(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押動部は背もたれに一体成形されている一方、前記受動アームは金属板製であって端面が前後に位置する姿勢であり、前記受動アームの上端に、当該受動アームの板厚よりも厚い樹脂製の冠部材を装着することにより、前記冠部材を前記受動部と成しており、かつ、前記押動部に、前記受動アームは通るが冠部材は通らない縦長溝を前方及び下方に開口させて、前記縦長溝の左右両側をフロントリブと成すことにより、前記背もたれの後傾動に際して押動部と受動アームとの相対動が許容されている、
請求項2に記載したネスティング可能なロッキング椅子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既述のように、椅子をネスティングするのは不使用時の格納スペースを少なくするためであり、従来は、パイプ椅子のように簡易な構造のものが多かった。しかし、簡易な構造であると、長時間腰掛けた場合の座り心地は良いとは言えなかった。座り心地で大きな要素となるのが背のロッキングであり、パイプ椅子においてもフレーム材の曲がり変形を利用して背に若干のロッキング性を付与することが行われているが、フレーム材の曲がり変形を利用した程度ではロッキング角度はごく僅かであるため、長時間腰掛けた場合の座り心地の改良にはさほど貢献しないと言える。
【0009】
この点、特許文献1の構成を採用すると、背もたれは通常の回転椅子と同様に大きくロッキングするため、長時間使用し続けても疲れにくくて座り心地に優れている。しかし、座り心地の向上という点に関しては、まだ、改善の余地が見られる。
【0010】
つまり、パイプ椅子を長時間使用し続けると疲れるのは、使用者が身体を動かそうとしても背もたれも座も追従せず、身体の動きが椅子によって拘束されるためであり、この点、ロッキング式回転椅子は、背もたれがロッキングすると共に一般に座も背の後傾動に連動して動くため、使用者の動きに対する背及び座の追従性が高くて長時間使用し続けても疲れにくいのであるが、特許文献1では背もたれがロッキングするに過ぎず、背もたれがロッキングしても座の位置・姿勢は変化しないため、必ずしも高い座り心地を得るには至っていないと言える。
【0011】
この点については、シンクロタイプの椅子を適用して、ロッキングによって座が前進する構成を採用したらよいと云えるが、従来のシンクロ機構はリンク機構を採用しているため座を跳ね上げることはできず、ネスティング式の椅子には適用できない。
【0012】
本願発明はこのような現状を背景に成されたものであり、ネスティング可能なロッキング椅子を、より改良された状態で提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、請求項1に記載したように、
脚装置はその複数個を前後に嵌め合わせ可能である一方、
背もたれの後傾動に連動して座が前進する
と共に、前記座は前記背もたれの前面に向けて跳ね上げ回動自在であり、前記座又はこれが取り付けられた座受け体に、前記背もたれの下端部に設けた押動部で手前に押される受動部を設けており、前記押動部で受動部を押すことで前記背もたれの後傾動に連動して座が前進する構成であって、
前記押動部と受動部とは、前記座を倒した状態と跳ね上げた状態とのいずれにおいても前後離反しない状態に保持されており、側面視における前記受動部の中心を前記座の跳ね上げ回動軸心に略一致させている。
【0014】
背もたれは、脚装置に直接に又は支持フレーム等の支持部材を介して連結することができる。座も同様である。背もたれ及び座をどの部材に連結するかは、椅子の基本構造に応じて選択したらよい。座は、回動式の可動ベース体に取り付けるのが好ましい。
【0015】
本願発明は、請求項2,3の構成も含んでいる。このうち請求項2の発明は、請求項1において、
前記背もたれの押動部は略上下方向に長い空間を有するポケット状になっている一方、前記受動部は
、前記座又は座受け体から上向きに突出した受動アームの上端に設けられていて前記押動部の空間に上下動可能に嵌まっており、前記受動部が前記押動部の内部で前後動不能に保持されている。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項2において、
前記押動部は背もたれに一体成形されている一方、前記受動アームは金属板製であって端面が前後に位置する姿勢であり、前記受動アームの上端に、当該受動アームの板厚よりも厚い樹脂製の冠部材を装着することにより、前記冠部材を前記受動部と成しており、かつ、前記押動部に、前記受動アームは通るが冠部材は通らない縦長溝を前方及び下方に開口
させて、前記縦長溝の左右両側をフロントリブと成すことにより、前記背もたれの後傾動に際して押動部と受動アームとの相対動が許容されている。
【発明の効果】
【0017】
本願発明では、座が背もたれの後傾動に連動して前進するため、ロッキングに際して身体をリラックスした状態に保持できる。すなわち、着座した状態を保持しつつ身体を動かすことができるのであり、これにより、快適な座り心地を得ることができる。そして、座又は座受け体に設けた受動部を背もたれの押動部で押す簡単な構造であるため、従来のようなリンク機構に比べて構造を著しく簡単化できて、コスト抑制にも貢献できる。
【0018】
また、本願発明は、背もたれで座を押して前進させるものであり、リンク等の部材を介して背もたれと座又は座受け部材とが連結されているものではないため、座の跳ね上げ回動は支障無く行えるのであり、その結果、前後に重ね合わせできるネスティング式椅子でありながら、快適な座り心地を得ることができる。
【0019】
そして、受動部の中心が座の跳ね上げ回動
軸心と略一致していることにより、押動部と受動部との嵌合関係を保持したまま座を跳ね上げることができるため、座を跳ね上げた状態で背もたれの後傾動に対して押動部がストッパーとして機能しており、このため、背もたれが自重で後ろにずれ回動するような不具合を、特段のストッパー手段を設けることなく防止できる。
【0020】
請求項2のように押動部をポケット状に形成すると、受動アームと押動部との間に物が挟まることを防止できる利点や、押動部の強度を高めることができる利点がある。また、受動アームの上端が見えないため、美感も向上できる。更に、ピンによる連結に比べて組み立ても容易である。
【0021】
さて、人が背もたれに凭れかかっていない状態で、背もたれの上端に前向きの外力が掛かることがある。例えば、椅子を机に入り込ませた状態で、人が誤って背もたれの上端を後ろから押した場合などである。このような場合のためには、背もたれをロッキングしていないニュートラル状態で前傾不能に保持するストッパー手段を設ける必要がある。
【0022】
しかるに、本願請求項3では、押動部のフロントリブを設けたことにより、ニュートラル状態で背もたれに前傾させようとする外力が作用しても、内向きリブが冠部材に手前から当たることで背もたれの前傾が阻止される。従って、特別の前傾阻止手段を設けることなく、座を倒した状態での背もたれの前傾動を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(1).椅子の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、椅子の概略を主として
図1〜4に基づいて説明する。なお、以下の説明で方向を特定するために「前後」「左右」の文言を使用しているが、この前後・左右は、椅子に普通に腰掛けた人から見た状態を基準にしている。正面視方向は、着座者と対向した方向である。
【0025】
図1のとおり、椅子は、大きな要素として脚装置1と座2と背もたれ3とを備えており、座2は、跳ね上げ回動式の可動ベース体4に取り付けられている。従って、座2と可動ベース体4とを主要要素として座部5が構成されている。
図1(A)に示すように、座2は、樹脂製の座板(座インナーシェル)6とその上面に張った座クッション材7とを備えており、座クッション材7はクロス等の表皮材8で覆われている。なお、可動ベース体4は、回動式ベース又は跳ね上げ式ベースと呼ぶことも可能である。
図2〜4に示すように、可動ベース体4の上面には多数の補強リブ9を設けている。
【0026】
脚装置1は鋼管やアルミ管等の金属管から成っており(従って、本実施形態はいわゆるパイプ椅子に適用している。)、左右の前足10と左右の後足11とを有する4本足方式になっている。前後各足にはキャスタ12を取り付けている。前足10の上端には、水平に対してやや前傾した姿勢で後ろ向きに延びる上サイド部14が曲げ形成されており、上サイド部14の後端を後足11の上端寄り部位に突き合わせて溶接で固定している。
【0027】
左右の上サイド部14の前端は左右横長の横杆15で連結されている。横杆15は前倒しされた座部5を支持する機能も有しており、左右中間部が高くなるように正面視で上向き凸状に緩く曲がっている。後足11は、上に行くほど手前にずれるように側面視で前傾姿勢になっており、かつ、緩い曲率で湾曲している。
図1(B)のとおり、可動ベース体4の下面には、横杆15の左右中間部が嵌まる凹所4aを形成している。
【0028】
後足11の上端は自由端になっており、上端に軸心を左右水平とした上支軸17が溶接で固定されており、この上支軸17に背もたれ3が上ビス18を介して後傾動可能に連結されている。従って、本実施形態では、後足11の上端部が、背もたれ3と座2とを取り付ける支持部材の一例としての支持フレーム19になっている。支持フレーム19は脚装置1を構成する後足11の一部なので、本実施形態は、背もたれ3と座2とが脚装置1に直接取り付けられていると見ることも可能である。既述のように後足11は側面視で前傾しており、このため、上支軸17は座2の後端よりも手前に位置している。
【0029】
左右の後足11の左右間隔は左右前足10の左右間隔よりも大きくなっており、このため、座部5を跳ね上げた状態で前後の椅子の脚同士を嵌め合わせる(ネスティングする)ことが可能になっている。例えば
図3に明示されているように、後足11の内側面には、椅子をネスティングした時に後ろの椅子の前足10が当たる(嵌まる)ストッパー20を設けている。ストッパー20はゴム製又は樹脂製であり、緩衝機能と位置決め機能とを有している。
【0030】
なお、脚装置1の形態は任意に設定することができる。敢えて述べるまでもないが、左右前足10の間隔を左右後足11の間隔より大きくすることによっても、ネスティング可能である。各足10,11は、中実の棒材で製造したり楕円管で製造したりすることも可能である。勿論、アルミダイキャスト品又は樹脂成形品も採用可能である。
【0031】
例えば
図3に示すように、可動ベース体4は、平面視四角形で浅い箱状の本体部21と、本体部21の後部から外側に広がりつつ上向きに突出した角状アーム22と有している。可動ベース体4は樹脂成形品であり(アルミダイキャスト品でもよい)、角状アーム22は本体部21に一体に設けている。なお、本体部21は箱状であることから、外周は周壁で構成されている。
【0032】
角状アーム22は基本的には前後方向に広い板状であるが、前後間隔は上に行くに従って狭まっており、上端には左右外向きに突出したボス部(軸受部)23を一体に設けて
いる。そして、ボス部23が
、支持フレーム19の上下中途部に
、下支軸24と下ブッシュ25と下ビス26
とによって回動可能に連結されている。従って、可動ベース体4は、ボス部23の軸心87を中心にして跳ね上げ回動することができ、これにより、座部5は
、図1(B)のように跳ね上げられた(折り畳まれた)状態になる。座部5を跳ね上げた状態で、当該座部5の重心は
、ボス部23及び下支軸24の軸心27よりも後ろに位置している。なお、下支軸24は支持フレーム19に溶接で固定している。また、下ビス26の頭は下キャップ28で覆われている。
【0033】
図1(C)に示すように、背もたれ3は、前後に大きく開口した背もたれ本体(背フレーム)29と、背もたれ本体29にその開口部を覆うように取り付けられたサポート体(背板)30とを有している。サポート体30の前面には背クッション材31を張っているが、背クッション材31を設けずにサポート体30を露出させたままでもよい。背もたれ本体29及びサポート体30は、樹脂の成形品である。
【0034】
背もたれ本体29のうち下寄りの部位には左右外側に張り出した外向き張り出し部29aを形成しており、この外向き張り出し部29aの外端に、上支軸17に嵌まる軸受け部32を形成している。軸受け部32には図示しないブッシュが嵌まっており、上ビス18を内側から上支軸17にねじ込むことにより、背もたれ本体29は上支軸17に離脱不能に保持されている。上ビス18の頭は上キャップ33で覆われている。外向き張り出し部29aは平面視で手前に突出しており、このため、背もたれ3で着座者の腰部を後ろから囲う状態になっている。
【0035】
背もたれ3を縦断側面視で見ると、背もたれ本体29のうち外向き張り出し部29aを設けている高さ位置の部分が最も前に位置するように曲がった形態になっている。そして、外向き張り出し部29aの高さは、平均的な成人が着座した場合に腰部(特に第3腰椎のあたりが好ましい)の高さになるように設定している。このため、背もたれ3はランバーサポート機能を保持している。
【0036】
背もたれ本体29の開口とサポート体30とは、下部が丸みを帯びて全体的に上に窄まった正面視形態を成している。サポート体30には、その周縁部を除いて多数の穴が縦横に並んで開口しており、このため、多数の縦筋と横筋とが交叉した格子状の外観を呈している。サポート体30の周縁部が背もたれ本体29に嵌め込み装着されている。
【0037】
敢えて述べるまでもないが、背もたれ本体29を前後に開口していない構成として、これに背クッション材31を直接に又はインナー部材を介して取り付けることも可能である。また、樹脂製のサポート体30に代えて、可撓性のあるメッシュ材を背もたれ本体29に張ることも可能である。樹脂製のサポート体30を設ける場合、横長のスリットが多段に形成された形態など、様々の態様を採用できる。背もたれ3は、背もたれ本体29のみで構成することも可能である。
【0038】
背もたれ3が後傾すると、座2は前進する。従って、座2は可動ベース体4に前後スライド自在に取り付けられている。具体的には、
図2〜4に示すように、可動ベース体4に左右一対のスライダー36を前後動自在に装着し、左右スライダー36に座板6が前後相対動不能に装着されている。従って、座2はスライダー36と一緒に相対動する。
図4に示すように、スライダー36の前進動は、弾性支持手段の一例としてのばね37(圧縮コイルばね)で弾性的に支持される。ばね37は前後のばね受け38,39で支持されており、前部ばね受け38は可動ベース体4に前後動不能に保持されており、後部ばね受け39はスライダー36で押されて前進する。
【0039】
更に、左右のスライダー36の後端部には金属板製の左右横長の支持ステー(ジョイント板)40がビス41で固定されており、支持ステー40の左右両端部に上向きの受動アーム42を曲げ形成している一方、背もたれ本体29の下端部には、支持ステー40の受動アーム42に上から嵌まるポケット状の押動部(ホルダー部)43を設けている。受動アーム42の上端には、樹脂製の冠部材44を装着している。冠部材44は、押動部43への反力を分散させると共に動きを滑らかにするためのものである。
【0040】
本実施形態の椅子は、着座者の凭れ掛かりによって背もたれ3がロッキングすると、支持ステー40を介してスライダー36が前進し、これにより、座2は背もたれ3のロッキングに連動して(シンクロして)前進する。
【0041】
従って、本実施形態の椅子は、ネスティング可能な椅子でありながら、座2は背もたれ3のロッキングに連動して前進動する。なお、スライダー36はばね37で後退方向に付勢されているので、押動部43は受動アーム42を押す機能があれば足り、従って、ポケット状の形態にすることなく、例えば背もたれ本体29の下部の一部を厚肉化することで、押動部43として機能させることも可能である。本実施形態では、押動部43と支持ステー40の受動アーム42とで連動手段を構成している。また、スライダー36と支持ステー42とで前後動自在な座受け体が構成されており、これらスライダー36と支持ステー42に座2が取り付けられている(取り付け構造は後述する。)。
【0042】
(2).スライド機構
次に、各部位の詳細を説明する。まず、主として
図5〜7を参照してスライド機構を説明する(
図6(B)では、ばね受け38,39のみを表示してばね37は省略している
。)。既述のように、可動ベース体4には、座2が固定された左右一対のスライダー36が配置されている。
【0043】
例えば
図6,7のとおり、スライダー36は前後長手で下向きに開口した溝型になっており、左右側板36aの下端に外向きの前後フランジ36bを曲げ形成している。他方、可動ベース体4の左右側部には、スライダー36が被さる前後一対の支持突起45を設け、支持突起
45の上端に、軸心を
左右横長にして配置されたコロ46を転動自在に嵌め入れている。コロ46は
、POM樹脂のような摩擦係数が小さく耐磨耗性に優れた樹脂で製造されており、スライダー36を軽快かつ無音で前後スライドさせることができる。
【0044】
スライダー36の左右ずれは、可動ベース体4に設けた外ガイド壁47と前後の内ガイド突起48とによって規制されている。そして、外ガイド壁47と前後の内ガイド突起48とに、スライダー36の前後フランジ36bの上に位置したガイドストッパー49を突設している。このため、スライダー36は上向き移動不能で前後スライド自在に保持されている。スライダー36の前後フランジ36bの間に大きな間隔が空いている一方、前後のガイドストッパー49の間にも大きな間隔が空いている。
【0045】
そこで、スライダー36の取り付けは、スライダー36を所定位置よりも後ろにずらした状態で、前後のガイドストッパー49の間に手前側のフランジ36bを上から嵌め入れ、それからスライダー36を手前にずらしてフランジ36bをガイドストッパー49
の下に位置させる、という手順で行われる。スライダー36のフランジ36bと可動ベース体4の底面との間にはある程度の間隔が空いており、そこで、可動ベース体4には、スライダー36のフランジ36bに近接する補強リブ9を設けている。
【0046】
ばね37と前後ばね受け38,39とは1つのユニットになっており、前部ばね受け38は、手前側に位置した支持突起45の後面に設けた左右ホルダー片50にて前後左右ずれ不能に保持されている。すなわち、
図7に示すように、前部ばね受け38は左右のホルダー片50で挟まれた状態で後端が前部の支持突起45に当接しているが、左右ホルダー片50に
、支持突起45との間に溝ができるように切欠き
50aを形成する一方、前部ばね受け38には、切欠き51に上から嵌まる横向き突起38aを設けており、これにより、後部ばね受け39は左右方向及び前後方向にずれ不能に保持されている。
【0047】
また、同じく
図7に明示するように、前部ばね受け38には前端を自由端とした前向き片38bを形成しており、前向き片38cの前端にストッパー爪38dを設けて、このストッパー爪38dを、スライダー36に形成した長溝52に嵌め入れている。ストッパー爪38dは、その前端面は鉛直姿勢になっており、このため、スライダー36の後退位置が規制されている。また、ストッパー爪38dの後面は後ろに行くに従って低くなった傾斜面38eになっており、このため、スライダー36を後ろから手前にずらしてセットするにおいて、前向き片38cがいったん下向きに曲がり変形してから戻り変形する。従って、スライダー36の取り付けは簡単に行える。
【0048】
他方、
図6,7に示すように、後部ばね受け39には、スライダー36に切り起こし形成した垂下片53が後ろから当接している。垂下片53はその下端に左右外向き凸片53aを設けた正面視逆T型になっている一方、後部ばね受け39には、垂下片53のうち下端を除いた部分を左右から挟む左右の規制片39aを設けている。このため、スライダー36と後部ばね受け39とは左右ガタ付き不能に保持されている。
【0049】
後部ばね受け39には手前に延びるロッド39bが一体に形成されており、ロッド39bの先端を前後ばね受け38に設けた係合穴54に嵌め込むことにより、前後のばね受け38,39は抜け不能で相対動可能に保持されている。前後ばね受け38,39が最も離反した状態で、ばね37は予備圧縮されている(プリテンションが掛かっている。)。
【0050】
(3).スライダーとステーと座板との関係
次に、従前の図に加えて
図8,9も参照してスライダー36と支持ステー40と座板6との関係を説明する。
図5(B)(C)のとおり、スライダー36の後端には後ろ向き片36dを設けて、これを支持ステー40にビス41及びナット(袋ナット)58で固定している。
【0051】
支持ステー40のうちスライダー36の固定部は上向き膨出部40aになっており、上向き膨出部40aに凹み形成した段部40bにスライダー36の突片36cを固定している。このため、支持ステー40は高い剛性を保持している。なお、ナット58を使用せず、ビス41を支持ステー40に直接ねじ込むことも可能である(この場合は、支持ステー40にバーリング部を形成して、ビス41をバーリング部にねじ込むのが好ましい。)。なお、支持ステー40の膨出部40aは受動アーム42にも延びており、このため、受動アーム42の強度が格段に高くなっている。
【0052】
図8に示すように、座板6の下面には、スライダー36を左右から抱持する前後一対ずつの下向き規制体59,60を設けており、前部の下向き規制体59には、スライダー36の前端面に当たる規制部59aを設けている。更に、座板6には、スライダー36の後端に当接するストッパー爪60を設けている。
【0053】
ストッパー爪60は、後端を自由端とした後ろ向きの舌片61の後端に形成しており、かつ、ストッパー爪60の後面は後ろに
行くに従って高くなる傾斜面60aになっている。このため、座板6をスライダー36に重ねて後ろにずらすと、ストッパー爪60はいったん上に逃げ移動してから戻り変形して、スライダー36のうち突片36cの左右外側に位置した後端面に当接し、これにより、座板6は前後左右にずれ不能に保持される。
【0054】
更に、座板6の下面には、支持ステー40の前端縁に手前から嵌合する側面視鉤型のリア係合爪62を設けている。リア係合爪62は左右中間部とその左右外側との3カ所に設けており、リア係合爪62の存在によって座板6の後部は支持ステー40から上向き動不能に保持されているため、ストッパー爪60がスライダー36に係合した状態が保持されている。
【0055】
敢えて述べるまでもないが、座板6の取り付け構造は様々の手段を採用できる。例えば、スライダー36や支持ステー40にビス止めすることも可能である。また、左右のスライダー36をその前部においてもステーで連結し、前部のステーに対して座板を取り付けることも可能である。
【0056】
なお、
図1(C)を参照して説明したように、座クッション材7は表皮材8で覆われているが、表皮材8には筒部が形成されてこれに紐が通っており、紐を絞ることで座板6に取り付けている。そして、例えば
図8(B)に示すように、座2の周縁の下面には紐を嵌め込む環状溝63が形成されている。そして、紐は座板6の後端部の左右中間部において結んでいるが、座2の跳ね上げ状態で紐の結び目が露出すると美感を損なう虞がある。
【0057】
そこで、例えば
図8に示すように、座板6の後端には下向きのカバー片64を設けて、カバー片64を倒すことにより、紐の結び目の露出を防止している。カバー片64は倒した状態で座板6の下面と同一面を成すように設定しており、かつ、図示しない爪手段によって起こし不能に保持される。
【0058】
(4).座の押動機構
次に、主として
図10,11に基づいて、ロッキングに伴う座の押動機構を説明する。
図10,11のとおり、支持ステー40における受動アーム42の上端には既述のとおり樹脂製の冠部材44を装着している。冠部材44は側面視で概ね円形に近い形態であり、受動アーム42の上端が嵌まる下向き開口溝75を設けている。
【0059】
受動アーム42の上端も側面視で概ね円弧状に形成されているが、手前側に係合段部76を形成して後ろ側には切欠き77を形成しており、このため、受動アーム42の上端には首付きの頭部42aが形成された状態になっている。冠部材44には、受動アーム42の係合段に嵌合する爪部44aを形成しており、このため、冠部材44は、受動アーム42にガタ付き無く離脱不能に保持されている。
【0060】
背もたれ本体29の押動部43は既述のとおりポケット状に形成されており、左右の側板43aと、左右側板の上端に繋がった天板43bと、左右側板43aの内部に一対に繋がった上下長手の中板43cとを有している。左右側板43aの前端には内向きのフロントリブ43dが形成されており、フロントリブ43dの間隔は、受動アーム42は通るが冠部材44は抜け出ない寸法に設定されている。受動アーム42の頭42a及び冠部材44は、フロントリブ43dと中板43cとの間に位置しており、受動アーム42が冠部材44を介して中板43cで押されることにより、背もたれ3のロッキングに連動して座2が前進動する。
【0061】
中板43cの前面は、平面視で左右方向に真っ直ぐ伸びる平坦面になっている。このため、冠部材44をこじれのない状態で押すことができる。中板43cはこのように冠部材44をこじれなく安定良く押すために設けたものであるから、中板43cの後ろの空間は塞いでもよい。すなわち、中板43cを設けることに代えて、背もたれ本体29に段部を形成してもよい。
図11のとおり、中板43cの上半分程度では後ろには空間はなくて、実質式には段部になっている。
【0062】
図11に示すように、背もたれ3は上支軸17の軸心78を中心にして矢印79方向に回動し、この回動により、押動部43は下降しつつ前進する。他方、支持ステー40は前進するだけである。従って、冠部材44が押動部43の内部に相対的に上昇動することにより(中板43cで冠部材44を押す位置が高くなることにより)、ロッキングによる座2の前進動が許容されている。背もたれ3に作用する体圧が解除されると、支持ステー40はばね37によって後退し、すると、押動部43が冠部材44で押されて背もたれ3は戻り回動する。
【0063】
さて、人が背もたれ3に凭れかかっていない状態で背もたれ3の上端に前向きの外力が掛かることがあるが、本実施形態では、押動部43の左右側板43aの前端にフロントリブ43dを設けたことにより、ニュートラル状態で背もたれ3に前傾させようとする外力が作用しても、フロントリブが冠部材44に手前から当たることで背もたれ3の前傾が阻止される。従って、特別の前傾阻止手段を設けることなく、背もたれ3の前傾を防止できる。この点、本実施形態の利点の一つである。
【0064】
また、
図12のとおり、可動ベース体4の回動軸心27と冠部材44の軸心80とが一致しているため、可動ベース体4をポケット状の押動部43に収納したものでありながら、可動ベース体4はこじれなく回動させることができる。また、可動ベース体4をはね上げると背もたれ3は姿勢保持機能を失うため、特段の姿勢保持手段を講じないと、背もたれ3が自重で後傾し勝手になるが、その後傾動は押動部43が冠部材44に当たることで阻止される。従って、特段の後傾阻止手段を設けることなく、背もたれ3がずり下がるような状態で後傾動することを防止できる。
【0065】
なお、冠部材44の軸心80は、ごく僅かの寸法(例えば1〜3mm程度)だけ可動ベース体4の回動軸心27から下方又は手前若しくは手前下方にずらすことも可能である。この場合は、可動ベース体4はこじれを持った状態で回動するが(すなわち支点超えする状態で回動するが)、こじれは背もたれ本体29の弾性変形によって吸収され、かつ、可動ベース体4を跳ね上げた状態で、背もたれ本体29の弾性復原力が可動ベース体4を後傾し勝手に押すように作用するため、可動ベース体4を跳ね上げた状態を保持するのに有効である。既述のとおり、座部5を跳ね上げた状態では、当該座部5の重心はその回動軸心27よりも後ろに位置している。
【0066】
押動部43に、冠部材44に後ろから当たる金属製の当て板を設けることも可能である。また、冠部材を使用せずに
、受動アーム42と押動部43(の側板43a)とを左右横長のピンで連結することも可能である(この場合は、受動アーム42に設
けたピン穴を上下長手の長穴とすることで
、可動ベース体4の跳ね上げ回動を許容できる。)。
【0067】
(5).背もたれの連結構造
次に、上支軸17に対する背もたれ本体29の連結構造を、主として
図13〜16を参照して説明する。
図13,14のとおり、上支軸17は支持フレーム19(後足11)の左右外側に張り出しており、内側に突出した小径部17aを備えている。そして、小径部17aに背もたれ本体29の軸受け部32が、樹脂製の上ブッシュ82を介して回動可能に嵌合している。上ブッシュ82は、POM樹脂のように強度に優れると共に摩擦係数が小さい素材から成っている。
【0068】
上ブッシュ82は軸受け部32に外側から嵌まっているが、
図13(D)に示すように、背もたれ本体29の軸受け部32に、上ブッシュ82が嵌まる左右外向きの筒部83を一体に形成して、この筒部83の後部を切欠いている一方、上ブッシュ82には、筒部83の切欠き83aに嵌まって後ろ向きに延びるストッパー片82aを一体に設けており、このため、上ブッシュ82は背もたれ本体29の軸受け部32に相対回転不能に保持されている。
【0069】
図14に示すように、上ブッシュ82は上支軸17における小径部17aの端面に重なる端板82bを有しており、軸受け部32の中板32aと上ブッシュ82とが上ビス18で上支軸17に抜け不能に保持されている。上ビス18にはフランジ付きのカラー84が嵌まっており、カラー84の先端が上支軸17に設けた規制穴の底につかえることにより、軸受け部32及び上ブッシュ82は強固に締結されることなく回動可能な状態で保持されている。
【0070】
背もたれ本体29の軸受け部32には上ビス18の頭が隠れる凹所32cが左右内側と前方とに開口するように形成されており、凹所32cにはスライド式の上キャップ33が嵌まっている。上支軸17の外端面にはエンドキャップ85が嵌まっている。なお、上支軸17は肘掛けの取り付けに使用される。エンドキャップ85が嵌まっている穴は、肘掛けの取り付けに使用される雌ねじ穴である。
【0071】
図14に明示するように、背もたれ本体29における軸受け部32のうち上ブッシュ82ストッパー片82aが重なっている部分は、後ろに行くに従って左右内側にずれた傾斜面32bになっている。傾斜面32bの後端は上ブッシュ82の内端面の略真後ろに位置しており、かつ、軸受部32のうち傾斜面32bの後ろには、傾斜面32bより傾斜角度が大きい平面視弧状の傾斜部86が連続している。
【0072】
また、上ブッシュ82において、ストッパー片82aの付け根は端板82bよりも少し外側にずれており、このため、端板82bとストッパー片82aとの間は段部82cになっており、この段部82cに軸受部32の後部が嵌まっている。段部82cの箇所では上ブッシュ82は全周にわたって軸受部32に嵌まっている。このため高い軸支機能が発揮されていると共に、上ブッシュ82は軸受部32に安定良くしっかりと嵌まっている。
【0073】
既述のとおり、背もたれ本体29の押動部43は支持ステー40の冠部材44に嵌まっている。従って、椅子の組み立てに際しては、背もたれ本体29は、その押動部43を可動ベース体4に嵌め込みつつ、軸受部32を上支軸17に嵌め込まなければならない。この点、本実施形態では、
図15,16に示すように、背もたれ本体29をいったんニュートラル姿勢よりも前傾させた姿勢にして背もたれ本体29を冠部材44に嵌め込み、次いで、冠部材44を支点にして後ろに起こしながら軸受部32を上支軸17に嵌め込んだらよい。
【0074】
この組み立てに際しては、上ブッシュ82は先に上支軸17に嵌め込んでいる。そして、上ブッシュ82の後部と軸受部32の後端とは段差82cの寸法Eの分だけ左右方向に噛み合っているが、背もたれ本体29は左右軸受部32の間隔が縮まるように若
干弾性変形するので、傾斜面32bを上ブッシュ82の前端に当てて後ろ向きに押し込むことにより、傾斜面32bが上ブッシュ82を乗り越えて後ろに移動し、押し込み
きるのと同時に軸受部32と上ブッシュ82とはしっかり嵌まり合う。
【0075】
従って
、背もたれ本体29(背もたれ3)の取り付けをごく簡単に行える。背もたれ本体29は冠部材44によっておおまかな左右位置が決められるが、実施形態のように軸受部32の後ろに傾斜部86を形成しておくと、誘い込み機能が向上するため好適である。
【0076】
(6).可動ベース体の連結構造
次に、可動ベース体4の連結構造を主として
図17〜22に基づいて説明する。
図17〜19に示すように、可動ベース体4のボス部23には、中壁88を挟んで外向き穴89と内向き穴90とが形成されており、外向き穴89に下ブッシュ25が外から嵌まっている。
【0077】
外向き穴89は側面視で上が円弧の略馬蹄形であり、これに下ブッシュ25の内端部25aが相対回転不能に嵌まっている。下ブッシュ25は、内端部25aの外側に位置した下向き突出部25bと、下向き突出部25bの外側に位置して下半周を囲う厚肉部25cを有している。厚肉部25cの両端は上向きの段差面になっている。
【0078】
他方、可動ベース体4のボス部23は、下ブッシュ25を左右と上から囲う逆U字型のドーム部23aを有しており、ドーム部23aの左右側板を軸心より下方の部位において切欠くことにより、下ブッシュ25の厚肉部25cに上から重なる段部23bを形成している(切欠き部
を符号23dで示す。)。従って、下ブッシュ25の肉厚部25cの箇所はボス部23の外周と略同一面を成していて、全体として円筒状になっている。下ブッシュ25の内部は基本的には円形になっており、これに下支軸24が嵌まっている。ドーム部23aは外向き穴89の外端の外側にはみ出ている。従って
、ドーム部23aは下方に開口している。
【0079】
下ビス26は内側から下支軸24にねじ込まれており、下ビス26には、内向き穴90の底面に重なる平座金91と、下ビス26の座面に重なるフランジを有するカラー92と、平座金91とカラー92のフランジとの間に位置した2枚の皿型ばね座金93とが嵌まっている。皿型ばね座金93を偏平に潰し変形した状態で下ビス26をねじ込むことにより、ボス部23が下支軸24に取り付けられる。2枚の皿型
ばね座金93は、その凹部が相対向するように逆向きの姿勢で配置されている(凹部を逆方向に向けた姿勢でもよい。)。外向き穴90は、前後スライド式の下キャップ28で塞がれている。
【0080】
カラー92が下支軸24の穴の底面に突っ張ることで下ビス26のねじ込み深さが規制され、その状態では、ボス部23は完全に締結されることなく、
皿型ばね座金93は僅かながら潰し変形される余地が残っている。このため、可動ベース体4は下支軸24の軸心27を中心にして回動させることができる。また、
皿型ばね座金93の弾性変形力が可動ベース体4の回動に対して抵抗として作用しているため、安価な
皿型ばね座金93を利用して、跳ね上げた状態の座部5が倒れ回動することを阻止できる。
【0081】
更に、下ブッシュ25の下向き突出部25bに前後長手のばね片部25dを一体に設け、ばね片部25dの前後中間部に係合突部25eを形成している一方、下ブッシュ25には、座部5を倒した状態と起こした状態とにおいてばね片部25dの係合突部25eに選択的に嵌まる2本の係合溝94を形成している。ばね片部25dの下方は空間になっており、このため、ばね片部25dが撓み変形して係合突起25eが下ブッシュ25から逃げることが許容されている。
【0082】
また、係合突起25eが係合溝94に嵌まると、カチッという音がしたり、感触によって嵌まり合いが判る。すなわち、座部5を所定の姿勢に跳ね上げたり倒したりすると、人はクリック感を得ることができる。このため、所定姿勢に到達したことを把握できて、ユーザーフレンドリーである。なお、係合突起25eと係合溝94とは座部5の姿勢保持手段の一例であり、姿勢保持手段としては、例えば、ばねやゴム等の弾性体とボールとを使用したボールキャッチ等の様々な方法を採用できる。
【0083】
図21に示すように、可動ベース体4の取り付けは、ボス部23を下支軸に上から嵌め込むことで行われる。下ブッシュ25は予め下支軸24に嵌め込んでいる。この取り付けに際しては、下ブッシュ25とボス部23とは、
図18に示すように外向き穴89の深さ寸法Eだけ左右方向に嵌合しているが、可動ベース体4の角状アーム22は多少は撓み変形するため、可動ベース体4をある程度の力で下向きに押すと、ボス部23はいったん内側に逃げ変形してから、押し込み
きるのと同時に戻り変形して、ボス部23は下ブッシュ25に嵌合する。
【0084】
この場合、ボス部23のドーム部23aが外側に張り出しているため、下ブッシュ25への嵌め込みに際して前後方向の位置決めが自動的に成される。このため、取り付けを迅速かつ正確に行える。また、
図18に示すように、ボス部23のうち外向き穴89の下方の部分は内側に行くほど下がった傾斜面23cになっていると共に、下ブッシュ25の先端部外面には面取り状の傾斜面25fが形成されているため、下ブッシュ25へのボス部23の誘い込みが確実ならしめられている。この点、本実施形態の利点の一つである。
【0085】
図18に示すように、可動ベース体4の回動軸心27と支持ステー40の冠部材44の軸心とは同心になっている。この点は既に説明したとおりである。
【0086】
(7).他の実施形態
図23では
、回転椅子に適用した例を示している。この例では、ガスシリンダより成る脚支柱96の上端に設けた昇降ベース97に左右の支持フレーム19を設け、この支持フレーム98に背もたれ3と可動ベース体4とを回動自在に連結している。背もたれ3と可動ベース体4との連結構造は上記した実施形態と同じである。脚装置1は
、脚筒99に対する取り付け位置の高さを変えた2本ずつの枝足101,102を有している。このため、座部5を跳ね上げると前後にネスティングすることができる。
【0087】
(8).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、座や背もたれの形態は必要に応じて任意に設定できる。ロッキングに対して抵抗を付与するばね手段としては、トーションバーや板ばねなど各種のばねを採用できる。背もたれの後傾姿勢を制御するガスシリンダ等のロック手段を設けることも可能である。背もたれ又は座は、その外周を構成するフレーム材にメッシュ状等の可撓性シート材を張った構造とすることも可能である。
【0088】
背もたれと座(可動ベース体)とを別々の支持部材に連結することも可能である。
図1〜22の実施形態のような固定式脚装置の椅子の場合、脚装置1を構成する上サイド部14に上向き突出した支持部材(支持部)を設け、これに可動ベース体や背もたれを取り付けることも可能である。受動アームと押動部とを左右中間部の1カ所だけに設けることも可能である。受動部と押動部を左右横長のピンで連結することも可能である(この場合は、受動部と押動部とのピン穴のうち片方を上下長手の長穴にする必要がある。)。