(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  建物本体と、前記建物本体の屋上に設置された浮体と、前記建物本体から前記浮体に至る連結部と、前記建物本体と前記浮体との間に介設された中間部材と、を備える避難用構造物であって、
  前記浮体は、水に浮遊する密度を有した平板からなり、
  前記連結部は、前記浮体が浮遊した際に、当該浮体を前記建物本体に係留する複数本のケーブルからなり、
  前記複数本のケーブルが、前記建物本体と前記中間部材との間、または、前記中間部材と前記浮体との間において、互いに交差するように配設された複数本のずれ止めケーブルと、他のケーブルと交差しない複数本の回転防止ケーブルとを備えていて、
  前記ケーブルの長さは、前記浮体が前記屋上からずれた場合であっても、当該浮体の幅の半分以上が前記屋上から張り出すことがない長さであることを特徴とする、避難用構造物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
  特許文献1の避難用建築物は、建築物そのものを浮遊させることができる大規模な浮体を構築する必要があるため、工事が大掛かりとなり、施工時の手間や費用が嵩む。
【0007】
  また、特許文献2に避難台は、津波や洪水発生時に限って使用されるものであるにもかかわらず、土地を占有する必要があるので、コストパフォーマンスが低い。
【0008】
  本発明は、前記の問題点を解決するものであり、通常時も有効に利用することが可能で、かつ、簡易かつ安価に構築することができ、なおかつ、洪水や津波等が発生した際に避難者の安全を確保することを可能とした避難用構造物を提案することを課題とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  前記課題を解決するために、本発明の避難用構造物は、建物本体と、前記建物本体の屋上に設置された浮体と、前記建物本体から前記浮体に至る連結部とを備える避難用構造物であって、前記浮体は水に浮遊する密度を有した平板からなり、前記連結部は前記浮体が浮遊した際に当該浮体を前記建物本体に係留する複数本のケーブルからなり、前記複数本のケーブルは、前記屋上の角部から平面視で対角位置にある前記浮体の角部に至るとともに互いに交差する複数本のずれ止めケーブルと、前記屋上の角部から真上の前記浮体の角部に至り、他のケーブルと交差しない複数本の回転防止ケーブルとを備えてい
て、前記ケーブルの長さは、前記浮体が前記屋上からずれた場合であっても、当該浮体の幅の半分以上が前記屋上から張り出すことがない長さであることを特徴としている。
【0010】
  かかる避難用構造物によれば、建物本体が水没する規模の津波や洪水が発生した場合であっても、浮体が水面に浮遊するため、浮体上に避難した避難者の安全を確保することができる。浮体は、連結部により建物本体に係留されるため、流されてしまうこともない。
【0011】
  また、避難用構造物は、建物本体を商業施設や居住施設等として利用することで、通常時も有効に活用することができる。
  さらに、避難用構造物は、建物本体の屋上に、浮体と連結部とを設置するのみで完成するため、簡易かつ安価に構築することができる。
【0012】
  また、第二の発明の避難用構造物は、建物本体と、前記建物本体の屋上に設置された浮体と、前記建物本体から前記浮体に至る連結部と、前記建物本体と前記浮体との間に介設された中間部材とを備える避難用構造物であって、前記浮体は、水に浮遊する密度を有した平板からなり、前記連結部は、前記浮体が浮遊した際に、当該浮体を前記建物本体に係留する複数本のケーブルからなり、前記複数本のケーブルが、前記建物本体と前記中間部材との間、または、前記中間部材と前記浮体との間において、互いに交差するように配設された複数本のずれ止めケーブルと、他のケーブルと交差しない複数本の回転防止ケーブルとを備えてい
て、前記ケーブルの長さは、前記浮体が前記屋上からずれた場合であっても、当該浮体の幅の半分以上が前記屋上から張り出すことがない長さであることを特徴としている。
【0013】
  かかる避難用構造物によれば、前記建物本体と前記浮体との間に中間部材が介設されていて、前記ケーブルが、前記建物本体と前記中間部材との間または前記中間部材と前記浮体との間において、他の前記ケーブルと交差するように配設されてい
るため、浮遊した浮体が水流により敷地外に流されることを防止するのに効果的である。
【0014】
  前記浮体に前記ケーブルを巻き取るウィンチが設置されていれば、水位の低下に伴い、ケーブルを巻き取ることで、浮体の位置を建物本体上に戻すことができる。
【0015】
  前記浮体の側面が、前記浮体の下面の面積が前記浮体の上面の面積よりも小さくなるように、傾斜していれば、浮体に作用する水流の圧力を少なくすることが可能となる。
 
【発明の効果】
【0016】
  本発明の避難用構造物によれば、通常時も有効に利用することが可能で、かつ、簡易かつ安価に構築することができ、なおかつ、洪水や津波等が発生した際に避難者の安全を確保することが可能となる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第一の実施形態>
  第一の実施形態
(参考実施形態)の避難用構造物1は、
図1および
図2に示すように、建物本体2と、浮体3と、連結部4とを備えている。
 
【0019】
  建物本体2は、住宅やオフィス等に使用する多層階建ての建物である。
  建物本体2は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であって、地震時の応力や津波や洪水による水圧等に対して十分な耐力を備えているものとする。
  なお、建物本体2の使用目的や構造形式は限定されるものではない。
 
【0020】
  図2に示すように、建物本体2の屋上21には、浮体3が設置されているとともに、連結部4である支柱41を収納するための支柱収納孔22が形成されている。
  支柱収納孔22は、屋上21側が開口した有底の縦孔であって、支柱41の長さ以上の深さを備えている。支柱収納孔22は、支柱41の配置に応じて形成されている。
 
【0021】
  浮体3は、水に浮遊する密度を有しているとともに、避難者等を上載した状態で水に浮遊することが可能な強度を有した平板(床版)により構成されている。
 
【0022】
  本実施形態の浮体3は、
図3に示すように、せい高が同一のH形鋼を組み合わせることにより形成された骨組み31と、この骨組み31の上面、下面および側面を覆う繊維複合材料等により構成された板材32とにより構成されている。
 
【0023】
  なお、骨組み31を構成するH形鋼のピッチは、板材32の材質や厚み、変形に対する強度等に応じて適宜設定する。また、H形鋼の配設ピッチから板材32の材質や板厚を設定してもよい。
 
【0024】
  また、骨組み31を構成する材料はH形鋼に限定されるものではない。
  また、骨組み31には、必要に応じて斜め材を配設してもよい。
 
【0025】
  また、板材32を構成する材料は、炭素繊維複合材料に限定されるものではなく、例えば、表面処理をした木材や軽量コンクリート等、所定の強度を備えているとともに、長期間保管した場合であってもあまり劣化することのない材質であることが望ましい。
 
【0026】
  浮体3の内部には、発泡樹脂等の比重の小さな材料からなる充填材33を充填しておくのが望ましい。
 
【0027】
  浮体3の側面は、浮体3の下面の面積が浮体の上面の面積よりも小さくなるように傾斜している。すなわち浮体3は、逆錐台状を呈している。また、浮体3には、浮体3の厚さ分の階段(図示省略)が1箇所以上設けられており、避難者が上面に上ることが可能に構成されている。
  なお、浮体3の形状は限定されるものではなく、例えば、側面が垂直であってもよい。また、階段は、浮体3に形成してもよいし、別途取り付けてもよい。
 
【0028】
  浮体3の上面周縁には、
図2に示すように、安全性を確保するための手すり34が形成されている。
  なお、手すり34は必要に応じて形成すればよく、省略してもよい。また、手すり34に変えて、浮体3と一体に形成された壁体が浮体3の上面周縁に立設されていてもよい。
  また、手すり34に加えあるいは手すり34に変えて、安全設備等(例えば、安全帯等)を取付けるための係止用フック(図示せず)を設けてもよい。
 
【0029】
  浮体3は、建物本体2の屋上21に固定するためのロック機構(図示せず)を備えている。津波発生時や洪水時には、ロック機構による固定を解除することで、浮体3の浮遊が可能な状態となる。
  なお、ロック機構の構成は限定されるものではなく、例えば、機械式なものでもよいし、ロープなどにより縛り付けるものでもよい。
 
【0030】
  連結部4は、建物本体2と浮体3とを連結している。
  本実施形態の連結部4は、複数本の支柱41により構成されている。
 
【0031】
  支柱41は、建物本体2の支柱収納孔22内に配設されている(埋め込まれている)とともに、上端が浮体3の下面に固定されている。支柱41は、上下動可能(出没可能)に配設されていて、浮体3の上昇に伴って上昇し、浮体3の下降に伴って下降する。
  本実施形態では、浮体3の四隅に支柱41が配設されているが、支柱41の配置は限定されない。
 
【0032】
  本実施形態の支柱41は、鋼管により構成されており、津波等の衝撃に対して十分な強度を備えている。
  なお、支柱41を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鋼管以外の鋼材や炭素繊維複合材料等を使用してもよい。
 
【0033】
  支柱41の下端部は、浮体3が浮遊した際でも支柱収納孔22に収容されるようになっていて、これにより、浮体3が建物本体2に係留される。
  支柱41は、想定される津波の高さから、建物本体2の高さを引いた値以上の長さを有しており、浮遊した浮体3を支持する。
 
【0034】
  なお、支柱41には、支柱収納孔22から支柱41が完全に抜け出ることを防止するためのストッパー(図示せず)が設けられている。
 
【0035】
  また、連結部4は、浮体3から切り離すことができるように構成するか、あるいは、支柱41の抜け出しを防止するストッパーを省略し、浮体3とともに建物本体2から離脱できるようにしてもよい。こうすることで、建物本体2の高さと支柱41の長さとを加えた高さよりも高い津波等が発生した際に、浮体3が水没することを防止することができるとともに、浮体3が救命ボートとして機能するようになる。救命ボートとして使用する場合に備えて、駆動手段等を備えていてもよい。
 
【0036】
  以上、第一の実施形態の避難用構造物1によれば、建物本体2の屋上21に設けられた浮体3が水に浮遊することで、
図1の(b)に示すように、建物本体2よりも高い津波や、高い水位の洪水が生じた場合であっても、屋上21に避難した避難者の安全を確保することができる。
  浮体3は、支柱41を介して建物本体2に係留されるため、水に流されることが防止され、安全である。
 
【0037】
  通常時は建物本体2を住宅やオフィス等に使用することで有効に活用でき、コストパフォーマンスが高い。
  また、避難用建物1は、浮体3を建物本体2の屋上21に設置することにより構成されているため、簡易に施工することができ、かつ、比較的安価に構築することができる。
 
【0038】
  また、浮体3の側面が下に向うにしたがって内側に傾斜しているため、水流を浮体3の下側に流すことで、浮遊時の浮体3の安定性を確保することができる。
 
【0039】
  浮体3は、板材32により覆われているとともに骨組み31により所定の強度を備えているため、水流により破損することがない。また、浮体3の内部には、充填材33が充填されているため、内部に水が浸入することが防止されている。
 
【0040】
  なお、骨組み31を構成するH形鋼のピッチは、板材32の材質や厚み、変形に対する強度等に応じて適宜設定する。また、H形鋼の配設ピッチから板材32の材質や板厚を設定してもよい。
 
【0041】
  浮体3は、建物本体2の屋上21に固定するためのロック機構(図示せず)を備えているため、台風等の強風により吹き飛ばされることが防止されている。
 
【0042】
  水位の下降に伴い浮体3が下降すると、支柱41は、支柱収納孔22に挿入(収容)される。そのため、津波や洪水の災害後に水が引いた後は、浮体3は元の位置に戻される。
 
【0043】
  建物本体2の屋上21の略全面を、避難用の浮体3(救命ボート)として利用することができるため、多くの避難者の安全を確保することができる。また、別途救命ボートを設置する場合は設置スペースを必要とするが、避難用構造物1によれば、通常時も屋上21を有効に活用することができる。
 
【0044】
<第二の実施形態>
  第二の実施形態
(参考実施形態)に係る避難用構造物1は、
図4に示すように、連結部4がヒンジ43を備えた支持部材42からなる点で、連結部4が支柱41からなる第一の実施形態の避難用構造物1と異なっている。
 
【0045】
  建物本体2は、住宅やオフィス等に使用する多層階建ての建物である。
  建物本体の屋上21には、浮体3が設置されているとともに、浮体3と屋上21との間に支持部材42が設けられている。
 
【0046】
  屋上21には、支持部材42を取り付けるための取付部23が形成されている。取付部23は、支持部材42の下端を軸支している。
 
【0047】
  浮体3の下面には、支持部材42を取り付けるための取付部35が形成されている。取付部35は、支持部材42を軸支している。
  また、浮体3の下面周縁には、壁部36が下向きに立設されている。壁部36は、浮体3の下側に配設された支持部材42の周囲を囲っている。
 
【0048】
  この他の浮体3の構成は、第一の実施形態で示した浮体3と同様なため、詳細な説明は省略する。
 
【0049】
  連結部4は、建物本体2から浮体3に至る支持部材42であって、複数の柱状体44と、柱状体44同士を連結するヒンジ43とを備えて構成されている。
  なお、柱状体44の本数およびヒンジ43の数は限定されるものではなく、柱状体44の総延長が、想定される津波の高さから建物本体2の高さを引いた値以上となるように、適宜設定すればよい(
図5参照)。
 
【0050】
  支持部材42は、通常時は、建物本体2と浮体3との間に、折り畳まれた状態で配設されており、建物本体2の高さ以上の津波や洪水が発生した際には、浮体3の浮遊に伴い伸張するとともに、浮体3を建物本体2に係留する。
 
【0051】
  以上、第二の実施形態の避難用構造物1によれば、建物本体2に連結部4を収容するための空間(
図2の支柱収納孔22等)を形成する必要がないため、簡易に施工することができるとともに、建物本体2の利用の自由度が高くなる。また、既存の建物への適用も可能である。
 
【0052】
  連結部4は、壁部36により周囲が囲まれているため、連結部4が太陽光や風に晒されることが防止されている。そのため、連結部4の劣化を防ぐことができる。
 
【0053】
  この他の第二の実施形態の避難用構造物1による作用効果は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
 
【0054】
<第三の実施形態>
  第三の実施形態に係る避難用構造物1は、
図6に示すように、連結部4がケーブル45を備えている点で、連結部4が支柱41や支持部材42からなる第一の実施形態の避難用構造物1および第二の実施形態の避難用構造物1と異なっている。
 
【0055】
  本実施形態では、建物本体2と浮体3との間に8本のケーブル45が配設されている。ケーブル45は、建物本体2の屋上21の角部から斜め上方に延出して、平面視で
対角位置にある浮体3の角部に至るずれ止めケーブル45aと、屋上21の角部から真上の浮体3の角部に至る回転防止ケーブル45bとを備えている。
 
【0056】
  ずれ止めケーブル45a同士は互いに交差している。一方、回転防止ケーブル45bは、他のケーブル45と交差することはない。
  なお、ケーブル45の本数や配置は限定されるものではない。
 
【0057】
  ケーブル45の長さは、ケーブル45が伸びきった際の浮体3の高さ位置が想定される津波の高さ以上となるように設定されているとともに、浮体3が屋上21からずれた場合であっても、浮体3の幅Lの半分以上が張り出すことがない長さとする。
 
【0058】
  ケーブル45は、通常時は、建物本体2と浮体3との間において互いに絡まることがないように配設されており、建物本体2の高さ以上の津波や洪水が発生した際には、浮体3の浮遊に伴い伸張するとともに、浮体3を建物本体2に係留する。
 
【0059】
  以上、第三の実施形態の避難用構造物1によれば、ずれ止めケーブル45aが互いに交差しているため、浮体3が浮遊した際に、水流により流されて浮体3の位置がずれることを最小限に抑えることができる。
  そのため、水位の
下降に伴い浮体3が下降した際に、浮体3が屋上21からずれて落下するおそれがない。
 
【0060】
  また、回転防止ケーブル45bが配設されているため、浮体3が水流により回転することも防止されている。
 
【0061】
  なお、想定される津波の高さと建物本体2の屋上21との差が比較的小さい場合には、
図7に示すように、4本のケーブル45を互いに交差させることなく、屋上21の角部から直上に延ばしてよい。この場合は、ケーブル45の長さが、浮体3の幅に対して小さいため、浮体3の屋上21からのズレを抑えることができ、浮体3が屋上21から落ちるおそれがないからである。
 
【0062】
  また、
図8に示すように、浮体3に、建物本体2から浮体3に至るケーブル46を巻き取り可能なウィンチ37を設置しておいてもよい。こうすれば、津波等の水位の上昇に伴い浮遊した浮体3が、水位の下降に伴い下降する際に、ウィンチ37によりケーブル46を巻き取ることで、浮体3を屋上21の元の位置に戻すことが可能となる。
 
【0063】
  この他の第三の実施形態の避難用構造物1による作用効果は、第二の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
 
【0064】
<第四の実施形態>
  第四の実施形態に係る避難用構造物1は、
図9に示すように、連結部4が、建物本体2と浮体3との間に中間部材47が介設されている点で、第三の実施形態の避難用構造物1と異なっている。
 
【0065】
  連結部4は、複数のケーブル45と、中間部材47とを備えている。
  本実施形態の中間部材47は、浮体3よりも小さい平面積を有した板材により構成されている。中間部材47は、水に浮遊する密度を有している。
  なお、中間部材47の形状は、限定されるものではないが、浮体3の平面積以下の平面積であるのが望ましい。
 
【0066】
  ケーブル45は、建物本体2と中間部材47との間、および、中間部材47と浮体3との間に、それぞれ8本ずつ配設されている。
 
【0067】
  建物本体2と中間部材47との間に配設されたケーブル45は、建物本体2の屋上21の角部から斜め上方に延出し、屋上21の角部と当該角部に一番近い中間部材47の角部とを結ぶ回転防止ケーブル45bと、屋上21の角部と当該角部から最も遠い中間部材47の角部とを結ぶずれ止めケーブル45aとからなる。
 
【0068】
  同様に、中間部材47と浮体3との間に配設されたケーブル45も、浮体3の角部から斜め下方に延出し、浮体3の角部と当該角部に一番近い中間部材47の角部とを結ぶ回転防止ケーブル45bと、浮体3の角部と当該角部から最も遠い中間部材47の角部とを結ぶずれ止めケーブル45aとからなる。
 
【0069】
  ずれ止めケーブル45a同士は互いに交差している。一方、回転防止ケーブル45bは、他のケーブル45と交差することはない。
  なお、ケーブル45の本数や配置は限定されるものではない。
 
【0070】
  ケーブル45の長さは、ケーブル45が延びきった際の浮体3の高さ位置が想定される津波の高さ以上となるように設定されているとともに、浮体3が屋上21からずれた場合であっても、浮体3の幅の半分以上が張り出すことがない長さとする。
 
【0071】
  ケーブル45は、通常時は、建物本体2と中間部材47との間または中間部材47と浮体3との間において、互いに絡まることがないように配設されており、建物本体2の高さ以上の津波や洪水が発生した際には、浮体3の浮遊に伴い伸張するとともに、浮体3を建物本体2に係留する。
 
【0072】
  以上、第四の実施形態の避難用構造物1によれば、第三の実施形態で示した避難用構造物1と同様の作用効果を得ることができる。
 
【0073】
  以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。