(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピストンヘッド(21、21’)の前記外面(47、47’)と前記ピストンヘッド(21、21’)の前記下部(51、51’)は互いにほぼ平行である請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記円筒(33、33’)の前記第1と第2の側壁部(35、57と35’、57’)は前記共通の固定軸線(25)に沿って互いに離れて配置している請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記共通の固定軸線(25)はほぼ平行に延び、前記排出管(61、61’)は前記共通の固定軸線(25)に対して前記第2の空間(55、55’)の最も低い位置から延在する入口を有する請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記ピストンヘッド(21、21’)の前記外面(47、47’)はそれぞれほぼ同じ面積を有し、前記ピストンヘッド(21、21’)の前記下部(51、51’)もそれぞれほぼ同じ面積である請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記流入管(7、7’)内の冷媒の各圧力は同じであり、入口の上流にある前記第1の空間(49、49’)の前記吸入弁(43、43’)は同時かつ継続的に同じ圧力になる請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記流入管(7、7’)内の冷媒の各圧力は時間の経過と共に変動し、吸入口(39、39’)の上流にある前記第1の空間(49、49’)の吸入弁(43、43’)は同時かつ継続的に前記変動する冷媒の圧力に曝される請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記ピストンヘッド(21、21’)のそれぞれの前記第1の末端壁(37、37’)と前記外面(47、47’)はほぼ平坦でかつ互いにほぼ平行である請求項1に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記ピストンヘッド(21、21’)のそれぞれの前記第1の末端壁(37、37’)と前記外面(47、47’)は前記ピストンヘッド(21、21’)の第2の位置で互いにほぼ接触する請求項11に記載のポータブル式冷媒回収装置。
前記固定軸線はほぼ平行に延び、前記排出管は前記固定軸線に対して前記第2の空間の最も低い位置から延在する入口を有する請求項15に記載のポータブル式冷媒回収装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明のポータブル式冷媒回収装置1の斜視図である。
図2に示すように、典型的な冷媒の回収作業では、冷凍システム2から貯蔵タンク4に冷媒を輸送するために回収装置1が使われる。
図2に示す配置において、冷媒は冷凍システム2から配管6(
図2、
図3参照)を通って回収装置1(
図3参照)の流入管7、7’に輸送される。流入管7、7’は回収装置1の圧縮機11の吸入口9、9’にそれぞれ接続している。
図3の基本的な作業配置図に示すように、冷媒は圧縮機11から吐出口13、13’を通って、コンデンサ17、17’を備えた排出管15、15’に流れ、更に他の配管18を通って
図2に示す貯蔵タンク4に移動する。
【0010】
図4に示す最良の形態によれば、回収装置1の圧縮機11は対向するピストンヘッド21、21’を備え、それぞれのピストンヘッド21、21’は対応するピストンロッド23、23’に一体的に固着されている。ピストンロッド23、23’は共通の固定軸線25に沿って延び、ヨーク部29の側面部27、27’にそれぞれ固定される。
図4に示すように、ピストンロッド23、23’は共通の固定軸線25に沿ってヨーク部29の側面部27、27’とは反対の方向に延びている。詳しくは後述するが、ヨーク部29はスコッチヨーク機構(Scotch Yoke:往復両スライダクランク)31の一部を形成している。ここに述べるスコッチヨーク機構31は後述する駆動機構の回転運動を、ヨーク部29と共通の固定軸線25に沿って互いに固着したピストンロッド23、23’とピストンヘッド21、21’の往復運動へと変換する。
【0011】
図4に示す各ピストンヘッド21、21’は、第1の側壁部35、35’と第1の末端壁37、37’とを伴って、円筒状の側壁を有する円筒33、33’内に封止及び摺動可能に収まっている。
図4に示すように、第1の末端壁37、37’はその内部に冷媒を一方通行に流す吸入弁43、43’と吐出弁45、45’をそれぞれ有する吸入口39、39’と吐出口41、41’とを備えている。各ピストンヘッド21、21’は第1の末端壁37、37’に対向する外面47、47’を有し、第1の末端壁37、37’と第1の側壁部35、35’とが囲む第1の空間49、49’を形成する。ほぼ鏡像関係にある双方の配置は同じ寸法であることが好ましく、またピストンヘッド21、21’の外面47、47’の円形面積の大きさ(直径約1インチ)もそれぞれ同じであることが好ましい。
【0012】
往復運動するピストンロッド23、23’は、共通の固定軸線25に沿いながら対応するピストンヘッド21、21’を円筒33、33’の第1の末端壁37、37’に向けて第1と第2の位置の間で移動させる。この場合に、ピストンヘッド21、21’は互いに対向しており、それぞれの位相が180度ずれた状態で作動する。例えば、
図4に示すピストンヘッド21が第1の位置(
図5参照)に至ると、
図2に示す冷凍システム2から共通の配管6(
図2、
図3)と流入管7を通して冷媒を吸入するために、第1の空間49の容積は膨張する。同時に、対向するピストンヘッド21は
図5に示す第2の位置に移動し、第1の空間49から排出管15に冷媒を押し出すように、
図4に示す第1の空間49の容積を収縮させる。次の操作では、並列したピストンヘッド21、21’を
図6に示す位置に戻す。ピストンヘッド21、21’の圧縮された位置(例えば
図5のピストンヘッド21’)では、
図4に示す互いにほぼ平行なピストンヘッド21’の外面47と第1の末端壁37’が互いにほぼ接触するまで接近し、望ましくは内部を最高圧縮度(例えば300:1或いはそれ以上)にまで上昇させる。
図4〜
図6に示すように、ピストンヘッド21、21’とピストンロッド23、23’は、それぞれの第1の位置と第2の位置の間を、共通の固定軸線25に沿って対称的に動くように制御される。
【0013】
作業中には、冷凍システム2内の回収される冷媒の初期圧力は通常では大気圧よりも高くなる。多くの場合に、冷媒の圧力は大気圧よりも非常に高く(100〜300psiかそれ以上)なる可能性がある。一方、貯蔵タンク4の初期圧力は貯蔵タンク4が空の状態か、満たされているかによって大気圧よりも高くなることも、低くなることもある。例えば、回収作業を始める前には、回収する冷媒が汚染されないように中の空気を除いて貯蔵タンク4を大気圧以下に排気する。他方、貯蔵タンク4が前の作業を引き継いで部分的にも冷媒で満たされているならば、貯蔵タンク4の圧力は大気圧よりも高くなるか、
図2に示した冷凍システム2から回収される時の冷媒の圧力よりも高くなる。貯蔵タンク4の初期圧力が冷凍システム2の冷媒よりも或る程度高い圧力になると、
図4に示す第1の空間49、49’の吐出弁45、45’は閉じたままになる。しかし、接続された貯蔵タンク4の初期圧力が冷凍システム2の冷媒の圧力よりも或る程度低くなると、各一対の吸入弁43、43’と吐出弁45、45’の一方の組み合わせ43、45及び他方の組み合わせ43’、45’は
図7に示すように開くことになる。その結果、圧力が均衡して各吸入弁43、43’と吐出弁45、45’が閉じた状態になるまで冷媒は制限されることなく、冷凍システム2から貯蔵タンク4に流れることになる。その後に、冷凍システム2から貯蔵タンク4に冷媒を輸送するために、
図4〜
図6に示す回収装置1の圧縮機11による操作が必要になる。
【0014】
上述の圧縮機11の初期の作業サイクルにあっては、冷凍システム2内の冷媒は通常大気圧以上のままである。前述のように、通常では流入する冷媒の圧力は大気圧よりもかなり高く(100〜300psiかそれ以上)なる。そのような高い圧力は適切に解消されないと、圧縮機11の各部位を損傷する力が生じ、装置を早期に破損してしまう。特に、圧力を適切に解消できない場合には、初期の力は接続する圧縮機11の駆動機構が始動できないまでに高くなる。この状態になることを避けるには、後述するように、本実施の形態のピストンヘッド21、21’をそれぞれ対向するように配置すればよい。そのように配置すれば、双方に流入する冷媒の高い圧力に基づく力は、互いに相殺され、中和される。このようにして、装置の起動時の課題はほぼ解決され、作業の初期段階における冷媒の高い圧力からの強い力による損傷や摩耗は顕著に低減される。
【0015】
特徴的な例として、先ず
図7に示す線A−Aの右半分のみから成る構造の初期動作を想定すると、
図7に示す流入管7に流入する冷媒の圧力は通常大気圧よりもかなり高く(100〜300psiかそれ以上)なる。圧力が高くなると、吸入弁43が開き、同時にピストンヘッド21の外面47に力Fが働くようになる。この力Fはかなりの強さになり、回収作業の初期サイクルの間は流入する冷媒の圧力が、例えば50〜75psiかそれ以下に大きく低下するまで、力Fはそのまま維持される。
図7に示す右側のピストンヘッド21とピストンロッド23のみが存在する構造では、前述のように力Fの初期の強さは圧縮機11の駆動機構に影響を与えるまでになり、圧縮機11の始動を妨げる。特にこの設計では、冷媒からの力は初動状態又は流入する冷媒の圧力が大幅に低下するまで、ピストンヘッド21とピストンロッド23、そして圧縮機11の駆動機構にも加わり(衝撃や大きな振動をもたらす)、早期の摩耗はもとより破壊さえ起こす可能性がある。高い圧力の冷媒が液体状態にあると、この不具合は確実に発生する。従って、ピストンヘッド21の各サイクルを経て、流入する冷媒の圧力が低下して冷媒がガス化又は蒸気化すると、力Fの大きさは小さくなる。しかし、このような設計の場合に、冷媒は気相、液相に拘わらず、その圧力が大幅(50〜75psi又はそれ以下)に低下しない限り、ピストンヘッド21の往復運動中の力Fは圧縮機11の各部位を損傷したり歪めることになる。このことは、前述の
図7に示した圧縮機11において、右側のピストンヘッド21とピストンロッド23だけが存在した場合にのみ当てはまる。
【0016】
しかし、望ましい実施の形態では、回収装置1の初動段階又は
図7に示す繰り返し操作の間に、右半分のピストンヘッド21に掛かる不均衡な力Fは、対向するピストンヘッド21’にも加わる反力F’によって相殺され中和される。それによって、流入する冷媒の力Fに懸念される潜在的な損傷効果は根本的に除去される。ピストンヘッド21、21’とピストンロッド23、23’を含む連結構造はそれぞれ同軸線上に並び、互いに固定されているため、上記の力の均衡化の効果は一層現実的になる。更に、圧縮機11の駆動装置からは、ピストンヘッド21、21’を往復運動させて、それぞれの第1の空間49、49’で冷媒を圧縮し、冷媒を貯蔵タンク4に流すためには、差動力D(
図4参照)を供給するだけでよい。このように、圧縮機11の駆動機構は、
図7に示すピストンヘッド21、21’が互いに力を相殺したり中和するので、ピストンヘッド21、21’に掛かる力F、F’に対抗したり、補償する必要はなくなる。この場合に、圧縮機11の駆動機構は流入して作用する冷媒の力F、F’の影響を考慮したり補償する必要はなく、例えば第1の空間49、49’の力は最高550psiになるように設計されている。多くの場合に、圧縮機11では更に高い圧力(例えば750〜1500psiかそれ以上)を発生させることも可能であるが、貯蔵タンク4の安全性を図るために、操作中の回収装置1の圧力はより低く(例えば550psi)抑えられる。
【0017】
上記の作用流体は気相又は液相の何れかを形成する冷媒であるため、冷媒から発生する力F、F’と駆動装置とを隔離することが重要になってくる。通常は流入する冷媒はピストンヘッド21、21’の上で想定外に相変化し、それによって生ずる力F、F’は広範囲に変動する。しかし、本発明の力の均衡を意図した設計では、ピストンヘッド21、21’の上で、何時、どのような力F、F’が発生しても、共通の固定軸線25に沿って中和される。圧縮機11の駆動装置はこのように発生する力F、F’そして/又は流入する冷媒の条件(例えば圧力、温度、相)に左右されることはない。冷媒を冷凍システム2から貯蔵タンク4に輸送する作業の間には、
図4に示す圧縮機11から加わる差動圧Dを加えるだけで、冷媒の相や状態に左右されることなく、2つのピストンヘッド21、21’を繰り返して作動させることができる。
【0018】
望ましい実施の形態に示した冷媒の力を均衡化させる設計では、力F、F’と差動力Dとを切り離すことができるが、それでも圧縮機11のピストンロッド23、23’を含む駆動機構とスコッチヨーク機構31の各部位の耐久性は保証されなければならない。それは、(特に装置の初動操作において)圧縮機11の対向する部位が依然として力F、F’を受ける場合があるからである。影響を受ける部位にはスコッチヨーク機構31のヨーク部29と同様に、共通の同軸線25上に並んだピストンヘッド21、21’とピストンロッド23、23’が含まれる。そのため、並んで対向するこれらの部位は互いに固着されている。更に、このような構成は対向するピストンが不揃いであったり、固定が十分でない場合や、共通の固定軸線25に沿った対称的な動きが制限される場合でも、損傷や磨耗を起こさないように、力F、F’やそれ以上の大きな負荷に対する耐久性を備えている。
【0019】
作業に当たっては、
図4に示す圧縮機11から共通の固定軸線25に沿った1つの方向(例えば
図4の左方向)に差動力Dを作用させる。
図4では分かり易くするために力Dだけを表示しているが、それは
図7に示した力F、F’が互いに相殺されるからである。しかし、
図4に示すように圧縮機11が左側に動く場合には、差動力Dとピストンヘッド21に圧力が掛かった冷媒の力Fとが合体した同じ方向の第2の力F+Dが加わっているはずである。この第2の力F+Dは対向するピストンヘッド21’上に掛かる第1の力F’よりも強くなる。従って、対向する位置にあるピストンヘッド21’は、
図4で示した位置から
図5に示す収縮する位置に向けて左側に移動する。
【0020】
換言すれば、第1の空間49、49’に通ずる流入管7、7’に流入し、大気圧よりも高い圧力にある冷媒は、ピストンヘッド21、21’の外面47、47’に、対抗する第1の力F、F’を掛ける。これら対向する力F、F’は共通の固定軸線25に沿っている。操作中は、例えばピストンヘッド21が
図6に示す収縮する位置から
図5に示す膨張する位置に戻ってきたとき、ピストンヘッド21上の力Fにスコッチヨーク機構31から差動力Dを供給する。それによって、対向するピストンヘッド21’は
図5に示した収縮する位置に移動する。この操作は繰り返され、冷媒が関与するどのような条件(圧力、温度、相)や力F、F’の変化にも左右されることはない。
【0021】
対向する力F、F’を本質的に同じ大きさに維持するために、上述(
図3参照)の流入管7,7’は冷媒を介して互いに連通し、
図2に示した冷凍システム2から配管6に流れる冷媒とも連通する。このように、冷媒の圧力が時間によって変化しても、流入管7、7’の内部もそれに追従する。その結果、吸入口39、39’の上流にある第1の空間49、49’の吸入弁43、43’は、瞬時にかつ継続的に同じ圧力の冷媒に曝される。対向するピストンヘッド21、21’の外面47、47’に流入する冷媒からの対向する力F、F’も同じ大きさになる。更に、
図2に示すように第1の空間49、49’の吐出口41、41’の吐出弁45、45’の下流にあって、外方に向かう排出管15、15’もまた互いに冷媒を介して連通し、更に配管18を介して貯蔵タンク4と連通している。
【0022】
望ましい実施の形態で示した力を均衡化させる設計においては、第1の空間49、49’に対して流入又は吐出する管体のみを意図的に冷媒や汚染物質(例えば油、細かい金属粉)に接触させる。一方で、
図4に示すピストンヘッド21、21’の下部51、51’は冷媒に曝さないように設計することが望ましいし、ピストンロッド23、23’を含む駆動装置そしてスコッチヨーク機構31の部位に対してもそのような設計が望まれる。しかし、ピストンヘッド21、21’の下部51、51’やピストンロッド23、23’は或る程度冷媒に接触することもある。第2の空間55、55’はそれぞれのピストンヘッド21、21’の下部51、51’(
図4参照)にあって、汚染物質を捕捉、収集し、それらを一方通行の排出管61、61’を通して不具合を伴わないように流入管7、7’へと戻す。このように汚染物質は、第2の空間55、55’内に収集されても、スコッチヨーク機構31内の破損し易い部位には及ばないように隔離される。
【0023】
更に、
図4に示した各ピストンヘッド21、21’は、それに固定したピストンロッド23、23’に隣接して下部51、51’を備えている。ピストンヘッド21、21’の下部51、51’はピストンロッド23、23’に沿うと共に、共通の固定軸線25の外側に向けて延びている。回収装置1はピストンヘッド21、21’の下部51、51’に対向する位置に第2の末端壁53、53’を有する。円筒33、33’(
図4参照)の第2の末端壁53、53’に沿ったピストンヘッド21、21’の下部51、51’は、それぞれ環状の第2の空間55、55’を形成する。排出管61、61’は
図4に示すように各第2の空間55、55’と各流入管7、7’の間に延在する。各排出管61、61’は冷媒が第2の空間55、55’から各流入管7、7’に一方的に流れるように、一方通行弁63、63’を備えている。
【0024】
装置の作動中は、上述の往復運動する各ピストンロッド23、23’は共通の固定軸線25に沿って、各ピストンヘッド21、21’をそれぞれの第1の末端壁37、37’に対して円筒33、33’内の第1と第2の位置の間を移動させる。それによって、第1の空間49、49’の容積はそれぞれ膨張し、収縮する。逆に、第2の空間55、55’の容積はこれに応じて収縮し、膨張する。次いで、各排出管61、61’内の一方通行弁63、63’は、各第2の空間55、55’が収縮すると開き、膨張すると(
図5、
図6参照)閉じる。このように、各第2の空間55、55’内に収集された或る量の冷媒と汚染物質は捕捉された後に、周囲に害を及ぼさないように一方通行の排出管61、61’を通って流入管7、7’に戻される。この場合に、不要な冷媒や汚染物質は収縮する各第2の空間55、55’の圧力が流入管7、7’の内圧以上に達すると、意図的に流入管7、7’に戻される。不具合を及ぼすこの流体の排除を促進するために、
図4に示した水平に延びた共通の固定軸線25に沿って、各第2の空間55、55’の望ましくはそのほぼ最も低い位置から各排出管61、61’に延びる入口を設ける。特に、回収装置1の始動時や作業中に汚染物質を収集し、排出管61、61’に流す場合には重力の作用が有効になる。排出管61、61’を介した流れは、
図4に示すピストンロッドシール54、54’に掛かる負荷を低減するために有効であり、更に汚染物質の通過を防止し、スコッチヨーク機構31を有害な流体や汚染物質から確実に遮蔽する。このように、第2の空間55、55’の第2の末端壁53、53’(
図4参照)は、往復運動するピストンロッド23、23’を受け止め、ピストンロッドシール54、54’の位置での摺動そして封止を可能にする。上述のように、ピストンロッドシール54、54’は第2の空間55、55’とその内容物からスコッチヨーク機構31を遮蔽する。
図4に示す各円筒33、33’の第1の側壁部35、57と第2の側壁部35’、57’は、共通の固定軸線25に沿って互いに隣接している。これらの部位は互いに離れることも重なることもある。ピストンヘッド21、21’の下部51、51’は同じ環状領域を有し、それぞれのピストンヘッド21、21’の外面47、47’と平行であることが望ましい。
【0025】
図6、
図8、
図9に示す圧縮機11の駆動装置は、
図9に示す軸線24を中心にモータシャフト22を回転するモータ20を備えている。モータシャフト22は平坦な上部22’を有し、平衡錘C(
図8、
図9参照)に隣接して、止めねじ26(
図9参照)によりスコッチヨーク機構31のクランクシャフト28に固定されている。クランクシャフト28は間隔を空けて円筒状の面34、34’を備えたベアリング部32、32’を有し、円筒状の面34、34’は
図9に示す転がりベアリング36、36’の中にあって、回転軸線24に対して対称的に延びている。
図8、
図9に示すクランクピン38は各ベアリング部32、32’の間に一体的に延び、軸線42を中心に延在する円筒状の面40を持つ。軸線24に沿った各円筒状の面34、34’の周囲は、軸線42の回りにある円筒状の面40の周囲よりもやや大きくなる。この構造はクランクピンや偏心した駆動部の周囲を隣接するベアリング部又は類似の部材の周囲に比べて大きくする従来技術とは対照的である。
【0026】
操作中は、
図9に示すモータ20は軸線24を中心にモータシャフト22とそれに接続するクランクシャフト28を回転させる。それによって、クランクピン38も軸線24の回りに回転し、またクランクピン38の軸線42も並行する軸線24の回りに回転する。
図9に示す回転するクランクピン38はスコッチヨーク機構31の2つの対向する摺動部44(
図5参照)の内部に収められる。別体の摺動部44、44’(
図5参照)は、縦軸線48に沿ってヨーク部29、29’内をボール46によって摺動可能に装着される。
図5に示した構成では、縦軸線48はヨーク部29の中心を通る対称軸となっている。このように、モータシャフト22とクランクシャフト28が軸線24の回りを回転すると(
図9参照)、偏心したクランクピン38の軸線42も軸線24の回りに回転することになる。
【0027】
図5に示すヨーク部の摺動部44、44’は縦軸線48に対して上下に動き、その動きはヨーク部29と接続するピストンロッド23、23’とピストンヘッド21、21’を共通の固定軸線25に沿って動かす。
図9、
図10の軸線24、42はこのようにして互いにほぼ平行となり、
図5の共通の固定軸線25及び縦軸線48とほぼ直交する。このように、スコッチヨーク機構31は
図9の軸線24の回りのモータシャフト22及びクランクシャフト28、クランクピン38の回転運動を
図5に示す共通の固定軸線25に沿って、ヨーク部29、それに隣接するピストンロッド23、23’そしてピストンヘッド21、21’の往復運動に変換する。
【0028】
図5に示す摺動部44、44’はクランクピン38とニードルベアリング(針状軸受)又はピン50を介して接触する。この場合に、摺動部44、44’の接触面52、52’はほぼ平行であることが望ましい。更に、接触面52、52’同士の少なくとも一方には溝56(
図10参照)が配置されていることが望ましい。溝56は摺動部44、44’の上下の領域58、58’(
図5参照)と潤滑剤を介して連通している。クランクピン38の回りのニードルベアリング又はピン50は摺動部44、44’の半円筒状で内側に接する面60、60’との間に挟まれる。このように、摺動部44、44’が
図4〜
図6に示すヨーク部29に向けて縦軸線48に沿って動くにつれて、
図5に示す領域58、58’内の潤滑剤は強制的に溝56を通って、ニードルベアリング又はピン50に移動される。この場合に、クランクケース又はヨーク部29のハウジング部75はごみの進入を防ぐために空気と遮断されている。このような構成では、領域58、58’の容積が収縮すると、潤滑剤によるポンプ作用が高められる。更に、接触面52、52’に隣接する摺動部44、44’の外面62、62’(
図6参照)は窪み又は凹状部を有する。これらの部分は
図6に示すように、溝56の入口付近で潤滑剤を収集するためにそれぞれのポケット65を形成している。
【0029】
上述の摺動部44、44’は、
図5、
図6に示すようにヨーク部29の縦軸線48の上下方向に可動に装着される。実際には、縦軸線48の両方向に沿って半円を描くように動く。
図7に示す接触するヨーク部29の側面部27、27’は、圧縮された冷媒からのどのような力F、F’にも耐え、力F、F’から摺動部44、44’を隔離するが、
図4〜
図6に示したクランクピン38の動きによって、ヨーク部29の側面部27、27’には依然として大きな力が掛かる。例えば、圧縮機11は貯蔵タンク4に冷媒を押し出す第1の空間49、49’内の圧力を最高550psiにまで上げる。駆動する摺動部44、44’とそれらに対向するヨーク部29の側面部27、27’との間に発生する大きな力を改善し消散させるために、望ましくは複数の列から成るボール46(
図6、
図10)が配置される。これらのボール46(
図6参照)は、側面部27、27’のそれぞれの対になる内外に向く面64、64’と摺動部44、44’の間(
図9、
図10参照)に配置される。各面64、64’(
図9、
図10)は、少なくとも2つの溝又は通路66、66’を有し、それらはボール46と共に
図6に示す共通の固定軸線25とほぼ直交する方向に延在することが望ましい。各摺動部44、44’の駆動力Dは、潜在的な磨耗と損傷を低減するために、各面64、64’の間で多数の接触点により消散される。複数のボール46と通路66、66’は駆動する摺動部44、44’とそれらに対向するヨーク部29の正しい位置関係を維持するために有効に作用する。
【0030】
図11に示す実施の形態は、先の実施の形態に示したスコッチヨーク機構31とほぼ同じスコッチヨーク機構31”によって駆動される1本のピストンヘッド21”を示している。先の実施の形態のように、ピストンロッド23”に隣接して、ピストンヘッド21”の下部51”は
図11に示すように固定軸線25”の周りに延在する。
図11に示すヨーク部29”の他の側にあるスタブ又はロッドRはヨーク部29”に固着し、ロッドRの動きはピストンロッド23”とピストンヘッド21”と同様に、固定軸線25”のみに沿うように制限される。この構成は先の2つの実施の形態に対応する。同様に、
図11に示すピストンヘッド21”、ピストンロッド23”、ヨーク部29”は互いに固く結合する。
【0031】
図11に示す実施の形態には先の実施の形態と同様に、第1の側壁部35”と円筒33”の第1の末端壁37”とピストンの外面47”とから形成された第1の空間49”が円筒33”内に配置される。
図11に示す実施の形態では、更にピストンヘッド21”の下部51”、円筒33”の第2の側壁部57”と第2の末端壁53”によって形成される第2の空間55”が配置される。また、
図11に示すように、第2の空間55”と流入管7’の間には排出管61”が延在する。排出管61”はその中に一方通行弁63”を有し、そこを通過する流れは第2の空間55”から流入管7’に向けて一方向に向かうように制限される。
【0032】
作業中には、先の実施の形態のように往復運動するピストンロッド23”は固定軸線25”に沿って、円筒33”の第1の末端壁37”に対して第1、第2の位置の間を移動する。そのような動きの中で、第1の空間49”の容積は膨張し、収縮する。逆に、第2の空間55”の容積は収縮し、膨張する。次いで、排出管61”内の一方通行弁63”は
図5、
図6の動作と同様に、第2の空間55”が収縮すると開き、第2の空間55”の面積が膨張すると閉じる。このように、第2の空間55”内に収集された或る量の冷媒と汚染物質は捕捉された後に、一方通行の排出管61”を通って周囲に害を及ぼさないように流入管7’に戻され、排出管15’に排出される。この場合に、望ましくない冷媒や汚染物質は収縮する第2の空間55”の圧力が流入管7’の内圧以上に達すると、積極的に流入管7’に戻される。
【0033】
この望ましくない冷媒や汚染物質の排除を促進するために、
図11に示すように水平に延びた共通の固定軸線25”に沿って、各排出管61”への入口を設け、この入口は固定軸線25”に沿った各第2の空間55”の望ましくはそのほぼ最も低い位置から延びている。これまでの実施の形態に見るように、回収装置1の始動時や作業中に汚染物質を収集し、排出管61”に流す際には重力の作用が有効になる。排出管61”を介した流れは、
図11に示すピストンロッドシール54”に掛かる負荷の低減に有効であり、更に汚染物質の漏洩を防止し、有害な流体や汚染物質からスコッチヨーク機構31”を確実に隔離する。このように、先の実施の形態のように、第2の空間55”の第2の末端壁53”は往復運動するピストンロッド23”を受け止め、ピストンロッドシール54”の位置での摺動及び封止を可能にする。上述のように、ピストンロッドシール54”の位置は第2の空間55”とその内容物をスコッチヨーク機構31”から隔離する。
図11に示す各円筒33”の第1の側壁部35”と第2の側壁部57”は固定軸線25”に沿って互いに隣接している。これらの部位は互いに離れることも、重なることもある。ピストンヘッド21”の下部51”はピストンヘッド21”の外面47”と平行であることが望ましい。
図11に示す単独のピストン圧縮機11”を経由した流れは吸入弁43”を通過して、第1の空間49”の吸入口39”から第1の空間49”内に入り、第1の空間49”の吐出口41”内の吐出弁45”から排出される。上述のスコッチヨーク機構31”の作動原理は、これまでの実施の形態と本質的に同じである。
【0034】
これまでの開示によって、本発明の実施の形態は幾つかの関連する図面と共に詳細に説明した。当業者は本発明の教示の基に本発明のクレームの範囲を逸脱することなく、種々の設計変更、他の構成や形態の実行化が可能であることを理解するはずである。特に、ここに使用した「ほぼ」の語句は、定量的比較、数値、計測値又は他を表示する際に、本来的な不確実性が含まれることを念頭におく必要がある。この語句はまたそれによって関連する構成要素の基本的機能の変更に帰することなく、定量的な表示が記載された参考値から変動する度合いを示すために使われている。