(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仕上げニス層が、アクリルエポキシ系樹脂、アクリルアミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアミノ系樹脂の何れかをベース樹脂とする水性仕上げニスから成る請求項1乃至4の何れかに記載の印刷円筒形容器の製造方法。
前記インクジェット印刷が、少なくとも一つのインクジェット印刷ステーションで行われ、該インクジェット印刷ステーションには複数個のインクジェットヘッドが配置されている請求項1乃至7の何れかに記載の印刷円筒形容器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット印刷用インクは、光重合開始剤を含有することから、飲食品を内容物とするシームレス缶に用いるには衛生性の観点から望ましくない。また紫外線硬化型インクジェット印刷用インクは高価であると共に、上述したように、インク着弾後すぐに硬化或いは半硬化させるため、レベリング不良になりやすく、そのため印刷画像にざらつき感が増し、光沢性に劣るという問題がある。
またインクジェット印刷は、その印刷方式の原理がインクジェットヘッドから噴射されたインクの液滴を着弾させるものであることからベタ印刷の濃度の再現性に劣ると共に、ヘッドの幅や液滴吐出周波数の制約があることから、印刷面積や印刷速度に限界があるという問題もある。
【0006】
従って本発明の目的は、インクジェット印刷の優れた特性を維持しつつ、飲食品に用いられるシームレス缶のような非吸収性の円筒形容器への印刷に好適に使用し得るインクジェット印刷用インクを提供することである。
本発明の他の目的は、インクジェット印刷による鮮明な印刷画像を有すると共に光沢性にも優れ、レトルト殺菌に賦された場合にも印刷画像の密着性に優れた印刷円筒形容器を提供することである。
本発明の更に他の目的は、インクジェット印刷による鮮明な印刷画像を有すると共に光沢性を有する印刷円筒形容器を連続的に効率よく製造し得る製造方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、上述したインクジェット印刷による鮮明な印刷画像を有すると共に、版式印刷による濃度の再現性に優れたベタ印刷をも有する印刷円筒形容器を効率よく製造し得る製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、円筒形容器の
少なくとも胴部のインク非吸収性表面が、40乃至80℃の温度になるように調節した後、前記インク非吸収性表面にインクジェット印刷用インクを用いてインクジェット印刷を施し、次いで
水性仕上げニスを塗装する印刷円筒形容器の製造方法
であって、前記インクジェット印刷用インクが、少なくとも水溶性溶剤、色材、界面活性剤、増粘剤及
びバインダー樹脂から成り、前記色材が5乃至20重量%、前記界面活性剤が0.1乃至5重量%、前記増粘剤が10重量%以下、前記バインダー樹脂が30重量%以下の量で含有され、
前記水溶性溶剤が、ジアルキルグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコールエーテル系溶剤、プロピレングリコールエーテル系溶剤の少なくとも1種であり、前記増粘剤が、アルコールに可溶なセルロースエーテル、アルコールに可溶なポリビニルアセター
ルの少なくとも1種であり、前記バインダー樹脂がウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂の何れかから成るインクジェット印刷用インクであり、前記インクジェット印刷の前或いは後に、版式印刷による印刷画像を形成することを特徴とする印刷円筒形容器の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の印刷円筒形容器の製造方法においては、
1.前記バインダー樹脂が、5乃至30重量%の量で含有されていること、
2
.前記水溶性溶剤が、沸点120℃以上のものであること、
3.前記界面活性剤が、ポリエーテル変性シロキサンであること、
4.前記仕上げニス層が、アクリルエポキシ系樹脂、アクリルアミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアミノ系樹脂の何れかをベース樹脂とする水性仕上げニスから成ること、
5.前記円筒形容器に、ホワイトコート層及び/又はアンカーコート層が形成されていこと、
6.前記インクジェット印刷による画像を仕上げニス塗装前に仮焼き付けし、仕上げニス塗装後に仕上げニスの焼付け硬化を行うこと、
7.前記インクジェット印刷が、少なくとも一つのインクジェット印刷ステーションで行われ、該インクジェット印刷ステーションには複数個のインクジェットヘッドが配置されていること、
が好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、インクの乾燥性に優れていることから、非吸収性の円筒形容器を回転させながら印刷してもインクの流動による滲みが有効に防止できる。更に円筒形容器の非吸収性面を温調することによって、インクの乾燥性を更に向上させることができ、インク滲みが防止された解像度の高い鮮明な画像を形成することが可能になる。
またインクの粘度が調整されていると共に、界面活性剤が添加されていることによって、インクのレベリングを調整することができ、ドット径サイズを制御することが可能になり、上述したインクの優れた乾燥性と相俟って、解像度が高く、光沢性に優れた画像を形成することができる。
更に本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、水溶性溶剤が使用されていることから、水性の仕上げニスとの馴染みがよく、仕上げニスを上から施すことによって、印刷層及び基板の密着性を確保することができ、印刷円筒形容器(シームレス缶)がエンボス加工やネック加工等の加工に付された場合や、レトルト殺菌に付された場合、あるいは搬送等でこすれた場合においても、印刷画像の密着性に優れていると共に、印刷シームレス缶の耐傷付き性が確保される。
更にまた、紫外線硬化型インクのように光重合開始剤を含んでいないため、衛生性に優れており、飲食品用途の容器にも使用することもできる。
【0011】
本発明の印刷円筒形容器は、上述したように、インク滲みがなく解像度の高い、光沢性に優れた画像が形成されていると共に、仕上げニス塗装により、印刷画像の密着性に優れ、耐傷付き性にも優れている。
更にまた本発明の印刷円筒形容器の製造方法においては、解像度が高く、光沢性に優れた画像を有する印刷円筒形容器を、ヘッドの詰まり等を生ずることなく連続的に生産することができ、しかもインクジェット印刷による鮮明な印刷画像を形成できると共に、版式印刷による濃度の再現性に優れたベタ印刷をも有する印刷円筒形容器をも効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(水溶性溶剤)
本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、水溶性溶剤を用いることが重要であり、用いられる水溶性溶剤としては、これに限定されないが、ジアルキルグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコールエーテル系溶剤、プロピレングリコールエーテル系溶剤を好適に用いることができる。
ジアルキルグリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
エチレングリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテルグリコール、エチレングリコールアセテート等を挙げることができる。
プロピレングリコールエーテル系溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
水溶性溶剤は、これらの1種あるいは2種以上を組合せで用いることもできる。
【0014】
本発明においては、印刷時のヘッドの乾燥を防ぐ点から、特に沸点が120℃以上、特に120乃至300℃の範囲にある水溶性溶剤を使用することが好適である。上記範囲よりも沸点が低いと、上記範囲にある場合に比してヘッドが乾燥し、インクの吐出性が低下するおそれがある。その一方、上記範囲よりも沸点が高いと、上記範囲にある場合に比して、インクの乾燥性が低下するおそれがある。
被印刷物である円筒形容器を、温度調節せず室温のまま印刷を行う場合には、沸点が120乃至230℃の範囲にある水溶性溶剤を用いることが、インクの乾燥性の点から望ましい。
本発明において、以上のことからシームレス缶に特に好適に使用できる水溶性溶剤としては、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。
【0015】
(色材)
本発明のインクジェット印刷用インクに用いられる色材としては、インクジェット印刷用インクに用いられていた従来公知の無機顔料、有機顔料及び染料のすべてを用いることができるが、耐熱性、耐光性の面から有機もしくは無機の顔料を好適に使用することができる。
無機顔料としては、これに限定されないが、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等の白色顔料、クレー、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料、黄鉛、クロムバーミリオン、カドミウム系顔料、ニッケルチタン、クロムチタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、ジンククロメート、鉛丹、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーム、酸化クロム、バナジン酸ビスマス等の有彩顔料、カーボンブラック、ボーンブラック、グラファイト等の黒色顔料、パール顔料、アルミ顔料、ブロンズ顔料等の光輝材顔料、硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム等の蛍光顔料を挙げることができる。
有機顔料としては、これに限定されないが、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料,ペリレン顔料,ペリノン顔料,イソインドリノン顔料,イソインドリン顔料,ジオキサジン顔料,チオインジゴ顔料,アンスラキノン系顔料,キノフタロン,金属錯体顔料等の多環式顔料、染料レーキ系顔料等を挙げることができる。
色材は、インク組成物中、5乃至20重量%、特に8乃至15重量%の量で含有されていることが好ましく、上記範囲よりも色材の量が少ない場合には、印刷時の濃度が低下し、ベタ部にムラが生じるおそれがあり、その一方上記範囲よりも多い場合には、顔料が沈降し、或いはヘッドが目詰まりするおそれがある。
【0016】
(界面活性剤)
本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、インク組成物の表面張力を制御し、インクのレベリングを調整するために界面活性剤を配合することが重要である。
用いる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤等従来公知のものを使用することができるが、好適には、シリコーン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン−アクリル系界面活性剤を使用することが望ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリオキシアルキレン−ポリジメチルシロキサン交互ブロック共重合体、ポリエーテルアルキル共変性シロキサン、フッ素化ジメチコノール、パーフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性シリコーン、パーフルオロアルコキシ・ポリオキシアルキレン共変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、パーフルオロアルキル・ポリグリセリル共変性シリコーン、グリコシル変性シリコーン等が挙げられる。
またアクリル系界面活性剤としては、少なくともアクリル酸アルキルエステル単量体を用いて得られる重合体であることが好ましく、例えばアクリル酸エチルエステル、アクリル酸ノルマルプロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸ノルマルブチルエステル、アクリル酸イソブチルエステル、アクリル酸ターシャリーブチルエステル、アクリル酸ノルマルオクチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸イソノニルエステル等のアクリル酸アルキルエステル単量体からなる重合体、或いは更に、他のエチレン性二重結合を有するモノマーを使用した二種類以上のモノマーから成るコポリマーやターポリマー等の共重合体であってもよい。
【0017】
本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、メチルポリシロキサン等のポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤を特に好適に使用することができる。
界面活性剤は、インク組成物中、0.1乃至5重量%、特に0.3乃至3重量%の量で含有されていることが好ましく、上記範囲よりも界面活性剤の量が少ない場合には、インクの表面張力を制御することができず、ヘッドからの吐出不良を生じるおそれがあり、その一方上記範囲よりも界面活性剤の量が多い場合には、インク濃度が上昇し、インクの乾燥速度が低下すると共に、基材との初期密着力が低下するおそれがある。
【0018】
(増粘剤及びバインダー樹脂)
本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、インク粘度を調整するために増粘剤を含有することが好ましい。
本発明に用いる増粘剤としては、ポリビニルアセタール系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリサッカライド系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー、ピロリドン系ポリマー等を例示することができ、特にアルコールに可溶なポリビニルアセタール系ポリマー或いはアルコールに可溶なセルロースエーテル系ポリマーから成る高分子増粘剤であることが好ましい。
具体的には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルホルマール及びその誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシアルキレングリコール類、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリジメチルアミノアクリレート、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸メタクリル酸共重合体塩、ポリメタクリル酸ソーダ、アクリル酸ビニルアルコール共重合体塩のアクリル基を含むポリマー、澱粉、酸化澱粉、カルボキシル澱粉、ジアルデヒド澱粉、デキストリン、アルギン酸ソーダ、アラビアゴム、カゼイン、プルラン、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリグリセリン、マレイン酸アルキルビニルエーテル共重合体、マレイン酸N−ビニルピロール共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン等の合成ポリマー等を挙げることができ、これらの2種以上を組合せで用いることもできる。
【0019】
本発明においては特に、溶剤に対する溶解性、印刷後の乾燥性などの点から、常温で固形かつ、アルコールに可溶なエチルセルロース、ポリビニルブチラールを用いることが好ましい。
増粘剤は、所望のインク粘度及び増粘剤の種類によって含有量が決定されるが、インク組成物中10重量%以下、特に0.3乃至3重量%の範囲で含有されていることが好ましい。増粘剤が含有されていない場合には、インクの粘度が低くなり、上記範囲で増粘剤を含有する場合に比して着弾されたインクが広がりやすいおそれがあり、一方上記範囲よりも増粘剤の量が多い場合には、インク粘度が上昇し、インクの吐出性が低下すると共に、インクの乾燥速度が低下するおそれがある。
【0020】
本発明のインクジェット印刷用インクにおいては、印刷画像の基材との初期密着性を向上できると共に印刷表面の光沢性を向上させる観点から、バインダー樹脂を含有することが好ましい。尚、インク粘度の調整という点では、上述した増粘剤と同様の作用を有するので、増粘剤又はバインダー樹脂の何れか一方のみを含有するものであってもよいが、好適には、両方を含有することが好ましい。
バインダー樹脂としては、従来の溶剤型のインクにバインダー樹脂として用いられていたものを使用することができ、好適には、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂等、乾燥により硬化可能な樹脂であることが好適である。
バインダー樹脂は、インク組成物中30重量%以下、特に5乃至30重量%の範囲で含有されていることが好ましい。バインダー樹脂が含有されていない場合は、上記範囲でバインダー樹脂を含有する場合に比して、印刷画像の密着性に劣るように成ると共に、インクが乾燥しやすいためヘッドが詰まりやすく、吐出性に劣るようになり、一方上記範囲よりもバインダー樹脂の量が多い場合には、インク粘度が上昇し、インクの乾燥速度が低下するおそれがある。
【0021】
(インク組成物)
本発明のインクジェット印刷用インクは、水溶性溶剤、色材、界面活性剤、増粘剤及び/又はバインダー樹脂から成るインク組成物から成り、前述した通り、色材が5乃至20重量%、界面活性剤が0.1乃至5重量%、増粘剤が10重量%以下、バインダー樹脂が30重量%以下の量で含有され、残余の成分が水溶性溶剤から成っている。
本発明のインクジェット印刷用インクは、これに限定されるものではないが、表面張力が25乃至30mN/mの範囲にあることが好ましく、これにより、ドット径を小さくすることができると共に、インクの広がりを防止して滲みを防止することが可能になる。
またインク粘度は、用いるヘッドの種類や後述する乾燥条件などによっても一概に規定できないが、8乃至15mPa・sの範囲にあることが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用インクは、前述した組成を有する限り、従来公知の方法により調製することができる。例えば、これに限定されないが、バインダー樹脂を除く成分を混合し、分散装置を用いて分散させ、その後バインダー樹脂の溶解液を加えて、攪拌することによりインク組成物を調製してもよいし、或いは予め色材とバインダー樹脂を混練し、この混練物に他の成分を加えて、撹拌、分散装置を用いて水性分散体を調製することもできる。
【0022】
(印刷円筒形容器)
前述した通り、本発明のインクジェット印刷用インクは、インクの乾燥性に優れていることから、非吸収性の円筒形容器を回転させながら印刷してもインクの流動による滲みが有効に防止されており、非吸収性表面を有する円筒形容器においても高い解像度及び光沢を有する印刷画像を形成することができる。
このような観点から、本発明の印刷容器は、外表面がインク非吸収性である円筒形容器に適用することが好適であり、上述したインクジェット印刷用インクを用いた印刷層、及び少なくともこの印刷層の全面を覆う仕上げニス層から成ることが特に好適である。
本発明において、非吸収性表面を有する円筒形容器としては、シームレス缶や溶接缶等の円筒形金属缶、或いはチューブ状容器に用いられるチューブ等の従来公知のものを挙げることができるが、特にシームレス缶に好適に使用することができる。
【0023】
本発明の印刷円筒形容器に用いることができる、シームレス缶としては、これに限定されないが、ティンフリースチール(TFS)などの各種表面処理鋼板や錫めっき等の各種メッキ鋼板、アルミニウム等の軽金属板、或いはこれらの金属板にポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂から成る被覆が形成された樹脂被覆金属板を、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工或いは絞り・しごき加工、軽金属板のインパクト加工等の従来公知の手段に付すことによって製造されたシームレス缶を用いることができる。
またチューブ状容器としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、或いは熱可塑性樹脂と金属箔等との積層体から成り、チューブの一端に口部が形成され、他方の端部を溶着して成るものであり、端部を溶着前の円筒状の状態で印刷を行う。
【0024】
またシームレス缶の外面には、ホワイトコート層を形成しておくことが、金属板の地色を隠蔽し、印刷画像を鮮明に形成できるので好ましい。
更に、上記ホワイトコート層の上、或いはホワイトコート層が形成されない場合は、シームレス缶外面上にアンカーコート層を形成しておくことが望ましい。このアンカーコート層を形成することにより、インクジェット印刷による画像が強固に保持固定され、印刷画像の密着性が向上される。またアンカーコート層を設けることによりインクジェットインクの滲みを軽減することができる。
【0025】
アンカーコート層は、従来公知の方法により形成することができ、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性の透明な、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を所定の溶剤に分散乃至溶解した塗布液を塗布・乾燥し、次いで加熱、紫外線照射、電子線照射等により硬化することにより形成できる。これらの中でも樹脂の選択範囲が広いことから熱硬化性樹脂を加熱硬化する方法が好適である。
またホワイトコート層は、上記アンカーコート層の形成に用いられる樹脂として例示した樹脂から成る塗布液に二酸化チタン等の白色顔料を含有させることにより、同様に形成することができるが、好適には熱硬化性樹脂を溶剤に分散又は溶解して成る塗布液を加熱硬化する方法が好適である。
ホワイトコート層の厚みは、地色の隠蔽という点から、0.1乃至10μm、特に0.5乃至5μmの範囲あることが好ましく、またアンカーコート層の厚みは、0.1乃至5μm、特に0.1乃至2μmの範囲あることが好ましい。
尚、ホワイトコート層の代わりに、樹脂被覆金属板の樹脂被覆中に白色顔料を含有させた白色樹脂被覆を形成することによっても同様の効果が得られる。
【0026】
また本発明の印刷円筒形容器に施される仕上げニスとしては、従来印刷容器のトップコートとして用いられていた透明塗料を用いることができるが、本発明のインクジェット印刷用インクにおいては水溶性溶剤を用いていることから、特に水性の仕上げニスを用いることが印刷画像との密着性の点で好ましい。
このような仕上げニスとしては、アクリルエポキシ系樹脂、アクリルアミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアミノ系樹脂をベース樹脂とする水性仕上げニスを好適に使用することができる。
尚、仕上げニスは、少なくとも印刷層を完全に覆っていることが重要であり、好適には、全面に施されていることが望ましい。
また仕上げニス層の厚みは、これに限定されないが、1乃至5μmの範囲にあることが好ましい。
尚、上述したとおり、本発明のインクジェット印刷用インクとの密着性の観点、及び衛生性の点から、仕上げニスにおいてもインクジェット印刷用インクと同様、光重合開始剤を含有しない水性の仕上げニスであることが好適であるが、印刷円筒形容器が飲食品内容物用でない場合や、チューブ容器などで直接口に触れることのない場合、などの衛生上問題のない場合には、本発明のインクジェット印刷用インク画像の上に紫外線硬化型の仕上げニスを使用することもできる。
【0027】
本発明の印刷円筒形容器は、上述した種々の円筒形容器の外面、シームレス缶においては少なくとも胴部に、インクジェット印刷による画像、更に必要により後述する版式印刷による画像が形成されていると共に、これらの画像が仕上げニス層によって被覆されている。
図1は、シームレス缶から成る本発明の印刷円筒形容器の胴部の断面構造の一例を示す図であり、缶胴20の外表面上にホワイトコート層21、ホワイトコート層21の上にアンカーコート層22が形成されている。アンカーコート層22上には、インクジェット印刷により着弾されたインクジェット印刷層23a,23b,23c,23dが形成されている。このインクジェット印刷によるインクジェット印刷層23a,23b,23c,23dを含む全面を覆う仕上げニス層24が形成されている。
【0028】
(印刷円筒形容器の製造方法)
本発明において円筒形容器への印刷に際しては、本発明のインクジェット印刷用インクを用いること、インクジェット印刷の後に仕上げニス塗装を行うこと及び円筒形容器の非吸収性表面が25乃至100℃、特に40乃至80℃の温度に調節されている以外は、従来、非吸収性表面を有する円筒形容器の印刷に採用されていたインクジェット印刷方式を採用することができる。
すなわち、本発明のインクジェット印刷用インクは、インクの乾燥性に優れたものであるが、特に容器表面を温調しておくことにより、インクの乾燥性がより高められ、インクの滲みを防止して、解像度の高い画像を形成することが可能になる。また前述した通り、仕上げニス層を印刷層の上に設けることにより、印刷層を保護し、耐傷付き性を向上させることができる。
円筒形容器の非吸収面の温度調節は、従来公知の温度調節方法によって行うことができ、これに限定されないが、円筒形容器を支持固定するマンドレルを、温水或いは温風を吹き付けたり、或いは高周波加熱や赤外線加熱によって加温することによって、円筒形容器の非吸収面を間接的に加温して温度調節を行うこともできるし、円筒形容器の非吸収面自体を温風、高周波加熱や赤外線加熱によって直接的に加熱して温度調節することもできる。
【0029】
インクジェット印刷装置は、例えば
図2に示したように、マンドレルホイール上に複数個のマンドレル4が均等に配置されており、マンドレルホイールは時計回りに間欠的に公転し、マンドレル4は各ステーションで時計周りに自転する。ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各インクに対応するインクジェットヘッド10から順次各インクの液滴を噴射し、マンドレル4に装着されたシームレス缶上に印刷画像を形成する。尚、各色のインクジェットヘッドの配置は、図に示した例に限定されるものではなく、任意の順序をとることができる。
またインクジェット印刷により形成された画像は、仕上げニスの加熱硬化と同時に行われる本硬化を行う前に、仮焼付けによりインクを仮硬化させておくことが好ましい。これにより、インクが広がって滲んだりすることがなく、シャープな画像を形成することが可能となる。仮焼付けのタイミングは、所期の画像やインクジェット印刷に用いるインクの種類等によって好適なタイミングがあり、(i)全ての色のインクの供給した後、(ii)各インクの供給の直後、(iii)各インクの供給後、次のインクの供給前の間、或いは(iv)白色インクの供給直後及び全色供給後の2回、等種々のタイミングで行うことができるが、経済性の点から、
図2に示したように、上記(i)のタイミングで行うことが好ましい。
更に前述したように円筒形容器としてシームレス缶を用いる場合に、ホワイトコート層が形成されていない場合には、インクジェット画像を鮮明にするために、白色のインクジェット印刷によって、白色ベタ層を形成しておいてもよく、この場合には、最初に供給される白色インクを仮焼付けし、次いで各色のインクを該白色インク上に供給し、仕上げニスの塗装前に再度仮焼付けを行う、上記(iv)のタイミングで仮焼付けを行うこともできる。また、
図2に示した具体例では、インクジェット印刷の前に位置決め工程に付されているが、印刷画像によっては、省略することもできる。
【0030】
また本発明の印刷円筒形容器においては、インクジェット印刷による画像のみならず、版式印刷による画像が形成されていてもよい。これにより、インクジェット印刷による可変可能な画像を有すると共に、版式印刷によるベタ印刷の濃度の再現性に優れた画像の組み合わせが可能であり、インクジェット印刷のみでは困難であった優れた画像濃度の再現性を実現することが可能になる。
尚、版式印刷は、従来シームレス缶の印刷に採用されていた凸版、平版等を用いた印刷方式を採用することができるが、特にオフセット印刷を好適に採用することができる。
インクジェット印刷及び版式印刷を行う順序は特に問わず、デザインに応じて適宜決めることができ、また版式印刷及びインクジェット印刷をそれぞれ独立した印刷装置で行うこともできるし、版式印刷及びインクジェット印刷が同一装置内で行われる複合装置で行うこともできる。
【0031】
図3は、インクジェット印刷に先立って版式印刷を行う複合装置を示す図であり、インク供給ユニット1から版胴2上の凸版等の刷版(図示せず)に印刷インクを供給し、刷版の網点及び画像部の上のインクをブランケット3に転移させる。ブランケット3上に転写された各色のインクをマンドレル4に装着した円筒形容器(シームレス缶)に転移させることで、版式印刷済み円筒形容器(シームレス缶)が得られる。次いでこの版式印刷済み円筒形容器(シームレス缶)を仮焼付けし、画像の位置決めを行った後、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各インクに対応するインクジェットヘッド10から順次各インクの液滴を噴射し、マンドレル4に装着された円筒形容器(シームレス缶)上にインクジェット印刷画像を形成し、仮焼付けを行った後、仕上げニス塗装及び本硬化を行い、印刷円筒形容器が得られる。
版式印刷をインクジェット印刷の前に行う場合には、インクジェット印刷を行う前に、仮焼付けによりインクを仮硬化させておくことが好ましく、これにより、インクジェット印刷との画像の重なり部分での滲みの発生を防止することができる。
また
図4は、版式印刷に先立ってインクジェット印刷を行う複合装置を示す図であり、この場合においてもインクジェット印刷を行った後、版式印刷を行う前に仮焼付けを行うことが好ましい。
【0032】
本発明の円筒形容器に採用し得るインクジェット印刷においては、少なくとも一つのインクジェット印刷ステーションを有し、インクジェット印刷ステーションに複数個のインクジェットヘッドが配置されているインクジェット印刷装置を用いることができる。
すなわち、
図5に示すとおり、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各インクに対応する各印刷ステーションにおいて、インクジェットヘッド10a〜10eがそれぞれ2つ設置されていることから、インクジェットヘッドが一つのものに比して印刷速度が速いと共に、網点密度を高くして解像度を上げることができ、網点を精度よく重ね塗りするによりインクの厚みが増し、濃度感の高い印刷画像を得ることが可能になる。
尚、各色の印刷ステーションのマンドレルホイール上の配置は、
図5に示した例に限定されるものではなく、任意の順序で配置することができる。また、
図5に示した具体例では、インクジェット印刷の前に位置決め工程に付されているが、印刷画像によっては、省略することもできる。
【0033】
またインクジェット印刷ステーションは、
図5に示した例に限定されず、
図6(a)〜(c)に示すように、それぞれマンドレルホイール(図中、点線でその軌道を示す)の外周側に2つ,3つ,4つのインクジェットヘッド10が配置されていてもよいし、また
図6(d)及び(e)に示すように、マンドレル4に装着されたシームレス缶5を挟んで、マンドレルホイールの外周側及び内周側にそれぞれ、1つ又は2つインクジェットヘッドが配置されていてもよい。
尚、
図6からは、インクジェットヘッド同士のシームレス缶の高さ方向の位置関係が明らかでないが、インクジェットヘッドはシームレス缶の缶高さ方向に移動可能であることから、複数のインクジェットヘッドがシームレス缶の周方向の同じ位置に並んで配置する他、シームレス缶の高さ方向に異なる位置に配置する等、印刷画像に応じて、インクジェットヘッドの位置は種々変更することができる。
更に、インクジェット印刷においては、インクの液滴を噴射してシームレス缶表面に着弾させるものであるため、インクがヘッド先端の吐出部から缶に付着するまでの空間を飛ぶ距離が小さいことが、インクミストの発生を防止する上で好ましく、好適には、インクジェットヘッド先端の吐出部とシームレス缶表面との距離Dが、0.5乃至4.0mmの範囲にあることが望ましい。
【実施例】
【0034】
(実施例1〜20、23〜24、比較例1〜10、実験例1〜10)
板厚0.30mmのアルミニウムJIS3004合金板を常法に従ってブランキングし、絞りカップを作製した。この絞りカップを再絞りしごき加工を行った後、開口部をトリミングし、ウオッシャーで内外面を酸性溶液で洗浄し工業用水と脱イオン水で水洗し乾燥させて、缶胴呼称211径の350mlシームレス缶用の円筒形カップ(以下、「DI缶」ということがある)を作製した。
図2に示すインクジェット印刷装置を用い、マンドレルに円筒形カップを挿入しマンドレル内部からのバキュームで固定した。
図2に示す装置のマンドレルホィールを間欠回転させ、回転停止時にマンドレルを1回転自転させてインクジェット印刷用インクでインクジェット網点印刷を行い、100℃温風での仮焼付、水性仕上げニス塗布、オーブンでの200℃1分の焼付け(本硬化)を行って印刷シームレス缶を作製した。印刷時の非吸収性表面(円筒形カップ胴部表面)の温度は、マンドレルに温風を吹き付けることにより設定温度に調節した。インクジェット印刷用インク組成は表1、表2に示したとおりである。尚、表1、表2中のインク成分濃度はいずれもインク組成物中の重量%濃度を表す。
インクジェット印刷(以下、「IJP」ということがある)に用いたインクジェットヘッドはピエゾ方式の1ヘッドタイプであり、円筒形カップ側壁の缶高さ方向に約70mm幅で印刷できるヘッドである。形成した印刷画像は缶高さ方向に約70mm幅で缶胴全周へのインクジェット網点印刷画像であり、缶高さ方向、缶周方向とも網点印刷の解像度は360dpi(ドット中心間間隔は約70.6μm)である。使用したインク仕様、缶仕様、評価結果を、表1及び表2に示す。
【0035】
(評価方法)
<連続生産性(インクジェットヘッドつまり性)>
「インクジェットヘッドのつまり性」の評価である。上記ヘッドを用い、DI缶胴に10分間連続でIJP印刷を行った後の缶を、仮焼付後に画像の「かすれ」程度を視覚評価した。尚、「かすれ」とは、ヘッドのノズルが詰まるとその位置ではドット抜けが発生し、印刷時に基材送り方向に筋が入る現象である。
評価基準は、ドット抜けがない(◎)、一部ドット抜けがあるが、連続的なドット抜けはない(○)、連続したドット抜けがあり、不連続な筋が発生(△)、連続したドット抜けがあり、複数本の連続した筋が発生(×)である。◎、○、△が許容範囲である。
【0036】
<にじみ性>
IJP画像の「網点ドットのつながりによるにじみ性」評価である。仕上げニスオーブン焼付後の缶胴を実体顕微鏡で評価した。4段階で評価した。尚、「にじみ性」とは、着弾後のドット広がりによって、隣り合うドットとつながる現象である。
評価基準は、隣り合うドットの繋がりがなく完全に独立している(◎)、隣り合うドットとほぼ接する状態で繋がっている(○)、隣り合うドットが繋がりドット形状の一部が変化している(△)、隣り合うドットのほぼ全てが繋がりドット形状が変化し、一部ドットが確認されない(×)である。◎、○、△が許容範囲である。
【0037】
<鮮明性>
IJP画像の「網点色調に関係する評価」である。仕上げニスオーブン焼付後の缶胴を実体顕微鏡で評価した。4段階で評価した。
評価基準は、ドット自体の濃度が高く、全画面において漆黒性がある(◎)、ドット自体の濃度は高いが、全画面において部分的にやや濃度の低い部分がある(○)、ドット自体の濃度はやや弱く、全画面において全体的にやや濃度が低い(△)、ドット自体も全画面においても濃度が低く、下地の影響を受けている(×)である。◎、○、△が許容範囲である。
【0038】
<密着性(仕上げニスなし)>
「網点ドットと下地との密着性」の評価である。仮焼付後の缶胴網点印刷部(仕上げニスなし)に1mm間隔に缶高さ方向と缶円周方向にそれぞれ6本ずつのスクラッチをカッターで付与し、25ピースの碁盤目を作製し、セロテープ(登録商標:ニチバン製)を粘着し1回剥離したのち、下記の基準でインクの密着性の評価を行った。評価基準は、剥離なし(◎)、剥離10%未満(○)、剥離10%以上〜30%未満(△)、剥離30%以上(×)である。◎、○、△が、許容範囲である。
【0039】
<密着性(レトルト後)>
「レトルト後の網点ドットと下地との密着性」の評価である。印刷缶胴に仕上げニスを塗布しオーブンでの焼付後、120℃30分のレトルト処理を行い冷却した後、缶胴網点印刷部に1mm間隔に缶高さ方向と缶円周方向にそれぞれ6本ずつのスクラッチをカッターで付与し、25ピースの碁盤目を作製し、セロテープ(登録商標:ニチバン製)を粘着し1回剥離したのち、下記の基準でインクの密着性の評価を行った。評価基準は、剥離なし(◎)、剥離10%未満(○)、剥離10%以上〜30%未満(△)、剥離30%以上(×)である。◎、○、△が、許容範囲である。
【0040】
<総合評価>
上記、連続生産性(インクジェットヘッドつまり性)、にじみ性、鮮明性、密着性(仕上げニスなし)、密着性(レトルト後)の各評価において最も劣る評点をもって総合評価とした。◎、○、△が、許容範囲である。
【0041】
<実施例21>
円筒形カップ外面に二酸化チタン顔料を含有した熱硬化型ベースコート(ホワイトコート)を塗布し焼付けしたのちにインクジェット網点印刷を行ったこと以外は実施例1と同様に印刷シームレス缶を作製し、評価した。
【0042】
<実施例22>
円筒形カップ外面にエポキシ樹脂系のアンカーコートを塗布し焼付けしたのちにインクジェット網点印刷を行ったこと以外は実施例1と同様に印刷シームレス缶を作製し、評価した。
【0043】
<実施例25>
板厚0.28mmのアルミニウムJIS3004合金板の両面に厚み15μmのイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を常法に従って熱ラミネートし、ブランキングし、絞りカップを作製し、再絞りしごき加工を行い、開口部をトリミングし、加熱してフィルムの熱歪みを除去して、缶胴呼称211径の350mlシームレス缶用の円筒形カップを作製し、実施例1と同様にして印刷シームレス缶を作製し、評価した。
【0044】
<実施例26>
低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を加熱溶融し射出成形機でパリソンを成形し、ブロー成形法により、直径32mm高さ150mmで、口部にキャップ用ねじ部がついた円筒状チューブを作製した。その後、
図2に示すインクジェット印刷装置のマンドレルに円筒状チューブを挿入しマンドレル内部からのバキュームで固定した。
図2に示す装置のマンドレルホィールを間欠回転させ、回転停止時にマンドレルを1回転自転させてインクジェット印刷用インクでインクジェット網点印刷を行い、80℃温風にて焼付を行い、紫外線硬化型の仕上げニスを塗布し紫外線照射で硬化させて印刷チューブを作製した。印刷時の非吸収性表面温度(チューブ表面温度)は、マンドレルに温風を吹き付けることにより設定温度に温調した。密着性(レトルト後)評価をしなかった以外は実施例1と同様にして評価した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】