特許第6116892号(P6116892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116892
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】車両の廃熱回収システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20170410BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20170410BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20170410BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20170410BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   F01N5/02 F
   F01N5/02 A
   F01P3/20 B
   F01P3/20 E
   F01K23/10 Q
   F02G5/02 B
   F02G5/04 Q
   F02G5/04 S
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-280812(P2012-280812)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-88866(P2014-88866A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0121389
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジュンミン
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−545930(JP,A)
【文献】 特表2013−531177(JP,A)
【文献】 特表2014−514484(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/079709(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/009526(WO,A1)
【文献】 国際公開第03/048651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F01K 23/10
F01P 3/20−3/22
F02G 5/02−5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンで排出される排気ガスの熱を利用して作動流体を加熱させる排気ガスボイラー、前記排気ガスボイラーで形成された作動流体蒸気を加熱させるスーパーヒーター、前記スーパーヒーターで発生した蒸気化された作動流体を利用して回転力を発生させるタービンを含む車両の廃熱回収システムにおいて、
前記排気ガスボイラーよりも下方に設置され、その内部に前記作動流体が貯蔵され得る設定された空間が形成されたリザーバ;
前記排気ガスボイラーと前記リザーバを連結する回収ライン;
前記回収ラインを開閉させるように設置される回収供給制御バルブ
前記作動流体を前記リザーバに回収する回収条件が満足されると、前記回収供給制御バルブを制御して前記回収ラインを開放させて前記排気ガスボイラー内部の作動流体を前記リザーバに回収する制御部
前記リザーバから前記回収供給制御バルブに形成された供給ライン;
前記供給ラインに設置されて前記リザーバに充填された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給する作動流体供給ポンプ;
前記リザーバに貯蔵された前記作動流体を加熱させるために前記エンジンの冷却水が前記リザーバを循環するようにする加熱ライン;および
前記加熱ラインを開閉するように設置される加熱制御バルブ;を含み、
供給条件が満足されると、前記制御部は、前記回収供給制御バルブと前記作動流体供給ポンプを制御して前記リザーバに貯蔵された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給することを特徴とする、車両の廃熱回収システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記作動流体供給ポンプを稼動して前記リザーバに貯蔵された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給する前に、
前記リザーバ内部に充填された作動流体の温度を確認し、その温度が設定された温度未満である場合、前記加熱制御バルブを開放させて前記リザーバに充填された作動流体が前記設定温度よりも高くなるようにすることを特徴とする、請求項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項3】
前記リザーバの内部と前記スーパーヒーターの内部を外部と選択的に連結させる外気制御バルブ;をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記排気ガスボイラーから前記リザーバに作動流体を回収する或いは前記リザーバから前記排気ガスボイラーに作動流体を供給する時、前記外気制御バルブを開放することを特徴とする、請求項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項5】
前記タービンを通じて回転力を発生させた後に発生した作動流体蒸気を凝縮させるコンデンサ;
前記コンデンサと冷媒クーラーとの間で冷媒を循環させる冷媒循環ポンプ;
前記冷媒クーラーを冷却させる冷却ファン;および
前記コンデンサで生成された作動媒体の凝縮水を前記排気ガスボイラーに再供給する作動流体循環ポンプ;をさらに含み、
前記制御部は、
前記回収条件が満足されると、前記作動流体循環ポンプと前記冷却ファンを作動させて凝縮された作動流体を前記排気ガスボイラーに回収することを特徴とする、請求項3又は4に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記リザーバの水位レベルが設定値以上に判断されると、前記回収供給制御バルブを利用して前記回収ラインを閉鎖し、前記外気制御バルブを閉鎖することを特徴とする、請求項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記加熱制御バルブを開放させて前記リザーバに充填された作動流体が設定温度よりも高くなるように暖めた後に、
前記加熱制御バルブを閉鎖し、
前記作動流体供給ポンプを作動させて前記リザーバに充填された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給し、
前記リザーバに充填された作動流体の水位が設定値以下に判断されると、前記作動流体供給ポンプを停止して作動流体の供給を中断し、
前記外気制御バルブを閉鎖することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項8】
前記作動流体は、水を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項9】
前記回収条件は、エンジンの動作がオフされる条件で外気温度が設定値よりも低い条件を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項10】
前記供給条件は、エンジンがオンされる条件で前記リザーバに貯蔵された作動流体の温度が設定値よりも高い条件を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両の廃熱回収システム。
【請求項11】
エンジンで排出される排気ガスの熱を利用して作動流体を加熱させる排気ガスボイラー、前記排気ガスボイラーで形成された作動流体蒸気を加熱させるスーパーヒーター、前記スーパーヒーターで発生した蒸気化された作動流体を利用して回転力を発生させるタービンを含む車両の廃熱回収システムにおいて、
前記排気ガスボイラーよりも下方に設置され、その内部に前記作動流体が貯蔵され得る設定された空間が形成されたリザーバ;
前記排気ガスボイラーと前記リザーバを連結する回収ライン;
前記回収ラインを開閉させるように設置される回収供給制御バルブ;および
前記作動流体を前記リザーバに回収する回収条件が満足されると、前記回収供給制御バルブを制御して前記回収ラインを開放させて前記排気ガスボイラー内部の作動流体を前記リザーバに回収する制御部;を含み、
前記回収条件は、エンジンの動作がオフされる条件で外気温度が設定値よりも低い条件を含むことを特徴とする、車両の廃熱回収システム
【請求項12】
エンジンで排出される排気ガスの熱を利用して作動流体を加熱させる排気ガスボイラー、前記排気ガスボイラーで形成された作動流体蒸気を加熱させるスーパーヒーター、前記スーパーヒーターで発生した蒸気化された作動流体を利用して回転力を発生させるタービンを含む車両の廃熱回収システムにおいて、
前記排気ガスボイラーよりも下方に設置され、その内部に前記作動流体が貯蔵され得る設定された空間が形成されたリザーバ;
前記排気ガスボイラーと前記リザーバを連結する回収ライン;
前記回収ラインを開閉させるように設置される回収供給制御バルブ;
前記作動流体を前記リザーバに回収する回収条件が満足されると、前記回収供給制御バルブを制御して前記回収ラインを開放させて前記排気ガスボイラー内部の作動流体を前記リザーバに回収する制御部;
前記リザーバから前記回収供給制御バルブに形成された供給ライン;および
前記供給ラインに設置されて前記リザーバに充填された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給する作動流体供給ポンプ;をさらに含み、
供給条件が満足されると、前記制御部は、前記回収供給制御バルブと前記作動流体供給ポンプを制御して前記リザーバに貯蔵された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給し、
前記供給条件は、エンジンがオンされる条件で前記リザーバに貯蔵された作動流体の温度が設定値よりも高い条件を含むことを特徴とする、車両の廃熱回収システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の排気ガスを通じて浪費される廃熱を作動流体を通じて回収し、回収された熱エネルギーを運動エネルギーに転換することによって全体的なエネルギーの効率を向上させる車両の廃熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンで外部に排出される排気ガスからエネルギーを回収するための技術が開発されている。
【0003】
このような技術は、ターボ発電機により排気ガスの流れを直ちに回転エネルギーに転換して発電を行う技術と、ランキンサイクルを通じて排気ガスの熱を利用してスチームを発生させ、これを利用してタービンを回転させる技術がある。また、熱電素子を利用して電気エネルギーを発生させる技術がある。
【0004】
前記ランキンサイクルを利用して捨てられる排気ガスからエネルギーを回収するために別途の作動流体が使用されるが、このような作動流体の一つは水がある。
【0005】
しかし、水は氷点が摂氏0度であり、車両の多様な運行条件を考慮すれば、氷結に従う問題によりランキンサイクルに適用することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、ランキンサイクルを利用して捨てられる廃熱からエネルギーを回収するために使用される作動流体が氷結することを基本的に防止することができる車両の廃熱回収システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によって、エンジンで排出される排気ガスの熱を利用して作動流体を加熱させる排気ガスボイラー、前記排気ガスボイラーで形成された作動流体蒸気を加熱させるスーパーヒーター、前記スーパーヒーターで発生した蒸気化された作動流体を利用して回転力を発生させるタービンを含む車両の廃熱回収システムは、前記排気ガスボイラーよりも下方に設置され、その内部に前記作動流体が貯蔵され得る設定された空間が形成されたリザーバ、前記排気ガスボイラーと前記リザーバを連結する回収ライン、前記回収ラインを開閉させるように設置される回収供給制御バルブ、および前記作動流体を前記リザーバに回収する回収条件が満足されると、前記回収供給制御バルブを制御して前記回収ラインを開放させて前記排気ガスボイラー内部の作動流体を前記リザーバに回収する制御部を含む。
【0008】
前記リザーバから前記回収供給制御バルブに形成された供給ライン、および前記供給ラインに設置されて前記リザーバに充填された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給する作動流体供給ポンプをさらに含み、供給条件が満足されると、前記制御部は、前記回収供給制御バルブと前記作動流体供給ポンプを制御して前記リザーバに貯蔵された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給することができる。
【0009】
前記リザーバに貯蔵された前記作動流体を加熱させるために前記エンジンの冷却水が前記リザーバを循環するようにする加熱ライン、および前記加熱ラインを開閉するように設置される加熱制御バルブをさらに含むことができる。
【0010】
前記制御部は、前記作動流体供給ポンプを稼動して前記リザーバに貯蔵された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給する前に、前記リザーバ内部に充填された作動流体の温度を確認し、その温度が設定された温度未満である場合、前記加熱制御バルブを開放させて前記リザーバに充填された作動流体が前記設定温度よりも高くなるようにすることができる。
【0011】
前記リザーバの内部と前記スーパーヒーターの内部を外部と選択的に連結させる外気制御バルブをさらに含むことができる。
【0012】
前記制御部は、前記排気ガスボイラーから前記リザーバに作動流体を回収する或いは前記リザーバから前記排気ガスボイラーに作動流体を供給する時、前記外気制御バルブを開放することができる。
【0013】
前記タービンを通じて回転力を発生させた後に発生した作動流体蒸気を凝縮させるコンデンサ、前記コンデンサと冷媒クーラーとの間で冷媒を循環させる冷媒循環ポンプ、前記冷媒クーラーを冷却させる冷却ファン、および前記コンデンサで生成された作動媒体の凝縮水を前記排気ガスボイラーに再供給する作動流体循環ポンプをさらに含み、前記制御部は、前記回収条件が満足されると、前記作動流体循環ポンプと前記冷却ファンを作動させて凝縮された作動流体を前記排気ガスボイラーに回収することができる。
【0014】
前記制御部は、前記リザーバの水位レベルが設定値以上に判断されると、前記回収供給制御バルブを利用して前記回収ラインを閉鎖し、前記外気制御バルブを閉鎖することができる。
【0015】
前記制御部は、前記加熱制御バルブを開放させて前記リザーバに充填された作動流体が前記設定温度よりも高くなるように暖めた後に、前記加熱制御バルブを閉鎖し、前記作動流体供給ポンプを作動させて前記リザーバに充填された作動流体を前記排気ガスボイラーに供給し、前記リザーバに充填された作動流体の水位が設定値以下に判断されると、前記作動流体供給ポンプを停止して作動流体の供給を中断し、前記外気制御バルブを閉鎖することができる。
【0016】
前記作動流体は、水であってもよい。
【0017】
前記回収条件は、エンジンの動作がオフされる条件で外気温度が設定値よりも低い条件を含むことができる。
【0018】
前記供給条件は、エンジンがオンされる条件で前記リザーバに貯蔵された作動流体の温度が設定値よりも高い条件を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムにおいて、車両が運行を停止したり外気の温度が設定値よりも低い場合に、廃熱回収システムの排気ガスボイラーに充填された作動流体をリザーバに回収して作動流体の氷結により発生される問題を根本的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムの概略的な構成図である。
図2】本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムで作動流体を回収する方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムで作動流体を供給する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムの概略的な構成図である。
【0023】
図1を参照すると、車両の廃熱回収システムは、冷媒クーラー115、インタークーラー110、エンジルラジエーター105、冷却ファン120、冷却水ポンプ125、吸気マニホールド130、エンジン135、排気マニホールド140、ターボチャージャ150、モータゼネレータ145、スーパーヒーター170、ボイラー165、EGRバルブ160、冷媒循環ポンプ195、コンデンサ190、レキュペレータ180、作動流体循環ポンプ185、タービン175、発電機172、パワー調節部197、排気ガスボイラー200、後処理装置205、流路転換バルブ210、回収供給制御バルブ215、供給ライン224、回収ライン222、作動流体供給ポンプ220、リザーバ225、加熱制御バルブ230、および加熱ライン232を含む。
【0024】
同時に、本発明の実施形態による制御部(図示せず)を含み、前記制御部はシステムで制御可能なすべての構成要素をそれぞれ制御する。
【0025】
まず、前記ターボチャージャ150のコンプレッサーにより圧縮された吸気は、前記インタークーラー110を通じて冷却されて前記吸気マニホールド130に供給され、吸気は燃料と共に前記エンジン135の燃焼室で燃焼されて前記排気マニホールド140に排出される。
【0026】
前記排気マニホールド140を通じて排出される排気ガスは、前記ターボチャージャ150のタービンを回転させ、前記後処理装置205と前記排気ガスボイラー200を通過して外部へ排出される。ここで、前記流路転換バルブ210は、排気ガスを前記排気ガスボイラー200に選択的に供給する。
【0027】
前記排気マニホールド140を通過する排気ガスは、前記スーパーヒーター170と前記ボイラー165、および前記EGRバルブ160を通じて前記吸気マニホールド130へ再循環される。
【0028】
前記排気ガスボイラー200内部に充填された作動流体(または水)は1次に加熱され、前記ボイラー165で2次に加熱され、前記スーパーヒーター170で3次に加熱される。
【0029】
前記スーパーヒーター170で過熱された蒸気化された作動流体はタービンに伝達され、前記タービンは前記発電機172を通じて電気を生成する。生成された電気は、前記パワー調節部197を通じて前記モータゼネレータ145を駆動したり別途に備えられる2次電池(図示せず)に充電される。
【0030】
蒸気化された作動流体が前記タービンを回転させた後に、前記レキュペレータ180と前記コンデンサ190を通過し、前記冷媒循環ポンプ195により循環する冷媒により作動流体は凝縮される。そして、凝縮された作動流体は、前記作動流体循環ポンプ185と流路転換バルブ210を通じて前記ボイラー165または前記排気ガスボイラー200に再分配される。
【0031】
前記ボイラー165、前記スーパーヒーター170、前記タービン175、前記レキュペレータ180、前記コンデンサ190、または前記作動流体循環ポンプ185に残った作動流体を回収するために、前記リザーバ225が備えられる。
【0032】
前記ボイラー165、前記スーパーヒーター170、前記タービン175、前記レキュペレータ180、前記コンデンサ190、または前記作動流体循環ポンプ185に残った作動流体は、自重により前記排気ガスボイラー200に集まり、設定された回収条件で前記排気ガスボイラー200に充填された作動流体は、前記リザーバ225に回収される。
【0033】
より詳細に説明すると、前記排気ガスボイラー200の下部と前記リザーバ225は回収ライン222により連結され、その中間に回収供給制御バルブ215が配置される。同時に、前記リザーバ225と前記回収供給制御バルブ215の間に供給ライン224が別途に形成され、前記供給ライン224に前記作動流体供給ポンプ220が配置される。
【0034】
制御部は、前記回収供給制御バルブ215と前記作動流体供給ポンプ220を制御して前記排気ガスボイラー200の作動流体を前記リザーバ225に回収したり前記リザーバ225の作動流体を前記排気ガスボイラー200に供給する。
【0035】
前記リザーバ225と前記スーパーヒーター170は、一つの外気制御バルブ235と連結される。ここで、前記リザーバ225と前記スーパーヒーター170内部の圧力を外部に解消させることによって作動流体の供給と回収を円滑にする。
【0036】
前記リザーバ225内部に充填された作動流体が氷結された場合、またはその温度が設定値未満である場合、前記作動流体を解凍させたり暖めるための加熱ラインが形成される。
【0037】
前記加熱ライン232は、前記エンジン135の冷却水出口→前記リザーバ→前記エンジン135の冷却水入口を循環する暖かい冷却水を利用して前記リザーバ225に貯蔵された作動流体を解凍したり暖める。
【0038】
ここで、前記制御部は、前記リザーバ225内部の温度を感知して前記加熱ライン232に設置された加熱制御バルブ230を開閉する。
【0039】
制御部は、回収条件が満足される状態で、前記冷媒循環ポンプ195、前記冷却ファン120、および前記作動流体循環ポンプ185を作動させて、システム内部の作動流体を凝縮させる。そして、凝縮された作動流体は、自重により前記排気ガスボイラー200に集まる。
【0040】
その後、制御部は、前記外気制御バルブ235を開け、前記回収供給制御バルブ215を制御して前記排気ガスボイラー200の作動流体を前記リザーバ225に回収する。そして、前記リザーバ225のレベルが設定値以上に判断されると、前記回収供給制御バルブ215を通じて前記回収ライン222を閉鎖し、前記外気制御バルブ235を閉じる。
【0041】
前記回収条件は、前記エンジン135が停止した状態で外気の温度が設定された数値よりも低い場合、または回収ボタン(図示せず)がオンされた状態を含む。
【0042】
また、制御部は、供給条件が満足される状態で、前記外気制御バルブ235を開け、前記回収供給制御バルブ215を制御し、前記作動流体供給ポンプ220を作動させて、前記リザーバ225の作動流体を前記排気ガスボイラー200に供給する。
【0043】
そして、前記リザーバ225のレベルが設定値未満に判断されると、前記作動流体供給ポンプ220を停止し、前記回収供給制御バルブ215を通じて前記回収ライン222を閉鎖し、前記外気制御バルブ235を閉じる。
【0044】
前記供給条件は、前記エンジン135が稼動される状態で、前記リザーバ225内部に充填された作動流体の温度が設定値以上である場合を含む。
【0045】
ここで、前記リザーバ225内部に充填された作動流体の温度が設定値未満である場合には、前記制御部は、前記加熱制御バルブ230を開放して前記エンジン135の暖かい冷却水を通じて前記リザーバ225内部に充填された作動流体を暖める。
【0046】
本発明の実施形態において、前記加熱制御バルブ230が開放される条件は、前記リザーバ225内部の作動流体が氷結した状態を含むことができる。
【0047】
図2は、本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムで作動流体を回収する方法を示すフローチャートである。
【0048】
図2を参照すると、回収条件が満足されたり作動流体の回収ボタンがオンされると、段階S200で回収動作が開始される。
【0049】
そして、段階S210で作動流体を凝縮させる。本発明の実施形態において、前記作動流体を凝縮させるために、前記作動流体循環ポンプ185を最大に稼動し、前記冷却ファンを最大に稼動し、前記冷媒循環ポンプ195も最大に稼動することができる。
【0050】
そして、段階S220で前記排気ガスボイラー200に集まった作動流体を回収する。本発明の実施形態において、前記作動流体を回収するために、前記外気制御バルブ235を開放し、前記回収供給制御バルブ215を通じて前記回収ライン222を開放する。
【0051】
そして、段階S230で前記リザーバ225に貯蔵された作動流体のレベルが設定値以上に判断されると、段階S240で前記回収供給制御バルブ215を通じて前記回収ライン222を閉鎖(図面で、0に制御)し、前記外気制御バルブ235を閉じる。最後に、段階S250で回収動作が完了し、回収完了灯が点灯する。
【0052】
図3は、本発明の実施形態による車両の廃熱回収システムで作動流体を供給する方法を示すフローチャートである。
【0053】
図3を参照すると、段階S300で前記エンジン135が始動される。そして、段階S310で前記リザーバ225に充填された作動流体の温度が設定値よりも大きいか判断する。ここで、前記設定値は摂氏20度である。
【0054】
前記作動流体の温度が前記設定値以下に判断されると、段階S320で前記リザーバ225に貯蔵された作動流体を加熱する動作が行われる。ここで、制御部は、前記加熱制御バルブ230を開放してエンジンの暖かい冷却水が前記作動流体を加熱するようにする。
【0055】
前記作動流体の温度が前記設定値よりも高いと判断されると、段階S330で作動流体が供給される。ここで、制御部は、前記加熱制御バルブ230を閉じ、前記外気制御バルブ235を開け、前記回収供給制御バルブ215を制御し、前記作動流体供給ポンプ220を駆動して、前記リザーバ225の作動流体を前記排気ガスボイラーに供給する。
【0056】
そして、段階S340で、前記リザーバ225のレベルが設定値未満に判断されると、段階S350が行われる。段階S350で、前記回収供給制御バルブ215を制御して前記供給ライン224または前記回収ライン222を遮断(図面で、0に制御)し、前記作動流体供給ポンプ220をオフさせ、前記外気制御バルブ235を閉じる。
【0057】
そして、段階S360で廃熱回収システムが正常に作動する。本発明の実施形態において、前記廃熱回収システムが作動する方法は公知技術を参照し、詳細な説明は省略する。
【0058】
本発明の実施形態では、多様な作動流体が使用され得るが、水を使用することによって外部に排出する廃熱をより効率的に回収することができる。
【0059】
そして、水の熱容量と比熱が高いため回収システムの大きさを減縮することができ、材質選定に有利であり、漏水に対する安定性が高い。
【0060】
同時に、作動流体として水を使用する場合、前記リザーバ225は水の氷結による膨張を考慮して材質および容量を選択することによって、氷結により発生される体積膨張の問題を解決することができる。
【0061】
また、前記リザーバ225は、密閉型構造で回収システムの最下部に位置することによって、作動流体を効果的に回収し、自然蒸発量を最小化することができる。
【0062】
以上で本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更されて均等であると認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0063】
105…エンジンラジエーター
110…インタークーラー
115…冷媒クーラー
120…冷却ファン
125…冷却水ポンプ
130…吸気マニホールド
135…エンジン
140…排気マニホールド
145…モータゼネレータ
150…ターボチャージャ
160…EGRバルブ
165…ボイラー
170…スーパーヒーター
172…発電機
175…タービン
180…レキュペレータ
185…作動流体循環ポンプ
190…コンデンサ
195…冷媒循環ポンプ
197…パワー調節部
200…排気ガスボイラー
205…後処理装置
210…流路転換バルブ
215…回収供給制御バルブ
220…作動流体供給ポンプ
222…回収ライン
224…供給ライン
225…リザーバ
230…加熱制御バルブ
232…加熱ライン
235…外気制御バルブ
図1
図2
図3