特許第6117311号(P6117311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6117311干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117311
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20170410BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20170410BHJP
【FI】
   H02J50/60
   H02J50/10
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-211176(P2015-211176)
(22)【出願日】2015年10月27日
(62)【分割の表示】特願2013-530336(P2013-530336)の分割
【原出願日】2011年9月23日
(65)【公開番号】特開2016-29887(P2016-29887A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】61/385,836
(32)【優先日】2010年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/032,524
(32)【優先日】2011年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ウラジミール エイ ムラトフ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジー エッティンガー
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−326736(JP,A)
【文献】 特開2000−32684(JP,A)
【文献】 特開2001−275280(JP,A)
【文献】 特開2005−311570(JP,A)
【文献】 特開2006−238692(JP,A)
【文献】 特開2006−340541(JP,A)
【文献】 特開2009−124889(JP,A)
【文献】 特開2009−201344(JP,A)
【文献】 特開2008−99352(JP,A)
【文献】 特開2008−206232(JP,A)
【文献】 特開2008−206305(JP,A)
【文献】 特開2008−237006(JP,A)
【文献】 特開2009−131039(JP,A)
【文献】 特開2009−136133(JP,A)
【文献】 特開2010−28935(JP,A)
【文献】 特開2010−119246(JP,A)
【文献】 特開2010−183705(JP,A)
【文献】 特表2007−537688(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0104777(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0089305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝達システムであって、
2次側レシーバに対する誘導結合のためにコイルに電力信号を発生する1次側トランスミッタであって、電源から1次側トランスミッタにより受信される電力レベルを決定し、1次側トランスミッタでの電力損失を決定する、前記1次側トランスミッタと、
前記1次側トランスミッタから誘導結合された電力を受信し、前記誘導結合された電力の電力レベルを決定する2次側レシーバであって、前記2次側レシーバでの前記電力レベルに関連する信号を前記1次側トランスミッタに送信する、前記2次側レシーバと、
を含み、
前記1次側トランスミッタが、異物によって受信される電力を決定するために、前記1次側トランスミッタで受信される前記電力レベルと、前記1次側トランスミッタでの前記電力損失と、既知の金属物体において消費されるエネルギーを含む、前記2次側レシーバで受信される前記電力レベルとを利用し、異物によって受信される電力がある閾値を超えると前記電力信号の発生を中断する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレス電力伝達システムであって、
前記信号が、前記2次側レシーバで静止電力放散を含むパラメータを含む、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤレス電力伝達システムであって、
前記信号が、振幅変調された信号、パルス幅変調された信号、周波数変調された信号、位相偏移変調された信号、赤外信号、及び無線周波数信号の少なくとも1つとして伝送される、システム。
【請求項4】
ワイヤレス電力伝達のためのシステムであって、
既知の金属物体において消費されるエネルギーを含む感知された電力を監視し、前記感知された電力に関連するパラメータを含むフィードバック信号を生成するように構成される2次側コントローラと、
前記フィードバック信号の表現を変調するように構成される変調モジュールであって、前記変調が1次側コントローラに伝送される、前記変調モジュールと、
を含み、
前記1次側コントローラが、
前記変調モジュールからの変調を復調し、
前記フィードバック信号の前記復調された表現を1次電力と比較し、
1次電力に対する2次電力の効率が所定のレベルより小さい場合に充電を阻止する、
ように構成される、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、
前記所定のレベルがユーザー設定できる、システム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムであって、
前記1次側コントローラが共振コンバータを制御する、システム。
【請求項7】
請求項4に記載のシステムであって、
前記所定のレベルが、寄生金属要素の存在を示すレベルより下のレベルを含む、システム。
【請求項8】
1次側トランスミッタから2次側レシーバへのワイヤレス電力伝達のためのシステムにおいて、
前記1次側トランスミッタが、
前記2次側レシーバに対する誘導結合のためにコイルに電力信号を発生し、
電源から前記1次側トランスミッタにより受信される電力レベルを決定し、
前記1次側トランスミッタでの電力損失を決定し、
既知の金属物体において消費されるエネルギーを含む、前記2次側レシーバにより受信される電力レベルの信号表現を受信する、
ように構成され、
前記1次側トランスミッタが、異物により受信される電力を決定するために、前記1次側トランスミッタで受信される前記電力レベルと、前記1次側トランスミッタでの電力損失と、前記2次側レシーバで受信される前記電力レベルとを利用し、前記異物により受信される電力がある閾値を超えると前記電力信号の発生を中断する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力エレクトロニクスに関し、更に特定して言えば、ワイヤレス電力伝送に関連する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスエネルギー伝送又はワイヤレス電力は、相互接続する配線なしの電源から電気的負荷への電気エネルギーの伝送である。ワイヤレス伝送は、相互接続配線が不便、危険、又は不可能である場合に有効である。ワイヤレス電力は、受信したエネルギーの信号対雑音比(SNR)又はパーセントが、それが、適切に回復されるべき信号にとって低すぎる場合にのみ重要となるワイヤレステレコムとは異なる。ワイヤレス電力伝送を用いる場合、効率がより重要なパラメータとなる。
【0003】
ワイヤレス電力伝送における一般的な結合形式の2つは、誘導性結合と共振誘導性結合である。ワイヤレス電力伝送システムは、通常、電磁的に結合された送信コイル及び受信コイルで構成される。コイル結合のため、一次側からのエネルギーは、或る距離を越えて二次側に伝送され得る。電磁誘導ワイヤレス伝送手法は、用いられる波長の4分の1に近づく一つ又は複数のデバイスの直径の数倍に匹敵する距離での近距離場である。近距離場エネルギー自体は非放射性であるが、何らかの放射損失が生じる。また通常は抵抗性損失がある。誘導によるエネルギー伝送は通常、磁性であるが、容量性結合も達成され得る。
【0004】
電磁誘導は、一次コイルが主磁場を生成し、電流が二次内に誘導されるように二次コイルが主磁場内にあるという原理で機能する。高効率を達成するため、結合は緊密であるべきである。一次からの距離が増加するにつれて、より多くの磁場が二次を失う。比較的短い範囲でも、この誘導方法はむしろ非効率であり、伝送されたエネルギーの多くを無駄にする。
【0005】
電気的変圧器の動作は、誘導によるワイヤレス電力伝送の最も簡単な例である。変圧器の一次回路及び二次回路は直接的に接続されない。エネルギー伝送は、相互誘導として知られているプロセスを介する電磁結合により起こる。主要な機能は、一次電圧を上又は下に段階的に変えること及び電気的隔離である。携帯電話及び電気歯ブラシのバッテリー充電器、及び電気的配電変圧器は、この原理がどのように用いられるかの例である。誘導調理器はこの方法を用いる。ワイヤレス伝送のこの基本形式の主な欠点は範囲が短いことである。レシーバは、それに効率的に結合するために、トランスミッタ又は誘導ユニットに直接的に近接している必要がある。
【0006】
共振エンハンスト電気力学誘導の一般的な用途は、ラップトップコンピュータ、携帯電話、医療インプラント、及び電気自動車などの携帯デバイスのバッテリーを充電することである。共振は、エネルギー伝送効率を最大化するために、ワイヤレス充電パッド(トランスミッタ回路)及びレシーバモジュール(負荷に埋め込まれる)の両方において用いられる。このアプローチは、携帯電話など携帯型エレクトロニクスのための汎用ワイヤレス充電パッドに適している。このアプローチは、Qiワイヤレス充電規格の一部として採用されている。また、RFIDパッチ及び非接触スマートカードなど、バッテリーを有さないデバイスに電力供給するため、及び一次インダクタからテスラコイルワイヤレス電力トランスミッタのヘリカル共振器へ電気エネルギーを結合するためにも用いられる。
【0007】
Qiは、ワイヤレス・パワー・コンソーシアム(WPC)により定められたプロトコルを用いる誘導性充電のためのシステムの一例である。Qiは、互いに通信する誘導性充電器及びデバイスのための共通言語を定める。そのため、Qiイネーブルアクセサリを備えた又はそのデバイス内に直接構築されたQiを備えた、任意のデバイスが、任意のQi誘導性充電パッドに充電することができる。
【0008】
誘導性充電は、一方が電力を送るよう設計され、他方がそれを受けとるよう設計される2つのデバイスが、互いに接し、それらの間でエネルギーが伝送されるとき起こるものである。過去には、これら2つのデバイスは互いに特定して設計される必要があったが、WPCにより定められた規格をサポートするように設計されたデバイス及び充電器は、自由に相互交換可能である。WPC規格は、準拠スマートフォン、カメラ、MP3プレイヤー、及びこういったデバイスに直接つなぐことなく5Wまで用いることのできるその他のもの、の汎用充電を可能にする。エネルギーを伝送するために電磁場を用いることにより、充電パッドは、それらが充電しているデバイスと双方向にインテリジェントに通信することができる。
【発明の概要】
【0009】
例示の実施例は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のシステム及び方法のシステムを提供する。一実施例において、二次側コントローラが、感知された電力をモニタリングするように、及び感知された電力に関連するパラメータを含むフィードバック信号を生成するように構成され、変調モジュールが、フィードバック信号の表示を変調するように構成される。この変調が一次側コントローラに伝送され、一次側コントローラが、電力損失式に適用されるようにパラメータに基づいて充電を阻止するように構成される。
【0010】
例示の実施例は更に広く、誘導性結合を通って伝送される電力を制御するように、二次の感知された電力に関連するパラメータを含む表示を受け取るように、及び一次電力に対する二次の感知された電力の効率を判定するためパラメータを電力損失式に適用することにより寄生金属性要素が存在するかどうかを判定するように構成される一次側コントローラで実装されてもよい。
【0011】
実施例は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送を提供するための方法とみなすこともできる。この点で、1つの実施例は、誘導性結合の二次側で電力を感知すること、感知された電力に関連するパラメータを含む表示を生成すること、感知された電力の表示を変調すること、及び感知された電力の変調された表示を誘導性結合の一次側に伝送することを含む。一次側は、電力損失式に適用されるようにパラメータに基づいて電力伝送を阻止するように構成される。
【0012】
別の実施例は、誘導性結合の二次側から、感知された電力に関連するパラメータを含む表示を受け取ること、一次から二次への電力伝送の効率を判定するためパラメータを電力損失式に適用すること、及びこの効率に基づいて寄生金属性要素の存在を検出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
例示の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0014】
図1図1は、ワイヤレス電力伝送の例示の一実施例のシステム図である。
【0015】
図2図2は、伝送と干渉する物体を備えた図1のワイヤレス電力伝送の例示の一実施例のシステム図である。
【0016】
図3図3は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のエネルギー伝送の例示の一実施例のシステム図である。
【0017】
図4図4は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のエネルギー伝送の例示の一実施例のシステム図である。
【0018】
図5図5は、図4の干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のエネルギー伝送の例示の一実施例の回路図である。
【0019】
図6図6は、図4の干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のエネルギー伝送の例示の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ワイヤレス充電を用いると、システムの受信部は、例えば、二次電力パラメータを所望の動作範囲内に保つため一次から要求される補正的動作だけでなく、それが動作する電圧、電流、及び電力レベルを一次側に周期的に通信し得る。このようなシステムの性能は、寄生金属物体が偶発的又は意図的に送信コイルに近接しているとき著しく劣化され得る。伝送されたエネルギーの一部は、これらの金属物体により結合され得、熱として浪費され得る。これは、システム性能を劣化させるだけでなく、コインや鍵のような金属物体が火災を引き起こすほどに熱くなり得、プラスチック部品の変形を生じさせたり、或いは触れたときにオペレータにやけどさせたりするため、危険でもある。
【0021】
本明細書に開示する干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送システムのシステム及び方法は、このシステムの受信側で受信した電力を一次側で消費された電力と比較することにより、システムコイルに近接して位置する寄生金属物体に関連する起こり得る過剰エネルギー伝送を検出する。このような比較の結果が、一次側で消費された電力が二次側で受け取られる電力を実質的に超えることを示す場合、このシステムは、オペレーションを動的に停止する判定をして、悪影響が生じることを防止する。
【0022】
干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送システムのシステム及び方法は更に、例えば、一次DC源など、電気エネルギーの入力源に結合される一次側と、送信コイルを励起させ、受信コイルに向けて伝送される電磁エネルギーに入力電力を変換する半導体回路要素と、受信コイルであって、送信コイルからエネルギーを受け取るため送信コイルと電磁的に結合される受信コイルとを含み得る。レシーバ回路要素が、受信したエネルギーと、負荷により用いられるべき状態パラメータとを利用し得る。負荷は、二次側に結合され得、受信コイルにより結合されるエネルギーの一部を消費する。二次側回路要素は、受信したエネルギーをモニタリングし得、二次側のエネルギーパラメータの閉ループ規制を達成するため、受信したエネルギーのパラメータを送信回路要素に周期的にレポートし得る。
【0023】
例示の一実施例において、二次側測定回路要素は、二次側により受信される電力を感知し得る。一次側測定回路要素は、一次側で消費された電力を感知する。変調回路要素は、二次側に配置され得、例示の一実施例において、バイナリコードが二次側から送られ得一次側で受信されるような方式で、送信コイル及び受信コイルを結合する電磁場を変えることが可能であり得る。二次側コントローラは、二次側測定回路要素及び変調回路要素に結合され得、例示の一実施例において、二次側で受け取られる電力に関連するバイナリコードを周期的に送るようにこれらの回路を効率的に制御する。
【0024】
一次側復調回路要素は、送信コイル及び受信コイルを結合する電磁エネルギーの変化に影響されやすく、また、二次側から送られるバイナリコードを復調することが可能である。一次側復調回路要素及び入力電力測定回路要素に結合される一次側コントローラは、受信した電力値を一次側で測定された消費された電力値と比較し、比較の結果に基づいて、システムオペレーションを効率的に指令する。この通信方法は、多数の異なるプロトコル又は手段を含み得、変調された信号を、特に、結合、赤外チャネル、及び無線周波数チャネルを通って伝送することを含む。
【0025】
例示の一実施例において、一次側は、受信した電力を消費された電力と比較し得、受信した二次側及び測定された一次側電力レベルで数学関数を実行することにより寄生金属物体に関連する電力を計算し得る。これらの数学関数は、受信した及び測定された電力レベルのスケーリング、スケーリングされた測定電力からのスケーリングされた受信電力の減算(deduction)、及び一次側及び二次側において放散される静止(quiescent)電力に関連する所定の定数の減算を含み得る。二次側は、電力損失の既知の源に関連する定数を送り得る。例えば、既知の源は、特に、コイルの抵抗又はシールドにおける損失に起因する損失を含み得る。シールドは典型的に、コイルの後ろに置かれる例えばフェライトなどの磁気材料であり、これは、磁束のためのリターン経路を提供する。シールドは、磁場の殆どが、充電中のデバイスに通過することを防ぐ。所望の方向に磁場を向けることにより、効率が改善される。既知のパラメータは、一定(静止電力など)であってもよく、或いは電力(スケールファクタなど)に比例してもよい。電力損失における幾つかのファクタは、非線形であり得、より高次の項も関与し得る。例えば、損失は熱により悪化されられ得る。上昇した温度がコイルの抵抗を増加させるため、I2R損失は電流より速く増加し得る。
【0026】
計算の助けとなり得る例示の数学関数は、下記の電力損失式とし得る。
(1) PMD=α×TX_pwr−β×RX_pwr−C1−C2
ここで、二次側の静止電力に関連するスケールファクタ及び定数は、変調回路要素を用いてバイナリコードとして二次側から一次側へ送られ得る。電力損失検出は、上述の非制限的な数式など、電力バランス数式の評価を介して達成され得、これは、システム内の既知の損失を考慮する。これらの損失は、レシーバからトランスミッタへ通過されたパラメータを介して較正され得る。例示の一実施例において、Rxに関連するスケールファクタ及び電力損失定数は、単一ワードとして送られ得、ここで、ワードビットの一部がスケールファクタを表し、幾つかのビットが電力定数を表す。Rx電力パケットは、特に、Rx最大電力、スケールファクタ、及び電力損失定数を表すビットで構成され得る。
【0027】
上記式は、寄生金属放散(PMD)のより一般的な下記式:
(2) PMD=A×TX_pwr−B×TX_pwr−C−α×RX_pwr−β×RX_pwr−γ
の算出線形化である。ここで、A、B及びCは、送信関連項であり、α、β、及びγは受信関連項である。寄生金属放散に失われた電力は、伝送された電力から全ての損失項を引いたものに実質的に等しい。簡潔にするため、伝送された電力に係数を加算すると都合がよい。Aは、その結果に任意の単位を適用するために用いられる。PMDがmWであり、TX_pwrがワットである場合、Aは1/1000に設定され得、これらが同じ単位を有する(ワット入力、ワット出力である)場合、A=1である。Bは、(TX_pwr2)項を損失に関連付けるスケールファクタであり、定数Cは、トランスミッタにおける損失であり、これは、電力に関わらず一定である。例えば、1mW消費するLEDが絶えず駆動される場合、Cは0.001となる。α、β、及びγ項は、レシーバ側のパラメータと同様に関連する。二次側がRX_pwrを通信するとき、通常動作状態損失が計算され得る。α項は、RX_pwr2に比例する損失に対応し、βはRX_pwrに比例する損失に対応し、Cと同様、γは一定である。
【0028】
説明するため、誘導性結合の一次側の電圧が10Vであり、コイルの一次側の電流が0.2Aであり、コイルの抵抗が0.3Ωであると仮定する。TX_pwrはI×V=0.2×10=2ワットである。損失はI×R=0.2×0.2×0.3=0.012ワットに等しい。電圧は一定であるため、電力は電流に正比例する。従って、Iに比例する損失はpwrにも比例する。つまり、pwr=2=4である。B項は、pwr及び損失間の関係に対応する。この場合、B×2=0.012であるためB=0.003である。電力出力がpwr=5Wまで増加する場合、この項に対し予期される損失は、5×B=25×0.03=0.075ワットと計算され得る。
【0029】
主要な損失は、電流の二乗(或いは、スケーリングした、電力の二乗)に関連する:
(3) PMD=α×TX_pwr−β×RX_pwr−C1−C2
【0030】
電力損失式が、電力測定の2つの関数を用いて更により一般的に記載され得る方式のための別の例示の数式は、下記である。
(4) PMD=f(TX_pwr)−g(RX_pwr)
【0031】
一次側の静止電力に関連するスケールファクタ及び定数は、一次側コントローラによりアクセス可能なメモリにストアされ得る。一次側の静止電流に関連するスケールファクタ及び定数は、一次側コントローラに結合されるレジスタ、又は電圧、又は電流で設定され得る。ファクタ及び/又は定数の値は、メモリ蓄積デバイスからもアクセスされ得る。
【0032】
例示の一実施例において、二次電力の一次側電力との比較の結果が何らかの所定のレベルを超える場合、エネルギー伝送を完全に停止するように判定が成され得る。好ましくはこの比較は、この比較を二次側から一次側に通過され得るパラメータでスケーリングすることを含む。システムがエネルギー伝送を停止させる所定のレベルは、一次側マイクロコントローラに結合されるユーザー設定され得るレジスタ、電圧、又は電流により設定され得る。システムがエネルギー伝送を停止させる所定のレベルは、一次側マイクロコントローラによりアクセス可能なメモリにストアされ得る。
【0033】
例示の一実施例において、エネルギー伝送が停止される受信した及び消費された電力間の差は、送信コイル及び受信コイルを結合する電磁場を変調することによりバイナリコードとして二次側マイクロコントローラにより一次側マイクロコントローラへ送られ得る。この判定は、比較の結果が何らかの任意の所定のレベルを超える場合、一次的に所定の時間期間エネルギー伝送を停止するために成され得る。システムがエネルギー伝送を停止させる時間インタバルは、一次側マイクロコントローラに結合される、ユーザー設定され得るレジスタ、電圧、又は電流により設定され得る。システムがエネルギー伝送を一時的に停止させる時間期間は、一次側マイクロコントローラによりアクセス可能なメモリにストアされ得る。エネルギー伝送が停止される期間は、送信コイル及び受信コイルを結合する電磁場を変調することにより、バイナリコードとして二次側マイクロコントローラにより一次側マイクロコントローラに送られ得る。
【0034】
より高度な精度を達成するため、受信した電力及び消費された電力の測定が成されるときに対し二次側及び一次側間に或る規定が確立され得る。精度を更に改善するため、電力測定は、システムが、送信コイル及び受信コイルを結合する電磁場の変調に関連する任意の外乱を経験する可能性が低いときと実質的に同じ瞬間に成され得る。ノイズの多い読み取りに起因するやっかいなトリップの発生を低減するため、所定のレベルを超える幾つかの連続するインスタンス後にのみエネルギー伝送を停止するように構成され得る。エネルギー伝送を停止する前の連続するインスタンスの数はユーザー設定され得るようにし得る。
【0035】
能動表面温度測定に基づく金属物体検出のための一般的なシステムに比べ、開示されるシステム及び方法及び手段は、一次側及び二次側の電力レベルを測定及び比較し、一次側及び二次側電力間の差が閾値、例えば非制限的な例として、ユーザー定義閾値、を超える場合、システムオペレーションに必要な補正を行う。
【0036】
例示の実施例においてこのシステムは、更に高い解像度レベルを達成するため、及び一次側及び二次側で静止電力を減じるため、複雑な計算を実行し得る。寄生金属物体に関連する電力放散は、下記の数式によりモデル化され得る。
(5) PMD=α×TX_pwr−β×RX_pwr−C1−C2
ここで、αはトランスミッタ(Tx)電力のためのスケールファクタであり、C1はTxにおける静止(quiescent)放散に関連する定数であり、βはレシーバ(Rx)電力のためのスケールファクタであり、C2はRxにおける静止放散に関連する定数である。幾つかの実施例は、トリップポイントが送られる方式、及び二次側から一次側へ通過する情報の量に基づいて変化し得る。
【0037】
開示されるシステム及び方法は、ワイヤレス電力伝送システムにおいて磁気的に結合されたコイルに近接して誘導される寄生金属物体を検出する際のより高レベルの解像度を提供する。例示の実施例は、温度測定に基づくシステムより速い可能性がある。この例示の実施例は、携帯電話、カメラ、電力ツール等の異なる二次側デバイスなどが、金属検出メカニズムがアクティブにされる又はイナクティブにされる閾値を、個別に設定させることを可能にし得る。
【0038】
開示される干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のシステム及び方法の目的の一つは、充電器に近接する寄生金属の存在を検出することである。汎用充電器をつくるため、充電器から充電されるべきデバイスへのデータ伝送又は通信のための規格を設定するためにワイヤレス・パワー・コンソーシアム(WPC)がつくられた。Qi準拠である任意の電話又はデバイスが充電され得る、Qi準拠充電器などの例示の実装において生じる課題の一つは、他の金属物体がその充電器と干渉し得ることである。金属物体が干渉を起こす場合、そういった金属物体は、加熱し得、90℃程度まで加熱することもあり、電話に問題を起こしたり損傷させたりし、或いはユーザーを怪我させる恐れがある。例示の一実施例において、受信した電力が、何らかの標準的な損失が関与する一次側電力に比べて充分に効率的であるかを判定するため、電力伝送の効率が計算される。レシーバが、トランスミッタが送ったものの大部分を受け取らない場合、エネルギーを消費する何かが途中にあることを意味する。
【0039】
図1は、モバイルデバイスのための充電システムの例示の一実施例を提供する。充電システム100は任意のタイプのワイヤレス充電器であり、これは、例えば、モバイルデバイス110を充電するように構成されるウォールパワーデバイスから電力供給される。モバイルデバイス110は、携帯電話、MP3プレイヤー、コンピュータ、又は任意の他のワイヤレス充電可能なデバイスを含み得る。
【0040】
図2は、寄生金属物体220が充電器200を備えたデバイス210の充電と干渉し得るシステムを示す。充電器200が、例えば、誘導性結合を介してデバイス210へエネルギーを伝送しようとするとき、金属物体220は、伝送されたエネルギーの一部を受信して加熱し得、モバイルデバイス210、充電器デバイス200、及び金属物体220への損傷を生じさせる。金属物体220が過熱する場合、その熱は、火事やユーザーのやけどを含む、その他のダメージを生じさせ得る。
【0041】
図3は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のためのシステムにおいて用いられるエネルギーバランスの例示の一実施例を提供する。送信側310は伝送されたエネルギー315を送り、送信コイルにおいて失われたエネルギー317の指示を受け取る。受信側320が、負荷に搬送される受信したエネルギー322を伝送する。受信側320は、受信コイル及び整流器において失われたエネルギー325、レシーバ制御回路において失われたエネルギー327、及び金属物体において浪費されたエネルギー329も伝送する。その後、送信側310は、効率を計算し、エネルギーの伝送が阻止されるべきであるかを判定する。
【0042】
図4は、例えば、寄生金属物体の検出など、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のためのシステムの例示の一実施例のシステム図を提供する。システム400は、トランスミッタ410、誘導性カプラ420、変調器430、及び二次側コントローラ440を含む。一次側コントローラ410が、エネルギーを誘導性結合420を介して二次側コントローラ440へ伝送する。二次側コントローラ440は受信した電力を感知し、信号を変調器430に送り、この信号は二次電力レベルを含む。変調器430は、その信号を誘導性結合420を介して一次側コントローラ410へ送る。一次側コントローラ410は、効率を計算し、一次側410から二次側440への電力伝送が阻止されるべきかを判定する。
【0043】
図5は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送のための回路の例示の一実施例を提供する。電源510は、電力をシステム500に供給する。レジスタ515及び増幅器520は、一次側電力レベルを検出するために用いられ、一次側電力レベルは一次側コントローラ505により感知され得る。一次側コントローラ505は、この例示の実施例において、ハイサイドFET530及びローサイドFET535を備えた共振コンバータを制御するためコントローラ525に信号を送る。一次側からの電力は、ワイヤレス結合540を介して、例えば、誘導性カプラを介して、二次側に伝送される。二次側は、この例示の実施例において、整流器550を含み得、整流器550は、この実施例において4つのダイオードを含む。二次側の電流は、電流レジスタ555及び増幅器560を介して感知され得、二次側コントローラ575に提示され得る。二次コントローラ575は、この例示の実施例において、電力を負荷580に供給するため、信号を出力コンディショナー570に送り得る。二次コントローラ575は、増幅器560から電流感知入力を受け取り、感知された電力レベルの表示を変調ネットワーク545に提供する。
【0044】
例示の一実施例において、変調ネットワーク545は、感知された電力を表すバイナリ信号を、電流感知レジスタ555から誘導性カプラ540を介して一次側コントローラ505により受信されるべく送る。コントローラ505は、感知された電流を、増幅器520及び感知レジスタ515を用いて電源510から受け取る。この例示の実施例において、一次側コントローラ505は、ハイサイドFET530及びローサイドFET535を備えた共振コントローラ525を制御する。二次側コントローラ575は、WPCプロトコルを介して変調ネットワーク545を介して通信して、受信した電力のバイナリコード表示を誘導性カプラ540を介して一次側に戻すよう送り得、これは、一次側コントローラ505により受信され得る。
【0045】
一次側コントローラ505はその後、効率が充電を継続するのに充分であるかを判定するため効率を計算し得る。効率が充分に高くない場合、一次側から二次側へのエネルギーの効率的な伝送を阻止する何かがあり、エネルギーの伝送が停止され得る判定が成され得る。これは閾値によって判定され得る。閾値は、事前に設定されてもよく、又はユーザー設定可能であってもよい。変調タイプは、特に、振幅変調、周波数変調、位相偏移変調、パルス幅変調、及び赤外変調を含み得るが、これらに限定されない。
【0046】
図6は、干渉検出を備えたワイヤレス電力伝送の方法のフローチャート600を提供する。ブロック610において、電力がワイヤレス結合の一次側に供給される。ブロック620において、一次側の電力が、ワイヤレス結合の二次側に誘導的に結合される。ブロック630において、二次側内の電力が感知される。ブロック640において、感知された二次電力の表示が一次側に伝送される。ブロック650において、一次側電力に関連する二次電力の効率が低いか判定が一次側で成される。効率が所定の効率レベルに比べ低くない場合、ブロック670において一次から二次への電力伝送が継続する。効率が低い場合、ブロック660において、一次から二次への電力伝送が中断される。この判定は、下記のような数式を用いて寄生金属物体に関連する電力放散を計算することにより成され得る。
(6) PMD=α×TX_pwr−β×RX_pwr−C1−C2
ここで、αはトランスミッタ(Tx)電力のためのスケールファクタであり、C1は、Txの静止放散に関連する定数であり、βはレシーバ(Rx)電力のためのスケールファクタであり、C2は、Rxにおける静止放散に関連する定数である。幾つかの実施例は、トリップポイントが送られる方式、及び二次側から一次側へ通過する情報の量に基づいて変化し得る。
【0047】
本発明に関連する技術に習熟した者であれば、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び本発明の特許請求の範囲内で他の実施例を実装し得ることが分かるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6