特許第6117004号(P6117004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117004
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20170410BHJP
   D06F 39/10 20060101ALI20170410BHJP
   D06F 39/12 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   D06F39/08 301A
   D06F39/08 301B
   D06F39/10 Z
   D06F39/12 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-115460(P2013-115460)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-233364(P2014-233364A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大藪 起也
(72)【発明者】
【氏名】小松 守正
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−052627(JP,A)
【文献】 特許第3727279(JP,B2)
【文献】 特開昭61−122897(JP,A)
【文献】 特開2010−119633(JP,A)
【文献】 特開2005−334118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08−39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配設された洗濯槽と、給水源に接続される給水弁と、この給水弁の下流側に接続され当該給水弁から供給される水を浄化する浄水器とを備え、前記浄水器を通過した水を前記洗濯槽内に供給する構成の洗濯機において、
前記給水弁と前記浄水器を、前記洗濯機本体に固定される共通の取付台に設置し
前記洗濯機本体は、前記取付台、並びにこれに設置された前記給水弁および前記浄水器を収納する収納部を備え、
前記取付台は、前記収納部内での高さを所定位置に保持する高さ調整部を有していることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記取付台に、前記浄水器を通過した水を前記洗濯槽内へ案内する注水部を一体成形により設けたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記洗濯機本体は、前記収納部を覆うカバーを備え、
前記カバーには前記浄水器の上部を露出させる開口部が設けられ、
前記取付台には、前記開口部と前記浄水器との間に形成される隙間から前記収納部内に浸入する水を受ける第1水受け部と、この第1水受け部にて受けた水を前記洗濯槽側へ導く第1導水部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記取付台には、前記給水弁と前記浄水器との接続部分から漏水した場合の水を受ける第2水受け部と、この第2水受け部にて受けた水を前記洗濯槽側へ導く第2導水部が設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の洗濯機。
【請求項5】
前記収納部内に、前記カバーにおける前記開口部と前記浄水器との間に形成される前記隙間から前記収納部内に浸入する水を前記第1水受け部内に案内する水案内部材を備えたことを特徴とする請求項記載の洗濯機。
【請求項6】
前記浄水器は浄水器ケースを備え、
前記取付台に、前記浄水器ケースを一体成形により設けたことを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の洗濯機。
【請求項7】
前記給水弁は、当該給水弁と前記浄水器との接続部に対して当該給水弁を挟んだ反対側に電気接続部を備えていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機において、機外の給水源である例えば水道の蛇口にホースを介して接続される給水弁と、この給水弁から供給される水を浄化する浄水器(不純物除去装置)を備え、その浄水器を通過した水を洗濯槽内へ供給する構成のものが提案されている。従来では、前記給水弁と浄水器は、洗濯機本体の後部に設けられた後パネルの収納部にそれぞれ個別に取り付けられていて、その収納部内でこれら給水弁と浄水器とが接続されている。
【0003】
しかしながら、給水弁と浄水器を収納部内にそれぞれ個別に取り付ける構成の場合、それら給水弁と浄水器を独立して取り扱う必要がある。また、給水弁と浄水器を接続する際に、接続部同士の芯合わせがし難く、接続部分での水漏れが発生しやすいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3727279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、給水弁と浄水器を備えたものにおいて、それら給水弁と浄水器をユニット化できて取り扱い性を向上でき、しかも給水弁と浄水器の接続部分での芯合わせが容易にできて、その接続部分での水漏れを発生し難くできる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の洗濯機は、洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配設された洗濯槽と、給水源に接続される給水弁と、この給水弁の下流側に接続され当該給水弁から供給される水を浄化する浄水器とを備え、浄水器を通過した水を洗濯槽内に供給する構成のものである。そして、給水弁と浄水器を、洗濯機本体に固定される共通の取付台に設置し、前記洗濯機本体は、前記取付台、並びにこれに設置された前記給水弁および前記浄水器を収納する収納部を備え、前記取付台は、前記収納部内での高さを所定位置に保持する高さ調整部を有している
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による洗濯機上部の外観斜視図
図2図1のX2−X2線に沿う縦断側面図
図3】バックカバーを外した状態で給水弁・浄水器ユニットを配設した部分を後方から見た概略的な斜視図
図4】給水弁・浄水器ユニットを示す図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図
図5】取付台と給水弁と浄水器ケースをユニット化した状態での斜視図
図6】取付台と給水弁と浄水器ケースの分解斜視図
図7】浄水器の分解斜視図
図8】第2実施形態による図5相当図
図9】浄水器ケースを一体化した取付台と給水弁の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による洗濯機を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図7を参照して説明する。図1に示す洗濯機は、縦軸型の全自動洗濯機である。この洗濯機の洗濯機本体1の外殻は、矩形の筒状をなす外箱2と、この外箱2の上部に装着されたトップカバー3を備えている。トップカバー3は、例えば合成樹脂製で、矩形枠状をなしていて、中央部に洗濯物出入口4(図2参照)を有している。トップカバー3の上面部には、その洗濯物出入口4を開閉する外蓋5が設けられている。外蓋5は、この場合二つ折れで、後端部が図示しない軸を介してトップカバー3に回動可能に支持されている。トップカバー3の上面の前部には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6の裏側には、図示はしないが制御装置が設けられている。制御装置は例えばマイクロコンピュータを主体に構成されていて、操作パネル6における操作に基づき洗濯機の動作を制御する機能を有している。
【0009】
トップカバー3の後部には、図2および図3に示すように収納部7が設けられていて、この収納部7内に、給水弁8や浄水器9、さらには図示はしないが水位センサなどが収納されている。収納部7は、この場合、上面と後面が開放されている。トップカバー3には、収納部7の上面と後面の開口部を覆うようにバックカバー10が着脱可能に装着されている。バックカバー10は、収納部7を覆うカバーとして機能する。
【0010】
外箱2内には、図2に示すように洗濯槽11が配設されている。洗濯槽11は、この場合、貯水が可能な水槽12と、この水槽12内に収容された回転槽13との二槽構造となっている。水槽12は、円筒容器状をなしていて、外箱2に図示しない弾性吊持機構により弾性的に吊持されている。回転槽13は、水槽12と同様に円筒容器状をなしていて、図示はしないが周壁部に多数の脱水孔が形成されている。回転槽13の上面開口部は前記洗濯物出入口4の下方に位置していて、前記洗濯物出入口4を通してこの回転槽13に洗濯物が出し入れ可能に収容される。回転槽13内の底部には、図示はしないが洗濯物を撹拌する撹拌体が設けられている。回転槽13および撹拌体は、図示しない駆動手段により回転される。洗濯物を洗う洗い時やすすぎ時には撹拌体が低速度で正逆回転される。脱水時には回転槽13が一方向へ高速回転され、洗濯物が遠心脱水される。
【0011】
水槽12の上部には環状をなす槽カバー14が装着されている。回転槽13の上部には、バランスリング15が装着されている。水槽12の底部には、図示はしないが排水口が設けられ、この排水口に排水弁を介して排水ホースが接続されている。排水弁が開放されることに伴い、水槽12内ひいては回転槽13内の水は、排水弁および排水ホースを介して機外に排出される。
【0012】
次に、前記給水弁8と浄水器9の構造および取付構造について、図3から図7も参照して説明する。給水弁8と浄水器9は共通の取付台16に設置され、給水弁・浄水器ユニット17としてユニット化された状態で前記収納部7内に配設されている。
【0013】
このうち、取付台16は、例えば合成樹脂により一体成形されたものであり、図6に示すように左右方向にやや長い矩形状の容器状をなしていて、前部に注水部18が一体に設けられている。この取付台16には、右側に前後および右側面が壁により囲まれた容器状の第1水受け部20が設けられ、左側にも前後および左側面が壁により囲まれた容器状の第2水受け部21が設けられている。この場合、第1水受け部20と第2水受け部21とを左右に分ける区画壁25には切欠部25aが形成されていて、その切欠部25aを通して右側の第1水受け部20と左側の第2水受け部21は連通状態とされている。第1水受け部20内には、ねじ取付穴22aを有する浄水器取付部22がこの場合3箇所に設けられている。取付台16の底部において第1水受け部20の底部を構成する部位には、図4(e)に示すように、前部の注水部18寄りに位置させて貫通孔からなる第1排水口23が2個形成されている。第1排水口23は、第1水受け部20にて受けた水を下方の洗濯槽11に導く第1導水部として機能する。
【0014】
取付台16における第2水受け部21内には、ねじ取付穴24aを有する給水弁取付部24がこの場合前後2箇所に設けられている。この場合、第1水受け部20と第2水受け部21とは連通状態となっているため、第2水受け部21にて受けた水も前記第1排水口23から洗濯槽11に導かれるようになる。第1排水口23は、第2水受け部21の水を洗濯槽11に導く第2導水部を兼ねている。取付台16の底部下面には、第2水受け部21の下方に位置させてリブからなる高さ調整部26(図4(b)、(c)、(e)参照)が下方に向けて一体に突設されている。この高さ調整部26は、図2に示すように取付台16を収納部7内に配設した際に、収納部7内における取付台16のうち第2水受け部21側の高さを所定位置に保持するためのもので、下端部が収納部7内の受部7aに当接している。
【0015】
取付台16の前部に設けられた注水部18は、前方を向いた矩形状の後面壁18aの周囲を周囲壁18bで囲んだ構成となっていて、後面壁18aの上部に、前後方向に貫通した接続口27が一体に設けられている。接続口27は、円筒状をなしていて、後方の第1水受け部20内に向けて突出している。注水部18の前面には、図2に示すように、接続口27を前方から覆うように注水カバー28が着脱可能に装着される。注水部18と注水カバー28との間の下部には注水口29が形成されている。この注水口29は、図2に示すように回転槽13の上面開口部の上方に位置していて、接続口27から供給される水が、その注水口29を通して前記洗濯槽11内に供給されるようになっている。
【0016】
給水弁8は、電磁弁式のもので、図6に示すように、弁本体31と、水の入口となるホース接続口32と、水の出口となる出水口33と、電気接続部34を備えている。弁本体31の内部に、図示しない電磁弁が設けられている。ホース接続口32は、円筒状をなしていて、弁本体31の上部に上向きに設けられている。このホース接続口32には、機外の給水源である図示しない水道の蛇口に接続された給水ホースの先端部が挿入接続される。出水口33は、円筒状をなしていて、弁本体31において図6の右側部に右向きに設けられている。電気接続部34は、弁本体31において前記出水口33とは反対側となる、図6の左側部に前向き設けられている。弁本体31の上部には、前後に被取付部35が一体に設けられている。各被取付部35には、前後方向に長く形成されたねじ挿通用のスリット36が設けられている。そして、給水弁8は、弁本体31を取付台16の第2水受け部21の上方に位置させた状態で、各被取付部35のスリット36に挿通したねじS1(図3参照)の先端部を、対応する給水弁取付部24のねじ取付穴24aにねじ込むことにより、取付台16上に設置される。なお、図4および図5においては、取付用のねじS1は図示を省略している。
【0017】
浄水器9は、図7に示すように、浄水器ケース39と、抗菌剤40を収容した抗菌剤ケース41と、ろ過用のフィルタ42と、このフィルタ42を取り付けるフィルタコア43と、キャップ44とを備えている。このうち浄水器ケース39は、例えば合成樹脂製で、上面が開口した円筒容器状をなしている。この浄水器ケース39の下部には、給水弁8側となる左側部に円筒状をなす接続口45が左向きに突設され、また、注水部18側となる前部に円筒状をなす出水口46が前向きに突設されている。また、浄水器ケース39の下部には、取付台16の前記浄水器取付部22に対応して3個の被取付部47が一体に設けられている。各被取付部47には、ねじ挿通孔47aが形成されている。
【0018】
浄水器ケース39内には、図2に示すように、前記接続口45と連通する案内筒48が一体に設けられている。案内筒48は、上に向けられている。抗菌剤40を収容する抗菌剤ケース41は、中央部に円筒状の嵌合部49を有していて、この嵌合部49を案内筒48に嵌合させることにより、浄水器ケース39内の下部において案内筒48の周りに配置されている。抗菌剤ケース41には、収容した抗菌剤40に水が接触するように通水孔41aが形成されている。ここで用いられる抗菌剤40の成分などについては、後述する。
【0019】
フィルタコア43は、浄水器ケース39内において抗菌剤ケース41の上方に配置されている。このフィルタコア43は、円板状の天井壁50の下部に開口部からなる複数の通水部51を有する円筒状のフィルタ装着部52を一体に有している。フィルタ装着部52の外周面側には、当該フィルタ装着部52を外側から覆うようにフィルタ42が装着されている。浄水器ケース39内において、フィルタ42の外面と浄水器ケース39の内周面との間には空間部53(図2参照)が形成されている。キャップ44は、浄水器ケース39の上部に着脱可能に装着され、その装着状態で浄水器ケース39の上面開口部を閉鎖している。浄水器ケース39の外周面の上部には鍔部39aが一体に設けられていて、浄水器ケース39の上部に装着されたキャップ44と鍔部39aとの間にシール部材54(図2参照)が設けられている。
【0020】
浄水器ケース39は、左部の接続口45を給水弁8の出水口33に嵌合接続するとともに、前部の出水口46を注水部18の接続口27に挿入接続した状態で、3箇所の各被取付部47のねじ挿通孔47aに挿通したねじS2(図3参照)を、対応する浄水器取付部22のねじ取付穴22aにねじ込むことにより、取付台16上に設置される。なお、この場合も図4および図5においては、取付用のねじS2は図示を省略している。
【0021】
取付台16上に給水弁8と浄水器9(浄水器ケース39)を設置することでユニット化され、給水弁・浄水器ユニット17として取り扱うことができる。そして、この給水弁・浄水器ユニット17ごと収納部7内に配設することができる。なお、給水弁・浄水器ユニット17とは、この場合、少なくとも取付台16と給水弁8と浄水器ケース39がユニット化されたものをいい、浄水器9における抗菌剤ケース41、フィルタ42、フィルタコア43、キャップ44は後から組み込んでもよい。
【0022】
取付台16上における第1水受け部20上には、取付台16とは別体の水案内部材55が着脱可能に配置される。この水案内部材55は、図6に示すように前面側と上下両面側が開放していて、上から見て略コ字状をなしている。水案内部材55は、図5に示すように第1水受け部20上に配置した状態で、浄水器ケース39を後部および左右両側部から囲んだ形態となっている。なお、給水弁8の電気接続部34には、図示はしないが電源供給用および制御用のコネクタが接続される。給水弁・浄水器ユニット17を収納部7内に配設した図2の状態では、注水口29、および取付台16の前記第1排水口23は、洗濯槽11(回転槽13)の上面開口部の上方に位置している。
【0023】
収納部7を覆うバックカバー10は、図2に示すように上面部10aと後面部10bを一体に有したL字状をなしていて、上面部10aに、給水弁8におけるホース接続口32の上部を露出させるための円形の開口部(図示せず)が形成されているとともに、浄水器9の上部を露出させるための円形の開口部57(図2参照)が形成されている。このうち、特に開口部57の内周面と浄水器ケース39の外周面との間には、隙間58が形成されている。取付台16上に配置された水案内部材55の上部は、浄水器9側の開口部57の外側に位置している。このため、仮にその開口部57と浄水器9との間の隙間58から水が収納部7内に浸入したとしても、水案内部材55により水が当該水案内部材55の外側へ飛散することが防止され、水は第1水受け部20内に案内されるようになる。
【0024】
ここで、前記抗菌剤40の成分などについて説明する。本実施形態における抗菌剤40は、図2に示すように多数個のブロック状をなしていて、水に浸すと抗菌成分を徐々に溶出する水徐溶性を有している。この抗菌剤40は、抗菌性を有する金属元素とリン酸系ガラスとからなり、所望の抗菌成分を溶出するに好適とする銀酸化物が約3重量パーセント、酸化亜鉛が約27重量パーセント、酸化コバルトが約1重量パーセント、およびリン酸カルシウムが約69重量パーセントから構成されている。
【0025】
上記各成分は、次のような機能に基づき設定されている。まず、銀酸化物は抗菌性を有する銀イオンを抗菌成分として水中に溶出し、洗濯水の除菌作用や洗濯中の洗濯物に抗菌効果を付与する。この銀酸化物の含有量が0.1重量パーセント以下であると実質的な抗菌作用が得られなくなり、5重量パーセント以上であると光によって褐色に変色し易くなり、製造コストも高くなる。よって、銀酸化物の含有量は、0.1〜5重量パーセントの範囲内で設定することが好ましい。
【0026】
酸化亜鉛は、主として銀酸化物の褐色化を防止する機能を担うものである。なお、この酸化亜鉛から溶出される亜鉛イオンにも、銀イオンほどではないが抗菌作用が認められることから、抗菌成分としての機能も担う。ただし、酸化亜鉛も若干ではあるが変色することがあるため、その含有量は50重量パーセント以下とすることが好ましい。
【0027】
酸化コバルトは、抗菌剤40自体を青色に着色するための金属酸化物として添加されるもので、極めて少ない含有量でも抗菌剤40を鮮やかな青色に着色することができる。そして、上記リン酸系ガラスは、溶解性ガラスとしてリン酸成分(P205)を主成分としているが、このリン酸成分(P205)は、ガラスの透明性を維持したり、銀イオンを洗濯水中に徐溶させたりする効果を有する。ただし、濃度が10重量パーセントを下回ると機械的強度(硬さ)を維持できなくなるおそれがあり、一方、80重量パーセントを超えても脆くなり機械的強度の低下を招くおそれがある。そのため、リン酸成分(P205)の含有量は、抗菌剤40全体の10〜80重量パーセントが好ましく、30〜70重量パーセントとするのが好適である。しかも、このリン酸成分は水に溶解すると、洗濯水である水道水中のカルシウムやマグネシウムに対してキレート構造(Ca2P60182−、Mg2P60182−)を取るので、カルシウム分の水溶解性を高め、界面活性剤の効果を高めて洗浄性能の向上を図ることができる。
【0028】
次に上記構成の作用を説明する。操作パネル6における操作により例えば洗濯運転の標準コースが選択された場合、制御装置は、洗い行程、複数回のすすぎ動作をするすすぎ行程、および脱水行程を順に実行する。そのうちの洗い行程およびすすぎ行程の給水動作においては、給水弁8を開放動作させる。すると、水道の蛇口から水道水が、給水ホース、給水弁8の弁本体31内を通り、出水口33から浄水器ケース39内に供給される。浄水器ケース39内に供給された水は、図2に矢印Aで示すように、浄水器ケース39内の案内筒48を上向きに流れ、フィルタコア43の通水部51を通り、フィルタ42を内から外に向けて通過して空間部53内に出た後、抗菌剤ケース41内を通過し、浄水器ケース39内の下部の出水口46から注水部18側へ供給される。このとき、水がフィルタ42を通過する際にろ過され、不純物が取り除かれる。また、水が抗菌剤ケース41内を通過する際に抗菌剤40と接触することで、抗菌剤40の抗菌成分がその水に溶出する。したがって、注水部18側に供給される水は、ろ過されるとともに、抗菌成分が含まれるようになる。そして、注水部18内に供給された水は、下部の注水口29から洗濯槽11内に供給されるようになる。
【0029】
また、上記構成において、バックカバー10周辺に水が掛かると、バックカバー10の開口部57と浄水器9との間の隙間58から収納部7内に水が浸入することがある。このような場合、取付台16における第1水受け部20上に水案内部材55を配置しているので、隙間58から収納部7内に浸入した水は、図2に矢印Bで示すように、水案内部材55に案内されて第1水受け部20上に案内される。このため、隙間58から収納部7内に浸入した水が、水案内部材55の外側の収納部7内に浸入することを防止することができる。第1水受け部20上に受けられた水は、第1排水口23から落下して洗濯槽11内に導かれるようになる。
【0030】
また、上記構成において、万一給水弁8の出水口33と浄水器9の接続口45との接続部分から水漏れが発生した場合、その水は、取付台16における第2水受け部21にて受けられる。その受けられた水は、最終的に第1水受け部20側の第1排水口23から落下して洗濯槽11内に導かれるようになる。
【0031】
上記した実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
まず、給水弁8と浄水器9を備えたものにおいて、これら給水弁8と浄水器9を、洗濯機本体1の収納部7に固定される共通の取付台16に設置する構成とした。これにより、給水弁8と浄水器9を共通の取付台16に設置したユニットとして取り扱うことが可能になり、取り扱いが容易となる。また、給水弁8の出水口33と浄水器9の接続口45との接続部分の芯合わせが容易にできるようになり、その接続部分での水漏れを発生し難くできる利点もある。
【0032】
取付台16は、収納部7内での高さを調整する高さ調整部26を有しているので、収納部7内での取付台16の高さ方向の位置合わせができ、ひいては給水弁8および浄水器9の高さ方向の位置合わせができる利点がある。
【0033】
取付台16に注水部18を一体成形により設けたことにより、取付台16と注水部18を別部材で構成する場合に比べて部品点数を少なくできて、組立性の向上を図ることができる。また、浄水器9の出水口46と注水部18の接続口27との接続部分からの水漏れも極力防止することができる。
【0034】
取付台16には、バックカバー10の開口部57と浄水器9との間に形成される隙間58から収納部7内に浸入する水を受ける第1水受け部20と、この第1水受け部20にて受けた水を洗濯槽11側へ導く第1排水口23が設けられている。この構成によれば、前記隙間58から収納部7内に浸入した水は、第1水受け部20および第1排水口23を通って洗濯槽11へ導かれるので、隙間58から収納部7内に浸入した水が、収納部7内に収納された他の電気部品に悪影響を及ぼすことを極力防止できる。
【0035】
収納部7内に、バックカバー10における開口部57と浄水器9との間に形成される隙間58から収納部7内に浸入する水を第1水受け部20内に案内する水案内部材55を備えている。この構成においても、前記隙間58から収納部7内に浸入した水は、水案内部材55により第1水受け部20へ案内されるので、隙間58から収納部7内に浸入した水が、収納部7内に収納された他の電気部品に悪影響を及ぼすことを極力防止できる。
【0036】
取付台16には、給水弁8と浄水器9との接続部分から漏水した場合の水を受ける第2水受け部21が設けられ、この第2水受け部21にて受けられた水は、第1水受け部20を通り前記第1排水口23から洗濯槽11側へ導かれるようになる。この構成によれば、給水弁8と浄水器9との接続部分から漏水した場合の水も第1排水口23から洗濯槽11へ導かれるので、前記水で収納部7内に収納された他の電気部品に悪影響を及ぼすことを極力防止できる。なお、取付台16において、第1水受け部20と第2水受け部21とが連通していない構成の場合には、第2水受け部21に、第1排水口23と同様な第2排水口25を設けることで、同様な効果を得ることができる。
【0037】
給水弁8は、当該給水弁8の出水口33と浄水器9の接続口45との接続部分に対して弁本体31を挟んだ反対側に電気接続部34を備えている。この構成によれば、前記接続部分と電気接続部34との間に弁本体31が存する形態となるので、仮に前記接続部分で漏水が発生しても、水が電気接続部34に掛かり難くすることができる利点がある。
【0038】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について図8および図9を参照して説明する。この実施形態では、例えば合成樹脂製の取付台61に、注水部18と、浄水器ケース62を一体成形により設けている。この場合、取付台61とは別に、給水弁8を支持する受部材63を設けるようにしている。受部材63には、2個の給水弁取付部24が一体に設けられている。このような構成とした場合には、浄水器ケース62を取付台61に取り付ける作業がなくなり、その分、取付用のねじを削減できるとともに、組立工数を削減することが可能となる。また、浄水器ケース62と注水部18との接続部分からの水漏れを防止することができる利点もある。
【0039】
(その他の実施形態)
浄水器9としては、少なくとも水を浄化する機能があるものであればよく、抗菌剤40は必要に応じて設ければよい。
第1導水部としては、取付台16に形成した貫通孔からなる第1排水口23で構成したが、貫通孔に限られず、例えば溝または樋により構成し、第1水受け部20および第2水受け部21で受けた水を洗濯槽11へ導くことができればよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0041】
以上説明したように本実施形態の洗濯機によれば、給水弁と浄水器を備えたものにおいて、これら給水弁と浄水器を、洗濯機本体の収納部に固定される共通の取付台に設置する構成とした。これにより、給水弁と浄水器を共通の取付台に設置したユニットとして取り扱うことが可能になり、取り扱いが容易となる。また、給水弁と浄水器との接続部分の芯合わせが容易にできるようになり、その接続部分での水漏れを発生し難くできる利点がある。
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は洗濯機本体、3はトップカバー、7は収納部、8は給水弁、9は浄水器、10はバックカバー(カバー)、11は洗濯槽、12は水槽、13は回転槽、16は取付台、17は給水弁・浄水器ユニット、18は注水部、20は第1水受け部、21は第2水受け部、22は浄水器取付部、23は第1排水口(第1導水部、第2導水部)、24は給水弁取付部、26は高さ調整部、27は接続口、28は注水カバー、29は注水口、31は弁本体、32はホース接続口、33は出水口、34は電気接続部、35は被取付部、39は浄水器ケース、42はフィルタ、45は接続口、46は出水口、47は被取付部、55は水案内部材、57は開口部、58は隙間、61は取付台、62は浄水器ケースを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9