特許第6117376号(P6117376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117376
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】携帯型レベルセンサ
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20170410BHJP
   A61F 5/451 20060101ALI20170410BHJP
   G01F 23/22 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   A61F5/445
   A61F5/451 Z
   G01F23/22 Z
【請求項の数】25
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-548763(P2015-548763)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2016-509491(P2016-509491A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】GB2013053380
(87)【国際公開番号】WO2014102537
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】1223353.2
(32)【優先日】2012年12月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515169197
【氏名又は名称】セレス ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】セレス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンソン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】トウザー,ナイジェル
(72)【発明者】
【氏名】バーロウ,スティーブン
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/054045(WO,A1)
【文献】 特表2003−507720(JP,A)
【文献】 特開平09−290001(JP,A)
【文献】 特開2011−078791(JP,A)
【文献】 特開2011−147505(JP,A)
【文献】 特表2004−532713(JP,A)
【文献】 特表平04−504900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/445
A61F 5/451
G01F 23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体及び/又は固体を回収する可撓性袋体の内容物レベルを感知するシステムであって、
前記可撓性袋体はストーマ袋又は採尿袋であり、
可撓性に応じて変化する電気抵抗を有する可撓性抵抗素子と、前記抵抗素子を前記可撓性袋体の外面に装着する手段と、前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信する手段と、前記可撓性袋体の方向に対応するデジタル信号を生成するように、且つ前記可撓性袋体の方向に応じて変化する信号を前記受信器に送信するようにプログラミング及び配置された加速度計と、有する携帯型レベルセンサと、
前記加速度計により送信された前記信号を受信するように構成された前記受信器と、
を備え、
前記受信器は、前記可撓性袋体が直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際に、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルを算出する手段と、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルを前記ユーザに通信する手段と、を有する
ことを特徴とするシステム
【請求項2】
前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を前記受信器に送信する前記手段は、
(a)無線信号を前記受信器に送信する通信モジュールと、
(b)前記抵抗素子の前記電気抵抗に対応するデジタル信号を生成するように、且つ前記受信器への無線伝送のために前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信するようにプログラミング及び配置されたマイクロプロセッサと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム
【請求項3】
前記通信モジュールは、アクティブモードとアイドルモードとで切り替え可能であり、前記アイドルモードにおける前記通信モジュールの消費電力は、前記アクティブモードの場合よりも低く、前記マイクロプロセッサは、前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信することにより、前記通信モジュールを前記アイドルモードと前記アクティブモードとの間で切り替えるようにプログラミングされることを特徴とする請求項2に記載のシステム
【請求項4】
前記受信器は、前記通信モジュールにより送信された前記信号を受信するように、且つ可撓性袋体の内容物レベルをユーザに通信するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信器は、該受信器と前記通信モジュールとの間に無線リンクが存在することをユーザに通知する手段を含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記受信器は、前記袋体の内容物レベルの視覚表示をユーザに提示する表示装置を含むことを特徴とする請求項又はに記載のシステム。
【請求項7】
前記受信器は、前記袋体の内容物レベルが所定閾値を超える際に前記ユーザに警告する一のアラームを含むことを特徴とする請求項ないしのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記受信器は、前記袋体の内容物レベルが複数の所定閾値の各々を超える際に前記ユーザに警告する複数のアラームを含むことを特徴とする請求項ないしのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記受信器は、前記通信モジュールから受信した前記信号が、前記袋体の内容物レベルの低下を示す際に前記ユーザに警告する手段を含むことを特徴とする請求項ないしのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記受信器は、前記袋体の内容物レベルの低下を示す前記信号が、前記可撓性袋体への前記抵抗素子の装着における機械的故障に係るものか、前記可撓性袋体の動きに係るものかを判断する手段を更に含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記可撓性袋体がストーマ袋である際に、前記受信器は、座位又はうつ伏せ姿勢をとっている前記ストーマ袋ユーザに係る信号のパターンを検出する手段を含むことを特徴とする請求項ないし10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
可撓性袋体の内容物レベルを感知する方法であって、
(a)前記可撓性袋体の外面に装着された可撓性に応じて変化する電気抵抗を有する可撓性抵抗素子を、前記可撓性袋体の充填時に前記抵抗素子が曲がるように設ける工程と、
(b)前記可撓性袋体の方向に対応するデジタル信号を生成するようにプログラミング及び配置された加速度計を設ける工程と、
)前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信する工程と、
(d)前記可撓性袋体の方向に応じて変化する前記加速度計からの信号を前記受信器に送信する工程と、
(e)前記受信器への前記送信された信号を受信する工程と、
(f)前記可撓性袋体が直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際に、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルを算出する工程と、
を備え、
前記可撓性袋体はストーマ袋又は採尿袋である
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記工程()の前記定期的なポーリングは、
(a)無線信号を前記受信器に送信する通信モジュールと、
(b)前記抵抗素子の前記電気抵抗に対応するデジタル信号を生成するように、且つ前記受信器への無線伝送のために前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信するようにプログラミング及び配置されたマイクロプロセッサと、
を備える手段により実施されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロプロセッサからの前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信することにより、該通信モジュールをアイドルモードからアクティブモードに切り替える工程を更に備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
記可撓性袋体の内容物レベルをユーザに通信する工程を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記受信器と前記通信モジュールとの間に無線リンクが存在することをユーザに通知する工程を更に備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
前記袋体の内容物レベルの視覚表示を前記ユーザに提示する工程を更に備えることを特徴とする請求項12ないし16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記袋体の内容物レベルが所定閾値を超える際に前記ユーザに警告する工程を更に備えることを特徴とする請求項12ないし17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記通信モジュールから受信した前記信号が、前記袋体の内容物レベルの低下を示す際に前記ユーザに警告する工程を更に備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項20】
前記可撓性袋体の内容物レベルの低下を示す前記信号が、前記可撓性袋体への前記抵抗素子の装着における機械的故障に係るものか、前記可撓性袋体の動きに係るものかを判断する工程を更に備えることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記可撓性袋体がストーマ袋である際に、前記方法は、座位又はうつ伏せ姿勢をとっている前記ストーマ袋ユーザに係る信号のパターンを検出する工程を更に備えることを特徴とする請求項12ないし20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
複数の可撓性袋体の内容物レベルを同時に感知するシステムであって、
複数の請求項2に記載のシステムを備え、
各前記受信器は、前記携帯型レベルセンサ各々の前記通信モジュールにより送信された前記信号を受信するように、且つ前記可撓性袋体各々の内容物レベルを監視ステーションに通信するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
複数の可撓性袋体の内容物レベルを同時に感知する方法であって、
(a)複数の請求項1に記載のシステム各々において前記携帯型レベルセンサを、前記可撓性袋体の外面に、前記可撓性袋体の充填時に前記抵抗素子が曲がるように装着する工程と、
(b)各前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、各前記抵抗素子の前記電気抵抗に応じて変化する前記電気抵抗に対応する別個の信号を前記受信器に送信する工程と、
(c)各前記加速度計からの各前記可撓性袋体の方向に応じて変化する別個の信号を前記受信器に送信する工程と、
(d)前記受信器への前記送信された信号を受信する工程と、
(e)前記可撓性袋体が直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際に、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルを算出する工程と、
)前記可撓性袋体の内容物レベルを監視ステーションに通信する工程と、
を備える方法。
【請求項24】
流体及び/又は固体を回収する可撓性袋体の内容物レベルを感知するシステムであって、
可撓性に応じて変化する電気抵抗を有する可撓性抵抗素子と、前記抵抗素子を前記可撓性袋体の外面に装着する手段と、前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信する手段と、前記可撓性袋体の方向に対応するデジタル信号を生成するように、且つ前記可撓性袋体の方向に応じて変化する信号を前記受信器に送信するようにプログラミング及び配置された加速度計とを有する携帯型レベルセンサと、
前記加速度計により送信された前記信号を受信するように構成された前記受信器と、
を備え、
前記受信器は、前記可撓性袋体が前記直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際に、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルを算出する手段と、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルをユーザに通信する手段とを有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
可撓性袋体の内容物レベルを感知する方法であって、
(a)前記可撓性袋体の外面に装着された曲げ度合に応じて変化する電気抵抗を有する可撓性抵抗素子を、前記可撓性袋体の充填時に前記抵抗素子が曲がるように設ける工程と、
(b)前記可撓性袋体の方向に対応するデジタル信号を生成するようにプログラミング及び配置された加速度計を設ける工程と、
(c)前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信する工程と、
(d)前記可撓性袋体の方向に応じて変化する前記加速度計からの信号を前記受信器に送信する工程と、
(e)前記受信器へ送信された前記信号を受信する工程と、
(f)前記可撓性袋体が直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際に、前記可撓性袋体の実際の内容物レベルを算出する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体及び/又は固体を回収する可撓性袋体用の携帯型レベルセンサに関し、特に、ストーマ袋又は採尿袋用の携帯型レベルセンサに関する。
【0002】
また本発明は、前記携帯型レベルセンサを備える可撓性袋体の内容物レベルを感知するシステム、及び可撓性袋体の内容物レベルを感知する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ストーマとは、腹部に設けた人工開口部であり、これにより、体腔の一部と外部環境とがつながれる。着脱可能な袋体を腹壁の外部に固着させて、ストーマを介して体内からの排泄物を回収する。ストーマは主に三種類ある。第1に、イレオストミー(ileostomy)、即ち、糞便が大腸を介さずに体外へ排出できるような、小腸からの開口部である。第2に、コロストミー(colostomy)、即ち、糞便が肛門を介さずに体外に排出できるような、大腸からの開口部である。第3に、ウロストミー(urostomy)、即ち、尿が膀胱を介さずに体外へ排出できるような、尿管からの開口部である。ここで用いられる文言「ストーマ袋」とは、回腸、結腸、又は尿路からの排泄物を回収するために用いられる可撓性袋体であれば、いずれの可撓性袋体を含むものである。
【0004】
多数のストーマ(又はストミー)袋ユーザが経験する問題は、袋体の充填度合を知る手段がないことであり、結果として、いつ空に又は交換する必要があるかを知る手段がないことである。ユーザが、適宜に袋体を監視して空にしなければ、袋体は満杯になり、破裂し、又はユーザから袋体自体が外れてしまう可能性がある。
【0005】
可撓性袋体の充填を感知する監視装置が知られている。
【0006】
US−A−5,260,692には、例えば、弾性伸縮度合に応じて変化する電気抵抗を有する電気抵抗素子を備えるセンサの使用が記載されている。抵抗素子は、手で伸ばされてストーマ袋の外面に実装される。放されると、抵抗素子は、収縮してストーマ袋の壁部に折り目を形成する。袋体が充填されるにつれ、折り目は、抵抗素子の弾性伸縮の下で伸びる。所定の抵抗値では警報が発せられ、袋体がほぼ満杯であることがユーザに警告される。
【0007】
US−A−6,696,964には、曲げ度合に応じて変化する電気抵抗を有する電気抵抗素子を備えるセンサの使用が記載されている。抵抗素子は、袋体が充填されるにつれて壁部の膨れが抵抗素子を中央へ曲げていくように、可撓性袋体に装着されたポケットに挿入される。所定の抵抗値では警報が発せられ、袋体の交換時間がユーザに通知される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、US5,260,692及びUS6,696,964に記載された感知装置の問題は、単一の警報レベルが設けられていることである。従って、交換されている袋体(即ち、空の袋体)と警報鳴動(即ち、ほぼ満杯の袋体)との間で、ストーマ袋ユーザは、袋体がどれくらい満杯であるかが分からない。同様の問題が、採尿袋を備えられ、カテーテル挿入された患者においても生じる。
【0009】
従って、可撓性袋体、特にストーマ袋や採尿袋の充填を感知するために改良された装置が提供される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、本発明は、流体及び/又は固体を回収する可撓性袋体用の携帯型レベルセンサであって、可撓性に応じて変化する電気抵抗を有する可撓性抵抗素子と、前記抵抗素子を前記可撓性袋体の外面に装着する手段と、前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信する手段と、を備えることを特徴とする携帯型レベルセンサを提供する。
【0011】
有利なことには、前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信することができる携帯型レベルセンサを提供することにより、本発明に係る簡易な装置は、可撓性袋体の充填の進行を検出し、その充填レベルを定期的に報告することができる。
【0012】
前記可撓性袋体は、ストーマ袋又は採尿袋である。
【0013】
可撓性抵抗素子は、10キロオームのフラット抵抗及び60キロから110キロオームの耐屈曲性範囲を有する、スペクトラシンボル(Spectra Symbol)社からの所謂「フレックスセンサ(Flex Sensor)」等の市販の抵抗器であってよい。電気抵抗と可撓性度合との間の関係が、可撓性抵抗素子の寿命の何倍も一貫したままであることが重要である。
【0014】
可撓性抵抗素子は、可撓性袋体の全長を実質的に越えて伸びてよく、可撓性袋体の外面に一又は複数のクリップで固定されてよい。好ましくは、可撓性抵抗素子を可撓性袋体の表面に留めるために、可撓性袋体の各端部に一のクリップが設けられる。
【0015】
可撓性袋体の外面に対する抵抗素子の動きを防ぐために、クリップは、袋体及び又は抵抗素子の外面に係合するように構成された、複数の内向きの歯部を含んでよい。
【0016】
前記抵抗素子の前記電気抵抗を定期的にポーリングし、前記電気抵抗に応じて変化する信号を受信器に送信するために、携帯型レベルセンサは、無線信号を受信器に送信する通信モジュールと、前記抵抗素子の前記電気抵抗に対応するデジタル信号を生成するように、且つ前記受信器への無線伝送のために前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信するようにプログラミング及び配置されたマイクロプロセッサと、を備える。
【0017】
通信モジュールは、好ましくはブルートゥース(Bluetooth(登録商標))センサモジュールである。ブルートゥースセンサモジュールは、標準ブルートゥースモジュール及び/又はブルートゥース低エネルギー(BLE)モジュールを備えてよい。「標準ブルートゥースモジュール」という文言は、ここでは、ブルートゥースバージョン2.0+EDR(拡張型データレート)モジュール等のブルートゥースモジュールを称するために用いられるが、これに限らない。一方、「ブルートゥース低エネルギーモジュール」という文言は、ここでは、ブルートゥースバージョン4.0(ブルートゥーススマート)等のブルートゥースモジュールを称するために用いられるが、これに限らない。
【0018】
マイクロプロセッサは、好ましくは、アナログ−デジタル変換器(ADC)を介して可撓性抵抗素子の値を読むように配置された周辺インターフェース制御器(PIC)である。
【0019】
マイクロプロセッサ及び通信モジュールは、可撓性袋体上で運搬可能であり且つ3Vリチウムコイン電池等の小型バッテリにより動力供給される小型装置に組み込まれてよい。好ましくは、小型装置は、クリップ内に収容される。
【0020】
携帯型レベルセンサの寿命を保つために、前記通信モジュールは、アクティブモードとアイドルモードとで切り替え可能であってよく、前記アイドルモードにおける前記通信モジュールの消費電力は、前記アクティブモードの場合よりも低く、前記マイクロプロセッサは、好ましくは、前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信することにより、前記通信モジュールを前記アイドルモードと前記アクティブモードとの間で切り替えるようにプログラミングされる。
【0021】
好ましくは、マイクロプロセッサは、通信モジュールをアクティブモードからアイドルモードに切り替え戻すように、更にプログラミングされる。
【0022】
マイクロプロセッサは、バッテリ電圧に対応する第2のデジタル信号を生成するように、且つ受信器への無線伝送のために前記第2のデジタル信号を通信モジュールに通信するようにするようにプログラミング及び配置されてよい。
【0023】
可撓性袋体の方向を決定し、該方向に応じて変化する信号を受信器に送信するために、携帯型レベルセンサは、好ましくは、加速度計を備える。加速度計は、前記可撓性袋体の方向に対応するデジタル信号を生成するように、且つ受信器への無線伝送のために前記デジタル信号を前記通信モジュールに通信するようにプログラミング及び配置されてよい。加速度計は、通信モジュール内に含まれてよい。
【0024】
第2では、本発明は、前述の携帯型レベルセンサと、前記通信モジュールにより送信された前記信号を受信するように、且つ可撓性袋体の内容物レベルをユーザに通信するように構成された無線受信器と、を備える前記可撓性袋体の内容物レベルを感知するシステムを提供する。
【0025】
無線受信器は、好ましくは、例えばノート型コンピュータ、携帯電話、又はタブレットコンピュータ等の個人向け電子機器である。
【0026】
好ましくは、前記受信器は、該受信器と前記通信モジュールとの間に無線リンクが存在することをユーザに通知する手段を含む。また好ましくは、前記受信器は、前記袋体の内容物レベルの視覚表示をユーザに提示する表示装置を含む。これは、例えばパーセンテージ値又はスケールバーの充填の形態であってよい。
【0027】
受信器は、ユーザにより選択される時限にわたって、可撓性袋体により回収される流体及び/又は固体の全量を、ユーザに通信するようにプログラミング及び配置されてよい。加えて、受信機は、特定の期間にわたって、可撓性袋体により回収される流体及び/又は固体の全量を、ユーザの医師等の第3者に通信するようにプログラミングされてよい。
【0028】
携帯型レベルセンサが加速度計を備える際に、受信器は、可撓性袋体の方向を説明するように調整された可撓性袋体により回収される流体及び/又は固体の全量の補正値をユーザに通信するようにプログラミング及び配置されてよい。これは、例えば、直立姿勢からのずれの度合を検出するように直立姿勢に対して加速度計を較正することにより、且つ、袋体が直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際に抵抗素子の電気抵抗の値を可撓性袋体の実際の内容物レベルに関連づけることにより行われる。
【0029】
前記袋体の内容物レベルが所定閾値を超える際に前記ユーザに警告するために、受信器は、好ましくは、一のアラームを含む。有利なことには、アラームを作動させるために、複数の閾値レベルがユーザにより選択されてよい。
【0030】
アラームは、振動型、可視型及び/又は可聴型アラームであってよく、ユーザにより選択されてよい。
【0031】
前記可撓性袋体への前記抵抗素子の装着における機械的故障の可能性又は袋体の漏れの可能性をユーザに警告するために、アラームは、好ましくは、前記通信モジュールから受信した前記信号が、前記袋体の内容物レベルの低下を示す際に作動される。
【0032】
好ましくは、前記受信器は、前記袋体の内容物レベルの低下を示す前記信号が、前記可撓性袋体への前記抵抗素子の装着における機械的故障に係るものか、前記袋体の動きに係るものかを判断する手段を更に含む。
【0033】
前記可撓性袋体がストーマ袋である際に、前記受信器は、座位又はうつ伏せ姿勢をとっている前記ストーマ袋ユーザに係る信号のパターンを検出する手段を含んでもよい。
【0034】
第3の態様では、本発明は、前述の携帯型レベルセンサを用いて、可撓性袋体の内容物レベルを感知する方法を提供する。
【0035】
本発明の好適な実施例を、添付の図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る携帯型レベルセンサを実装した可撓性袋体の透視図である。
図2】可撓性袋体の外面に抵抗素子を装着する手段の拡大図である。
図3】可撓性袋体の外面に抵抗素子を装着する他の手段の透視図である。
図4】携帯型レベルセンサの部品が互いにどのように作用しあうかを示す模式図である。
図5】可撓性袋体の内容物レベルを表示する典型的なアンドロイドアプリケーションのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1から3に示す実施例は、可撓性袋体11の全長を実質的に越えて伸び、且つクリップ12及び13により可撓性袋体11に装着される可撓性抵抗素子10を含む。
【0038】
抵抗素子10は、可撓性度合に応じて変化する電気抵抗を有するアクティブ部と、曲げられた後の素子の「スプリングバック」を容易にする弾性ケーシングと、二本の導線とを含む。これらの導線は、アクティブ部が導線間で直列に接続されるように、アクティブ部に接続される。これらの導線は、各導線の自由端が弾性ケーシングの同じ端部から伸びて、クリップ12内で終端するように配置される。
【0039】
クリップ12及び13は、上部22及び23と、クランプ部32及び33とを有する。上部22及び23は、ヒンジ装置15によりクランプ部32及び33に接続される。これにより、可撓性袋体が充填されるにつれて上部22及び23が立ち上がることができる。複数の内向きの歯部14は、袋体11及び/又は抵抗素子10の外面を把持するように、クリップ12及び13の内面に形成される。
【0040】
電子機能の模式図を図4に示す。可撓性抵抗素子10は、抵抗素子10の電気抵抗を定期的にポーリングし、機載アナログ−デジタル変換器(ADC)によりデジタル信号に変換するマイクロプロセッサ17に接続される。電気抵抗に対応するデジタル信号は、ブルートゥースを介して信号を受信器に送信するようにプログラミングされたブルートゥースモジュール18に、定期的に(例えば、1、2又は5分毎に)出力される。
【0041】
図4に示すように、マイクロプロセッサ17及びブルートゥースモジュール18は、スイッチングレギュレータ20を介して小型バッテリ19により動力供給される。マイクロプロセッサ17及びブルートゥースモジュール18の両方は、従来の方法によるプログラミングを容易にするように、デバッグコネクタ21に接続される。マイクロプロセッサ17は、ボタン16によりスイッチのオン又はオフが切り替えられる。
【0042】
マイクロプロセッサ17、ブルートゥースモジュール18、バッテリ19、スイッチングレギュレータ20及びデバッグコネクタ21は、全てクリップ12内に収容される。
【0043】
使用時には、可撓性抵抗素子10は、クリップ12及び13により可撓性袋体11に固定され、可撓性袋体11は、通常の方法でストーマに装着される。抵抗素子10の二本の導線は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を介して可撓性抵抗素子10の値を読むマイクロプロセッサ17に(図示されないコネクタにより)接続される。その後、マイクロプロセッサ17は、抵抗素子10の電気抵抗に対応するデジタル信号を生成し、この信号をブルートゥースモジュール18に送信する。
【0044】
使用時には、ブルートゥースモジュール18は、アンドロイドアプリケーション等のアプリケーションを実行する携帯電話等の受信器とペアにされる。
【0045】
典型的なアンドロイドアプリケーションのスクリーンショットを図5に示す。このスクリーンは、標準アンドロイドの「ホーム」及び「バック」ボタン25と、アプリケーションを介してナビゲートする「ステータス(STATUS)」、「アラーム(ALARMS)」及び「デバイス(DEVICES)」とラベルされた三のタブ26とを示している。
【0046】
「ステータス」表示(図5に図示)は、携帯電話の現在の接続状態27をユーザに通知し、且つ袋体28の現在の内容物レベルの視覚表示(本実施形態では充満度のパーセンテージとして示される)をユーザに提供するように設定される。この「ステータス」表示により、ユーザが座位又はうつ伏せ姿勢をとろうとする際に、ユーザは、アプリケーションを「スリープモード(Sleep Mode)」29に切り替えることができる。
【0047】
「スリープモード」では、アプリケーションは、(ユーザが横たわっている際に、抵抗素子10の電気抵抗の値を袋体11の実際の内容物レベルに関連づける)格納された参照データ一式を用いて、ブルートゥースモジュールから受信した信号を解釈し、それに応じて袋体11の「見かけの」内容物レベルを調整する。これにより、本発明の携帯型レベルセンサは、ユーザが、(立位と比較して)座位又はうつ伏せ姿勢をとる際にも、可撓性袋体11の充填の進行を正確に検出できる。
【0048】
アプリケーションは、袋体の内容物レベルが所定閾値を超える際にユーザに警告するために、一又は複数のアラームをユーザが設定できるようなユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースにより、ユーザは、例えばメロディー、音量、又は持続時間を含むアラームの設定も編集でき、またアラームの除去又はキャンセルも可能である。
【0049】
(存在する場合には)携帯電話とペアにされる現在のブルートゥースモジュールをユーザに示すとともに、アプリケーションにより、ユーザは、その他のモジュールをスキャンしてそれらを携帯電話とペアにすることもできる。このアプリケーションにより、ユーザは、携帯電話をペアにされたブルートゥースモジュールからペア解除することもできる。
【0050】
アプリケーションは、出力グラフを作成でき、ユーザにより選択される期間にわたって袋体により回収される流体及び/又は固体の量をプロットできる。加えて、アプリケーションは、患者番号や医師のeメールアドレス等のユーザの詳細を格納でき、これらの出力グラフをユーザの医師に送信するようにプログラミングできる。
【0051】
好適な実施例では、通信モジュールは、加速度計を備えており、アプリケーションのユーザインターフェースは、ユーザが、袋体の直立姿勢に対して加速度計を較正でき、これにより直立姿勢からのずれの度合に対応する値を生成するように構成される。加速度計は、例えば、ユーザが直立している、横たわっている、また横倒しである場合を含む、多数の方向で較正できる。
【0052】
袋体11の方向に対応するデジタル信号の受信時には、アプリケーションは、(袋体11がそのように方向づけられる際に、抵抗素子10の電気抵抗の値を袋体11の実際の内容物レベルに関連づける)格納された参照データ一式を用いて、信号を解釈し、それに応じて袋体11の「見かけの」内容物レベルを調整する。例えば、加速度計が、袋体11が20%直立で80%横たわる(即ち、ユーザが横になっている)ように方向付けられていることを示す場合には、アプリケーションは、ユーザが(i)直立している、また(ii)横たわっている際に抵抗素子10の電気抵抗の値を袋体11の実際の内容物レベルに関連づけることにより、且つ値(i)の20%と値(ii)の80%を合算することにより、袋体11の実際の内容物レベルを算出する。これにより、本発明の携帯型レベルセンサは、袋体が直立姿勢から一度以上ずれて方向づけられている際にも、可撓性袋体11の充填の進行を正確に検出できる。
図1
図2
図3
図4
図5