(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベース体およびカバー部材の両対向面間に、遊技球が通過可能な通路が形成されるとともに、該ベース体および該カバー部材に回転自在に収容された回転体が回転すると、該回転体の回転に伴って、該通路内の遊技球が1つずつ払い出される払出ユニットを備えた遊技機であって、
前記ベース体および前記カバー部材のいずれか一方の対向面に設けられ、該ベース体および該カバー部材の対向方向に軸心を沿わせて延在し、段差部を境にして先端側が基端側よりも小径の軸部と、
前記ベース体および前記カバー部材のいずれか他方の対向面に設けられ、前記軸部の先端が挿入される挿入穴が開口面に開口し、該開口面に該軸部の段差部が当接する軸支持部と、
を備え、
前記回転体は、回転中心に貫通孔が形成され、該貫通孔に挿通された前記軸部によって回転自在に軸支されていることを特徴とする払出ユニットを備えた遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態の遊技機1の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠3と、この外枠3にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠5と、この中枠5に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠7と、を備えている。
【0014】
中枠5は、外枠3と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤9が保持されている。また、前枠7には、ユニット化されたガラス製または樹脂製の複数の透過板11が保持されている。そして、これら中枠5および前枠7を外枠3に対して閉じると、遊技盤9と透過板11とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機1の正面側から、透過板11を介して遊技盤9が視認可能となる。
【0015】
詳しい説明は省略するが、遊技盤9の前面には、不図示の釘や風車、ガイドレールが設けられており、遊技盤9、透過板11、ガイドレールによって囲繞される遊技領域を、遊技球が不規則に転動、流下する。また、遊技盤9の前面には、複数の入賞口が設けられており、これらの入賞口に遊技球が入球すると、前枠7の前面に設けられた上皿に、賞球として遊技球が払い出されることとなる。
【0016】
図2は、中枠5の背面側の斜視図である。中枠5の背面上部には収容箱13が設けられており、遊技場に設けられた球循環設備から収容箱13に遊技球が導かれるように構成されている。また、中枠5の背面側の側部には、収容箱13に収容された遊技球が導かれる遊技球導入ユニット15と、この遊技球導入ユニット15の鉛直下方に配される払出ユニット100とが設けられている。遊技球導入ユニット15は、中枠5の側面に沿って配置されており、収容箱13に収容された遊技球を、鉛直下方に位置する払出ユニット100に導くものである。
【0017】
なお、遊技球導入ユニット15内には、遊技球が通過するための通路が形成されているが、この通路は、水平方向に対して僅かに傾斜する傾斜面と、鉛直方向に延在する鉛直部とを有し、遊技球がその自重によって、傾斜面と鉛直部とを交互に通過しながら、徐々に鉛直下方に蛇行しながら落下するように構成されている。
【0018】
払出ユニット100内には、遊技球導入ユニット15内の通路に連続する通路が形成されており、通常、遊技球導入ユニット15および払出ユニット100の通路内には、遊技球が貯留された状態となっている。そのため、通路内に貯留された多くの遊技球の荷重が、払出ユニット100内の遊技球に作用することとなるが、上記のように、遊技球導入ユニット15内の通路を湾曲させ、遊技球が蛇行しながら下方に落下するように構成することで、払出ユニット100内に貯留された遊技球に作用する荷重を低減することができる。
【0019】
そして、払出ユニット100においては、通常、払出ユニット100のさらに下方に設けられた払出通路17への遊技球の通過が規制されている。一方、上記の入賞口に遊技球が入球し、制御基板から払出信号が出力されて遊技球を払い出すための制御がなされると、払出ユニット100において、遊技球が1つずつ払出通路17に払い出されることとなる。以下に、払出ユニット100の構成について詳細に説明する。
【0020】
図3は、払出ユニット100の斜視図であり、
図4は、払出ユニット100の分解斜視図である。なお、
図4は、払出ユニット100に収容される種々の部品を取り外した状態を示している。
図3および
図4に示すように、払出ユニット100は、ベース体110と、カバー部材120とを備えており、これらベース体110およびカバー部材120が、ネジ止めによって互いに固定されている。より具体的に説明すると、ベース体110およびカバー部材120は、それぞれ平面状の対向面110a、120aを有しており、これら両対向面110a、120aを平行にして対向配置した状態で互いにネジ止めされている。
【0021】
図4に示すように、ベース体110の対向面110aには、カバー部材120の対向面120a側に向けて突出する通路形成隔壁110bが一体成形されており、カバー部材120の対向面120aには、通路形成隔壁110bに一致する通路形成隔壁120bが一体成形されている。したがって、対向面110a、120aを対向させてベース体110およびカバー部材120をネジ止めして固定すると、通路形成隔壁110b、120bによって、遊技球が通過可能な通路130が形成されることとなる。
【0022】
なお、この通路130は、払出ユニット100(ベース体110およびカバー部材120)の上端面に導入口130aを開口させている。払出ユニット100が遊技機1に設置された状態では、遊技球導入ユニット15の通路出口に導入口130aが臨み、この導入口130aから通路130に遊技球が導かれることとなる。また、通路130は、払出ユニット100の略中央部分で、第1通路132と第2通路134とに分岐している。第1通路132は、払出ユニット100(ベース体110およびカバー部材120)の下端面に排出路132aを開口させ、第2通路134は、払出ユニット100(ベース体110およびカバー部材120)の下端面に払出口134aを開口させている。払出口134aは、上記の払出通路17(
図2参照)に臨んでおり、第2通路134に導かれた遊技球は、払出ユニット100から払出通路17に向けて排出される。一方、排出路132aは、不図示の球抜き通路に臨んでおり、第1通路132に導かれた遊技球は、払出ユニット100から球抜き通路を介して遊技場の球循環設備に回収されることとなる。
【0023】
また、ベース体110とカバー部材120とが固定された状態では、対向面110a、120aが互いに離隔して位置することとなり、対向面110a、120a間に、部品を収容するための収容空間が形成される。
【0024】
図5は、ベース体110における部品の取り付け状態を示す斜視図である。この図に示すように、ベース体110の下部には、払出検知スイッチ140が固定されている。この払出検知スイッチ140には、検知孔140aが設けられており、この検知孔140aを遊技球が通過すると、不図示の信号線を介して制御基板に検知信号が出力される。この払出検知スイッチ140は、第2通路134内であって、払出口134aの近傍に検知孔140aを位置させており、払出口134aから払出通路17に払い出される遊技球を検知することとなる。
【0025】
また、ベース体110の上部には、球抜きレバー150および球抜き弁152が設けられている。球抜きレバー150は、ベース体110の高さ方向にスライド自在に設けられており、通常は、図示の位置に静止している。球抜き弁152は、通路130のうち、第1通路132と第2通路134との分岐位置に配されており、通常、図示のように、第1通路132の入り口を閉鎖し、導入口130aから通路130内に進入した遊技球を、第2通路134に導いている。
【0026】
この球抜き弁152は、揺動支点152aを中心に揺動可能に設けられているが、球抜きレバー150が図示の位置にあるときには、揺動が規制されており、導入口130aから通路130内に進入した遊技球を、第2通路134に導く。一方、球抜きレバー150が上方にスライドすると、球抜き弁152が揺動支点152aを中心に揺動可能となる。この状態で、導入口130aから通路130に進入した遊技球が球抜き弁152に衝突すると、遊技球の自重により、球抜き弁152が第1通路132の入り口を開放するように傾動し、遊技球が第1通路132に進入することとなる。
【0027】
この球抜きレバー150および球抜き弁152により、メンテナンス時等に、遊技球導入ユニット15や払出ユニット100から容易に遊技球を抜き出すことができる。このことからも明らかなように、遊技中は、第2通路134を介して遊技球が払出通路17に導かれ、メンテナンス時等、遊技球を抜き出す際には、第1通路132を介して遊技球が球抜き通路に導かれることとなる。
【0028】
また、ベース体110には、遊技球を払い出すアクチュエータとしてのモータ160が固定されている。このモータ160の出力軸160aには、モータギヤ162が固定されており、モータ160の駆動によってモータギヤ162が回転するように構成されている。そして、このモータギヤ162には、回転体170が噛合しており、モータ160の動力が、モータギヤ162を介して回転体170に伝達される。
【0029】
図6は、回転体170の斜視図である。以下では、回転体170のうち、
図6(a)に示す側の面、すなわち、払出ユニット100に組み込まれた状態でカバー部材120の対向面120aに対向する面を表面170aとし、
図6(b)に示す側の面、すなわち、払出ユニット100に組み込まれた状態でベース体110の対向面110aに対向する面を裏面170bとして説明する。
図6に示すように、回転体170の外周には、上記のモータギヤ162に噛合するギヤ172が形成されており、回転体170の中心には、表面170aから突出する円筒部174が設けられている。この円筒部174には、回転体170の回転軸心方向に、表面170aから裏面170bまで貫通する貫通孔176が形成されている。
【0030】
一方、回転体170の裏面170bには、略菱形状の外形を有する規制部178が設けられている。この規制部178は、その中心を貫通孔176の中心に一致させており、裏面170bから垂直に起立する4つの起立片178aが、貫通孔176の回転方向に90度間隔で配されている。また、規制部178は、回転方向に隣り合う起立片178aを繋ぐ延在部178bを備えている。この延在部178bは、両端(起立片178a)側が最も貫通孔176から離間し、延在方向の中心に向かうにしたがって徐々に貫通孔176に近接する湾曲面となっており、裏面170bからの突出量は、起立片178aの半分程度となっている。この規制部178は、回転体170が払出ユニット100に組み込まれた状態で、第2通路134内に位置する。
【0031】
図7は、回転体170と通路130との関係を説明する図であり、特に
図7(a)は、
図5の部分破断図を示し、
図7(b)は、
図5の部分拡大図であり、回転体170を透明化して示している。
図7(b)に示すように、回転体170がベース体110に組み込まれた状態では、第2通路134の一部が、通路形成隔壁110b、ベース体110の対向面110a、回転体170の裏面170bによって構成され、回転体170の裏面170bから突出する規制部178が、第2通路134内に位置している。
【0032】
ここで、モータ160の駆動が停止している場合には、規制部178は、
図7(a)に示すように、延在部178bを鉛直上方に臨ませた状態で静止している。また、この状態では、起立片178aの先端と通路形成隔壁110bとの距離が、遊技球の直径よりも小さく保たれており、起立片178aよりも下方に遊技球が落下(通過)することができなくなっている。これにより、通路130内に進入した遊技球は、延在部178b上に落下したところで、さらなる落下が規制されることとなり、延在部178b上に落下した遊技球を先頭に、通路130内に多数の遊技球が鉛直上方に貯留されることとなる。
【0033】
そして、遊技球を払い出す際には、回転体170を90度回転させるように、制御基板がモータ160を駆動制御する。モータ160は、例えばパルスモータ等、回転角度を自在に制御することができるように構成され、回転体170が90度回転するたびに、通路130内に貯留された遊技球が1つずつ払い出されることとなる。
【0034】
以上のように、払出ユニット100に回転自在に収容される回転体170には、通路130や遊技球導入ユニット15内に貯留された遊技球の荷重、あるいは、通路130内を落下する遊技球の衝突による衝撃が規制部178を介して作用する。こうした荷重や衝撃、あるいは、回転体170、ベース体110、カバー部材120等の寸法誤差や組み付け誤差によって、回転体170が払出ユニット100内において傾くと、モータ160の必要トルクが増大したり、動作不良が生じたりするおそれがある。本実施形態では、寸法精度や組み付け精度を厳密に管理せずとも、長期に亘って安定的な動作を実現すべく、回転体170の軸支構造を次のように構成している。以下に、回転体170の軸支構造について、
図4および
図8を用いて詳細に説明する。
【0035】
図8は、払出ユニット100のうち、回転体170の軸心位置における断面図である。
図4および
図8に示すように、ベース体110の対向面110aには、カバー部材120の対向面120a側に突出するとともに、ベース体110およびカバー部材120の対向方向に軸心を沿わせて延在する軸部180が設けられている。この軸部180は、対向面110a側に位置する基端部180aから、カバー部材120の対向面120a側に位置する先端部180bに向かって徐々に小径となるテーパ部180cを備えている。また、軸部180は、先端部180b側に段差部180dが設けられており、この段差部180dを境にして、先端部180b側が基端部180a側よりも小径となる段差形状となっている。
【0036】
一方、カバー部材120の対向面120aには、軸部180の先端部180bを支持する軸支持部190が設けられている。この軸支持部190は、対向面120aからベース体110の対向面110a側に突出する円筒形状をなしており、その突出先端部には、軸部180の先端部180bが、圧入または隙間が殆どない状態で挿入される挿入穴190aを開口させている。そして、軸部180および軸支持部190は、ベース体110とカバー部材120とを互いに固定したときに、挿入穴190aが開口する開口面190bに、軸部180の段差部180dが突き当たる(面接触する)寸法関係を維持している。また、軸支持部190の外径は、段差部180dにおける軸部180の外径よりも大きく、かつ、軸部180の基端部180a側の外径と等しくなっており、しかも、回転体170の貫通孔176の内径よりも僅かに小さい寸法関係となっている。
【0037】
そして、払出ユニット100に回転体170を組み付ける際には、まず、ベース体110の軸部180に貫通孔176を挿通させ、その後、軸支持部190を、貫通孔176に挿入する。このとき、ベース体110とカバー部材120とを互いに近接させると、軸部180の先端部180bが、軸支持部190の挿入穴190aに進入するとともに、開口面190bに段差部180dが突き当たる。このとき、回転体170は、貫通孔176の一端側が軸部180の基端側で支持され、貫通孔176の他端側が軸支持部190によって支持される。このようにして、回転体170は、貫通孔176に挿通された軸部180によって回転自在に軸支されることとなる。
【0038】
上記の軸支構造によれば、回転体170を回転自在に軸支する軸部180の先端部180bが、軸支持部190によって支持されるので、遊技球の荷重や衝撃等が、回転体170を介して軸部180に作用しても、軸部180の軸心が傾きにくい。また、軸部180の先端部180bが、軸支持部190によって支持されていれば、軸部180の傾きを抑制できるため、多少の寸法誤差や組み付け誤差が生じたとしても、長期に亘って安定的な動作を確保することができる。換言すれば、寸法精度や組み付け精度を厳密に管理せずとも、軸部180の傾きを長期に亘って確保することができ、結果として、回転体170を長期に亘って安定的に可動させることができる。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0040】
例えば、上記実施形態では、軸部180をベース体110の対向面110aに設け、軸支持部190をカバー部材120の対向面120aに設けることとしたが、これとは逆に、軸部180をカバー部材120の対向面120aに設け、軸支持部190をベース体110の対向面110aに設けてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、軸部180にテーパ部180cを設けるとともに、軸部180の基端側と、軸支持部190とで回転体170を回転自在に支持することとした。しかしながら、例えば、軸部の外径を基端から先端まで均一に構成し、軸部によってのみ回転体170を回転自在に支持することとしてもよい。この場合であっても、回転体170の貫通孔176を貫通した軸部の先端が、軸支持部によって支持されていればよい。
【0042】
また、上記実施形態では、軸部180の先端部180bが挿入穴190aに、圧入または隙間が殆どない状態で挿入されるとともに、軸部180の段差部180dが開口面190bに突き当たることとしたが、先端部180bが挿入穴190aの底部に突き当たるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、軸部180の先端部180bが、軸支持部190の挿入穴190aに挿入されることで、軸部180の先端が軸支持部190によって支持されることとした。しかしながら、例えば、軸部の先端に穴を形成し、この穴に軸支持部が挿通されるように構成することで、軸部の先端が軸支持部に支持されるようにしても構わない。
【0044】
いずれにしても、ベース体110およびカバー部材120のいずれか一方に軸部を設け、いずれか他方に軸部の先端を支持する軸支持部を設け、回転体170の回転中心に形成される貫通孔176に軸部が挿通されることで、回転体170が回転自在に軸支されれば、各部位の形状や寸法、配置等の詳細は、適宜設計可能である。