【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例
の説明に先立って、本発明の理解に役立つ参考例を図面にしたがって説明する。
図6は
参考例1のパンツ型のオムツ1を示す。
図6(a)および
図6(b)に示すように、本
参考例1のパンツ型オムツ1は、オムツ本体2と一対のサイドパネル3とを備えている。前記オムツ本体2は、フロント部20、バック部21および股部22を有している。フロント部20は着用者の腹側を覆う。バック部21は着用者の背側を覆う。股部22は前記フロント部20とバック部21との間を継ぎ、着用者の股間を覆う。一対の前記各サイドパネル3は、前記フロント部20とバック部21とを胴回り方向Yに連ねるように、オムツ本体2の両側縁部20a,21aに接合されている。
【0019】
図6(b)に示すように、前記オムツ本体2には、着用者の股間を覆う吸収性のコア5などが設けられる。前記コア5は前記オムツ本体2の非肌面側に配置された液不透過性の樹脂シート25と、前記オムツ本体2の肌面側に配置された液透過性の不織布シート2wとの間に挟まれている。
オムツ本体2には、着用者の脚部に沿ってカット(cut)された脚回り部23が設けられていてもよい。また、前記脚回り部23には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴム(rubber)などからなる弾性部材24が設けられていてもよい。
【0020】
更に、オムツ本体2のフロント部20およびバック部21にはオムツ1を着用者にフィットさせるための弾性部材が設けられていてもよい。この弾性部材としては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴム、フィルムまたは熱可塑性樹脂を含む材料を採用することができる。
【0021】
図7(a)は前記サイドパネル3を展開した状態で示す。
図7(a)において、前記サイドパネル3は、前記胴回り方向Yに継ぎ目なく連続している。前記サイドパネル3は前記胴回り方向Yに延びる糸状の複数本の弾性部材Fと、前記弾性部材Fを挟む一対のウエブW,Wとを包含する。前記一対のウエブW,Wは互いに接着されている。
なお、本
参考例の場合、サイドパネル3の製造する際に、前記複数本の弾性部材Fは、その両端部において、上下一対のテープ(tape)材からなるテープ積層体T1により挟まれてテープ材に固着されている。
【0022】
図7(a)に示すように、前記各サイドパネル3には、破断部7が形成されている。破断部7はサイドパネル3の前記一対のウエブW,Wを上下に横断するように延び、当該サイドパネル3を破断するためのものである。つまり、
図6(a)の破断部7はサイドパネル3の上端33から下端34に至るまで断続的に形成されている。
図7の前記破断部7
は両ウエブW,Wを熱で硬化させたものであってもよい。前記サイドパネル3を更に破断し易くするために、本実施例では前記各サイドパネル3の全ての前記弾性部材Fが前記破断部7において切断または硬化されているのが好ましい。
なお、熱によりウエブW,Wおよび弾性部材Fを硬化させる場合、
図6(a)の破断部7はサイドパネル3の上端33から下端34まで連なって連続的に設けられていてもよい。
【0023】
図5(c)に明示するように、前記破断部7は前記サイドパネル3の上端33または下端34の少なくとも一方において前記サイドパネル3が切り欠かれたノッチ70を更に備えていてもよい。
【0024】
つぎに、前記パンツ型オムツ1の製造方法について説明する。
オムツ本体2の搬送工程:
図1(a)に示すように、複数のオムツ本体2が互いに連なった(切り離されていない)第1連続ウエブW1の状態でオムツ本体2が搬送される。前記第1連続ウエブW1は、たとえば、連続する積層シートからなり、胴回り方向Yに略直交する縦方向(搬送方向)Xに搬送される。
【0025】
第1折り工程:
一方、複数のサイドパネル3が互いに連なった積層ウエブW2の状態でサイドパネル3が搬送される。前記積層ウエブW2は一対搬送される。
前記サイドパネル3は、サイドパネル3の第1部37と第2部38とが互いに重なるように、サイドパネル3の搬送方向Xに延びる仮想の第1ラインL1に沿って折られる。すなわち、前記サイドパネル3はサイドパネル3の肌面3a同士が互いに対面するように折られる。前記両サイドパネル3は、第1および第2端部31,32が、それぞれ、オムツ本体2側に近くなるように折られる。
【0026】
仮止工程:
前記第1折り工程において折られたサイドパネル3の当該折られた状態を維持するために、サイドパネル3の第1部37と第2部38とは、たとえば、ヒートシール(heat seal)などにより仮止め部39において互いに仮止めされる。なお、仮止めは点状になされ、オムツの着用時に容易に分離することができる。
【0027】
その後、
図1(b)に示すように、積層ウエブW2は搬送方向Xの先端部分が切り取られ、個々のサイドパネル3に切り離される。
【0028】
第1接合工程:
一方、オムツ本体2のバック部21の肌面2a側の両側縁部21aには網点に示す部位に接着剤が塗布される。
図1(c)に示すように、前記一対の各サイドパネル3の第1端部(一方の端部)31は、オムツ本体2のバック部21の胴回り方向Yの前記両側縁部21aにそれぞれ接合される。なお、前記接合に先立って、オムツ本体2から胴回り方向Yに両サイドパネル3がそれぞれ突出するように、第1端部31がオムツ本体2上に配置される。
その後、第1連続ウエブW1は、胴回り方向Yに概ね平行な仮想のカットライン(cut line)CLに沿って、個々のオムツ本体2に切り分けられる。
【0029】
第2折り工程:
前記オムツ本体2のフロント部20側の肌面2aの両側縁部20aの網点に示す部位に接着剤が塗布された後、
図1(d)に示す胴回り方向Yに沿って延びる仮想の第2ラインL2に沿ってオムツ本体2が二重に折られる。前記第2ラインL2は、フロント部20とバック部21とが互いに重なる(線対称となる)位置に設定される。
【0030】
第2接合工程:
前記オムツ本体2が折られることにより、
図1(e)に示すように、前記一対のサイドパネル3の第2端部(他方の端部)32が、オムツ本体2のフロント部20の胴回り方向Yの両側縁部20aに接合される。
したがって、前記第1接合工程においてサイドパネル3が接合されていないフロント部20に前記サイドパネル3の第2端部32がそれぞれ接合される。
【0031】
前述した製造方法により製造されたパンツ型オムツは、
図1(e)および
図1(f)に示すように、サイドパネル3が前記オムツ本体2から胴回り方向Yに張り出した状態となる。
【0032】
なお、前述した説明では、フロント部20が下流側となるようにオムツ本体2を搬送することとしたが、バック部21が下流側となるようにオムツ本体2を搬送してもよい。
また、前記接着剤としては、たとえば、ホットメルト樹脂からなる接着剤を採用することができる。
さらに、フロント部20側の両側縁部20aおよびバック部21側の両側縁部21aに同時に接着剤の塗布を行ってもよい。
また、前記サイドパネル3をオムツ本体2に接合する方法としては、前記接着剤を用いる方法の他に、ヒートシールやソニック(sonic)などの方法を用いてもよい。
【0033】
つぎに、前記オムツ1の製造に用いるサイドパネル3となる積層ウエブW2の製造方法の一例について説明する。
【0034】
図5において、糸状の弾性部材Fは一対のコンベヤ(conveyer)90,90に螺旋状に巻き付けられる。この状態で、前記コンベヤ90,90が回転して、前記螺旋状の弾性部材Fが搬送方向Xに搬送される。一方、前記弾性部材Fは上下一対のテープT,Tに挟み付けられる。前記テープT,Tが互いに接着されて、前記弾性部材Fがテープ積層体T1,T1の間に架設された状態となる。
【0035】
この架設された状態で、一対のカッタ(cutter)91,91が弾性部材Fをテープ積層体T1の外側で切断すると、梯子状の弾性積層体FTが形成される。その後、前記弾性積層体FTを一対の不織布からなる連続ウエブW,Wの間に挟むことで、サイドパネル3となる積層ウエブW2が形成される。
【0036】
その後、前記第1折り工程に先立って、前記サイドパネル3を破断するための破断部7が搬送方向Xに断続的に形成される。前記破断部7を形成する際に、前記弾性部材Fが前記破断部7において切断または硬化される。同時に、
図6(c)の前記サイドパネル3の上端33および下端34となる部位の少なくとも一方において、
図5のノッチ70が積層ウエブに形成される。
【0037】
なお、前記積層ウエブW2の形成方法はJP63−243309A(特開昭63−243309号)に詳しく記述されており、ここに、その記述の全てが組み込まれる。
【0038】
つぎに、前記サイドパネルの他の製造方法が説明される。
【0039】
図8において、上下一対の連続ウエブW,Wの間に糸状の弾性部材Fが挟まれて、積層ウエブW2が生成される。前記積層ウエブW2は2つにスリットされて分割され、各分割された積層ウエブW2の先端が切り取られた後に、90°旋回されて、サイドパネル3が生成される。その後、各サイドパネル3,3は2重に折り畳まれる。
なお、この場合も前記破断部7がサイドパネル3に形成されてもよい。
【0040】
前記積層ウエブW2のその他の製造方法としては、例えばWO2008/126709A1に開示された方法が採用されてもよい。
【0041】
つぎに、他の
参考例について説明する。以下の
参考例については
参考例1と異なる構造および方法について説明する。
図2は
参考例2を示す。
本
参考例2のパンツ型オムツは、
図2(e)および
図2(f)に示すように、サイドパネル3の全体がオムツ本体2のフロント部20とバック部21との間に挟まれた状態になるように形成されている。前記サイドパネル3の第1および第2端部31,32は、それぞれ、オムツ本体2のバック部21およびフロント部20の肌面2a側の端部21a,20aに接合されている。
【0042】
図3は
参考例3を示す。
本
参考例3のパンツ型オムツは、
図3(f)および
図3(g)に示すように、サイドパネル3がオムツ本体2のフロント部20とバック部21との間に挟まれた状態になるように形成されている。前記サイドパネル3の第1および第2端部31,32は折り曲げられて、それぞれ、オムツ本体2のバック部21およびフロント部20の外面側(非肌面側)の端部21b,20bに接合されている。
【0043】
図4(a)〜(f)は前記パンツ型のオムツ1の製造方法の
参考例4を示す。
本
参考例のように、搬送方向Xに隣り合う一対のサイドパネル3,3が連なった状態で、サイドパネル3,3をオムツ本体2に接合してもよい。
【0044】
前記
図2〜
図4のオムツの製造方法については、US2011/0100536A1(WO2010/032396A1)に開示されており、ここに、その記述の全てが組み込まれる。
【0045】
図9〜
図12は実施
例を示す。
【0046】
図12(a)および(b)に示すように、オムツ1の破断部7は第1ライン(折りライン)L1よりも側縁部20a,21aに近い位置に配置されている。破断部7が側縁部21aに接近している場合、破断部7とオムツ本体2との間の部位の剛性は、破断部7と第1ラインL1との間の部位の剛性よりも大きいだろう。そのため、破断部7を境に剛性の大きさの相違が生じ、応力集中により、破断部7における破断が容易になるかもしれない。
なお、破断部7は第1ラインL1や側縁部20a,21aに対し平行に設けられていてもよい。
【0047】
本実施例の場合、前記破断部7が前記各サイドパネル3の素材を加熱して変質させて形成されていることで、前記破断部7において
図12(b)の前記各サイドパネル3の前記第1部37と前記第2部38とが熱溶着により互いに仮止めされている。なお、
図12(b)において仮止部分100は××で図示されている。
なお、第1部37と第2部38とは前記仮止めの部位を引きはがすことで、互いに離間して用いられる。
【0048】
図10に示すように、非肌面に配置された液不透過性の樹脂シート(バックシート)2sと、肌面に配置された液透過性の不織布シート(トップシート(top sheet))2wとの間には吸液性のコア5が挟まれていることで、前記オムツ本体2が形成されている。
図12の前記各サイドパネル3は前記各側縁部20a、21aにおいて前記オムツ本体2に接合されている。前記各側縁部20a、21aにおいて、
図10のように、前記不織布シート2wが切り欠かれている。
図11(b)のように、前記樹脂シート2sの側縁部20a、21aの肌面に前記サイドパネル3が接合されている。
【0049】
つぎに、前記サイドパネル3となる積層ウエブ(弾性積層体)W2の形成方法の別の例について説明する。
なお、本例の方法については、主として
図5の例と相違する部分について説明する。
【0050】
図9において、クランク(crank)状のアーム(arm)92の先端には糸状の弾性部材Fが導出される導出部92aが設けられている。アーム92が回転することにより、互いに幅方向に離間した一対のコンベヤ90に張架状態で前記弾性部材Fが螺旋状に巻回される。前記一対のコンベヤ90の回転により、前記張架状態の弾性部材Fが前記コンベヤ90の搬送方向Xの下流に向って搬送される。
【0051】
前記一対のコンベヤ90,90間の幅D1よりも小さい幅D2の一対の前記連続ウエブW,Wが前記一対のコンベヤ90,90間に導入される。前記搬送中の弾性部材Fが前記一対の連続ウエブW,Wの間で挟まれると共に、一対の連続ウエブW2,W2および弾性部材Fが接着されて前記積層ウエブW2が形成される。この後、前記コンベヤ90,90と前記積層ウエブW2との間において前記弾性部材Fがカッタ91により切断される。この切断後、積層ウエブW2はカットラインL3で示されるように、2つにスリットされてもよい。
なお、前記一対のウエブW,Wを前記一対のコンベヤ90,90よりも上方または下方においてニップロール(nip roll)で挟む場合、連続ウエブWの幅D2はコンベヤ90,90間の幅D1よりも大きくてもよい。
また、弾性部材Fは前記連続ウエブW,Wからはみ出た位置において切断されてもよい。たとえば、弾性部材Fは前記コンベヤ90,90間の外側において切断されてもよい。
【0052】
図11(a)に示すように、本実施例の場合、前記第1折り工程において折られた前記サイドパネル3の当該折られた状態を維持するために、前記サイドパネル3の前記第1部37と前記第2部38とを互いに仮止めする仮止工程を備える。前記破断部7が前記各サイドパネル3の素材を加熱して変質させて形成されていることで、前記破断部7において前記各サイドパネル3の前記第1部37と前記第2部38とが熱溶着により互いに仮止され、これにより前記仮止工程が実行される。
【0053】
つぎに、本実施例のオムツ1の製造方法の特徴が説明される。
図10に示すように、本実施例の場合、前記各側縁部20a,21aにおいて前記不織布シート2wを切り欠いて樹脂シート2sの前記側縁部20a,21aの肌面を露出させる工程を更に備える。
図11(b)の前記露出した側縁部20a,21aに前記サイドパネル3が接合されて、前記第1および第2接合工程が実行される。
【0054】
つぎに、前記オムツ本体2となる第1連続ウエブW1の他の製造方法が
図13を用いて説明される。
図13において、不織布シート2wの幅Wwは樹脂シート2sの幅Wwよりも小さい。前記樹脂シート2sの両側縁部20a,21aが露出した状態で、前記樹脂シート2s,吸収性コア5および不織布シート2wが積層されて第1連続ウエブW1が生成される。
【0055】
本実施例の場合、前記各側縁部20a,21aにおいて前記樹脂シート2sが前記不織布シート2wに覆われていない部位(非覆い部)の肌面に、
図11(b)の前記サイドパネル3の第1および第2端部31,32が接合される。
この場合、前記
図10の不織布シート2wを切り欠く工程が不要である。
【0056】
なお、
図13の実施例において、前記サイドパネル3の第1および第2端部31,32が接合されていない樹脂シート2sの前記非覆い部の少なくとも一部は、レッグホール(leg hole)を形成する際にダイカット(die‐cut)されてもよい。
【0057】
図11の破断部7を形成する際に、前記サイドパネル3の素材を変質させると共
に、前記各サイドパネル3の素材が変形されることで、前記破断部7において前記各サイドパネル3の前記第1部37と第2部38とが係合および熱溶
着の手段により互いに仮止めされてもよい。
【0058】
たとえば、
図11の破断部7を形成する際に、
図13Aの第1部37と第2部38とが重なった状態でサイドパネル3の素材W2,W2にエンボス加工、好ましくは針状ないし柱状のエンボス加工をX方向に連続的ないし断続的に施し、第1部37と第2部38とが互いに緩く係合することで、第1部37と第2部38とが互いに仮止めされ
、前記エンボス加工の際に、サイドパネルの素材をエンボス加工による変形に加え加熱して変質させてもよい。
【0059】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、糸状の弾性部材として糸ゴムを用いずに、弾性のあるホットメルト樹脂を採用してもよい。
また、前記ノッチはV字形である必要はなく、ライン状の切り込みであってもよい。さらに、ノッチをサイドパネルに必ずしも設ける必要はない。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。