特許第6117082号(P6117082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6117082ストリップゴムの貼付け方法及び貼付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117082
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】ストリップゴムの貼付け方法及び貼付け装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20170410BHJP
   B29D 30/60 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B29D30/30
   B29D30/60
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-240942(P2013-240942)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-100925(P2015-100925A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】西川 修一
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−340935(JP,A)
【文献】 特開2006−130757(JP,A)
【文献】 特開2011−207166(JP,A)
【文献】 特開2012−143945(JP,A)
【文献】 特開2011−148162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機から、断面が頂部を有する形状のストリップゴムを押出し、前記ストリップゴムを回転するドラムに向かって前進させる工程と、
前記ストリップゴムの前記頂部側の面を、回転可能な圧着ローラで前記ドラム方向へ押え、前記ストリップゴムの前記頂部側と反対側の面を、前記ドラムに貼付けるとともに、前記ドラムと前記押出機とを前記ドラムの軸方向に相対的に移動させて、前記ストリップゴムを前記ドラムに螺旋状に巻きながら貼付ける工程と、
前記ストリップゴムの前記ドラムへの貼付け位置の近傍で、前記ストリップゴムの前記頂部側の面に、送風装置から送られる風を当てて、前記ストリップゴムの前記頂部側の面を冷却する工程とを含む、
ストリップゴムの貼付け方法。
【請求項2】
前記ストリップゴムの前記頂部側と反対側の面を前記ドラムに貼付ける前に、前記ストリップゴムの前記頂部側の面に風を当ててこれを冷却する、請求項1のストリップゴムの貼付け方法。
【請求項3】
前記ストリップゴムの前記頂部側の面と前記圧着ローラとに同時に風を当ててこれらを冷却する、請求項2のストリップゴムの貼付け方法。
【請求項4】
前記送風装置から送り出される風の温度が20〜50℃である、請求項1〜3のいずれか1項のストリップゴムの貼付け方法。
【請求項5】
回転するドラムと、
断面が頂部を有する形状のストリップゴムを、前記ドラムに向かって押出す押出機と、
前記ストリップゴムの前記頂部側の面を前記ドラム方向へ押え、前記ストリップゴムの前記頂部側と反対側の面を、前記ドラムに貼付ける圧着ローラと、
前記ストリップゴムの前記ドラムへの貼付け位置の近傍で、前記ストリップゴムの前記頂部側の面に向かって送風する送風装置とを備え、
前記ドラムと前記押出機とが前記ドラムの軸方向に相対的に移動できる、
ストリップゴムの貼付け装置。
【請求項6】
前記送風装置が、少なくとも前記圧着ローラよりも前記押出機側の場所に風が当たるように設けられている、請求項5のストリップゴムの貼付け装置。
【請求項7】
前記送風装置が、前記圧着ローラの少なくとも一部に風が当たるように設けられている、請求項6のストリップゴムの貼付け装置。
【請求項8】
前記送風装置が20〜50℃の風を送り出す装置である、請求項5〜7のいずれか1項のストリップゴムの貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップゴムの貼付け方法及び貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリップゴムを回転するドラムに巻き付けることにより、タイヤ構成部材を成型する方法が提案されている(特許文献1〜3)。
【0003】
しかし、ストリップゴムが、押出機から押し出された後、高温のまま、ドラム上又はドラムに先に貼付けられたストリップゴムの上に貼付けられた場合、問題が生じるおそれがある。具体的には、高温のストリップゴムが、ドラム上又はドラムに先に貼付けられたストリップゴムの上に貼付けられた後、次第に冷却され、それに伴って収縮する。その結果、ストリップゴムの収縮した部分と、それに隣接するストリップゴムの別の部分等との間に隙間ができる。そのため、完成するタイヤ構成部材の内部にエアが残る。
【0004】
そこで、ストリップゴムを、ドラムに貼付ける前に冷却することも考えられる。しかし、ストリップゴム全体が完全に冷却されてしまうと、ストリップゴムの粘着性が落ちる。その場合、ストリップゴムが、ドラムの表面や、ドラムに先に貼付けられたストリップゴムと、密着し難い。そのため、ストリップゴム間等に隙間ができる。そのため、完成するタイヤ構成部材の内部にエアが残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−340935号公報
【特許文献2】特開2006−130757号公報
【特許文献3】特開2005−349587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、完成するタイヤ構成部材の内部にエアが残り難いストリップゴムの貼付け方法及び貼付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のストリップゴムの貼付け方法は、押出機から、断面が頂部を有する形状のストリップゴムを押出し、前記ストリップゴムを回転するドラムに向かって前進させる工程と、前記ストリップゴムの前記頂部側の面を、回転可能な圧着ローラで前記ドラム方向へ押え、前記ストリップゴムの前記頂部側と反対側の面を、前記ドラムに貼付けるとともに、前記ドラムと前記押出機とを前記ドラムの軸方向に相対的に移動させて、前記ストリップゴムを前記ドラムに螺旋状に巻きながら貼付ける工程と、前記ストリップゴムの前記ドラムへの貼付け位置の近傍で、前記ストリップゴムの前記頂部側の面に、送風装置から送られる風を当てて、前記ストリップゴムの前記頂部側の面を冷却する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態のストリップゴムの貼付け方法によれば、完成するタイヤ構成部材の内部にエアが残り難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ストリップゴム貼付け装置1の正面図。
図2】(a)口金30の断面図。(b)孔31を通して押し出されるストリップゴムSの断面図。(c)ストリップゴムSの斜視図。
図3】ドラム2上に貼付けられたストリップゴムSの断面図。
図4】送風装置5の口部材52の配置に変更を加えたストリップゴム貼付け装置1の正面図。
図5】送風装置5の口部材52の配置に別の変更を加えたストリップゴム貼付け装置1の正面図。
図6】ストリップゴムSの貼付け位置に変更を加えたストリップゴム貼付け装置1の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0011】
(1)ストリップゴム貼付け装置1
実施形態のストリップゴム貼付け装置1を図1に示す。ストリップゴム貼付け装置1は、回転するドラム2と、ドラム2に向かってストリップゴムSを押出す押出機3と、ストリップゴムSをドラム2方向へ押えてドラム2に貼付ける圧着ローラ4と、ストリップゴムSに向かって送風する送風装置5とを備える。
【0012】
ストリップゴムSは、ゴム製の長尺の部材である。
【0013】
ドラム2は公知の構造のものである。ドラム2は、押出機3側から見て下から上へ向かう方向に、回転する。ドラム2はドラム保持装置20によって保持されている。ドラム保持装置20の下方には、ドラム2の軸方向に伸びるレール21が設けられている。ドラム保持装置20は、レール21上を動くことにより、ドラム軸方向に移動できる。
【0014】
押出機3は公知の構造のものである。押出機3は、ストリップゴムSの押出し方向が水平方向になるように設けられている。押出機3の口金30には、ストリップゴムSを押出す孔31が形成されている。
【0015】
孔31の断面形状の例を図2(a)に示す。この断面形状は、頂角32が鈍角である二等辺三角形である。この孔31を通して押し出されるストリップゴムSの断面形状は、図2(b)に示すように、孔31の断面形状に近い形状である。ただし、孔31の断面形状の角の部分に対応する部分は、丸みを帯びている。また、孔31の断面形状の直線部分に対応する部分は、断面形状外方へやや湾曲している。全体として、ストリップゴムSは、図2(c)に示すように、平たい長尺の形状をしている。そして、2つの面のうち一方の面の幅方向中央部が高く盛り上がって、頂部33が形成された形状をしている。また、ストリップゴムSは、幅方向の両端側の部分ほど、薄くなっている。ここで、頂部33は、押出し時に、孔31の断面形状の頂角32の近傍を通過した部分である。以下の説明では、頂部33が形成されている面を頂部側の面34、その反対側の面を裏面35とする。
【0016】
もっとも、孔31の断面形状は図2(a)のものに限られない。孔31を通って押し出されたストリップゴムSが、平たい長尺の形状をしており、2つの面のうち一方の面の幅方向中央部が他方の面の幅方向中央部よりも盛り上がって頂部が形成されていれば良い。この場合、ストリップゴムSの幅方向両側の部分が、中央部よりも薄い。
【0017】
押出機3の上方にはシリンダ40が設けられている。シリンダ40と一体となっているピストン41の先端に、圧着ローラ4が取り付けられている。圧着ローラ4は、回転軸42を中心に回転できるようになっている。圧着ローラ4は、周方向の外力を受けると、その外力の働く方向に回転する。圧着ローラ4は、シリンダ40の動作によって、押出機3の上方の位置と、ドラム2に近接する位置との間を移動する。圧着ローラ4がドラム2に近接した状態での圧着ローラ4の高さは、その下部が、押出機3から水平に進んできたストリップゴムSに接する高さである。また、圧着ローラ4は、ドラム2にストリップゴムSを押し付けることができる程度に、ドラム2に近接する。圧着ローラ4とドラム2との間に何も無い状態において、ドラム2に近接した圧着ローラ4の外周面とドラム2の外周面との間に一定の間隔が空いていても良い。また、圧着ローラ4の外周面が、ドラム2の外周面と接していても良い。圧着ローラ4の外周面とドラム2の外周面とが接している場合の、両面にかかる圧力の有無及び大きさは、限定されない。
【0018】
送風装置5は、押出機3の周辺等に置かれた本体50と、本体50で発生した風が中を通る送風管51と、送風管51の先端に接続された口部材52とを備える。送風管51はゴム等でできており、変形可能である。口部材52は、金属製の管状の部材である。口部材52の端部のうち、送風管51と接続されている端部とは反対側の端部が、送風口53となっている。口部材52はピストン41に固定されている。口部材52の送風口53は、圧着ローラ4の押出機3側の端部に向けられている。口部材52は、ピストン41に固定されているため、圧着ローラ4と一体となってドラム2方向へ進退する。本体50は、風を発生させることができるものであれば良く、具体的な構造は限定されない。ただし、風の温度を制御できるものであることが望ましい。特に、口部材52の送風口53から出る時点での風の温度を、20〜50℃の範囲内の温度となるよう制御できるものであることが望ましい。
【0019】
(2)ストリップゴムSの貼付け方法
ストリップゴム貼付け装置1を用いてストリップゴムSをドラム2に貼付け、タイヤ構成部材を成型する方法について説明する。
【0020】
まず、押出機3が稼働し始める。また、ドラム2が回転し始める。また、ピストン41がドラム2に向かって前進することにより、圧着ローラ4と送風装置5の口部材52が、ドラム2に向かって前進する。その結果圧着ローラ4はドラム2に近接する。
【0021】
次に、押出機3からストリップゴムSが押し出される。押し出されたストリップゴムSは、上記の形状をしている。ストリップゴムSの頂部側の面34が上を向いている。押し出されたストリップゴムSは、水平方向に、ドラム2に向かって前進する。
【0022】
ストリップゴムSは、ドラム2の所まで到達すると、ドラム2によって、ドラム2の回転方向に巻き込まれる。上記のように、ドラム2は押出機3側から見て下から上へ向かう方向に回転しているため、ストリップゴムSは上方へ巻き込まれる。この時、圧着ローラ4にはドラム2の回転の力が伝えられ、圧着ローラ4は、ドラム2の回転方向と対称となる方向に回転している。圧着ローラ4とドラム2との間に巻き込まれたストリップゴムSは、圧着ローラ4によって、ドラム2の方向へ押さえられる。このようにして、ストリップゴムSがドラム2の外周面へ貼付けられる。圧着ローラ4に接して押えられる面はストリップゴムSの頂部側の面34で、ドラム2の外周面に貼付くのは、ストリップゴムSの裏面35である。ストリップゴムSは、ドラム2に貼付けられた後も、頂部側の面34の幅方向中央に頂部33を有する形状を保っている。
【0023】
ストリップゴムSが圧着ローラ4により貼り付けられている間、送風装置5の口部材52から風が送られる。送風口53は、圧着ローラ4の、押出機3側の端部に向けられている。この部分は、圧着ローラ4の、ストリップゴムSを巻き込む前の部分である。そのため、風は、圧着ローラ4のストリップゴムSを巻き込む前の部分と、ストリップゴムSの頂部側の面34であって、圧着ローラ4によりドラム2に貼付けられる前の部分に、同時に当たる。そのため、ストリップゴムSは、圧着ローラ4によりドラム2に貼付けられる前に、冷却される。冷却されるのは、ストリップゴムSの頂部側の面34である。ここで、上記のように、送風口53から出る風の温度は、20〜50℃の範囲内の温度であることが望ましい。また、風の送風口53からの噴射圧は、ストリップゴムSを物体から引き離す場合のような高い圧でなくて良い。例えば、0.1〜0.5MPa程度で良い。
【0024】
ストリップゴムSが圧着ローラ4により貼り付けられている間、ドラム2がその軸方向に移動する。そのため、ストリップゴムSはドラム2に螺旋状に巻かれていく。ストリップゴムSは、ドラム2の軸方向に間隔が空かないように、巻かれる。図3に示すように、ストリップゴムSの幅方向両端側の部分は、互いに重なり合う。そのため、ストリップゴムSが巻き付けられて形成されるゴム層の厚みは、幅方向に均一となる。もっとも、ドラム2が移動するのではなく、押出機3と圧着ローラ4と送風装置5の口部材52とが、ドラム2の軸方向に移動しても良い。その場合も、ストリップゴムSはドラム2に螺旋状に巻かれていく。
【0025】
必要な場合は、ドラム2上に先に貼付けられたストリップゴムSの上に、更にストリップゴムSが重ねて貼付けられる。
【0026】
以上のようにして、所定長さのストリップゴムSが貼付けられると、タイヤ構成部材の成型が終わる。
【0027】
なお、このようにして完成したタイヤ構成部材は、その後、他のタイヤ構成部材と組み合わされ、加硫される。これによりタイヤが完成する。
【0028】
(3)効果
上記の実施形態では、ストリップゴムSが、圧着ローラ4でドラム2に貼付けられる際に、貼付け位置の近傍で、冷却される。そのため、完成するゴム層内にエアが残ることを防ぐことができる。詳細に説明すると、ストリップゴムSは、ドラム2上や、ドラム2に先に貼り付けられているストリップゴムSの上に、高温のまま貼り付けられると、次第に冷却され収縮して行く。すると、ストリップゴムSの幅方向端部と、ストリップゴムSが貼付けられている面との間に段差ができる。また、ストリップゴムSの頂部側の面34が変形する。すると、収縮したストリップゴムSの幅方向端部の上に次のストリップゴムSが貼り付けられた場合や、変形したストリップゴムSの頂部側の面34の上からさらにストリップゴムSが積層された場合に、前記の段差の部分や変形の部分に、エアが抱き込まれる。その結果、完成するタイヤ構成部材の内部にエアが残る。しかし、ストリップゴムSが、圧着ローラ4でドラム2に貼付けられる際に冷却されていれば、このようなことが起こるおそれが少ない。
【0029】
また、ストリップゴムSが貼付け位置の近傍で冷却されることにより、ゴムのドラム2上での加硫が阻害される。
【0030】
また、ストリップゴムSが、ドラム2への貼付け位置の近傍で収縮するため、貼付け後のストリップゴムSは既に収縮が進んだ状態になっている。そのため、タイヤ構成部材が、完成した後に収縮することを、抑えることができる。そのため、完成したタイヤ構成部材が、変形したり、規格外の寸法になったりするおそれが無い。
【0031】
また、上記の実施形態では、ストリップゴムSの頂部側の面34が、圧着ローラ4でドラム2に貼付けられる前に、冷却される。そのため、圧着時にストリップゴムSが変形することを防ぐことができる。特に、ストリップゴムSの頂部33が潰れることを防ぎ、ストリップゴムSの幅方向両側の部分が頂部33に対して薄いままの状態を保つことができる。そのため、ストリップゴムSが、その幅方向両側の部分が重ねられながら、螺旋状に巻かれた場合に、ストリップゴムSが巻かれてできるゴム層の厚みが、幅方向に均一になる。また、圧着ローラ4に当たる時点で、ストリップゴムSの温度が下がっているため、高温のストリップゴムSが圧着ローラ4に当たって、圧着ローラ4の表面が劣化することが防止される。
【0032】
ただし、ストリップゴムSのうち、冷却されるのは頂部側の面34であり、裏面35は高温のままである。そのため、ストリップゴムSが貼付けられる面に凹凸があっても、ストリップゴムSの裏面35がその凹凸に合わせて変形できる。そのため、ストリップゴムSの裏面35が貼付け面に密着でき、ストリップゴムSの裏面35側にエアが残ることが防止される。特に、既にストリップゴムSが貼付けられて表面に凹凸形状が形成されている所へ、ストリップゴムSが重ねて貼り貼付けれる場合、ストリップゴムSの裏面35が高温であると、該裏面35が凹凸に合わせて変形でき、効果が大きい。
【0033】
また、ストリップゴムSの裏面35が高温であれば、該裏面35の粘着性が高いため、ストリップゴムSが、ドラム2や先に貼付けられたストリップゴムSに容易に密着される。
【0034】
さらに、上記の実施形態では、送風装置5から送り出される風が圧着ローラ4にも当たるため、圧着ローラ4も冷却される。そのため、圧着ローラ4の温度が上昇し、ストリップゴムSの頂部側の面34を冷却できなくなることを防ぐことができる。また、圧着ローラ4の表面が劣化し難くなる。
【0035】
ここで、送風装置5から送り出される風の温度が20〜50℃であると、ストリップゴムSの頂部側の面34を適度に冷却することができる。50℃より高いと、ストリップゴムSの頂部側の面34が十分に冷却されないおそれがある。20℃より低いと、ストリップゴムSの裏面35の温度が低下するおそれがある。
【0036】
また、送風口53からの風の噴射圧が0.1〜0.5MPaであれば、ストリップゴムSが問題無く冷却される。詳細に説明すると、噴射圧が0.1MPaより高いと、ストリップゴムSの頂部側の面34が十分に冷却される。しかし、0.5MPaより高いと、ストリップゴムSの裏面35まで冷却されるおそれがある。また、ストリップゴムが噴射圧で変形するおそれもある。
【0037】
(4)変更例
(4−1)送風装置5の口部材52の配置の変更例1
ストリップゴムSに風を当てる位置は、上記の実施形態の位置に限定されない。風が当たる範囲の中心の場所が、ストリップゴムSがドラム2に貼付けられる位置の近傍の場所であれば良い。ここで、近傍の場所とは、押出機3からストリップゴムSのドラム2への貼付け位置までの間の場所や、ドラム2の表面上又はドラム2に貼付けられたストリップゴムS上であって、ストリップゴムSのドラム2への貼付け位置から、ドラム2の回転方向へ10°以内の場所である。
【0038】
口部材52の配置の変更例を図4に示す。口部材52は、押出機3の口金30と、ドラム2に向かって進出した状態での圧着ローラ4との間の上方に設けられている。口部材52の送風口53は下向きになっている。
【0039】
口部材52がこのように配置されていると、押出機3の口金30と、ドラム2に向かって進出した状態での圧着ローラ4との間で、ストリップゴムSの頂部側の面34に風が当たる。そのため、上記の実施形態の場合と同様に、ストリップゴムSの頂部側の面34を冷却することができ、それに基づく上記の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0040】
(4−2)送風装置5の口部材52の配置の変更例2
口部材52の配置の別の変更例を図5に示す。口部材52は、ドラム2に向かって進出した状態での圧着ローラ4の上方に設けられている。口部材52の送風口53は、ドラム2の外周面であって、ドラム2に向かって進出した状態での圧着ローラ4よりも、ドラム2の回転方向側の部分に、向けられている。ドラム2の外周面における、送風口53からの風の当たる部分の中心位置は、ストリップゴムSが圧着ローラ4により圧着される位置から、ドラム2の回転方向へ10°以内の位置である。
【0041】
口部材52がこのように配置されていると、ドラム2に圧着された後のストリップゴムSの頂部側の面34に風が当たる。すると、ドラム2に圧着されてすぐに、ストリップゴムSが冷却されて収縮する。そのため、ドラム2上でストリップゴムSの加硫が促進されるおそれが無い。また、ゴム層が完成した後で該ゴム層が収縮することを抑えることができる。さらに、ストリップゴムSが高温の状態で貼付けられるため、ストリップゴムSの裏面35が、貼付けられる面の凹凸に合わせて変形できる。
【0042】
(4−3)ストリップゴムSの貼付け位置の変更例
ストリップゴムSの貼付け位置の変更例を図6に示す。この変更例では、押出機3、圧着ローラ4、送風装置5が、ドラム2の押出機3側の場所と、そのドラム2を挟んだ反対側の場所に、設けられている。そして、ドラム2の両側で、上記の実施形態のストリップゴムSの貼付けが行われる。
【0043】
この変更例によれば、2箇所でストリップゴムSの貼付けが行われるため、短時間で該貼付けを終わらせることができる。
【符号の説明】
【0044】
S…ストリップゴム、1…ストリップゴム貼付け装置、2…ドラム、3…押出機、4…圧着ローラ、5…送風装置、20…ドラム保持装置、21…レール、30…口金、31…孔、32…頂角、33…頂部、34…頂部側の面、35…裏面、40…シリンダ、41…ピストン、42…回転軸、50…本体、51…送風管、52…口部材、53…送風口
図1
図2
図3
図4
図5
図6