特許第6116987号(P6116987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116987
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】ヘッドボックスの取付ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/323 20060101AFI20170410BHJP
   E06B 9/36 20060101ALI20170410BHJP
   A47H 5/08 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   E06B9/323
   E06B9/36 C
   A47H5/08
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-88873(P2013-88873)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-211059(P2014-211059A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 慶弘
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−249880(JP,A)
【文献】 実開平3−92297(JP,U)
【文献】 米国特許第5195570(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24− 9/388
A47H 1/00− 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラケット本体と、前記ブラケット本体に対してスライド可能に支持されるスライドブロックと、前記スライドブロックを前記ブラケット本体から離れる方向に付勢する付勢部材とを備え、
前記ブラケット本体は、前記ヘッドボックスの前縁を支持する本体掛止部を2つ備え、前記スライドブロックは、前記ヘッドボックスの後縁を支持するスライドブロック掛止部を備え、前記本体掛止部と前記スライドブロック掛止部によって前記ヘッドボックスの前後両縁を支持可能であるヘッドボックスの取付ブラケットであって、
以下の(1)〜(2)の少なくとも1つの特徴を有する、ヘッドボックスの取付ブラケット。
(1)前記前縁を前記本体掛止部で支持し且つ前記後縁を前記スライドブロック掛止部で支持していない仮止状態で前記前縁が前記本体掛止部から外れることを防ぐ係止部を前記2つの本体掛止部のうちの一方のみに備え、前記本体掛止部と前記スライドブロック掛止部によってヘッドボックスの前後両縁を支持した状態では両方の前記本体掛止部が前記ヘッドボックスから加わる荷重を受ける。
(2)前記前縁を前記本体掛止部で支持し且つ前記後縁を前記スライドブロック掛止部で支持していない仮止状態で前記前縁が前記本体掛止部から外れることを防ぐ係止部を前記2つの本体掛止部のうちの一方又は両方に備え、前記仮止状態で前記前縁を前後方向に移動可能な距離が前記前縁の板厚以上である。
【請求項2】
前記ブラケット本体は、上壁と、前記上壁の両側から下方に向けられた第1及び第2側壁とを備え、
前記2つの前記本体掛止部は、第1及び第2側壁に形成される、請求項1に記載の取付ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、横型ブラインド、縦型ブラインド、たくし上げカーテン、プリーツスクリーン、ロールブラインド等の日射遮蔽装置のヘッドボックスの取り付けに利用される取付ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の取付ブラケットは、ブラケット本体に、弾性を有する合成樹脂等で形成されたスライドブロックをスライド可能に支持している。そして、スライドブロックを待機位置に保持した状態でヘッドボックスの前縁をブラケット本体に掛止めし、この状態でヘッドボックスでスライドブロックの係止片を押圧することにより、スライドブロックを付勢手段の付勢力でヘッドボックス保持位置までスライドさせてヘッドボックスの他側を係止するようになっている。
【0003】
ヘッドボックスの取り付けには、通常、複数の取付ブラケットが用いられる。最初に、複数の取付ブラケットを天井面や壁面に取り付け、その後、ヘッドボックスの前縁を全ての取付ブラケットのブラケット本体の掛止部に支持させる。そして、その状態で、ヘッドボックスの後縁をスライドブロックの掛止部で係止することによって、ヘッドボックスを取付ブラケットに取り付ける。
【0004】
この作業は、複数の取付ブラケットの前後方向の位置が揃っていればスムーズに行うことができるが、特に取付ブラケットを天井面に取り付ける際には前後方向の位置がずれてしまう場合があり、その場合、ヘッドボックスの前縁をブラケット本体の掛止部に支持させることが困難になる場合がある。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献2では、取付ブラケットの掛止部を、幅方向中央に設けた薄肉の1つのフックとすることによって、複数の取付ブラケットの前後方向の位置がずれている場合でもヘッドボックスの取り付けを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3150555号
【特許文献2】実開平1−114798号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の取付ブラケットは、ブラケット本体の掛止部が中央の1つのフックで構成されているので、特許文献1のようにブラケット本体の幅方向の両側に1つずつのフックを有するタイプの取付ブラケットに比べると、ヘッドボックスの支持が不安定になる傾向があり、かつ耐荷重の上限も小さくなる傾向がある。このため、日射遮蔽装置の使用環境によっては、最悪の場合にはヘッドボックスが取付ブラケットから外れてしまう状況も想定される。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッドボックスの取り付けが容易であり、かつヘッドボックスを安定して支持することができる取付ブラケットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ブラケット本体と、前記ブラケット本体に対してスライド可能に支持されるスライドブロックと、前記スライドブロックを前記ブラケット本体から離れる方向に付勢する付勢部材とを備え、前記ブラケット本体は、前記ヘッドボックスの前縁を支持する本体掛止部を2つ備え、前記スライドブロックは、前記ヘッドボックスの後縁を支持するスライドブロック掛止部を備え、前記本体掛止部と前記スライドブロック掛止部によって前記ヘッドボックスの前後両縁を支持可能であるヘッドボックスの取付ブラケットであって、以下の(1)〜(2)の少なくとも1つの特徴を有する、ヘッドボックスの取付ブラケットが提供される。
(1)前記前縁を前記本体掛止部で支持し且つ前記後縁を前記スライドブロック掛止部で支持していない仮止状態で前記前縁が前記本体掛止部から外れることを防ぐ係止部を前記2つの本体掛止部のうちの一方のみに備え、前記本体掛止部と前記スライドブロック掛止部によってヘッドボックスの前後両縁を支持した状態では両方の前記本体掛止部が前記ヘッドボックスから加わる荷重を受ける。
(2)前記前縁を前記本体掛止部で支持し且つ前記後縁を前記スライドブロック掛止部で支持していない仮止状態で前記前縁が前記本体掛止部から外れることを防ぐ係止部を前記2つの本体掛止部のうちの一方又は両方に備え、前記仮止状態で前記前縁を前後方向に移動可能な距離が前記前縁の板厚以上である。
【0010】
特許文献2のようにブラケット本体の掛止部を1つのフックにすればヘッドボックスは取り付けやすくなるが、その代償として取り付け後の安定性が低下する傾向があるので、ヘッドボックスが取り付けやすく且つその後にも安定して支持されるという施工性と安定性を両立させることは容易ではない。
【0011】
本発明者はこのような状況において、施工性と安定性を両立させることができる取付ブラケットを開発すべく鋭意検討を行ったところ、ブラケット本体に2つの本体掛止部を設け、(1)その一方のみにヘッドボックスの前縁が本体掛止部から外れることを防ぐ係止部を設けるか、(2)仮止め状態で前記前縁を本体掛止部内で前後方向に移動可能な距離が前記前縁の板厚以上である、という構成を採用することによって、安定性が損なわれることなく施工性が向上することが分かり、本発明の完成に到った。
【0012】
重要な点は、本発明では、本体掛止部が2つであることを前提としていることである。本体掛止部が1つであると安定性が損なわれる傾向があるからである。そして、その前提を保ちつつ上記の(1)〜(2)の少なくとも一方の構成を採用することによって、施工性と安定性を両立させることに成功した。
【0013】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記ブラケット本体は、上壁と、前記上壁の両側から下方に向けられた第1及び第2側壁とを備え、前記2つの前記本体掛止部は、第1及び第2側壁に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の取付ブラケット3の斜視図である。
図2図1の取付ブラケット3の分解斜視図である。
図3図3(a)は図2の領域Aの拡大図であり、図3(b)は別の角度から見た斜視図であり、図3(c)は、図1の領域Aの拡大図である。
図4図2を別の角度から見た斜視図である。
図5図5は、スライドブロック7をブラケット本体5に取り付ける方法の説明図であり、図5(a),(c),(e)は右側面図であり、(b),(d),(f)は、図6(b)の断面Cに対応した断面図である。
図6図6は、ヘッドボックス1を取付ブラケット3に取り付けている途中の図であり、図6(a)は右側面図、図6(b)は図6(a)からブラケット本体5の上壁5bを取り除いた平面図であり、図6(c)〜(e)は図6(b)中の断面A〜Cに対応する断面図である。
図7図7は、ヘッドボックス1を取付ブラケット3に取り付けた後の図であり、図7(a)〜(d)は、図6(a)〜(c)及び(e)に対応する図である。
図8図8(a)は、図6(a)中の領域Xの拡大図であり、図8(b)は、図6(e)中の領域Yの拡大図であり、図8(c)は、図9に示すように取付ブラケット3の前後方向の位置がずれた場合の図8(b)に対応する図である。図8(d)は、図7(a)中の領域Xの拡大図であり、図8(e)は、図7(d)中の領域Yの拡大図であり、図8(f)は、図9に示すように取付ブラケット3の前後方向の位置がずれた場合の図8(e)に対応する図である。
図9】複数の取付ブラケット3の前後方向の位置が互いにずれている状態を示す、取付ブラケット3を下から見た底面図である。
図10図10(a)〜(f)は、本発明の第2実施形態の取付ブラケット3を示す、図8(a)〜(f)に対応した図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態の取付ブラケット3を示す、図7(c)に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0016】
1.第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態の取付ブラケット3の全体構成を説明する。
図1図9に示すように、ヘッドボックス1を取着可能である取付ブラケット3は、ブラケット本体5と、ブラケット本体5に対してスライド可能に支持されるスライドブロック7と、スライドブロック7をブラケット本体5から離れる方向に付勢するコイルスプリング(付勢部材)9とを備える。通常、ブラケット本体5は、金属板を折り曲げて形成され、スライドブロック7は、弾性を有する合成樹脂で成形される。
【0017】
ブラケット本体5は、第1及び第2本体掛止部5ac,5adを備え、スライドブロック7は、スライドブロック掛止部7aを備える。図6図7に示すように、本体掛止部5ac,5adとスライドブロック掛止部7aによってヘッドボックス1の前後両縁1a,1bが支持されることによって、ヘッドボックス1が取付ブラケット3に固定される。図1図2に示すように、2つの本体掛止部5ac,5adのうち、一方(第1本体掛止部5ac)にのみ、ヘッドボックス1の前縁1aが本体掛止部5ac,5adから外れることを防ぐ係止部5tcが設けられる。係止部5tcを両方の本体掛止部5ac,5adに設けた場合に比べて、複数の取付ブラケット3の前後方向の位置がずれた場合でもヘッドボックス1を本体掛止部5ac,5adに支持させることが容易になり、施工性が向上し且つヘッドボックス1を取り付け後の安定性が向上する(後で詳細に説明する)。
【0018】
ブラケット本体5は、上壁5bと、上壁5bの両側から下方に向けられた側壁5c,5dとを備える。側壁5c,5dは、通常、上壁5bの両側を直角に折り曲げて形成される。本体掛止部5ac,5adは、フック状の本体掛止部5ac,5adが残るように側壁5c,5dを切り抜いて形成される。スライドブロック7は、本体部7bの両側面から突出する係合凸部7c、7dを備える。側壁5c,5dは、係合凸部7c、7dと係合して前記スライドブロック7をブラケット本体5に対してスライド可能に支持するスライド孔5cs,5dsを備える。ブラケット本体5は、垂直な壁面への取り付けに用いる垂直壁5hも備える。上壁5b及び垂直壁5hには、それぞれ取付孔5bh,5hhが設けられており、取付孔5bh,5hhにビスを挿通させて、取付ブラケット3を天井面又は壁面(図示せず)に固定する。
【0019】
図2及び図7に示すように、ブラケット本体5は、ヘッドボックス1の上面に対向する領域1cにおいては、側壁5c,5dの何れからも内側方向への突出部を備えておらず、ヘッドボックス1の上面に対向しない領域1dにおいてスライドブロック掛止部7aに加わる荷重を受ける支持部5eを備える。図7に示すように、支持部5eは、本体掛止部5ac,5adとスライドブロック掛止部7aによってヘッドボックス1が支持されている状態においてスライドブロック掛止部7aを下側から支持可能な位置に設けられる。支持部5eは、側壁5c,5dをそれぞれ内側に折り曲げて形成される。また、支持部5eは、スライドブロック掛止部7aよりも幅方向外側に位置する後方側部7ce,7deにおいてスライドブロック7を支持する。図7に示すように、本体掛止部5ac,5adとスライドブロック掛止部7aによってヘッドボックス1が支持されている状態では、後方側部7ce,7deの下面は、ヘッドボックス1の後縁1bと略同じ高さになる。
【0020】
スライドブロック7は、幅方向外側に突出する仮止突出部7gを有する仮止アーム7fを備える。仮止突出部7gは、図3に示すように、幅方向外側に向かって低くなる上側テーパー面7gaが設けられている。ブラケット本体5には、ヘッドボックス1を支持するときよりも、図6に示すように本体掛止部5ac,5adとスライドブロック掛止部7aが離れた状態で仮止突出部7gを係止する仮止係止部5gを備える。図3に示すように、仮止係止部5gは、前側テーパー面5gfを前側に有し、仮止係止部5gの後側の後側切欠5cuの上面には、幅方向内側に向いたテーパー面5ctが設けられる。さらに、仮止突出部7gは、図3に示すように、仮止係止部5gによって係止される前側係止面7gcを前側に有し、幅方向内側に傾斜する後側テーパー面7gbを後側に有し、下側に突出する下側突起7guを下側に有する。
【0021】
図4に示すように、スライドブロック7の後方側部7deから前方に向かって、コイルスプリング9を収容するコイルスプリング収容部7iが設けられる。図6(d)に示すように、コイルスプリング収容部7iの底面には、コイルスプリング9の直径よりも幅が狭い溝7jが設けられる。このような溝7jを設けることによってコイルスプリング9の落下を防ぎつつ、できるだけ直径が大きいコイルスプリング9を使用することを可能にしている。ブラケット本体5には、上壁5bからコイルスプリング収容部7i内に突出するコイルスプリング当接部5iを備える。
【0022】
次に、本実施形態の取付ブラケット3の組立方法について説明する。
まず、図5(a)〜(b)に示すように、ブラケット本体5と、スライドブロック7と、コイルスプリング9を準備し、コイルスプリング9をスライドブロック7のコイルスプリング収容部7i内に収容する。
次に、図5(c)〜(d)に示すように、スライドブロック7の後方側部7ce,7deを、ブラケット本体5の支持部5eと上壁5bの間に挿入する。この際、コイルスプリング9の一端をコイルスプリング当接部5iに当接させる。
そのまま、スライドブロック7を押し込み、かつ係合凸部7c,7dをスライド孔5cs,5dsに係合させて、図5(e)〜(f)に示す状態にして、取付ブラケット3の組み立てが完了する。係止凸部7c,7dは、ブラケット本体5の下側から側壁5c,5dを乗り越えて、スライド孔5cs,5dsに係合させるので、この係合に必要な力を低減するように、図4に示すように、係合凸部7c,7dの上側の面には、幅方向外側に向かって低くなるテーパー面7ct,7dtが形成されている。
【0023】
また、図4に示すように、係合凸部7c,7dは、スライドブロック7に設けられた両持ちアーム7ca,7daに設けられている。片持ちアームではなく両持ちアーム7ca,7daに設けられているので、係合凸部7c,7dを幅方向の内側に押し込むには比較的強い力が必要であり、そのため、係合凸部7c,7dは、スライド孔5cs,5dsからは容易に外れない。このために、係合凸部7c,7dは、スライドブロック7を支持する支持部として機能する。従来技術においては、片持ちアームに係合凸部が設けられているものがあるが、このような係合凸部は弱い力でも幅方向の内側に押し込まれてしまい、支持部としては機能しない。
【0024】
次に、取付ブラケット3にヘッドボックス1を取り付ける方法について説明する。
まず、ヘッドボックス1を取り付ける前に、図6に示すように、スライドブロック7をブラケット本体5の方向に押し込んで、仮止突出部7gを仮止係止部5gに係合させる。これによって、スライドブロック7が仮止めされて、スライドブロック掛止部7aが本体掛止部5ac,5adから離れた状態で保持される。より詳しくは、スライドブロック7をブラケット本体5の方向に押し込むと、最初に図3に示す後側テーパー面7gbが仮止係止部5gの前側テーパー面5gfに当接し、そのまま押しこむと仮止アーム7fが弾性変形して仮止突出部7gが幅方向内側に押し込まれて側壁5cの内側に入り込み、その状態からスライドブロック7をさらに押し込むと、仮止突出部7gが仮止係止部5gを乗り越えて、後側切欠5cu内に入り込む。そして、仮止突出部7gの前側係止面7gcが仮止係止部5gに係止される。スライドブロック7は、コイルスプリング9によってブラケット本体5から離れる方向に付勢されているが、前側係止面7gcが仮止係止部5gによって係止されることによって、スライドブロック7の前方への移動が阻止される。なお、スライドブロック7は、仮止突出部7gとは反対側の側面に低い突起7kを有し、この突起7kがブラケット本体5の側壁5dに当接して、ブラケット本体5に対するスライドブロック7の幅方向のガタつきを低減して、仮止突出部7gが仮止係止部5gから外れることを防いでいる。
【0025】
次に、図6図7に示すように、ヘッドボックス1の前縁1aを本体掛止部5ac,5adに支持させながら、ヘッドボックス1の後側を持ち上げて、ヘッドボックス1の後縁1bをスライドブロック掛止部7aに支持させる。この際、ヘッドボックス1の後側の上面1eが、仮止突出部7gの下側にある下側突起7guに当接して、仮止突出部7gを上方に押し上げる。図3に示すように、仮止突出部7gの上側の面には、幅方向外側に向かって低くなる上側テーパー面7gaが設けられているので、仮止突出部7gが押し上げられると、仮止突出部7gは幅方向内側に押し込まれて側壁5cの内側に入り込むことにより、前側係止面7gcと仮止係止部5gとの係合が外れる。これによって、コイルスプリング9による付勢力によりスライドブロック7がブラケット本体5から離れる方向に移動し、本体掛止部5ac,5adとスライドブロック掛止部7aの間の距離が狭まって、図7に示すように、本体掛止部5ac,5adとスライドブロック掛止部7aの間にヘッドボックス1が保持される。なお、後側切欠5cuの上面には幅方向外側に向かって低くなるテーパー面5ctが設けられているので、上側テーパー面7gaと側壁5cとが面で接触して上側テーパー面7gaの摩耗が低減され、かつ仮止突出部7gが幅方向内側に移動しやすくなっている。さらに、仮止係止部5gの後側には、前側テーパー面5gfが設けられているので、仮止突出部7gが幅方向内側に押し込まれた状態から開放されて、図3(c)に示すような、前側切欠5cf内に入った状態に戻りやすい。
【0026】
スライドブロック7の前側では、係合凸部7c,7dの下面がスライド孔5cs,5dsで支持され、後側では、後方側部7ce,7deが支持部5eで支持される。ヘッドボックス1からの荷重の多くは、スライドブロック掛止部7aを通じてスライドブロック7の後側に加わるので、ヘッドボックス1の上面に対向する領域1cでは、ブラケット本体5を内側に突出させて別の支持部を設けなくても、スライドブロック7が外れることがない。
【0027】
ここで、図8図9を用いて、ヘッドボックス1を取付ブラケット3に取り付ける際の、ヘッドボックス1の前縁1aと、本体掛止部5ac,5adと状態について詳細に説明する。
図8(a)に示すように、ヘッドボックス1の前縁1aの先端は下方向に突出しており、この前縁突出部1atが、第1本体掛止部5acの係止部5tcによって係止される。これによって、前縁1aが本体掛止部5ac,5adで支持され且つ後縁1bがスライドブロック掛止部7aで支持されていない仮止状態において、前縁1aが本体掛止部5ac,5adから外れることを防ぐことができる。
【0028】
2つの本体掛止部5ac,5adのうち、第1本体掛止部5acには係止部5tcが設けられているが、図8(b)に示すように、第2本体掛止部5adには係止部5tcが設けられていない。そのため、ヘッドボックス1の前縁1aは第2本体掛止部5adでは拘束されておらず、図8(b)の矢印Aで示す方向に移動可能である。
【0029】
図9に示すように、2つの取付ブラケット3の前後方向の位置が距離dだけずれている場合、第1本体掛止部5acに対する前縁1aの相対位置は図8(a)のまま変わらないが、第2本体掛止部5adに対する前縁1aの相対位置は、図8(c)のように変わることができる。このため、図9のような状態の場合でも特に問題なく、前縁1aを本体掛止部5ac,5adで支持することができ、施工性に優れている。
【0030】
また、後縁1bをスライドブロック掛止部7aで支持させた後は、図8(d)に示すように、前縁1aが第1本体掛止部5acで支持され、かつ図8(e)〜(f)に示すように、前縁1aの前縁突出部1atが第2本体掛止部5adで支持される。このように、ヘッドボックス1の前縁1aは、本体掛止部5ac,5adの両方で支持されるので、安定性に優れている。
【0031】
以上のように、本実施形態では、本体掛止部5ac,5adの一方のみに係止部5tcが設けられているので、施工性及び安定性に優れている。
【0032】
2.第2実施形態
図10を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、本体掛止部5ac,5ad及び前縁1aの前後方向の長さが第1実施形態よりも長くなっている。このため、図10(a)に示すように、前縁1aが本体掛止部5ac,5adに支持されている状態でも、前縁1aは、距離Sだけ前後方向に移動可能になっている。従来では本体掛止部5ac,5adに前縁1aを支持させた状態では、前縁1aを前後方向に移動可能な範囲は通常は板厚の0.5倍程度であった。本実施形態では、この可動距離Sを、前縁1aの板厚Tの1倍以上とすることによって、図9に示すように取付ブラケット3の位置が距離dだけ前後方向にずれている場合でも前縁1aを本体掛止部5ac,5adに容易に支持させることができるようにした。S/Tの値は、施工性の観点からは大きい方が好ましいが、この値が大きいほど、取付ブラケット3がヘッドボックス1から部屋内側に大きく突き出て美観を害することになるので、必要以上に大きくない方が好ましく、施工性と美観の観点からS/Tは、1〜3が好ましく、1.5〜2.5がさらに好ましい。
【0033】
本実施形態では、図10に示すように、第2本体掛止部5adにも係止部5tcが設けられているが、第2本体掛止部5adに対する前縁1aの相対位置は、図10(c)のように変わることができるので、取付ブラケット3の位置が前後方向にずれている場合でも、ヘッドボックス1を容易に取り付けることができる。
【0034】
なお、本実施形態においても、係止部5tcは、第1本体掛止部5acのみに設けることが好ましい。この場合、取付ブラケット3がヘッドボックス1から部屋内側に突き出る長さを変えることなく、施工性を向上させることができるからである。
【0035】
3.第3実施形態
図11を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
第1及び第2実施形態では、スライドブロック掛止部7aに加わる荷重を後方側部7ce,7deに当接する支持部5eで受けていたが、本実施形態では、図11に示すように、支持部5eは、スライドブロック掛止部7aの下面7hに当接するように設けられる。その場合、支持部5eは、ブラケット本体5の垂直壁5hを切り曲げて形成することができる。
【0036】
第1〜第3実施形態の取付ブラケット3は、以下の態様で実施することもできる。
・垂直壁5hは、必須ではなく、省略可能である。
・上記実施形態では、本体掛止部5ac,5adが前後方向の外側から前縁1aを支持する内掛け式であるが、本体掛止部5ac,5adが前後方向の内側から前縁1aを支持する外掛け式であってもよい。
・上記実施形態ではスライドブロック7の係合凸部7c,7dを、スライド孔5cs,5dsに係合させることによって、ブラケット本体5がスライドブロック7を支持する構成になっているが、このような構成に限定されず、従来技術のように、ブラケット本体5の側壁5c,5dを、ヘッドボックス1の上面に対向する領域1cにおいて幅方向内側に折り曲げてスライドブロック7を支持するように構成してもよい。
・スライドブロック7の仮止めは必須ではなく、仮止アーム7fと仮止突出部7gは必須ではない。
【符号の説明】
【0037】
1:ヘッドボックス
1a:前縁
1b:後縁
1c:ヘッドボックス1の上面に対向する領域
1d:ヘッドボックス1の上面に対向しない領域
3:取付ブラケット
5:ブラケット本体
5ac,5ad:本体掛止部
5tc:係止部
7:スライドブロック
7a:スライドブロック掛止部
9:コイルスプリング
図1
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