(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、会員制紹介販売組織における適正で合理的な報酬プランを設定するための報酬予測計算装置、予測サーバー、予測プログラム及び予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、
会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率を予測する報酬予測計算装置であって、
前記報酬額の計算のための変動条件の入力を受ける条件入力手段と、
前記配当率が収束する報酬決定ルールと前記予測に係る配当率の定量評価をする評価ルールと該定量評価の結果に応じて前記変動条件の変更をする変更ルールと前記入力及び変更に係る変動条件とを記憶する記憶手段と、
前記入力又は変更に係る変動条件に応じて、前記報酬決定ルールと前記評価ルールに基づき、前記報酬額と配当率の予測を行い、該予測に係る配当率の定量評価を行う予測評価を実行する制御手段と、
前記入力に係る変動条件を初期値として前記変更ルールに従って変動条件を変更し、前記制御手段の予測評価を繰り返し実行させる繰り返し手段と、
前記予測評価に係る配当率を含む表示と該表示に係る決定命令の入力手段の提供とを実行する決定支援手段と、
前記決定命令が入力されると、該決定命令に係る配当率と前記表示に係る変動条件とを決定データとして出力する出力手段と、を有し、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数と、所与の最高限度額と、所与の報酬基数とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額を算出し、
前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を計算するように構成されている。
【0013】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率は必ず収束するので、変動条件(パラメータ)を動かした場合に、これに対応する収束した配当率が求められるので、報酬プランの定量的評価をすることが可能になる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化(量子化)して評価を加え、暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をそのまま用いるのではなく、任意の階段状(ステップ状)に丸めた値に切り下げることができるようになるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、単に最高限度額による制限を導入するのみならず、報酬基数を変化させることによって、報酬額を決定するために統括会社の支払のハードルの上げ下げの調整をきめ細かくおこなうことができる。加えて、報酬を受ける会員にとっても報酬額と連動することが期待される商品購入合計個数をベースにして調整しているので、受け入れやすい。
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
ここで、配当率は、会員制紹介販売流通組織が受ける当該商品に関する販売額などの配当原資と報酬額の比率をいう(本明細書において、同じ)。この配当原資は、商品そのものの販売額のみならず、会員の入会金のような組織にとって配当原資となる収入を含むものである。また、販売額の全額のみならず、必要な控除をおこなった一部であってもよい。
【0014】
また、前記暫定報酬額は、深さnの階層を有する二分木データ構造の第i階層に属する会員の報酬額について、前記最高限度額をM円、
基本報酬額をh円、報酬基数をg個、各会員の商品購入個数を1個、前記商品購入合計個数をS(i)個、その暫定報酬額をP(i)円、とし、INT{ }は、{ }内の数の整数値をとる演算子、*は積算演算記号とした場合に、
P(i)=h*INT{S(i)/g}
であって、
決定される報酬額は、
M≦P(i)かつk+i=n+1
を充たす、kの最小値となる第n層から数えてm番目である階層により場合分けし、
[場合1]:
i≦n−m+1の階層の会員については、報酬額を最高限度額であるM円とし、
[場合2]:
i>n−m+1の階層の会員については、報酬額を暫定報酬額であるP(i)=h*INT{(2
n-i+1−2)/g}円として、
報酬額が計算されることが望ましい。
【0015】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても変動条件(パラメータ)に対応する収束した配当率が求められるので、報酬プランの定量的評価をすることが可能になる。
また、基本報酬額に離散化による評価値をかけて暫定報酬額としているので、報酬額は、最高限度額、報酬基数、基本報酬額の3つを主要なパラメータとして、配当率を変えることができるので、報酬プランの決定が柔軟にできる。
【0016】
さらに、上記目的を達成するために、本発明は、
会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率を予測する報酬予測計算サーバーであって、ネットワークを介して端末装置と通信可能であって、
前記端末装置から前記報酬額の計算のための変動条件の送信を受ける条件受信部と、
前記配当率が収束する報酬決定ルールと前記予測に係る配当率の定量評価をする評価ルールと該定量評価の結果に応じて前記変動条件の変更をする変更ルールと前記受信及び変更に係る変動条件とを記憶する記憶部と、
受信した変動条件又は変更に係る変動条件に応じて、前記報酬決定ルールと前記評価ルールに基づき、前記報酬額と配当率の予測を行い、該予測に係る配当率の定量評価を行う予測評価を実行する制御部と、
前記
受信に係る変動条件を初期値として前記変更ルールに従って変動条件を変更し、前記
制御部の予測評価を繰り返し実行させる繰り返し部と、
前記予測評価に係る配当率を含む表示と該表示に係る決定命令の入力手段の提供を前記端末装置と通信して実行する決定支援部と、
前記端末装置から送信される前記決定命令を受信すると、該決定命令に係る配当率と前記表示に係る変動条件とを決定データとして送信する出力部と、
を備え、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数と、所与の最高限度額と、所与の報酬基数とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を計算するように構成されている。
【0017】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価を、ネットワークを通じて端末装置に提供することができる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化して評価した暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をステップ的に丸めた値に切り下げることができるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、報酬基数を変化させることによってその試算が簡単にできる。
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
【0018】
会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率を予測するために、コンピュータを、
前記報酬額の計算のための変動条件の入力を受ける条件入力手段と、
前記配当率が収束する報酬決定ルールと前記予測に係る配当率の定量評価をする評価ルールと該定量評価の結果に応じて前記変動条件の変更をする変更ルールと前記入力及び変更に係る変動条件とを記憶する記憶手段と、
前記入力又は変更に係る変動条件に応じて、前記報酬決定ルールと前記評価ルールに基づき、前記報酬額と配当率の予測を行い、該予測に係る配当率の定量評価を行う予測評価を実行する制御手段と、
前記入力に係る変動条件を初期値として前記変更ルールに従って変動条件を変更し、前記制御手段の予測評価を繰り返し実行させる繰り返し手段と、
前記予測評価に係る配当率を含む表示と該表示に係る決定命令の入力手段の提供とを実行する決定支援手段と、
前記決定命令が入力されると、該決定命令に係る配当率と前記表示に係る変動条件とを決定データとして出力する出力手段として機能させるための報酬予測計算プログラムであって、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数と、所与の最高限度額と、所与の報酬基数とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額を算出し、
前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を計算して機能させるようにプログラムとして構成されている。
【0019】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価をコンピュータで行うプログラムを提供することができる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化して評価した暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をステップ的に丸めた値に切り下げることができるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、報酬基数を変化させることによってその試算が簡単にできる。
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
【0020】
加えて、会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率を予測する報酬予測計算方法において、
前記報酬額の計算のための変動条件を入力する条件入力ステップと、
前記配当率が収束する報酬決定ルールと前記予測に係る配当率の定量評価をする評価ルールと該定量評価の結果に応じて前記変動条件の変更をする変更ルールとを記憶する第1記憶ステップと、
前記入力及び変更に係る変動条件を記憶する第2記憶ステップと、
前記入力又は変更に係る変動条件に応じて、前記報酬決定ルールと前記評価ルールに基づき、前記報酬額と配当率の予測を行い、該予測に係る配当率の定量評価を行う予測評価を実行する制御ステップと、
前記入力に係る変動条件を初期値として前記変更ルールに従って変動条件を変更し、前記
制御ステップの予測評価を繰り返し実行させる繰り返しステップと、
前記予測評価に係る配当率を含む表示と該表示に係る決定命令の入力手段の提供とを実行する決定支援ステップと、
前記決定命令が入力されると、該決定命令に係る配当率と前記表示に係る変動条件とを決定データとして出力する出力ステップと、
を含む報酬予測計算方法であって、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数と、所与の最高限度額と、所与の報酬基数とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を計算するように構成されている。
【0021】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価をコンピュータに行わせることができる報酬予測計算方法を提供することができる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化して評価した暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をステップ的に丸めた値に切り下げることができるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、報酬基数を変化させることによってその試算が簡単にできる。
【0022】
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
【0023】
なお、上記の発明において、「出力」とは、表示や印刷だけではなく、データとして他のプログラムや装置に与える場合を含む。
【0024】
また、「入力」とは、少なくとも変動条件をCPUに与えるためのインターフェースを経るものをいう。「入力部」、「入力手段」とは、キーボード、マウス、音声入力装置など、人間とのインターフェースをとるものだけではなく、インターフェース回路、インターフェースプログラムなど、他のプログラムや他のコンピュータなどとのインターフェースをとるものを含む。実施形態では、キーボード10がこれに該当する。
【0025】
また、「プログラム」とは、コンピュータによって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものを含む。また、圧縮された場合や暗号化された場合も含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、会員制紹介販売組織の報酬配分について、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価を安定して行うことができる。また、報酬の最高限度額を各会員の組織内の深さに応じて決定するので、会員に受け入れやすい合理的な報酬プランを検討することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(会員制紹介販売組織の組織展開、二分木データ構造)
各実施形態を説明する前に、本発明の報酬予測計算装置等が予測を行う会員制紹介販売組織がマッピングされる二分木データ構造について
図7を用いて説明する。会員制紹介販売組織は、報酬計算をするために二分木データ構造にマッピングされている。すなわち、各会員は、二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて階層を構成しており、新しい会員は、このデータ構造のいずれかの箇所に仮想的に配置される。
図7に示す黒丸は二分木データ構造の各ノードに配置された会員を示しており、
図7は、第1層(根ノード)から第i層を経由して第n層まで会員が充填されて展開した販売組織を示している。なお、黒丸は一部省略している箇所がある。
【0029】
(会員制紹介販売組織の運営)
会員制紹介販売組織においては、統括会社は、会員からの紹介を受けて商品の販売を行い、紹介した会員へ報酬決定ルールに従って報酬を支払う。
会員は、統括会社が取り扱う商品を購入することにより、新しくこの販売組織の会員となって二分木データ構造の一つのノードを占める。そして、このような紹介が連鎖することにより、商品の購入が促進されるとともにその会員のノードの下位に配置された会員が増えるのでより多い報酬を受けとることになる。
このように、会員は紹介を通じて報酬を受けることになるため、紹介を行う動機付けが生じる。同様に、紹介を受けた会員も、それぞれ新たな会員を紹介すると、紹介を通じて報酬を受け取ることができるので、以下、同様に連鎖的に組織が展開される。
【0030】
最初に入会した会員(「トップ」ともいう。)は、この会員制紹介販売組織の二分木データ構造の「第1層(あるいは、「根ノード」)」に仮想的に配置される。この状態を、「最初の会員は第1層にいる」と表現することができる。最初の会員から紹介を受けて新たに組織に加入した会員は、「第2層」以下に配置される。仮に、2人紹介したとすると、第2層の2つに分かれた枝に、その紹介された会員が配置される。以下、同様に、この会員制紹介販売組織の二分木データ構造は、各層の各ノードで2つに枝分かれをして下位の層に展開される。
図7に示すように、第2層のノードに2人の紹介された会員が配置され、第3層のノードに4人の会員が配置される。
【0031】
もっとも、各会員が行う紹介は、2人に限られるものではない。会員は、3人またはそれ以上の新しい会員を紹介しても差し支えない。ただし、その場合であっても、この会員制紹介販売組織の組織展開は「二分木データ構造」を維持しており、
図7に示すように、紹介された会員は、このような「二分木データ構造」のいずれかの箇所に配置されて、ひとつのノードから2つに枝分かれをして階層を構成するように展開される。
【0032】
(前提1)
本発明で取り扱う報酬予測において、会員制紹介販売組織は、このような二分木データ構造にマッピングされており、第n層まで会員で充たされていることを前提とする(前提1)。以下、便宜上、各ノードから2つに枝分かれした枝について、紙面に向かって左側の枝または下側の枝を左と呼び、右側の枝または上側の枝を右と呼ぶことにする。
【0033】
上記した「二分木データ構造」は、2つに枝分かれするので、2進法の表記とよく適合する。左の枝に「0」、右の枝に「1」を割り当てると、各会員が配置されたノードは、このような2進法の表記によりその位置が一意に定まる。例えば、101という二進数にはトップ(第1層)→左(第2層)→右(第3層)という第3層の左から2番目のノードが対応する。このため、各会員が配置された位置について、データベースで取り扱うのに、論理演算で容易に設定でき見通しがよい。
【0034】
(前提2)
この報酬は、一定期間における紹介実績(商品販売実績)を集計して決定する(前提2)。このような「前提」のもとに、以下に示す「報酬決定ルール」により当該期間中に会員が受け取るべき報酬額を決定し、その配当率を計算する。
【0035】
(第1の実施形態:装置)
(装置の機能構成と動作の概要)
図1に、この発明の第1の実施形態である報酬予測計算装置1の機能構成を示したブロック図を示す。条件入力部11、記憶部12、制御部13、繰り返し部14、決定支援部15そして出力部16という機能構成部から構成される
ここで示した機能構成部は、予め組み込まれたファームウエア等の制御プログラムを所定の回路のプロセッサーで実行し、実装された各種デバイスと協働することにより実現される。また、これらのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該プロセッサーによって記録媒体から読み出され、ユーザが操作すること、システムを構成するデバイスからの信号を受信すること等をトリガとして実行される。
【0036】
条件入力部11は、報酬予測計算を行うための変動条件、計算命令などのユーザからの入力を受け入れる画面を生成する。
【0037】
(条件入力画面)
図2は、条件入力部11が生成した条件入力画面の一例である。条件入力画面20は、変動条件入力欄21と計算命令入力ボタン22とから構成される。
変動条件入力欄21は、片側報酬基数を入力する片側報酬基数入力欄23、最高限度額を入力する最高限度額入力欄24、そして基本報酬額を入力する基本報酬額欄25から構成される。
計算命令入力ボタン22は、計算命令をポインティングデバイスによるアクションを受けて、計算命令の入力を実行する入力ボタン画像である。
【0038】
記憶部12は、報酬決定ルールと報酬予測計算に係る配当率の定量評価をする評価ルールと定量評価の結果に応じて変動条件の変更をする変更ルールと入力及び変更に係る変動条件とを記憶する。
【0039】
(評価ルールと変更ルール)
図3は、記憶部に記憶されたルールのデータ構造を示したブロック図である。ルールID31、ルールの名称32そしてルール33という構造である。
ルールIDがR1の欄34に示したルールデータは、配当率の定量評価をして評価値Vを与える評価ルールであり、ここでは配当率が50%未満のときは「魅力なし」との評価を与え、配当率が50%以上95%以内のときは「適正」の評価を与え、そして配当率が95%超えのときは「リスク」の評価を与える。
本発明の評価ルールは、ここで示した評価ルールに限られるものではない。適用する会員制紹介販売組織の性質等に応じて、適宜変更することができる。
【0040】
ルールIDがR2の欄35に示したルールデータは、入力された変動条件から変更するための変更ルールである。ここでは先に示した評価値Vが「魅力なし」のときは、変動条件のひとつである片側報酬基数aに1を加算した「a+1」と2を加算した「a+2」との2つの変更変動条件を生成する。また、評価値Vが「適正」のときは、片側報酬基数aに1を減算した「a-1」と1を加算した「a+1」との2つの変更変動条件を生成する。そして評価値Vが「リスク」のときは、片側報酬基数aに1を減算した「a-1」と2を減算した「a-2」との2つの変更変動条件を生成する。
なお、本発明の変更ルールは、ここで示した変更ルールに限られるものではない。片側報酬基数aを変更するルールとして他の方式のルールを採用するだけでなく、基本報酬額h、最高報酬限度額M等を変更するルールなどを採用することができる。
たとえば、入力された最高報酬限度額M0に対して、あらかじめ設定したパーセンテージを複数回掛け算して変更最高限度額M1、M2、・・・Mnを生成し、変更変動条件に適用する方式のルール、入力された最高報酬限度額M0に対して、あらかじめ設定した金額を複数回減算して変更最高限度額M1、M2、・・・Mnを生成し、変更変動条件に適用する方式のルールなどが、会員制紹介販売組織の性質等に応じて、適宜採用することができる。
【0041】
制御部13は、条件入力部11が変動条件の入力を受け入れると記憶部12内の変動条件テーブルファイルに記憶し、記憶部12の報酬決定ルールR1を検索し、この報酬決定ルールR1に基づき変動条件に対応する報酬額と売上額等の配当原資を計算し、これらから配当率Fを予測計算する。さらに、記憶部12の評価ルールを検索し、この評価ルールR1に基づき予測計算に係る配当率に対応する定量評価の評価値Vを計算する。
【0042】
繰り返し部14は、記憶部12の変更ルールR2を検索し、この変更ルールR2に基づき評価値Vに対応する変動条件の変更を実行し、変更された変動条件と再計算命令を制御部13に送信し、変更された変動条件に対応する報酬額と売上額等の配当原資を計算し、これから配当率Fを予測計算させるという動作を制御部13に繰り返し実行させる。
【0043】
決定支援部15は、予測計算に係る配当率Fの表示をし、該表示に係る決定命令の入力ボタンを設けた決定支援画面400を生成し、この装置のディスプレイに表示する。この画面は、後で示すキーボード等の入力デバイスによるアクションにより、決定命令等の入力を受け付けることができる。
これにより、ユーザは判断の材料となる配当率Fという決定判断のための情報を見ながら、自らの決定を簡単に入力することができるので、ユーザの意思決定を支援することができる。
ここで入力手段として入力デバイスによるアクションを受け付ける入力ボタン表示を採用したが、本発明に係る入力手段はこれに限られるものではない。キーボード等による決定命令等の入力を受け付ける入力欄などを適宜採用することができる。
【0044】
(決定支援画面)
図4は、決定支援画面を示したイメージ図である。
ここで変動条件表示401は、入力された変動条件を示すものであり、配当率の表示404で示す配当率1は、この変動条件で計算された配当率を示す。決定1ボタン表示407は、配当率1とこれに係る変動条件を決定データとする決定命令を入力するボタンとして機能する。
【0045】
変動条件表示402は、変更された変動条件を示すものであり、配当率の表示405で示す配当率2は、この変動条件で計算された配当率を示す。決定2ボタン表示408は、配当率2とこれに係る変動条件を決定データとする決定命令を入力するボタンとして機能する。
変動条件表示403は、変更された変動条件を示すものであり、配当率の表示406で示す配当率3は、この変動条件で計算された配当率を示す。決定3ボタン表示409は、配当率3とこれに係る変動条件を決定データとする決定命令を出力部16に入力するボタンとして機能する。
【0046】
変動条件入力欄表示410は、表示された変動条件401〜403で繰り返し予測計算された配当率1〜3がいずれも望ましくないとユーザが意思決定したときに再計算に係る変動条件を入力するための欄である。キーボード603等のデバイスにより所望の変動条件を入力することができる。
再計算ボタン表示411は、再入力された変動条件412〜414に従って予測計算をするとともに、予測計算に係る配当率の定量評価等の計算を繰り返す再計算命令を制御部13に入力するボタンとして機能する。
【0047】
出力部16は、決定命令の入力を受けたとき、表示に係る配当率とその基礎となる変動条件を決定データとして出力し、記憶部12内の計算結果ファイルに記憶する。
図5は、決定データのデータ構造を示したブロック図である。ここでは、データID51、片側報酬基数52、最高限度額53、基本報酬額54そして配当率55というデータ構造が採用される。
【0048】
(ハードウェア構成)
図6に、報酬予測計算装置1のハードウェア構成の一例を示す。
図6において、CPU600には、メモリ601、ディスプレイ602、キーボード603、記憶部であるハードディスク(HDD)604、DVD/CD−ROMドライブ65が接続されている。
ハードディスク604には、報酬予測プログラム607、報酬決定ルール608、評価ルール609、変更ルール610、OS(オペレーティングシステム)611、変動条件を格納するテーブルファイル612などが記憶されており、最終的に決定された配当率に基づく計算結果ファイル613が格納される。報酬予測プログラム607、報酬決定ルール608、評価ルール609そして変更ルール610は、DVD/CD−ROMドライブ605を介して、DVDまたはCD−ROM606からインストールされたものである。これ以外のメディアであっても、他のインターフェースにより、インストールさせても差し支えない。
また、ここで記憶装置としてハードディスク604を採用したが、これに限るものではなく、CPU600等と接続される他の記憶媒体の読み出し書き出しができるものであればよく、光ディスクやSSD、USBメモリなどであってもよい。
【0049】
(変動条件テーブルファイル)
表1に変動条件テーブルファイル612の構成を示す。
【0051】
(報酬決定ルール)
報酬決定ルールは、表1に示したパラメータを用いて報酬を算出するに当たり、会員の配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数と、所与の最高限度額と、所与の報酬基数とに基づき、前記配当率の計算が収束するように、階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を決定する、というものである。
【0052】
(報酬決定ルールのパラメータ)
「報酬決定ルール」は、表1の変動条件テーブルで表される変動条件をパラメータ(変数)として有する。後述のように、このようなパラメータを持つ関数として、階層の深さが第n層まである階層の第i層に仮想的に配置された会員の配当率をF(i)という関数であらわす(1≦i≦n)。
【0053】
表1の変動条件テーブルの項目(パラメータ)について説明する。集計期間を除くと、各パラメータは整数である。
「各会員から分枝する会員数」(番号1)は、二分木データ構造を採用しているため、左の枝と右の枝に対し、それぞれひとりずつとなり、合計2人としている。
「各会員の商品購入個数」(番号2)は、ひとりの会員が一つの商品を購入するとして、1個としている。
「片側報酬基数」(番号3)は、後述のように報酬額の計算をするために当該会員の商品購入合計個数を離散化(量子化)して報酬単位uの数がいくつあるかを決定するパラメータである。「片側」というのは、それぞれの会員から分枝する左右の枝の片側という意味で、実際には二分木データ構造を採用しているので、この2倍が計算上用いる報酬基数gである。なお、*は、積をとることを示す(以下、この明細書において同じ。)。配当率を計算するにあたり、大きな影響を有する基本的なパラメータである。
「集計期間」(番号4)は、報酬を計算するための期間であり、この期間の商品購入個数を基礎として報酬が計算される。
「最高限度額」(番号5)は、「集計期間」中に1人の会員が受け取る報酬の最高限度額をいう。これをM(円)とする。
「基本報酬額」(番号6)は、上記の報酬単位uごとに支払う報酬額であり、基本報酬額と報酬単位を掛け合わせたものが、後述の暫定報酬額となる。これをh(円)とする。
「商品単価」(番号7)は、新しい会員が購入する商品ひとつの価格であり、これをA(円)とする。
「入会金」(番号8)は、新しい会員が入会する際に統括会社に支払うものである。これをb(円)とする。
「階層の深さ」(番号9)は、会員制紹介販売流通組織が二分木データ構造に展開されたときの根ノード(トップ)から数えた階層の番号をいい、これをnとする。
【0054】
次に、報酬決定ルールの概略は、以下のようなものである。
報酬決定ルールは、会員が報酬を受ける条件として、後述の商品購入合計個数S(i)を、報酬基数g(=2*a)で割り、その商を報酬単位u(i)として、報酬単位1単位あたりの基本報酬額をh円として、基本報酬額と報酬単位u(i)を乗じた積を暫定報酬額P(i)と計算している。すなわち、商品購入合計個数S(i)を報酬基数g(=2*a)でデジタル化(量子化)されてステップ状に計算される。このようにすることで、最初のステップに達することができない場合、すなわち、商品購入合計個数S(i)が報酬基数gの数を下回ると報酬額は0になり、報酬が支払われない。商品購入合計個数S(i)が報酬額にそのまま比例するのではなく、商品購入合計個数について離散化(量子化)して切り下げるため、一定のステップごとにこれを超えたものについて報酬額が高くなる。各階層でこのような評価が行われる。
また、各ステップは、商品購入合計個数S(i)が報酬基数gの整数倍ごとに基本報酬額h円を支払うようにしているが、このステップの大きさは報酬基数gの整数倍でなくてもよく、各ステップで変化させてもよい。
【0055】
(第i層の会員の報酬)
さらに、報酬決定ルールに沿って詳細に説明する。
図7に示す二分木データ構造はn層からなる階層構造であるから、第1層から始まり、その下に2つに左右に枝分かれした第2層、同じく第2層から2つに左右に枝分かれした第3層、…、同じく第(i−1)層から2つに左右に枝分かれした第i層、…、同じく第(n−1)層から2つに左右に枝分かれした第n層が構成される。
そうすると、表1の変動条件テーブルで示すように、各会員の商品購入個数は1個であるので、第i層の当該会員の下位の(すなわち、傘下の)会員グループの商品購入合計個数(第i層の当該会員自身の商品購入個数1個は含まない。)をS(i)とすると、S(i)は、当該会員のノードから分枝する下位に配された紹介者の人数と一致し、第i層から始まり第n層で終了する二分木データ構造の全体の会員数2
n-(i-1)−1から1を減じたものとなるから、(式1)のようになる。なお、第1層から始まり第n層で終了する二分木データ構造の全体の会員数は、2
0+2
1+2
2+…+2
(n-1)=2
n−1である。
【0056】
S(i)=(2
n-(i-1)−1)−1(個)
=2
n+1-i−2(個) (式1)
【0057】
報酬額の決め方としては、あらかじめ基本報酬額を定め、これと商品購入合計個数との積を取って、商品購入合計個数と線形な関係になるよう報酬額を決めることもできる。
しかし、もう少し報酬の敷居を高くして、ある個数を閾値としてその閾値を超えると報酬が支払われるとすると、その閾値の個数まで紹介をしようとするインセンティブが高まることが期待される。そして、その閾値を可変にすることができれば、紹介のインセンティブと報酬とをより繊細に決定することができる。このため、「商品購入合計個数」を報酬基数gで離散化(量子化)して報酬単位u(i)に変換して評価することとした。
そうすると、報酬単位u(i)は、(式2)に示すように、(式1)のS(i)=2
n+1-i−2)(個)を、報酬基数gで除した整数部分として表わすことができる。ここで、報酬基数gを片側報酬基数aの2倍の2*aとすると、報酬単位u(i)は、S(i)を2*aで除した整数部分となる。
【0058】
u(i)=INT{S(i)/g} (式2)
=INT{S(i)/(2*a)}(単位)
【0059】
ここに、INT{ }とは、カッコ内の数値の整数部分を取り出す演算子である(以下、同じ)。この報酬単位u(i)に対し、基本報酬額を定め、これらの積を取ることにより、報酬額を決定することができる。
このように考えると、この集計期間中に第i層のひとりの会員が受け取ることになる報酬額P(i)は、(式3)に示すように、基本報酬額h(円)に(式2)の報酬単位u(i)を掛け合わせたものとなる。
【0060】
P(i)=h*u(i)(円) (式3)
【0061】
(最高限度額の導入)
第i層のひとりの会員の報酬P(i)は、以上のようにして(式3)に示すように求められるが、nが大きい場合報酬額は指数関数的に大きくなるので、配当率が発散する心配が生じる。そこで発散しないように、報酬額P(i)を暫定報酬額とし、その上限額として最高限度額M(円)を導入する。
この最高限度額Mは、報酬を制限するものであるので、会員にとって、公平感があり受け入れやすいものが望ましい。そこで、まず、上記の暫定報酬額P(i)を計算し、次に、最高限度額を超えたものについてのみ最高限度額に制限することとした。
暫定報酬額P(i)が最高限度額Mに達する層(最初に最高限度額を上回る報酬額となる層)を第n層から数えてm番目の層とすると、mは次の不等式(式4)を充たすkの最小値として求めることができる。
ただし、iは第1層から数え、kは第n層から数えるため、iとkにはi+k=n+1の関係があり、(式1)を考慮すると、(式4)に示されるように、求められたkの最小値であるmは、M、h、a(g)の3つのパラメータで決定され、nによらない。すなわち、mはnに無関係な定数である。
【0062】
M≦P(i)=h*u(i)
=h*INT{S(i)/g)}
=h*INT{(2
n+1-i−2)/g}
=h*INT{(2
k−2)/g)} (式4)
【0063】
このようにして、最高限度額Mに達する層であるmを求め、次のような場合分けを行って階層ごとに会員の報酬を定める。第1層〜第n+1−m層までの会員は報酬を最高限度額M円に制限するものである。
[場合1]:
i≦n+1−mの会員については、報酬を最高限度額M円とする。
[場合2]:
i>n+1−mの会員については、報酬を暫定報酬額P(i)=h*INT{(2
n+1-i−2)/g}円とする。
報酬基数gは、片側報酬基数aの2倍を採用すると、二分木データ構造において当該会員のノードの左右の枝に属する会員の商品購入個数がa個ずつごとにバランスよく両下層の会員が配置されていることに合致する。また、離散化による評価が直感的で受け入れやすい。
このような場合分けに従って、以下、組織全体の集計期間中の報酬の総額Bを場合1と場合2に分けて算出する。場合1では、会員が属する層によらず、一律に報酬額は最高限度額Mに制限される。場合2では、第i層に属するひとりの会員の報酬額は暫定報酬額P(i)と同額になり、どの層に属するかにより報酬額は異なる。
【0064】
(場合1における報酬総額BM)
場合1では、
図8に示すように、第n+1−m層からトップである第1層までの会員の報酬は一律最高限度額のM円となる。したがって、次の(式5)に示すように、場合1の総額BMは、M円に第1層から第n+1−m層までの会員数の総和を掛け合わせればよい。
【0066】
(場合2における報酬総額BR)
場合2では、各層の会員ひとりの報酬額P(i)は最高限度額Mに達しない。場合2の二分木データ構造の最上位の会員は、
図8に示すように、第(n−m+2)層に属する。したがって、この会員とその下位の(傘下の)グループに属する会員全体の報酬総額BP(円)は、第(n−m+2)層から第n層までの各層の会員の報酬額をすべて足し込んだもの(
図8の各ハッチングの部分)であるから、式5と同様に考えて、次の式6の第1式のようになり、式2と式3から第2式が導かれる。これをn−m+2=1として書き直すと、n=m−1、n−i+1=m−1、i−1=i−(n−m+2)であるので、第3式に示すようになる。
【0068】
式6で求められたBPは、
図8に示すように、第(n−m+2)層に属するひとりの会員とその会員から分枝する下位の階層に属する会員全体の報酬総額になるものであるから、これを第(n−m+2)層に属する会員の数2
n-m+1で積算すると、場合2の全体の報酬総額BRが(式7)に示すように求められる。なお、
図8では、場合2の各ハッチング部分は重なって表示されているが、共通のデータがあることを示すものではなく、二分木データ構造において各ハッチング部分はそれぞれ独立である(別な分木である)。
【0070】
そうすると、集計期間中の会員全体の報酬総額Bは、(式5)で示す場合1の報酬総額BMと(式7)で示す場合2の報酬総額BRとの合計であるから、報酬総額Bは次の(式8)で表わされる。
【0071】
B=BM+BR
=M*(2
n-m+1−1)+BP*2
n-m+1
=(M+BP)*2
n-m+1−M (式8)
【0072】
また、商品単価Aと入会金(登録料)bとを合わせた集計期間中の統括会社の受取総額Iは次の(式9)であらわすことができる。
【0073】
I=A*(2
n−1)+b*2
n-1=(2*A+b)*2
n-1−A (式9)
【0074】
したがって、(式8)を(式9)で除したものが統括会社の配当率F(n)であるから、配当率F(n)は、次に示す(式10)のように計算できる。
【0075】
F=B/I
={(M+BP)*2
n-m+1−M}/{(2*A+b)*2
n-1−A}*100(%)(式10)
【0076】
(配当率F(n)の収束)
このように計算された配当率F(n)が必ず収束することを示す。(式10)についてnを無限大とした極限値は、次の(式11)のとおりとなる。
【0077】
limF(n)=(M+BP)/{2
m-2*(2*A+b)}*100(%)(n→∞)(式11)
【0078】
(式11)の右辺はnが無限大になったときにnに無関係な一定値に収束することを示している。したがって、場合1と場合2で示した報酬決定ルールに沿って配当額を決定すれば、(式11)は発散することはないので、このような配当額から配当率を定めれば、理論上破綻することはない。したがって、計算される配当率F(n)は確定値となるので、信頼性の高いきわめて強力な配当の指標であることがわかる。このような配当額の決定についての提案は今までないものであり、このような報酬決定ルールに基づく報酬予測はきわめて強力な手法であることが示された。
【0079】
(計算処理)
図9に報酬予測計算装置の動作をフローチャートにより示す。以下、これに沿って処理の流れを説明する。
【0080】
(S901)キーボード603等の入力デバイスから変動条件が入力される。入力された変動条件は、ハードディスク(HDD)604に記憶される。
【0081】
(S902)キーボード603等の入力デバイスから計算命令が入力され、配当率の計算が開始される。
【0082】
(S903)入力された変動条件をHDD604から読み出し、後述する報酬決定ルールに従い、予測報酬と配当原資である予測全体売上を計算する。次に、予測報酬を予測全体売上で除して、予測配当率を計算する。
【0083】
(S904)計算された予測配当率を、先に説明した評価ルールに従い、定量評価の値を生成する。
【0084】
(S905)生成された定量評価の値を、先に説明した変更ルールに従い、変動条件の変更を実行し、変更変動条件を生成する。
【0085】
(S906)生成された変更変動条件に基づいて、後述する報酬決定ルールに従い、予測報酬と配当原資である予測全体売上を繰り返し計算する。次に、予測報酬を予測全体売上で除して、予測配当率についても繰り返し計算する。
【0086】
(S907)変動条件及び変更変動条件、それらに対応する配当率の表示、それらに対応する決定ボタン、さらには再計算に用いる変動条件入力欄と再計算ボタンをディスプレイ602に表示する。
【0087】
(S908)ユーザは、変動条件及び変更変動条件及びそれらに対応する配当率の表示を閲覧し、所望の結果があるかないか、ある場合はどれか、ない場合は再計算するか、の意思決定をする。
【0088】
(S909)所望の結果がない場合、変動条件入力欄に再計算に係る変動条件を入力し、再計算ボタンに対して入力デバイスでアクションを加え、再計算命令を送信し、(S903)からの計算動作を繰り返す。
【0089】
(S910)所望の値の予測配当率があれば、所望の配当率に係る決定ボタンに対して入力デバイスによりアクションを加え、決定命令を送信する。
【0090】
(S911)所望の値である配当率およびその変動条件を、HDD64に出力し、記録する。
【0091】
(第2の実施形態:サーバー)
第1の実施形態では、ルールやプログラム等を複数記録したデータベースを、処理を行う装置内に格納している。これに限らず、これらデータベースを他の装置に記録したり、通信回線を介してアクセスするようにすることが考えられる。
第2の実施形態では、報酬決定ルール、評価ルールそして変更ルールを、演算プログラムとしてサーバーに実装する。この場合は、端末装置から、変動条件をサーバーに送信して、演算結果を端末装置に送信するので、端末装置からの操作等により簡単に変動条件を変更して配当率を求めることができる。
本実施の形態で求めた配当率と、実績に基づく配当率との差異を定量的に把握することにより、状況に応じたさらに合理的な報酬プランの提供や報酬プランの管理を行うことができるであろう。
【0092】
(処理サーバー)
本実施形態による報酬予測計算システム1000を
図10に示す。この実施形態では、サーバー装置(処理サーバー)1001と端末装置1002、1003そして1004が、インターネット1005を介して接続されている。サーバー装置1001は、報酬予測計算プログラム、報酬決定ルール、評価ルール及び変更ルールを格納しており、ウェブサーバー(クラウドサーバー)として機能するものである。端末装置1002、1003、1004は、サーバー装置1001にアクセスすることにより、報酬予測計算機能を利用することができる。
【0093】
図11に、この発明の第2の実施形態である報酬計算予測サーバー1001の機能構成を示したブロック図を示す。条件受信部1101、記憶部1102、制御部1103、繰り返し部1104、決定支援部1105そして出力部1106という機能構成部から構成される。
ここで示した機能構成部は、予め組み込まれたファームウエア等の制御プログラムを所定の回路のプロセッサーで実行し、実装された各種デバイスと協働することにより実現される。また、これらのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該プロセッサーによって記録媒体から読み出され、ユーザが操作すること、システムを構成するデバイスからの信号を受信すること等をトリガとして実行される。
【0094】
(機能構成と動作の概要)
条件受信部1101は、報酬予測計算を行うための変動条件、計算命令などの入力を受け入れる条件入力画面を生成し、ユーザの端末装置に送信し、ユーザからの入力を受信する。
【0095】
(条件入力画面)
条件入力画面は、第1の実施形態における条件入力部が生成した条件入力画面と同様である。
【0096】
記憶部1102は、報酬決定ルールと報酬予測計算に係る配当率の定量評価をする評価ルールと定量評価の結果に応じて変動条件の変更をする変更ルールと入力及び変更に係る変動条件とを記憶する。
【0097】
(評価ルールと変更ルール)
記憶部に記憶されたルールのデータ構造は、第1の実施形態におけるデータ構造と同様である。
【0098】
評価ルールや変更ルールの内容も、第1の実施形態におけるルールの内容と同様である。
【0099】
制御部1103は、条件受信部1101が変動条件の入力を受信すると記憶部1102内の変動条件テーブルファイルに記憶し、記憶部1102の報酬決定ルールを検索し、この報酬決定ルールに基づき変動条件に対応する報酬額と売上額等の配当原資を計算し、これらから配当率Fを予測計算する。さらに、記憶部1102の評価ルールを検索し、この評価ルールに基づき予測計算に係る配当率に対応する定量評価の評価値Vを計算する。
【0100】
繰り返し部1104は、記憶部1102の変更ルールを検索し、この変更ルールに基づき評価値Vに対応する変動条件の変更を実行し、変更された変動条件と再計算命令を制御部1103に送信し、変更された変動条件に対応する報酬額と売上額等の配当原資を計算し、これから配当率Fを予測計算させるという動作を制御部1103に繰り返し実行させる。
【0101】
決定支援部1105は、予測計算に係る配当率の表示をし、該表示に係る決定命令の入力ボタンを設けた決定支援画面を生成し、ユーザの端末装置に送信し、この端末装置のディスプレイ等に表示する。この画面は、第1の実施形態における報酬予測計算装置のディスプレイに表示する画面と同様である。
【0102】
出力部1106は、端末装置に対する決定ボタン等の操作によって送信された決定命令を受信したとき、決定ボタンに係る配当率とその基礎となる変動条件を決定データとして出力し、記憶部1102内の計算結果ファイルに記憶する。
決定データのデータ構造は、第1の実施形態におけるデータ構造と同様である。
【0103】
端末装置1002、1003、1004は、クライアントであるため、報酬計算予測プログラム等を格納したり、報酬予測計算をしたりする必要はなく、少なくとも、変動条件をサーバー1001に送信して、報酬予測計算の結果を受け取り、記録・保持できればよい。
ここで端末装置を3台記載しているが、本発明の端末装置の台数はこれに限定されるものではなく、ユーザの数等に応じて適宜変更されうる。
【0104】
(変動条件)
変動条件は、第1の実施形態の表1に示すものと同様である。
【0105】
(処理フロー)
図12に、サーバー装置1001の動作とこれに対応する端末装置1002、1003、1004の動作等をフローチャートに示す。
【0106】
スタートに、サーバー装置1001は、端末装置1002、1003、1004からアクセスを受け、端末装置に入力されたユーザ識別子が送信されて、そのログインを許可する(不図示)。その際、制御部1103があらかじめ記憶部1102に記憶されたユーザ識別子情報と照合して、許可してもよい。たとえば、ユーザ識別子として、「0102」が送信され、その際に、セキュリティを確保するためパスワードが併用されてもよい。
【0107】
(S1201)ログインが許可された端末装置に対して、条件入力画面を表示する。
【0108】
(S1202)次に、ユーザが条件入力画面に対して変動条件の入力と送信操作を行って、端末装置から変動条件と計算命令をサーバー装置に送信する。
【0109】
(S1203)サーバー装置は、受信した変動条件を報酬決定ルールに従い、予測報酬と配当原資である予測全体売上を計算する。次に、予測報酬を予測全体売上で除して、予測配当率を計算する。
【0110】
(S1204)サーバー装置は、計算された予測配当率を、評価ルールに従い、定量評価の値を生成する。
【0111】
(S1205)サーバー装置は、生成された定量評価の値を、変更ルールに従い、変動条件の変更を実行し、変更変動条件を生成する。
【0112】
(S1206)サーバー装置は、生成された変更変動条件に基づいて、後述する報酬決定ルールに従い、予測報酬と予測全体売上を繰り返し計算する。次に、予測報酬を予測全体売上で除して、予測配当率についても繰り返し計算する。
【0113】
(S1207)サーバー装置は、変動条件及び変更変動条件、それらに対応する配当率の表示、それらに対応する決定ボタン、さらには再計算に用いる変動条件入力欄と再計算ボタンを表示した決定支援画面を生成し、端末装置に送信し、そのディスプレイに表示をする。
【0114】
(S1208)ユーザは、端末装置に表示された変動条件及び変更変動条件及びそれらに対応する配当率の表示を閲覧し、所望の結果があるかないか、ある場合はどれか、ない場合は再計算するか、の意思決定をする。
【0115】
(S1209)所望の結果がない場合、変動条件入力欄に再計算に係る変動条件を入力し、再計算ボタンに対して入力デバイスでアクションを加え、再計算命令を送信し、(S1203)からの計算動作をサーバー装置に対して繰り返させる。
【0116】
(S1210)ユーザは、所望の値の予測配当率があれば、所望の配当率に係る決定ボタンに対して入力デバイスによりアクションを加え、決定命令を端末装置からサーバー装置に対して送信する。
【0117】
(S1211)サーバー装置は、ユーザが所望の値である配当率およびその変動条件を決定データとして記憶部に記録すると共に、端末装置に送信する。
【0118】
このようにして、端末装置1002、1003、1004にサーバー装置1001の報酬予測プログラム等を利用させることができる。
【0119】
(計算例)
以下、本発明の報酬決定ルールに沿って、配当率を求めた計算例を示す。これは、装置、サーバーのいずれにも該当する。
(計算例1)
報酬決定ルールに沿って、報酬プランの基本形から変動条件を抽出し、配当率Fを算出する。変動条件は、表2のように定めて計算する。
表2に示すように、主要なパラメータである報酬基数g(片側報酬基数a)、最高限度額M,基本報酬額hを抜き出して示すと以下のようになる。
g、a:片側報酬基数aは3個(報酬基数gは6個となる)
M:最高限度額Mは、2,400千円
h:基本報酬額hは、5千円
【0121】
このM、h、aの条件で階層の深さn=15の場合(会員数32,000人余の場合)に、(式4)を用いて最高限度額に達する層mを求めると、(式4)を充たすkの最小値mは、
m=12
となる。そうすると、このmとnの条件のとき、(場合1)の報酬総額BMは、(式5)から、
BM=M*(2
5−1)
=2,400,000*15=36,000,000(円)
となる。一方、(場合2)のBPは、(式6)から、
BP=h*2,845
=5,000*2,845=14,225,000(円)
となり、(場合2)の報酬総額BRは、(式7)から、
BR=BP*2
4
=14,225,000*16=227,600,000(円)
となる。したがって、(式8)から、
報酬総額B=BM+BR
=36,000,000+227,600,000
=263,600,000(円)
となる。
これに対し、統括会社の受取総額Iは、(式9)から、
受取総額I=A*(2
n−1)+b*2
n-1
=(2*A+b)*2
n-1−A
=(2*10,000+3,000)*2
14-10,000
=376,822,000(円)
であるので、(式10)を適用して、配当率F(15)を求めると、
配当率F(15)=(B/I)*100(%)
=(263,600,000/376,822,000)*100(%)
=69.95%
となる。
このような配当は、リスクを抑えた手堅い配当ということができる。
【0122】
なお、一般に、配当率F(n)は、実績の配当率と必ずしも一致しない場合もあるかもしれないが、この不一致は、個々の会員の紹介者の偏り(多寡)、地域的な紹介者の偏り(多寡)などが原因として推定される。このような不一致についてさらに解析を加えることにより、統括会社にとっては報酬プランの設定方法などに反映できる営業上の重要な情報が得られるものと考えられる。このように、報酬プランについて、配当率F(n)という定量的な評価ができるため、さらにより魅力的でリスクの少ない新たな報酬プランの策定が可能になる。
【0123】
(計算例2:a=2とした場合)
次に、変動条件を変え、片側報酬基数aをa=2とした場合の計算例を示す。
表3に示すように、主要なパラメータである報酬基数g(片側報酬基数a)、最高限度額M,基本報酬額hを抜き出して示すと以下のようになる。
g、a:片側報酬基数aは2個(報酬基数gは4個となる)
M:最高限度額Mは、2,400千円
h:基本報酬額hは、5千円
【0125】
a=2(左の枝2個、右の枝2個)とした場合以外は、計算例1と同様である。
この条件で階層の深さn=15の場合に、(式10)を適用して、配当率を求めると次の結果を得る。この場合は、計算例1と同様に計算をすると、m=11となり、
配当率F(15)=95.9%
となる。
この配当率の数値は、配当の評価としてかなり高く、統括会社としてはリスクが伴うものかもしれない。しかし、過去の傾向や現実の状況により、もっと低い配当率になること(たとえば実績配当率は50%程度と推定できるなど。)が考えられるのであれば、リスクがあるものの訴求力の強い魅力的な報酬プランの一つとして検討することもできるだろう。
【0126】
(計算例3:a=4とした場合)
さらに、変動条件を変え、a=4とした場合の計算例を示す。これは、会員がより多くの商品を購入するケースである。
表4に示すように、主要なパラメータである報酬基数g(片側報酬基数a)、最高限度額M,基本報酬額hを抜き出して示すと以下のようになる。
g、a:片側報酬基数aは4個(報酬基数gは8個となる)
M:最高限度額Mは、2,400千円
h:基本報酬額hは、5千円
【0128】
a=4(それぞれ左の枝4個、右の枝4個)とした場合以外は、計算例1、2と同様である。この場合は、計算例1、2と同様に計算をすると、m=12となり、
配当率F(15)=47.6%
となる。
この場合、配当率は50%を切っており、実施例2と比べると、リスクは小さいが、いわば魅力のない報酬プランであると評価されるであろう。
【0129】
以上示したように、計算例1〜3において(式10)を用いて配当率を計算した。このように報酬プランを決めるh、M、g(a)という3つのパラメータ(変動条件)を変えることにより、必ず収束する配当率を容易に得られる。また、商品単価A、入会金bなどを変えて異なる配当率とすることもできるので、柔軟で容易な報酬プランの予測・評価を行うことができる。
【0130】
このような予測に関しての利点は、以下のようなものがある。
第一に、この予測を組織展開の開始前に行うことで、経済状況等諸般の事情を勘案しながら、定量的で信頼のできる指標をもとに報酬プランを弾力的に決定することができる。
第二に、この予測を組織展開の開始以降に行うことで、統括会社全体としての配当率を予測するのにとどまらず、個々の会員の実績値と予測値の差異を評価することにより、活動の活発な拠点組織を見出して全体の組織展開戦略を立てることができ、会員個々の活動の指針を示すこともできる。
【0131】
このように報酬予測計算が収束するということのみならず、商品単価A,入会金bなどを含む直観に訴えやすいパラメータを操作して報酬予測計算をすることができるため、会員にとって魅力があるプラン策定を簡単に検討することができる。加えて、統括会社にとっての経営の存続・安定化と紹介の過熱化の鎮静をも考えた現実的なプランの検討が簡単に行えるようになり、社会的な要請にも応えることができる実効性と汎用性のある報酬計算予測技術を提供することができる。このようなことを可能とする会員制紹介販売組織の会員に対する適正で合理的な報酬プランを決定することができる報酬予測装置、方法、およびソフトウェアは今まで提案されたことはなく、本発明により、初めて実現されたものである。
【解決手段】報酬決定ルールは、[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、[2]各会員の報酬額について、前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数(S(i))と、所与の最高限度額(M)と、所与の報酬基数(g)とに基づき、階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額(P(i))を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を計算する。