特許第6117067号(P6117067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117067
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】ミニショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   E02F9/00 Q
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-195584(P2013-195584)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-59399(P2015-59399A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮原 康弘
(72)【発明者】
【氏名】多辺田 浩
(72)【発明者】
【氏名】川本 純也
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−172466(JP,A)
【文献】 特開2011−256602(JP,A)
【文献】 特開2012−193575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/18,9/24−9/28
B60K 11/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回体と、この旋回体に取り付けた作業装置と、上記旋回体に搭載され側面が平板形状の作動油タンクと、この作動油タンクの上記側面に固定された配管継手取り付け座と、この配管継手取り付け座に取り付けられた複数の配管継手と、それぞれ一端が対応する上記配管継手に接続された複数の油圧ホースと、上記作動油タンクの上記配管継手取り付け座が固定された上記側面に対向して配置され、湾曲形状から成る外装カバーとを備え、かつ旋回体上に運転席を有しており、上記作動油タンクは、上記作業装置に向って上記運転席の右側方に配置されており、上記作動油タンクの後方に配置されたラジエータ室と、上記運転席と上記作動油タンクとを仕切る第1仕切り部と、上記作動油タンクと上記ラジエータ室とを仕切る第2仕切り部とを備えたミニショベルにおいて、
上記作動油タンクの上記側面の上下方向の中央位置付近に形成され水平方向に延設された凹部と、
上記凹部内の底平面部に固定され複数の上記配管継手が上記底平面部の水平方向に並設して取り付けられ、水平方向に延設された帯板状の上記配管継手取り付け座とを備えており
上記配管継手取り付け座が上記凹部の上記底平面部に固定されており、上記配管継手取り付け座に取り付けられた複数の上記配管継手にはそれぞれに上記油圧ホースが接続されており、上記油圧ホースのそれぞれは上記作動油タンクの上記側面と上記外装カバーとの間に位置するように、上記作動油タンクの上記側面に沿って上下方向に配置されたことを特徴とするミニショベル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油タンクを備えたミニショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、例えば小型の油圧ショベルであるミニショベルであり、旋回体上に各種の油圧アクチュエータに供給する作動油が収容され、各種の油圧アクチュエータからの油が戻される作動油タンクが取り付けられている。ミニショベルの外殻を形成する外装カバーに対向する作動油タンクの側面には、帯板状の配管継手取り付け座が固定されている。
【0003】
図7は、特許文献1には開示されていないが、従来技術において考えられるミニショベルに備えられる作動油タンクの配設形態を示す横断面図である。
【0004】
作動油タンク20は、ミニショベルの外殻を形成する外装カバー2に接近するようにして旋回体上に設けられている。湾曲形状の外装カバー2に対向する作動油タンク20の側面20aは平板形状に形成され、その側面20aに、前述した配管継手取り付け座23が固定されている。配管継手取り付け座23には複数の配管継手24が取り付けられ、これらの配管継手24に、前述した各種の油圧アクチュエータに接続される複数本の管体、例えば油圧ホースの一端が取り付けられている。
【0005】
ミニショベルは、旋回体上の機器設置スペースに制約を受けることから、作動油タンク20は、配管継手24及び油圧ホースが外装カバー2に接触しないように考慮しながらも、側面20aができるだけ外装カバー2に接近するように配置されている。すなわち、作動油タンク20の側面20aと外装カバー2との空隙部30Aが極力小さくなるように、作動油タンク20は設置されている。この場合、収容される油量の増減に伴う内部圧力変化による作動油タンク20の膨張、及び戻り油等による油圧ホースの膨張に際しても、油圧ホースが外装カバー10に接触しないように設置条件が各種考慮されて作動油タンク20が位置調整され、設置位置が決められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−41316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献1に開示されるような作動油タンク20は、比較的薄い鉄板等で製作されることから全体的に剛性が弱い。このためもあって、配管継手取り付け座23の固定部分における強度が弱く、この配管継手取り付け座23において経年的な破損を生じる懸念が有り、従来技術では作動油タンク20の耐久性に問題がある。
【0008】
また従来技術では、作動油タンク20を旋回体上に設置するに際し、作動油タンク20の側面20aと外装カバー2との間隙部30Aを小さくせざるを得ないこともあり、作動油タンク20の前述した各種の設置条件を考慮した場合の作動油タンク20の取り付け作業が煩雑なものとなっていた。
【0009】
本発明は、上述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、配管継手取り付け座の固定部分における強度を高めることができ、また作動油タンクの側面と、この側面に対向して設けられる外装カバーとの間隙部を大きく確保することができるミニショベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、旋回体と、この旋回体に取り付けた作業装置と、上記旋回体に搭載され側面が平板形状の作動油タンクと、この作動油タンクの上記側面に固定された配管継手取り付け座と、この配管継手取り付け座に取り付けられた複数の配管継手と、それぞれ一端が対応する上記配管継手に接続された複数の油圧ホースと、上記作動油タンクの上記配管継手取り付け座が固定された上記側面に対向して配置され、湾曲形状から成る外装カバーとを備え、かつ旋回体上に運転席を有しており、上記作動油タンクは、上記作業装置に向って上記運転席の右側方に配置されており、上記作動油タンクの後方に配置されたラジエータ室と、上記運転席と上記作動油タンクとを仕切る第1仕切り部と、上記作動油タンクと上記ラジエータ室とを仕切る第2仕切り部とを備えたミニショベルにおいて、上記作動油タンクの上記側面の上下方向の中央位置付近に形成され水平方向に延設された凹部と、上記凹部内の底平面部に固定され複数の上記配管継手が上記底平面部の水平方向に並設して取り付けられ、水平方向に延設された帯板状の上記配管継手取り付け座とを備えており上記配管継手取り付け座が上記凹部の上記底平面部に固定されており、上記配管継手取り付け座に取り付けられた複数の上記配管継手にはそれぞれに上記油圧ホースが接続されており、上記油圧ホースのそれぞれは上記作動油タンクの上記側面と上記外装カバーとの間に位置するように、上記作動油タンクの上記側面に沿って上下方向に配置されたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、作動油タンクの周囲に配置される構造体に対向する作動油タンクの側面に、凹部を形成したことから、この凹部が形成された側面部分の強度を大きくすることができる。これに伴って、この凹部に固定した配管継手取り付け座の固定部分の強度を高めることができる。また、作動油タンクの側面に形成した凹部に配管継手取り付け座を固定し、この配管継手取り付け座に配管継手を取り付けたことから、配管継手、及び管体を作動油タンクの周囲に配置される構造体から離隔させるように配置でき、限られた機器設置スペースであっても、作動油タンクの側面と、この側面に対向して設けられる構造体との間隙部を大きく確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、配管継手取り付け座の固定部分における強度を高めることができ、この配管継手取り付け座の固定部分における経年的な破損を抑えることができる。これにより本発明は、従来に比べて作動油タンクの耐久性を向上させることができる。
【0016】
また本発明は、作動油タンクの側面と、この側面に対向して設けられる外装カバーとの間隙部を大きく確保することができる。これにより本発明は、各種の設置条件を考慮して作動油タンクを設置する際に、作動油タンクの位置調整に要する作業空間を確保できてこの作動油タンクの設置位置の調整が容易になり、従来に比べて作動油タンクの取り付け作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を構成するミニショベルを示す斜視図である。
図2】本実施形態を構成するミニショベルの外装カバーを外した状態を示す要部拡大斜視図である。
図3】本実施形態を構成するミニショベルの外装カバー部分を示す要部拡大斜視図である。
図4図3に示す状態から外装カバーを取り外した状態を示す要部拡大斜視図である。
図5】本実施形態に備えられる作動油タンクを示す側面図である。
図6図5のA−A断面拡大図である。
図7】従来技術において考えられる作動油タンクの配設形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るミニショベルの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態を構成するミニショベルを示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るミニショベルは、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2に上下方向の回動可能に取り付けられ、掘削作業等を行う作業装置3とを備えている。作業装置3は、ブーム4、アーム5、及びバケット6を含んでいる。
【0021】
旋回体2上には運転席7が配置され、この運転席7を覆うようにキャノピ8を取り付けてある。作業装置3に向って右側方には、このミニショベルの外殻を形成する外装カバー10、及びラジエータ室11を覆うラジエータカバー12を設けてある。
【0022】
図2は本実施形態を構成するミニショベルの外装カバーを外した状態を示す要部拡大斜視図、図3は本実施形態を構成するミニショベルの外装カバー部分を示す要部拡大斜視図、図4図3に示す状態から外装カバーを取り外した状態を示す要部拡大斜視図である。
【0023】
図3に示す外装カバー10を外すと、図2,4に示すように、旋回体2上に、作業装置3、走行体1、あるいは旋回体2を駆動する各種油圧アクチュエータに供給する作動油が収容され、各種の油圧アクチュエータからの油が戻される作動油タンク20を配置してある。この作動油タンク20の前側位置にはこのミニショベルに備えられるエンジンに燃料を供給する燃料タンク21を配置してある。
【0024】
上述したラジエータ室11は、作動油タンク20の後方に配置してある。また、運転席7と作動油タンク20とを仕切る第1仕切り部13と、作動油タンク20とラジエータ室11とを仕切る第2仕切り部14とを備えている。
【0025】
図5は本実施形態に備えられる作動油タンクを示す側面図、図6図5のA−A断面拡大図である。
【0026】
これらの図5,6に示すように、本実施形態に係るミニショベルは、作動油タンク20の側面20aの上下方向の中央位置付近に水平方向に延設した凹部20bを形成してある。この凹部20b内の底平面部に、複数の配管継手24が水平方向に並設して取り付けられ、水平方向に延設した帯板状の配管継手取り付け座23を固定してある。配管継手24のそれぞれには、前述した油圧アクチュエータに接続される複数本の油圧ホース25の一端を接続させてある。すなわち、配管継手取り付け座23が凹部20bの底平面部に固定されており、配管継手取り付け座23の複数の配管継手24のそれぞれに油圧ホース25が接続されており、油圧ホース25のそれぞれは作動油タンク20の側面20aと外装カバー10との間に位置するように、作動油タンク20の側面20aに沿って上下方向に配置されている。
【0027】
図6に示すように、凹部20bが形成される作動油タンク20の側面20aは平板形状に形成してあり、凹部20bが形成された側面20aに対向して配置される外装カバー10は、湾曲状に形成してある。
【0028】
なお、配管継手24、及び油圧ホース25を外装カバー10に接近させて配置させることにより、外装カバー10を開いて行われる配管継手24、あるいは油圧ホース25に対するメンテナンスが容易になる。
【0029】
このように構成した本実施形態に係るミニショベルは、作動油タンク20の周囲に配置される外装カバー10に対向する作動油タンク20の側面20aに、凹部20bを形成したことから、この凹部20bが形成された側面20a部分の強度を大きくすることができる。これに伴って、この凹部20bに固定した配管継手取り付け座23の固定部分の強度を高めることができる。これにより本実施形態は、配管取り付け座23の固定部分における経年的な破損を抑えることができ、作動油タンク20の耐久性を向上させることができる。
【0030】
また本実施形態は、作動油タンク20の側面20aに形成した凹部20bに配管継手取り付け座23を固定し、この配管継手取り付け座23に配管継手24を取り付けたことから、当該ミニショベルにおけるような限られた機器設置スペースであっても、配管継手24、及び油圧ホース25のそれぞれを、作動油タンク20の周囲に配置される外装カバー10から離隔させるように配置できる。これにより本実施形態は、図6に示すように、作動油タンク20の側面20aと、この側面20aに対向して設けられる外装カバー10との間隙部30を大きく確保することができる。したがって本実施形態は、各種の設置条件を考慮して作動油タンク20を設置する際に、作動油タンク20の位置調整が容易になり、作動油タンク20の取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0031】
なお、作動油タンク20の側面20aと、外装カバー10との間隙部30を図7に示した従来技術と同等の間隙部30Aに設定するようにすれば、図7に示す作動油タンク20よりも大きな容量の作動油タンク20を設けることができる。
【符号の説明】
【0033】
2 旋回
2a 旋回フレーム
3 作業装置
7 運転席
10 外装カバ
11 ラジエータ室
13 第1仕切り部
14 第2仕切り部
20 作動油タンク
20a 側面
20b 凹部
23 配管継手取り付け座
24 配管継手
25 油圧ホー
30 空隙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7