特許第6117525号(P6117525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6117525転写フィルム、転写フィルムの製造方法、及び、転写方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117525
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】転写フィルム、転写フィルムの製造方法、及び、転写方法
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/17 20060101AFI20170410BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20170410BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B44C1/17 F
   B44C1/17 A
   B32B27/16 101
   B41M5/00 120
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-256889(P2012-256889)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-104592(P2014-104592A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池田 明
(72)【発明者】
【氏名】川畑 章
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 善満
(72)【発明者】
【氏名】古旗 朝隆
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−190342(JP,A)
【文献】 特開平11−052866(JP,A)
【文献】 特開2007−223291(JP,A)
【文献】 特開平08−207500(JP,A)
【文献】 特開2010−280828(JP,A)
【文献】 特開2008−069231(JP,A)
【文献】 特開2012−201105(JP,A)
【文献】 特開平09−044091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M5/00,5/50−5/52
B44C1/16−1/175
G09F3/00−3/20
B65C5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写シートと、
上記転写シート上に形成されたソルベントUVインク層と、
上記転写シートにおいて、上記ソルベントUVインク層が形成された面に背向する面に形成された接着層と
を備え、
上記ソルベントUVインク層上に、加飾材料(インクを除く)、金属薄膜、粉末を含有するシート、及び小片状の物質を含有するシートからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む加飾層が上記ソルベントUVインク層の粘着性により付着していることを特徴とする転写フィルム。
【請求項2】
転写シート上に、インクジェット印刷装置を用いてソルベントUVインク層を形成する形成工程と、
上記ソルベントUVインク層を加熱することで上記ソルベントUVインク層内の有機溶媒を揮発させ、上記ソルベントUVインク層の粘着性が維持されるように乾燥させる乾燥工程と、
乾燥した上記ソルベントUVインク層に紫外線を照射して硬化させる硬化工程と
を包含し、
上記乾燥工程と上記硬化工程との間に、乾燥した上記ソルベントUVインク層に、加飾材料(インクを除く)、金属薄膜、粉末を含有するシート、及び小片状の物質を含有するシートからなる群から選ばれる少なくとも1つを付着させて加飾層を形成する加飾工程をさらに包含することを特徴とする転写フィルムの製造方法。
【請求項3】
上記乾燥工程において、
40℃以上、60℃以下の温度で上記ソルベントUVインク層を予備加熱し、
予備加熱した上記ソルベントUVインク層を、35℃以上、55℃以下の温度で本加熱し、
本加熱した上記ソルベントUVインク層を、40℃以上、60℃以下の温度で後加熱する
ことを特徴とする請求項2に記載の転写フィルムの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の転写フィルムを印刷対象物に貼り付け、上記転写フィルムを熱プレスする熱プレス工程
を包含することを特徴とする転写方法。
【請求項5】
上記印刷対象物は、布帛であることを特徴とする請求項4に記載の転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写フィルム、転写フィルムの製造方法、及び、転写フィルムを用いた転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
織物、編物等の布帛上に図柄層を形成する方法として、特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1に記載の方法においては、繊維基材上に、顔料を含む紫外線硬化型樹脂からなる図柄層を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−12777号公報(2010年1月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、紫外線硬化型インクを用いて、布帛上に図柄層を形成するため、図柄層を形成した布帛の洗濯堅牢性が低く、洗濯することによって図柄層が劣化する場合がある。
【0005】
また、布帛上に塗布された紫外線硬化型インクを加飾する場合、インクの滲みを防止するために、加飾前に紫外線硬化型インクを仮硬化して粘度を上げてから加飾する必要がある。しかしながら、滲みを防止可能であり、かつ、加飾に必要な粘着性が維持された粘度になるように、紫外線硬化型インクの硬化を制御することは困難である。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗濯堅牢性に優れた転写物を得るための転写フィルム、当該転写フィルムの製造方法、及び、当該転写フィルムを用いた転写方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る転写フィルムは、転写シートと、上記転写シート上に形成されたソルベントUVインク層とを備えたことを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、転写フィルムは、転写シート上に形成されたソルベントUVインク層を備えている。したがって、転写フィルムを印刷対象物に貼り付けることによって、ソルベントUVインク層を印刷対象物上に転写することができる。そして、ソルベントUVインク層は、ソルベントUVインクにより形成されたものであるため、洗濯堅牢性に優れており、複数回洗濯しても転写した図柄が劣化しない。したがって、当該転写フィルムは、特に、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類への転写に好適である。
【0009】
本発明に係る転写フィルムは、上記ソルベントUVインク層上に、加飾材料が付着している、又は、上記ソルベントUVインク層上に加飾材料を含む加飾層が形成されていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、ソルベントUVインク層が加飾材料により加飾されている。ソルベントUVインク層は、乾燥させることにより有機溶媒が揮発し、粘度が高くなるが、加飾に必要な粘度は維持されるため、ソルベントUVインク層の滲みを防止しつつ、好適に加飾される。したがって、このような転写フィルムを用いて転写することで、精巧で商品価値の高い転写物が得られる。
【0011】
本発明に係る転写フィルムの製造方法は、転写シート上にソルベントUVインク層を形成する形成工程と、上記ソルベントUVインク層を乾燥させる乾燥工程と、乾燥した上記ソルベントUVインク層に紫外線を照射して硬化させる硬化工程とを包含することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、転写シート上にソルベントUVインク層を形成した後、乾燥させる。ソルベントUVインク層を乾燥させることによって、ソルベントUVインク層に含まれる有機溶媒が揮発し、粘度が高くなる。したがって、ソルベントUVインク層の滲みを効果的に防止することができる。
【0013】
そして、乾燥後のソルベントUVインク層に紫外線を照射して、ソルベントUVインク層を硬化させて、目的とする転写フィルムを得る。このようにして得られた転写フィルムはソルベントUVインク層を備えており、洗濯堅牢性に優れているため、複数回洗濯しても転写した図柄が劣化しない。したがって、特に、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類に転写する場合に好適な転写フィルムを製造することができる。
【0014】
本発明に係る転写フィルムの製造方法は、上記乾燥工程と上記硬化工程との間に、乾燥した上記ソルベントUVインク層に、加飾材料を付着させる又は当該加飾材料を含む加飾層を形成する加飾工程をさらに包含することが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、乾燥したソルベントUVインク層を、硬化前に加飾する。乾燥したソルベントUVインク層は粘度が高くなっているが、硬化していないため、粘着性が維持されている。したがって、加飾工程において、加飾材料又は当該加飾材料を含む加飾層を、ソルベントUVインク層に好適に付着させることができる。つまり、ソルベントUVインク層上に加飾層を付着させるために、別途プライマー等を用いる必要がない。
【0016】
このようにソルベントUVインク層を加飾することができるので、精巧で商品価値の高い転写物を得ることが可能な転写フィルムを製造することができる。
【0017】
本発明に係る転写フィルムの製造方法は、上記乾燥工程において、40℃以上、60℃以下の温度で上記ソルベントUVインク層を予備加熱し、予備加熱した上記ソルベントUVインク層を、35℃以上、55℃以下の温度で本加熱し、本加熱した上記ソルベントUVインク層を、40℃以上、60℃以下の温度で後加熱することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、乾燥工程においてソルベントUVインク層を加熱することにより乾燥させる。このとき、40℃以上、60℃以下の温度での予備加熱、35℃以上、55℃以下の温度での本加熱、及び、40℃以上、60℃以下の温度での後加熱のように、加熱温度を変化させて、ソルベントUVインク層を加熱する。
【0019】
これにより、ソルベントUVインク層を、滲みを防止しつつ、加飾に必要な粘着性が維持された粘度になるように、好適に乾燥させることができる。
【0020】
本発明に係る転写方法は、上述したいずれかの転写フィルムを印刷対象物に貼り付け、上記転写フィルムを熱プレスする熱プレス工程を包含することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、転写フィルムを印刷対象物に貼り付け、熱プレスにより加熱及び加圧することによって、転写フィルムを印刷対象物に転写して、所望の転写物を得ることができる。このように、ソルベントUVインク層を含む転写フィルムを用いることによって、洗濯堅牢性に優れた転写物を得ることができる。
【0022】
本発明に係る転写方法において、上記印刷対象物は、布帛であることが好ましい。これにより、洗濯堅牢性に優れた布帛の転写物を得ることが可能である。したがって、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類等の転写に好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、転写フィルムが、転写シート上に形成されたソルベントUVインク層を備えているので、洗濯堅牢性に優れた転写物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る転写方法の概要を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る転写フィルムの製造方法の概要を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して、以下に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る転写方法の概要を示す模式図である。
【0026】
〔転写フィルム10〕
図1中(a)に示すように、本発明の一実施形態に係る転写フィルム10は、転写シート11と、転写シート11上に形成されたソルベントUVインク層2とを備えている。また転写フィルム10は、転写シート11において、ソルベントUVインク層2が形成された面に背向する面に形成された接着剤層12とを備えていてもよい。また、転写フィルム10は、ソルベントUVインク層2上に加飾層3を備えていてもよく、接着剤層12上に剥離シート13を備えていてもよい。さらに、転写フィルム10は、加飾層3上に保護フィルム14を備えていてもよい。
【0027】
(転写シート11)
転写シート11は、ソルベントUVインク層2を印刷対象物20上に転写するためのものであり、転写された印刷対象物20上において、印刷対象物20の伸縮に追従するような伸縮性を有するシートあり得る。転写シート11が印刷対象物20の伸縮に追従するような伸縮性を有することによって、転写シート11上のソルベントUVインク層2が、印刷対象物20の伸縮により生じる力を受けて破損することを防ぐことができる。
【0028】
このような転写シート11として、例えば、公知のラバーシートを好適に使用可能である。ラバーシートとしては、特にウレタンラバーシートを用いることが好ましい。
【0029】
(ソルベントUVインク層2)
ソルベントUVインク層2は、ソルベントUVインクにより形成されたインク層である。ソルベントUVインク層2は、転写シート11上にソルベントUVインクを塗布して形成することができる。
【0030】
<ソルベントUVインク>
ソルベントUVインクは、UV硬化型樹脂(紫外線硬化型樹脂)と有機溶媒とを含むインクであり、UV硬化型樹脂が有機溶媒中に溶解したものである。ソルベントUVインクは、さらに、顔料、光重合開始剤、及び、増感剤を含んでいてもよい。
【0031】
≪UV硬化型樹脂≫
ソルベントUVインクに含まれるUV硬化型樹脂は、重合を開始して硬化するモノマー、オリゴマー、又は、ポリマーであり得る。このようなモノマー、オリゴマー、又は、ポリマーとしては、従来公知の市販品を好適に利用できる。
【0032】
紫外線が照射されることによって重合を開始して硬化するモノマー、オリゴマー、又は、ポリマーとしては、例えば、カチオン重合型、ラジカル重合型、又は、これらの混合物が挙げられる。これらの紫外線硬化型樹脂は、単独で使用することも、2種以上を混合して使用することもできる。
【0033】
ソルベントUVインクに含まれる、紫外線が照射されることによって重合を開始して硬化するモノマー、オリゴマー、又は、ポリマーの含有量は、インク組成物全体に対して、3重量%以上、90重量%以下であることが好ましく、5重量%以上、30重量%以下であることがより好ましい。ソルベントUVインクに上記範囲でUV硬化型樹脂を含有させることによって、紫外線照射により好適に硬化させることができる。
【0034】
≪有機溶媒≫
ソルベントUVインクに含まれる有機溶媒としては、UV硬化型樹脂を溶解するものであり、ソルベントUVインクを加熱等により乾燥させることによって揮発するものであればよい。このような有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ケトン類、アルコール類、エーテル類、炭化水素類、グリコール類、グリコールエーテルアセテート類、グリコールエーテル類、エステル類、及び、ピロリドン類が挙げられる。
【0035】
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び、2−ヘプタノン等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキシルアルコール、イソヘプチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、及び、3−メトキシブタノール等が挙げられる。
【0036】
エーテル類としては、例えば、セロソルブ及びブチルセロソルブ等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン、テレピン油、リモネン、工業用揮発油、テトラヒドロナフタレン、及び、デカヒドロナフタレン等が挙げられる。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及び、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0037】
グリコールエーテルアセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及び、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0038】
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0039】
エステル類としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ルモノイソブチレート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、プロピレンカーボネート、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、二塩基酸エステルDBE、及び、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。ピロリドン類としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0040】
上述した各有機溶媒は、使用する浸透防止剤の溶解性、インクの吐出安定性、及び、目的とする媒体上におけるインクの乾燥性を考慮して、1種を単独で用いてもよく、沸点の異なる2種類以上の溶媒を任意で組み合わせて用いてもよい。ソルベントUVインクに含まれる有機溶媒の含有量は、インク組成物全体に対して、50重量%以上、99重量%以下であることがより好ましい。
【0041】
≪顔料≫
ソルベントUVインクに含有させることができる顔料としては、公知の顔料が挙げられるが、ブラック顔料として、例えば、カーボンブラックが挙げられ、カラー顔料としては、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン、(チオ)インジゴイド等が挙げられる。これらの顔料は、単独でインクに含有させてもよいし、2種以上を混合してインクに含有させてもよい。ソルベントUVインクをクリアインクとする場合には、インク中に顔料を含有させなくてもよい。ソルベントUVインクに含まれる顔料の含有量は、インク組成物全体に対して、3重量%以上、5重量%以下程度であることが好ましい。
【0042】
≪光重合開始剤≫
ソルベントUVインクに含有させることができる光重合開始剤としては、紫外線が照射されることによって、UV硬化型樹脂の重合を効率よく開始させるものであればよく、公知の光重合開始剤を用いることができる。このような光重合開始剤として、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でインクに含有させてもよいし、2種以上を混合してインクに含有させてもよい。
【0043】
≪増感剤≫
ソルベントUVインクに含有させることができる増感剤としては、光重合開始剤の紫外線による反応を効率よく開始させることが可能なものであればよく、公知の増感剤を用いることができる。このような増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン類が挙げられる。これらの増感剤は、単独でインクに含有させてもよいし、2種以上を混合してインクに含有させてもよい。
【0044】
≪その他の添加剤≫
ソルベントUVインクは、上述した添加剤以外にも、必要に応じて、希釈剤、消泡剤、顔料分散剤、スリップ剤、レベリング剤、重合禁止剤等を含んでいてもよい。ソルベントUVインクに含まれる光重合開始剤とその他の添加剤との総含有量は、インク組成物全体に対して、10重量%程度であることが好ましい。
【0045】
(接着剤層12)
接着剤層12は、転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付けるためのものである。転写フィルム10を印刷対象物20上において熱プレスする場合、接着剤層12は、ホットメルト接着剤により形成されていればよい。ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を包含しており、常温で固形又は半固形状態であり、加熱することによって溶融し、その後冷却することによって固形又は半固形状態となるものであればよい。
【0046】
接着剤層12を形成するホットメルト接着剤としては、公知のものを使用可能である。接着剤層12は、転写シート11上にホットメルト接着剤を塗布して形成してもよいし、ホットメルト接着剤により形成したフィルムを転写シート1に接着して形成してもよい。
【0047】
(加飾層3)
加飾層3は、ソルベントUVインク層2を加飾材料により加飾するものである。転写フィルム10は、ソルベントUVインク層2上に加飾材料を含む加飾層3を形成することによって加飾されていてもよいし、ソルベントUVインク層2上に加飾材料を付着させることによって、加飾されていてもよい。加飾層3は、乾燥後硬化前のソルベントUVインク層2上に形成することができる。
【0048】
ソルベントUVインク層2は、乾燥させることにより有機溶媒が揮発し、粘度が高くなるが、加飾に必要な粘度は維持されるため、ソルベントUVインク層2上に加飾層3を設けることによって、ソルベントUVインク層2の滲みを防止しつつ、好適に加飾することができる。したがって、このような転写フィルム10を用いて転写することで、精巧で商品価値の高い転写物が得られる。
【0049】
加飾材料としては、ソルベントUVインク層2上に蒔いてソルベントUVインク層2に付着させることができる公知の蒔絵材料を使用可能であり、例えば、顔料、金属粉末、ビーズ、宝石粒(パール等)、毛糸等のような、粉末又は小片状の物質が挙げられる。加飾材料を含む加飾層3は、例えば、金箔のような金属薄膜であってもよく、他の粉末又は小片状の物質を含有するシートであってもよい。
【0050】
加飾層3は、さらに、ウレタン樹脂等によりコーティング又はドーミングされていてもよく、これにより加飾層3の耐候性及び光沢性が向上する。
【0051】
(剥離シート13)
剥離シート13は、印刷対象物20に接着する前の接着剤層12を保護するためのものである。接着剤層12上に剥離シート13を設けることによって、接着剤層12が保護されると共に、転写フィルム10が予期せず目的としないものに接着することを防ぐことができる。転写フィルム10を用いて転写するとき、転写フィルム10から剥離シート13を剥離して接着剤層12を露出させ、印刷対象物20に貼り付ける。
【0052】
剥離シート13としては、公知のものを使用することが可能である。
【0053】
(保護フィルム14)
保護フィルム14は、ソルベントUVインク層2、又は、その上に設けられた加飾層3を保護するためのものである。ソルベントUVインク層2又は加飾層3上に保護フィルム14を貼り付けることによって、ソルベントUVインク層2又は加飾層3に埃等が付着したり、傷がついたりすることを防ぐことができる。
【0054】
また、転写フィルム10を印刷対象物20に熱プレスするとき、ソルベントUVインク層2及び加飾層3を熱から保護するために、耐熱性フィルムを保護フィルム14としてソルベントUVインク層2又は加飾層3に貼り付けてもよい。転写フィルム10を印刷対象物20に熱圧着した後、転写フィルム10から保護フィルム14を剥離する。
【0055】
保護フィルム14としては、公知のものを使用することが可能である。保護フィルム14は、透明フィルムであってもよい。
【0056】
このように、転写フィルム10は、転写シート11上に形成されたソルベントUVインク層2を備えている。したがって、転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付けることによって、ソルベントUVインク層2を印刷対象物20上に転写することができる。そして、ソルベントUVインク層2は、ソルベントUVインクにより形成されたものであるため、洗濯堅牢性に優れており、複数回洗濯しても転写した図柄が劣化しない。したがって、転写フィルム10は、特に、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類への転写に好適である。
【0057】
〔転写方法〕
本発明の一実施形態に係る転写方法は、転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付け、転写フィルム10を熱プレスする熱プレス工程を包含する。転写方法は、熱プレス工程の前に、カッティング工程、フィルム貼付工程、及び、接着剤層貼付工程をさらに包含してもよい。また、転写方法は、熱プレス工程の後に、フィルム剥離工程をさらに包含してもよい。
【0058】
<印刷対象物20>
転写方法において、転写フィルム10を用いた転写の対象となる印刷対象物20としては、種々の印刷対象物を使用可能であるが、特に布帛を用いることが好ましい。布帛は、織物、編物、不織布等の繊維基材であり、Tシャツ等の衣類を形成する素材である。本実施形態に係る転写方法によれば、洗濯堅牢性に優れた布帛の転写物を得ることが可能であるので、より高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類等も、印刷対象物20として好適である。
【0059】
なお、印刷対象物20として、ロール状に巻き取られた印刷対象物を用いる場合、転写フィルム10を貼り付ける前に印刷対象物20を巻き出し、転写フィルム10を熱プレスにより圧着した後に、印刷対象物20を巻き取ればよい。
【0060】
(カッティング工程)
転写方法においては、図1中(a)に示すように、まず、所望の形状に形成されたソルベントUVインク層2を有する転写フィルム10を準備し、所望の形状にカッティングする。このとき、転写シート11において、ソルベントUVインク層2が形成された面に背向する面に形成された接着剤層12には、剥離シート13が設けられており、ソルベントUVインク層2上には加飾層3が設けられていてもよい。転写フィルム10をカッティングする方法としては、公知のカッティング技術を用いればよい。
【0061】
(フィルム貼付工程)
次に、図1中(b)に示すように、後の熱プレス工程において加飾層3を保護するために、加飾層3上に耐熱性の保護フィルム14を貼り付ける。保護フィルム14は、加飾層3上に接着剤を介して貼り付けることができる。
【0062】
(接着剤層貼付工程)
そして、図1中(c)に示すように、カッティングして保護フィルム14を貼り付けた転写フィルム10の接着剤層12を、印刷対象物20に貼り付ける。このとき、転写フィルム10に剥離シート13が貼り付けられていれば、剥離シート13を剥離して接着剤層12を露出させてから、印刷対象物20に貼り付ける。
【0063】
(熱プレス工程)
次に、図1中(d)に示すように、印刷対象物20に貼り付けた転写フィルム10を熱プレスにより加熱及び加圧し、転写フィルム10を印刷対象物20に圧着させる。これにより、転写フィルム10のソルベントUVインク層2を印刷対象物20に転写した転写物を得ることができる。
【0064】
転写フィルム10を印刷対象物20に熱プレスする方法としては、公知の熱プレス技術を用いればよい。熱プレス工程における熱プレス条件としては、転写フィルム10を印刷対象物20に好適に圧着させることができる条件であればよい。熱プレス時の加熱温度は、接着剤層12を形成するホットメルト接着剤が溶融する温度であって、保護フィルム14の耐熱温度以下であればよく、130℃以上、160℃以下であることが好ましく、140℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
【0065】
熱プレス時の圧力は、溶融した接着剤層12を印刷対象物20に好適に圧着させることが可能な圧力であって、転写フィルム10が破損しないような圧力であればよく、0.01kPa以上、0.1kPa以下であることが好ましく、0.03kPa以上、0.07kPa以下であることがより好ましい。熱プレス時間は、例えば、5秒以上、20秒以下であってもよい。
【0066】
図1中(d)においては、保護フィルム14側から転写フィルム10を熱プレスするように示されているが、これに限定されず、印刷対象物20側から、印刷対象物20を転写フィルム10に押し付けるように熱プレスしてもよく、また、両側から熱プレスしてもよい。
【0067】
(フィルム剥離工程)
最後に、図1中(e)に示すように、印刷対象物20に圧着された転写フィルム10から保護フィルム14を剥離し、目的の転写物を得る。
【0068】
このように、転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付け、熱プレスすることによって、転写フィルム10のソルベントUVインク層2を印刷対象物20に転写して、所望の転写物を得ることができる。このように、ソルベントUVインク層2を含む転写フィルム10用いることによって、洗濯堅牢性に優れた転写物を得ることができる。
【0069】
〔転写フィルムの製造方法〕
本発明の一実施形態に係る転写フィルムの製造方法は、転写シート11上にソルベントUVインク層2を形成する形成工程と、ソルベントUVインク層2を乾燥させる乾燥工程と、乾燥したソルベントUVインク層2に紫外線を照射して硬化させる硬化工程とを包含する。転写フィルムの製造方法は、さらに、乾燥工程と硬化工程との間に、加飾工程を包含してもよい。
【0070】
本実施形態に係る転写フィルムの製造方法について、図2を参照して以下に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る転写フィルムの製造方法の概要を示す模式図である。なお、図2においては、接着剤層12を形成する前の転写シート11上にソルベントUVインク層2を形成する方法を例として示す。なお、ソルベントUVインク層2及び接着剤層12を転写シート11上に設ける順序については、特に限定されない。
【0071】
(形成工程)
図2中(a)に示すように、形成工程においては、転写シート11上にソルベントUVインク層2を形成する。このとき、転写シート11において、接着剤層12が形成される面に背向する面上に、ソルベントUVインク層2を形成する。ソルベントUVインク層2は、転写シート11上にソルベントUVインクを所望の形状で塗布することによって形成することができる。転写シート11上へのソルベントUVインクの塗布は、例えば、インクジェット印刷装置を用いて行うことができる。
【0072】
(乾燥工程)
図2中(b)に示すように、乾燥工程においては、転写シート11上に形成されたソルベントUVインク層2を乾燥させる。乾燥工程においては、例えば、ソルベントUVインク層2を加熱することで、ソルベントUVインク層2内の有機溶媒を揮発させ、乾燥させる。図2中(b)においては、ソルベントUVインク層2側から直接ソルベントUVインク層2を加熱するように示されているが、これに限定されず、転写シート11側から、転写シート11を介してソルベントUVインク層2を加熱してもよい。
【0073】
乾燥工程においては、40℃以上、60℃以下の温度でソルベントUVインク層2を予備加熱し、予備加熱したソルベントUVインク層2を、35℃以上、55℃以下の温度で本加熱し、本加熱したソルベントUVインク層2を、40℃以上、60℃以下の温度で後加熱してもよい。また、乾燥工程において、予備加熱温度を60℃、本加熱温度を55℃、後加熱温度を60℃にすることがより好ましい。このように、加熱温度を変化させて、ソルベントUVインク層2を加熱して乾燥させることによって、ソルベントUVインク層2を、滲みを防止しつつ、後の加飾工程における加飾に必要な粘着性が維持された粘度になるように、好適に乾燥させることができる。
【0074】
乾燥工程における乾燥時間は、例えば、ソルベントUVインク層2が所望の粘度となるような乾燥時間を適宜設定することができる。
【0075】
乾燥工程において、ソルベントUVインク層2を乾燥させることによって、ソルベントUVインク層2の粘度が高くなるため、転写シート11上におけるソルベントUVインク層2の滲みを効果的に防止することができる上に、後の加飾工程における加飾材料による加飾を好適に行うことが可能な粘度を維持することができる。
【0076】
(加飾工程)
図2中(c)に示すように、加飾工程においては、乾燥したソルベントUVインク層2上に、加飾材料を付着させる又は当該加飾材料を含む加飾層3を形成する。すなわち、加飾工程においては、乾燥したソルベントUVインク層2を加飾材料により加飾する。乾燥したソルベントUVインク層2は粘度が高くなっているが、硬化していないため、粘着性が維持されている。したがって、別途プライマー等を用いることなく、ソルベントUVインク層2を加飾することができる。
【0077】
(硬化工程)
図2中(d)に示すように、硬化工程においては、加飾したソルベントUVインク層2に紫外線(UV)を照射して硬化させる。ソルベントUVインク層2に紫外線を照射する方法としては、LED、メタルハライドランプ等から紫外線を照射するような、公知の方法を使用することができる。ソルベントUVインク層2に照射する紫外線の波長は、ソルベントUVインク層2を好適に硬化させることが可能な波長であれば特に限定されない。
【0078】
図2中(d)においては、加飾層3側からソルベントUVインク層2に紫外線を照射するように示されているが、これに限定されず、転写シート11として紫外線透過性のものを用いる場合には、転写シート11側から、転写シート11を介してソルベントUVインク層2に紫外線を照射してもよい。
【0079】
硬化工程後の印刷物において、加飾層3を、さらに、ウレタン樹脂等を用いてコーティング又はドーミングすることによって、加飾層3の耐候性及び光沢性を向上させてもよい。また、転写シート11において、ソルベントUVインク層2が形成された面に背向する面上に、接着剤層を形成し、接着剤層上に剥離シートを貼り付けたり、加飾層3上に保護フィルムを貼り付けたりしてもよい。
【0080】
このように、本発明の一実施形態に係る転写フィルムの製造方法によれば、滲みが少なく、好適に加飾された、洗濯堅牢性に優れた転写フィルムを得ることができるすなわち、本発明に係る転写フィルムの製造方法により製造される転写フィルムの一実施形態は、上述した転写フィルム10である。
【0081】
このようにして得られた転写フィルムは、洗濯堅牢性に優れているため、複数回洗濯しても印刷した図柄や加飾層が劣化しない。したがって、特に、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類への転写に好適である。
【0082】
〔付記事項〕
転写フィルム10は、転写シート11と、上記転写シート11上に形成されたソルベントUVインク層2とを備えている。
【0083】
上記の構成によれば、転写フィルム10は、転写シート11上に形成されたソルベントUVインク層2を備えている。したがって、転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付けることによって、ソルベントUVインク層2を印刷対象物20上に転写することができる。そして、ソルベントUVインク層2は、ソルベントUVインクにより形成されたものであるため、洗濯堅牢性に優れており、複数回洗濯しても転写した図柄が劣化しない。したがって、当該転写フィルム10は、特に、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類への転写に好適である。
【0084】
転写フィルム10は、上記ソルベントUVインク層2上に、加飾材料が付着している、又は、上記ソルベントUVインク層上に加飾材料を含む加飾層3が形成されている。
【0085】
上記の構成によれば、ソルベントUVインク層2が加飾材料により加飾されている。ソルベントUVインク層2は、乾燥させることにより有機溶媒が揮発し、粘度が高くなるが、加飾に必要な粘度は維持されるため、ソルベントUVインク層2の滲みを防止しつつ、好適に加飾される。したがって、このような転写フィルム10を用いて転写することで、精巧で商品価値の高い転写物が得られる。
【0086】
転写フィルム10の製造方法は、転写シート11上にソルベントUVインク層2を形成する形成工程と、上記ソルベントUVインク層2を乾燥させる乾燥工程と、乾燥した上記ソルベントUVインク層2に紫外線を照射して硬化させる硬化工程とを包含する。
【0087】
上記の構成によれば、転写シート11上にソルベントUVインク層2を形成した後、乾燥させる。ソルベントUVインク層2を乾燥させることによって、ソルベントUVインク層2に含まれる有機溶媒が揮発し、粘度が高くなる。したがって、ソルベントUVインク層2の滲みを効果的に防止することができる。
【0088】
そして、乾燥後のソルベントUVインク層2に紫外線を照射して、ソルベントUVインク層2を硬化させて、目的とする転写フィルム10を得る。このようにして得られた転写フィルム10はソルベントUVインク層2を備えており、洗濯堅牢性に優れているため、複数回洗濯しても転写した図柄が劣化しない。したがって、特に、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類に転写する場合に好適な転写フィルム10を製造することができる。
【0089】
転写フィルム10の製造方法は、上記乾燥工程と上記硬化工程との間に、乾燥した上記ソルベントUVインク層2に、加飾材料を付着させる又は当該加飾材料を含む加飾層3を形成する加飾工程をさらに包含する。
【0090】
上記の構成によれば、乾燥したソルベントUVインク層2を、硬化前に加飾する。乾燥したソルベントUVインク層2は粘度が高くなっているが、硬化していないため、粘着性が維持されている。したがって、加飾工程において、加飾材料又は当該加飾材料を含む加飾層3を、ソルベントUVインク層2に好適に付着させることができる。つまり、ソルベントUVインク層2上に加飾層3を付着させるために、別途プライマー等を用いる必要がない。
【0091】
このようにソルベントUVインク層2を加飾することができるので、精巧で商品価値の高い転写物を得ることが可能な転写フィルムを製造することができる。
【0092】
転写フィルム10の製造方法は、上記乾燥工程において、40℃以上、60℃以下の温度で上記ソルベントUVインク層2を予備加熱し、予備加熱した上記ソルベントUVインク層2を、35℃以上、55℃以下の温度で本加熱し、本加熱した上記ソルベントUVインク層2を、40℃以上、60℃以下の温度で後加熱する。
【0093】
上記の構成によれば、乾燥工程においてソルベントUVインク層2を加熱することにより乾燥させる。このとき、40℃以上、60℃以下の温度での予備加熱、35℃以上、55℃以下の温度での本加熱、及び、40℃以上、60℃以下の温度での後加熱のように、加熱温度を変化させて、ソルベントUVインク層2を加熱する。
【0094】
これにより、ソルベントUVインク層2を、滲みを防止しつつ、加飾に必要な粘着性が維持された粘度になるように、好適に乾燥させることができる。
【0095】
転写方法は、上述したいずれかの転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付け、上記転写フィルム10を熱プレスする熱プレス工程を包含する。
【0096】
上記の構成によれば、転写フィルム10を印刷対象物20に貼り付け、熱プレスにより加熱及び加圧することによって、転写フィルム10を印刷対象物20に転写して、所望の転写物を得ることができる。このように、ソルベントUVインク層2を含む転写フィルム10を用いることによって、洗濯堅牢性に優れた転写物を得ることができる。
【0097】
転写方法において、上記印刷対象物20は、布帛である。これにより、洗濯堅牢性に優れた布帛の転写物を得ることが可能である。したがって、高い洗濯堅牢性が求められるTシャツ等の衣類等の転写に好適である。
【0098】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、印刷技術に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
2 ソルベントUVインク層
3 加飾層
10 転写フィルム
11 転写シート
12 接着剤層
13 剥離シート
14 保護フィルム
図1
図2