(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような紙折部では、搬送用紙の搬送性や折り畳みの処理精度を均一化するため、搬送用紙の形態(サイズや折り方や厚さ)に依らずに、単位時間当たりの折り畳み処理枚数(処理能力)を一定にしており、その用紙搬送速度は用紙処理装置の処理能力に合わせるため、最も折り畳み処理に時間のかかる搬送用紙の形態を基準に一律に設定されている。その結果、折り畳み処理に時間のかからない搬送用紙の形態に対しても用紙搬送速度が不必要に高速になっており、また、搬送用紙を順次給紙するときの給紙時間の間隔も一律になっている。
【0005】
このような用紙処理方法は、搬送用紙の形態によっては給紙時間の間隔すなわち給紙の待ち時間が不必要に長くなってしまい、搬送用紙の折り畳み処理が決して効率的ではない。また、衝突音を低減するために高速搬送を急に低速搬送に減速することを行っているため、搬送用紙と搬送ローラとの間にスリップが生じて、折りズレが発生することもある。
【0006】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、所定の処理能力を維持したまま効率的な用紙処理を行うとともに、折りズレ発生の抑制と、衝突音の低減と、を可能にする用紙処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下の用紙処理装置が提供される。
【0008】
すなわち、この発明の請求項1に係る用紙処理装置は、
用紙を第1用紙搬送速度で搬送する第1用紙搬送部と、
前記第1用紙搬送部によって給紙部から搬送される搬送用紙に対して折り加工を施す紙折部と、
前記紙折部に供される搬送用紙に関する搬送用紙情報を取得する搬送用紙情報取得部と、
前記搬送用紙情報取得部によって取得された搬送用紙情報に基づいて前記目標第1用紙搬送速度を設定する目標用紙搬送速度設定部と、
前記給紙部から前記紙折部に搬送された用紙の用紙搬送方向後端を検出する用紙後端検出部と、
前記用紙後端検出部によって検出された先行用紙の用紙搬送方向後端に基づいて後続用紙を給紙する給紙タイミングを制御し、且つ、前記第1用紙搬送部を用いて前記目標第1用紙搬送速度で用紙を搬送するように制御する制御部と、を備え、
前記目標第1用紙搬送速度は、前記搬送用紙情報取得部によって取得された前記搬送用紙情報と、
前記制御部によって予め決められている所定の単位時間当たりの用紙処理枚数とに基づいて設定されることを特徴とする。
【0009】
【0010】
この発明の請求項2に係る用紙処理装置では、
前記用紙後端検出部は、前記紙折部の用紙搬送方向上流側に配設されていることを特徴とする。
【0011】
この発明の請求項3に係る用紙処理装置では、
先行用紙と後続用紙との間での用紙搬送方向間隔を検出する用紙搬送間隔検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記所定の単位時間当たりの用紙処理枚数に一致するように、前記用紙搬送間隔検出部によって検出され且つ前記制御部によって算出される用紙搬送間隔と、現在の第1用紙搬送速度と、に基づいて、前記目標第1用紙搬送速度を変更することを特徴とする。
【0012】
この発明の請求項4に係る用紙処理装置では、
前記用紙搬送間隔検出部は、前記紙折部の用紙搬送方向下流側に配設されていることを特徴とする。
【0013】
この発明の請求項5に係る用紙処理装置では、
前記紙折部の用紙搬送方向下流側に接続されて、前記紙折部での前記第1用紙搬送方向と略直交する第2用紙搬送方向に用紙を搬送する第2用紙搬送部をさらに備え、
前記搬送用紙情報において規定される2つ折りや内3つ折りのような時間のかからない紙折り処理を含む場合には、前記第2用紙搬送部での第2用紙搬送速度に対する前記第1用紙搬送部での前記第1用紙搬送速度が相対的に遅くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、後端検出手段によって検出された先行用紙の用紙搬送方向後端に基づいて後続用紙を給紙する給紙タイミングが制御部によって制御されるとともに、搬送用紙情報取得部によって取得された搬送用紙情報に基づいて設定された目標第1用紙搬送速度で用紙の搬送が行われる。その結果、所定の単位時間当たりの処理枚数(処理能力)が維持され、無駄のない効率的な用紙処理を行うことができ、第1用紙搬送速度が高速から低速に急激に減速することに起因した折りズレの発生を抑制することができるという効果を奏する。また、高速な用紙搬送を必要としない搬送用紙情報に基づいて目標第1用紙搬送速度が低速に設定されるために、紙折部における用紙の衝突音を低減することができるという効果を奏する。
【0015】
【0016】
請求項2に係る発明では、用紙後端検出部の設置が容易であり、給紙タイミングを正確且つ安定的に決めることができるという効果を奏する。
【0017】
請求項3に係る発明では、制御部によって目標第1用紙搬送速度を適切に変更して、所定の単位時間当たりの処理枚数(処理能力)を達成することができるという効果を奏する。
【0018】
請求項4に係る発明では、用紙搬送間隔検出部の設置が容易であり、用紙搬送方向間隔を正確且つ安定的に決めることができるという効果を奏する。
【0019】
請求項5に係る発明では、第2用紙搬送部上での用紙の重なりが発生しにくくなるとともに、用紙搬送間隔を小さくすることができるので無駄の無い効率的な用紙処理を行うことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、
図1を参照しながら、この発明の一実施形態に係る用紙処理装置1の全体構成を説明する。
【0022】
用紙処理装置1は、例えばメーリング・マシーンであり、第1ユニット2と第2ユニット3とを平面視でL字状に結合したものである。第1ユニット2は給紙部8と紙折部30と第1用紙搬送部20とを含み、第2ユニット3はクロスコンベア部(第2用紙搬送部)40と図示しない用紙搬送シール部とを含む。第2ユニット3は、操作キー5と表示パネル7と制御部6とを備え、第1ユニット2に電気的に接続されている。
【0023】
給紙部8によって給紙された用紙P(例えば、A4サイズのカット紙)は、第1用紙搬送部20によって1枚ずつ紙折部30に搬送され、紙折部30によって2つ又は3つに折り畳まれ、クロスコンベア部(第2用紙搬送部)40によって図示しない用紙搬送シール部に搬送され、当該用紙搬送シール部でプレスされた後、排紙台9の上に排出される。
【0024】
次に、紙折部30の構成について、
図2の模式図を参照しながら説明する。
【0025】
紙折部30の第1用紙搬送方向D1の上流側には、給紙部8が配置されており、給紙部8は、給紙ローラ26と、さばき板27と、給紙センサ51と、を含む。給紙ローラ26は、紙受台に載置された用紙Pに当接し、上から順に用紙Pを1枚ずつ送り出す。さばき板27は、給紙ローラ26によって給紙される用紙Pが重なって送り出されないようにする。給紙ローラ26の第1用紙搬送方向D1の下流側に配置された給紙センサ51は、用紙Pの通過の有無を検出する。
【0026】
紙折部30は、第1折りトレイ18と第2折りトレイ19と第1用紙搬送部20とを含み、第1用紙搬送経路11に沿って用紙Pを搬送しながら、用紙Pを2つ又は3つに折り畳む。第1用紙搬送経路11の上下には、折りローラ32〜37が交互に配置されている。折りローラ32〜37の下側には、第1折りトレイ18と第2折りトレイ19とが配置されている。第1折りトレイ18及び第2折りトレイ19の上下の長手方向に沿って移動可能に構成された折りストッパ18a,19aが、それぞれ、第1折りトレイ18及び第2折りトレイ19に配置されており、用紙突き当て板として働く。
【0027】
第1駆動モータ22(例えば、DCモータ)は、ベルト24を介して、駆動伝達ギア31と折りローラ32〜37と排紙ローラ38,39とを同期して一体的に回転するように駆動する。第1駆動モータ22による第1用紙搬送速度は、例えば、第1駆動モータ22の単位時間当たりの回転数を検出する図示しないエンコーダによって検出され、検出値に基づいて後述するCPU6aによって算出される。駆動伝達ギア31と給紙ローラ26のシャフトに設けられたギアとの間には、給紙クラッチ29が介在配置されている。給紙クラッチ29のON又はOFFを切り替えることにより、第1駆動モータ22の回転駆動力が給紙ローラ26への伝達状態か又は非伝達状態に切り替えられる。そして、第1駆動モータ22の回転駆動力が伝達された給紙ローラ26は、折りローラ32〜37の回転に同期して回転する。
【0028】
紙折部30の折りローラ32の第1用紙搬送方向D1の上流側であって給紙センサ51の第1用紙搬送方向D1の下流側の第1用紙搬送経路11には、給紙タイミング検出センサ52が配置されている。当該給紙タイミング検出センサ52は、給紙部8から紙折部30に搬送された用紙Pの用紙搬送方向後端Pbを検出する用紙後端検出部として働く。紙折部30の折りローラ37の第1用紙搬送方向D1の下流側の第1用紙搬送経路11には、用紙搬送間隔検出センサ53が配置されている。当該用紙搬送間隔検出センサ53は、例えば後述する
図8に示すように、紙折部30で折り畳まれた先行用紙P1と、給紙部8から給紙された後続用紙P2との間での第1用紙搬送方向D1の間隔を検出する用紙搬送間隔検出部として働く。
【0029】
紙折部30の第1折りトレイ18及び第2折りトレイ19について、さらに説明する。
図2に示すように、第2折りローラ33と第4折りローラ35との間には、第1折りトレイ18が配置され、第4折りローラ35と第6折りローラ37との間には、第2折りトレイ19が配置されている。第1折りトレイ18及び第2折りトレイ19のそれぞれには用紙収納空間18b,19bが形成されており、各用紙収納空間18b,19bの中に用紙Pを送り込むことができるようになっている。第1折りトレイ18及び第2折りトレイ19に沿ってそれぞれ配置された第1折りストッパ18a及び第2折りストッパ19aは、それぞれ、第1用紙収納空間18bの底部及び第2用紙収納空間19bの底部を形成して、それぞれ、第1用紙収納空間18b及び第2用紙収納空間19bに送り込まれた用紙Pに当接するようになっている。第1折りストッパ18a及び第2折りストッパ19aは、それぞれ、例えば図示しないねじロッドの回転により昇降する昇降部材に固定されていて、第1用紙収納空間18b及び第2用紙収納空間19bの各長手方向(すなわち
図2の上下方向)に昇降することができる。
【0030】
次に、第2ユニット3のクロスコンベア部40の構成について、
図2の模式図を参照しながら説明する。
【0031】
クロスコンベア部40は、紙折部30の1対の排紙ローラ38,39から排出された用紙Pを、紙折部30の第1用紙搬送方向D1に対して略直交する第2用紙搬送方向D2に搬送する第2用紙搬送経路12を形成している。クロスコンベア部40は、第2駆動モータ42の回転駆動力をタイミングベルト44を介して伝達する搬送ベルト47と、ホルダー48によって保持された剛球49と、を備えている。搬送ベルト47は、タイミングベルト44によって回転駆動される駆動ローラ45と従動ローラ46との間を循環する無端ベルトであって、用紙Pを第2用紙搬送方向D2に搬送することができる。用紙Pを受け渡すときに用紙Pの向きが乱れないように、用紙Pを押下するための剛球49が配置されている。剛球49は、ホルダー48によって回転自在に保持されている。したがって、剛球49の下部分と搬送ベルト47の上面とによって第2用紙搬送経路12が形成されている。そして、クロスコンベア部40から排出された用紙Pは、例えば、図示しない用紙搬送シール部に搬送される。
【0032】
次に、用紙処理装置1の制御部6の構成について、
図3のブロック図を参照しながら説明する。
【0033】
用紙処理装置1全体の制御を統括する制御部6は、CPU(中央処理演算装置)6aと、基本プログラムや動作プログラム等を記憶するROM6bと、第1駆動モータ22や第2駆動モータ42や折りストッパ駆動モータ(図示しない)の駆動パルス数等を一時的に記憶するRAM6cと、パラメータ等を記憶するEEPROM6d等を含んでいる。制御部6には、表示パネル7と、操作キー5と、折りローラ32〜37等を駆動する第1駆動モータ22と、タイミングベルト44や搬送ベルト47等を駆動する第2駆動モータ42と、給紙クラッチ29と、給紙センサ51と、給紙タイミング検出センサ52と、用紙搬送間隔検出センサ53等がそれぞれ接続されている。
【0034】
CPU6aは、操作キー5からの動作指示に基づいて、用紙処理装置1を構成する各デバイスの動作を制御する。例えば、用紙Pのサイズや厚み、折線位置、折り方等の搬送用紙情報が操作キー5から入力されると、CPU6aは、第1折りストッパ18a及び第2折りストッパ19aをそれぞれ所定の高さに自動的に設定する。なお、用紙Pのサイズや厚みに関する搬送用紙情報は、図示しない用紙サイズ検出センサや用紙厚み検出センサを設置して、当該センサによって取得することもできる。また、操作キー5から、用紙Pの紙折動作を実行したり、紙折された用紙Pの圧着動作を実行したりすることができる。また、CPU6aは、上述した各種センサ51,52,53からの各検出出力信号を監視して、所定の動作を行うための情報を取得する。
【0035】
なお、操作キー5や、CPU6aや、図示しないサイズ検出センサや厚み検出センサ等は、紙折部30に供される用紙Pに関する搬送用紙情報(例えば、用紙Pのサイズや厚み、折線位置、折り方等)を取得する搬送用紙情報取得部として働く。
【0036】
次に、用紙PをいわゆるV折り、C折り又はZ折りする紙折動作を説明するが、いずれの折り方であって、第1用紙搬送部20により、用紙Pが第1用紙搬送経路11に沿って第1用紙搬送方向D1に順送りされるので、先に搬送される用紙Pを先行用紙P1とし、先行用紙P1に続いて搬送される用紙Pを後続用紙P2とし、後続用紙P2に続いてさらに搬送される用紙Pを次の後続用紙P3とする。
【0037】
まず、
図7及び8を参照しながら、第1用紙搬送経路11に沿って搬送される用紙Pを2つに折り畳むV折り動作の一例を説明する。
【0038】
給紙部8から給紙された先行用紙P1が給紙センサ51を通過することによって、給紙されたことが検出され、先行用紙P1が紙折部30に向けて搬送される。紙折部30に搬送されてきた先行用紙P1の用紙搬送方向前端Paが、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、さらに第2折りローラ33と第3折りローラ34との間を通り、第1折りトレイ18の用紙収納空間18b内に送り込まれる。そして、先行用紙P1の用紙搬送方向前端Paが第1折りストッパ18aに当接した後、湾曲部分が形成され、この湾曲部分が第3折りローラ34と第4折りローラ35の間で挟持されることによって、折線Pcが形成される。折線Pcの形成された先行用紙P1は、第4折りローラ35と第5折りローラ36との間で挟持される。このとき、
図7に示すように、先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが、給紙タイミング検出センサ52を通過することによって、後続用紙P2を給紙してもOKであるか否かを判断するために用いられる給紙タイミング信号が出力される。CPU6aは、出力された給紙タイミング信号に基づいて、給紙してもOKと判断すると、給紙クラッチ29の接続をONにする。そして、駆動伝達ギア31が給紙クラッチ29を介して給紙ローラ26に連結されることにより、後続用紙P2の給紙動作が行われて、後続用紙P2が紙折部30に向けて搬送される。
【0039】
後続用紙P2の給紙動作と同時に、先行用紙P1の折線Pcを先頭にして先行用紙P1が第2折りトレイ19の用紙収納空間19b内に送り込まれようとする。しかしながら、先行用紙P1の折線Pcが最も浅い上位置に配置された第2折りストッパ19aに当接して用紙収納空間19b内への送り込みがブロックされるため、先行用紙P1の折線Pcは、第2折りトレイ19の用紙収納空間19b内に送り込まれることなく、第5折りローラ36と第6折りローラ37との間を通ることになる。そして、先行用紙P1がさらに搬送されると、
図8に示すように、先行用紙P1の折線Pcが用紙搬送間隔検出センサ53を通過することによって、先行用紙P1と後続用紙P2との間での用紙搬送間隔についての信号が出力され、CPU6aは当該信号に基づいて用紙搬送間隔を算出する(すなわち用紙搬送間隔の検出)。算出された用紙搬送間隔は、適切な用紙搬送間隔であるか否かがCPU6aによって判断され、用紙搬送間隔が不適切なものである場合、CPU6aは、現在設定されている目標とする第1用紙搬送速度(以下、目標第1用紙搬送速度と言う。)から、新たな目標第1用紙搬送速度に設定変更する。したがって、CPU6aは、目標用紙搬送速度設定部として働く。用紙搬送間隔検出センサ53を通過したV状に折り畳まれた先行用紙P1は、排紙ローラ38,39を経て、クロスコンベア部40に向けて搬送される。
【0040】
次に、
図9及び10を参照しながら、第1用紙搬送経路11に沿って搬送される用紙Pを3つに折り畳むC折り動作の一例を説明する。
【0041】
給紙部8から給紙された先行用紙P1が給紙センサ51を通過することによって、給紙されたことが検出され、先行用紙P1が紙折部30に向けて搬送される。紙折部30に搬送されてきた先行用紙P1の用紙搬送方向前端Paが、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、さらに第2折りローラ33と第3折りローラ34との間を通り、第1折りトレイ18の用紙収納空間18b内に送り込まれる。そして、先行用紙P1の用紙搬送方向前端Paが中程度の深さ位置に配置された第1折りストッパ18aに当接した後、湾曲部分が形成され、この湾曲部分が第3折りローラ34と第4折りローラ35との間で挟持されることによって、折線Pdが形成される。折線Pdの形成された先行用紙P1は、さらに搬送されて、第4折りローラ35と第5折りローラ36との間で挟持されながら、折線Pdを含む先行用紙P1の先頭部分が第2折りトレイ19の用紙収納空間19b内に送り込まれる。このとき、
図9に示すように、先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが、給紙タイミング検出センサ52を通過することによって、後続用紙P2を給紙してもOKであるか否かを判断するために用いられる給紙タイミング信号が出力される。CPU6aは、出力された給紙タイミング信号に基づいて、給紙してもOKと判断すると、給紙クラッチ29の接続をONにする。そして、駆動伝達ギア31が給紙クラッチ29を介して給紙ローラ26に連結されることにより、後続用紙P2の給紙動作が行われて、後続用紙P2が紙折部30に向けて搬送される。
【0042】
後続用紙P2の給紙動作と同時に、折線Pdを含む先行用紙P1の先頭部分が第2折りトレイ19の用紙収納空間19b内にさらに送り込まれる。先行用紙P1の折線Pdが第2折りストッパ19aに当接すると、同様に、先行用紙P1の後部が、第5折りローラ36と第6折りローラ37とで囲まれた空間内で、第5折りローラ36と第6折りローラ37との間に向かって湾曲し、その湾曲部分が第5折りローラ36と第6折りローラ37との間で挟持されることによって、折線Peが形成される。折線Peを先頭にして、先行用紙P1がさらに搬送されると、
図10に示すように、先行用紙P1の折線Peが用紙搬送間隔検出センサ53を通過することによって、先行用紙P1と後続用紙P2との間での用紙搬送間隔が検出される。検出された用紙搬送間隔は、適切な用紙搬送間隔であるか否かがCPU6aによって判断され、用紙搬送間隔が不適切なものである場合、CPU6aが、現在設定されている目標第1用紙搬送速度から新たな目標第1用紙搬送速度に変更する。用紙搬送間隔検出センサ53を通過したC状に折り畳まれた先行用紙P1は、排紙ローラ38,39を経て、クロスコンベア部40に向けて搬送される。
【0043】
さらに、
図11及び12を参照しながら、第1用紙搬送経路11に沿って搬送される用紙Pを3つに折り畳むZ折り動作の一例を説明する。
【0044】
給紙部8から給紙された先行用紙P1が給紙センサ51を通過することによって、給紙されたことが検出され、先行用紙P1が紙折部30に向けて搬送される。紙折部30に搬送されてきた先行用紙P1の用紙搬送方向前端Paが、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、さらに第2折りローラ33と第3折りローラ34との間を通り、第1折りトレイ18の用紙収納空間18b内に送り込まれる。そして、先行用紙P1の用紙搬送方向前端Paが深い下位置に配置された第1折りストッパ18aに当接した後、湾曲部分が形成され、この湾曲部分が第3折りローラ34と第4折りローラ35の間で挟持されることによって、折線Pfが形成される。先行用紙P1の折線Pfを含む先頭部分は、第3折りローラ34と第4折りローラ35との間で挟持される。このとき、
図11に示すように、先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが、給紙タイミング検出センサ52を通過することによって、後続用紙P2を給紙してもOKであるか否かを判断するために用いられる給紙タイミング信号が出力される。CPU6aは、出力された給紙タイミング信号に基づいて、給紙してもOKと判断すると、給紙クラッチ29の接続をONにする。そして、駆動伝達ギア31が給紙クラッチ29を介して給紙ローラ26に連結されることにより、後続用紙P2の給紙動作が行われて、後続用紙P2が紙折部30に向けて搬送される。
【0045】
後続用紙P2の給紙動作と同時に、先行用紙P1の折線Pfを先頭にして先行用紙P1が第4折りローラ35及び第5折りローラ36から第2折りトレイ19の用紙収納空間19b内に送り込まれる。先行用紙P1の折線Pfが第2折りストッパ19aに当接すると、同様に、先行用紙P1の後部が、第5折りローラ36と第6折りローラ37とで囲まれた空間内で、第5折りローラ36と第6折りローラ37との間に向かって湾曲し、その湾曲部分が第5折りローラ36と第6折りローラ37との間で挟持されることによって、折線Pgが形成される。折線Pgを先頭にして、先行用紙P1がさらに搬送されると、
図12に示すように、先行用紙P1の折線Pgが用紙搬送間隔検出センサ53を通過することによって、先行用紙P1と後続用紙P2との間での用紙搬送間隔が検出される。検出された用紙搬送間隔は、適切な用紙搬送間隔であるか否かがCPU6aによって判断され、用紙搬送間隔が不適切なものである場合、CPU6aが、現在設定されている目標第1用紙搬送速度から新たな目標第1用紙搬送速度に変更する。用紙搬送間隔検出センサ53を通過したZ状に折り畳まれた先行用紙P1は、排紙ローラ38,39を経て、クロスコンベア部40に向けて搬送される。
【0046】
上述したV折り、C折り又はZ折りのいずれの折り方においても、紙折部30の折りローラ32〜36,32〜35によって挟持された状態にある先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが給紙タイミング検出センサ52を通過するときに給紙タイミングが検出されているので、給紙タイミングを正確且つ安定的に決めることができ、給紙タイミング検出センサ52の設置も容易である。また、少なくとも紙折部30の折りローラ36,37によって挟持された状態にある先行用紙P1の各折線Pc、Pe、Pgが用紙搬送間隔検出センサ53を通過するときに用紙搬送間隔を検出しているので、用紙搬送間隔を正確且つ安定的に決めることができ、用紙搬送間隔検出センサ53の設置も容易である。
【0047】
次に、
図4乃至6のフローチャートを参照しながら、上述したV折り、C折り又はZ折り等のような用紙Pを折り畳む紙折動作を含む用紙処理方法について説明する。
【0048】
まず、
図4のメインフローチャートを参照しながら、用紙処理方法の全体の流れを説明する。用紙処理装置1についての単位時間当たりの処理枚数(いわゆる処理能力)が所定値に決められていて、CPU6aは、当該単位時間当たりの処理枚数の所定値と、搬送される用紙Pに関する搬送用紙情報(例えば、用紙Pのサイズや厚み、折線位置、折り方等)と、に基づいて、目標第1用紙搬送速度を算出する(S10)。
【0049】
目標第1用紙搬送速度が算出されると、CPU6aは、給紙部8の給紙動作の開始(S12)を指示し、第1用紙搬送部20は、給紙部8によって給紙された先行用紙(カット紙)P1を、第1用紙搬送部20によって1枚ずつ紙折部30に向けて搬送する。
【0050】
第1用紙搬送部20によって先行用紙P1が紙折部30に搬送されると、紙折動作を行う過程で、後続用紙P2についての後述する給紙タイミング制御を行う(S20)。先行用紙P1についての紙折動作(いわゆるV折り、C折り又はZ折り等)を行う(S30)。先行用紙P1についての紙折動作が終了したときの第1用紙搬送速度を検出して後述する用紙搬送速度制御を行う(S40)。紙折された先行用紙P1をクロスコンベア部(第2用紙搬送部)40に排出する(S50)。CPU6aは、一連の用紙処理が完了したか否かを判断して(S52)、用紙処理が完了したときには用紙処理フローを終了し、用紙処理がまだ完了していないときにはS20の給紙タイミング制御に戻って用紙処理動作を継続する。
【0051】
S20の給紙タイミング制御は、
図5の詳細フローチャートに示すように、まず、CPU6aは、給紙タイミング検出センサ52によって先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが検出されたか否かを判断する(S21)。CPU6aは、先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが検出されていないと判断すると、S25のリターンに移動して
図4のメインフローチャートに戻る。CPU6aは、先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbが検出されていると判断すると、次に給紙待ちが必要であるか否かを判断する(S22)。CPU6aは、給紙待ちが必要でないと判断すると、給紙部8が後続用紙P2の給紙動作を開始するように指示を出し、第1用紙搬送部20によって後続用紙P2を1枚ずつ紙折部30に向けて搬送する(S23)。
【0052】
CPU6aは、給紙待ちが必要であると判断すると、次に所定の待ち時間が経過したか否かを判断する(S24)。CPU6aは、所定の待ち時間が経過したと判断すると、給紙部8が後続用紙P2の給紙動作を開始するように指示を出し、第1用紙搬送部20によって後続用紙P2を1枚ずつ紙折部30に向けて搬送する(S23)。給紙部8による後続用紙P2の給紙動作が開始されると、S25のリターンに移動して
図4のメインフローチャートに戻る。
【0053】
S40の用紙搬送速度制御は、
図6の詳細フローチャートに示すような手順に従って実行される。すなわち、CPU6aは、第1駆動モータ22の単位時間当たりの回転数(回転量)に基づいて、現在の第1用紙搬送速度を求める(S41)。CPU6aは、求められた現在の第1用紙搬送速度が目標第1用紙搬送速度に一致するか否かを判断する(S42)。CPU6aは、現在の用紙搬送速度が目標第1用紙搬送速度に一致していないと判断したときは、現在の用紙搬送速度が目標第1用紙搬送速度に一致するように、第1駆動モータ22をONにする時間とOFFにする時間の比(すなわちデューティ比)を変更する(S46)。デューティ比の変更後、S47のリターンに移動して
図4のメインフローチャートに戻る。
【0054】
CPU6aは、S42において、現在の用紙搬送速度が目標第1用紙搬送速度に一致していると判断したとき、先行用紙P1の第1用紙搬送方向D1の最も下流側にある折線(例えば、V折りであれば折線Pc)と後続用紙P2の第1用紙搬送方向D1の最も下流側にある折線(例えば、V折りの場合、折線Pc)とが用紙搬送間隔検出センサ53を通過するときの時間差に基づいて、用紙搬送間隔を求める(S43)。CPU6aは、求められた用紙搬送間隔が適切であるか否かを判断する(S44)。CPU6aは、現在の用紙搬送間隔が適切ではないと判断したときは、適切な用紙搬送間隔になるように、目標第1用紙搬送速度の値を変更する(S45)。目標第1用紙搬送速度の値の変更後、あるいは、現在の用紙搬送間隔が適切であると判断したとき、S47のリターンに移動して
図4のメインフローチャートに戻る。
【0055】
なお、代表的な紙折動作においては、折りに要する時間と、必要とされる第1用紙搬送速度との間には、以下の表1に示すように、大略比例関係が成立している。表1は、外3つ折りを基準にした相対的な大小関係を示している。
【0057】
紙折処理に時間のかかる外3つ折り(Z折り)であれば、第1用紙搬送速度を速くしておく必要がある。逆に、紙折処理に時間のかからない2つ折り(V折り)や内3つ折り(C折り)であれば、第1用紙搬送速度を遅くすることができる。したがって、目標第1用紙搬送速度を変更するときに高速な用紙搬送を必要としない場合には、搬送用紙情報に基づいて目標第1用紙搬送速度を低速に設定することができる。
【0058】
以上説明したように、制御部としてのCPU6aによって、後端検出手段としての給紙タイミング検出センサ52によって検出された先行用紙P1の用紙搬送方向後端Pbの通過タイミングに基づいて後続用紙P2を給紙する給紙タイミングが制御されるとともに、搬送用紙情報取得部としての操作キー5等によって取得された搬送用紙情報に基づいて設定された目標第1用紙搬送速度で用紙Pの搬送が行われる。その結果、無駄のない効率的な用紙処理を行うことができ、第1用紙搬送速度が高速から低速に急激に減速することに起因した折りズレの発生を抑制することができる。また、高速な用紙搬送を必要としない搬送用紙情報に基づいて目標第1用紙搬送速度が低速に設定されるために、紙折部30の折りトレイ18,19における用紙Pの衝突音を低減することができる。
【0059】
次に、
図13を参照しながら、紙折部30に対してクロスコンベア部40を接続した場合において、紙折部30とクロスコンベア部(第2用紙搬送部)40との間での用紙Pの受け渡しについて説明する。
【0060】
図13(A)に示すように、紙折部30によって、第1用紙搬送方向D1に長手である用紙Pを紙折処理した場合(例えば、A4縦V折り)、後続用紙P2はクロスコンベア部40上の先行用紙P1と重なること無く第2用紙搬送方向D2に沿って搬送される。しかしながら、紙折部30によって、第1用紙搬送方向D1に短手である用紙Pを紙折処理した場合(例えば、A4横V折り)、後続用紙P2はクロスコンベア部40上の先行用紙P1と重なって第2用紙搬送方向D2に沿って搬送されてしまう。
【0061】
従来、
図13(B)に示すように、第1用紙搬送速度S1をそのまま維持した状態で、A4横V折りに合わせて、後続用紙P2と次の後続用紙P3との間での用紙搬送間隔Y2を大きくすること(Y1<Y2)によって、クロスコンベア部40上での先行用紙P1と後続用紙P2との重なりを防止することが行われている。しかしながら、
図13(B)のように用紙搬送間隔Y2を大きくすることは、用紙を給紙する間隔を大きくすることになり、先行用紙を給紙してから後続用紙を給紙するまでの給紙待ち、すなわち無駄が生じ、用紙処理が非効率なものとなってしまう。
【0062】
これに対して、この発明では、高速な用紙搬送を必要としない用紙Pのサイズ(A4横折り)や折り方(紙折処理に時間のかからない折り方、すなわちV折りやC折り)において、第1用紙搬送速度S2(A4縦V折りのとき),S3(A4横V折りのとき)が、
図13(B)に示した第1用紙搬送速度S1よりも低速に設定される(すなわち、S1>S2>S3)ので、クロスコンベア部40での第2用紙搬送速度に対する紙折部30での第1用紙搬送速度S2,S3が相対的に遅くなる。言い換えれば、クロスコンベア部40での第2用紙搬送速度が相対的に速くなるので、クロスコンベア部40上での先行用紙P1と後続用紙P2との重なりが発生しにくくなる。また、第1用紙搬送速度S2,S3の低速化に伴って、後続用紙P2と次の後続用紙P3との間での用紙搬送間隔Y3(A4縦V折りのとき),Y4(A4横V折りのとき)を小さくすること(Y4<Y3<Y1<Y2)ができ、給紙待ちという無駄が生じず、効率的に用紙処理を行うことが可能になる。
【0063】
なお、
図2等に図示した給紙タイミング検出センサ52は、紙折部30の折りローラ32の第1用紙搬送方向D1の上流側に配設されているが、第1用紙搬送方向D1のさらなる上流側に配設することもできる。さらに、給紙タイミング検出センサ52の代用に、給紙センサ51を利用することもできる。また、用紙搬送間隔検出センサ53は、給紙センサ51又は給紙タイミング検出センサ52によって代用することもできる。
【0064】
なお、この発明を理解しやすくするために、具体的な構成や数値を用いて説明したが、これらはあくまでも例示であって、この発明の技術的範囲を限定するものではない。この発明の技術的範囲内において、種々の実施形態や変形例を構成することができることは、当業者には明らかである。