(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117007
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】防露ヒータ制御装置および防露ヒータ制御方法
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20170410BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
F25D11/00 101E
F25D21/04 C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-120833(P2013-120833)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238220(P2014-238220A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】513143984
【氏名又は名称】株式会社浜商
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】上島 聡
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−257025(JP,A)
【文献】
特開2005−134093(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2048460(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 21/04
F25D 23/00
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日時と当該日時における露点とを対応づけた露点情報を格納している露点情報格納部と、
前記露点情報格納部から出力された現在の日時における予測露点と実際に測定された実測露点とを比較する露点比較部と、
前記予測露点と前記実測露点との比較結果に応じて、前記露点情報格納部に格納されている露点情報または前記実測露点を用いて防露ヒータの目標温度を設定する目標温度設定部と、
前記防露ヒータが設置されている防露対象部の温度が前記目標温度となるように前記防露ヒータを制御する防露ヒータ制御部と、を備え、
前記目標温度設定部は、前記実測露点が前記予測露点よりも高い場合に前記実測露点を用いて前記目標温度を設定する、
防露ヒータ制御装置。
【請求項2】
前記目標温度設定部は、前記実測露点が前記予測露点以下である場合に前記予測露点を用いて前記目標温度を設定する、請求項1に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項3】
前記予測露点をDp、前記実測露点をDa、第1の閾値をT1(ただし、T1>0とする)とした場合、前記目標温度設定部は、前記実測露点DaがDa<Dp−T1の条件を満たす場合に前記実測露点Daを用いて前記目標温度を設定する、請求項1に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項4】
前記目標温度設定部は、前記実測露点DaがDp−T1≦Da≦Dpの条件を満たす場合に前記予測露点Dpを用いて前記目標温度を設定する、請求項3に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項5】
前記目標温度設定部は、前記実測露点が前記予測露点よりも高い場合、前記目標温度が前記実測露点よりも所定の温度だけ高くなるように前記目標温度を設定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項6】
前記目標温度設定部は、将来の日時における予測露点を用いて前記目標温度を設定する、請求項1に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項7】
前記目標温度設定部は、前記防露対象部の熱特性に関する情報を参照して、前記目標温度を設定する、請求項6に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項8】
前記防露ヒータ制御装置はネットワーク回線に接続されており、当該ネットワーク回線を介して前記露点情報格納部に格納されている前記露点情報を書き換え可能に構成されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の防露ヒータ制御装置。
【請求項9】
日時と当該日時における露点とを対応づけて格納している露点情報を参照して現在の日時の予測露点を取得し、
実際に測定された実測露点を取得し、
前記予測露点と前記実測露点とを比較し、
前記予測露点と前記実測露点との比較結果に応じて、前記露点情報または前記実測露点を用いて防露ヒータの目標温度を設定し、
前記防露ヒータが設置されている防露対象部の温度が前記目標温度となるように前記防露ヒータを制御し、
前記目標温度を設定する際、前記実測露点が前記予測露点よりも高い場合に前記実測露点を用いて前記目標温度を設定する、
防露ヒータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防露ヒータ制御装置および防露ヒータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象部の温度が露点よりも低い場合、対象部には結露が発生する。このような結露の発生は、対象部に防露ヒータを設置し、対象部の温度が露点よりも高くなるようにすることで防止することができる。
【0003】
特許文献1には、ショーケースが備える防露対象部の結露を確実に防止することができる防露ヒータ制御装置に関する技術が開示されている。特許文献1に開示されている防露ヒータ制御装置は、防露対象部の表面温度を測定する温度センサと、温度センサにより測定された表面温度を、ショーケースを設置する店舗内の露点よりも高くその露点に近づけた目標温度となるように防露ヒータのオン・オフを制御するヒータ制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−257025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているヒータ制御装置では、ショーケースを設置する店舗の一年間の露点情報を用いて毎月の目標温度を設定している。毎月の目標温度は、その月期間の露点の最高値よりも高くなるように予め設定している。
【0006】
しかしながら、露点は日々変動するため実際の露点が目標温度よりも高くなる場合も想定される。特に気温や湿度が大きく変動する環境下では、過去の露点データに基づいて目標温度を設定したとしても、実際の露点が目標温度よりも高くなる場合がある。このように、実際の露点が目標温度よりも高くなると結露が生じてしまうという問題があった。
【0007】
上記課題に鑑み本発明の目的は、結露の発生を確実に防止することができる防露ヒータ制御装置および防露ヒータ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる防露ヒータ制御装置は、日時と当該日時における露点とを対応づけた露点情報を格納している露点情報格納部と、前記露点情報格納部から出力された現在の日時における予測露点と実際に測定された実測露点とを比較する露点比較部と、前記予測露点と前記実測露点との比較結果に応じて、前記露点情報格納部に格納されている露点情報または前記実測露点を用いて防露ヒータの目標温度を設定する目標温度設定部と、前記防露ヒータが設置されている防露対象部の温度が前記目標温度となるように前記防露ヒータを制御する防露ヒータ制御部と、を備え、前記目標温度設定部は、前記実測露点が前記予測露点よりも高い場合に前記実測露点を用いて前記目標温度を設定する。
【0009】
本発明にかかる防露ヒータ制御方法は、日時と当該日時における露点とを対応づけて格納している露点情報を参照して現在の日時の予測露点を取得し、実際に測定された実測露点を取得し、前記予測露点と前記実測露点とを比較し、前記予測露点と前記実測露点との比較結果に応じて、前記予測露点または前記実測露点を用いて防露ヒータの目標温度を設定し、前記防露ヒータが設置されている防露対象部の温度が前記目標温度となるように前記防露ヒータを制御し、前記目標温度を設定する際、前記実測露点が前記予測露点よりも高い場合に前記実測露点を用いて前記目標温度を設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、結露の発生を確実に防止することができる防露ヒータ制御装置および防露ヒータ制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかる防露ヒータ制御装置を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる防露ヒータ制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】実施の形態1にかかる防露ヒータ制御装置における目標温度設定方法を説明するための図である。
【
図4】実施の形態2にかかる防露ヒータ制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態2にかかる防露ヒータ制御装置における目標温度設定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置10は、露点情報格納部11、露点比較部12、目標温度設定部13、および防露ヒータ制御部14を備える。
【0013】
図1に示す防露対象部31には、結露の発生を防止するための防露ヒータ32が設けられている。防露ヒータ制御装置10は、防露対象部31に設けられている防露ヒータ32を制御する。例えば防露ヒータ32は防露対象部31に埋設されている。防露対象部31が床である場合、防露ヒータ32は床を構成する部材に埋設されている。
【0014】
防露対象部31の表面には、防露対象部31の表面温度を測定するための温度計33が設けられている。また、防露対象部31の表面から離間した箇所には、防露対象部31の近傍の露点を測定するための露点計34が設けられている。例えば露点計34は、温度計と湿度計とを用いて構成してもよい。つまり、測定した温度および湿度を用いて露点を求めてもよい。
【0015】
露点情報格納部11は、日時と当該日時における露点とを対応づけた露点情報(テーブル)を格納している。露点情報は、防露ヒータ32を設置する場所の気候に応じて個別に作成される。例えば露点情報は、一年間(365日)の各日における1時間毎の露点情報である。なお、露点情報を作成する日にちは、2日毎や1週間毎であってもよい。また、露点情報を作成する時間の間隔は、30分毎や2時間毎であってもよい。露点情報を作成する日にち及び時間間隔は任意に決定することができる。
【0016】
露点情報は、例えば過去の露点情報を用いて作成することができる。例えば、2013年7月1日の露点情報を作成する場合は、2012年7月1日の露点情報(同じ時刻における露点情報)を用いて作成することができる。また、露点情報は過去数年間の露点情報を用いて作成してもよい。例えば、2013年7月1日の露点情報を作成する場合は、過去数年間(例えば過去5年間の場合は2008年〜2012年)の7月1日の露点情報を用いて作成してもよい。この場合は、過去数年間の7月1日の露点情報(同じ時刻における露点情報)の平均値を用いてもよい。また露点情報は、過去の露点情報を参考にして予測した値を用いてもよい。また露点情報は、気象情報を提供するサイトからネットワーク回線を経由して取得してもよい。
【0017】
露点情報格納部11は、現在の日時(日にちと時刻)に対応する露点情報(以下、予測露点Dpという)を露点比較部12および目標温度設定部13に出力する。例えば防露ヒータ制御装置10にはタイマーが内蔵されており、露点情報格納部11はこのタイマーから現在の日にちと時刻を取得し、当該日にちと時刻に対応した予測露点Dpを露点情報(テーブル)から読み出して出力する。
【0018】
露点比較部12は、露点情報格納部11から出力された現在の日時における予測露点Dpと、露点計34を用いて実際に測定された実測露点Daとを比較し、これらの比較結果21を目標温度設定部13に出力する。
【0019】
目標温度設定部13は、予測露点Dpと実測露点Daとの比較結果21に応じて、予測露点Dpまたは実測露点Daを用いて防露ヒータの目標温度Tsを設定する。例えば
図3に示すように、目標温度設定部13は、実測露点Daが予測露点Dpよりも高い場合(Dp<Da)、実測露点Daを用いて目標温度Tsを設定する。また、実測露点Daが予測露点Dp以下である場合(Da≦Dp)、予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定する。
【0020】
具体的に説明すると、例えば予測露点Dpが20℃、実測露点Daが18℃である場合、実測露点Daは予測露点Dp以下であるので、この場合は予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定する。一方、予測露点Dpが20℃、実測露点Daが22℃である場合、実測露点Daが予測露点Dpよりも高いので、この場合は実測露点Daを用いて目標温度Tsを設定する。
【0021】
実測露点Daが予測露点Dpよりも高い場合、目標温度Tsが実測露点Daよりも若干高くなるように(つまり、所定の温度だけ高くなるように)設定してもよい。例えば目標温度Tsを実測露点Da(22℃)よりも2℃高い24℃に設定してもよい。このように、実測露点Daよりも若干高くなるように目標温度Tsを設定することで、防露対象部31への結露を確実に抑制することができる。
【0022】
目標温度設定部13は、予測露点Dpと実測露点Daとが乖離している場合、今回取得した実測露点Daに関する情報22を露点情報格納部11に書き込むようにしてもよい。このように露点情報格納部11の露点情報を更新することで、露点情報の信頼性を向上させることができる。
【0023】
防露ヒータ制御部14は、防露ヒータ32が設置されている防露対象部31の温度が目標温度Tsとなるように防露ヒータ32を制御する。つまり防露ヒータ制御部14は、温度計33から防露対象部31の温度Taを取得し、防露対象部31の温度Taが目標温度Tsとなるように防露ヒータ32を制御する。防露ヒータ制御部14は、防露ヒータ32をオン・オフ制御してもよい。
【0024】
次に、本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置10の動作(つまり、防露ヒータ制御方法)について、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。なお、露点情報格納部11には、予め日時と当該日時における露点とを対応づけた露点情報(テーブル)が格納されているものとする。
【0025】
まず、露点比較部12は、現在の日時に対応する予測露点Dpを露点情報格納部11から取得する(ステップS1)。次に、露点比較部12は、露点計34で実際に測定された実測露点Daを取得する(ステップS2)。そして露点比較部12は、露点情報格納部11から出力された現在の日時における予測露点Dpと、露点計34を用いて実際に測定された実測露点Daとを比較する(ステップS3)。
【0026】
目標温度設定部13は、実測露点Daが予測露点Dp以下である場合(ステップS4:Yes)、予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定する(ステップS5)。一方、目標温度設定部13は、実測露点Daが予測露点Dpよりも高い場合(ステップS4:No)、実測露点Daを用いて目標温度Tsを設定する(ステップS6)。
【0027】
その後、防露ヒータ制御部14は、防露ヒータ32が設置されている防露対象部31の温度が目標温度Tsとなるように防露ヒータ32を制御する(ステップS7)。
【0028】
特許文献1に開示されているヒータ制御装置では、ショーケースを設置する店舗の一年間の露点情報を用いて毎月の目標温度を設定している。毎月の目標温度は、その月期間の露点の最高値よりも高くなるように設定している。
【0029】
しかしながら、露点は日々変動するため実際の露点が目標温度よりも高くなる場合も想定される。特に気温や湿度が大きく変動する環境下では、過去の露点データに基づいて目標温度を設定したとしても、実際の露点が目標温度よりも高くなる場合がある。このように、実際の露点が目標温度よりも高くなると結露が生じてしまうという問題があった。
【0030】
これに対して本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置10では、予測露点Dpと実測露点Daとを比較し、これらの比較結果に応じて防露ヒータの目標温度Tsを設定している。つまり防露ヒータ制御装置10は、通常は予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定しているが、実測露点Daが予測露点Dpよりも高い場合(Dp<Da)は、実測露点Daを用いて目標温度Tsを設定するようにしている。よって、気温や湿度が大きく変動し、実測露点Daが予測露点Dpよりも高くなった場合であっても、防露対象部31が結露することを抑制することができる。
【0031】
また本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置10では、通常は露点情報格納部11に格納されている予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定しているので、年間を通しての防露ヒータの消費電力を容易に見積もることができる。
【0032】
また本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置10では、露点情報格納部11に格納されている将来の日時における予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定してもよい。防露対象部31は所定の熱容量を有するため、防露ヒータ32を用いて防露対象部31を所定の温度に加熱するには所定の時間を要する。よって目標温度設定部13は、防露対象部31の温度が上がりにくい場合(つまり防露対象部31の熱容量が大きい場合)は、目標温度Tsを設定する際に、将来の日時における予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定してもよい。特に、今後、露点温度が急激に上昇することが予想される場合は、将来の日時における予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定することで、防露対象部31の温度が露点よりも低くなることを抑制することができる。このとき目標温度設定部13は、防露対象部31の熱特性(熱容量)に関する情報を参照して目標温度Tsを設定する。例えば防露対象部31の熱特性(熱容量)に関する情報は、防露ヒータ制御装置10の所定の箇所に予め格納されている。
【0033】
また、目標温度設定部13は、今後、露点温度が下がることが予想される場合は、防露ヒータ32が早めにオフ状態となるように目標温度Tsを設定してもよい。このように露点温度が下がることが予想される場合、防露ヒータ32を早めにオフ状態とすることで、防露ヒータ32の消費電力を低減することができる。
【0034】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置では、目標温度設定部13における目標温度Tsの設定方法が実施の形態1で説明した場合と異なる。これ以外は実施の形態1で説明した防露ヒータ制御装置と同様であるので重複した説明は省略する。
【0035】
図4は、本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4に示すステップS11〜S13、S17は、
図2に示したステップS1〜S3、S7と同様であるので重複した説明は省略する。
【0036】
本実施の形態にかかる防露ヒータ制御装置では、目標温度設定部13において目標温度Tsを設定する際に第1の閾値T1(T1>0)を設け、実測露点DaがDp−T1≦Da≦Dpの条件を満たす場合(ステップS14:Yes)、予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定している(ステップS15)。一方、Dp−T1≦Da≦Dpの条件を満たさない場合(ステップS14:No)、予測露点Daを用いて目標温度Tsを設定している(ステップS16)。
【0037】
つまり
図5に示すように、実測露点Da、予測露点Dp、および第1の閾値T1が、Da<Dp−T1の条件を満たす場合、換言すると、予測露点Dpと実測露点Daとの差が第1の閾値T1よりも大きい場合(T1<Dp−Da)、予測露点Dpを用いて目標温度を設定すると、目標温度Tsが実測露点Daよりも大幅に高く設定されることになる。このため、防露ヒータの温度が必要以上に高くなり、防露ヒータの電力が無駄になる。
【0038】
そこで本実施の形態では、予測露点Dpと実測露点Daとの差が第1の閾値T1よりも大きい場合(T1<Dp−Da)、実測露点Daを用いて目標温度を設定している。これにより、防露ヒータの温度が必要以上に高くなることを抑制することができる。
【0039】
具体的に説明すると、例えば予測露点Dpが20℃、実測露点Daが13℃である場合、実測露点Daは予測露点Dp以下である。このとき、目標温度Tsを予測露点Dpである20℃に設定すると、目標温度Tsが実測露点Daである13℃よりも大幅に高く設定されることになり、防露ヒータの電力が無駄になる。
【0040】
例えば第1の閾値T1を5℃に設定した場合は、予測露点Dp(20℃)と実測露点Da(13℃)との差(7℃)は第1の閾値T1(5℃)よりも大きくなる。この場合、実測露点Da(13℃)を用いて目標温度を設定することで、防露ヒータの温度が必要以上に高くなることを抑制することができる。
【0041】
このとき、目標温度Tsが実測露点Daよりも若干高くなるように設定してもよい。例えば目標温度Tsを実測露点Da(13℃)よりも2℃高い15℃に設定してもよい。このように、実測露点Daよりも若干高くなるように目標温度Tsを設定することで、防露対象部31への結露を確実に抑制することができる。
【0042】
また
図5に示すように、実測露点DaがDp−T1≦Da≦Dpの条件を満たす場合は、予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定する。換言すると、予測露点Dpと実測露点Daとの差が第1の閾値T1以下(T1≧Dp−Da)で、且つ実測露点Daが予測露点Dp以下の場合、予測露点Dpを用いて目標温度Tsを設定する。
【0043】
具体的に説明すると、例えば予測露点Dpが20℃、実測露点Daが17℃である場合、予測露点Dpと実測露点Daとの差(3℃)は第1の閾値T1(5℃)以下となる。よってこの場合は、予測露点Dp(20℃)を用いて目標温度Tsを設定する。
【0044】
また、実測露点Daが予測露点Dpよりも高い場合(Dp<Da)、実測露点Daを用いて目標温度Tsを設定する。具体的に説明すると、例えば予測露点Dpが20℃、実測露点Daが22℃である場合、実測露点Daが予測露点Dpよりも高いので、この場合は実測露点Da(22℃)を用いて目標温度Tsを設定する。
【0045】
実測露点Daが予測露点Dpよりも高い場合、目標温度Tsが実測露点Daよりも若干高くなるように(つまり、所定の温度だけ高くなるように)設定してもよい。例えば目標温度Tsを実測露点Da(22℃)よりも2℃高い24℃に設定してもよい。このように、実測露点Daよりも若干高くなるように目標温度Tsを設定することで、防露対象部31への結露を確実に抑制することができる。
【0046】
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、防露ヒータの温度が必要以上に高くなることを抑制することができ、防露ヒータの電力消費量を低減することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、防露ヒータ制御装置10をネットワーク回線に接続し、サービス提供業者が各々の防露ヒータ制御装置をネットワーク回線を介して監視するように構成してもよい。例えばサービス提供業者は、天候変動や気象予報に応じて露点情報格納部11に格納されている露点情報(テーブル)を書き換えるようにしてもよい。
【0048】
また、防露ヒータ制御装置10が備える内部メモリに、防露対象部31の表面温度Ta、実測露点Da、予測露点Dp、目標温度Tsを保存するように構成してもよい。これらの情報を内部メモリに保存することで、防露ヒータ制御装置10の制御状況を事後的に検証することができる。例えば同じ時刻における表面温度Taと実測露点Daとを比較することで、防露対象部31に結露が発生したか否かを検証することができる。具体的には、表面温度Taが実測露点Daよりも低くなった時刻に、結露が発生したと判断することができる。このように結露が発生した場合は、防露ヒータ制御装置10の制御パラメータを調整したり、使用する防露ヒータ32を変更したりしてもよい。例えば、急な気候変動のために実測露点Daが急に上昇して結露が発生した場合は、防露対象部31の表面温度Taの上昇が実測露点Daの上昇に追いついていないことが想定される。このような場合は、防露対象部31の表面温度Taの上昇をより早くするために、防露ヒータ32に供給する電力を大きくしたり、現在使用している防露ヒータをより多くの熱を発生する防露ヒータに変更したりしてもよい。
【0049】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
10 防露ヒータ制御装置
11 露点情報格納部
12 露点比較部
13 目標温度設定部
14 防露ヒータ制御部
31 防露対象部
32 防露ヒータ
33 温度計
34 露点計