(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の刺激パルスのうちの少なくとも1つは、複数の刺激サブパルスを含み、各刺激サブパルスは、50〜250ミリ秒の持続時間を有する、請求項1に記載のデバイス。
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記治療セッションの少なくとも90%にわたって前記一次信号の伝送を引き起こすように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
前記筐体および前記一次アンテナのうちの少なくとも1つは、それが対象の皮膚の輪郭に概して一致することを可能にする程度まで可撓性である、請求項1に記載のデバイス。
前記一次信号によって前記インプラントに伝送される電力は、前記インプラントを起動させることと、筋収縮誘発電流を引き起こすこととの両方のために使用される、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本開示の例示的実施形態を詳細に参照し、その実施例が、添付図面で図示される。可能な限り、同一または類似部品を参照するために、同一の参照番号が図面の全体を通して使用されるであろう。
【0019】
本開示の実施形態は、概して、エネルギーの送達を通して神経を変調するためのデバイスに関する。神経の変調、または神経変調は、中枢、末梢、または自律神経系における、電気的または化学的な活性の阻害(例えば、遮断)、刺激、修正、調節、または治療的改変を含む。神経変調は、神経がそれ自体の電気信号を活性化または伝搬するために十分な電圧変化を生成するように、エネルギーを神経に提供することを含み得る、神経刺激の形態を成し得る。神経変調はまた、神経が電気信号を伝搬することを防止するために十分なエネルギーを神経に提供することを含み得る、神経阻害の形態を成し得る。神経阻害は、エネルギーの一定の印加を通して行われ得、また、印加後のある期間にわたって神経の機能を阻害するために十分なエネルギーの印加を通して行われ得る。神経変調の他の形態は、神経の機能を修正し、高度または減少した程度の感受性を引き起こす。本明細書で参照される場合、神経の変調は、神経全体の変調および/または神経の一部分の変調を含み得る。例えば、運動ニューロンの変調は、エネルギーが印加される場所の遠位にあるニューロンの部分のみに影響を及ぼすように行われ得る。
【0020】
OSAがある患者では、例えば、神経刺激の一次標的応答は、患者の気道を遮断しない位置まで舌を移動させるための、舌筋(例えば、筋肉)の収縮を含み得る。片頭痛の治療では、神経阻害が、痛覚を低減または排除するために使用され得る。高血圧の治療では、神経変調が、身体によって生成される神経信号を増加、減少、排除、または別様に修正して、血圧を調節するために使用され得る。
【0021】
本開示の実施形態は、特定の症状がある患者で使用するために開示され得るが、実施形態は、神経変調が所望され得る、任意の患者/身体の部分と併せて使用され得る。つまり、OSA、片頭痛、または高血圧がある患者での使用に加えて、本開示の実施形態は、脳深部刺激(例えば、てんかん、パーキンソン病、およびうつ病の治療)、心臓ペースメーキング、胃の筋肉刺激(例えば、肥満の治療)、背部痛、失禁、月経痛、および/または神経変調による影響を受け得る他の症状を含むが、それに限定されない、多くの他の分野で使用され得る。
【0022】
図1は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニットおよび外部ユニットを図示する。インプラントユニット110は、神経115を変調することを可能にする場所で、対象に埋め込むために構成され得る。インプラントユニット110は、介在組織111がインプラントユニット110と神経115との間に存在するように、対象の中に位置し得る。介在組織は、筋組織、結合組織、臓器組織、または任意の他の種類の生物組織を含み得る。したがって、インプラントユニット110の場所は、効果的な神経変調のために神経115との接触を必要としない。インプラントユニット110はまた、いかなる介在組織111も存在しないように、神経115に直接隣接して位置し得る。
【0023】
OSAを治療する際に、インプラントユニット110は、患者の頤舌筋の上に位置し得る。そのような場所は、その枝が頤舌筋の内側に及ぶ、舌下神経の変調に好適である。OSAの治療のためのインプラントユニット110の埋込場所に関する、さらなる詳細が、
図11および12に関して以下で提供される。インプラントユニット110はまた、他の場所に配置するために構成され得る。例えば、片頭痛治療は、大後頭神経、小後頭神経、および/または三叉神経を変調するために、首の後ろ、対象の髪の生え際付近、または対象の耳の後ろに皮下埋込を必要とし得る。片頭痛等の頭痛の治療のためのインプラントユニット110の埋込場所に関する、さらなる詳細が、
図13に関して以下で提供される。高血圧の治療は、(頸動脈圧受容器を通して舌咽神経を変調するように)頸動脈または頸静脈の内側で、一方または双方のいずれかで、(副交感腎神経を変調するために)腎動脈または腎静脈の内側で血管内に神経変調インプラントの埋込を必要とし得る。代替として、または加えて、高血圧の治療は、例えば、舌咽神経を直接変調するように、耳の後ろまたは頸部で皮下に、神経変調インプラントの埋込を必要とし得る。高血圧の治療のためのインプラントユニット110の埋込場所に関する、さらなる詳細が、
図14および15に関して以下で提供される。
【0024】
外部ユニット120は、患者の皮膚112に直接接触するか、またはその近くのいずれかである、患者の外部の場所のために構成され得る。外部ユニット20は、例えば、患者の皮膚112に添着することによって、または外部ユニット120を定位置で保持するように構成されるバンドあるいは他のデバイスを通して、患者に付着されるように構成され得る。外部ユニット120の皮膚への付着は、インプラントユニット110の場所の近傍にあるように起こり得る。
【0025】
図2は、OSAがある患者100においてエネルギーを送達するための神経変調システムの例示的実施形態を図示する。本システムは、患者の外部の場所のために構成され得る、外部ユニット120を含み得る。
図2で図示されるように、外部ユニット120は、患者100に添着されるように構成され得る。
図2は、OSAがある患者100において、外部ユニット120が、患者の顎の下および/または患者の首の前部に配置するために構成され得ることを図示する。配置場所の好適性は、以下でさらに詳細に論議されるように、外部ユニット120とインプラントユニット110との間の通信のために決定され得る。代替実施形態では、OSA以外の症状の治療のために、外部ユニットは、患者上の好適ないずれかの場所で、特定の用途の要件に応じて、例えば、患者の首の後ろで、すなわち片頭痛治療インプラントユニットと通信するために、患者の腹部の外側部分上で、すなわち胃変調インプラントユニットと通信するために、患者の背部上で、すなわち腎動脈変調インプラントユニットと通信するために、および/または患者の皮膚上の任意の他の好適な外部場所で、添着されるように構成され得る。
【0026】
外部ユニット120はさらに、患者に近接する代替的な場所に添着されるように構成され得る。例えば、一実施形態では、外部ユニットは、患者の身体の一部を包み込むように構成され得るストラップまたはバンドに、固定して、または除去可能に付着するように構成され得る。代替として、または加えて、外部ユニットは、その場所に付着することなく、患者の身体の外部の所望の場所にとどまるように構成され得る。
【0027】
外部ユニット120は、筐体を含み得る。筐体は、構成要素を保持するために構成される任意の好適なコンテナを含み得る。加えて、外部ユニットが
図2で概略的に図示されているが、筐体は、任意の好適なサイズおよび/または形状であり得、剛体または可撓性であり得る。外部ユニット100用の筐体の非限定的な実施例は、様々な形状および寸法を有し、任意の好適な材料で構築される、パッチ、ボタン、または他のレセプタクルのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、例えば、筐体は、外部ユニットが所望の場所に一致するように構成され得るように、可撓性材料を含み得る。例えば、
図2で図示されるように、外部ユニットは、ひいては、可撓性基材を含み得る、皮膚パッチを含み得る。可撓性基材の材料は、プラスチック、シリコーン、織物天然繊維、および他の好適なポリマー、共重合体、ならびにそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。外部ユニット120の任意の部分は、特定の用途の要件に応じて、可撓性または剛体であり得る。
【0028】
以前に論議されたように、いくつかの実施形態では、外部ユニット120は、所望の場所に付着するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、筐体の少なくとも1つの側面は、接着材料を含み得る。接着材料は、生体適合性材料を含み得、患者が外部ユニットを所望の場所に付着させ、使用の完了時に外部ユニットから除去することを可能にし得る。接着剤は、外部ユニットの単回または複数回の使用のために構成され得る。好適な接着材料は、生体適合性の糊、デンプン、エラストマー、熱可塑性プラスチック、および乳剤を含み得るが、それらに限定されない。
【0029】
図3は、外部ユニット120およびインプラントユニット110を含むシステムを概略的に図示する。いくつかの実施形態では、内部ユニット110は、患者の体内に埋め込まれるようにユニットとして構成され得、外部ユニット120は、インプラントユニット110に信号を送信し、および/またはインプラントユニット110から信号を受信するように構成され得る。
【0030】
図3に示されるように、種々の構成要素が、外部ユニット120の筐体内に含まれ得るか、または別様に外部ユニット120に関連付けられ得る。
図3で図示されるように、少なくとも1つのプロセッサ144が、外部ユニット120に関連付けられ得る。例えば、少なくとも1つのプロセッサ144は、外部ユニット20の筐体内に位置し得る。代替実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、筐体の外部の場所から外部ユニットと有線または無線通信するために構成され得る。
【0031】
少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの入力変数に論理演算を行うように構成され得る、任意の電子回路を含み得る。したがって、少なくとも1つのプロセッサは、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または命令を実行するか、あるいは論理演算を行うために好適であり得る、当業者に公知である任意の他の回路の全体または一部であり得る、1つ以上の集積回路、マイクロチップ、マイクロコントローラ、およびマイクロプロセッサを含み得る。
【0032】
図3は、外部ユニット120がさらに、電源140に関連付けられ得ることを図示する。電源は、外部ユニットに、例えば、外部ユニットに対して外部の場所で少なくとも1つのプロセッサに、除去可能に連結可能であり得る。代替として、
図3に示されるように、電源140は、外部ユニット120内の場所に永久的または除去可能に連結され得る。電源はさらに、プロセッサと電気通信するように構成される任意の好適な電源を含み得る。一実施形態では、例えば、電源140は、バッテリを含み得る。いくつかの実施形態では、外部ユニット120は、バッテリ等の電源を保持するように構成されている筐体を含み得る。以下でさらに詳述されるように、本明細書で開示される神経変調技法の実施形態は、低電力消費レベルで神経変調を可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、電源としての機能を果たすバッテリは、60ミリアンペア時間未満、120ミリアンペア時間未満、および240ミリアンペア時間未満の容量を有し得る。
【0033】
電源は、外部ユニット内の種々の構成要素に電力供給するように構成され得る。
図3で図示されるように、電源140は、電力をプロセッサ144に提供するように構成され得る。加えて、電源140は、電力を信号源142に提供するように構成され得る。信号源142は、プロセッサ144と通信し得、かつ信号(例えば、正弦波信号、方形波、三角波、マイクロ波、高周波(RF)信号、または任意の他の種類の電磁信号)を生成するように構成される任意のデバイスを含み得る。信号源142は、交流(AC)信号および/または直流(DC)信号を生成するように構成され得る、波形発生器を含み得るが、それに限定されない。一実施形態では、例えば、信号源142は、1つ以上の他の構成要素に伝達するためのAC信号を生成するように構成され得る。信号源142は、任意の好適な周波数の信号を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、信号源142は、約6.5MHzから約13.6MHzの周波数を有する信号を生成するように構成され得る。追加の実施形態では、信号源142は、約7.4から約8.8MHzの周波数を有する信号を生成するように構成され得る。さらなる実施形態では、信号源142は、90kHzほども低い、または28MHzほども高い周波数を有する信号を生成し得る。
【0034】
信号源142は、増幅器146と直接または間接的に電気通信するために構成され得る。増幅器は、信号源142から生成される1つ以上の信号を増幅するように構成される、任意の好適なデバイスを含み得る。増幅器146は、例えば、トランジスタベースのデバイス、演算増幅器、RF増幅器、電力増幅器、または信号の1つ以上の側面に関連付けられる利得を増加させることができる任意の他の種類のデバイスを含む、種々の種類の増幅デバイスのうちの1つ以上を含み得る。増幅器はさらに、増幅された信号を外部ユニット120内の1つ以上の構成要素に出力するように構成され得る。
【0035】
外部ユニットは、加えて、一次アンテナ50を含み得る。例えば、一次アンテナは、外部ユニット120の筐体に関連付けられ得る。一次アンテナは、外部ユニット120内の回路の一部として構成され得、かつ外部ユニット120の中の種々の構成要素に、直接的または間接的のいずれかで連結され得る。例えば、
図3に示されるように、一次アンテナ50は、増幅器146と通信するために構成され得る。
【0036】
一次アンテナは、電磁場を作成するように構成され得る、任意の伝導性構造を含み得る。一次アンテナはさらに、任意の好適なサイズ、形状、および/または構成であり得る。一次アンテナは、対象の皮膚の輪郭に概して一致することを可能にする程度に、可撓性であり得る。サイズ、形状、および/または構成は、患者のサイズ、インプラントユニットの配置場所、インプラントユニットのサイズおよび/または形状、神経を変調するために必要とされるエネルギーの量、変調される神経の場所、インプラントユニット上に存在する受容電子機器の種類等によって決定され得る。一次アンテナは、信号を送信および/または受信するように構成され得る、当業者に公知である任意の好適なアンテナを含み得る。好適なアンテナは、長導線アンテナ、パッチアンテナ、らせんアンテナ等を含み得るが、それらに限定されない。一実施形態では、例えば、
図3で図示されるように、一次アンテナ150は、コイルアンテナを含み得る。そのようなコイルアンテナは、任意の好適な伝導性材料から作製され得、かつ伝導性コイルの任意の好適な配列(例えば、直径、コイルの数、コイルのレイアウト等)を含むように構成され得る。一次アンテナ50として使用するために好適なコイルアンテナは、約1cmから10cmの直径を有し得、かつ円形または卵形であり得る。いくつかの実施形態では、コイルアンテナは、5cmから7cmの直径を有し得、かつ卵形であり得る。一次アンテナ150として使用するために好適なコイルアンテナは、任意の数の巻き、例えば、4、8、12以上を有し得る。一次アンテナ50として使用するために好適なコイルアンテナは、約0.1mmから2mmのワイヤ直径を有し得る。これらのアンテナパラメータは、例示的にすぎず、好適な結果を達成するように挙げられる範囲以上または以下に調整され得る。
【0037】
記述されるように、インプラントユニット110は、患者の体内に(例えば、患者の皮膚の下に)埋め込まれるように構成され得る。
図2は、インプラントユニット110が、対象の舌130の筋肉に関連付けられる神経の変調のために埋め込まれるように構成され得ることを図示する。対象の舌130の筋肉に関連付けられるように構成される神経を変調することは、筋肉収縮を引き起こす刺激を含み得る。さらなる実施形態では、インプラントユニットは、変調することを所望し得る任意の神経と併せて配置されるように構成され得る。例えば、後頭神経、大後頭神経、および/または三叉神経の変調は、片頭痛からの痛覚等の頭部の痛覚を治療するために有用であり得る。腎動脈の上または周囲の副交感神経線維(すなわち、腎神経)、迷走神経、および/または舌咽神経の変調が、高血圧を治療するために有用であり得る。加えて、運動ニューロン、感覚ニューロン、交感神経ニューロン、および副交感神経ニューロンを含む、末梢神経系の任意の神経(脊髄および脳の両方)が、所望の効果を達成するように変調され得る。
【0038】
インプラントユニット110は、患者の身体に埋め込むために好適な任意の材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、可撓性の生体適合性材料を含む、可撓性キャリア(carrier)161(
図4)を含み得る。そのような材料は、例えば、シリコーン、ポリイミド、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、パリレンC、ポリイミド、液体ポリイミド、積層ポリイミド、ブラックエポキシ、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、Kapton等を含み得る。インプラントユニット110はさらに、金、白金、チタン、または任意の他の生体適合性の伝導性材料、あるいは材料の組み合わせ等の伝導性材料を含む、回路を含み得る。インプラントユニット110および可撓性キャリア161はまた、患者の皮膚の下に埋め込むために好適な厚さで製造され得る。インプラント110は、約4mm未満または約2mm未満の厚さを有し得る。
【0039】
インプラントユニットに含まれ得る、または別様にインプラントユニットに関連付けられ得る他の構成要素が、
図3で図示されている。例えば、インプラントユニット110は、可撓性キャリア161の上に載置されるか、または可撓性キャリア161と一体化されている二次アンテナ152を含み得る。一次アンテナと同様に、二次アンテナは、信号を送信および/または受信するように構成され得る、当業者に公知である任意の好適なアンテナを含み得る。二次アンテナは、任意の好適なサイズ、形状、および/または構成を含み得る。サイズ、形状、および/または構成要素は、患者のサイズ、インプラントユニットの配置場所、神経を変調するために必要とされるエネルギーの量等によって決定され得る。好適なアンテナは、長導線アンテナ、パッチアンテナ、らせんアンテナ等を含み得るが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、二次アンテナ152は、円形(
図4も参照)または卵形を有する、コイルアンテナを含み得る。そのようなコイルアンテナは、任意の好適な伝導性材料から作製され得、かつ伝導性コイルの任意の好適な配列(例えば、直径、コイルの数、コイルのレイアウト等)を含むように構成され得る。二次アンテナ152として使用するために好適なコイルアンテナは、約5mmから30mmの直径を有し得、かつ円形または卵形であり得る。二次アンテナ152として使用するために好適なコイルアンテナは、任意の数の巻き、例えば、4、15、20、30、または50を有し得る。二次アンテナ152として使用するために好適なコイルアンテナは、約0.01mmから1mmのワイヤ直径を有し得る。これらのアンテナパラメータは、例示的にすぎず、好適な結果を達成するように挙げられる範囲以上または以下に調整され得る。
【0040】
インプラントユニット110は、加えて、複数の電場生成インプラント電極158a、158bを含み得る。いくつかの実施形態では、インプラント電極158aおよび158bは、変調電極を含み得る。電極は、電極が患者の体内で電場を生成するように構成され得る限り、インプラントユニット上で任意の好適な形状および/または配向を含み得る。インプラント電極158aおよび158bはまた、任意の好適な伝導性材料(例えば、銅、銀、金、白金、イリジウム、白金・イリジウム、白金・金、伝導性ポリマー等)、または伝導性(および/または貴金属)材料の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、電極は、短線電極、円形電極、および/または円形の一対の電極を含み得る。
図4に示されるように、電極158aおよび158bは、細長いアーム162の第1の拡張部162aの端部上に位置し得る。しかしながら、電極は、インプラントユニット110の任意の部分の上に位置し得る。加えて、インプラントユニット110は、例えば、
図5で図示されるように、例えば、細長いアーム162の第1の拡張部162aおよび第2の拡張部162bの両方の端部上で、複数の場所に位置する電極を含み得る。インプラント電極は、約200ナノメートルから1ミリメートルの厚さを有し得る。アノードおよびカソード電極対が、約0.2mmから25mmの距離によって離間され得る。追加の実施形態では、アノードおよびカソード電極対は、約1mmから10mm、または4mmから7mmの距離によって離間され得る。隣接アノードまたは隣接カソードは、0.001mm以下ほども小さい、または25mm以上ほども大きい距離によって離間され得る。いくつかの実施形態では、隣接アノードまたは隣接カソードは、約0.2mmから約1mmの距離によって離間され得る。
【0041】
図4は、インプラントユニット110の例示的な構成要素の概略図を提供する。
図4で図示されるように、一実施形態では、電場生成電極158aおよび158bは、一組の電極がアノードを提供し、他方の一組の電極がカソードを提供する、可撓性キャリア161の上に提供される、2組の4つの円形電極を含み得る。インプラントユニット110は、患者の体内へのインプラントユニット110の埋込を促進するように、1つ以上の構造要素を含み得る。そのような要素は、例えば、患者の体内の所望の場所でのインプラントユニット110の整列を促進し、体内でインプラントユニット110を固定するための取り付け点を提供する、細長いアーム、縫合糸穴、ポリマー外科用メッシュ、生物学的な糊、組織に固着するように突出する可撓性キャリアのスパイク、同一の目的のための追加の生体適合性材料のスパイク等を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、第1の拡張部162a、および随意に第2の拡張部162bを有する、細長いアーム162を含み得る。拡張部162aおよび162bは、特定の筋肉(例えば、頤舌筋)、患者の体内の神経、または神経より上側の体内の表面に対してインプラントユニット110を配向するために役立ち得る。例えば、第1および第2の拡張部162a、162bは、インプラントユニットが、患者の皮膚の下の軟または硬組織(例えば、神経、骨、または筋肉等)の少なくとも部分的に周囲で一致することを可能にするように構成され得る。さらに、インプラントユニット110はまた、可撓性キャリア161上のいずれかの場所に位置する、1つ以上の縫合糸穴160を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、縫合糸穴160は、細長いアーム162の第2の拡張部162bおよび/または細長いアーム162の第1の拡張部162aの上に配置され得る。インプラントユニット110は、種々の形状で構築され得る。いくつかの実施形態では、インプラントユニットは、実質的に
図4で図示されるように見え得る。他の実施形態では、インプラントユニット110は、第2の拡張部162b等の図示した構造がなくてもよく、または異なる配向で追加のあるいは異なる構造を有し得る。加えて、インプラントユニット110は、
図4に示される翼付形状の代替案として、略三角形、円形、または長方形で形成され得る。いくつかの実施形態では、(例えば、
図4に示されるような)インプラントユニット110の形状は、変調される特定の神経に対するインプラントユニット110の配向を促進し得る。したがって、身体の異なる部分への埋込を促進するために、他の規則的または不規則的な形状が採用され得る。
【0042】
図4で図示されるように、二次アンテナ152および電極158a、158bは、可撓性キャリア161の上に載置されるか、または可撓性キャリア161と一体化され得る。種々の回路構成要素および接続ワイヤ(以下でさらに論議される)が、二次アンテナをインプラント電極158aおよび158bと接続するために使用され得る。患者の体内の環境からアンテナ、電極、回路構成要素、および接続ワイヤを保護するために、インプラントユニット110は、インプラントユニット110をカプセル化する保護被覆を含み得る。いくつかの実施形態では、保護被覆は、可撓性キャリア161とともに屈曲を可能にするように可撓性材料から作製され得る。保護被覆のカプセル化材料はまた、湿度浸透に抵抗し、腐食から保護し得る。いくつかの実施形態では、保護被覆は、シリコーン、ポリイミド、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、パリレンC、液体ポリイミド、積層ポリイミド、ポリイミド、Kapton、ブラックエポキシ、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、または任意の他の好適な生体適合性被覆を含み得る。いくつかの実施形態では、保護被覆は、異なる層内の異なる材料または材料の組み合わせを含む、複数の層を含み得る。
【0043】
図5は、本開示の例示的実施形態による、インプラントユニット110の代替実施形態の斜視図である。
図5で図示されるように、インプラントユニット110は、例えば、第1の拡張部162aおよび第2の拡張部162bの端部に位置する、複数の電極を含み得る。
図5は、インプラント電極158aおよび158bが短線電極を含む、実施形態を図示する。
【0044】
図2および3に戻って、外部ユニット120は、インプラントユニット110等の埋込型デバイスと通信するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサ144は、一次アンテナから、インプラントユニット110または少なくとも一対の変調電極を含む任意の他の埋込型デバイスへの一次信号の伝送を引き起こすように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、一次信号は、例えば、プロセッサ144、信号源142、および増幅器146を使用して、一次アンテナ150上で生成され得る。より具体的には、一実施形態では、電源140は、電力をプロセッサ144および信号源142の一方または両方に提供するように構成され得る。プロセッサ144は、信号源142に信号(例えば、RFエネルギー信号)を生成させるように構成され得る。信号源142は、信号源142によって生成される信号を増幅し得る増幅器146に、生成された信号を出力するように構成され得る。増幅の量、したがって、信号の振幅は、例えば、プロセッサ144によって制御され得る。プロセッサ144が、増幅器146に、信号に対して印加させる利得または増幅の量は、一次アンテナ150の形状、サイズ、および/または構成、患者のサイズ、患者内のインプラントユニット110の場所、二次アンテナ152の形状、サイズ、および/または構成、(以下でさらに論議される)一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度、インプラント電極158a、158b等によって生成される電場の所望の大きさ等を含むが、それらに限定されない、種々の要因に依存し得る。増幅器146は、増幅された信号を一次アンテナ150に出力し得る。
【0045】
外部ユニット120は、一次アンテナ上の一次信号をインプラントユニット110の二次アンテナ152に通信し得る。この通信は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合に起因し得る。一次アンテナと二次アンテナとのそのような結合は、一次アンテナに印加される信号に応答して二次アンテナ上で信号を引き起こす、一次アンテナと二次アンテナとの間の任意の相互作用を含み得る。いくつかの実施形態では、一次および二次アンテナの間の結合は、容量結合、誘導結合、高周波結合等、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0046】
一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合は、二次アンテナに対する一次アンテナの近接性に依存し得る。つまり、いくつかの実施形態では、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の効率または程度は、二次アンテナへの一次アンテナの近接性に依存し得る。一次および二次アンテナの近接性は、同軸オフセット(例えば、一次および二次アンテナの中心軸が相互整列させられたときの一次および二次アンテナの間の距離)、側方オフセット(例えば、一次アンテナの中心軸と二次アンテナの中心軸との間の距離)、および/または角度オフセット(例えば、一次および二次アンテナの中心軸の間の角度差)に関して表され得る。いくつかの実施形態では、同軸オフセット、側方オフセット、および角度オフセットがゼロであるときに、結合の理論的な最大効率が一次アンテナ150と二次アンテナ152との間に存在し得る。同軸オフセット、側方オフセット、および角度オフセットのうちのいずれかを増加させることは、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の効率または程度を低減させる効果を及ぼし得る。
【0047】
一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の結果として、一次信号が一次アンテナ150上に存在するときに、二次信号が二次アンテナ52上で生じ得る。そのような結合は、誘導/電磁結合、RF結合/伝送、容量結合、または一次アンテナ150上で生成される一次信号に応答して二次信号が二次アンテナ152上で生成され得る、任意の他の機構を含み得る。結合とは、一次アンテナと二次アンテナとの間の任意の相互作用を指し得る。一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合に加えて、インプラントユニット110に関連付けられる回路構成要素はまた、二次アンテナ152上の二次信号に影響を及ぼし得る。したがって、二次アンテナ152上の二次信号とは、信号源にかかわらず、二次アンテナ152上に存在する、任意のおよびすべての信号および信号成分を指し得る。
【0048】
一次アンテナ150上の一次信号の存在が、二次アンテナ152上で二次信号を引き起こし、または誘発し得る一方で、2つのアンテナ間の結合はまた、二次アンテナ152上に存在する二次信号の結果として、一次アンテナ150上の結合信号または信号成分につながり得る。二次アンテナ152上の二次信号によって誘発される一次アンテナ150上の信号は、一次結合信号成分と呼ばれ得る。一次信号とは、信号源にかかわらず、一次アンテナ150上に存在する、任意のおよびすべての信号または信号成分を指し得、一次結合信号成分とは、二次アンテナ152上に存在する信号との結合の結果として一次アンテナ上で生じる、任意の信号または信号成分を指し得る。したがって、いくつかの実施形態では、一次結合信号成分は、一次アンテナ150上の一次信号に寄与し得る。
【0049】
インプラントユニット110は、外部ユニット120に応答するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、一次コイル150上で生成される一次信号は、二次アンテナ152上で二次信号を引き起こし得、それがひいては、インプラントユニット110による1つ以上の応答を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、インプラントユニット110の応答は、インプラント電極158aとインプラント電極158bとの間の電場の生成を含み得る。
【0050】
図6は、外部ユニット120に含まれ得る回路170、およびインプラントユニット110に含まれ得る回路180を図示する。追加の、異なる、またはより少ない回路構成要素が、回路170および回路180のいずれか一方または両方に含まれ得る。
図6に示されるように、二次アンテナ152は、インプラント電極158a、158bと電気通信して配列され得る。いくつかの実施形態では、二次アンテナ152をインプラント電極158aおよび158bと接続する回路は、二次アンテナ152上の二次信号の存在下で、インプラント電極158aおよび158bにわたって電圧電位を引き起こし得る。この電圧電位が、インプラント電極158aとインプラント電極158bとの間に電場を生成し得るので、この電圧電位は、電場誘発信号と呼ばれ得る。より広範に、電場誘発信号は、電極間で電場を生成させ得る、インプラントユニットに関連付けられる電極に印加される任意の信号(例えば、電圧電位)を含み得る。
【0051】
電場誘発信号は、回路180による二次信号の調節の結果として生成され得る。
図6に示されるように、外部ユニット120の回路170は、二次アンテナ152上でAC二次信号を引き起こし得る、AC一次信号を一次アンテナ150上で生成するように構成され得る。しかしながら、ある実施形態では、(例えば、神経の変調のための一方向性電場を生成するために)インプラント電極158aおよび158bにおいてDC電場誘発信号を提供することが有利であり得る。二次アンテナ152上のAC二次信号をDC電場誘発信号に変換するために、インプラントユニット110の中の回路180は、AC−DC変換器を含み得る。AC/DC変換器は、当業者に公知である任意の好適な変換器を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、AC−DC変換器は、例えば、ダイオード156と適切なコンデンサおよび抵抗器とを含む整流回路構成要素を含み得る。代替実施形態では、インプラントユニット110は、インプラント電極158aおよび158bにおいてAC電場誘発信号を提供するために、AC−AC変換器を含み得るか、またはいかなる変換器も含まないこともある。
【0052】
上述のように、電場誘発信号は、インプラント電極158aおよび158bの間に電場を生成するように構成され得る。場合によっては、電場誘発信号に起因する、生成された電場の大きさおよび/または持続時間は、電極158aおよび158bの近傍で1つ以上の神経を変調するために十分であり得る。そのような場合において、電場誘発信号は、変調信号と呼ばれ得る。他の場合において、電場誘発信号の大きさおよび/または持続時間は、神経変調をもたらさない電場を生成し得る。そのような場合において、電場誘発信号は、サブ変調信号と呼ばれ得る。
【0053】
種々の種類の電場誘発信号が、変調信号を構成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、変調信号が、中程度の振幅および中程度の持続時間を含み得る一方で、他の実施形態では、変調信号は、より高い振幅およびより短い持続時間を含み得る。電極158a、158bにわたる電場誘発信号の種々の振幅および/または持続時間が、変調信号をもたらし得、電場誘発信号が変調信号のレベルまで上昇するかどうかは、多くの要因(例えば、刺激される特定の神経からの距離、神経が分岐しているかどうか、神経に対する誘発された電場の配向、電極と神経との間に存在する組織の種類等)に依存し得る。
【0054】
電場誘発信号が変調信号(神経変調を引き起こし得る電場をもたらす)を構成するか、またはサブ変調信号(神経変調を引き起こすことを目的としていない電場をもたらす)を構成するかは、最終的に外部ユニット120のプロセッサ144によって制御され得る。例えば、ある状況では、プロセッサ144は、神経変調が適切であると決定し得る。これらの条件下で、プロセッサ144は、信号源144および増幅器146に一次アンテナ150上で変調制御信号(すなわち、二次アンテナ152上の結果として生じる二次信号が、インプラント電極158aおよび158bにおいて変調信号を提供するように選択される、振幅および/または持続時間を有する信号)を生成させ得る。
【0055】
プロセッサ144は、外部ユニット120からインプラントユニット110へ伝達されるエネルギーの量を制限するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、患者および/またはインプラントに関連付けられる複数の要因を考慮し得る、閾値エネルギー限度に関連付けられ得る。例えば、場合によっては、患者のある神経は、神経および/または周辺組織を損傷するリスクを最小限化するように、所定の最大量に満たないエネルギーを受け取るべきである。加えて、インプラントユニット110の回路180は、インプラントユニット110の実用的な閾値エネルギー限度に寄与し得る、最大動作電圧または電力レベルを有する構成要素を含み得る。例えば、ダイオードを含む構成要素が、外部ユニット120からインプラントユニット110へ伝達される電力を制限するために、インプラントユニット110に、または外部ユニット120に含まれ得る。いくつかの実施形態では、ダイオード156は、患者によって受け取られる電力レベルを制限するように機能し得る。プロセッサ144は、一次アンテナ150に印加される一次信号の大きさおよび/または持続時間を設定するときに、そのような制限に対処するように構成され得る。
【0056】
インプラントユニット110に送達され得る電力の上限を決定することに加えて、プロセッサ144はまた、少なくとも部分的に、送達された電力の有効性に基づいて、低電力閾値を決定し得る。低電力閾値は、神経変調を可能にする最小量の電力に基づいて計算され得る(例えば、低電力閾値を上回る電力レベルを有する信号が、変調信号を構成し得る一方で、低電力閾値を下回る電力レベルを有する信号は、サブ変調信号を構成し得る)。
【0057】
低電力閾値はまた、代替的な方法で測定または提供され得る。例えば、インプラントユニット110の中の適切な回路またはセンサが、低電力閾値を測定し得る。低電力閾値は、追加の外部デバイスによって計算または感知され、後に、プロセッサ144にプログラムされ、またはプラントユニット110にプログラムされ得る。代替として、インプラントユニット110は、少なくとも低電力閾値の電極において信号を生成するように特に選択された回路180を伴って構築され得る。なおも別の実施形態では、外部ユニット120のアンテナは、特定の低電力閾値に対応する信号に適応するか、または信号を生じるように調整され得る。低電力閾値は、患者によって異なり得、例えば、特定の患者の神経線維の変調特性、埋込後のインプラントユニット110と外部ユニット120との間の距離、インプラントユニット構成要素(例えば、アンテナおよびインプラント電極)のサイズおよび構成等の複数の要因を考慮し得る。
【0058】
プロセッサ144はまた、一次アンテナ150に対してサブ変調制御信号の印加を引き起こすように構成され得る。そのようなサブ変調制御信号は、電極158a、158bにおいてサブ変調信号をもたらす、振幅および/または持続時間を含み得る。そのようなサブ変調制御信号は、神経変調をもたらさないかもしれないが、そのようなサブ変調制御信号は、神経変調システムのフィードバックベースの制御を可能にし得る。つまり、いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、一次アンテナ150に対してサブ変調制御信号の印加を引き起こすように構成され得る。この信号は、二次アンテナ152上で二次信号を誘発し得、それがひいては、一次アンテナ150上で一次結合信号成分を誘発する。
【0059】
一次アンテナ150上で誘発される一次結合信号成分を分析するために、外部ユニット120は、一次アンテナ150およびプロセッサ144と直接または間接的に通信して配置され得る、フィードバック回路148(例えば、信号分析器または検出器)を含み得る。サブ変調制御信号は、任意の所望の周期性で一次アンテナ150に印加され得る。いくつかの実施形態では、サブ変調制御信号は、5秒(以上)ごとに1回の割合で一次アンテナ150に印加され得る。他の実施形態では、サブ変調制御信号は、より頻繁に(例えば、2秒ごとに1回、1秒につき1回、1ミリ秒につき1回、1ナノ秒につき1回、または1秒につき複数回)印加され得る。さらに、フィードバックはまた、一次アンテナ150への変調制御信号(すなわち、神経変調をもたらすもの)の印加時に受信され得、そのようなものとして、変調制御信号はまた、一次アンテナ50上で一次結合信号成分の生成をもたらし得ることに留意されたい。
【0060】
一次結合信号成分は、フィードバック回路148によってプロセッサ144に送給され得、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するための基準として使用され得る。結合の程度は、2つのアンテナ間のエネルギー伝達の有効性の決定を可能にし得る。プロセッサ144はまた、インプラントユニット110への電力の送達を調節する際に、決定された結合の程度を使用し得る。
【0061】
プロセッサ144は、決定された結合の程度に基づいてインプラントユニット110への電力伝達を調節する方法を決定するための任意の好適な論理を伴って構成され得る。プロセッサ144は、例えば、基準結合範囲を利用し得る。推定上、患者が目覚めている間、舌は、患者の気道を遮断しておらず、自然な範囲で、患者の呼吸とともに移動し、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合は、基準結合範囲内であり得る。基準結合範囲は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合を包含し得る。基準結合範囲はまた、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合レベルを含まない範囲を包含し得る。プロセッサ144は、パッチ上のボタンを押すこと、または好適な遠隔デバイス上のボタンを押すこと等のユーザからのコマンドに基づいて、基準結合範囲を決定するように構成され得る。代替として、または加えて、プロセッサ144は、一次アンテナ150および二次アンテナ152が互の範囲内であるように、外部ユニット120が配置されているときに、基準結合範囲を自動的に決定するように構成され得る。そのような実施形態では、プロセッサ144が一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の任意の結合の程度を検出すると、即時に基準結合範囲を追跡し始め得る。次いで、プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の唯一の移動が、患者の自然な呼吸リズムによって引き起こされる(すなわち、患者が外部ユニットを身体上の適切な場所に固定した)ことを検出したときに、基準結合範囲を決定し得る。加えて、プロセッサ144は、基準結合範囲を決定するときに、1分、5分、10分等の起動後の特定期間にわたって一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合を測定するように構成され得る。
【0062】
結合の程度が基準結合範囲から変化したことを一次結合信号成分が示す場合、プロセッサ144は、二次アンテナ152が一次アンテナ150に対して(同軸オフセット、側方オフセット、または角度オフセット、あるいは任意の組み合わせのいずれかで)移動したことを決定し得る。そのような移動は、例えば、インプラントユニット110の移動、およびそのインプラント場所に基づいてそれが関連付けられる組織に関連付けられ得る。したがって、そのような状況では、プロセッサ144は、患者の体内の神経の変調が適切であると決定し得る。より具体的には、結合の変化の指示に応答して、プロセッサ144は、いくつかの実施形態では、例えば、患者の神経の変調を引き起こすために、インプラント電極158a、158bにおいて変調信号を生成するために、一次アンテナ150への変調制御信号の印加を引き起こし得る。
【0063】
OSAの治療のための実施形態では、インプラントユニット110の移動は、睡眠時無呼吸事象の発生または睡眠時無呼吸の前兆を示し得る、舌の運動に関連付けられ得る。睡眠時無呼吸事象の発生または睡眠時無呼吸の前兆は、事象を緩和または回避するために、患者の頤舌筋の刺激を必要とし得る。そのような刺激は、筋肉の収縮および患者の気道から離れた患者の舌の運動をもたらし得る。
【0064】
片頭痛を含む頭痛の治療のための実施形態では、プロセッサ144は、例えば、ユーザからの信号、または頭痛に関連付けられる感覚ニューロン(例えば、大後頭神経または三叉神経)における検出された神経活性のレベルに基づいて、変調制御信号を生成するように構成され得る。プロセッサによって生成され、一次アンテナ150に印加される変調制御信号は、例えば、患者の感覚神経の阻害または遮断(すなわち、抑制的変調)を引き起こすように、インプラント電極158a、158bにおいて変調信号を生成し得る。そのような阻害または制御は、患者の痛覚を減少または排除し得る。
【0065】
高血圧の治療のための実施形態では、プロセッサ144は、例えば、事前にプログラムされた命令および/または血圧を示すインプラントからの信号に基づいて、変調制御信号を生成するように構成され得る。プロセッサによって生成され、一次アンテナ150に印加される変調制御信号は、要件に応じて、例えば、患者の神経の阻害または刺激のいずれか一方を引き起こすように、インプラント電極158a、158bにおいて変調信号を生成し得る。例えば、頸動脈または頸静脈の中に(すなわち、頸動脈圧受容器の近傍に)配置される神経変調器が、電極において刺激信号を誘発するように調節される変調制御信号を受信し、それにより、血圧を下げるように脳に信号伝達するために、頸動脈圧受容器に関連付けられる舌咽神経に増加した割合で始動させ得る。舌咽神経の同様の変調が、患者の頸部内または患者の耳の後ろの皮下の場所に埋め込まれた神経変調器を用いて達成され得る。腎動脈の中に配置される神経変調器は、電極において阻害または遮断信号(すなわち、抑制的変調)を引き起こすように調節される変調制御信号を受信し、それにより、腎神経から腎臓に運ばれる血圧を上昇させる信号を阻害し得る。
【0066】
変調制御信号は、刺激制御信号を含み得、サブ変調制御信号は、サブ刺激制御信号を含み得る。刺激制御信号は、電極158a、158bにおいて刺激信号をもたらす、任意の振幅、パルス持続時間、または周波数の組み合わせを有し得る。(例えば、約6.5〜13.6MHzの周波数における)いくつかの実施形態では、刺激制御信号は、約50ミリ秒よりも長いパルス持続時間、および/または約0.5アンペア、あるいは0.1アンペアから1アンペア、あるいは0.05アンペアから3アンペアの振幅を含み得る。サブ刺激制御信号は、約500未満または約200ナノ秒未満のパルス持続時間、および/または約1アンペア、0.5アンペア、0.1アンペア、0.05アンペア、あるいは0.01アンペア未満の振幅を有し得る。当然ながら、提供される例示的な指針よりも高いまたは低い値の種々の組み合わせが、神経刺激をもたらすことも、もたらさないこともあるので、これらの値は、一般的参照のみを提供するように意図されている。
【0067】
自然に機能するニューロンは、それらの長さに沿って活動電位を伝達することによって機能する。構造的に、ニューロンは、ニューロンの内部と外部との間の原形質膜を横断して電圧電位勾配を維持する働きをする複数のイオンチャネルを、それらの長さに沿って含む。イオンチャネルは、原形質膜の片側の正電荷を持つナトリウムイオンと、原形質膜の反対側の負電荷を持つカリウムイオンとの間で適切な平衡を維持することによって動作する。イオンチャネル付近で作成される十分に高い電圧電位差は、イオンチャネルの膜閾値電位を超え得る。次いで、イオンチャネルは、活性化されたイオンチャネルの近傍で場所を切り替えるように原形質膜を横断してナトリウムおよびカリウムイオンを送出して、活性化するように誘発され得る。これは、ひいては、イオンチャネルの近傍で電位差をさらに改変し、それが隣接イオンチャネルを活性化する働きをし得る。隣接イオンチャネルの連鎖活性化は、ニューロンの長さに沿って活動電位を伝搬する働きをし得る。さらに、個々のニューロンにおけるイオンチャネルの活性化は、一緒に束ねられて神経組織を形成する、隣接ニューロンにおけるイオンチャネルの活性化を誘発し得る。しかしながら、単一のニューロンにおける単一のイオンチャネルの活性化は、活動電位の伝搬を可能にするために必要な隣接イオンチャネルの連鎖活性を誘発するために十分ではない場合がある。したがって、神経終末の活動等の天然手段を通して、または電場の印加等の人為的手段を通して引き起こされる、初期電位差によって補充され得る、その場におけるイオンチャネルが多いほど、活動電位の伝搬が起こる可能性が高い。神経の長さに沿った活動電位の伝搬を人為的に誘発するプロセスは、刺激または上昇変調と呼ばれ得る。
【0068】
ニューロンはまた、電圧電位差の一定または実質的に一定の印加を通して、自然に機能することを妨げられ得る。活性化後、各イオンチャネルは、不応期を体験し、その間に原形質膜にわたるナトリウムおよびカリウム濃度を初期状態に戻して「リセット」する。ナトリウムおよびカリウム濃度をリセットすることにより、膜閾値電位を初期状態に戻らせる。イオンチャネルが原形質膜にわたるナトリウムおよびカリウムの適切な濃度を回復させるまで、膜閾値電位は、上昇したままであり、したがって、イオンチャネルの活性化を引き起こすために、より高い電圧電位を必要とするであろう。膜閾値電位が十分に高いレベルで維持された場合、隣接イオンチャネルによって伝搬される活動電位は、膜閾値電位を上回ってイオンチャネルを活性化するほど十分に大きい電圧電位差を作成しない場合がある。したがって、特定のイオンチャネルの近傍で十分な電圧電位差を維持することによって、そのイオンチャネルは、さらなる信号伝送を遮断する働きをし得る。膜閾値電位はまた、イオンチャネルの初期活性化を引き起こすことなく、上昇させられ得る。イオンチャネル(または複数のイオンチャネル)が、膜閾値電位を上回るほど高くない、上昇した電圧電位差を受けた場合、経時的に膜閾値電位を上昇させる働きをし、したがって、イオン濃度を適正に回復させることを許されていないイオンチャネルに同様の効果を及ぼし得る。したがって、イオンチャネルは、実際に初期活動電位を伝搬させることなく、ブロックとして補充され得る。この方法は、例えば、疼痛信号の伝搬が望ましくない、疼痛管理において有益であり得る。刺激に関して上記で説明されるように、ブロックとしての機能を果たすように補充され得る、その場におけるより多数のイオンチャネルがあるほど、神経の長さに沿って伝搬する活動電位は、隣接する遮断されていないチャネルを通して伝わるよりもむしろ、補充されたイオンチャネルによって遮断されるであろう可能性がより高い。
【0069】
電圧電位差によって補充されるイオンチャネルの数は、少なくとも2つの方法で増加させられ得る。第1に、より多くのイオンチャネルが、局所領域中でより大きい電圧電位差を利用することによって採用され得る。第2に、より多くのイオンチャネルが、電圧電位差による影響を受ける領域を拡張することによって採用され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、持続時間が少なくとも3時間の治療セッション中、一次アンテナから埋込型デバイスへの一次信号の伝送を引き起こすように構成され得る。そのような治療中に、一次信号は、バッテリ等のプロセッサに関連付けられる電源によって供給される電力を使用して生成され得る。そのような治療セッション中の一次信号は、例えば、
図10で図示されるように、パルス列を含み得る。
【0070】
図10は、例示的な変調パルス列の組成を描写する。そのようなパルス列1010は、複数の変調パルス1020を含み得、各変調パルス1020は、複数の変調サブパルス1030を含み得る。
図10は、例証のために適切な尺度における例示にすぎず、以下でさらに詳細に論議される、変調パルス列の種々の可能な実施形態の全てを包含することを目的としていない。(例えば、約6.5〜13.6MHzの周波数における)交流信号が、以下のように、パルス列1010を生成するために使用され得る。サブパルス1030は、50〜250ミリ秒のパルス持続時間、または1マイクロ秒から2ミリ秒のパルス持続時間を有し得、その間に交流信号がオンにされる。例えば、10MHz交流信号の200マイクロ秒サブパルス1030は、約2000の周期を含むであろう。各変調パルス1020は、ひいては、100〜500ミリ秒のパルス持続時間1040を有し得、その間にサブパルス1030が25〜100Hzの周波数で生じる。したがって、変調パルス1020は、約2.5〜50の変調サブパルス1030を含み得る。いくつかの実施形態では、変調1020パルスは、約5〜15の変調サブパルス1030を含み得る。例えば、50Hz変調サブパルス1030の200ミリ秒変調パルス1020は、約10の変調サブパルス1030を含むであろう。最終的に、変調パルス列1010において、各変調パルス1020は、0.2〜2秒の時間的間隔1050によって次のパルスから分離され得る。例えば、200ミリ秒パルス持続時間1040のパルス列1010において、1.3秒の時間的間隔1050によって次のパルスからそれぞれ分離される変調パルス1020である、新しい変調パルス1020が、1.5秒ごとに生じるであろう。変調パルス1020の周波数はまた、対象の生理学的事象に従って合わせられ得る。例えば、変調パルス1020は、4、8、または16等の呼吸周波数の任意の倍数の間から選択される周波数で生じ得る。別の実施例では、変調パルス1020は、筋収縮を引き起こした後に筋肉の完全弛緩を可能にしないよう、時間的に離間され得る。変調パルス1020のパルス持続時間1040、およびパルス列1010における変調パルス1020の間の時間的間隔1050は、変調パルス1020の大部分について維持され得、または患者の必要性に従って治療セッションの経過にわたって変化させられ得る。そのような変動はまた、変調サブパルス持続時間および時間的間隔について実装され得る。
【0071】
パルス列1010は、外部ユニット120によって生成されるような一次信号パルス列を描写する。いくつかの実施形態では、一次信号は、インプラントユニット110の二次アンテナ152上で二次信号をもたらし得る。この信号は、変調電極158a、158bへ送達するための直流信号に変換され得る。この状況では、変調サブパルス1030の生成は、変調サブパルス1030と同様の持続時間の方形波の生成および変調電極158a、158bへの送達をもたらし得る。
【0072】
睡眠呼吸障害の治療のための実施形態では、変調パルス1020および変調サブパルス1030は、神経刺激を引き起こすように適合される刺激パルスおよび刺激サブパルスを含み得る。この実施形態のパルス列1010は、例えば、治療セッション中に継続的な刺激を提供するために利用され得る。治療セッション中の継続的な刺激は、治療セッションの少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、および少なくとも99%にわたって、パルス列の伝送を含み得る。睡眠呼吸障害との関連で、治療セッションは、その間に対象が眠っており、睡眠呼吸障害を予防するために治療を必要としている、期間であり得る。そのような治療セッションは、約3〜10時間の間で持続し得る。治療セッションは、約4,000ほども少ない、および約120,000ほども多くの変調パルス1020を含み得る。いくつかの実施形態では、パルス列1010は、少なくとも5,000、少なくとも10,000、および少なくとも100,000の変調パルス1020を含み得る。本開示の神経変調器が適用される他の症状との関連で、治療セッションは、治療された症状の持続時間に従って、様々な長さであり得る。
【0073】
頭痛管理および高血圧治療のための例示的な治療計画は、睡眠呼吸障害治療計画とは異なり得る。例えば、例示的な頭痛管理治療計画において、時間的間隔1050は、3ミリ秒未満、2ミリ秒未満、1ミリ秒未満まで短縮され得、またはさらに完全に排除され得る。さらに、サブパルス1030の間の間隔は、3ミリ秒未満、2ミリ秒未満、1ミリ秒未満まで短縮され得、またはさらに完全に排除され得る。サブパルス1030およびパルス1020の振幅は、活動電位を引き起こさず、ブロックとしてイオンチャネルを補充するために十分なレベルまで低減され得る。サブパルス1030の持続時間もまた、約50ミリ秒から100ミリ秒まで短縮され得る。したがって、パルス列1010は、神経に沿った活動電位の伝搬を可能にしないであろう、ブロックとして複数のイオンチャネルを維持するように適合され得る。そのようなパルス列1010が、典型的には、大後頭神経、小後頭神経、または三叉神経等の疼痛信号を運ぶ神経に適用されると、対象によって体験される疼痛の量が低減され得る。サブパルス1030の間の時間的間隔1050および間隔は、補充されたイオンチャネルに、活性化に備えて、それらのイオン濃度を回復させるほど十分な時間がないように短縮され得る。したがって、効果的な神経ブロックが、一定の変調を伴わずに依然として作成され得る。サブパルス1030の間の時間的間隔1050および間隔が完全には排除されないパルス列1010は、電力を節約するために有益であり得る。
【0074】
例示的な高血圧治療計画は、インプラント場所に応じて変化し得る。例えば、腎神経に神経変調を印加するための例示的な高血圧治療計画は、目的が腎神経に沿って送信される信号を低減または排除することであるので、頭痛管理治療計画に類似し得る。そのような治療は、腎神経に沿った信号の活発な伝搬が血圧を上昇させる必要性を示し得るので、有益であり得る。
【0075】
対照的に、舌咽神経に沿って伝わる頸動脈圧受容器からの信号の活発な伝搬は、血圧を下げる必要性を示し得る。したがって、頸動脈圧受容器または舌咽神経に神経変調を印加するための例示的な高血圧治療計画は、活動電位を伝搬するための刺激パルスを伴い得る。舌咽神経に沿って頸動脈圧受容器から伝搬する、正常に機能する信号は、信号の増加した周波数を通して血圧を下げる必要性を示す。したがって、頸動脈圧受容器または舌咽神経に神経変調を印加することによる高血圧の治療のための例示的なパルス列1010は、パルス持続時間1040、時間的間隔1050、およびサブパルス1030の間の間隔の短縮を伴い、それにより、パルス1020およびサブパルス1030の周波数を増加させ得る。サブパルス持続時間1030は、(例えば、筋肉を連続的に収縮させる持続信号よりもむしろ)神経に沿って短時間の活動電位または急上昇を送信するためにのみ要求されるので、短縮され得る。時間的間隔1050は、血圧低減の必要性を脳に示すよう、急上昇の周波数を増加させるために排除または短縮され得る。サブパルス持続時間1030は、約100ミリ秒から50ミリ秒まで短縮され得る。サブパルス1030の間の間隔は、サブパルス1030が約2〜100Hzの割合で生じるように改変され得る。高血圧治療セッション中、上記で説明されるようなパルス列1010は、1分ごと、5分ごと、10分ごと、30分ごと、またはさらに1時間ごとに約30秒にわたって送達され得る。
【0076】
プロセッサ144は、フィードバック回路148を通して受信される一次結合信号成分の1つ以上の側面を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、一次結合信号成分に関連付けられる電圧レベル、電流レベル、または一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度に依存し得る任意の他の属性を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定し得る。例えば、一次アンテナ150に印加される周期的サブ変調信号に応答して、プロセッサ144は、一次結合信号成分に関連付けられる基準電圧レベルまたは電流レベルを決定し得る。この基準電圧レベルは、例えば、睡眠時無呼吸事象またはその前兆が起こっていないとき、例えば、正常な呼吸中の患者の舌の移動の範囲に関連付けられ得る。患者の舌が睡眠時無呼吸事象に関連付けられる位置に向かって移動する場合、睡眠時無呼吸の前兆と一致する様式で移動する場合、または任意の他の様式で移動する(例えば、振動等)場合、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の同軸、側方、または角度オフセットが変化し得る。結果として、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度が変化し得、一次アンテナ150上の一次結合信号成分の電圧レベルまたは電流レベルも変化し得る。プロセッサ144は、一次結合信号成分に関連付けられる電圧レベル、電流レベル、または他の電気的特性が、所定量だけ変化するか、または所定の絶対値に到達するときに、睡眠時無呼吸事象またはその前兆を認識するように構成され得る。
【0077】
図7は、この原理をさらに詳細に図示するグラフを提供する。1つのコイルが高周波(RF)駆動信号を受信する、2コイルシステムについて、グラフ200は、コイル間の同軸距離の関数として受信コイルにおける誘導電流の変化率を描画する。種々のコイル直径および初期変位について、グラフ200は、コイルを一緒により近づけるか、またはさらに離すかのいずれかで、コイル間のさらなる変位に対する誘導電流の感受性を図示する。それはまた、全体的に、二次コイルが一次駆動コイルから離されるにつれて、二次コイルにおける誘導電流が減少するであろうこと、すなわち、mA/mm単位の誘導電流の変化率が常に負であることも示す。コイル間のさらなる変位に対する誘導電流の感受性は、距離とともに変化する。例えば、10mmの分離距離で、14mmコイルにおける追加の変位の関数としての電流の変化率は、約−6mA/mmである。コイルの変位が約22mmである場合、追加の変位に応答した誘導電流の変化率は、約−11m/Ammであり、誘導電流の変化率の極大値に対応する。22mmを超えて分離距離を増加させることにより、二次コイルにおける誘導電流の減少をもたらし続けるが、変化率は減少する。例えば、約30mmの分離距離で、14mmコイルは、追加の変位に応答して、約−8mA/mmの誘導電流の変化率を受ける。この種類の情報を用いて、プロセッサ44は、一次アンテナ150上の一次結合信号成分に関連付けられる電流の大きさおよび/または大きさの変化率を観察することによって、所与の時に、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の特定の結合の程度を決定することができ得る。
【0078】
プロセッサ144は、一次結合信号成分の他の側面を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントユニット110の中の回路180の非線形挙動が、結合の程度を決定するために監視され得る。例えば、一次アンテナ150上の一次結合信号成分の中の高調波成分の存在、欠如、大きさ、低減、および/または発生が、種々の制御信号(サブ変調または変調制御信号のいずれか一方)に応答して回路180の挙動を反映し得、したがって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するために使用され得る。
【0079】
図6に示されるように、インプラントユニット110の中の回路180は、例えば、ダイオード156等の非線形回路構成要素の存在により、非線形回路を構成し得る。そのような非線形回路構成要素は、ある動作条件下で非線形電圧応答を誘発し得る。非線形動作条件は、ダイオード156にわたる電圧電位がダイオード156の活性化閾値を超えるときに誘発され得る。したがって、インプラント回路180が特定の周波数で励起されたとき、この回路は複数の周波数で振動し得る。したがって、二次アンテナ152上の二次信号のスペクトル分析は、励起周波数のある倍数で出現する、高調波と呼ばれる1つ以上の振動を明らかにし得る。一次アンテナ150および二次アンテナ152の結合を通して、インプラント回路180によって生成され、二次アンテナ152上で出現する、任意の高調波はまた、一次アンテナ150上に存在する一次結合信号成分において出現し得る。
【0080】
ある実施形態では、回路180は、ある遷移点以上で回路180において生成される高調波の特性を改変する、追加の回路構成要素を含み得る。これらの非線形高調波が遷移点以上または以下でどのように挙動するかを監視することにより、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の決定を可能にし得る。例えば、
図6に示されるように、回路180は、回路180において生成される高調波を非線形的に改変する任意の電気的構成要素を含み得る、高調波修正回路154を含み得る。いくつかの実施形態では、高調波修正回路154は、一対のツェナーダイオードを含み得る。ある電圧レベル以下で、これらのツェナーダイオードは、電流がいずれものダイオードを通って流れないように、順方向バイアスをかけられたままである。しかしながら、ツェナーダイオードの絶縁破壊電圧以上で、これらのデバイスは、逆バイアス方向で伝導性となり、電流が高調波修正回路154を通って流れることを可能にするであろう。いったんツェナーダイオードが伝導性になると、それらは回路180の振動挙動に影響を及ぼし始め、結果として、ある調和振動周波数が影響を受け得る(例えば、大きさが低減される)。
【0081】
図8および9は、この効果を図示する。例えば、
図8は、約10ナノアンペアから約20マイクロアンペアに及ぶ、いくつかの振幅における回路180の振動挙動を示す、グラフ300aを図示する。示されるように、一次励起周波数は、約6.7MHzで生じ、高調波は、一次励起周波数の偶数および奇数の倍数の両方で出現する。例えば、偶数の倍数は、励起周波数の2倍(ピーク302a)、励起周波数の4倍(ピーク304a)、および励起周波数の6倍(ピーク306a)で出現する。励起信号の振幅が10ナノアンペアから40アンペアの間で上昇すると、ピーク302a、304a、および306aの振幅は、全て増加する。
【0082】
図9は、高調波修正回路154によって引き起こされる回路180の偶数の高調波応答への効果を図示する。
図9は、約30マイクロアンペアから約100マイクロアンペアに及ぶ、いくつかの振幅における回路180の振動挙動を示す、グラフ300bを図示する。
図8と同様に、
図9は、約6.7MHzにおける一次励起周波数を示し、二次、四次、および六次高調波(それぞれ、ピーク302b、304b、および306b)が、励起周波数の偶数の倍数において出現する。しかしながら、励起信号の振幅が、約30マイクロアンペアから約100マイクロアンペアの間で上昇すると、ピーク302b、304b、および306bの振幅は、連続的に増加しない。むしろ、二次高調波の振幅は、ある遷移レベル(例えば、
図8では約80マイクロアンペア)以上に急速に減少する。この遷移レベルは、ツェナーダイオードが逆バイアス方向で伝導性となり、回路180の振動挙動に影響を及ぼし始めるレベルに対応する。
【0083】
この遷移が起こるレベルを監視することにより、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の決定を可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、その下にインプラントユニット110が存在する皮膚の領域を覆って、外部ユニット120を取り付け得る。プロセッサ144は、続けて一連のサブ変調制御信号が一次アンテナ50に印加されるようにすることができ、それがひいては、二次アンテナ152上で二次信号を引き起こす。これらのサブ変調制御信号は、種々の信号振幅レベルの範囲にわたって進行し得る。(二次アンテナ152上の二次信号との結合を通して生成される)一次アンテナ150上の結果として生じる一次結合信号成分を監視することによって、プロセッサ144は、高調波修正回路154を起動するために十分な大きさの二次信号をもたらす、(サブ変調制御信号であろうと他の信号であろうと)一次信号の振幅を決定することができる。つまり、プロセッサ144は、二次、四次、または六次高調波の振幅を監視し、偶数の高調波のうちのいずれかの振幅が降下する、一次信号の振幅を決定することができる。
図8および9は、非線形高調波の測定を通して結合を検出するという原理を図示する。これらの図は、6.7MHz励起周波数に基づくデータを図示する。しかしながら、これらの原理は、図示される6.7MHz励起周波数に限定されず、任意の好適な周波数の一次信号とともに使用され得る。
【0084】
非線形高調波を利用する実施形態では、(一次信号遷移振幅と呼ばれ得る)ツェナーダイオードの遷移レベルに対応する一次信号の決定された振幅は、患者が外部ユニット120を皮膚に取り付けるときの基準結合範囲を確立し得る。したがって、最初に決定された一次信号遷移振幅は、非睡眠時無呼吸症状を正しく表し得、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定する際に基準としてプロセッサ144によって使用され得る。随意に、最小値が、正常な呼吸状態中の一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の最大結合の状態に対応し得るため、プロセッサ144はまた、一連の走査にわたって一次信号遷移振幅を監視し、基準として最小値を選択するように構成され得る。
【0085】
患者が外部ユニット120を装着すると、プロセッサ144は、一次信号遷移振幅の現在の値を決定するように、一連の一次信号振幅にわたって周期的に走査し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ144が走査のために選択する振幅の範囲は、基準一次信号遷移振幅のレベルに基づいて(またはその付近であって)もよい。周期的走査が、基準一次信号遷移振幅とは異なる一次信号遷移振幅の決定をもたらす場合、プロセッサ144は、基準初期条件からの変化があったことを決定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、基準値を超える一次信号遷移振幅の増加は、(例えば、インプラントが移動した、またはインプラントの内部状態が変化したため)一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の低減があったことを示し得る。
【0086】
結合の程度の変化が起こったかどうかを決定することに加えて、プロセッサ144はまた、観察された一次信号遷移振幅に基づいて特定の結合の程度を決定するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、種々の一次信号遷移振幅を一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の距離(または結合の程度を示す任意の他の数量)と相関させる、データを記憶する参照テーブルまたはメモリにアクセスし得る。他の実施形態では、プロセッサ144は、既知の回路構成要素の性能特性に基づいて結合の程度を計算するように構成され得る。
【0087】
結合の程度の値を周期的に決定することによって、プロセッサ144は、最終的に神経変調をもたらすであろう、変調制御信号の適切なパラメータ値を原位置で決定するように構成され得る。例えば、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定することによって、プロセッサ144は、決定された結合の程度に比例して、または別様に関連して、電極158a、158bにおいて変調信号を提供し得る、変調制御信号の特性(例えば、振幅、パルス持続時間、周波数等)を選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、変調制御信号パラメータ値を結合の程度と相関させる、メモリに記憶された参照テーブルまたは他のデータにアクセスし得る。このようにして、プロセッサ144は、観察された結合の程度に応答して、印加される変調制御信号を調整し得る。
【0088】
加えて、または代替として、プロセッサ144は、変調中に一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を決定するように構成され得る。その上あるいは付近にインプラントが位置する舌、または他の構造、したがって、インプラントユニット110が、変調の結果として移動し得る。したがって、結合の程度は、変調中に変化し得る。プロセッサ144は、変化する結合の程度に従って変調制御信号の特性を動的に調整するために、結合の程度が変調中に変化した場合、結合の程度を決定するように構成され得る。この調整は、プロセッサ144が、インプラントユニット110に変調事象の全体を通して電極158a、158bにおいて適切な変調信号を提供させることを可能にし得る。例えば、プロセッサ144は、一定の変調信号を維持するために、または患者の必要性に従って制御された様式で変調信号を低減させるために、変化する結合の程度に従って一次信号を改変し得る。
【0089】
より具体的には、プロセッサ144の応答は、決定された結合の程度に相関し得る。一次アンテナ150と二次アンテナとの間の結合の程度が、(例えば、いびきをかいている間に、または舌のわずかな振動あるいは他の睡眠時無呼吸事象の前兆中に)所定の結合閾値をわずかにのみ下回ったことをプロセッサ144が決定する状況で、プロセッサ144は、わずかな応答のみが必要であることを決定し得る。したがって、プロセッサ144は、比較的わずかな応答(例えば、神経の短い刺激、またはわずかな筋肉収縮等)をもたらすであろう、変調制御信号パラメータを選択し得る。しかしながら、結合の程度が所定の結合閾値を実質的に下回ったことをプロセッサ144が決定する場合(例えば、舌が睡眠時無呼吸事象を引き起こすほど十分に移動した場合)、プロセッサ144は、より大きい応答が必要とされることを決定し得る。結果として、プロセッサ144は、より大きい応答をもたらすであろう、変調制御信号パラメータを選択し得る。いくつかの実施形態では、十分な電力のみが、所望のレベルの応答を引き起こすようにインプラントユニット110に伝送され得る。換言すれば、プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の決定された結合の程度に基づいて、定量応答を引き起こすように構成され得る。決定された結合の程度が減少するにつれて、プロセッサ144は、増加する量で電力の伝達を引き起こし得る。そのようなアプローチは、外部ユニット120におけるバッテリ寿命を保ち、回路170および回路180を保護し、検出された症状の種類(例えば、睡眠時無呼吸、いびき、舌運動等)に対処する有効性を増加させ、かつ患者にとってより快適であり得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、プロセッサ144は、所望の応答レベルをもたらす変調制御信号パラメータを選択するために、反復プロセスを採用し得る。例えば、変調制御信号が生成されるべきであることを決定すると、プロセッサ144は、一組の所定のパラメータ値に基づいて初期変調制御信号の生成を引き起こし得る。神経が変調されたことをフィードバック回路148からのフィードバックが示す場合(例えば、結合の程度の増加が観察される場合)には、プロセッサ144は、サブ変調制御信号を発行することによって監視モードに戻り得る。一方で、意図した神経変調が意図した変調制御信号の結果として起こらなかったか、または神経の変調が起こったが、部分的にしか所望の結果を提供しなかったこと(例えば、気道から部分的にのみ離れた舌の運動)をフィードバックが示唆する場合、プロセッサ144は、変調制御信号に関連付けられる1つ以上のパラメータ値(例えば、振幅、パルス持続時間等)を変更し得る。
【0091】
いかなる神経変調も起こらなかった場合、神経変調が起こったことをフィードバックが示すまで、プロセッサ144は、変調制御信号の1つ以上のパラメータを周期的に増加させ得る。神経変調が起こったが、所望の結果を生じなかった場合、プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を再評価し、所望の結果を達成することを標的にした変調制御信号の新しいパラメータを選択し得る。例えば、神経の刺激が、舌を患者の気道から部分的にのみ離す場合、追加の刺激が所望され得る。しかしながら、舌が気道から離れたため、インプラントユニット110は、外部ユニット120により近づき、したがって、結合の程度が増加し得る。結果として、舌を移動させるために、所望の場所への残りの距離は、舌の最後の刺激誘発運動の前に供給されたものよりも少ない量の電力のインプラントユニット110への伝達を必要とし得る。したがって、新たに決定された結合の程度に基づいて、プロセッサ144は、舌を所望の場所への残りの距離移動させることを目的とする刺激制御信号の新しいパラメータを選択することができる。
【0092】
1つの動作モードでは、プロセッサ144は、神経変調が達成されるまで、一連のパラメータ値にわたって掃引するように構成され得る。例えば、印加されたサブ変調制御信号が、神経変調が適切であることを示すフィードバックをもたらす状況で、プロセッサ144は、変調制御信号の生成のための開始点として、最後に印加されたサブ変調制御信号を使用し得る。一次アンテナ150に印加される信号に関連付けられる振幅および/またはパルス持続時間(または他のパラメータ)は、神経変調が起こったことをフィードバックが示すまで、所定の割合で所定量だけ反復して増加させられ得る。
【0093】
プロセッサ144は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の決定された結合の程度に基づいて、種々の生理学的データを決定または導出するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、結合の程度は、外部ユニット120の位置または患者の舌の相対位置を決定するためにプロセッサ144が使用し得る、外部ユニット20とインプラントユニット110との間の距離を示し得る。結合の程度を監視することはまた、どれだけ舌が移動または振動しているか、舌の運動の方向、舌の運動の速度等によって、患者の舌が移動または振動しているかどうか(例えば、患者がいびきをかいているかどうか)等の生理学的データを提供することもできる。
【0094】
これらの決定された生理学的データのうちのいずれかに応答して、プロセッサ144は、決定された生理学的データに基づいて、インプラントユニット110への電力の送達を調節し得る。例えば、プロセッサ144は、決定された生理学的データに関する特定の症状に対処するための特定の変調制御信号または一連の変調制御信号のパラメータを選択し得る。舌が振動していることを生理学的データが示す場合、例えば、プロセッサ144は、睡眠時無呼吸事象が起こる可能性が高いことを決定し得、特定の状況に対処するために選択された量の電力をインプラントユニット110に送達することによって、応答を発行し得る。舌が患者の気道を遮断する(または患者の気道を部分的に遮断する)位置にあるが、舌が気道から離れつつあることを生理学的データが示す場合、プロセッサ144は、電力を送達せず、舌が自然に離れるかどうかを決定するように待つことを選び得る。代替として、プロセッサ144は、患者の気道から離れ続けるよう舌を促すか、または気道から離れたその進行を加速するように、少量の電力をインプラントユニット110に送達し得る(例えば、特に、舌が患者の気道からゆっくり離れていることを決定された移動速度が示す場合)。加えて、または代替として、プロセッサ144は、舌運動を開始するように電力をインプラントユニット110に送達し、舌の運動を監視し、患者の気道から離れ続けるように舌を促すために必要であれば、追加の電力、例えば、低減した量の電力を送達し得る。説明されるシナリオは、例示的にすぎない。プロセッサ144は、種々の異なる生理学的シナリオに詳細に対処することを可能にする、ソフトウェアおよび/または論理を伴って構成され得る。各場合において、プロセッサ144は、適切な量のエネルギーで舌に関連付けられる神経を変調するために、インプラントユニット110に送達される電力の量を決定するために、生理学的データを使用するように構成され得る。
【0095】
開示された実施形態は、インプラントユニットへの電力の送達を調節するための方法と併せて使用され得る。本方法は、外部ユニット120に関連付けられている一次アンテナ150と、患者の体内に埋め込まれるインプラントユニット110に関連付けられる二次アンテナ152との間の結合の程度を決定することを含み得る。結合の程度を決定することは、インプラントユニット110の外部に位置し、外部ユニット120に関連付けられ得る、プロセッサ144によって達成され得る。プロセッサ144は、決定された結合の程度に基づいて、外部ユニットからインプラントユニットへの電力の送達を調節するように構成され得る。
【0096】
以前に論議されたように、結合の程度の決定は、プロセッサがさらにインプラントユニットの場所を決定することを可能にし得る。インプラントユニットの運動は、インプラントユニットが取り付けられ得る身体部分の運動に対応し得る。これは、プロセッサによって受信される生理学的データと見なされ得る。したがって、プロセッサは、生理学的データに基づいて、電源からインプラントユニットへの電力の送達を調節するように構成され得る。代替実施形態では、結合の程度の決定は、プロセッサがインプラントユニットの状態に関する情報を決定することを可能にし得る。そのような状態は、場所ならびにインプラントユニットの内部状態に関する情報を含み得る。プロセッサは、インプラントユニットの状態に従って、状態データに基づいて電源からインプラントユニットへの電力の送達を調節するように構成され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、インプラント上に位置するプロセッサを含み得る。インプラントユニット110上に位置するプロセッサは、外部ユニットに関連付けられる少なくとも1つのプロセッサに関して説明されるプロセスの全てまたはいくつかを行い得る。例えば、インプラントユニット110に関連付けられるプロセッサは、インプラントコントローラに指示する制御信号を受信するように構成され得、インプラントコントローラは、オンになり、神経を変調するために、インプラント電極に印加されるべき変調信号を生じる。そのようなプロセッサはまた、インプラントユニットに関連付けられる種々のセンサを監視するように、およびこの情報を外部ユニットに返送するように構成され得る。プロセッサユニット用の電力が、内蔵電源によって供給されるか、または外部ユニットからの伝送を介して受信され得る。
【0098】
他の実施形態では、インプラントユニット110は、各自の電源と、外部相互作用なしでインプラントユニット110を操作するように構成されるプロセッサとを含み、自給式であり得る。例えば、好適な電源を用いて、インプラントユニット110のプロセッサは、(1つ以上のセンサまたは他の手段を介して)対象の体内の状態を監視し、これらの条件が神経の変調を正当化するときを決定し、神経を変調する電極への信号を生成するように構成することができる。電源は、運動または生物学的機能に基づいて再生式であり得、または電源は、例えば、誘導を通して等、外部の場所から周期的に再充電可能であり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、外部ユニット120の筐体に関連付けられ得、対象に埋め込まれた回路と通信するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサはまた、埋め込まれた回路を介して、対象から生理学的信号を受信するように構成され得る。受信した生理学的信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサは、閉ループ制御信号等の制御信号を実装された回路に送信し得る。いくつかの実施形態では、制御信号は、舌内の神経筋肉組織を活性化するように事前に決定され得る。神経筋肉組織を活性化することは、例えば、筋収縮を引き起こし、神経活動電位を開始することを含み得る。
【0100】
インプラントユニットから受信される生理学的信号は、対象に関連付けられる少なくとも1つの生理学的特性を示す、任意の信号または信号成分を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、生理学的特性は、対象の身体の一部分(例えば、舌)が移動したかどうか、運動の方向、運動の変化率、温度、血圧等を示し得る。生理学的信号は、対象の少なくともいくつかの側面に関連付けられる情報を伝えるために好適な信号の任意の形態を含み得る。いくつかの実施形態では、生理学的信号は、任意の所望の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波等)を有する電磁信号(例えば、マイクロ波、赤外線、高周波(RF)等)を含み得る。いくつかの実施形態では、生理学的信号は、対象に関する情報を伝送するための任意の好適な振幅または持続時間を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、生理学的信号は、一次アンテナ150上の一次結合信号成分を含み得る。この一次結合信号成分は、外部ユニット120の一次アンテナ150とインプラントユニット110上の二次アンテナ152との間の結合を通して一次アンテナ150上で誘発され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、生理学的信号は、対象の舌の運動を示す、少なくとも1つの側面を含み得る。例えば、舌の運動は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の相対運動を引き起こし得、この相対運動は、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度の変動をもたらし得る。一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の結合の程度を監視することによって、例えば、一次アンテナ150上に存在する信号または信号成分を監視することによって、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の相対運動、したがって、対象の舌の運動が検出され得る。
【0103】
既述のように、受信した生理学的信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサは、生理学的信号に基づいて応答を引き起こし得る。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、インプラントユニット110の少なくとも1つの側面を制御することを目的としている制御信号(例えば、閉ループ制御信号)の生成を引き起こすように構成され得る。制御信号は、二次アンテナ152上の結果として生じる二次信号がインプラント電極158aおよび158bにおいて変調信号を提供するように、一次アンテナ150に印加される変調制御信号を含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、生理学的信号に基づく睡眠呼吸障害事象を検出し、検出された睡眠呼吸障害事象に応答して閉ループ制御信号を送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、睡眠呼吸障害事象は、睡眠時無呼吸の前兆であり得、制御信号は、舌内の神経筋肉組織を活性化するように事前に決定され得、例えば、後咽頭壁から離れた方向に対象の舌の運動を引き起こし得る。少なくとも1つのプロセッサはさらに、生理学的信号に基づいて睡眠呼吸障害事象の重症度を決定し、睡眠呼吸障害事象の決定された重症度に基づいて制御信号の電力レベルまたは持続時間を変化させるように構成され得る。事象の重症度は、例えば、一次アンテナ150と二次アンテナ152との間の相対運動(例えば、運動の振幅、運動の速度、運動の方向等)の決定に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、制御信号は、相対運動がある閾値を超える場合に送信され得る。
【0105】
制御信号は、インプラントユニット110において所望の応答を引き起こすための好適な特性を有する、任意の信号を含み得る。例えば、制御信号は、インプラントユニット110に所望の効果(例えば、インプラントユニット110の近傍の神経組織の変調等)を引き起こすための任意の好適な振幅、持続時間、パルス幅、負荷サイクル、または波形(例えば、正弦波信号、方形波、三角波等)を有し得る。制御信号は、生理学的信号の受信に対する任意の所望の応答時間内に生成され(例えば、インプラントユニット110に)送信され得る。いくつかの実施形態では、応答時間は、1秒、500ミリ秒、200ミリ秒、100ミリ秒、50ミリ秒、20ミリ秒、5ミリ秒、1ミリ秒、または0秒よりも長く約2ミリ秒未満の任意の他の時間に設定され得る。制御信号は、閉ループであり得る。本明細書で使用される場合、閉ループ制御信号という用語は、生理学的信号に応答して送信される制御信号等、別の信号に少なくとも部分的に応答する任意の信号を指し得る。または、それは、任意のフィードバック応答を含み得る。
【0106】
生理学的信号に基づいて、プロセッサは、閉ループ制御信号を介してインプラントユニット110に送信されるエネルギーの分量を決定し得る。送信されるエネルギーの量は、例えば、時刻、対象の関連生物学的要因(血圧、脈拍、脳活動のレベル等)、検出された事象の重症度、検出された事象に関連付けられる他の特性を含む、任意の関連要因に、または要因の任意の組み合わせに基づいて、決定され、および/または変化させられ得る。既述のように、生理学的信号が睡眠呼吸障害事象を示す実施形態では、プロセッサは、生理学的信号に基づいて睡眠呼吸障害事象の重症度を決定するように構成され得る。そのような実施形態では、プロセッサはまた、検出された睡眠呼吸障害事象への応答として、および事象の決定された重症度を考慮して、インプラントユニット110に提供されるエネルギーの量を決定し得る。決定されたエネルギーの量は、任意の好適な持続時間にわたって、任意の好適な電力レベルでインプラントユニット110に伝達され得る。いくつかの実施形態では、制御信号の電力レベルおよび/または持続時間が変化させられ得、そのような変動は、睡眠呼吸障害事象の決定された重症度に依存し得る。
【0107】
制御信号の電力レベルおよび/または持続時間はまた、他の要因に基づいて決定され得る。例えば、プロセッサは、外部ユニット120とインプラントユニット110との間のエネルギー伝達の効率に基づいて、制御信号に関連付けられる電力レベルまたは持続時間を変化させ得る。プロセッサは、事前プログラミング、参照テーブル、メモリに記憶された情報等を通して、そのような情報にアクセスし得る。加えて、または代替として、プロセッサは、例えば、一次アンテナ150上に存在する一次結合信号成分を監視することによって、または任意の他の好適な方法によって、エネルギー伝達の効率を決定するように構成され得る。
【0108】
プロセッサはまた、インプラントユニット110の効率(例えば、制御信号に応答して所望の効果を生じるインプラントユニットの能力)に基づいて、制御信号の電力レベルまたは持続時間を変化させ得る。例えば、プロセッサは、所望の応答(例えば、少なくとも所望のレベルの振幅/大きさを有する変調信号等)を生じるために、あるインプラントユニット110が、ある量のエネルギー、少なくともある電力レベルおよび/または信号持続時間の制御信号等を必要とすることを決定し得る。そのような決定は、インプラントユニット110から受信されるフィードバックに基づき得るか、または参照テーブル、メモリに記憶された情報等に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、制御信号の電力レベルまたは持続時間は、インプラントユニット110に関連付けられる既知またはフィードバック決定有効性閾値(例えば、その値で、またはそれ以上の値で、所望の応答が達成され得る、上限閾値)に基づいて、決定され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、提供される変調の有効性を増加させるよう、ある場所への埋込を促進するように構造的に構成され得る。例えば、
図11および12は、頸部および舌の生体構造を図示し、OSAの神経変調治療に好適な埋込場所を描写する。
図13は、頭痛の治療のために構造的に構成された例示的なインプラントユニット110を図示する。
図14および15は、高血圧の治療のために構造的に構成された例示的なインプラントユニット110を図示する。
【0110】
図11は、対象の顎の下面の真皮を通してアクセスされ得る、頤舌筋1060の近傍の埋込場所を描写する。
図11は、舌下神経(すなわち、脳神経XII)を描写する。舌下神経1051は、その外側枝1053および内側枝1052を通して、舌の筋肉、ならびに頤舌1060、舌下1062、および頤舌骨1061筋を含む、他の舌筋に神経を分布する。頤舌筋1060の水平区画は、主に、終末分岐1055において外側枝1053から分岐する内側枝1052の内側終末線維1054によって神経分布される。次いで、内側枝1052の遠位部分は、内側終末線維1054に多様化する。頤舌筋1060の水平区画の収縮は、対象の気道を開くか、または維持する働きをし得る。他の舌筋の収縮は、嚥下、構音、および気道の開放または閉鎖等の他の機能を支援し得る。舌下神経1051がいくつかの舌筋に神経を分布するので、OSA治療が、舌下神経1051の変調を内側枝1052またはさらに舌下神経1051の内側終末線維1054に限定することが有利であり得る。このようにして、舌運動および気道維持に最も関与する頤舌筋は、神経変調を誘発する収縮のために選択的に標的にされ得る。代替として、頤舌筋の水平区画が、選択的に標的にされ得る。しかしながら、内側終末線維1054は、頤舌筋1061の線維内に位置するので、神経変調で影響を及ぼすことが困難であり得る。本発明の実施形態は、以下でさらに論議されるように、内側終末線維1054の変調を促進する。
【0111】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の変調電極、例えば、電極158a、158bと、少なくとも1つの回路とを含む、インプラントユニット110は、対象の顎の下面の真皮(すなわち、皮膚)を通して埋め込むために構成され得る。対象の顎の下面の真皮を通して埋め込まれたとき、インプラントユニット110は、対象の舌下神経1051の内側枝1052の内側終末線維1054に近接して位置し得る。例示的なインプラントの場所1070が、
図11で描写されている。
【0112】
いくつかの実施形態では、インプラントユニット110は、電極158a、158bが、舌下神経1051の外側および内側枝1053、1052に対して終末分岐1055の遠位の舌下神経1051のセクションへの電場の印加を通して、対象の舌下神経の少なくとも一部分の変調を引き起こすように構成され得る。追加のまたは代替実施形態では、インプラントユニット110は、変調電極158a、158bから延在する電場が、舌下神経1051の内側枝1052の内側終末線維1054のうちの1つ以上を変調することができるように、位置し得る。したがって、内側枝1053または内側終末線維1054は、患者の気道を開くか、または維持するかのいずれかに十分であり得る、頤舌筋1060の収縮を引き起こすよう変調され得る。インプラントユニット110が内側終末線維1054に近接して位置するとき、電場は、対象の舌下神経1051の外側枝の変調を実質的に引き起こさないよう構成され得る。これは、頤舌筋1060の選択的変調標的を提供する利点を有し得る。
【0113】
上述のように、頤舌筋1060内のそれらの位置のため、舌下神経1051の内側終末線維1054を変調することは困難であり得る。インプラントユニット110は、頤舌筋1060の表面上の場所のために構成され得る。インプラントユニット110の電極158a、158bは、電極158a、158bが神経の線維と接触していないときでさえも、内側終末枝1054の変調を引き起こすために十分である、平行電場1090を生成するように構成され得る。つまり、インプラントのアノードおよびカソードは、インプラント110および電極158a、158bに関連付けられる回路を介して通電させられたときに、電極158a、158bの間に延在する電場1090が、その上にインプラントが位置する筋肉組織を通ってその中へ延在する、一連の実質的に平行な弧の形態であり得るように構成され得る。一対の平行線電極または2つの連続の円形電極が、適切な平行電場線を生じるための好適な構成であり得る。したがって、好適に埋め込まれたとき、インプラントユニット110の電極は、平行電場線の生成を通して、非接触様式で神経を変調し得る。
【0114】
さらに、変調の有効性は、変調される神経線維と部分的または実質的に平行に及ぶ平行電場線を生成するために好適な電極構成によって増加させられ得る。いくつかの実施形態では、平行電場線によって誘発される電流は、電場線1090および変調される神経線維が部分的または実質的に平行である場合に、神経線維により大きい変調効果をもたらし得る。
図11の差し込み図は、内側終末線維1054に実質的に平行な電場線1090(鎖線として示される)を生成する、電極158aおよび158bを描写する。
【0115】
内側終末線維1054の変調を促進するために、インプラントユニット110は、埋め込まれたときに電極の適切な場所を確保するように設計または構成され得る。例示的な埋込が
図12で描写されている。
【0116】
例えば、インプラントの可撓性キャリア161は、インプラントの可撓性キャリア161の少なくとも一部分が、頤舌筋1060と頤舌骨筋1061との間の位置に位置するように構成され得る。細長いアーム161の拡張部162aおよび162bのいずれか一方または両方は、頤舌筋の輪郭に適合するように構成され得る。細長いアーム161の拡張部162aおよび162bのいずれか一方または両方は、頤舌筋1060の輪郭に沿って対象の顎の下面から離れて延在するように構成され得る。拡張アーム162a、162bのいずれか一方または両方は、アンテナ152が頤舌1060と頤舌骨筋1061との間に位置するときに、頤舌筋を包み込むように構成され得る。そのような構成では、アンテナ152は、
図12に示されるように、対象の顎の下面によって画定される面に実質的に平行な面内に位置し得る。
【0117】
可撓性キャリア161は、少なくとも一対の離間電極が、対象の頤舌筋と隣接筋肉との間の空間内に位置することができるように構成され得る。可撓性キャリア161は、少なくとも一対の変調電極158a、158bが、頤舌筋1060の水平区画1065に隣接して埋め込むために構成されるように構成され得る。頤舌筋1060の水平区画1065は、
図12で描写され、筋線維が、垂直、斜め、または横方向よりもむしろ、実質的に水平方向に及ぶ、筋肉の部分である。この場所で、舌下神経線維は、頤舌筋線維の間に、およびそれと平行に及ぶ。そのような場所で、インプラントユニット110は、変調電極が、筋線維、したがって、水平区画内の舌下神経の内側終末線維1054の方向に実質的に平行な電場を生成するように構成され得る。
【0118】
図13は、頭痛の治療のための例示的なインプラントの場所を描写する。
図13で図示されるように、インプラントユニット510は、細長いキャリア561と、二次アンテナ552と、変調電極558a、558bとを含む。インプラントユニット510はまた、インプラントユニット110に関して以前に説明された回路、電気的構成要素、材料、および任意の他の特徴等の任意の要素を含み得る。インプラント510は、二次アンテナ552を有する端部が対象の実質的に毛のない領域507の皮膚の下に位置する状態で埋め込まれ得るようにサイズ決定および構成され得る。細長い可撓性キャリア561は、この場所から、対象の髪の生え際502を横断して、大後頭神経501または小後頭神経503等の頭痛を制御または低減するように変調され得る後頭または他の神経の近傍の、対象の実質的に毛のある領域506の皮膚の下の場所まで延在し得る。本明細書で使用される場合、「実質的に毛のある領域」という用語は、頭髪が典型的な対象の上に位置する、髪の生え際の片側に位置する対象の頭部の領域を含む。したがって、頭髪のない個人も、その上で毛が典型的に成長する髪の生え際の片側に「実質的に毛のある領域」を依然として有し得る。本明細書で使用される場合、「実質的に毛のない領域」という用語は、頭髪が典型的な対象の上に位置しない、髪の生え際の片側に位置する対象の頭部の領域を含む。本明細書で使用されるような「実質的に毛のない領域」は、ほとんど全ての皮膚表面がいくらかの毛の成長を有するので、完全に無毛である必要はない。
図13で図示されるように、実質的に毛のある領域506は、髪の生え際502によって、実質的に毛のない領域507から分離される。
【0119】
上記で説明されるように、インプラント510は、髪の生え際502を横断して、後頭神経の近傍の場所まで延在し得る。
図13では、インプラント510は、髪の生え際502を横断して、大後頭神経501の近傍の場所まで延在し得る。さらに、インプラント510は、電極558aおよび558bが、
図13に示される大後頭神経501等の後頭神経の長手方向に沿って互から離間されるような埋込に対して構成され得る。そのような構成は、電極558aおよび558bが、後頭神経の長手方向に延在する電場を促進することを可能にする。ひいては、促進された電場は、大後頭神経501を変調するため、例えば、以前に説明されたように疼痛信号を遮断するために、利用され得る。
【0120】
図13で図示されるインプラント510のサイズおよび構成は、毛がないことにより、外部ユニット520(図示せず)が皮膚に容易に添着され得る場所で、二次アンテナ552が皮膚の下に位置することを可能にし得る。外部ユニット520は、外部ユニット120に関して以前に説明された回路、プロセッサ、バッテリ、アンテナ、電気的構成要素、材料、および任意の他の特徴等の任意の要素を含み得る。外部ユニット520は、外部ユニット120に関して以前に説明されたように、二次アンテナ552を介してインプラント510と通信して、電力および制御信号を送達するように構成され得る。細長いキャリア561は、可撓性であり得、頭痛を制御するために後頭または他の神経を変調するための好適な場所で、変調電極558aおよび558bが皮膚の下に位置することを可能にし得る。
【0121】
図14は、高血圧の治療のための例示的なインプラントの場所を描写する。
図14で図示されるように、インプラントユニット610は、血管の内側の場所または埋め込みのために構成され得る。そのような構成は、例えば、可撓性管状キャリアを含み得る。インプラントユニット610はまた、インプラントユニット110に関して以前に説明された回路、電気的構成要素、材料、および任意の他の特徴等の任意の要素を含み得る。インプラントユニット610は、血管の長手方向に延在する電場線を含む電場を促進するように構成される、変調電極658a、658bを含み得る。例えば、
図14で図示されるように、インプラントユニット610は、頸動脈611に埋め込まれ得る。インプラントユニット610は、内頸動脈613および外頸動脈612の分岐の付近の場所において、頸動脈圧受容器615の近傍の場所で頸動脈611内に位置し得る。以前に説明されたように、頸動脈圧受容器615は、対象の血圧の調節に役立つ。したがって、頸動脈圧受容器615の近傍で頸動脈611内に位置するインプラントユニット610は、頸動脈圧受容器615を変調し、したがって、対象の血圧に影響を及ぼすように構成される電場を促進し得る。対象の血圧に影響を及ぼすことは、対象の血圧を低下させること、上昇させること、制御すること、調節すること、および影響を与えることを含み得る。図示した場所は、例示的にすぎず、インプラントユニット610は、代替的な方法で構成され得る。例えば、インプラントユニット610は、そこから頸動脈圧受容器615の変調が達成され得る場所で、対象の頸静脈614に埋め込むために構成され得る。さらに、インプラントユニット610は、舌咽神経615の変調に好適な場所で、頸動脈611または頸静脈614等の血管に埋め込むために構成され得る。上記で説明されるように、舌咽神経615は、頸動脈圧受容器615に神経を分布する。したがって、舌咽神経615は、対象の血圧に影響を及ぼすように直接変調され得る。舌咽神経615はまた、非血管内場所で、皮下に位置するインプラントユニット610によって変調され得る。
【0122】
図15は、高血圧の治療のための別の例示的なインプラントの場所を描写する。
図15で図示されるように、インプラントユニット710は、血管の内側の場所または埋め込みのために構成され得る。そのような構成は、例えば、可撓性管状キャリアを含み得る。インプラントユニット710はまた、インプラントユニット110に関して以前に説明された回路、電気的構成要素、材料、および任意の他の特徴等の任意の要素を含み得る。インプラントユニット710は、血管の長手方向に延在する電場線を含む電場を促進するように構成される変調電極758a、758bを含み得る。例えば、
図14で図示されるように、インプラントユニット710は、腎動脈711に埋め込まれ得る。インプラントユニット710は、腎臓712の中へのその進入の前に、腎動脈711を包囲する腎神経715の近傍の場所で、腎動脈711内に位置し得る。以前に説明されたように、腎神経715は、ヒトの血圧の調節に役立つ。したがって、腎神経715の近傍で腎動脈711内に位置するインプラントユニット710は、腎神経715を変調し、したがって、対象の血圧に影響を及ぼすように構成される電場を促進し得る。図示した場所は、例示的にすぎず、インプラントユニット710は、腎神経715の変調に好適である代替的な方法で構成され得る。
【0123】
本開示の追加の実施形態は、バッテリによって供給される電力を使用して、一次アンテナにおいて一次信号を生成することであって、一次アンテナは、バッテリを保持するように構成されている筐体に関連付けられる、ことと、持続時間が少なくとも3時間の治療セッション中、一次アンテナから埋込型デバイスへ一次信号を伝送することであって、一次信号は、パルス列を含み、パルス列は、複数の刺激パルスを含む、こととを含む電気刺激治療パルスを送達する方法を含み得る。複数の刺激パルスのうちの少なくとも1つは、交流信号を含み得る。交流信号は、6.5〜13.6メガヘルツの周波数を有し得る。複数の刺激パルスのうちの少なくとも1つは、複数の刺激サブパルスを含み得、各刺激サブパルスは、50〜250ミリ秒の持続時間を有する。複数の刺激パルスのうちの少なくとも1つは、5〜15の刺激サブパルスを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、治療セッションの少なくとも90%にわたって一次信号の伝送を引き起こすように構成され得る。バッテリは、240mAh未満、120mAh未満、および60mAh未満の容量を有し得る。パルス列は、5000、10,000、および100,000の刺激パルスのうちの少なくとも1つよりも多くを含み得る。刺激パルスの大部分の間の時間的間隔は、1.3秒未満であり得る。刺激パルスは、呼吸周波数の4、8、および16倍の間から選択される周波数で起こる。刺激パルスの大部分は、少なくとも200ミリ秒のパルス持続時間を有し得る。筐体および一次アンテナのうちの少なくとも1つは、それが対象の皮膚の輪郭に概して一致することを可能にする程度まで可撓性であり得る。埋込型デバイスは、少なくとも一対の刺激電極を含み得、一次信号が埋込型デバイスによって受信された場合、少なくとも一対の刺激電極において筋収縮誘発電流を引き起こすように構成され得る。刺激パルスは、筋収縮後に頤舌筋の完全弛緩を可能にしないよう、時間的に離間され得る。
【0124】
本開示の他の実施形態は、本開示の明細書および実践を考慮することから、当業者に明白となるであろう。本開示は、ある症状の治療に採用される神経変調デバイスの実施例を提供するが、開示された神経変調デバイスの使用法は、開示された実施例に限定されない。神経変調のための本発明の実施形態の使用の開示は、例示的にすぎないと見なされるものである。その最も広い意味において、本発明は、神経変調を通した任意の生理学的症状の治療と関連して使用され得る。代替実施形態は、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明が関連する当業者に明白となるであろう。したがって、本発明の範囲は、前述の説明よりもむしろ添付の請求項によって定義される。