(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計数処理部への遊技媒体の通過を許容する許容状態と、当該通過を制限する制限状態とを切り替える切替手段を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の各台対応装置。
前記計数処理部で計数処理された後の遊技媒体を各台対応装置の外へ排出する遊技媒体排出部をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の各台対応装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る遊技台90および遊技媒体払出計数装置1のセットを正面から見た図である。
図1では、一般的な遊技台90と、本発明に係る遊技媒体払出計数装置1とが図示されている。遊技台90は、たとえば、スロットマシンである。そのため、遊技台90および遊技媒体払出計数装置1で扱われる遊技媒体は、メダルである。
【0015】
遊技台90は、スロットマシンの基本構成として、本体91と、投入口92、複数列(ここでは3列)のリール93、リール93と同じ数だけ設けられたボタン94および受皿95とを含んでいる。投入口92、リール93、ボタン94および受皿95は、本体91の正面に設けられている。特に、受皿95は、本体91において遊技客の手が届きやすい下端部側に配置されている。リール93の外周面には、様々な絵柄が周方向に1つずつ並んで形成されている。
【0016】
遊技客は、遊技台90が設置される遊技施設から事前に貸し出してもらったメダルを投入口92に投入する。すると、全てのリール93が回転するので、各リール93に対応するボタン94を押すことで、それぞれのリール93の回転を停止させる。回転が停止した後の全てのリール93において正面側に露出された部分の絵柄が所定のパターンになっていれば、遊技客は遊技に勝ったことになり、勝ち分のメダルが遊技台90から受皿95に払い出される。受皿95には、遊技で獲得したメダルだけでなく、これから遊技をするために用いるメダルを溜めることもできる。
【0017】
遊技媒体払出計数装置1は、遊技台90で遊技するためのメダルを払い出したり遊技台90で獲得されたメダルを計数したりするものである。遊技施設において、遊技台90は複数設置されていて、遊技媒体払出計数装置1は、各遊技台90に1対1で対応して設けられている。遊技媒体払出計数装置1は、対応する遊技台90に横隣(
図1の場合には右隣)に設置されている。そのため、遊技客は、自身が遊技する遊技台90の前に居たままの状態で、遊技媒体払出計数装置1から遊技のためのメダルを借りたり、遊技で獲得したメダルを遊技媒体払出計数装置1で計数してもらったりすることもできる。
【0018】
遊技施設において、複数の遊技台90が左右に並んで配置されている場合、遊技媒体払出計数装置1は、左右に隣り合う遊技台90の間に配置されている。このように配置される遊技媒体払出計数装置1は、遊技台90に比べてだいぶ幅狭に構成されている。遊技媒体払出計数装置1の幅は、紙幣の短手方向寸法よりやや大きい程度である。
遊技媒体払出計数装置1は、その筐体をなす装置本体2を備えている。装置本体2には、上から順に、紙幣処理部3と、カード処理部4と、補充部5と、ホッパー部6(払出部)と、投入払出部7(貯留領域)とが主に設けられている。
【0019】
紙幣処理部3は、遊技媒体払出計数装置1からメダルを貸し出してもらうのに必要な貨幣(この実施形態では所定金種の紙幣のみ)を受け付けるものである。装置本体2の正面2A(
図1における紙面手前側の面)において紙幣処理部3と一致する部分には、投入される紙幣を受け入れるための横長の紙幣投入口8が形成されている。紙幣投入口8に投入された紙幣は、紙幣処理部3によって装置本体2内に取り込まれて識別されたり計数されたりする。
【0020】
カード処理部4に関し、遊技施設には、メダルと交換できる度数(プリペイド価値)を記憶したプリペイドカードや、遊技施設に会員登録した遊技客に配布される会員カードや、会員登録していない遊技客が当日獲得したメダルの獲得数(「持メダル数(もちめだるすう)」ということにする)を記憶する一般カードがある。なお、これらのプリペイドカード、会員カードおよび一般カードを「カード」と総称することがある。会員カードには、持メダル数以外に、当日よりも前に獲得してその後の遊技や景品交換に用いられていないメダルの数(「貯メダル数(ちょめだるすう)」ということにする)も記憶できる。
【0021】
一般カードに記憶された持メダル数は当日限り有効であり、遊技客は、当日においては、現金やプリペイドカードで新たにメダルを貸し出してもらわなくても、持メダル数分のメダルを用いて遊技をすることができる。当日の営業時間が終了すると、一般カードに記憶された持メダル数は、消滅してしまうが、会員カードに記憶された持メダル数は、貯メダル数となって、翌日以降の遊技や景品交換に用いることができる。
【0022】
装置本体2の正面2Aにおいてカード処理部4と一致する部分には、カードを出し入れするための縦長のカード出入口9が形成されている。カード出入口9に投入されたカードは、カード処理部4によって装置本体2内に取り込まれる。カード処理部4は、カードに記憶された内容を読み取ったり、書き換えたりでき、さらに、カードをカード出入口9から装置本体2外に排出できる。
【0023】
装置本体2の正面2Aにおいて、カード出入口9の右隣には、遊技客や遊技施設の従業員によって操作される操作部10が設けられている。操作部10は、例えば複数の数字ボタンが横2列で配列されることで構成されたテンキー11と、テンキー11より下方で左右に並ぶ計数ボタン12(計数用操作部)および貸出ボタン13とを含んでいる。たとえば、会員登録している遊技客は、会員カードをカード出入口9に挿入した後に、テンキー11を操作して自身のパスワードを入力することによって本人認証することができる。また、遊技客は、遊技で獲得したメダルを計数してもらいたい場合には計数ボタン12を押し、メダルを貸し出してもらいたい場合には貸出ボタン13を押す。
【0024】
補充部5は、鍵穴14が形成された補充扉15を含む。補充扉15は、装置本体2の正面2Aに露出されている。従業員は、専用の鍵(図示せず)を鍵穴14に差し込むことで補充扉15を開くことができ、これによって、装置本体2内にアクセスして、装置本体2内(後述するホッパー部6)に予備のメダルを補充したり、内部をメンテナンスしたりすることができる。なお、メダルの補充は、従業員による手作業によって行われてもよいし、専用の補充装置によって自動的に行われてもよい。
【0025】
ホッパー部6は、遊技客に貸し出すメダルを貯留する部分である。投入払出部7は、貸し出すメダルが払い出されたり、遊技客が獲得した遊技媒体が投入されたりする部分である。
図2は、遊技媒体払出計数装置1の内部構造を示す模式図である。
図2を参照して、紙幣処理部3は、装置本体2内に内蔵される紙幣収納庫16を含んでいる。紙幣収納庫16の内部は、後側(
図2の右側)から紙幣投入口8に連通している。紙幣収納庫16は、紙幣投入口8から投入された紙幣Sを積層状態で収納することができる。
【0026】
ホッパー部6は、ホッパー17と、回転板18と、カウンター19と、シュート20とを含んでいる。
ホッパー17は、上方へ臨む入口17Aと、下方へ臨む出口17Bとが形成された中空体であって、入口17Aから下方の出口17Bへ向かって細くなっている。ホッパー17には、入口17Aから投入されたメダル(遊技客に払い出すメダル)を溜めることができる。前述した補充扉15を開くと、入口17Aに前上側からアクセスできるので、補充用のメダルを入口17Aからホッパー17に投入できる。
【0027】
回転板18は、水平方向に沿って配置された上下に薄い円板であって、出口17Bを下から塞ぐように配置されている。ホッパー17内のメダルは、出口17B側では回転板18の上に溜まる。回転板18は、上下に延びる回転軸Jを中心として回転可能であり、モータ(図示せず)によって回転駆動される。このモータもホッパー部6に含まれる。
図2では、回転板18の回転方向が、矢印Aによって図示されている。
【0028】
カウンター19は、回転板18に対して前側(
図2の左側)から隣接するように配置されている。回転板18とホッパー17の下端(出口17Bを縁取る部分)との間においてカウンター19に対向する部分には、メダルを1枚だけ通すことができる隙間21が形成されている。隙間21は、メダル1枚分の厚みに相当する高さ寸法と、メダル1枚分の直径に相当する横寸法を有している。
【0029】
回転板18が回転駆動されると、遠心力が発生する。これにより、回転板18上のメダルは、遠心力によって回転板18の外周縁に向かい、1枚ずつ隙間21からホッパー17の外へ出て、カウンター19に受け入れられる。カウンター19は、受け入れたメダルを1枚ずつ計数(カウント)して、シュート20へ受け渡す。そのため、カウンター19には、隙間21とシュート20とをつなぐメダルの通路(図示せず)が形成されている。カウンター19においてメダルを計数する構成としては、たとえば、光学式の構成(メダルによる検知光の遮光があるとメダルを1枚カウントする構成)を用いることができる。
【0030】
シュート20は、カウンター19から前側下方へ延びるダクトであり、カウンター19から受け取ったメダルを内部に通して前側下方へ落下させることができる。
図2では、シュート20内におけるメダルの落下方向が、矢印Bによって図示されている。
投入払出部7は、受皿22と、シャッター23とを含んでいる。
受皿22は、下方へ窪むように配置された凹状体である。受皿22の大部分は、装置本体2の正面2Aから前側へ突出している。受皿22において装置本体2の正面2Aから前側へ突出した部分には、上方へ臨む投入払出口24が形成されている。受皿22の内部空間50において装置本体2の正面2Aよりも後側にある部分に対して、シュート20の下端が上方から臨んでいる。受皿22の内部空間50において装置本体2の正面2Aよりも前側にある部分は、投入払出口24から前側上方に開放されている。投入払出口24を介して、遊技媒体払出計数装置1の(正面側の)外から受皿22の内部空間50にアクセス可能である。なお、投入払出口24および(投入払出口24を含む)投入払出部7は、遊技台90の受皿95(
図1参照)と高さ方向でほぼ同じ位置にあるので、遊技客にとって、受皿95と(受皿22の)投入払出口24との間でのメダルの移動が容易である。特に、投入払出口24は、装置本体2の正面2Aの下端部に位置することから、投入払出口24に対してメダルを上方から投入しやすい。
【0031】
受皿22には、内部空間50を下から区画する底25(
図2における破線部分を参照)が形成されている。底25は、下方へ膨出する円弧状に形成されている。底25における最深部には、開口26が形成されている。開口26は、装置本体2の内部空間に対して上方から連通している。
シャッター23は、開口26を塞ぎ得る大きさを有する板状である。シャッター23の前端部と、受皿22において開口26を前から区画する縁部分とが、左右方向(
図2における紙面の厚さ方向)に延びる軸27を介して連結されている。シャッター23は、軸27を中心として上下に揺動することによって、開口26を下から閉じる閉位置(実線で示したシャッター23を参照)と、開口26を下方へ開く開位置(1点鎖線で示したシャッター23を参照)との間で開閉移動できる。閉位置において閉じたシャッター23は、水平方向にほぼ沿っている。開位置で開いたシャッター23は、閉位置よりも下方に位置するとともに、軸27から後下側へ傾斜して延びている。シャッター23の開閉は、図示しないソレノイドによって駆動される。このソレノイドは、投入払出部7に含まれる。
【0032】
遊技台90での遊技によって獲得されたメダルは、前述したように遊技台90の受皿95(
図1参照)に溜まるが、遊技者は、受皿95のメダルを計数したい場合、受皿95のメダルを掴んで、遊技媒体払出計数装置1の投入払出部7まで持っていき、投入払出部7における受皿22の投入払出口24に上から投入する。このとき、シャッター23は閉位置にある。投入払出口24に投入されたメダルは、受皿22の底25に溜まる。また、遊技客に貸し出すためにホッパー17から払い出されたメダルは、シュート20を落下して受皿22の底25に溜まることができる。
【0033】
このように、受皿22を有する投入払出部7は、ホッパー17からメダルが払い出される払出領域と、遊技で獲得された計数用のメダルが投入される投入領域とを兼ねる共通の貯留領域を構成している。また、ホッパー17を有するホッパー部6は、投入払出部7(貯留領域)にメダルを払い出すものであることがわかる。
装置本体2内には、搬送部29が設けられている。搬送部29は、搬送ベルト30と、ローラ31と、計数部32と、切換部33とを含んでいる。
【0034】
搬送ベルト30は、エンドレスベルトであって、
図2に示すように右側から見た状態で、略L字状になっている。搬送ベルト30は、シャッター23の後端部の真下から後方へ略水平に延び、装置本体2の後壁の手前で直交に折れ曲がって、ホッパー17の入口17Aよりも高い位置まで略垂直に延びている。搬送ベルト30において、略水平に延びている部分の上側外周面と、略垂直に延びている部分の前側外周面(
図2における左側面)とは、略L字状の搬送路34を構成している。搬送路34の前端部は、受皿22の開口26に対して後下側から隣接している。シャッター23が開位置まで揺動すると(1点鎖線のシャッター23を参照)、シャッター23の後端部が、搬送路34の前端部における搬送ベルト30に対して接触しない程度に最接近する。これにより、受皿22の底25と搬送路34の前端部とがシャッター23によってつながり、搬送路34の前端部が受皿22の開口26に接続された状態になる。シャッター23が開位置から閉位置(実線のシャッター23を参照)まで揺動すると、シャッター23の後端部が搬送路34の前端部から上方に離間し、搬送路34と開口26との間がシャッター23によって遮断される。
【0035】
ローラ31は、搬送ベルト30を略L字状で維持するために、搬送ベルト30の前端部、上端部および屈曲部のそれぞれにおける(搬送ベルト30の)内側や外側に、1つずつ配置されている。少なくとも1つのローラ31がモータ(図示せず)によって回転駆動されることによって、搬送ベルト30は、
図2における時計周りの方向に周回移動する。
図2では、搬送ベルト30の周回移動方向が、複数の矢印Cによって図示されている。このモータは、搬送部29に含まれる。
【0036】
シャッター23が閉位置にあって受皿22にメダルが溜まった状態で、シャッター23を開位置まで揺動させると、受皿22のメダルは、矢印Dに示すように、シャッター23に沿って流れ落ち、搬送路34の前端部における搬送ベルト30上に載る。この状態で搬送ベルト30が周回移動すると、メダルは、搬送ベルト30の外周面上で、搬送ベルト30の周回移動方向に沿って1列に並びつつ、搬送ベルト30の周回移動に沿って搬送路34を搬送される。なお、メダルが搬送ベルト30の周回移動方向に沿って1列に並ぶように、メダルの流れを矯正する部材(ガイド等)を設けてもよい。搬送ベルト30上のメダルは、ホッパー17の入口17Aよりも高い位置まで搬送されると、矢印Eで示すように、搬送ベルト30から外れ落ち、入口17Aからホッパー17に溜まる。なお、搬送ベルト30の外周面には、メダルを1枚ずつ保持する爪等を設けて、メダルが搬送路34の途中で滞留しないようにしてもよい。また、ホッパー17の入口17Aよりも高い位置まで搬送されたメダルが搬送ベルト30から外れ落ちるように、メダルを搬送ベルト30から引き剥がす部材(爪等)を設けてもよい。
【0037】
計数部32は、搬送路34(搬送ベルト30でシャッター23から後側へ水平に延びている部分)において1列に並んで搬送されるメダルに上から対向する位置に設けられている。計数部32は、たとえばカウンター19と同様の光学式な構成によって、搬送ベルト30上のメダル(投入払出部7の受皿22に投入された後に搬送ベルト30に受け渡されたメダル)を1枚ずつ計数することができる。ここで、搬送路34は、受皿22に投入されたメダルを計数部32へ導くためのものであることがわかる。
【0038】
切換部33に関連して、搬送ベルト30の外周面によって構成されたメダルの搬送路34において、搬送ベルト30の周回移動方向から見て計数部32から少し下流側(
図2では後側)には、回収路35が接続されている。回収路35は、ホッパー17に入りきらないメダルを遊技媒体払出計数装置1外へ回収(排出)するためのものである。回収路35から遊技媒体払出計数装置1外へ回収されたメダルは、補充用の予備のメダル等として再使用される。切換部33は、搬送路34と回収路35と接続部分に配置されている。切換部33は、搬送ベルト30上を搬送されるメダルの搬送先を、搬送ベルト30(下流側の搬送路34)、または、搬送路34から分岐した回収路35に切り換えるものである。
【0039】
図3を参照して、切換部33は、たとえば、図示しないソレノイドによって回動される切換爪36を含んでいる。このソレノイドも切換部33に含まれる。切換爪36は、平面視において搬送ベルト30(シャッター23から後側へ水平に延びている部分)から外れた位置に設けられた軸37を中心として回動可能に設けられている。切換爪36は、平面視において、搬送ベルト30から外れて搬送路34と回収路35との間を遮断する待機位置(実線で示した切換爪36を参照)と、搬送ベルト30の周回移動方向Cに対して傾斜するように搬送路34内にはみ出した切換位置(破線で示した切換爪36を参照)との間で回動できる。切換爪36が待機位置にある場合には、メダルMは、搬送ベルト30に載ったまま切換爪36を通過して搬送路34内をホッパー17まで搬送される。切換爪36が切換位置にある場合には、メダルMは、切換爪36によって切換部33から分岐して回収路35に受け渡され、矢印Fで示すように、回収路35内を流れる。
【0040】
図4は、遊技媒体払出計数装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図4を参照して、遊技媒体払出計数装置1には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部40(開閉手段、禁止手段)が備えられている。制御部40は、CPUやメモリ(ROM、RAM)などを含んでいる。制御部40に関連して、遊技媒体払出計数装置1は、必要な情報を記憶するための記憶部41も備えている。
【0041】
遊技媒体払出計数装置1には、制御部40に対して、前述した紙幣処理部3、カード処理部4、記憶部41、貸出ボタン13、計数ボタン12、ホッパー部6、シャッター23、搬送ベルト30、計数部32および切換部33のそれぞれが電気的に接続されている。厳密には、ホッパー部6では、回転板18を回転させるモータ(図示せず)とカウンター19とが制御部40に接続されていて、シャッター23では、シャッター23を開閉させるソレノイド(図示せず)が制御部40に接続されている。また、搬送ベルト30では、搬送ベルト30を周回移動させる(厳密には、前述したローラ31を回転駆動させる)モータ(図示せず)が制御部40に接続されていて、切換部33では、切換爪36を回動させるソレノイド(図示せず)が制御部40に接続されている。
【0042】
貸出ボタン13および計数ボタン12を含む操作部10は、シャッター23を開閉するために操作され、制御部40は、操作部10の操作に応じてシャッター23を開閉させる。一方、操作部10が操作されていない待機状態において、制御部40は、シャッター23を閉位置に配置された閉鎖状態にする。
具体的に、遊技客は、遊技で獲得したメダルを計数したい場合には、前述したようにメダルを投入払出口24から受皿22に投入した後に、計数ボタン12を操作する(押下する)。すると、制御部40は、
図2を参照して、計数ボタン12の操作に応じてシャッター23を開放させて開位置(1点鎖線のシャッター23を参照)に配置するとともに、搬送ベルト30を周回移動させる。これにより、受皿22に投入されたメダルは、受皿22の開口26からシャッター23経由で搬送ベルト30上に流れ落ちて搬送路34に受け渡され、搬送ベルト30によって搬送路34を下流側へ搬送される。搬送途中において、メダルは、計数部32を通過する度に計数部32によって1枚ずつカウント(計数)される。このとき、ホッパー17におけるメダルの収容量に余裕がある場合には、制御部40は、切換部33の切換爪36を待機位置にするので、搬送路34内のメダルは、そのまま搬送路34を最後まで搬送されてホッパー17に溜められる。一方、ホッパー17内のメダルが一杯でこれ以上メダルを収容できない場合(ホッパー17内のメダルがほぼ一杯となったニアフル状態も含む)には、制御部40は、切換部33の切換爪36を切換位置にするので、計数部32を通過したメダルは、回収路35に受け渡される。
【0043】
なお、ホッパー17には、ホッパー17内のメダルが一杯(ニアフルも含む)か否かを検出するセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサは、たとえば、ホッパー17の入口17Aの付近に検知光を走らせていて、ホッパー17内のメダルによって検知光が遮断されることで、ホッパー17内のメダルが一杯であることを検知する。
このように、計数ボタン12の操作に始まって、(受皿22に投入された)メダルをホッパー17に溜めたり、回収路35に流したりするまでの一連の動作を、「計数動作」ということにする。計数部32がメダルの計数を終えてから、所定時間経過しても次のメダルを計数しない場合には、計数動作が完了したことになり、制御部40は、シャッター23を開位置から閉位置まで揺動させる。
【0044】
また、計数動作開始から終了までの間における計数部32によるメダルのカウント結果が、今回のメダルの計数値(前述した持メダル数)となる。この計数値は、記憶部41(
図4参照)に記憶されたり、遊技媒体払出計数装置1から上位装置(管理サーバ等)に送信されて上位装置で管理されたりする。
一方、遊技客は、遊技媒体払出計数装置1からメダルを払い出してもらいたい場合には、現金(ここでは所定金種の紙幣)を紙幣投入口8に投入したりカードをカード出入口9(
図1参照)に挿入したりした後に、貸出ボタン13を操作する(押下する)。すると、制御部40は、貸出ボタン13の操作に応じて、ホッパー部6の回転板18を回転させる。制御部40は、回転板18の回転に先立って、現金の投入やカードの挿入に応じてシャッター23の位置を確認し、シャッター23が開いた開位置あれば、シャッター23を閉位置まで揺動させる。回転板18の回転により、前述したようにホッパー17内で回転板18上にあるメダルが隙間21を介してカウンター19に受け入れられ、カウンター19にカウントされた後にシュート20から落下して受皿22に溜まる。メダルの貸し出しを受けたい遊技客は、投入払出口24に手を突っ込んで受皿22内のメダルを掴んで取り出す。
【0045】
このように、貸出ボタン13の操作に始まって、ホッパー17のメダルが受皿22に払い出されるまでの一連の動作を、「払出動作」ということにする。払出動作は、所定数または遊技客が所望する数のメダルをカウンター19がカウントするまで継続される。ただし、払い出されるメダルの数の最大値は、先立って投入された現金の額の範囲内、または、(カードに記憶された)プリペイド価値で交換できるメダルの数や、現時点での持メダル数や貯メダル数の範囲内に限られる。
【0046】
そして、ホッパー部6がメダルを払い出す払出動作、および、計数部32がメダルを計数する計数動作のうち、一方の動作が実行されているとき、制御部40は、他方の動作を禁止するようになっている。そのため、払出動作中において、計数ボタン12が操作されても、制御部40は、その操作を無効とし、シャッター23を閉位置から開位置側へ揺動させたり、搬送ベルト30を周回移動させたり、切換爪36(
図3参照)を回動させたりしない。逆に、計数動作中において、貸出ボタン13が操作されても、制御部40は、その操作を無効とし、ホッパー部6の回転板18を回転させない。さらに、計数動作中において、制御部40は、現金やカードの投入ができないように、紙幣処理部3やカード処理部4を制御してもよい。よって、払い出すべきメダルが計数されたり、計数されるべきメダルが計数されずに払出用として投入払出部7(受皿22)に残されたりしてしまうような不具合を防止できる。
【0047】
以上のように、遊技媒体払出計数装置1では、メダルが払い出される払出領域と、遊技で獲得されたメダルが投入される投入領域とを共通の投入払出部7で兼ねることができる。そのため、払出領域および投入領域を別々に設けずに済むので、その分、遊技媒体払出計数装置1の省スペース化および省コスト化を図ることができる。また、払出領域と投入領域とを投入払出部7が兼ねることによって、遊技媒体払出計数装置1においてメダルにアクセスする位置が一箇所となってわかりやすい。
【0048】
また、投入払出部7は、受皿22の開口26が(閉位置の)シャッター23で閉じられることによって払出領域を構成し、(払い出される)メダルを一時的に溜めることができる。一方、投入払出部7は、開口26が開かれることによって投入領域を構成し、(投入された)メダルを開口26経由で計数部32へ送り込むことができる。このように、投入払出部7を受皿22およびシャッター23でシンプルに構成することによって、遊技媒体払出計数装置1の一層の省スペース化および省コスト化を図ることができる。
【0049】
また、操作部10(
図1参照)を操作すれば、シャッター23を開閉させて、投入払出部7を払出領域および投入領域のいずれかに切り替えることができるので、使い勝手がよい。特に、計数ボタン12を操作すれば、シャッター23を開放させて、投入払出部7を投入領域に切り替えることができるので、投入領域にメダルを投入して計数部32で計数させることができる。
【0050】
一方、待機状態では、シャッター23が閉鎖状態にあるので、払い出すべき(受皿22内の)メダルが開口26から搬送路34にこぼれて計数部32で計数されてしまうような不具合を防止できる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0051】
たとえば、前述の実施形態では、遊技媒体をメダルとしているが、パチンコ玉であってもよい。その場合、遊技台90は、パチンコ台であり、遊技媒体払出計数装置1は、パチンコ玉を払い出したり計数したりすることができる。
また、投入払出部7において、受皿22は、その一部が遊技媒体払出計数装置1の装置本体2の正面2Aから突き出るように構成されているが、たとえば、受皿22全体が装置本体2内に収まっていて、正面2Aに形成された投入払出口24から装置本体2内の受皿22にアクセスできてもよい。この場合、投入払出部7が邪魔にならず、装置本体2の正面2Aには(投入払出部7に起因した)突起物がなくなるので、更なる省スペース化を図ることができる。
【0052】
また、前述した持メダル数や貯メダル数は、カードに記憶されるのでなく、カードの識別情報(ID)に関連付けて、前述した上位装置で記憶されてもよい。
また、待機状態のシャッター23は、閉位置にあるとしているが、前回の計数動作や払出動作のときの位置のままであってもよい。その場合、たとえば、待機状態のシャッター23が開位置にある場合において、遊技客が貸出ボタン13を押したり、現金を紙幣投入口8に投入したり、カードをカード出入口9に挿入すると、制御部40は、シャッター23を閉位置まで移動させる。
【0053】
また、払出動作において、所定枚数のメダルを貸し出してもらう場合に、一部をメダルの現物として受皿22に払い出してもらい、残りのメダルを持メダル数(数値データ)に変えてカードに記憶しておいてもよい。こうすることによって、受皿22がメダルであふれてしまうことを防止できる。なお、受皿22におけるメダルの量を検知できるセンサを設けて、受皿22があふれない範囲でメダルの現物を受皿22に払い出すようにしてもよい。受皿22があふれそうになると、制御部40は、受皿22にこれから払い出そうとするメダルを持メダル数(数値データ)に変えてカードに記憶すればよい。
【0054】
また、貸出ボタン13を押さなくても、現金を投入したり、カードを挿入したりすれば、この投入や挿入に応じて払出動作が速やかに開始されてもよい。この場合、投入された現金や、挿入されたカードに記憶されたプリペイド価値や持メダル数や貯メダル数の全てが一度にメダルに交換されなくてもよく、一部のメダルを現物として受皿22に払い出してもらい、残りのメダルを持メダル数(数値データ)に変えてカードに記憶してもよい。
【0055】
また、前述したカードの代わりに、遊技客の携帯電話を用いることができてもよい。この場合、カード処理部4は、携帯電話に非接触でアクセスして、携帯電話に記憶された会員IDや貯メダル数等を読み取ることができる。このようなカードや携帯電話は、記憶媒体と総称されてもよい。
また、シャッター23の閉位置はさらに上方の位置にあってもよい。すなわち、
図2のシュート20の受け側部分(
図2におけるシュート20の右側の壁)と接触する位置にしてもよい。ここまでした方が、メダルこぼれが確実になくなる。
【0056】
また、貸出ボタン13または計数ボタン12を押下した場合、シャッター23の位置の確認を行った上で、一致していればシャッター23を動作可能としてもよい。つまり、貸出ボタン13押下時にシャッター23が閉位置にあって、計数ボタン12押下時にシャッター23が開位置にあることの確認を行うと、さらに各ボタンの誤操作を防止できる。