特許第6117026号(P6117026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117026
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】操作レバー装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20170410BHJP
   H01H 3/18 20060101ALN20170410BHJP
【FI】
   H01H25/04 N
   !H01H3/18 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-140395(P2013-140395)
(22)【出願日】2013年7月4日
(65)【公開番号】特開2015-15122(P2015-15122A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 清智
(72)【発明者】
【氏名】高橋 静始
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−057237(JP,U)
【文献】 実開昭60−037144(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00−25/06
H01H 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーと、前記操作レバーを、互いに交差する第1の方向と第2の方向とで揺動可能に支持するレバー支持機構とが設けられた操作レバー装置において、
前記レバー支持機構に、ホルダと、前記ホルダに支持されて前記操作レバーと共に回動する可動部材とが設けられ、前記可動部材は、回動球面部と前記回動球面部の曲率中心を通る支持中心線上に延びる支持軸とを有し、前記ホルダに、前記曲率中心が動かないように前記回動球面部を回動自在に支持する支持摺動部と、前記支持軸を拘束する拘束溝とが形成されており、
前記操作レバーが第1の方向へ揺動すると、前記支持軸が前記拘束溝の内部で支持中心線を中心として回動し、前記操作レバーが第2の方向へ揺動すると、前記支持軸が前記拘束溝の内部を移動し、
前記可動部材の第1の方向の揺動動作ならびに第2の方向の揺動動作を検知する検知機構が設けられており、
前記操作レバーが、中立姿勢から第1の方向へ揺動したときと、中立姿勢から第2の方向へ揺動したときの双方において、前記操作レバーに対して中立姿勢への復帰力を与える復帰機構が設けられており、
前記復帰機構は、前記可動部材に支持された摺動ピンと、固定側に設けられ前記摺動ピンを案内して前記操作レバーを中立姿勢へ復帰させる復帰カムと、前記摺動ピンを前記復帰カムに圧接するばね部材とを有し、
前記ホルダに、凹状の前記支持摺動部と前記復帰カムとが前記ホルダの一部を挟んで対向して形成されており、
前記回動球面部と前記摺動ピンの先部とで、前記ホルダの一部が挟持されていることを特徴とする操作レバー装置。
【請求項2】
前記復帰カムは、前記操作レバーが第1の方向へ揺動したときに中立姿勢に復帰させる第1の復帰カム面と、第2の方向へ揺動したときに中立姿勢に復帰させる第2の復帰カム面とが複合された複合カムである請求項1記載の操作レバー装置。
【請求項3】
前記支持摺動部は、少なくとも一部が凹球面である請求項1または2記載の操作レバー装置。
【請求項4】
前記可動部材に、前記支持中心線と直交する向きに突出する駆動突起が設けられ、前記駆動突起によって前記検知機構が動作させられる請求項1ないし3のいずれかに記載の操作レバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリング軸付近に配置されてターンシグナルの切換え操作やパッシング操作などを行う操作レバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に、車載用の操作レバー装置であるストークスイッチ装置に関する発明が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載されているものは、操作レバーがレバー支持体にピンを介して連結され、操作レバーがレバー支持体に対して第1の操作面内で回動自在に支持されている。レバー支持体に回動軸が一体に形成され、この回動軸を介して、レバー支持体がケース内で第2の操作面内で回動自在に支持されている。
【0004】
ケースには、第1のスライダと第2のスライダが互いに直交する方向へ摺動自在に支持されており、操作レバーの第1の操作面内での回動動作によって、第1のスライダが摺動させられ、レバー支持体の第2の操作面内での回動動作によって第2のスライダが摺動させられる。
【0005】
第1のスライダによって可動接点を搭載した第1の摺動子が移動させられて第1の固定接点との接触が切換えられ、第2のスライダによって可動接点を搭載した第2の摺動子が移動させられて、第2の固定接点との接触が切換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−277431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された操作レバー装置は、可動接点と固定接点との接触の切換えのために、2つの部材である操作レバーとレバー支持体が、別々に回動自在に支持されている。2つの部材を個別に回動させているため、可動部材を構成する部品数が多くなり、構造が複雑になる。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、最少の部品数で操作レバーを第1の方向と第2の方向とで揺動させることができるようにした操作レバー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、操作レバーと、前記操作レバーを、互いに交差する第1の方向と第2の方向とで揺動可能に支持するレバー支持機構とが設けられた操作レバー装置において、
前記レバー支持機構に、ホルダと、前記ホルダに支持されて前記操作レバーと共に回動する可動部材とが設けられ、前記可動部材は、回動球面部と前記回動球面部の曲率中心を通る支持中心線上に延びる支持軸とを有し、前記ホルダに、前記曲率中心が動かないように前記回動球面部を回動自在に支持する支持摺動部と、前記支持軸を拘束する拘束溝とが形成されており、
前記操作レバーが第1の方向へ揺動すると、前記支持軸が前記拘束溝の内部で支持中心線を中心として回動し、前記操作レバーが第2の方向へ揺動すると、前記支持軸が前記拘束溝の内部を移動し、
前記可動部材の第1の方向の揺動動作ならびに第2の方向の揺動動作を検知する検知機構が設けられており、
前記操作レバーが、中立姿勢から第1の方向へ揺動したときと、中立姿勢から第2の方向へ揺動したときの双方において、前記操作レバーに対して中立姿勢への復帰力を与える復帰機構が設けられており、
前記復帰機構は、前記可動部材に支持された摺動ピンと、固定側に設けられ前記摺動ピンを案内して前記操作レバーを中立姿勢へ復帰させる復帰カムと、前記摺動ピンを前記復帰カムに圧接するばね部材とを有し、
前記ホルダに、凹状の前記支持摺動部と前記復帰カムとが前記ホルダの一部を挟んで対向して形成されており、
前記回動球面部と前記摺動ピンの先部とで、前記ホルダの一部が挟持されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の操作レバー装置は、可動部材が回動球面部と支持軸とを有し、この可動部材のみで操作レバーを第1の方向と第2の方向へ揺動可能に支持させることができる。可動部材の構造を簡単にでき最少限の部品数で構成できるとともに、動作の信頼性をさらに高めることができるようになる。
【0011】
また、回動球面部と摺動ピンとでホルダの一部を挟持することで、可動部材と復帰機構をホルダに組み込んだ時点で互いに分離しなくなり、組立作業が容易になる。
【0012】
好ましくは、前記復帰カムは、前記操作レバーが第1の方向へ揺動したときに中立姿勢に復帰させる第1の復帰カム面と、第2の方向へ揺動したときに中立姿勢に復帰させる第2の復帰カム面とが複合された複合カムである。
【0013】
上記複合カムを設けることにより、最少の部品数で、操作レバーを第1の方向の揺動での中立姿勢と第2の方向の揺動での中立姿勢に復帰させることができる。
【0015】
発明は、前記支持摺動部は、少なくとも一部が凹球面である。
【0016】
また、前記可動部材に、前記支持中心線と直交する向きに突出する駆動突起が設けられ、前記駆動突起によって前記検知機構が動作させられるものとして構成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の操作レバー装置は、可動部材自体が第1の方向と第2の方向へ回動できるようにすることで回動機構の構成を簡単にでき、部品数を削減できるとともに、動作の信頼性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態の操作レバー装置のレバー支持機構を示す斜視図、
図2図1に示す操作レバー装置のレバー支持機構を示す分解斜視図、
図3図3に示す操作レバー装置をIII−III線で切断した断面図、
図4図4に示す断面図での動作説明図、
図5図3に示す操作レバー装置をV−V線で切断した断面図、
図6図5に示す断面図での動作説明図、
図7】復帰機構の動作説明図、
図8】検知機構の動作説明図、
図9】検知機構の他の実施の形態を示す斜視図、
図10】検知機構の他の実施の形態を示す動作説明図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態の操作レバー装置1は、自動車のステアリング軸の近傍に装備されて、ターンシグナル信号やパッシング信号の切換えなどを行うものである。
操作レバー装置1は、操作レバー5がレバー支持機構に揺動自在に支持されている。
【0020】
図1図3に示すように、レバー支持機構は、ホルダ2とケース3を有している。ホルダ2とケース3は合成樹脂材料で形成されている。ホルダ2は、前部2aと背部2bを有している。ホルダ2の前部2aに開口部2cが形成されており、前部2aと背部2bの間に、前記開口部2cに連通する支持摺動部6が形成されている。支持摺動部6は少なくとも一部が凹球面である。
【0021】
ホルダ2に支持可動部材4が支持されている。支持可動部材4は、回動球面部4aと、回動球面部4aと一体の連結軸部4bとを有している。回動球面部4aは支持摺動部6の内部で回動自在に保持され、連結軸部4bは、開口部2cから外部に突出している。操作レバー5は連結軸部4bに連結されて支持可動部材4と固定されている。
【0022】
図3図5に示すように、連結軸部4bならびに操作レバー5は、回動球面部4aの曲率中心Oを通過する操作基準線L1と同軸に設けられている。
【0023】
図5に示すように、支持可動部材4では、回動球面部4aの両側部に支持軸4c,4cが一体に形成されている。支持軸4c,4cは、曲率中心を通過する支持中心線L2と同軸に形成されている。操作基準線L1と支持中心線L2は、共に曲率中心Oを通り互いに直交している。
【0024】
図2に示すように、ホルダ2では、背部2bから前部2aに向けて窪むように形成された拘束溝7が形成されている。拘束溝7は、支持摺動部6を挟むように両側に形成されており、前記支持可動部材4に設けられた支持軸4c,4cが、拘束溝7,7に挿入されている。拘束溝7の上下の開口幅寸法Hは、支持軸4cの直径寸法とほぼ一致している。ケース3にも前記拘束溝7と同じ開口幅寸法Hの拘束溝が形成されており、図5に示すように、ホルダ2の拘束溝7とケース3に形成された拘束溝の前後方向の合計寸法Wが、支持軸4cの直径寸法よりも十分に大きくなっている。
【0025】
回動球面部4aは支持摺動部6の内部で曲率中心Oがホルダ2に対して動かないように保持されている。支持軸4c,4cが拘束溝7,7内に回動自在で摺動自在に保持されているため、支持可動部材4はホルダ2に対して、図3図4に示す第1の方向(α方向)と、図5図6に示す第2の方向(β方向)へのみ回動できるように支持されており、前記2つの方向以外には回動できないように拘束されている。
【0026】
第1の方向(α方向)は、操作基準線L1が、図3図4の図示上下方向へ倒れる向きであり、第2の方向(β方向)は、操作基準線L1が、図5図6の図示上下に倒れる向きである。第1の方向(α方向)と第2の方向(β方向)は、互いに直交する向きである。
【0027】
図2に示すように、支持可動部材4では、回動球面部4aの背部側に連結面4dが形成されている。連結面4dは、操作基準線L1と直交する平面である。連結面4dには一対の位置決め穴4e,4eと、雌ねじ穴4fが形成されている。雌ねじ穴4fは、操作基準線L1と同軸に形成されている。
【0028】
連結面4dに連結可動部材8が固定されている。本明細書では、支持可動部材4と連結可動部材8とで可動部材が構成されている。
【0029】
連結可動部材8が合成樹脂製であり、その前部には、平坦面の連結面8aが形成されている。連結面8aには一対の位置決め突起8b,8bが一体に形成され、且つ前後に貫通して連結面8aに開口する取付け穴8cが形成されている。
【0030】
前記連結面8aが連結面4dに接合されて、位置決め突起8b,8bが位置決め穴4e,4eに嵌合することで、支持可動部材4と連結可動部材8とが位置決めされる。また、連結ボルト9が、連結可動部材8の取付け穴8cに挿入され雌ねじ穴4fに螺着されて、支持可動部材4と連結可動部材8とが固定されている。
【0031】
図2に示すように、ホルダ2と連結可動部材8との間に復帰機構10が設けられている。
【0032】
復帰機構10では、連結可動部材8に摺動ピン11とばね部材12とが保持されている。図3に示すように、連結可動部材8に有底の保持穴8dが開口しており、保持穴8dの内部に摺動ピンが収納されている。保持穴8dの底部と摺動ピン11のフランジ部11aとの間にばね部材12が介在している。ばね部材12は圧縮コイルばねであり、ばね部材12の弾性力により、摺動ピン11が保持穴8dから突出する方向へ付勢されている。
【0033】
摺動ピン11は、その先端部11bが、図3に示す中立姿勢の操作基準線L1に向かうように斜めの姿勢でホルダ2に保持されている。
【0034】
復帰機構10では、ホルダ2の背部2bに復帰カム15が設けられ、前記摺動ピン11の先端部11bが、ばね部材12の弾性力によって、復帰カム15に摺動自在に圧接されている。復帰カム15は、支持可動部材4と連結可動部材8ならびに操作レバー5を図3図5に示す中立姿勢へ復帰させるものである。
【0035】
復帰カム15は、操作レバー5が第1の方向(α方向)へ回動したときに操作基準線L1を中立姿勢へ復帰させる力を発揮する第1の復帰カム面16と、操作レバー5が第2の方向(β方向)へ回動したときに操作基準線L1を中立姿勢へ復帰させる力を発揮する第2の復帰カム面17とが組み合わされた複合カム面である。
【0036】
図3図4に示すように、第1の復帰カム面16は断面がV字形状であり、操作基準線L1が、図4に示すように、第1の方向(α方向)において時計方向へ回動させられたときに、または第1の方向において反時計方向へ回動させられたときに、操作レバー5を図3に示す中立姿勢に復帰させるように機能する。
【0037】
図7に示すように、第2の復帰カム面17は、中立保持凹部17aと一対の仮止め凹部17b,17cがβ方向に並んで形成されている。操作基準線L1がβ方向へ回動すると、摺動ピン11の先端部11bが仮止め凹部17b,17cのいずれかに保持されて、操作基準線L1がβ1方向またはβ2方向へ傾いた姿勢で仮止めされる。この仮止めが解除されると、摺動ピン11が中立保持凹部17aに嵌合するように摺動し、操作基準線L1が図5に示す中立姿勢に復帰する。
【0038】
図3に示す第1の復帰カム面16のV形状は、図7に示す第2の復帰カム面17の全ての摺動領域に沿って形成されており、操作基準線L1が第2の方向(β方向)へのどの角度に回動したときでも、第1の復帰カム面16による復帰力が発揮させられる。
【0039】
図2に示すように、連結可動部材8とケース3との間に、ロック解除機構20が設けられている。
【0040】
ロック解除機構20では、連結可動部材8の上端部に切り換えカム21が一体に形成されている。図5にも示すように、切り換えカム21の平面形状は三角形であり、操作基準線L1上に位置している頂部21aと、頂部21aのβ方向の両側に位置する傾斜部21b,21bを有している。
【0041】
連結可動部材8の上に切換え部材22が設けられている。切換え部材22の下部に一対の固定片22a,22aが一体に形成されており、固定片22a,22aの間に連結可動部材8の上部が挟持され、連結可動部材8と切換え部材22とが一体化されている。切換え部材22の上部に切換えギヤ22bが形成されている。切換えギヤ22bのピッチ円は凹状の円弧軌跡で形成されている。
【0042】
ロック解除機構20には解除部材23が設けられている。解除部材23の上部に摺動突起23aが一体に形成されている。図1に示すように、ケース3の天井部に、前後方向に延びる摺動穴3aが開口している。摺動突起23aは摺動穴3aに摺動自在に挿入され、解除部材23はケース3に前後方向(X1−X2方向)へ移動自在に支持されている。
【0043】
解除部材23には解除歯車23bが一体に形成され、その下部に付勢軸23cが一体に形成されている。付勢軸23cは、切換え部材22に形成された開口部22cの内部に挿入され、図5図6に示すように、開口部22cの前壁22dと付勢軸23cとの間にばね部材(圧縮コイルばね)24が介在しており、解除部材23がばね部材24によって常に後方(X2方向)へ向けて付勢されている。
また、解除部材23には駆動片23dが一体に形成されている。
【0044】
連結可動部材8の下部とケース3の底部との間に検知機構30が設けられている。
図1図2に示すように、検知機構30に検知スライダ31が設けられている。図3に示すように、ケース3の下部に摺動保持部3bが形成されており、検知スライダ31が摺動保持部3bに保持され、前後方向(図3に示すX1−X2方向)へ直線的に往復移動できるようになっている。
【0045】
図2図3に示すように、検知スライダ31の上部に連結凹部31aが一体に形成されている。連結可動部材8には駆動突起34が一体に突出形成されており、駆動突起34が連結凹部31aに摺動自在に挿入されている。
【0046】
図3図4に示すように、支持可動部材4が曲率中心Oを支点として回動し、操作基準線L1がα方向へ倒れると、検知スライダ31がX1−X2方向へ摺動する。また、操作基準線L1がβ方向へ揺動すると、検知スライダ31もβ方向へ揺動移動する。
【0047】
図3図4に示すように、検知スライダ31の下部に保持凹部31bが形成されており、保持凹部31bの内部に第1の弾性片32と第2の弾性片33とが固定されている。第1の弾性片32と第2の弾性片は共に導電性の金属板ばね材料で形成されており、第1の弾性片32の先部に第1の可動接点32aが一体に形成され、第2の弾性片33の先部に第2の可動接点33aが一体に形成されている。
【0048】
図3に示すように、ケース3の底部に検知基板35が固定されている。検知基板35の上面は摺動面35aとなっており、第1の可動接点32aと第2の可動接点33aが、摺動面35aに摺動自在に当接している。
【0049】
図8に示すように、摺動面35aにコモン固定接点36と、切換え固定接点37とが形成されている。コモン固定接点36は広い面積を有しており、検知スライダ31がX1−X2方向とβ方向へ移動する間に、第1の可動接点32aが、常にコモン固定接点36上を摺動する。
【0050】
図8に示すように、切換え固定接点37は、直線摺動接点部37a,37b,17cと、β1側に配置された揺動摺動接点部37d,37e,37fならびにβ2側に配置された揺動摺動接点部37g,37h,37iに分岐され、互いに電気的に独立している。操作基準線L1の第1の方向(α方向)への動作と第2の方向(β方向)への動作によって、第2の可動接点33aが、切換え固定接点37のいずれかの接点部に選択的に接触する。
【0051】
次に、操作レバー装置1の動作について説明する。
図3図5では、操作レバー5ならびに可動部材4,8が中立姿勢である。この中立姿勢では、図7に示すように、連結可動部材8に保持されている摺動ピン11の先端部11bが、ホルダ2に形成された第2の復帰カム面17の、中立保持凹部17aに圧接されている。さらに中立保持凹部17aにおいて、第1の復帰カム面16のV溝部に嵌合している。この中立姿勢で操作レバー5ならびに可動部材4,8の姿勢が安定している。
【0052】
自動車運転中のパッシング操作などでは、人の手によって操作レバー5が第1の方向(α方向)へ揺動させられる。操作レバー5が揺動すると、この操作レバー5が連結されている支持可動部材4ならびに連結可動部材8が一緒に揺動する。このとき、支持可動部材4aは支持中心線L2を中心として回動する。
【0053】
図4に示すように、連結可動部材8がα方向へ揺動すると、これに保持されている摺動ピン11の先端部11bが、複合カムである復帰カム15の第1の復帰カム面16の断面V字部分をその開放部に向けて摺動する。そのため、操作レバー5に対する力を解除すると、ばね部材12の弾性力によって、摺動ピン11の先端部11bがV溝に嵌合しようとし、図3に示す中立姿勢へ直ちに復帰させられる。
【0054】
操作レバー5によって操作基準線L1がα方向へ回動すると、検知機構30では、連結可動部材8の下端部に形成された駆動突起34によって検知スライダ31がX1−X2方向へ移動させられる。
【0055】
図5に示すように、操作レバー5ならびに可動部材4,8が中立姿勢のとき、ロック解除機構20では、解除部材23の付勢軸23cが、ばね部材24の弾性力によって連結可動部材8に形成された切り換えカム21の頂部21aに押し付けられている。そのため、解除部材23が前方(X1方向)へ移動させられており、解除部材23に形成された解除歯車23bが切換え部材22に形成された切換えギヤ22bから離れている。
【0056】
自動車運転中におけるターンシグナルなどの切換え操作では、操作レバー5が第2の方向(β方向)へ倒される。検知機構30では、検知スライダ31が連結可動部材8とともにβ方向へ揺動させられる。
【0057】
図6に示すように、操作レバー5が第2の方向であるβ1方向へ傾けられると、復帰機構10では、図7において破線で示すように、摺動ピン11の先端部11bが第2の復帰カム面17の仮止め凹部17bに嵌合し、操作レバー5がβ1方向へ倒された状態で仮止め(一時ロック)される。
【0058】
図6に示すように、このときのロック解除機構20では、連結可動部材8とともに切換え部材22がβ1方向へ回動するため、ばね部材24によって後方(X2方向)へ付勢されている解除部材23の付勢軸23cは、切り換えカム21の頂部21aから外れて傾斜部21bに圧接する位置へ移動し、解除部材23に形成された解除歯車23bが、切換え部材22の切換えギヤ22bと噛み合う。
【0059】
操作レバー5がβ1方向へ倒されて自動車のターン方向へのターンシグナルが作動している状態で、ステアリングホイールをターン方向へ回転させると、図示しないターン駆動部材が、解除部材23の駆動片23dに係合する。ステアリングホイールが中立位置に戻されるときに、前記ターン駆動部材で駆動片23dが押されて解除部材23がβ2へ回動させられる。この回動力は、解除部材23に形成された解除歯車23bから切換えギヤ22bに伝えられ、切換え部材22とともに連結可動部材8がβ2方向へ回動させられ、図7に示すように、復帰機構10の摺動ピン11の先端部11bが仮止め凹部17bから外れる。
【0060】
ばね部材12の付勢力によって摺動ピン11の先端部11bが中立保持凹部17aと嵌合しようとする力によって、操作レバー5と可動部材4,8とが中立姿勢へ復帰させられる。
【0061】
なお、操作レバー5が第2の方向において前記β1方向と逆向きのβ2方向へ倒されたときの動作も同じである。
【0062】
復帰機構10を構成している復帰カム15は、図3に示す第1の復帰カム面16と、図7に示す第2の復帰カム面17とが組み合わされた複合カムである。したがって、操作レバー5の操作によって操作基準線L1が第2の方向であるβ1方向またはβ2方向へ倒された状態で、操作基準線L1が第1の方向であるα方向へ倒されたときは、復帰機構10によって操作基準線L1がα方向の中立位置へ戻される。
【0063】
図8に示すように、操作レバー5が中立姿勢のとき、第1の可動接点32aがコモン固定接点36と接触しており、第2の可動接点33aが、中央の直線摺動接点部37aに接触している。互いに導通状態の第1の可動接点32aと第2の可動接点33aを介して、コモン固定接点36と直線摺動接点部37aとが短絡し、図示しない制御部では操作レバー5が中立姿勢であることが認識される。
【0064】
操作レバー5が第1の方向(α方向)と第2の方向(β方向)へ倒される間、第1の可動接点32aは、常にコモン固定接点36と摺動し続ける。操作レバー5がβ方向の中立姿勢で、且つα方向へ倒されると、第2の可動接点33aは、直線摺動接点部37bまたは37cに接触する。
【0065】
操作レバー5がβ1方向へ倒れると、第2の可動接点33aが揺動摺動接点部37dに接触し、β1方向へ倒れたままさらにα方向へ倒されると、第2の可動接点33aが揺動摺動接点部37eまたは37fに接触させられる。操作レバー5がβ2方向へ倒れると、第2の可動接点33aが揺動摺動接点部37gに接触し、β2方向へ倒れたままさらにα方向へ倒されると、第2の可動接点33aが揺動摺動接点部37hまたは37iに接触させられる。
【0066】
上記のように切換え固定接点37に対する第2の可動接点33aの接触位置の切換えによって、操作レバー5がどの方向へ倒されたかを検知することができる。
【0067】
図3に示すように、配線基板35に形成された各接点部は、フレキシブルケーブル41の各導線に接続されており、このフレキシブルケーブル41は、支持可動部材4の内部を通過し、操作レバー5に形成された操作部や検知回路に導通されている。
【0068】
図9図10に、他の実施の形態の検知機構130が示されている。
図9に示すように、検知機構130に使用される検知スライダ131には、4か所の接点支持部131a,131b,131c,131dが設けられている。図10に示すように、接点支持部131aの下部に第1の可動接点132aが支持され、接点支持部131bの下部に第2の可動接点132bが支持されている。さらに検知スライダ131においてβ方向へ張り出している接点支持部131cの下部に第3の可動接点133bが、接点支持部131dの下部に第4の可動接点133cが支持されている。全ての可動接点132a,133a,133b,133c,133dは、弾性片の先部に形成され全ての可動接点が導通している。
【0069】
図9に示すように、検知基板135には、操作レバー5の姿勢がどの方向に倒れても、第1の可動接点132aが常に摺動するコモン固定接点136が設けられている。また、α方向(X1−X2方向)とβ方向への倒れ動作に基づいて、第2の可動接点132bが選択的に接触する切換え接点部群137aと、第3の可動接点133bが選択的に接触する切換え接点部群137bと、第4の可動接点133cが選択的に接触する切換え接点部群137cが設けられている。
【0070】
図10に示すように、検知スライダ131がX1−X2方向へ摺動し、β方向へ摺動するときに、それぞれの可動接点がそれぞれの切換え接点部に接触する。
【0071】
図9図10に示す検知機構130では、可動接点を多点に構成できるので、切換え検知動作の信頼性を高めることができる。
【0072】
実施の形態の操作レバー装置1は、1つの支持可動部材4とこれを支持するホルダ4とで、操作基準線L1を第1の方向(α方向)と第2の方向(β方向)の双方へ倒すことができるので、機構部品を少なくして動作信頼性を高めることができる。
【0073】
また、連結可動部材8の動作によって、1つの検知スライダ31がX1−X2方向とβ方向へ移動するため、1つの検知基板上に形成された接点のパターンによって、操作基準線L1が第1の方向(α方向)と第2の方向(β方向)へ倒れた状態を検知することが可能である。
【0074】
検知スライダ31が1つであるため、部品数を削減でき、動作信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 操作レバー装置
2a 前部
2b 背部
2 ホルダ
3b 摺動保持部
3 ケース
4 支持可動部材
4a 回動球面部
4c 支持軸
5 操作レバー
6 支持摺動部
7 拘束溝
8 連結可動部材
10 復帰機構
11 摺動ピン
12 ばね部材
15 復帰カム
16 第1の復帰カム面
17 第2の復帰カム面
20 ロック解除機構
21 切り換えカム
22 切換え部材
22b 切換えギヤ
23 解除部材
23b 解除歯車
30 検知機構
31 検知スライダ
31a 連結凹部
32a 第1の可動接点
33a 第2の可動接点
34 駆動突起
35 検知基板
36 コモン固定接点
37 切換え固定接点
37a,37b,37c 直線摺動接点部
37d,37e,37f,37g,37h,37i 揺動摺動接点部
130 検知機構
131 検知スライダ
L1 操作基準線
L2 支持中心線
O 曲率中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10