【実施例】
【0050】
図1は、本発明の一実施例に係る段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシンを表す概略図である。
【0051】
本実施例において、
図1に示すように、段ボールシートの製造装置としてのコルゲートマシン10は、波形加工された中芯(芯紙)Bに第2ライナとして、例えば、裏ライナCを貼り合わせて片面段ボールシートDを製造し、この製造される片面段ボールシートDにおける中芯B側に第1ライナとして、例えば、表ライナAを貼り合わせて両面段ボールシートEを製造するものである。
【0052】
コルゲートマシン10は、中芯Bのミルロールスタンド11と、プレヒータ(予熱装置)12と、裏ライナCのミルロールスタンド13と、プレヒータ(予熱装置)14と、シングルフェーサ15と、ブリッジ16と、表ライナAのミルロールスタンド17と、プレヒータ(予熱装置)18と、グルーマシン19と、ダブルフェーサ20と、ロータリシャ21と、スリッタスコアラ22と、カットオフ23と、スタッカ24を有している。
【0053】
ミルロールスタンド11は、両側にそれぞれ中芯Bが形成される芯紙がロール状に巻かれたロール紙が装着されており、その上方には、紙継ぎを行なうスプライサ(紙継ぎ装置)11aが設けられている。一方のロール紙から給紙されている場合に、他方のロール紙が装着され、紙継ぎ準備がなされる。一方のロール紙の原紙が残り少なくなると、スプライサ11aにより他方のロール紙の原紙に紙継ぎされる。そして、他方のロール紙から原紙が供給されている間に、一方のロール紙が装着され紙継ぎ準備がなされる。このようにして、原紙は順次紙継ぎされてミルロールスタンド11から下流側へ向けて連続的に繰り出されることになる。
【0054】
一方、ミルロールスタンド13は、両側にそれぞれ裏ライナCがロール状に巻かれたロール紙が装着されており、その上方には、紙継ぎを行なうスプライサ13aが設けられている。一方のロール紙から給紙されている場合に、他方のロール紙が装着され、紙継ぎ準備がなされる。一方のロール紙の原紙が残り少なくなると、スプライサ13aにより他方のロール紙の原紙に紙継ぎされる。そして、他方のロール紙から原紙が供給されている間に、一方のロール紙が装着され紙継ぎ準備がなされる。このようにして、原紙は順次紙継ぎされてミルロールスタンド13から下流側へ向けて連続的に繰り出されることになる。
【0055】
各プレヒータ12,14は、中芯Bと裏ライナCをそれぞれ予熱するものである。各プレヒータ12,14は、内部に蒸気が供給される加熱ロールを有しており、ミルロールスタンド11,13から連続的に繰り出される原紙(中芯B、裏ライナC)を、この加熱ロールに巻き付けて搬送することで、この原紙を所定温度まで昇温する。
【0056】
シングルフェーサ15は、加圧ベルト15aと上段ロール15bと下段ロール15cを有している。プレヒータ14で加熱された裏ライナCは、加圧ベルト15aと上段ロール15bとのニップ部に移送される。一方、プレヒータ12で加熱された中芯Bは、上段ロール15bと下段ロール15cとの噛み合い部で波状に加工された後、加圧ベルト15aと上段ロール15bとのニップ部に移送される。
【0057】
上段ロール15bの近傍に糊付け装置15dが配置されている。この糊付け装置15dは、中芯Bに糊付けする糊付ロールを有している。上段ロール15bと下段ロール15cとの噛み合い部で段繰りされた中芯Bは、糊付け装置15d(糊付ロール)により各段頂部に糊付けされ、加圧ベルト15aと上段ロール15bとのニップ部において裏ライナCに貼り合わされ、片面段ボールシートDが形成される。
【0058】
シングルフェーサ15の搬送方向下流側の斜め上方には、取上げコンベア31が設けられている。この取上げコンベア31は、一対の無端ベルトで構成され、シングルフェーサ15において形成された片面段ボールシートDを挟持してブリッジ16に搬送する機能を有している。このブリッジ16は、シングルフェーサ15とダブルフェーサ20との速度差を吸収するために、片面段ボールシートDを一次的に滞留させる滞留部として機能するものである。
【0059】
ミルロールスタンド17は、両側にそれぞれ表ライナAがロール状に巻かれたロール紙が装着されており、その上方には、紙継ぎを行なうスプライサ17aが設けられている。一方のロール紙から給紙されている場合に、他方のロール紙が装着され、紙継ぎ準備がなされる。一方のロール紙の原紙が残り少なくなると、スプライサ17aにより他方のロール紙の原紙に紙継ぎされる。そして、他方のロール紙から原紙が供給されている間に、一方のロール紙が装着され紙継ぎ準備がなされる。このようにして、原紙は順次紙継ぎされてミルロールスタンド17から下流側へ向けて連続的に繰り出されることになる。
【0060】
プレヒータ18は、片面段ボールシートD用の加熱ロール(以下、片段シート加熱ロール)32と、表ライナA用の加熱ロール(以下、表ライナ加熱ロール)33とを有している。片段シート加熱ロール32は、巻き付け量調整装置を有すると共に、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱されており、周面に片面段ボールシートDの裏ライナC側が巻き付けられることで、この片面段ボールシートDを予加熱することができる。一方、表ライナ加熱ロール33も、同様に、巻き付け量調整装置を有すると共に、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱されており、周面に表ライナAが巻き付けられることで、この表ライナAを予加熱することができる。
【0061】
グルーマシン19は、糊付け装置と加圧装置を有している。片段シート加熱ロール32で加熱された片面段ボールシートDは、途中で、グルーマシン19内を案内され、ライダロールと糊付ロールとの間を通過する際に、中芯Bの段の各頂部に糊付けされる。
【0062】
グルーマシン19により糊付けされた片面段ボールシートDは、次工程のダブルフェーサ20に移送される。また、表ライナ加熱ロール33で加熱された表ライナAもグルーマシン19内を通ってダブルフェーサ20に移送される。
【0063】
ダブルフェーサ20は、片面段ボールシートD及び表ライナAの走行ラインに沿って、上流側のヒーティングセクション20aと、下流側のクーリングセクション20bとに分かれている。グルーマシン19で糊付けされた片面段ボールシートDは、このヒーティングセクション20aにて、加圧ベルト34と熱板35との間に搬入され、表ライナAは、片面段ボールシートDの中芯B側に重なるように加圧ベルト34と熱板35との間に搬入される。そして、片面段ボールシートDと表ライナAは、加圧ベルト34と熱板35との間に搬入された後、上下に重なりあった状態で一体となってクーリングセクション20bへ向けて移送される。この移送中、片面段ボールシートDと表ライナAは、加圧されながら加熱されることで、互いに貼り合わされて両面段ボールシートEとなる。両面段ボールシートEは、クーリングセクション20bにて、加圧ベルト34と搬送ベルト36で挟持されながら搬送されるときに自然冷却される。
【0064】
ダブルフェーサ20で製造された両面段ボールシートEは、ロータリシャ21に移送される。このロータリシャ21は、両面段ボールシートEを幅方向に全幅切断あるいは部分切断するものである。スリッタスコアラ22は、幅広の両面段ボールシートEを搬送方向に所定の幅を持つように裁断し、且つ、搬送方向に延在する罫線を加工するものである。このスリッタスコアラ22は、両面段ボールシートEの搬送方向に沿って配列された略同一構造をした第1スリッタスコアラユニット22aと第2スリッタスコアラユニット22bとから構成されている。第1スリッタスコアラユニット22a及び第2スリッタスコアラユニット22bは、両面段ボールシートEを挟んで対向配置される上罫線ロールと下罫線ロールとの組を幅方向に複数組有すると共に、両面段ボールシートEの下側に配置されるスリッタナイフを幅方向に複数組有している。
【0065】
カットオフ23は、スリッタスコアラ22によって搬送方向に裁断された両面段ボールシートEを幅方向に切断し、板状に形成するものである。このカットオフ23は、スリッタスコアラ22にて、搬送方向に沿って所定の幅に切断された2つの両面段ボールシートEを上下2段に受け入れて処理するものであり、両者はほぼ同様の構成となっている。スタッカ24は、カットオフ23で切断された両面段ボールシートEを積み上げて製品として機外に排出するものである。
【0066】
ここで、本実施例のウェブの糊付装置について説明するが、本実施例のウェブの糊付装置は、上述したグルーマシン19に設けられており、ウェブとしての片面段ボールシートDにおける中芯Bの段頂部に糊液を供給するものである。
【0067】
図2は、本実施例のウェブの糊付装置を表す概略図、
図3は、グルーマシンにおける要部を表す平面図、
図4は、掻き取り部材及び堰き止め部材を表す正面図、
図5は、掻き取り部材及び堰き止め部材を表す平面図、
図6は、掻き取り部材及び堰き止め部材の装着状態を表す概略図、
図7は、糊付ロールに対して掻き取り部材及び堰き止め部材の配置を表す概略図、
図8−1は、片面段ボールシートDの糊付領域Wを説明するための概略図、
図8−2は、幅方向にずれた片面段ボールシートDの糊付領域Wを説明するための概略図、
図8−3は、幅の狭い片面段ボールシートDの糊付領域Wを説明するための概略図、
図8−4は、幅の広い片面段ボールシートDの糊付領域Wを説明するための概略図、
図9は、グルーマシンにおける糊液の循環経路を表す概略図である。
【0068】
本実施例にて、
図2及び
図3に示すように、糊付装置41は、糊液槽42と、糊付ロール43と、ドクターロール44と、掻き取り部材45と、堰き止め部材46と、ライダロール47とを有している。
【0069】
糊付ロール43は、円柱形状をなすロールであり、軸方向の各端部が軸受51により装置フレーム52に回転自在に支持されている。ドクターロール44は、円柱形状をなすロールであり、軸方向の各端部が軸受(図示略)により装置フレーム52に回転自在に支持されており、糊付ロール43との間に所定隙間のニップ部が確保されている。ライダロール47は、軸方向の各端部が軸受(図示略)により装置フレーム52に回転自在に支持されており、糊付ロール43との間で片面段ボールシートDが搬送される。なお、ドクターロール44とライダロール47は、糊付ロール43に対して接近離反自在に支持されており、糊付ロール43との各ニップ部でそのニップ量を調整することができる。
【0070】
糊付ロール43は、図示しない駆動装置により
図2にて時計回り方向に駆動回転可能であり、ドクターロール44は、
図2にて時計回り方向に駆動回転可能であり、ライダロール47は、
図2にて反時計回り方向に回転自在となっている。この場合、糊付ロール43は、片面段ボールシートDの搬送速度に同期して駆動回転し、ライダロール47は、所定の角度範囲にわたって片面段ボールシートDが巻き付けられることで、この片面段ボールシートDにより連れ回りする。
【0071】
なお、糊付ロール43は、糊液が付着しやすいように、金属ロールの表面が凹凸形状をなし、クロムめっきが施されている。また、ドクターロール44とライダロール47は、金属ロールの表面が平坦をなし、クロムめっきが施されている。この場合、各ロール43,44,47をステンレス製としてもよい。
【0072】
糊液槽42は、上方が開口し、内部に糊液を貯留可能であり、糊付ロール43の一部が接触して表面に糊液を付着可能となっている。この糊液槽42は、
図7及び
図9に示すように、底板53と一対の側板54と規制板55とを有し、底板53の一端部側に糊付ロール43が配置されている。
【0073】
底板53は、糊付ロール43より狭い幅に設定され、一端部にシールプレート56が固定されており、このシールプレート56は、糊付ロール43の表面に対して所定隙間をもって配置されている。また、底板53は、両側部に側板54が固定されており、この側板54は、一端部にシール部材57が装着され、このシール部材57は、図示しない付勢部材(ばね)により糊付ロール43の表面に対して押圧するように支持されている。そのため、この底板53及び側板54により糊付ロール43に対する糊液付着幅が設定されている。規制板55は、底板53及び側板54における他端部側に固定されており、この底板53及び側板54より低く設定され、糊液が増加すると規制板55をオーバーフローし、糊液槽42内における糊液の量を一定に維持することができる。
【0074】
また、糊液槽42は、その下方に貯留パン58が配置されている。糊液槽42は、底板53のシールプレート56が糊付ロール43の表面に所定隙間をもって配置され、側板54のシール部材57が糊付ロール43の表面に押圧していることから、糊付ロール43の回転時、糊液槽42の糊液は、糊付ロール43の回転力によりシールプレート56と糊付ロール43との所定隙間から漏洩することはない。一方、糊付ロール43の停止時、糊液槽42の糊液は、シールプレート56と糊付ロール43との所定隙間から漏洩し、この貯留パン58に溜められる。
【0075】
図2及び
図3に戻り、糊付ロール43とドクターロール44は、互いの回転軸線が平行に配置されているが、その回転方向がニップ部で逆方向となっており、この両者のニップ部に所定隙間が確保されている。そのため、ドクターロール44は、糊付ロール43に付着した糊液を掻き取って予め設定された設定膜厚に調整することができる。また、糊付ロール43とライダロール47は、互いの回転軸線が平行に配置され、その回転方向がニップ部で同方向となっており、これらのロール間を通る片面段ボールシートDを矢印方向に搬送することができると共に、片面段ボールシートDの段頂部に糊液を塗布することができる。
【0076】
この場合、ドクターロール44は、糊付ロール43に付着した糊液を掻き取って設定膜厚に調整することから、糊付ロール43は、片面段ボールシートDの段頂部に調整された所定膜厚に応じた糊液量を塗布することができる。
【0077】
糊付ロール43におけるドクターロール44にて、各ロール43,44,47と平行なガイドレール59が配置され、長手方向の各端部が装置フレーム52に固定されている。移動プレート(移動部材)60は、ガイドレール59上を直交する方向に沿って配置され、基端部にブラケット61を介してスライド62が固定されており、このスライド62がガイドレール59に沿って移動自在に支持されている。また、駆動モータ63が装置フレーム52に固定され、駆動軸64に連結されたねじ軸65がスライド62に螺合している。従って、駆動モータ63を駆動すると、駆動軸64を介してねじ軸65が回転し、螺合するスライド62を介して移動プレート60をガイドレール59に沿って移動することができる。
【0078】
支持アーム(支持部材)66は、移動プレート60から糊付ロール43側に延設され、基端部が移動プレート60に締結ボルト67により固定され、先端部に掻き取り部材45と堰き止め部材46が取付けられている。この場合、支持アーム66は、移動プレート60に対して互いに交差する方向に沿う3つの支持面により位置決め可能となっている。即ち、
図4及び
図5に示すように、支持アーム66は、基端部側の取付部66aの下面が移動プレート60の先端部に形成された載置面60aに載置することで、鉛直方向の位置決めがなされる。また、支持アーム66は、基端部側の段付部66bが移動プレート60の先端部に形成された端面60bに当接することで、長手方向(糊付ロール43に対する接近離反方向)の位置決めがなされる。更に、支持アーム66は、基端部側の取付部66aの左右側面が移動プレート60の先端部に形成された縦壁面60cに当接することで、幅方向(糊付ロール43の軸方向)の位置決めがなされる。
【0079】
そして、
図2及び
図3に戻り、掻き取り部材45と堰き止め部材46は、同一の支持アーム66に支持されることから、糊付ロール43に対する位置決めを容易に行うことができ、また、糊付ロール43の軸方向に一体に移動して位置調整を容易に行うことができる。即ち、掻き取り部材45と堰き止め部材46は、片面段ボールシートDに張り合わされる表ライナAの幅に応じてその位置を調整する必要があり、この調整作業を容易に行うことができる。
【0080】
図4から
図7に示すように、掻き取り部材45は、糊付ロール43におけるドクターロール44とのニップ部より回転方向の上流側の表面に押圧接触して片面段ボールシートDの糊付領域外に付着した糊液を掻き取るものである。また、堰き止め部材46は、糊付ロール43におけるドクターロール44とのニップ部より回転方向の上流側で掻き取り部材45の接触位置より回転方向の下流側の表面に接触して片面段ボールシートDの糊付領域からはみ出す糊液を堰き止めるものである。
【0081】
即ち、糊付ロール43に対して片面段ボールシートDが搬送されるとき、片面段ボールシートDの糊付領域Wは、下流側のダブルフェーサ20で片面段ボールシートDに貼り合わされる表ライナAの幅に応じて調整される。具体的に、片面段ボールシートDの糊付領域Wは、表ライナAの幅より狭くなるように調整される。なお、ここでは、片面段ボールシートDの幅と表ライナAの幅が同じに設定されている。そのため、堰き止め部材46は、搬送中の片面段ボールシートD及び表ライナAの左右端の近傍の領域にそれぞれ配置されている。また、掻き取り部材45も、搬送中の片面段ボールシートD及び表ライナAの左右端の近傍の領域にそれぞれ配置されている。
【0082】
本実施例では、左右の堰き止め部材46における内側の端面46aが片面段ボールシートD及び表ライナAの各端部Da,Aaから所定長さだけ内側に入った位置に設定され、掻き取り部材45における内側の端面45aが片面段ボールシートD及び表ライナAの各端部Da,Aaから所定長さだけ内側に入った位置に設定されている。但し、掻き取り部材45は、内側の端面45aの位置が堰き止め部材46の内側の端面46aの位置より更に内側に配置してもよい。
【0083】
ここで、この片面段ボールシートDの糊付領域Wについて詳細に説明する。上述したように、コルゲートマシン10は、
図8−1に示すように、波形加工された中芯Bに裏ライナCを貼り合わせて片面段ボールシートDを製造し、この片面段ボールシートDに表ライナAを貼り合わせて両面段ボールシートEを製造する。この場合、一般に片面段ボールシートDと表ライナAは、その幅が同じに設定されている。このように設定された片面段ボールシートD及び表ライナAに対して、糊付ロール43が片面段ボールシートDに糊付けする糊付領域W、つまり、2つの堰き止め部材46による糊付ロール43の堰き止め幅は、表ライナAの幅より狭く設定される。
【0084】
片面段ボールシートDに表ライナAを貼り合わせ、この状態でヒーティングセクション20aの熱板35上を搬送されるとき、糊液Pが乾燥される。このとき、糊液Pが糊付領域Wより外側に塗布されると、糊液Pが表ライナAの幅方向における端部からはみ出し、この糊液Pが熱板35に付着して固化してしまう。本実施例では、2つの堰き止め部材46により糊付ロール43の堰き止め幅(片面段ボールシートDの糊付領域W)が設定されていることから、表ライナAからの糊液Pのはみ出しが防止される。
【0085】
そして、
図8−2に示すように、片面段ボールシートDと表ライナAは、その幅が同じに設定されているが、片面段ボールシートDと表ライナAが幅方向にずれて搬送されていたとしても、糊付ロール43が片面段ボールシートDに糊付けする糊付領域W、つまり、2つの堰き止め部材46による糊付ロール43の堰き止め幅を、表ライナAの幅より狭く設定することで、表ライナAからの糊液Pのはみ出しが防止される。
【0086】
また、両面段ボールシートEの製造時、異なる幅の両面段ボールシートEに変更するとき、その製造数が少ないときには、片面段ボールシートD(中芯B、裏ライナC)と表ライナAのいずれか一方をそのまま使用して両面段ボールシートEを製造することがある。この場合、
図8−3に示すように、片面段ボールシートDの幅に対して表ライナAの幅が大きくなる。この場合であっても、糊付ロール43が片面段ボールシートDに糊付けする糊付領域W、つまり、2つの堰き止め部材46による糊付ロール43の堰き止め幅を表ライナAの幅より狭く設定することで、表ライナAからの糊液Pのはみ出しが防止される。
【0087】
逆に、
図8−4に示すように、片面段ボールシートDの幅に対して表ライナAの幅が小さくなった場合であっても、糊付ロール43が片面段ボールシートDに糊付けする糊付領域W、つまり、2つの堰き止め部材46による糊付ロール43の堰き止め幅を表ライナAの幅より狭く設定することで、表ライナAからの糊液Pのはみ出しが防止される。
【0088】
堰き止め部材46は、ブロック形状をなし、先端部側に糊付ロール43における軸方向に所定幅を有すると共に、糊付ロール43における周方向に所定長さを有して糊付ロール43の表面に面接触する第1湾曲接触面71が設けられている。この第1湾曲接触面71は、糊付ロール43の表面とほぼ同一の曲率半径に設定されており、糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部Nまで延設されている。
【0089】
また、堰き止め部材46は、先端部側にドクターロール44における軸方向に所定幅を有すると共に、ドクターロール44における周方向に所定長さを有してドクターロール44の表面に面接触する第2湾曲接触面72が設けられている。この第2湾曲接触面72は、ドクターロール44の表面とほぼ同一の曲率半径に設定されており、糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部Nまで延設されている。
【0090】
そのため、堰き止め部材46は、糊付ロール43側に第1湾曲接触面71が形成され、ドクターロール44側に第2湾曲接触面72が形成されることで、先端部が各ロール43,44における軸方向に所定幅を有した先細形状となっている。この場合、第1湾曲接触面71と第2湾曲接触面72は、同一幅となっている。なお、堰き止め部材46は、先細形状をなす先端が糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部Nまで延設されているものの、製造上、ニップ部Nの手前で終わり、ニップ部Nとの間に隙間が確保されている。
【0091】
そして、この堰き止め部材46は、例えば、ポリアミド合成繊維としてのMCナイロン(日本ポリペンコ社の商品名)により形成されている。なお、堰き止め部材46は、このMCナイロンに限らず、高分子化合物などの樹脂(プラスチック、エラストマー、ウレタン)により形成すればよい。この場合、この堰き止め部材46は、全体を樹脂により形成する必要はなく、糊付ロール43やドクターロール44に接触する接触面(第1湾曲接触面71、第2湾曲接触面72)に樹脂層(フッ素樹脂層など)を設けてもよい。即ち、金属製の糊付ロール43やドクターロール44に対して、樹脂製の堰き止め部材46とすることで、糊付ロール43やドクターロール44における表面の摩耗が防止される。
【0092】
また、堰き止め部材46は、基端部に第1湾曲接触面71及び第2湾曲接触面72が形成された本体部73に対して、その幅が狭くなる取付部74が形成されると共に、高さ方向における上下に突出する一対の拘束部75が一体に形成されている。一方、支持アーム66は、先端部における上部及び下部に一対の係止部81が形成されると共に、水平方向に貫通する収容開口82が形成されている。堰き止め部材46は、取付部74が上下の係止部81の間に位置し、一対の拘束部75が収容開口82内に位置しており、取付部74に形成された2個の凹部76と収容開口82に形成された2個の凹部83との間に圧縮コイルばね(付勢部材)84が介装されている。そして、支持アーム66は、先端部に堰き止め部材46の基端部を支持した状態で、左右一対の固定プレート85が配置され、複数のボルト86により固定されている。
【0093】
この場合、堰き止め部材46は、糊付ロール43及びドクターロール44の軸方向に直交すると共に糊付ロール43とドクターロール44の隣接方向に揺動自在に支持される。即ち、堰き止め部材46は、拘束部75が収容開口82内に拘束されるものの、第1湾曲接触面71及び第2湾曲接触面72が糊付ロール43及びドクターロール44の表面に対して接近離反する方向に所定距離だけ移動自在に支持されている。そして、堰き止め部材46は、圧縮コイルばね84の付勢力により第1湾曲接触面71及び第2湾曲接触面72が糊付ロール43及びドクターロール44の表面に押圧する方向に付勢されている。また、堰き止め部材46は、左右一対の固定プレート85により幅方向、つまり、各ロール43,44の軸方向には揺動不能に支持されている。そして、堰き止め部材46は、支持アーム66との間に上下方向に2個の圧縮コイルばね84が並設されることで、基端部(取付部74)を支点として先端部(第1湾曲接触面71及び第2湾曲接触面72)が上下方向、つまり、糊付ロール43の表面やドクターロール44の表面に向け、
図4の矢印R方向に沿って揺動可能となっている。
【0094】
そのため、堰き止め部材46は、第1湾曲接触面71が糊付ロール43の表面に押圧すると共に、第2湾曲接触面72がドクターロール44の表面に押圧した状態で保持される。また、堰き止め部材46は、第1湾曲接触面71及び第2湾曲接触面72が糊付ロール43及びドクターロール44の表面に対して揺動することで、両者が隙間なく密着することとなる。
【0095】
また、堰き止め部材46は、本体部73の下部、つまり、本体部73における第1湾曲接触面71より下方に取付面91が形成され、この取付面91に掻き取り部材45の基端部が密着し、端部が段部92に当接することで位置決めされている。そして、掻き取り部材45は、基端部が取付面91と押え部材93により挟持された状態で、下方から固定ボルト94が押え部材93、掻き取り部材45、堰き止め部材46を貫通してナット95が螺合することで、堰き止め部材46に固定されている。
【0096】
掻き取り部材45は、平板形状をなし、糊付ロール43における軸方向に所定幅を有している。そして、この掻き取り部材45は、ウレタンなどの樹脂(または、プラスチック、エラストマー、)により形成されることで、弾性変形可能となっており、堰き止め部材46に固定された状態で、先端部が糊付ロール43の表面に押圧している。この場合、掻き取り部材45は、糊付ロール43の接線に対して迎え角θを有して糊付ロール43の表面に接触しており、糊付ロール43に付着した糊膜を実質的に全て掻き取ることができる。なお、この迎え角θは、30°≦θ≦60°であることが好ましく、迎え角θをこの範囲とすることで、糊付ロール43の糊膜を適正に除去することができる。
【0097】
そして、堰き止め部材46は、掻き取り部材45より糊付ロール43の回転方向の下流側、つまり、掻き取り部材45と第1湾曲接触面71との間に幅方向に沿う開口部77が形成されており、堰き止め部材46の変形領域が確保されている。
【0098】
ところで、糊付装置41は、
図9に示すように、糊付ロール43と底板53との所定隙間から落下した糊液と、規制板55をオーバーフローした糊液とをろ過して糊液槽42に戻す循環経路が設けられている。即ち、糊液槽42の下方に貯留パン58が配置されており、糊付ロール43と底板53との所定隙間から落下した糊液は貯留パン58に溜められる。貯留パン58は、排出口101が形成され、フィルタ102を有する第1排出経路103により一次タンク104に接続されている。また、糊液槽42は、糊液が規制板55をオーバーフローした位置に排出口105が形成され、フィルタ106を有する第2排出経路107により一次タンク104に接続されている。
【0099】
一次タンク104は、ポンプ108を有する連結経路109によりストレージタンク110に連結されている。そして、このストレージタンク110は、フィルタ111及びポンプ112を有する供給経路113により糊液槽42の供給口114に接続されている。この場合、第1排出経路103、第2排出経路107、連結経路109、供給経路113などにより循環経路が構成される。
【0100】
この場合、ポンプ112は、ストレージタンク110の糊液を供給経路113により所定量だけ糊液槽42に供給している。即ち、糊付ロール43が掻き上げる糊液の掻き上げ量より若干多い量を供給しており、糊液槽42の糊液を常時規制板55を超えてオーバーフローさせることで、糊液槽42に一定量の糊液が貯留されるようにしている。
【0101】
ここで、本実施例の糊付装置41による片面段ボールシートDの糊付方法について説明する。
【0102】
本実施例の糊付装置41による糊付方法は、糊付ロール43が回転することで表面に糊液を付着させる工程と、掻き取り部材45を糊付ロール43の表面に押圧接触させて片面段ボールシートDの糊付領域W外に付着した糊液を掻き取る工程と、堰き止め部材46により糊付ロール43の表面に接触して糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止める工程と、ドクターロール44により糊付ロール43の糊付領域Wに付着した糊液を予め設定された設定膜厚に調整する工程と、糊付ロール43の表面に付着した糊液を片面段ボールシートDに転写する工程とを有している。
【0103】
即ち、
図2及び
図4に示すように、駆動装置により、糊付ロール43が
図2にて時計回り方向に駆動回転し、ドクターロール44が
図2にて時計回り方向に駆動回転する。このとき、片面段ボールシートDが糊付ロール43とライダロール47との間に供給されることで、このライダロール47が
図2にて反時計回り方向に連れ回りする。
【0104】
このとき、糊付ロール43が回転すると、糊液槽42に貯留されている糊液が糊付ロール43の表面に付着する。糊付ロール43が更に回転すると、まず、掻き取り部材45は、糊付ロール43における軸方向の端部側で、この糊付ロール43の表面に押圧接触することで、片面段ボールシートDの糊付領域W外に付着した糊液を掻き取る。糊付ロール43が更に回転すると、次に、堰き止め部材46は、糊付ロール43における軸方向の端部側で、この糊付ロール43の表面に接触することで、糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止める。この場合、堰き止め部材46は、糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部まで、糊付ロール43の表面に付着した糊付領域Wの糊液が軸端部側の糊付領域W外へはみ出すことが阻止される。
【0105】
なお、このとき、糊付ロール43が片面段ボールシートDに糊付けする糊付領域W、つまり、2つの堰き止め部材46による糊付ロール43の堰き止め幅は、表ライナAの幅に応じてこの表ライナAの幅より狭く設定される。
図1及び
図3に示すように、グルーマシン19は、搬送される表ライナAの幅を検出するセンサ19aが設けられており、センサ19aは、検出した表ライナAの幅を制御装置37に出力する。すると、制御装置37は、表ライナAの幅に応じて駆動モータ63を駆動し、移動プレート60を移動することで、支持アーム66を介して掻き取り部材45及び堰き止め部材46を所定の位置に移動する。この所定の位置とは、前述したように、片面段ボールシートDの糊付領域Wが表ライナAの幅より狭く設定される位置である。
【0106】
この場合、グルーマシン19に表ライナAの幅を検出するセンサ19aを設け、制御装置37がこの表ライナAの幅に応じて掻き取り部材45及び堰き止め部材46を所定の位置に移動するように構成したが、この構成に限定されるものではない、例えば、生産管理装置は、表ライナAだけでなく、中芯Bや裏ライナCの幅を含む各種のデータを有していることから、この生産管理装置が表ライナAの幅に応じて掻き取り部材45及び堰き止め部材46を所定の位置に移動するように構成してもよい。
【0107】
そして、ドクターロール44は、糊付ロール43とのニップ部にて、糊付ロール43の糊付領域Wに付着した糊液を予め設定された設定膜厚に調整する。その後、糊付ロール43とライダロール47とのニップ部にて、糊付ロール43の表面に付着した糊液が片面段ボールシートDにおける段頂部に転写される。
【0108】
このように本実施例のウェブの糊付装置にあっては、糊液を貯留可能な糊液槽42と、表面に糊液槽42の糊液を付着させて片面段ボールシートDに貼り合わされる表ライナAの紙幅に応じて調整される糊付領域Wに転写可能な糊付ロール43と、糊付ロール43に付着した糊液を設定膜厚に調整可能なドクターロール44と、糊付ロール43におけるドクターロール44とのニップ部より回転方向の上流側の表面に押圧接触して糊付領域W外に付着した糊液を掻き取る掻き取り部材45と、糊付ロール43におけるドクターロール44とのニップ部より回転方向の上流側で掻き取り部材45の接触位置より回転方向の下流側の表面に接触して糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止める堰き止め部材46とを設けている。
【0109】
従って、糊付ロール43が回転することで、表面に糊液槽42の糊液を付着させると、まず、掻き取り部材45が糊付ロール43の表面に押圧接触することで糊付領域W外に付着した糊液を掻き取り、次に、堰き止め部材46が糊付ロール43の表面に接触して糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止め、そして、ドクターロール44が糊付ロール43の糊付領域Wに付着した糊液を設定膜厚に調整した後、糊付ロール43の表面に付着した糊液を片面段ボールシートDの段頂部に転写する。
【0110】
即ち、掻き取り部材45は、糊付ロール43の糊付領域W外に付着した糊液を掻き取り、その後、堰き止め部材46は、糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止めるため、糊付ロール43にて、この糊付領域Wから軸端側への糊液のはみ出しが阻止され、糊付ロール43による片面段ボールシートDへの糊液の塗布が適正に行われる。そのため、片面段ボールシートD及び表ライナAがダブルフェーサ20に送られ、熱板35上を走行するときに表ライナAの幅方向における端部から糊液がはみ出し、この糊液が熱板35に付着して固化するのを防止することができる。
【0111】
本実施例のウェブの糊付装置では、堰き止め部材46に糊付ロール43における軸方向に所定幅を有すると共に糊付ロール43における周方向に所定長さを有して糊付ロール43の表面に接触する第1湾曲接触面71を設け、この第1湾曲接触面71を糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部まで延設している。従って、第1湾曲接触面71が糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部までの領域で、糊付領域Wに付着した糊液を堰き止めることができ、ドクターロール44による糊液の設定膜厚の調整時に、糊付領域Wからの糊液のはみ出しを防止することができる。
【0112】
本実施例のウェブの糊付装置では、堰き止め部材46に、ドクターロール44の表面に接触する第2湾曲接触面72を設け、この第2湾曲接触面72を糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部まで延設している。従って、第1湾曲接触面71が糊付ロール43とドクターロール44とのニップ部まで糊付領域Wに付着した糊液を堰き止め、ドクターロール44が糊液を設定膜厚に調整するとき、第2湾曲接触面72が糊付ロール43からドクターロール44への糊液のはみ出しを防止することができる。
【0113】
本実施例のウェブの糊付装置では、掻き取り部材45を弾性変形可能とし、堰き止め部材46との間に開口部77を設けて変形領域を確保している。従って、掻き取り部材45が糊付ロール43の表面に押圧接触することで糊付領域W外に付着した糊液を掻き取るとき、この掻き取り部材45が弾性変形するが、堰き止め部材46側に開口部(変形領域)77が設けられていることから、掻き取り部材45がこの開口部77に入り込むことで、堰き止め部材46に接触することはなく、糊付ロール43の表面に付着した糊液を適正に掻き取ることができる。
【0114】
本実施例のウェブの糊付装置では、堰き止め部材46は糊付ロール43の表面に押圧支持されている。従って、堰き止め部材46は、糊付ロール43の表面に隙間なく密着することができ、糊付領域Wからの糊液のはみ出しを防止することができる。また、堰き止め部材46は、糊付ロール43に対する接触面が摩耗しても、糊付ロール43の表面に常時密着することができ、糊付領域Wからの糊液のはみ出しを長期にわたって防止することができる。
【0115】
この場合、堰き止め部材46を糊付ロール43の表面に押圧する2個の圧縮コイルばね84を設けている。従って、堰き止め部材46は、糊付ロール43の表面に安定して密着することができ、糊付領域Wからの糊液のはみ出しを防止することができる。
【0116】
そして、堰き止め部材46を糊付ロール43及びドクターロール44の軸方向に直交すると共に両ロール43,44の隣接方向に揺動自在に支持している。従って、堰き止め部材46や糊付ロール43などの取付状態に拘わらず、堰き止め部材46を糊付ロール43の表面に対して適正に接触させることができる。
【0117】
本実施例のウェブの糊付装置では、堰き止め部材46における幅方向の一端部を糊付領域Wの幅方向の端部に一致させる一方、掻き取り部材45の一端部を糊付領域Wの幅方向の端部に一致させるか、また、糊付領域W内に所定長さだけ延設している。従って、堰き止め部材46の一端部と掻き取り部材45の一端部が糊付領域Wの幅方向の端部に一致していることで、掻き取り部材45は糊付領域W外の糊液を適正に掻き取ることができ、堰き止め部材46は糊付領域Wからの糊液のはみ出しを適正に防止することができる。また、掻き取り部材45の一端部を糊付領域W内に延設すると、この掻き取り部材45は糊付領域W外だけでなく糊付領域W内の一部の糊液を掻き取ることとなり、掻き取り部材45と堰き止め部材46とが所定距離だけ離れていても、堰き止め部材46は、糊付領域Wからの糊液のはみ出しを適正に防止することができる。
【0118】
本実施例のウェブの糊付装置では、糊付ロール46の表面に金属層を設け、堰き止め部材46の接触面に樹脂層を設けている。従って、金属表面の糊付ロール43に対して樹脂表面の堰き止め部材46が接触するため、糊付ロール43の表面の損傷を防止して長期にわたって糊付領域Wからの糊液のはみ出しを適正に防止することができる。
【0119】
本実施例のウェブの糊付装置では、掻き取り部材45と堰き止め部材46を同一の支持アーム66に支持している。即ち、支持アーム66の先端部に堰き止め部材46を固定し、この堰き止め部材46の下部に掻き取り部材45を固定している。従って、掻き取り部材45及び堰き止め部材46の装着性を向上することができると共に、支持アーム66の位置を調整するだけで掻き取り部材45と堰き止め部材46の位置調整を行うことができ、作業性を向上することができる。
【0120】
本実施例のウェブの糊付装置では、支持アーム66は、基端部が移動プレート60に対して互いに交差する方向に沿う3つの支持面により位置決め可能となっている。即ち、支持アーム66は、取付部66aの下面が移動プレート60の載置面60aに載置され、段付部66bが移動プレート60の端面60bに当接され、取付部66aが縦壁面60cに当接することで、3方向の位置決めがなされる。支持アーム66を介して掻き取り部材45及び堰き止め部材46を容易に位置決めすることが可能となり、位置決め精度を向上することができると共に、取付作業性を向上することができる。
【0121】
本実施例のウェブの糊付装置では、装置フレーム52に糊付ロール43の軸方向に移動自在な移動プレート60を設け、支持アーム66を移動プレート60に支持している。従って、表ライナAの幅に応じて掻き取り部材45と堰き止め部材46の位置を容易に変更することができ、汎用性を向上することができる。
【0122】
本実施例のウェブの糊付装置では、一端部が糊付ロール43の表面に所定隙間をもって配置される底板53と、底板53の両側部に連結されて一端部が糊付ロール43の表面に押圧配置される一対の側板54と、底板53の他端部に連結されて貯留する糊液をオーバーフロー可能な規制板55とにより糊液槽42を構成し、糊液槽42の下方に貯留パン58を配置している。従って、糊液槽42の構造の簡素化を可能とすることができると共に、糊液槽42に貯留される糊液の量を減少することができ、運転コストを低減することができる。また、底板53と糊付ロール43との間に所定隙間を設けることで、糊付ロール43における表面の損傷を防止することができる。この場合、糊液槽42の糊液が糊付ロール43の停止時に糊付ロール43と底板53との隙間から流れ落ちるが、流れ落ちた糊液は貯留パン58に貯留されることとなり、糊液を容易に回収することができる。
【0123】
本実施例のウェブの糊付装置では、糊付ロール43と底板53との所定隙間から落下した糊液と、規制板55をオーバーフローした糊液とをフィルタ102,106によりろ過して糊液槽42に戻す循環経路を設けている。従って、糊液を容易に回収することができると共に、糊液に混入した異物を容易に除去して安定した糊付作業を行うことができる。
【0124】
また、本実施例のウェブの糊付方法にあっては、糊付ロール43が回転することで表面に糊液を付着させる工程と、掻き取り部材45により糊付ロール43の表面に押圧接触して片面段ボールシートDの糊付領域W外に付着した糊液を掻き取る工程と、堰き止め部材46により糊付ロール43の表面に接触して糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止める工程と、ドクターロール44により糊付ロール43の片面段ボールシートDの糊付領域Wに付着した糊液を設定膜厚に調整する工程と、糊付ロール43の表面に付着した糊液を片面段ボールシートDに転写する工程を有している。
【0125】
従って、掻き取り部材45は、糊付ロール43の糊付領域W外に付着した糊液を掻き取り、その後、堰き止め部材46は、糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止めるため、糊付ロール43にて、この糊付領域Wから軸端側への糊液のはみ出しが阻止され、糊付ロール43による片面段ボールシートDへの糊液の塗布が適正に行われる。そのため、片面段ボールシートD及び表ライナAがダブルフェーサ20に送られ、熱板35上を走行するときに表ライナAの幅方向における端部から糊液がはみ出し、この糊液が熱板35に付着して固化するのを防止することができる。
【0126】
また、本実施例の段ボールシートの製造装置にあっては、波形加工された芯紙(中芯B)に裏ライナCを貼り合わせて片面段ボールシートDを製造するシングルフェーサ15と、片面段ボールシートDにおける段頂部に糊液を付着させるグルーマシン19と、シングルフェーサ15で製造される片面段ボールシートDにおける中芯B側に表ライナAを貼り合わせて両面段ボールシートEを製造するダブルフェーサ20とを設け、グルーマシン19に上述した糊付装置41を適用している。
【0127】
従って、シングルフェーサ15は、波形加工された芯紙(中芯B)に裏ライナCを貼り合わせて片面段ボールシートDを製造し、グルーマシン19は、片面段ボールシートDにおける段頂部に糊液を付着させ、ダブルフェーサ20は、片面段ボールシートDにおける中芯B側に表ライナAを貼り合わせて両面段ボールシートEを製造する。このとき、グルーマシン19にて、掻き取り部材45は、糊付ロール43の糊付領域W外に付着した糊液を掻き取り、その後、堰き止め部材46は、糊付領域Wからはみ出す糊液を堰き止めるため、糊付ロール43にて、この糊付領域Wから軸端側への糊液のはみ出しが阻止され、糊付ロール43による片面段ボールシートDへの糊液の塗布が適正に行われる。そのため、片面段ボールシートD及び表ライナAがダブルフェーサ20に送られ、熱板35上を走行するときに表ライナAの幅方向における端部から糊液がはみ出し、この糊液が熱板35に付着して固化するのを防止することができる。
【0128】
なお、上述した実施例では、支持アーム66の先端部に堰き止め部材46を装着し、この堰き止め部材46に掻き取り部材45を装着したが、2つの支持アームを設け、異なる支持アームの先端部に堰き止め部材46と掻き取り部材45を別々に装着してもよい。
【0129】
また、上述した実施例では、堰き止め部材46をブロック形状としたが、この形状に限定されるものではなく、一端部が糊付ロール43における糊付領域の端部に位置することができれば、例えば、板形状としてもよい。
【0130】
また、上述した実施例では、本実施例のウェブの糊付装置をグルーマシン19に適用して説明したが、シングルフェーサ15における糊付装置15dに適用してもよい。また、本実施例のウェブの糊付装置及び方法は、片面段ボールシートD(波形形状をなす中芯B)の段頂部に対して糊付けを行うものとしたが、平坦なウェブに糊付けを行うこともできる。