情報を含む救護情報を本部端末へ送信する救護情報送信部とを有し、
前記通報情報には前記携帯端末の端末IDが含まれているとともに、前記競技者情報には前記競技者が参加している競技会名が含まれており、
前記競技者情報取得部は、前記端末IDに対応付けて前記通報者が登録されている競技会名を含む通報者情報を記憶している通報者情報記憶部を参照することにより、前記通報者が登録されている前記競技会を特定し、前記競技会および前記ゼッケン番号に基づいて前記競技者情報を取得する、救護支援サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の救護支援サーバと、
前記救護支援サーバから前記救護情報を受信する救護情報受信部と、前記救護情報受信部が受信した前記救護情報に基づいて前記競技者情報および前記競技者周辺の地図を表示手段に表示する救護情報表示部とを有する本部端末と
からなる、救護支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の救護支援サーバとしてコンピュータを機能させる救護支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マラソン選手やクロスカントリーの競技者等のように、ゼッケンを装着した競技者の救護を支援する救護支援システムおよび救護支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マラソン大会等のように、広域な範囲で競技を行う競技会においては、選手が走行中に怪我をしたり体調不良になった場合、ボランティア等の現場スタッフが当該競技会の運営本部へ連絡し、競技者の名前や現在地等を口頭で伝えて救命士や看護師などの医療スタッフを要請している。
【0003】
また、特開2003−150716号公報には、スポーツイベントの参加選手に関する健康管理等を支援するためのシステムであって、大会本部側が常時、全選手の心拍および血圧を監視し、異常が見られた選手の情報を現場の全ての監視員に伝えることにより、当該監視員らに当該選手を捜索させるスポーツ情報監視システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開特開2003−150716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、競技者が意識朦朧となっていたり、会話もできない状態になっている場合、名前や容態等を聞き出すことができないため、運営本部側でも競技者を直ちに特定することができず、対処が遅れたり、家族等への連絡が遅滞するという問題がある。また、クロスカントリーやトレイルランニングのように周辺に建物がない山野等をフィールドとする場合、現場スタッフが救護を必要とする競技者の場所を正確に運営本部へ伝えることができず、医療スタッフの到着が遅れてしまうという問題もある。さらに現場スタッフも動揺していたり、初期対処のために余裕がなくなることもあり状況や場所を正確に伝えることが困難なケースも多い。
【0006】
また、特許文献1に記載された発明は、大会本部側から現場の監視員へ異常が見られる選手を伝えて、当該選手が倒れるのを未然に防止するためのものであり、監視員から大会本部側に対し、倒れた選手に関する情報を伝える構成については一切開示されていない。また、特許文献1では、全ての選手に対し、心拍センサ、血圧センサおよび発信機等からなる腕時計型の個人情報取得装置を装着させる必要があるため、莫大なコストがかかり大会運営コストとのバランス上、実用性を欠いている。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、救護が必要な競技者の情報や位置を迅速かつ正確に把握することができて当該競技者のもとへ直ちに医療スタッフを派遣する等、速やかな救護活動が実現できる救護支援システムおよび救護支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る救護支援システムは、ゼッケンを装着した競技者の救護を支援する救護支援システムであって、通報者の携帯端末から送信された救護が必要な競技者のゼッケン番号および前記携帯端末の位置情報を含む通報情報を受信する通報情報受信部と、前記通報情報を受信した場合に前記ゼッケン番号に対応付けて前記競技者を特定する競技者情報を記憶している競技者情報記憶部を参照し、前記ゼッケン番号に対応する前記競技者情報を取得する競技者情報取得部と、前記競技者情報および前記位置情報を含む救護情報を本部端末へ送信する救護情報送信部とを有する救護支援サーバと、前記救護支援サーバから前記救護情報を受信する救護情報受信部と、前記救護情報受信部が受信した前記救護情報に基づいて前記競技者情報および前記競技者周辺の地図を表示手段に表示する救護情報表示部とを有する本部端末とからなる。
【0009】
また、本発明の一態様として、前記通報情報には前記携帯端末の端末IDが含まれているとともに、前記競技者情報には前記競技者が参加している競技会名が含まれており、前記競技者情報取得部は、前記端末IDに対応付けて前記通報者が登録されている競技会名を含む通報者情報を記憶している通報者情報記憶部を参照することにより、前記通報者が登録されている前記競技会を特定し、前記競技会および前記ゼッケン番号に基づいて前記競技者情報を取得するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る救護支援プログラムは、請求項1または請求項2のいずれかに記載の救護支援システムにおける前記救護支援サーバとしてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、救護が必要な競技者の情報や位置を迅速かつ正確に把握することができて当該競技者のもとへ直ちに医療スタッフを派遣する等、迅速な救護活動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る救護支援システムの全体構成を示す図である。
図2】本実施形態の救護支援システムおよび救護支援プログラムを示すブロック図である。
図3】本実施形態の通報者情報を示すサンプルデータである。
図4】本実施形態の競技者情報を示すサンプルデータである。
図5】本実施形態の運営者情報を示すサンプルデータである。
図6】本実施形態において、本部端末の表示入力手段に表示される救護情報のイメージ図である。
図7】本実施形態において、本部端末の表示入力手段に表示される競技者周辺の地図のイメージ図である。
図8】本実施形態の救護支援システムおよび救護支援プログラムにより実行される処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る救護支援システムおよび救護支援プログラムの実施形態について図面を用いて説明する。
【0014】
なお、以下の実施形態では、本救護支援システムをマラソン大会に適用した場合について説明するが、ゼッケンを装着した競技者が比較的広域なフィールドで競技を行う競技会であれば、どのような競技会にも適用可能である。
【0015】
本実施形態の救護支援システム1は、図1に示すように、マラソンコースに沿って配備される現場スタッフ等の通報者が携帯する携帯端末2と、クラウドコンピューティング等により提供される救護支援サーバ3と、マラソン大会の運営本部に設置され、あるいはマラソン大会の運営者が所有する本部端末4とから構成されている。以下、各構成について詳細に説明する。
【0016】
まず、携帯端末2について説明する。携帯端末2は、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等のような携帯型のコンピュータから構成されており、図2に示すように、表示入力手段5と、撮像手段6と、通信手段7と、記憶手段8と、演算処理手段9とから構成されている。
【0017】
表示入力手段5は、タッチパネル等で構成されており、後述するゼッケン番号入力画面等を表示するとともに、当該ゼッケン番号や容態情報等を入力するものである。撮像手段6は、カメラ等で構成されており、後述するバーコード等を撮像するものである。通信手段7は、無線インタフェース等から構成されており、救護支援サーバ3や本部端末4との間で、インターネットや電話回線を介して、メールや音声データ等の各種データを送受信するものである。
【0018】
記憶手段8は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段9が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュメモリ等で構成されており、図2に示すように、プログラム記憶部81と、端末ID記憶部82とを有している。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0019】
プログラム記憶部81には、本実施形態の携帯端末用救護支援プログラム2aがインストールされている。そして、演算処理手段9が、携帯端末用救護支援プログラム2aを実行することにより、携帯端末2としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。なお、本実施形態では、携帯端末2のユーザが通報者としてマラソン大会に参加する場合、予め携帯端末用救護支援プログラム2aをダウンロードしてインストールする。
【0020】
端末ID記憶部82は、携帯端末2を識別する端末IDを記憶するものである。本実施形態では、端末IDとして電話番号を記憶しているが、携帯端末2を識別しうる情報であれば、Eメールアドレス等のような情報でもよい。
【0021】
演算処理手段9は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、記憶手段8にインストールされた携帯端末用救護支援プログラム2aを実行することにより、図2に示すように、ゼッケン番号取得部91と、容態情報取得部92と、位置情報取得部93と、端末ID取得部94と、通報情報送信部95として機能するようになっている。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0022】
ゼッケン番号取得部91は、競技者が装着しているゼッケンからゼッケン番号を取得するものである。本実施形態では、ゼッケン番号とともにゼッケン番号に対応するバーコードがゼッケンに印刷されている。このため、ゼッケン番号取得部91は、撮像手段6で撮像したバーコードを読み取り、対応するゼッケン番号を取得するようになっている。なお、ゼッケン番号取得部91の構成は、この構成に限定されるものではなく、QRコード(登録商標)を取得してもよいし、通報者が表示入力手段5から入力したゼッケン番号を直接取得してもよいし、上述した各種の取得方法を適宜選択できるようにしてもよい。
【0023】
容態情報取得部92は、競技者の容態に関する容態情報を取得するものである。本実施形態では、携帯端末用救護支援プログラム2aが、「脱水症状」、「転倒」、「擦り傷」、「意識の有・無」等のように、複数の容態情報から任意の容態情報を選択可能な容態情報選択画面を予め用意している。このため、容態情報取得部92は、通報者が表示入力手段5を用いて選択した容態情報を取得するようになっている。なお、容態情報取得部92は、通報者が文字入力した任意の容態情報を取得するようにしてもよい。
【0024】
位置情報取得部93は、携帯端末2の位置をGPS衛星からの電波を用いて取得するGPS機能を有し、GPS機能により携帯端末2の位置情報を取得するものである。本実施形態において、位置情報は携帯端末2の緯度・経度・高度および測位時刻からなるが、少なくとも緯度・経度を有していればよい。
【0025】
端末ID取得部94は、携帯端末2を識別する端末IDを取得するものである。本実施形態において、端末ID取得部94は、端末ID記憶部82から端末IDとしての電話番号を読み出し、通報情報送信部95へ渡すようになっている。
【0026】
通報情報送信部95は、通報者が競技者について通報しうる各種の情報からなる通報情報を送信するものである。本実施形態において、通報情報としては、救護が必要な競技者のゼッケン番号および容態情報に加えて、携帯端末2の位置情報および端末IDを含んでいる。よって、通報情報送信部95は、ゼッケン番号取得部91が取得したゼッケン番号、容態情報取得部92が取得した容態情報、位置情報取得部93が取得した位置情報および端末ID取得部94が取得した端末IDを通報情報として、通信手段7を介して救護支援サーバ3へ送信する。
【0027】
つぎに、救護支援サーバ3について説明する。救護支援サーバ3は、サーバコンピュータ等から構成されており、図2に示すように、通信手段7と、記憶手段8と、演算処理手段9とから構成されている。なお、救護支援サーバ3の構成手段のうち、上述した携帯端末2の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。また、本実施形態において、救護支援サーバ3は、クラウドコンピューティングの形態で以下に示すサービスを提供するようになっている。
【0028】
救護支援サーバ3の記憶手段8は、図2に示すように、プログラム記憶部81と、通報者情報記憶部83と、競技者情報記憶部84と、運営者情報記憶部85とを有している。なお、本実施形態では、通報者情報記憶部83、競技者情報記憶部84および運営者情報記憶部85を救護支援サーバ3内の記憶手段8に格納しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、別途、設置されたデータベースサーバ内に通報者情報記憶部83、競技者情報記憶部84および運営者情報記憶部85を構築し、救護支援サーバ3からアクセスするようにしてもよい。
【0029】
プログラム記憶部81には、本実施形態の救護支援サーバ用救護支援プログラム3aがインストールされている。そして、演算処理手段9が、救護支援サーバ用救護支援プログラム3aを実行することにより、救護支援サーバ3としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0030】
通報者情報記憶部83は、通報者に関する各種の通報者情報を記憶するものである。本実施形態において、通報者情報としては、図3に示すように、通報者の氏名、通報者が参加している競技会名、Eメールアドレス等を含んでおり、これらが端末IDとしての電話番号に対応付けて登録されている。
【0031】
競技者情報記憶部84は、競技者を特定する競技者情報を記憶するものである。本実施形態において、競技者情報としては、図4に示すように、競技者の氏名、競技者が参加してい競技会名、年齢、生年月日、電話番号、緊急連絡先等を含んでおり、これらがゼッケン番号に対応付けて登録されている。
【0032】
運営者情報記憶部85は、通報者からの通報を受けるべき運営者に関する各種の運営者情報を記憶するものである。本実施形態において、運営者情報としては、図5に示すように、運営者の氏名、Eメールアドレス等を含んでおり、これらが運営する競技会ごとに対応付けて登録されている。なお、通常、一つの競技会ごとに複数の運営者が登録されている。
【0033】
救護支援サーバ3の演算処理手段9は、記憶手段8にインストールされた救護支援サーバ用救護支援プログラム3aを実行することにより、図2に示すように、通報情報受信部96と、通報者情報取得部97と、競技者情報取得部98と、運営者情報取得部99と、救護情報送信部100として機能するようになっている。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0034】
通報情報受信部96は、通報者の携帯端末2から送信された救護が必要な競技者に関する通報情報を受信するものである。本実施形態において、通報情報受信部96は、携帯端末2の通信手段7を介して通報情報送信部95が送信したゼッケン番号、位置情報、容態情報、および端末IDを含む通報情報を、救護支援サーバ3の通信手段7を介して受信するようになっている。
【0035】
通報者情報取得部97は、携帯端末2から通報情報を送信した通報者に関する通報者情報を取得するものである。本実施形態において、通報者情報取得部97は、通報情報受信部96が受信した端末IDに基づいて通報者情報記憶部83を参照し、当該端末IDとしての電話番号とともに、当該端末IDに対応する氏名、競技会名、Eメールアドレス等を通報者情報として取得するようになっている。
【0036】
競技者情報取得部98は、通報情報受信部96が通報情報を受信した場合に、通報者によって通報された競技者の競技者情報を取得するものである。本実施形態において、競技者情報取得部98は、通報情報受信部96が受信したゼッケン番号に基づいて競技者情報記憶部84を参照し、当該ゼッケン番号に対応する競技者情報(氏名、年齢、生年月日、電話番号、緊急連絡先等)を取得するようになっている。
【0037】
また、本救護支援サーバ3により提供される救護支援サービスが、複数の競技会によって利用される場合、同一のゼッケン番号が異なる競技者に付与される可能性がある。そこで、本実施形態では、ゼッケン番号がどの競技会で付与されたものかを特定することにより競技者を識別する。具体的には、競技者情報取得部98は、別途、通報情報受信部96が受信した端末IDに基づいて通報者情報記憶部83を参照することにより、通報者が登録されている競技会を特定する。当該競技会は競技者が参加する競技会と同一であるため、競技者情報取得部98は、当該競技会およびゼッケン番号に基づいて競技者情報記憶部84を参照し、競技者情報を取得する。
【0038】
運営者情報取得部99は、通報者からの通報を送信すべき運営者に関する運営者情報を取得するものである。本実施形態において、運営者情報取得部99は、通報情報受信部96が受信した端末IDに基づいて通報者情報記憶部83を参照することにより、通報者が登録されている競技会を特定する。そして、当該競技会に対応付けられている運営者を運営者情報記憶部85から読み出し、運営者情報(運営者の氏名、Eメールアドレス等)を取得する。
【0039】
救護情報送信部100は、本部端末4へ通報すべき競技者に関する救護情報を送信するものである。本実施形態において、救護情報としては、競技者情報、位置情報、容態情報および通報者情報等を含んでいる。よって、救護情報送信部100は、運営者情報取得部99が取得した運営者のEメールアドレスに対して、競技者情報取得部98が取得した競技者情報、通報情報受信部96が受信した位置情報・容態情報、および通報者情報取得部97が取得した通報者情報を救護情報として、通信手段7を介して送信する。
【0040】
なお、通報者と運営者との間で救護情報の共有化を図るため、救護情報送信部100は、本部端末4だけではなく、携帯端末2に対しても同様の救護情報(但し、通報者情報を除く)を送信するようにしてもよい。この場合、救護情報送信部100は、通報者情報取得部97が取得した通報者のEメールアドレスに対して、上述した救護情報を通信手段7を介して送信する。
【0041】
つぎに、本部端末4は、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等のコンピュータから構成されており、図2に示すように、表示入力手段5と、通信手段7と、記憶手段8と、演算処理手段9とから構成されている。なお、本部端末4の構成手段のうち、上述した携帯端末2や救護支援サーバ3の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0042】
本部端末4の記憶手段8は、図2に示すように、プログラム記憶部81を有している。このプログラム記憶部81には、本実施形態の本部端末用救護支援プログラム4aがインストールされている。そして、演算処理手段9が、本部端末用救護支援プログラム4aを実行することにより、本部端末4としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0043】
本部端末4の演算処理手段9は、記憶手段8にインストールされた本部端末用救護支援プログラム4aを実行することにより、図2に示すように、救護情報受信部101と、救護情報表示部102として機能するようになっている。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0044】
救護情報受信部101は、救護支援サーバ3から救護情報を受信するものである。本実施形態において、救護情報受信部101は、救護支援サーバ3の通信手段7を介して救護情報送信部100が送信した競技者情報、位置情報、容態情報および通報者情報を含む救護情報を、本部端末4の通信手段7を介して受信するようになっている。
【0045】
救護情報表示部102は、救護が必要な競技者の救護情報を表示入力手段5に表示させるものである。具体的には、救護情報表示部102は、救護情報受信部101が受信した競技者情報、容態情報および通報者情報に基づいて、図6に示すような表示データを作成し表示入力手段5に表示させる。また、救護情報表示部102は、救護情報受信部101が受信した位置情報と、所定の地図提供サービスが提供する地図情報とをマッシュアップすることにより、図7に示すように、競技者周辺の地図と競技者の位置とを示す表示データを作成し表示入力手段5に表示させる。
【0046】
なお、本実施形態では、表示機能および入力機能を兼ね備えた表示入力手段5を使用しているが、この構成に限定されるものではなく、表示機能を備えた表示手段および入力機能を備えた入力手段をそれぞれ別個に有していてもよい。また、本発明において、表示手段とは、表示入力手段5のように各種データを表示可能な全ての手段を含む概念である。
【0047】
つぎに、本実施形態の各救護支援プログラム2a,3a,4aによって実行される救護支援システム1の作用について、図8を用いて説明する。
【0048】
まず、通報者が、救護が必要な競技者を発見した場合、携帯端末2上で携帯端末用救護支援プログラム2aを起動し、当該競技者が装着しているゼッケンに印刷されたバーコードを撮像手段6で撮像する。これにより、ゼッケン番号取得部91が、当該バーコードに対応するゼッケン番号を取得する(ステップS1)。
【0049】
また、通報者は、競技者から話を聞いたり様子を観察することにより競技者の容態を把握し、当該容態に対応する容態情報を容態情報選択画面において選択する。これにより、容態情報取得部92が、競技者の容態に関する容態情報を取得する(ステップS2)。なお、この容態情報の入力は必須ではなく、オプション的な入力項目である。
【0050】
つぎに、通報者が携帯端末2の表示入力手段5に表示された送信ボタンを選択すると、位置情報取得部93が、携帯端末2の位置情報を取得するとともに(ステップS3)、端末ID取得部94が、携帯端末2の端末IDを取得する(ステップS4)。そして、通報情報送信部95が、ゼッケン番号、容態情報、位置情報および端末IDを通報情報として救護支援サーバ3へ送信する(ステップS5)。
【0051】
救護支援サーバ3では、通報情報受信部96が携帯端末2から通報情報を受信すると(ステップS6)、通報者情報取得部97が、端末IDとしての電話番号、および当該端末IDに対応する氏名、競技会名、Eメールアドレス等の通報者情報を通報者情報記憶部83から取得する(ステップS7)。これにより、通報者は、何ら入力操作等することなく、自身に関する各種の情報を救護支援サーバ3に把握させることが可能となる。
【0052】
つづいて、競技者情報取得部98が、通報情報に含まれるゼッケン番号に基づいて、競技者情報(氏名、年齢、生年月日、電話番号、緊急連絡先等)を競技者情報記憶部84から取得する(ステップS8)。これにより、通報者は、ゼッケン番号を撮像あるいは入力するだけで、競技者に関する各種の情報を救護支援サーバ3に把握させることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、競技者情報取得部98が、通報情報に含まれる端末IDに対応する通報者が、どの競技会に登録されているかを特定し、当該競技会およびゼッケン番号に対応する競技者情報を取得するようにしてもよい。これにより、救護支援システム1が複数の競技会を同時に救護支援し、同一のゼッケン番号が、異なる競技会の異なる競技者に付与されている場合であっても、確実に競技者が特定され、人違いが防止される。
【0054】
つづいて、運営者情報取得部99が、通報情報に含まれる端末IDに対応する通報者が、どの競技会に登録されているかを特定し、当該競技会の運営者に関する運営者情報(運営者の氏名、Eメールアドレス等)を取得する(ステップS9)。これにより、救護支援サーバ3は、救護情報を送信すべき連絡先を把握する。
【0055】
つぎに、救護情報送信部100が、運営者情報に含まれる運営者のEメールアドレスを宛先とし、競技者情報、位置情報、容態情報および通報者情報を救護情報として送信する(ステップS10)。
【0056】
本部端末4では、救護情報受信部101が救護支援サーバ3から救護情報を受信すると(ステップS11)、救護情報表示部102が、救護情報に含まれる競技者情報、容態情報および通報者情報に基づいて、図6に示すような表示データを表示入力手段5に表示する(ステップS12)。また、救護情報表示部102は、別途、救護情報に含まれる位置情報に基づき、図7に示すように、競技者周辺の地図と競技者の位置とを示す表示データを表示入力手段5に表示する(ステップS12)。
【0057】
これにより、運営本部では、救護が必要な競技者の氏名や容態に加えて、当該競技者の現在位置を迅速かつ正確に把握することが可能となる。このため、運営本部は、医療スタッフに対して、競技者の現在位置を的確に指示でき、例えば医療スタッフが競技者の居場所を探すのに手間取って到着が大幅に遅れてしまうことがない。特に、競技者の容態が一刻を争うような状況の場合、医療スタッフが競技者のもとへ迷わずに到着することの意義は極めて大きい。
【0058】
また、本実施形態では、競技者情報として緊急連絡先を含んでいるため、運営本部は、別途、当該競技者の家族等に対して、競技者の容態を連絡することができる。さらに、本実施形態では、救護情報として通報者情報を含んでいるため、通報者に直接連絡し、より詳細な状況を確認することもできる。
【0059】
なお、図8の点線で示すように、救護支援サーバ3の救護情報送信部100によって、通報者情報を除く救護情報を携帯端末2へ返送するとともに、携帯端末2において、本部端末4と同様、救護情報を表示させるようにしてもよい。これにより、通報者と運営者との間で救護情報が共有化され、情報の錯綜が防止される。
【0060】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
1.救護が必要な競技者の情報や位置を迅速かつ正確に把握することができ、当該競技者のもとへ直ちに医療スタッフを派遣することができる。
2.複数の競技会を同時に開催され、同一のゼッケン番号が異なる競技者に付与されていても、確実に競技者を特定し、人違いを防止することができる。
3.通報者は、単にゼッケン番号を撮像または入力するだけでよいため、携帯端末2の操作に疎い女性やお年寄りでも、気軽に通報を担当するスタッフとして参加することができる。
【0061】
なお、本発明に係る救護支援システム1および各救護支援プログラム2a,3a,4aは、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0062】
例えば、上述した本実施形態では、救護情報送信部100が、各種の救護情報をEメールに記載して本部端末4にプッシュ配信しているが、この構成に限定されるものではない。また、通報者の携帯端末2において、予め各種の容態に応じて通報者でも行える応急処置を記憶した応急処置記憶部(図示せず)を備えるとともに、通報者が通報情報を送信した後、通報者が選択した容態情報に対応する応急処置を応急処置記憶部から読み出し、表示入力手段5に表示させる応急処置表示部(図示せず)を備えるようにしてもよい。これにより、応急処置に疎い通報者であっても、競技者に応急処置を施すことが可能となる。
【0063】
また、上述した本実施形態では、救護情報として通報者情報を含んでいる。このため、救護情報を受信した旨および医療スタッフの到着予定時刻等の受信報告を通報者の携帯端末2へ送信する受信報告送信部(図示せず)を本部端末4に備えるとともに、当該受信報告を受信して表示入力手段5に表示させる受信報告表示部(図示せず)を携帯端末2に備えるようにしてもよい。これにより、通報者は、救護情報が間違いなく運営本部へ送信され、医療スタッフがこちらに向かっていることを知り、一安心することができる。
【0064】
さらに、通報者情報、競技者情報および運営者情報としては、上述した情報に限られるものではなく、必要に応じて適宜、各種の情報を含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 救護支援システム
2 携帯端末
2a 携帯端末用救護支援プログラム
3 救護支援サーバ
3a 救護支援サーバ用救護支援プログラム
4 本部端末
4a 本部端末用救護支援プログラム
5 表示入力手段
6 撮像手段
7 通信手段
8 記憶手段
9 演算処理手段
81 プログラム記憶部
82 端末ID記憶部
83 通報者情報記憶部
84 競技者情報記憶部
85 運営者情報記憶部
91 ゼッケン番号取得部
92 容態情報取得部
93 位置情報取得部
94 端末ID取得部
95 通報情報送信部
96 通報情報受信部
97 通報者情報取得部
98 競技者情報取得部
99 運営者情報取得部
100 救護情報送信部
101 救護情報受信部
102 救護情報表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8