特許第6117355号(P6117355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117355
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】石膏製品の製造方法及び製造システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20170410BHJP
   G01N 23/22 20060101ALI20170410BHJP
   G01N 23/223 20060101ALI20170410BHJP
   G01N 23/207 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   G01N33/00 A
   G01N23/22
   G01N23/22 310
   G01N23/223
   G01N23/207
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-523247(P2015-523247)
(86)(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公表番号】特表2015-524562(P2015-524562A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013051054
(87)【国際公開番号】WO2014015124
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年4月15日
(31)【優先権主張番号】61/673,527
(32)【優先日】2012年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507277664
【氏名又は名称】ジョージア パシフィック ジプサム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーガー ウイリアム イー
(72)【発明者】
【氏名】ペリー カーマイン
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−175346(JP,A)
【文献】 特開平04−220307(JP,A)
【文献】 特開2000−015083(JP,A)
【文献】 特開2000−016845(JP,A)
【文献】 特表平06−505448(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0082157(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第01598721(FR,A1)
【文献】 せっこうボード,セラミックス,2008年, Vol.43, No.2,p.130-131,URL,www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2008_02_02.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00
G01N 33/24
G01N 33/38
G01N 33/42
G01N 23/22
G01N 23/222
E04C 2/00−2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏製品を製造する方法であって、
即発ガンマ線中性子放射化分析を含む元素分析装置を使用して、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するステップであって、前記1種以上のターゲット化学物質は硫酸カルシウム二水和物を含むステップと、
前記原料を、前記元素分析装置を用いて検出および/または測定された前記原料中の硫酸カルシウム二水和物の量に基づいて、各々が硫酸カルシウム二水和物の各濃度を有する複数の供給原材料流に分類するステップと、
特定濃度の硫酸カルシウム二水和物を有する原料から製造される前記石膏製品が向上したコンシステンシおよび品質を示すように、前記供給原材料流の少なくとも2つを組み合わせ、前記特定の濃度の硫酸カルシウム二水和物を有する原料を得るステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記原料を分析する前に前記原料を破砕するおよび/または粉砕するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記供給原材料流の少なくとも2つを組み合わせるステップは、前記原料を焼成するステップの上流で行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記原料を分析する前記ステップは、前記原料を焼成するステップの下流であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記1種以上のターゲット化学物質は硫酸カルシウム半水和物、又は硫酸カルシウム無水物を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記元素分析装置は、制御された中性子分析、蛍光X線、レーザ分光法、またはX線回折を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記元素分析装置は、更に、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物、酸可溶性物質、酸不溶性物質、有機物、水、塩、鉄、硫黄、およびそれらの組合せから成る群から選択される前記1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記酸可溶性物質は石灰石を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記酸可溶性物質は砂、頁岩、粘土、シリカフィロシリケート、またはそれらの組合せを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記原料を、澱粉、カリ、ホウ酸、促進剤、発泡材、凝結遅延剤、および分散剤から成る群から選択される1種以上の他の材料と混合するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記原料を分析する前記ステップの下流、かつ前記原料を前記1種以上の他の材料と混合する前記ステップの上流で、前記原料を焼成するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記原料を前記1種以上の他の材料と混合する前記ステップの上流で、前記原料を分類するステップを行うことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、特定の化学組成を有する原料を得るのに有効であることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記石膏製品の向上したコンシステンシおよび品質が、0.732kg/m未満である前記石膏製品の減少した重量のばらつき、±10%未満の硫酸カルシウム二水和物濃度のばらつきにより特徴付けられる向上した含量均一性、またはそれらの組合せを特徴とする、方法。
【請求項15】
石膏製品を製造するためのシステムであって、
即発ガンマ線中性子放射化分析を含み、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するように構成された元素分析装置であって、前記1種以上のターゲット化学物質は硫酸カルシウム二水和物を含む元素分析装置と、
前記原料を、前記元素分析装置を用いて検出および/または測定された前記原料中の硫酸カルシウム二水和物の量に基づいて複数の供給原材料流に分類し、特定の濃度の硫酸カルシウム二水和物を有する原料を得ることで、前記特定の濃度の硫酸カルシウム二水和物を有する原料から製造される前記石膏製品が向上したコンシステンシおよび品質を示すように構成されたプログラマブル制御システムと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記元素分析装置は、制御された中性子分析、蛍光X線、レーザ分光法、またはX線回折を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、前記向上したコンシステンシおよび品質が、0.732kg/m未満である前記石膏製品の減少した重量のばらつき、±10%未満の硫酸カルシウム二水和物濃度のばらつきにより特徴付けられる向上した含量均一性、またはそれらの組合せを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般的に、改良された石膏製品およびその製造方法に関する。さらに詳細には、本願は、石膏製造工程における元素検出の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏ボードが、家屋および商業ビルの両方の建設において広く使用されてきている。典型的な石膏ボードは、フェーシング層として既知の、紙(例えば、多層紙)、ガラス繊維マット、またはボール紙材料の2枚の間に配設されている石膏コアを含む。壁材および屋根材に使用するための石膏ボードの従来の製造は周知であり、一般に、2層のフェーシング材間に湿潤スラリのコア層を形成することを含む。湿潤コアが固まり、乾燥されると、強固で、硬質かつ耐火性の建築材料がもたらされる。
【0003】
石膏製造プロセス、詳細には石膏壁板プロセスにおいて、生産要求および品質要求がますます強まっており、品質管理プロセスのスピードおよび正確さの向上の必要性が生じている。既存の品質管理プロセスは、石膏スラリからの抽出サンプリングに依存している。これらのサンプルは、次いで、さらなる分析のために別個の研究室に移送される。しかし、その結果が受け取られる時までに、生産工程はずっと以前に完了している。歴史的に、技術者らは、基礎とされる供給原料の割合を手作業で制御して、所望の物理的特性を有する製品を生産することにより、これらの欠陥を克服してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0082157号明細書
【特許文献2】国際公開第99/08978号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当該技術において、石膏壁板製造のための改善された方法、詳細には石膏壁板の品質およびコンシステンシ(consistency)を向上させる改善された方法に対する必要性は依然として認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施形態が、複数の石膏製品を製造するための原料を分析する方法を含む。本方法は、元素分析装置を使用して原料を分析するステップと、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するステップと、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化して、原料から製造される複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を向上させるステップとを含むことが、全般的に記載されている。第1の供給原材料流を分析するステップは、オンライン元素分析装置を使用することを含むことが望ましい。
【0007】
また、本願の実施形態が、複数の石膏製品を分析する方法を含む。本方法は、即発ガンマ線中性子放射化分析を含む元素分析装置を使用して、複数の石膏製品を分析するステップと、複数の石膏製品の品質を検出するおよび/または測定するステップと、品質に基づいて複数の石膏製品を分類して、複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を向上させるステップとを含むことが、全般的に記載されている。
【0008】
本願のさらに他の実施形態が、鉱山の現場で、複数の石膏製品を製造するための原料を分析し、分類する方法を含む。本方法は、即発ガンマ線中性子放射化分析を含む元素分析装置を使用して、鉱山の現場で原料を分析するステップと、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するステップと、原料中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて、原料を分類するステップとを含む。
【0009】
本願および結果として得られる特許のこれらのかつ他の特徴ならびに改善は、以下の詳細な説明を図面および添付の特許請求の範囲と併せて検討すれば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】石膏ボード製造工程の概略図である。
図2】実施形態によるプログラマブル制御システムを含む、石膏ボード製造工程の概略図である。
図3】実施形態によるプログラマブル制御システムを含む、石膏ボード製造工程の概略図である。
図4】複数の石膏製品を製造するための原料を分析する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願は、リアルタイムの工程制御を用いて石膏製品を製造するプロセスを提供することにより、前述の必要性に対処する。
【0012】
石膏製品を製造するための原料を分析する方法の実施形態が、元素分析装置を使用して原料を分析するステップと、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するステップと、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化して、原料から製造される複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を向上させるステップとを含むことが、全般的に記載されており、図4に示されている。
【0013】
実施形態では、本方法は、原料中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて原料を分類するステップをさらに含む。
【0014】
実施形態では、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料を適切な割合で複数の他の材料の1種以上と混合して、特定の化学組成を有する原料を作り出すステップを含む。
【0015】
本明細書において用いられている場合、向上したコンシステンシおよび品質が、元素分析を用いずに製造される石膏製品に対して測定されてもよい。実施形態では、向上したコンシステンシおよび品質は、減少した重量のばらつき、向上した含量均一性、またはそれらの組合せを有する複数の石膏製品により特徴付けられる。例えば、複数の石膏製品の重量のばらつきが、約0.732kg/m1000ft当たり約150lbs未満、約0.489kg/m1000ft当たり約100lbs未満、約0.244kg/m1000ft当たり約50lbs未満、または約0.049kg/m1000ft当たり約10lbs未満である場合に、複数の石膏製品が減少した重量のばらつきを有すると特徴付けられ得る。複数の石膏製品におけるターゲット化学物質の濃度のばらつきが、約±10%未満、約±5%未満、約±2%未満、または約±1%未満である場合に、複数の石膏製品が向上した含量均一性を有すると特徴付けられ得る。
【0016】
ここで、いくつかの図を通して同様の数字が同様の要素を指す図面を参照すると、図1は、石膏ボードを製造する工程の全体的な概略図を示す。当該工程は、一般に、鉱山または採石場で石膏岩を抽出するステップ(1)と、岩石を小片に破砕するステップ(2)と、小岩石を粉砕して(粉末石膏と呼ばれる)微細なチョーク様粉末を作り出すステップ(3)と、粉末石膏を加熱して、当該粉末石膏から水分の殆どを除去し、(スタッコと呼ばれる)焼成粉末石膏を作り出すステップ(4)とを含む。スタッコおよび他の省略可能な乾燥成分のいずれかが予混合され、次にミキサに供給される。スラリを形成する際に使用される、水および他の液体構成物質(例えば、スラリ濃度を制御するのに使用されるセッケンまたは泡状物質)がミキサ内に計量供給され、そこでそれらは乾燥成分と混ぜ合わせられて、水性石膏スラリを形成し、当該スラリはミキサの排出管から出てくる(6)。
【0017】
スラリは、連続的で、水平に移動している下フェーシングシート上に堆積される(7)。堆積されるスラリ量は、当該技術において既知の方法で制御することができる。下フェーシングシートはロールから供給される。石膏スラリを受け取る前に、下フェーシングシートの縁部は上方に折り曲げられる。これらの縁部は、次いで、当該技術において既知の方法により石膏スラリのすぐ上方を覆って貼付されるものの重なり合う部分に糊付けされ得る。
【0018】
ボードは、単一連続体の状態で搬送ラインを下って移動し、その間に水分がスタッコを再水和し、スタッコを硬化させる(8)。ラインの終端部で、刃が硬化されたボードを様々な長さに切断し(9)、切断長さは、フェースペーパまたはフェースマットを保護するために、フェース面が上になるように引っ繰り返され(10)、次に、キルン内に供給されて、乾燥工程を完了させることができる。次いで、石膏ボード(11)は、ボードのフェースを保護するように束ねられ、積み重ねられ、顧客へ出荷するための倉庫に移送されてもよい(12)。
【0019】
本明細書において提供されている、石膏製品を製造するための原料を分析する方法の実施形態は、石膏ボード製造での使用に特に効果的ではあるが、本方法はまた、プラスタおよびジョイントコンパウンドを含む他のタイプの石膏製品の製造において使用されてもよいことが当業者には理解されよう。
【0020】
本記載の実施形態が、原料の分析、および原料の組成を最適化するプログラマブル制御システムを実現することにより、前述の工程を改善する。原料を分析する方法は、原料が得られる鉱山の現場でまたは石膏製品の製造中の任意の適切な時点で、実施されてもよい。例えば原料は、ある実施形態では、鉱山の現場、原料を破砕したおよび/または粉砕した後、原料を焼成する前または後、石膏スラリを形成する前または後、あるいは石膏スラリをフェーシングシート上に堆積させる前または後で分析される。
【0021】
複数の石膏製品の製造中に原料を分析する方法の例示的実施形態が図2および図3に示されており、そこでは複数の供給原材料流が設けられており、供給原材料流の少なくとも1つが石膏を含む。原料は、工程の任意の適切な時点で当該材料供給の実際の組成を判定するためにオンラインで分析されてもよい。
【0022】
供給原材料の実際の組成を測定しおよび/または検出し、判定するように構成されてもよい任意の元素分析装置が使用されてもよく、その非限定的例には、即発ガンマ線中性子放射化分析(PGNAA:prompt gamma neutron activation analysis)、制御された中性子分析、蛍光X線、レーザ分光法、またはX線回折が含まれる。ある実施形態では、オンライン分析装置がPGNAA(そのようなシステムは、例えばThermo Scientificから入手可能である)を含む。元素分析装置は、1つ以上のプログラマブルコントローラと連結されている他のセンサ(すなわち、測定デバイス、変換器等)と組み合わせて使用されてもよい。
【0023】
実施形態では、元素分析装置は、1種以上の化学物質および鉱物の量を測定するおよび/または検出するように構成されている。例えば、元素分析装置は、石膏(硫酸カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物、酸可溶性物質、酸不溶性物質、有機物、水、塩(例えば、塩化物塩)、硫黄、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を測定するおよび/または検出するように構成されていてもよい。酸可溶性物質の非限定的例には、石灰石、砂、頁岩、粘土、シリカフィロシリケート(silica phyllosilicates)が含まれる。
【0024】
次いで、プログラマブル制御システムが、原料中の1種以上のターゲット材の量を最適化するのに使用されてもよい。例えば、プログラマブル制御システムは、石膏製品の所望のターゲット組成に基づいて、供給原材料の配分を計算し、制御する(すなわち、ポンプ、バルブ等を使用して)ように、または原料中の1種以上のターゲット化学物質の有無に基づいて、供給原材料を計算し、分類する(すなわち、ゲート、バルブ等を使用して)ように、構成されていてもよい。
【0025】
一実施形態では、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料を1種以上の他の材料と混合して、特定の化学組成を有する改質原料を得るステップを含む。例えば、プログラマブル制御システムは、ミキサ内の原料に添加される複数の他の材料のうちの1種以上の材料の添加分および量を計量供給して、改質原料を作り出すことができる。複数の他の材料の1種以上の非限定的例には、澱粉、カリ、ホウ酸、促進剤、発泡材、凝結遅延剤、分散剤、およびそれらの組合せが含まれる。図2はミキサ内の原料にその他の材料を添加することを示すが、原料および複数の他の材料の1種以上が、元素分析装置の下流の工程における任意の適切な時点で組み合わせられてもよいことが、当業者には理解されよう。例えば、複数の他の材料の1種以上が、原料を焼成する前または後に、原料に添加されてもよい。
【0026】
別の実施形態では、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて原料を分類するステップを含む。例えば、プログラマブル制御システムは、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定し、1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて、一連のゲートを使用して原料を迂回させることができる。鉱山で、または石膏製品を製造する工程中に原料を分類することにより、結果として得られる石膏製品の組成はより良好に制御され得る。例えば、ある実施形態では、原料は、各々が硫酸カルシウム二水和物の各濃度を有する複数の供給原材料流に分類されてもよい。当該供給原材料流は、次いで、所望の割合で組み合わせられて、特定の化学組成を有する原料を得てもよい(すなわち、硫酸カルシウム二水和物濃度の第1の濃度を有する第1の原料と第2の硫酸カルシウム二水和物濃度を有する第2の原料とを組み合わせて、特定の硫酸カルシウム二水和物濃度を有する原料を得ることにより)。
【0027】
さらに別の態様では、複数の分析済み石膏製品が提供される。複数の分析済み石膏製品は、減少した重量のばらつき、向上した含量均一性、またはそれらの組合せを特徴とする向上したコンシステンシを有する。一態様では、複数の分析済み石膏製品は、先に実施形態に記載されている方法を用いて分析された原料を使用して作り出されてもよい。別の態様では、複数の分析済み石膏製品は、元素分析装置(すなわち、即発ガンマ線中性子放射化分析)を使用して複数の石膏製品を分析するステップと、複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を検出するおよび/または測定するステップと、石膏製品のコンシステンシおよび品質に基づいて複数の石膏製品を分類して、複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を向上させるステップとを含む方法により分析されてもよい。先に検討されている通り、複数の石膏製品の向上したコンシステンシおよび品質は、向上した含量均一性および減少した重量のばらつきを有することを特徴とすることが望ましい。
【0028】
特許請求の範囲に記載されている方法の実施形態が、リアルタイムの工程制御能力を提供すること、石膏スラリからのサンプルを分析するのに現在必要とされる時間を大幅に短縮させること、ならびに製品の品質およびコンシステンシを向上させることにより、既存の石膏製造工程を改善する。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
石膏製品の製造のための原料を分析する方法の例示的実施形態が図2に示されている。石膏を含む原料が供給され、元素分析を受ける前に焼成される。元素分析装置は、焼成原料中の1種以上のターゲット化学物質、例えば硫酸カルシウム二水和物、の濃度を検出し、測定するように構成されている。元素分析装置と通信しているプログラマブル制御システムが、焼成原料の所望の組成を得るのに必要な他の原料の量を計算し、その計量供給を制御するように構成されている。例えば、プログラマブル制御システムは、焼成原料中の硫酸カルシウム二水和物の濃度が低過ぎることを判定し、焼成原料に添加されなければならない硫酸カルシウム二水和物の量を計算し、制御バルブと通信して、ミキサ内の焼成原料への精製硫酸カルシウム二水和物の添加分を計量供給し、石膏ボードの製造に使用される前に所望の化学組成を有する改質焼成原料を得てもよい。
【0030】
(実施例2)
石膏製品の製造のための原料を分析する方法の別の例示的実施形態が図3に示されている。石膏を含む原料が供給され、それが焼成される前に元素分析を受ける。元素分析装置は、原料中の1種以上のターゲット化学物質、例えば硫酸カルシウム二水和物、の濃度を検出し、測定するように構成されている。原料は、焼成される前にその組成に基づいて必要に応じて分類されてもよい。
【0031】
図2に示されている実施形態と同様に、元素分析装置と通信しているプログラマブル制御システムが、原料の所望の組成を得るのに必要な他の原料の量を計算し、その計量供給を制御するように構成されている。例えば、プログラマブル制御システムは、原料中の硫酸カルシウム二水和物の濃度が低過ぎることを判定し、原料に添加されなければならない硫酸カルシウム二水和物の量を計算し、制御バルブと通信して、ミキサ内の原料への精製硫酸カルシウム二水和物の添加分を計量供給し、石膏ボードの製造に使用される前に所望の化学組成を有する改質原料を得てもよい。図3に示されている通り、原料は、その元素分析後、かつミキサ内での他の原料を用いたその改質前に、焼成されてもよい。
【0032】
前述のことは、本願およびその結果として得られる特許のある実施形態にのみ関することが明らかであるべきである。添付の特許請求の範囲およびその均等物により定められる本発明の一般的な精神および範囲から逸脱することなく、当業者により、本明細書において多数の変更および変形が施されてもよい。
【0033】
本開示の実施形態は、以下の段落のいずれかの1つ以上にさらに関する。
1.複数の石膏製品を製造するための原料を分析する方法であって、
即発ガンマ線中性子放射化分析を含む元素分析装置を使用して、原料を分析するステップと、
原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するステップと、
原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化して、原料から製造される複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を向上させるステップと
を含む、方法。
2.段落1に記載の方法であって、原料を分析する前に原料を破砕するおよび/または粉砕するステップをさらに含む、方法。
3.段落1に記載の方法であって、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料を焼成するステップの上流である、方法。
4.段落1に記載の方法であって、原料を分析するステップは、原料を焼成するステップの下流である、方法。
5.段落1に記載の方法であって、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて原料を分類するステップを含む、方法。
6.段落5に記載の方法であって、1種以上のターゲット化学物質は硫酸カルシウム二水和物を含む、方法。
7.段落5に記載の方法であって、1種以上のターゲット化学物質は硫酸カルシウム半水和物を含む、方法。
8.段落5に記載の方法であって、1種以上のターゲット化学物質は硫酸カルシウム無水物を含む、方法。
9.段落1に記載の方法であって、元素分析装置は、即発ガンマ線中性子放射化分析、制御された中性子分析、蛍光X線、レーザ分光法、またはX線回折を含む、方法。
10.段落1に記載の方法であって、元素分析装置は即発ガンマ線中性子放射化分析を含む、方法。
11.段落1に記載の方法であって、元素分析装置は、石膏(硫酸カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物、酸可溶性物質、酸不溶性物質、有機物、水、塩、鉄、硫黄、およびそれらの組合せから成る群から選択される1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するように構成されている、方法。
12.段落11に記載の方法であって、酸可溶性物質は石灰石を含む、方法。
13.段落11に記載の方法であって、酸不可溶性物は砂、頁岩、粘土、シリカフィロシリケート、またはそれらの組合せを含む、方法。
14.段落11に記載の方法であって、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料を澱粉、カリ、ホウ酸、促進剤、発泡材、凝結遅延剤、および分散剤から成る群から選択される1種以上の他の材料と混合するステップを含む、方法。
15.段落14に記載の方法であって、原料を分析するステップの下流、かつ原料を1種以上の他の材料と混合するステップ上流で、原料を焼成するステップをさらに含む、方法。
16.段落14に記載の方法であって、原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するステップは、原料を分析するステップの下流、かつ原料を1種以上の他の材料と混合するステップの上流で、原料中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて原料を分類するステップをさらに含む、方法。
17.段落16に記載の方法であって、1種以上のターゲット化学物質が、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物、塩化物塩、硫黄、鉄、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、およびそれらの組合せから成る群から選択される、方法。
18.段落1に記載の方法であって、石膏製品の元素の化学的性質のばらつきを減少させるのに有効である、方法。
19.段落1に記載の方法により調製された数の石膏製品。
20.減少した重量のばらつき、向上した含量均一性、またはそれらの組合せを特徴とする向上したコンシステンシおよび品質を有する複数の分析済み石膏製品。
21.段落20に記載の複数の石膏製品であって、減少した重量のばらつきは1000ft当たり約150lbs未満の重量のばらつきを含む、複数の石膏製品。
22.段落20に記載の複数の石膏製品であって、減少した重量のばらつきは1000ft当たり約100lbs未満の重量のばらつきを含む、複数の石膏製品。
23.段落20に記載の複数の石膏製品であって、減少した重量のばらつきは1000ft当たり約50lbs未満の重量のばらつきを含む、複数の石膏製品。
24.段落20に記載の複数の石膏製品であって、減少した重量のばらつきは1000ft当たり約10lbs未満の重量のばらつきを含む、複数の石膏製品。
25.段落20に記載の複数の石膏製品であって、向上した含量均一性は、約±10%未満の硫酸カルシウム二水和物濃度のばらつきを特徴とする、複数の石膏製品。
26.段落20に記載の複数の石膏製品であって、向上した含量均一性は、約±5%未満の硫酸カルシウム二水和物濃度のばらつきを特徴とする、複数の石膏製品。
27.段落20に記載の複数の石膏製品であって、向上した含量均一性は、約±2%未満の硫酸カルシウム二水和物濃度のばらつきを特徴とする、複数の石膏製品。
28.段落20に記載の複数の石膏製品であって、向上した含量均一性は、約±1%未満の硫酸カルシウム二水和物濃度のばらつきを特徴とする、複数の石膏製品。
29.段落20に記載の複数の石膏製品であって、石膏製品は、石膏ボード、プラスタ、またはジョイントコンパウンドから成る群から選択される、複数の石膏製品。
30.複数の石膏製品を分析する方法であって、
即発ガンマ線中性子放射化分析を含む元素分析装置を使用して、複数の石膏製品を分析するステップと、
複数の石膏製品中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量を検出するおよび/または測定するステップと、
1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて複数の石膏製品を分類して、複数の石膏製品のコンシステンシおよび品質を向上させるステップと
を含む、方法。
31.鉱山の現場で、複数の石膏製品を製造するための原料を分析する方法であって、
即発ガンマ線中性子放射化分析を含む元素分析装置を使用して、鉱山の現場で原料を分析するステップと、
原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するステップと、
原料中の1種以上のターゲット化学物質の存在および/または量に基づいて原料を分類するステップと
を含む、方法。
32.複数の石膏製品を製造するための原料を分析するシステムであって、
原料中の1種以上のターゲット化学物質の量を検出するおよび/または測定するように構成された元素分析装置と、
供給原材料中の1種以上のターゲット化学物質の量を最適化するように構成されたプログラマブル制御システムと
を含む、システム。
33.段落32に記載のシステムであって、元素分析装置は、即発ガンマ線中性子放射化分析、制御された中性子分析、蛍光X線、レーザ分光法、またはX線回折を含む、システム。
34.本明細書において提供されている実施形態のいずれか1つによる方法。
35.本明細書において提供されている実施形態のいずれか1つによるシステム。
図1
図2
図3
図4