(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照しながら、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。
【0011】
まず、本実施形態の遮蔽体の施工方法により施工(形成)される遮蔽体は、放射線(α線、β線及びγ線)のほか、中性子、太陽光(紫外線、赤外線、遠赤外線等)等、遮蔽材の種類に応じて、任意のものを遮蔽することができる。中でも、本実施形態においては、放射線が遮蔽されることが好ましい。そこで、一例として、遮蔽体が放射線を遮蔽するものとして、以下の本実施形態を説明する。
【0012】
また、放射線を遮蔽する遮蔽体の施工場所、即ち、本実施形態の遮蔽体の施工方法が実施される部材としては、例えば、原子力設備の構造物が挙げられる。そこで、以下の説明においては、原子力設備の構造物として、原子炉建屋の室内の構造物(原子力設備の構造物)に対して遮蔽体が施工される場合を例に挙げて、本実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の遮蔽体10の施工方法が実施される原子炉建屋の室内1を示す図である。本実施形態では、原子力設備(図示しない)に不測の事故が発生し、室内1の配管2(被遮蔽体、原子力設備の構造物)に放射性物質が付着したため室内1の放射線量が高く、作業員が立ち入ることができない場合を想定している。そして、
図1は、施工装置200に備えられる施工ロボット100により当該放射性物質から発せられる放射線を遮蔽する遮蔽体10を施工する様子を示している。
【0014】
施工装置200は、施工ロボット100と、ゴム吹き付け装置102と、遮蔽材吹き付け装置104とを備えている。施工ロボット100は、配管2に近づいて遮蔽体10を施工するものである。また、ゴム吹き付け装置102は、施工ロボット100から吹き付けられるゴムを施工ロボット100に供給し、ゴムを吹き付けるための動力源となるものである。さらに、遮蔽材吹き付け装置104は、施工ロボット100から吹き付けられる遮蔽材を施工ロボット100に供給し、遮蔽材を吹き付けるための動力源となるものである。
【0015】
施工ロボット100は、配管2に対してゴムを吹き付け可能なゴム吹き付けノズル101を備えている。ゴム吹き付けノズル101は、長大なホースにより、ゴム吹き付け装置102に接続されている。これにより、ゴム吹き付け装置102が配管2から十分に離間した状態で、施工ロボット100が配管2に近づけるようになっている。
【0016】
ゴム吹き付けノズル101は、交換可能になっている。即ち、遮蔽体10の施工が完了し、施工ロボット100を保管していると、流路が狭くなっているゴム吹き付けノズル101の先端が詰まってしまうことがある。そこで、このような状態を解消するために、ゴム吹き付けノズル101は交換可能に構成されている。このようなノズルとして、例えば樹脂製の使い捨てノズルをゴム吹き付けノズル101として用いることが可能である。
【0017】
また、施工ロボット100は、ゴム吹き付けノズル101とは別のノズルとして設けられ、ゴム吹き付けノズル101から吹き付けられたゴムに対して遮蔽材を吹き付け可能な遮蔽材吹き付けノズル103を備えている。遮蔽材吹き付けノズル103も、ゴム吹き付けノズル101と同様に長大なホースにより、遮蔽材吹き付け装置104に接続されている。これにより、遮蔽材吹き付け装置104が配管2から十分に離間した状態で、施工ロボット100が配管2に近づけるようになっている。
【0018】
遮蔽材吹き付けノズル103は、強度の高い材料で構成されている。これにより、タングステンや鉄等の硬度の高い遮蔽材が遮蔽材吹き付けノズル103から放出される場合でも、遮蔽材吹き付けノズル103の耐久性を維持向上させることができるようになっている。
【0019】
施工ロボット100におけるゴム吹き付けノズル101及び遮蔽材吹き付けノズル103は、伸縮自在なアーム105に回転可能に支持されている。これにより、ゴム及び遮蔽材は、配管2に対して、任意の位置に吹き付けられるようになっている。
【0020】
施工ロボット100は、流動性を有するゴムと、粒状の遮蔽材とを交互に配管2に対して吹き付けることで、遮蔽体10を施工するようになっている。ここで、本実施形態では、ゴムは、遮蔽材を配管2に接着固定させるための接着剤として使用される。また、本実施形態では、遮蔽材は放射線を遮蔽するものであり、タングステンや鉄等の放射線を遮蔽する金属材料である。この遮蔽材は、本実施形態では、粒径の異なる遮蔽材を含んで構成されている。
【0021】
ゴム吹き付け装置102は、吹き付けられるゴムの原料となる液体ゴムの容器102aと、液体ゴムを配管2の表面で硬化させるための硬化剤の容器102bと、液体ゴム及び硬化剤とを混合した後加圧してゴム吹き付けノズル101を通じて配管2に吹き付ける加圧マニホールド102cとを備えている。さらに、ゴム吹き付け装置102は、容器102a内の液体ゴムを加圧マニホールド102cに圧送する圧送装置102dと、容器102b内の硬化剤を加圧マニホールド102cに圧送する圧送装置102eとを備えている。加圧マニホールド102c及び圧送装置102d,102eの各条件(圧力や圧送速度、混合割合等)を変更することで、吹き付けられるゴムの量や硬化条件等が適宜変更可能になっている。なお、本実施形態では、吹き付け後、常温にて1時間程度でゴムがほぼ硬化する条件になっている。
【0022】
遮蔽材吹き付け装置104は、遮蔽材を貯蔵する遮蔽材タンク104aと、遮蔽材吹き付けノズル103を通じて遮蔽材を配管2に吹き付ける圧送装置104bとを備えている。圧送装置104bの条件(圧力や圧送速度等)を変更することで、配管2表面に吹き付けられる遮蔽材の量が適宜変更可能になっている。
【0023】
また、図示はしないが、施工ロボット100には、レーザー光等を用い、施工ロボット100と配管2との間の距離を測定するとともに、室内1での各構造物の配置を把握する装置が備えられている。また、図示はしないが、配管2に対する吹き付け状態を確認可能なカメラも備えられている。さらに、図示はしないが、施工ロボット100には、室内1の放射線量を測定する放射線量測定装置が備えられている。そして、詳細は後記するが、これらの装置により測定された値に基づき、ゴム及び遮蔽材の吹き付けが制御されるようになっている。
【0024】
なお、施工ロボット100は、作業員の指示操作に基づき、図示しない演算制御部によって駆動されるようになっている。演算制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を備え、ROMに展開されている所定のプログラムがCPUによって実行されることにより具現化される。
【0025】
次に、
図2を参照しながら、遮蔽体10の施工方法を説明する。
【0026】
図2は、本実施形態の遮蔽体10の施工方法を説明するフローチャートである。演算制御部(図示しない)には、遮蔽体10の厚さに対する放射線量の低下割合の関係がデータベース化されて、予め記憶されている。具体的には、遮蔽体10が厚くなればなるほど、放射線量の低下割合が大きくなるという関係がデータベース化されて記憶されている。この関係は、予め実験等により決定可能である。
【0027】
まず、演算制御部は、放射線量測定装置(図示しない)により、室内1の放射線量を測定する(ステップS101)。そして、演算制御部は、測定された放射線量を、作業員が作業可能になる基準値まで低下させるために必要な放射線量の低下割合を決定する。そして、演算制御部は、決定された低下割合に対応する遮蔽体10の厚さを、予め記憶されたデータベースから読み出し、決定する(ステップS102)。その後、確認用のカメラを用いて吹き付け状態を確認しながら、遮蔽体10の厚さが決定された厚さになるまで、
図1に示した配管2の全体に、ゴム及び遮蔽材を交互に塗布する(ステップS103)。ここで、ゴム及び遮蔽材を交互に塗布する際の様子を、
図3を参照しながら説明する。
【0028】
図3は、本実施形態の遮蔽体10の施工方法を説明する図であり、(a)は一回目のゴムの吹き付け時の様子、(b)は一回目の遮蔽材の吹き付け時の様子、(c)は二回目のゴムの吹き付け時の様子、(d)は二回目の遮蔽材の吹き付け時の様子を示す図である。
図3においては、ゴムは符号10aで示し、遮蔽材は符号10bで示している。
【0029】
まず、
図3(a)に示すように、ゴム吹き付けノズル101から、配管2に対してゴムが吹き付けられる。そして、演算制御部は、アーム105を伸縮させることで、配管2の全体がゴムによって覆われるように、ゴム吹き付けノズル101を移動させる。これは、以降の工程においても同様である。これにより、配管2の全体がゴムによって覆われ、ゴムの層が形成されることになる。
【0030】
そして、配管2の全体がゴムによって覆われた後、ゴムが硬化する前に(好ましくはゴムの吹き付け後すぐに)、
図3(b)に示すように、遮蔽材吹き付けノズル103から粒状の遮蔽材が配管2のゴムで覆われた表面に吹き付けられる。このとき、流動性を有するゴムは弾力性と粘着性とを有するため、ゴムで覆われた配管2に遮蔽材が吹き付けられても、吹き付けられた遮蔽材は配管2によって跳ね返ることなく、流動性を有するゴムに付着する。より具体的には、遮蔽材はある程度の速度を有してゴムの層に接触するため、吹き付けられた遮蔽材は、ゴムの層の中に埋もれることになる。そして、その後も遮蔽材は吹き付けられ続けるため、吹き付けられた遮蔽材は、ゴムを接着剤として、ゴムの層の表面近傍に堆積していくことになる。このようにして、遮蔽材の層が形成される。そして、ゴムは、遮蔽材が吹き付けられつつ次第に硬化していくため、付着した遮蔽材は、硬化したゴムによって、配管2の表面に固定されることになる。
【0031】
ゴムが硬化して遮蔽材が配管2に固定された後、再び、
図3(c)に示すように、ゴムがゴム吹き付けノズル101によって配管2の表面に吹き付けられる。このとき、配管2には、硬化したゴムによって遮蔽材が固定されているため、固定された遮蔽材の外側からゴムが吹き付けられることになる。そして、ゴムが新たに吹き付けられることで、配管2に固定された遮蔽材を覆うように、新たにゴムの層が形成される。
【0032】
そして、
図3(d)に示すように、新たに形成されたゴムの層に対して、遮蔽材吹き付けノズル103によって遮蔽材が再び吹き付けられる。これにより、
図3(b)を参照しながら説明した内容と同様にして、配管2の表面に遮蔽材が固定されて、遮蔽材の層が形成されることになる。その後、
図3の工程、即ちゴムの吹き付け工程と遮蔽材の吹き付け工程とが繰り返されることで、遮蔽体10が施工される。ここで、
図4を参照しながら、施工された遮蔽体10の構造について説明する。
【0033】
図4は、本実施形態の施工方法により施工された遮蔽体10の断面図である。
図3と同様に、ゴムは符号10aで示し、遮蔽材は符号10bで示している。また、図示の簡略化のために、ゴム10aの層と、遮蔽材10bの層とは、いずれも二層ずつ示している。さらに、
図4は模式図であり、現実の層構成とは異なることがある。
【0034】
図4において、配管2の表面に形成されているゴム10aの層は、前記の
図3(a)に示した工程において形成されたものである。そして、このゴム10aの層の外表面に形成されている遮蔽材10bの層は、
図3(b)に示した工程において形成されたものである。遮蔽材10b同士は、
図4では図示していないが、ゴム10aにより接着固定されている。また、
図4に示すように、遮蔽材10bの粒径が異なっている。そのため、近接する遮蔽材10bの粒子同士の間隙(
図4では図示していない)ができるだけ小さくなるように遮蔽材10bが密に固定され、遮蔽効果が高められるようになっている。
【0035】
そして、この遮蔽材10bの層のさらに外側に、ゴム10aの層を介して、遮蔽材10bの層が形成されている。このとき、二つの遮蔽材10bの層の間には、十分な厚さのゴム10aの層が形成されている。そのため、遮蔽材10bを複数層に亘って強固に積層することができ、遮蔽体10の剥離を抑制し、耐久性を向上させることができるようになっている。
【0036】
このように、本実施形態によれば、様々な形状や構造等の被遮蔽体に対し、放射線等の遮蔽が可能な遮蔽体10を施工することができる。即ち、
図1に示したように、移動自在なゴム吹き付けノズル101及び遮蔽材吹き付けノズル103を用いて、配管2等の所望の位置に遠隔で、ゴム及び遮蔽材を吹き付けることができる。そのため、吹き付けるための治具を被遮蔽体に設置する必要がなく、施工対象である被遮蔽体の形状や構造、施工場所等に制限がない。これは、例えば天井に対して遮蔽体を設置する等、治具の設置が特に困難なときに有利である。これにより、どのような被遮蔽体であっても、良好に遮蔽体10を施工することができる。
【0037】
また、ノズルの位置を変えるだけで、遮蔽体10の面積や密度を容易に変更可能である。具体的には、被遮蔽体に対してより遠いところから吹き付ければ、より広範な面積の遮蔽体10を一度で施工することができるし、より近いところから吹き付ければ、より高密度の遮蔽体10を一度で施工することができる。従って、被遮蔽体の面積や放射線量に応じて、遮蔽体10を容易に施工することができる。
【0038】
さらに、ゴムを用いることで、ゴムの層を厚くし易い。そのため、遮蔽材を吹き付けた後でゴムを十分に吹き付けると、既に吹き付けられた遮蔽材は、十分な厚さを有するゴムの層により完全に覆われることになる。そのため、この部分の全体に新たに遮蔽材を吹き付けて固定することができ、固定させる遮蔽材の量を十分なものとすることができる。これにより、遮蔽効果を高めることができる。
【0039】
また、はじめにゴムを吹き付け、その後に遮蔽材を吹き付けているため、弾力性のあるゴムに対して遮蔽材が吹き付けられていることになる。そのため、遮蔽材の運動エネルギはゴムに衝突したときにゴムに吸収され、遮蔽材が被遮蔽体から跳ね返ってしまうことを抑制することができる。これにより、ゴムに対して効率よく遮蔽材を固定することができる。特に、前記のように、ゴムを用いることでゴムの層の厚みを増し易くすることができるため、弾力性をより大きなものとすることができ、この利点を十分に発揮させることができる。
【0040】
さらに、ゴムと遮蔽材とを別々に吹き付けているため、吹き付けられた遮蔽材が垂れにくい。即ち、もしゴムと遮蔽材とを混合していれば、混合物の比重がゴムよりも重いため、混合物を吹き付けた場合には遮蔽材が垂れてき易く、施工される遮蔽体10の厚さにムラが生じることがある。しかし、本実施形態では、ゴムと遮蔽材とを別々に吹き付けているため、遮蔽材が垂れにくく、遮蔽材密度のムラの少ない遮蔽体10を施工することができる。
【0041】
また、ゴムは流動性を有する軽い材料であり、遮蔽材は粒状の材料であるため、ノズルから飛ばし易いという利点がある。即ち、もし、ゴムと遮蔽材との混合物を吹き付けようとするとき、混合物は、ゴムの流動性と重い金属材料との相互作用によって飛びにくくなって吹き付けを制御しづらくなり、所望の場所に吹き付けられないことがある。しかしながら、本実施形態のように、これらを別々に吹き付けるため、これらを吹き付けるときの挙動を制御し易く、所望の場所に容易に吹き付けることができる。また、吹き付けた後も、ゴム中に遮蔽材が分散した遮蔽体ではなく、ゴムと遮蔽材との多層構造の遮蔽体10とすることで、被遮蔽体から剥離しにくいという利点もある。
【0042】
さらに、ゴムと遮蔽材とを別々に吹き付けるため、被遮蔽体からの例えば放射線量に応じて、任意に遮蔽材の層数を変更することができる。具体的には、例えば放射線量が高いときには、遮蔽材の層と、遮蔽材を固定するゴムの層とを多く含む遮蔽体10とすればよく、放射線量がそれほど高くないときにはこれらをそれほど多くは含まない遮蔽体10とすればよい。前記のように、本実施形態の遮蔽体10は剥離しにくいため、遮蔽材の層が多層になった場合でも、剥離しにくく、しかも良好に遮蔽可能な遮蔽体10を施工することができる。
【0043】
また、吹き付ける遮蔽材は、粒径の異なる遮蔽材を含んで構成されている。そのため、遮蔽材を吹き付けたときの遮蔽材同士の隙間を低減することができ、より良好な遮蔽効果を有する遮蔽体10とすることができる。また、粒径の異なる遮蔽材がゴムに固定されることにより、表面に凹凸を設けることができる。そして、この凹凸のある表面に新たなゴムを吹き付けると、この凹凸により、ゴムと遮蔽材との接着強度を向上させることができる。これにより、より剥離しにくい遮蔽体10を施工することができる。
【0044】
以上、本実施形態を説明したが、前記の実施形態以外にも、以下の実施形態とすることもできる。即ち、前記の実施形態では、
図4に示すように、同種の遮蔽材(粒径は異なる)を用いたが、複数種の遮蔽材を用いることもできる。このような形態は、例えば放射線(例えばγ線)と中性子との双方を遮蔽することを望む場合に特に有効である。
【0045】
図5は、本実施形態の施工方法により施工される別の遮蔽体の断面図である。配管2の表面にゴム10a及び遮蔽材10bが一層ずつと、この遮蔽材10bの層の外側にさらにゴム10aの層が設けられていることは、
図4に示した形態と同様である。ただし、
図5に示す形態では、遮蔽材10bとは異なる遮蔽材10cの層が設けられている。
【0046】
遮蔽材10bは、γ線を遮蔽するタングステン等であり、遮蔽材10cは、中性子を吸収するホウ素やナイロン粒子等である。このように、異なる種類の遮蔽材(遮蔽材10b,10c)をゴム10aにより複数層積層することで、前記の各効果に加えて、異なる種類のものを遮蔽することができるという利点がある。
【0047】
さらに別の実施形態として、前記の実施形態では、配管2に対してはじめにゴムを吹き付けているが、配管2の表面改良の目的で、はじめに金属材料からなる遮蔽材を吹き付けるようにすることもできる。即ち、遮蔽材吹き付けノズル103は、前記のように、吹き付けられたゴムに対して遮蔽材を吹き付けるものであるが、遮蔽材吹き付けノズル103から配管2表面に直接、遮蔽材を構成する金属材料を高速で衝突させることで、ショットピーニングを行うことができる。これにより、配管2の耐久性の向上や、配管2の表面に凹凸ができることによる遮蔽体10との接合強度の向上を図ることができる。
【0048】
他にも、前記の実施形態に対して、本発明の要旨を変更しない範囲内で任意に変更を加えて実施可能である。
【0049】
例えば、前記の実施形態では放射線や中性子の遮蔽を行っているが、たとえば太陽光を遮蔽するような遮蔽材を用いてもよい。具体的には例えば、遮蔽材として紫外線吸収剤を用いることで、遮蔽体10によって紫外線を遮蔽することができる。これにより、被遮蔽体の耐候性を向上させることができる。
【0050】
また、例えば、前記の実施形態では、被遮蔽体として原子力設備の構造物としての配管2(
図1参照)を例に挙げているが、被遮蔽体はこれに限られるものではない。従って、遮蔽体10が施工される被遮蔽体は原子力設備の構造物であって配管2以外の任意の構造物であってもよく、また、原子炉設備の構造物以外のものであってもよい。具体的には例えば、被遮蔽体として家の外壁とし、当該外壁に遮蔽体10を設けることで、外部からの放射線や中性子、紫外線等を遮蔽し、室内へのこれらの侵入を抑制することができる。