特許第6117471号(P6117471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6117471第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117471
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 83/00 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   C08G83/00
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-526370(P2011-526370)
(86)(22)【出願日】2009年9月15日
(65)【公表番号】特表2012-503033(P2012-503033A)
(43)【公表日】2012年2月2日
(86)【国際出願番号】DE2009001299
(87)【国際公開番号】WO2010031390
(87)【国際公開日】20100325
【審査請求日】2012年5月10日
【審判番号】不服2014-25140(P2014-25140/J1)
【審判請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】102008047739.7
(32)【優先日】2008年9月17日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102008047940.3
(32)【優先日】2008年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】317001851
【氏名又は名称】ナガルジュナ ファーティライザーズ アンド ケミカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】アウナー, ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】バオホ, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デルチェフ, ルーメン
(72)【発明者】
【氏名】ゲーベル, トラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ホル, スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】リッポルト, ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤファト, モッセニ
【合議体】
【審判長】 原田 隆興
【審判官】 橋本 栄和
【審判官】 大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−139413(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/125425(WO,A1)
【文献】 特表2010−521393(JP,A)
【文献】 特開平01−185826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1種の分子鎖フォーマーおよび第2種の分子鎖フォーマー(これら2種の分子鎖フォーマーは両方ともケイ素の塩素化物、ゲルマニウムの塩素化物および炭化水素から選ばれる化合物であり、かつ、第1種の分子鎖フォーマーと第2種の分子鎖フォーマーとは互いに異なる化合物である)から、
プラズマ化学反応を利用して、
一般式GeSi(Xは塩素であり、a,bおよびcはそれぞれ整数で、1≦c≦1000000、2≦b+c≦1000000、1≦a/(b+c)≦3である。)である塩素化ポリゲルマシランまたは一般式AR'(Eはケイ素であり、Aはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基であり、R'はH、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基であり、a,bおよびcはそれぞれ整数で、1≦a/(b+c)≦3、2≦b≦1000000、1≦c≦1000000であり、EとAは、ハロゲン化ポリカルボシランの支柱部分を形成し、XとR'は、Eと結合する置換基である。)である塩素化ポリカルボシランを製造する方法であって、
前記塩素化ポリゲルマシランまたは塩素化ポリカルボシランを、水素の存在下、300℃未満で、0.1〜3hPaの圧力下で、かつ0.2〜2W/cmのパワー密度下で製造する、方法
【請求項2】
前記プラズマ化学反応に用いるプラズマは、前記第1種および第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーを含むガス中で発生させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマ化学反応に用いるプラズマは、前記第1種および/または第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーおよび水素および/またはその他の物質を含むガスが、事後的に添加されることとなるガス中で発生させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマを発生させるためのガスは、さらに、水素および/または希釈のための不活性ガス、および/またはプラズマの生成を促進するための混合物を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第III族ないし第V族典型元素(短周期表による)のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ハロシランを、プラズマ放電によりハロゲン化ポリシランへ転換させる第1の工程と、得られたハロゲン化ポリシランを加熱により分解する第2の工程とからなる、ハロシランから金属ケイ素を製造する方法を開示している。
【0003】
PCT/EP08/002109(本願の優先権主張の基礎となる出願の時点で未公開)は、プラズマを利用してポリシランまたはポリゲルマンを合成する方法と、この方法に用いる装置を開示している。この方法においては、ハロシランまたはハロゲルマンを、プラズマを利用して、ハロゲン化オリゴシランおよびハロゲン化ポリシラン、またはハロゲン化オリゴゲルマンおよびハロゲン化ポリゲルマンに転換させる。
【0004】
ドイツ国特許出願102007013219.2(本願の優先権主張の基礎となる出願の時点で未公開)は、プラズマを利用して、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化オリゴマーおよびハロゲン化ポリマーを合成する方法と、この方法に用いる装置を開示している。この方法においては、特に塩素またはフッ素によりハロゲン化された、第III族ないし第V族典型元素であるSi、Ge、SnおよびBを、水素ガスを用いたプラズマにより重合させる。
【0005】
上述の公知のプロセスにおいては、いずれも、オリゴマーまたはポリマー分子鎖の構成要素(以下「分子鎖フォーマー」という)として、第III族ないし第V族典型元素のただ1種のハロゲン化合物(例えば、ハロシラン(SiCl)やハロゲルマン(GeCl))を用いている。また、所望の重合を生じさせて、例えば、ハロゲン化ポリシランまたはハロゲン化ポリゲルマンを製造するために、特に水素ガスとともに、プラズマを発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第102005024041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーを製造するためのさらなる方法を提供することを目的とする。この方法によれば、環境保全、高エネルギー効率、およびコスト抑制のすべてを充足し、かつ高収率で上記のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーを得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、第1種の分子鎖フォーマーおよび第2種の分子鎖フォーマー(これら2種の分子鎖フォーマーのうち少なくとも1種は、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化物である)から、プラズマ化学反応を利用して、ハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーを合成する工程を含む、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーを製造する方法によって達成される。
【0009】
本発明の方法は、上述の先行技術とは異なり、出発物質として、2種の分子鎖フォーマーを用いる。このうち、少なくとも1種は、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化物である。このようなIII族ないし第V族典型元素のハロゲン化物の例としては、SiX(ここでXは、F,Cl,BrまたはIである)のようなハロシラン、またはGeXのようなハロゲルマンが挙げられる。
【0010】
第1種の分子鎖フォーマーと第2種の分子鎖フォーマーは、両方とも、上記のような第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化物とすることができる。本発明の方法によれば、このようなハロゲン化物から、ハロゲン化ポリゲルマシランのようなハロゲン化オリゴマーまたはハロゲン化ポリマーが得られる。
【0011】
また、本発明の方法によれば、ハロシランを第1種の分子鎖フォーマー、炭化水素を第2種の分子鎖フォーマーとし、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化物である分子鎖フォーマーは、1種のみを用いて、ハロゲン化ポリカルボシランを製造することもできる。
【0012】
本発明の方法における分子鎖フォーマーに用いるのに好適な第III族ないし第V族の典型元素としては、ケイ素およびゲルマニウムの外に、例えば、タリウム、インジウムおよびガリウムがある。また、本発明の方法に用いるのに好適な第III族ないし第V族典型元素の化合物としては、上述の元素、特にケイ素の窒化物または炭化物がある。この外、炭素は、炭化水素化合物の形で、分子鎖フォーマーとすることができる。
【0013】
本発明による第III族ないし第V族典型元素ハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーを合成するためのプラズマ化学反応は、水素ガスとともに進行させるのが好ましい。この態様の場合、水素を、反応の第3の出発物質として用いることになる。
【0014】
本発明の第1の変形例においては、プラズマは、第1種および第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーを含むガス中で生成させる。なお、この後者の場合、上述のように、水素を含むことができるが、この際には、水素を含む混合ガスをつくり、この中でプラズマを発生させる。この過程において、ガス成分のハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマー(ハロゲン化ポリゲルマシランやハロゲン化ポリカルボシラン等)への転換が生じる。生成物は、適当な方法によって単離する。
【0015】
本発明の第2の変形例においては、プラズマは、第1種および/または第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーを含む(水素その他の物質を含むこともできる)ガスが、事後的に添加されることとなるガス中で生成させる。このような、いわゆる遠隔メソッドにおいては、プラズマは、例えば水素ガス中で発生させる。この場合、第1種および/または第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーを含む(水素その他の物質を含むこともできる)混合ガスは、プラズマが発生した後に添加する。
【0016】
この変形例の他の態様においては、プラズマは、第1種および/または第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーを含むガスであって、後に他の物質が添加されることとなるガス中で発生させる。
【0017】
この変形例のさらに他の態様においては、プラズマは、希ガス、および第1種および/または第2種の分子鎖フォーマーのみからなるガス、またはこれらの分子鎖フォーマーを含むガス(水素その他の物質を含むこともある)の混合ガス中で発生させる。
【0018】
本発明の方法においては、プラズマを発生させるガスは、水素および/または希釈のための不活性ガス、および/またはプラズマの生成を促進するための混合物を含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一態様によれば、第1種および第2種の分子鎖フォーマーは、両方とも、第III族ないし第V族典型元素のハロゲン化物から生成する。この態様によれば、ハロゲン化ポリゲルマシラン、好ましくは塩化ポリゲルマシラン(PCGS)を生成することができる。
【0020】
本発明の他の態様によれば、分子鎖フォーマーは、炭素化合物または炭化水素化合物から生成する。ここでいう炭化水素化合物は、脂肪族または芳香物炭化水素、より詳しくは、アルカン、アルケン、アルキンもしくは芳香族炭化水素、またはこれらの一部もしくは全部をハロゲン化した誘導体を意味する。
【0021】
本発明によって生成される上述のハロゲン化ポリカルボシランの中では、第1種の分子鎖フォーマーとしてのSiClと、第2種の分子鎖フォーマーとしてのCHから得られる塩化ポリカルボシラン(PCCS)が有用である。このようなハロゲン化ポリカルボシランは、かなりの量のメチル基を有しているため、シリコンカーバイドおよび/またはシリコン層を蒸着するのに有用である。すなわち、ハロゲン化ポリカルボシランは、シリコンカーバイド(SiC)を蒸着する際に、単一の蒸着源を構成する前駆体として有用であり、きわめて低い温度で、液相状態からSiCへ熱分解される。
【0022】
本発明の方法によって得られるハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーの構成成分の原子組成比(第1種の分子鎖フォーマー:第2種の分子鎖フォーマー)は、1:1であるのが好ましい。
【0023】
本発明の方法によれば、プラズマの発生と利用を通じて、ハロゲン化ポリゲルマシランを得ることができる。すなわち、ハロシラン、ハロゲルマンおよび水素を混合し、得られた混合物を、プラズマの発生・利用を通じてポリゲルマシランに転換させる。
【0024】
本発明の方法において用いうるハロゲン化合物は、E(Eは第III族ないし第V族の典型元素、Xはハロゲン元素、Rは水素および/または有機ラジカルおよび/または他の置換基であり、aは1以上の整数、bは1以上の整数、cは0または正の整数である。)と表すことができる。
【0025】
本発明の方法において用いられるハロシランは、HSiX4−n(XはF、Cl、BrまたはIであり、nは0または1〜3の整数である。)のタイプ、またはこのタイプの混合物であるのが好ましい。他方、本発明の方法において用いられるハロゲルマンは、HGeX4−nのタイプ、またはこのタイプの混合物であるのが好ましい。
【0026】
本発明の方法によれば、ハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリシラゲルマン(水素の含量が著しく低い)を得ることができる。このように高度にハロゲン化された第III族ないし第V族典型元素のオリゴマーおよび/またはポリマーは、第III族ないし第V族の典型元素以外はほとんどハロゲン元素であって、水素を少量しか含まないという特徴を有している。
【0027】
本発明の方法によって得られるハロゲン化ポリシラゲルマンは、シリコン−ゲルマニウム合金を製造する際の単一蒸着源を構成する前駆体として有用である。本発明の方法を用いるならば、シリコン−ゲルマニウム合金を層状態で得ることができる。すなわち、低エネルギーのプラズマを用いるならば、Si−Ge合金層は、比較的低い温度で、基板上に蒸着させることができる。本発明の方法は、例えば、導電性ポリマー、LEDの製造等の有機金属化学への応用も考えられる。
【0028】
本発明の方法によれば、RSiCl4−n(Rは水素および/または有機ラジカルであり、nは0または1〜3の整数である。)、R'GeCl4−m(R'は水素および/または有機ラジカルであり、mは0または1〜4の整数である。かつm+nは0または1〜7の整数である。)、および/またはHから塩化オリゴゲルマシランおよび/または塩化ポリゲルマシラン(PCGS)を得ることができる。
【0029】
また、本発明の方法によれば、RSiCl4−n(Rは水素および/または有機ラジカルであり、nは0または1〜3の整数である。)およびCHから、塩化オリゴカルボシランおよび/または塩化ポリゴカルボシラン(PCCS)を得ることができる。
【0030】
本発明の方法においては、低エネルギーのソフトプラズマ条件を用いるのが好ましい。すなわち、パワー密度(エネルギー密度)は、0.2〜2W/cmとするのが好ましい。同様に、圧力も、0.1〜3hPaと、比較的低くするのが好ましい。
【0031】
本発明の方法における反応温度(例えば反応容器の壁体の温度)は、400℃未満であるのが好ましい。より好ましくは300℃未満である。
【0032】
プラズマを発生させる際には、例えば前述の特許文献1に記載されているような適当な手段を用いて、支援することができる。なお、特許文献1に記載されているような手段は、発生させたプラズマを安定化させるためにも用いることができる。
【0033】
本発明の方法において用いるハロゲン元素は、塩素とフッ素が好ましい。
【0034】
本発明は、上記の方法によって得られるハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーをも提供するものである。さらに、特許請求の範囲に記載されているように、本発明は、これらハロゲン化オリゴマーおよび/またはハロゲン化ポリマーの使用をも提供するものである。
【0035】
これまでの記載において、「合金」の語は、第III族ないし第V族典型元素の2種またはこれを超える種類の元素の化合物および混合物をも包含する。
【0036】
本発明の方法によって得られるハロゲン化ポリゲルマシランの一般式は、経験的に、GeSi(ここで、Xはハロゲン元素であり、a,bおよびcはそれぞれ整数で、1≦c≦1000000、2≦b+c≦1000000、1≦a/(b+c)≦3である。)であると認められる。
【0037】
一方、本発明の方法によって得られるハロゲン化ポリカルボシランの一般式は、経験的に、AR'である。ここで、Eは第III族ないし第V族の典型元素であり、Aはアルキレン基(例えば−CH−)、アルケニレン基および/またはアルキニレン基および/またはアリーレン基であり、R'はHおよび/またはアルキル基および/またはアルケニル基および/またはアルキニル基および/またはアリール基であり、a,bおよびcはそれぞれ整数で、1≦a/(b+c)≦3、2≦b≦1000000、1≦c≦1000000である。なお、EとAは、ハロゲン化ポリカルボシランの支柱部分(鎖状部分)を形成し、XとR'は、Eと結合する置換基である。
【0038】
アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基は、それぞれ、2価のアルキル基であり、アルケニレン基およびアルキニレン基は、それぞれ、1個,2個,3個,4個,5個またはこれを超える数の二重結合および三重結合をもつ。したがって、アルケニレン基およびアルキニレン基は、少なくとも2個の炭素原子を有する。アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基として、好ましいのは、メチレン基、エチレン基、エテニレン基、エチニレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−プロペニレン基、メチルエテニレン基およびプロピニレン基である。
【0039】
アリーレン基は、ここでは、2価の1環、2環または3環の芳香族基、または6〜14個の炭素原子を含む炭素環ラジカルを意味する。アリーレン基として好ましいのは、フェニレン基、ナフチレン基およびフェナントレニレン基である。
【0040】
アルキル基および/またはアルケニル基および/またはアルキニル基および/またはアリール基は、1価の炭化水素ラジカルである。また、アルケニル基およびアルキニル基は、それぞれ、1個,2個,3個,4個,5個またはこれを超える数の二重結合および三重結合をもつ。したがって、アルケニル基およびアルキニル基は、少なくとも2個の炭素原子を有する。アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基として、好ましいのは、メチル基、エチル基、エテニル基、エチニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−プロペニル基、メチルエテニル基およびプロピニル基である。
【0041】
アリール基は、ここでは、1価の1環、2環または3環の芳香族基、または6〜14個の炭素原子を含む炭素環ラジカルを意味する。アリール基として好ましいのは、フェニル基、ナフチル基およびフェナントレニル基である。