(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ティースにおける前記方向性電磁鋼板の積層方向の厚みは前記支柱ティースにおける前記方向性電磁鋼板の積層方向の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項7に記載の誘導子型回転モータ。
前記ティースにおける前記方向性電磁鋼板の積層方向に直交する方向の幅は前記支柱ティースにおける前記方向性電磁鋼板の積層方向に直交する方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項7に記載の誘導子型回転モータ。
前記ロータは、前記ステータと一定のギャップを介して、前記ステータの外周側または内周側に配置したことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の誘導子型回転モータ。
前記ロータは、前記ステータと一定のギャップを介して、前記ステータの外周側及び内周側に配置したことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の誘導子型回転モータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る誘導子型回転モータの実施形態を、〔実施形態1〕から〔実施形態6〕に分けて説明する。本発明に係る誘導子型回転モータは、ティース間の短絡磁束を有効に活用するために、ティース先端の形状を工夫し、各ティースには所定の極性が向き合うように永久磁石を配置している。
【0010】
〔実施形態1〕
<誘導子型回転モータの構成>
図1は、実施形態1に係る誘導子型回転モータの構成図である。図に示すように、本実施形態に係る誘導子型回転モータ100は、ステータ120とロータ140とを有する。
【0011】
ステータ120は、円筒状のヨーク122、U相のティース124U、V相のティース124V、W相のティース124Wを有する。U相のティース124U、V相のティース124V、W相のティース124Wのそれぞれは、ヨーク122の内周側に中心角120°の等角度で円周状に配置される。実施形態1に係る誘導子型回転モータ100は、三相誘導子型回転モータである。
【0012】
U相のティース124Uには永久磁石126Uが、V相のティース124Vには永久磁石126Vが、W相のティース124Wには永久磁石126Wが、それぞれ配置される。実施形態1に係る誘導子型回転モータ100は、各ティースに1個の永久磁石が配置される。
【0013】
永久磁石126U、126V、126Wは長板形状を有する。各ティース124U、124V、124Wの奥行き方向(図面の表裏方向)に向けて永久磁石126U、126V、126Wの収納孔(符号は省略する)が形成してある。永久磁石126U、126V、126Wは、各ティース124U、124V、124Wのそれぞれの収納孔に挿入され、各収納孔に流し込んだ接着剤で固定される。収納孔は隣り合う複数のティースにおいて一定の間隔で形成してある。永久磁石126U、126V、126Wは、時計回り方向にS→N、S→N、S→Nとなるように極性を揃えて配置される。実施形態1に係る誘導子型回転モータ100は、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士が向き合わされて配置される。
【0014】
U相のティース124Uにはコイル130Uが巻回され、V相のティース124Vにはコイル130Vが巻回され、W相のティース124Wにはコイル130Wが巻回される。
【0015】
ロータ140に対峙する各ティース124U、124V、124Wの先端は環状に配置される。ティース124Uの先端、ティース124Vの先端及びティース124Wの先端は、薄肉部THを介して途切れることなく連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0016】
ロータ140はティースの先端と一定のギャップを介して対向する2つの誘導子歯142を備える2極の突極型ロータである。ロータ140は全てのティースの先端部分で形成される円筒状の空間内で回転する。ロータ140の各誘導子歯142の先端は、全てのティースの先端部分で形成される円筒と同心の円弧形状を有する。
【0017】
<誘導子型回転モータの動作>
図2は、実施形態1に係る誘導子型回転モータの動作説明に供する図である。実施形態1では、
図1に示した、U相のコイル130U、V相のコイル130V、W相のコイル130Wに電気角120°の位相差を持つ三相交流電流を流す。
図2では、そのときの、ステータ120とロータ140との間の磁束分布を、ロータ140の回転、30°刻み(ステージ)で示してある。
【0018】
図2に示すように、ロータ140の回転に伴って、ロータ140とステータ120との間には、ステージ毎に、矢線で示すように磁束が分布する。実施形態1に係る誘導子型回転モータ100の場合、ロータ140の1つの誘導子歯142の先端が隣接する2つのティース間を跨ぐ位置にあるときには、1つのティースからの磁束はロータ140の1つの誘導子歯142を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、隣接するステータ間を通過する磁束は漏れ磁束となることはない。ロータ140はステータ120からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。
【0019】
図2の(1)では、V相とW相に接続されたコイルが発生する磁束が、長い第1の経路Aと短い第2の経路Bの2つの経路を介して、ティース124V→永久磁石126V→ヨーク122→ティース124W→永久磁石126W→ロータ140の1つの誘導子歯142に流れる。ティース124Vとティース124Wとは薄肉部THを介して連続しているが、薄肉部THには磁束は流れない。薄肉部THには永久磁石126Wから永久磁石126Vに向かう永久磁石間の磁束が流れているために、薄肉部THは磁気飽和状態となっているからである。
【0020】
図2の(3)では、U相とV相に接続されたコイルが発生する磁束が、ティース124V→永久磁石126V→ヨーク122→ティース124U→永久磁石126U→ロータ140を流れる第1の経路Aと、ティース124V→永久磁石126V→ヨーク122→ティース124U→永久磁石126U→ロータ140及びロータ140の1つの誘導子歯142→ティース124W→永久磁石126W→ロータ140の他の1つの誘導子歯142を流れる第2の経路Bとの2つの経路に分かれて流れる。ティース124Uとティース124W、ティース124Wとティース124Vとは薄肉部THを介して連続しているが、これらの薄肉部THには磁束は流れない。これらの薄肉部THも永久磁石間の磁束によって磁気飽和状態となっているからである。
【0021】
このように、実施形態1に係る誘導子型回転モータ100では、隣接するティース間の磁束は必ずロータ140の誘導子歯142を通過するために、コイルが発生させた磁束は有効に利用され、ロータ140を回転させるトルクとなる。このことは、(1)、(3)以外のステージでも同様である。また、隣接するティース間が薄肉部THを介して連続しているので、ロータ140に発生するトルク変動は滑らかになり、コギングやトルクリップルが少なくなる。
【0022】
実施形態1に係る誘導子型回転モータ100では、各ティースに1つの永久磁石を同一のピッチで配置し、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせてある。このため、各ティースからロータ140の内部を通過する磁束以外に、ティース間を短絡して通過しようとする磁束(短絡磁束)をロータ140に導くことができ、ロータ140に大きなトルクを発生させることができる。また、ティース間は薄肉部THで連結されているので、コギングやトルクリップルが少ない、滑らかに回転する誘導子型回転モータを実現できる。
【0023】
〔実施形態2〕
<誘導子型回転モータの構成>
図3は、実施形態2に係る誘導子型回転モータの構成図である。図に示すように、本実施形態に係る誘導子型回転モータ200は、ステータ220とロータ240とを有する。
【0024】
ステータ220は、円筒状のヨーク222、U相のティース224U−1、224U−2、V相のティース224V−1、224V−2、W相のティース224W−1、224W−2を有する。U相のティース224U−1、224U−2、V相のティース224V−1、224V−2、W相のティース224W−1、224W−2のそれぞれは、ヨーク222の内周側に中心角60°の等角度で配置される。実施形態2に係る誘導子型回転モータ200は、6ティースの三相誘導子型回転モータである。
【0025】
U相のティース224U−1には永久磁石226U−1が、V相のティース224V−1には永久磁石226V−1が、W相のティース224W−1には永久磁石226W−1が、それぞれ配置される。また、U相のティース224U−2には永久磁石226U−2が、V相のティース224V−2には永久磁石226V−2が、W相のティース224W−2には永久磁石226W−2が、それぞれ配置される。実施形態2に係る誘導子型回転モータ200は、各ティースに1個の永久磁石が配置される。
【0026】
永久磁石226U−1、226U−2、226V−1、226V−2、226W−1、226W−2は長板形状を有する。各ティース224U−1、224U−2、224V−1、224V−2、224W−1、224W−2の奥行き方向(図面の表裏方向)に向けて永久磁石226U−1、226U−2、226V−1、226V−2、226W−1、226W−2の収納孔(符号は省略する)が形成してある。永久磁石226U−1、226U−2、226V−1、226V−2、226W−1、226W−2は、各ティース224U−1、224U−2、224V−1、224V−2、224W−1、224W−2のそれぞれの収納孔に挿入され、各収納孔に流し込んだ接着剤で固定される。収納孔は隣り合う複数のティースにおいて一定の間隔で形成してある。永久磁石226U−1、226V−1、226W−2、226U−2、226V−2、226W−1は、反時計回り方向にS→N、S→N、S→N、S→N、S→N、S→Nとなるように極性を揃えて配置される。実施形態2に係る誘導子型回転モータ200は、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士が向き合わされて配置される。
【0027】
U相のティース224U−1にはコイル230U−1が巻回され、V相のティース224V−1にはコイル230V−1が巻回され、W相のティース224W−1にはコイル230W−1が巻回される。また、U相のティース224U−2にはコイル230U−2が巻回され、V相のティース224V−2にはコイル230V−2が巻回され、W相のティース224W−2にはコイル230W−2が巻回される。
【0028】
ロータ240に対峙する各ティース224U−1、224V−1、224W−2、224U−2、224V−2、224W−1の先端は環状に配置される。ティース224U−1、224V−1、224W−2、224U−2、224V−2及び224W−1の先端は途切れることなく薄肉部THを介して連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0029】
ロータ240はティースの先端と一定のギャップを介して対向する4つの誘導子歯242を備える4極の突極型ロータである。ロータ240は全てのティースの先端部分で形成される円筒状の空間内で回転する。ロータ240の各誘導子歯242の先端は、全てのティースの先端部分で形成される円筒と同心の円弧形状を有する。
【0030】
次に、
図3に示した誘導子型回転モータ200の具体的な構成を説明する。
図4は、実施形態2に係る誘導子型回転モータ200の分解図であり、(a)はヨークの構成図であり、(b)はティースの構成図であり、(c)はティースに挿入する永久磁石の構成図である。
【0031】
図4(a)に示すように、誘導子型回転モータ200のヨーク222は、円筒形状を有し、外周は円形であり内周はティースを保持するために完全な円形にはなっていない。
図4(b)に示すように、誘導子型回転モータ200は、6つのティース224V−1、224U−1、224W−1、224V−2、224U−2、224W−2を有する。各ティースには
図4(c)に示す永久磁石226V−1、226U−1、226W−1、226V−2、226U−2、226W−2を収納する収納孔225が開口されている。なお、ヨーク222及び6つのティース224V−1、224U−1、224W−1、224V−2、224U−2、224W−2は薄板を打ち抜いた電磁鋼板を積層して形成することが好ましい。
【0032】
6つのティース224V−1、224U−1、224W−1、224V−2、224U−2、224W−2は、ヨーク222の内部に収容される。ヨーク222に収容されたティース224V−1、224U−1、224W−1、224V−2、224U−2、224W−2は、その外周側がヨーク222の内周面と隙間なく接触する。同時に、ティース224V−1、224U−1、224W−1、224V−2、224U−2、224W−2の内周側が、隣接するティース同士で接触する。
【0033】
各ティースに、隣接するティースの永久磁石同士の極性が反時計回り方向に異なるように永久磁石を収納すると、ティース間を連結する薄肉部THに永久磁石の磁束が通過する。このため、薄肉部THは磁気飽和気味になる。
【0034】
図5は、実施形態2に係る誘導子型回転モータのヨーク及びティースの構成図であり、(a)−(c)はティースの分割態様を示す図である。
【0035】
誘導子型回転モータ200は、
図5(a)に示すように、ティース先端の薄肉部を設けずに、ヨークを含めたT字状の6つの磁気部227V−1、227U−1、227W−1、227V−2、227U−2、227W−2を連結するようにしても良い。また、
図5(b)に示すように、I字状の6つのティース224V−1、224U−1、224W−1、224V−2、224U−2、224W−2をヨーク222に嵌め込むようにしても良い。さらに、
図5(c)に示すように、3つのティース224V−1、224W−1、224U−2が一体的に取り付けられているヨーク222に、I字状の3つのティース224U−1、224V−2、224W−2を嵌め込むようにしても良い。
図5のティースは方向性磁性鋼板を用いて形成することが好ましい。この場合、ティースにおける磁束の通過方向と方向性磁性鋼板の磁化容易軸とが平行であることが好ましい。
【0036】
図6は、実施形態2に係る誘導子型回転モータ200のコア形状を示す図である。実施形態2に示した各ティース(たとえば224U−1)の収納孔225の形状は、詳細には、
図6に示すように、永久磁石226U−1の縦方向に伸びる長方形状であり、先端に半円形の空隙250を設けている。空隙250は、永久磁石226U−1の磁束の短絡を防止する。永久磁石226U−1の磁束の短絡が防止されると、ロータ240とのギャップ面の磁束を増加させることができ、ロータ240のトルクを向上させる効果がある。なお、図では、半円形の空隙250を設けているが、磁気抵抗を増加させる空隙の形状は三角形や楕円形状などであっても良い。
【0037】
<誘導子型回転モータの動作>
図7は、実施形態2に係る誘導子型回転モータの動作説明に供する図である。実施形態2では、
図3に示した、U相のコイル230U−1、230U−2、V相のコイル230V−1、230V−2、W相のコイル230W−1、230W−2に電気角120°の位相差を持つ三相交流電流を流す。
図7では、そのときの、ステータ220とロータ240との間の磁束分布を、ロータ240の回転、30°刻みで示してある。
【0038】
図7に示すように、ロータ240の回転に伴って、ロータ240とステータ220との間には、ステージ毎に矢線で示すような磁束が分布する。実施形態2に係る誘導子型回転モータ200の場合、ロータ240の1つの誘導子歯242の先端が隣接する2つのティース間を跨ぐ位置にあるときには、1つのティースからの磁束はロータ240の1つの誘導子歯242を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、ロータ240はステータ220からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。
【0039】
図7の(1)では、V相とW相に接続されたコイルが発生する磁束が、第1の経路Aと第2の経路Bの2つの経路を介して、ティース224V−1→永久磁石226V−1→ヨーク222→ティース224W−1→永久磁石226W−1、ロータ240の2つの誘導子歯242及びティース224U−1→永久磁石226−1に流れる。ティース224V−1、ティース224U−1、ティース224W−1とはティース間の薄肉部THを介して連続しているが、薄肉部THには磁束は流れない。薄肉部THには隣接するティースの永久磁石からの磁束が流れているために、薄肉部THは磁気飽和状態となっているからである。
【0040】
このように、実施形態2に係る誘導子型回転モータ200でも、実施形態1に係る誘導子型回転モータ100と同様に、隣接するティース間の磁束は必ずロータ240の誘導子歯242を通過するために、コイルが発生させた磁束は有効に利用されてロータ240を回転させるトルクとなる。このことは、(1)以外のステージでも同様である。また、隣接するティース間が薄肉部THを介して連続しているので、ロータ240に発生するトルク変動は滑らかになり、コギングやトルクリップルが少なくなる。
【0041】
実施形態2に係る誘導子型回転モータ200によれば、各ティースに1つの永久磁石を同一のピッチで配置し、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせてある。このため、各ティースからロータ240の内部を通過する磁束以外に、ティース間を短絡して通過しようとする磁束(短絡磁束)をロータ240の誘導子歯242に導くことができ、ロータ240に大きなトルクを発生させることができる。また、ティース間は薄肉部THで連結されているので、ロータ240が発生するトルクは滑らかになり、コギングやトルクリップルが少ない誘導子型回転モータを実現できる。
【0042】
〔実施形態3〕
<誘導子型回転モータの構成>
図8は、実施形態3に係る誘導子型回転モータの構成図である。図に示すように、本実施形態に係る誘導子型回転モータ300は、ステータ320とロータ340とを有する。
【0043】
ステータ320は、円筒状のヨーク322、U相のティース324U−1、324U−2、V相のティース324V−1、ティース324V−2、W相のティース324W−1、324W−2を有する。U相のティース324U−1、324U−2、V相のティース324V−1、ティース324V−2、W相のティース324W−1、324W−2のそれぞれは、ヨーク322の内周側に中心角60°の等角度で配置される。実施形態3に係る誘導子型回転モータ300は、実施形態2に係る誘導子型回転モータ200と同様に、6ティースの三相誘導子型回転モータである。
【0044】
U相のティース324U−1には2つの永久磁石326U−1Aと326U−1Bが、V相のティース324V−1には2つの永久磁石326V−1Aと326V−1Bが、W相のティース324W−1には2つの永久磁石326W−1Aと326W−1Bが、それぞれ配置される。また、U相のティース324U−2には2つの永久磁石326U−2Aと326U−2Bが、V相のティース324V−2には2つの永久磁石326V−2Aと326V−2Bが、W相のティース324W−2には2つの永久磁石326W−2Aと326W−2Bが、それぞれ配置される。実施形態3に係る誘導子型回転モータ300は、各ティースに2個の永久磁石が配置される。
【0045】
永久磁石326U−1A、326U−1B、326U−2A、326U−2B、326V−1A、326V−1B、326V−2A、326V−2B、326W−1A、326W−1B、326W−2A、326W−2Bは長板形状を有する。各ティース324U−1、324U−2、324V−1、324V−2、324W−1、324W−2の奥行き方向(図面の表裏方向)に向けて、永久磁石326U−1A、326U−1B、326U−2A、326U−2B、326V−1A、326V−1B、326V−2A、326V−2B、326W−1A、326W−1B、326W−2A、326W−2Bの収納孔(符号は省略する)が形成してある。永久磁石326U−1A、326U−1B、326U−2A、326U−2B、326V−1A、326V−1B、326V−2A、326V−2B、326W−1A、326W−1B、326W−2A、326W−2Bは、各ティース324U−1、324U−2、324V−1、324V−2、324W−1、324W−2のそれぞれの収納孔に挿入され、各収納孔に流し込んだ接着剤で固定される。収納孔は隣り合う複数のティースにおいて一定の間隔で形成してある。永久磁石326U−1A、326U−1B、326U−2A、326U−2B、326V−1A、326V−1B、326V−2A、326V−2B、326W−1A、326W−1B、326W−2A、326W−2Bは、反時計回り方向に、それぞれS→N、N→S、N→S、N→Sを繰り返すように、極性を揃えて配置される。実施形態3に係る誘導子型回転モータ300は、同一のティースに属する隣り合う永久磁石は同一の極性同士が向き合うとともに、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士が向き合わされて配置される。
【0046】
U相のティース324U−1にはコイル330U−1が巻回され、V相のティース324V−1にはコイル330V−1が巻回され、W相のティース324W−1にはコイル330W−1が巻回される。また、U相のティース324U−2にはコイル330U−2が巻回され、V相のティース324V−2にはコイル330V−2が巻回され、W相のティース324W−2にはコイル330W−2が巻回される。
【0047】
ロータ340に対峙する各ティース324U−1、324V−1、324W−2、324U−2、324V−2、324W−1の先端は環状に配置される。ティース324U−1、324V−1、324W−2、324U−2、324V−2及び324W−1の先端は途切れることなく薄肉部THを介して連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0048】
ロータ340はティースの先端と一定のギャップを介して対向する5つの誘導子歯342を備える5極の突極型ロータである。ロータ340は全てのティースの先端部分で形成される円筒状の空間内で回転する。ロータ340の各誘導子歯342の先端は、全てのティースの先端部分で形成される円筒と同心の円弧形状を有する。
【0049】
図9は、実施形態3に係る誘導子型回転モータ300のロータの構成を示す図である。
図8に示したロータ340は、
図9(a)に示すように、中心角を72°ずらして配置された5極の誘導子歯342を備える。本実施形態に係る誘導子型回転モータ300のロータは、
図9(a)に示す5極の誘導子歯342を備えるロータに代えて、
図9(b)に示すように、中心角を51°程度ずらして配置された7極の誘導子歯342Aを設けても良い。
【0050】
<誘導子型回転モータの動作>
図10は、実施形態3に係る誘導子型回転モータの動作説明に供する図である。実施形態3では、
図8に示した、U相のコイル330U−1、330U−2、V相のコイル330V−1、330V−2、W相のコイル330W−1、330W−2に電気角120°の位相差を持つ三相交流電流を流す。
図10では、そのときの、ステータ320とロータ340との間の磁束分布を、ロータ340の回転、30°刻みで示してある。
【0051】
図10に示すように、ロータ340の回転に伴って、ロータ340とステータ320との間には、ステージ毎に矢線で示すような磁束が分布する。実施形態3に係る誘導子型回転モータ300の場合、ロータ340の1つの誘導子歯342の先端が隣接する2つのティース間を跨ぐ位置にあるときには、1つのティースからの磁束はロータ340の1つの誘導子歯342を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、ロータ340はステータ320からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。
【0052】
図10の(1)では、V相とW相に接続されたコイルが発生する磁束が、ティース324V−1→ヨーク322→ティース324W−1→永久磁石326W−1A→誘導子歯342→ロータ340→永久磁石326V−2B及び誘導子歯342→ティース324U−1→永久磁石326U−1A→誘導子歯342→永久磁石326V−2Bに流れる。ティース324V−1、ティース324U−1、ティース324W−1とはティース間の薄肉部THを介して連続しているが、薄肉部THには磁束は流れない。各ティースにはコイル側に2個の永久磁石が配置され、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は薄肉部THを挟むように配置されるので、薄肉部THには隣接するティースの永久磁石からの磁束が流れ、薄肉部THは磁気飽和状態となっているからである。
【0053】
このように、実施形態3に係る誘導子型回転モータ300でも、実施形態1及び2に係る誘導子型回転モータ100、200と同様に、隣接するティース間の磁束は必ずロータ340の誘導子歯342を通過するために、コイルが発生させた磁束は有効に利用されてロータ340を回転させるトルクとなる。このことは、(1)以外のステージでも同様である。また、隣接するティース間が薄肉部THを介して連続しているので、ロータ340に発生するトルク変動は滑らかになり、コギングやトルクリップルが少なくなる。
【0054】
実施形態3に係る誘導子型回転モータ300によれば、各ティースに2つの永久磁石を配置し、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせ、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石は同一の極性同士を向き合わせてある。このため、各ティースからロータ340の内部を通過する磁束以外に、ティース間を短絡して通過しようとする磁束(短絡磁束)をロータ340の誘導子歯342に導くことができ、ロータ340に大きなトルクを発生させることができる。また、ティース間は薄肉部THで連結されているので、ロータ340が発生するトルクは滑らかになり、コギングやトルクリップルが少ない誘導子型回転モータを実現できる。
【0055】
〔実施形態3の変形例1〕
<誘導子型回転モータの構成>
図11は、実施形態3の変形例1に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図11に示す誘導子型回転モータ300Aは、ほとんどの部分が
図8に示した実施形態3に係る誘導子型回転モータ300と同一である。異なるのは、
図11に示すように、ロータとして
図9(b)に示したロータ340Aが用いられていること、及び、永久磁石326U−1A、326U−1B、326U−2A、326U−2B、326V−1A、326V−1B、326V−2A、326V−2B、326W−1A、326W−1B、326W−2A、326W−2Bがコイルの輪郭に沿ってハの字状に配置されていることである。つまり、ティースの少なくとも1つの永久磁石が他の永久磁石に対して接近するように傾斜させて配置されていることである。
【0056】
図8のように、永久磁石をティースの長手方向に平行に配置するのではなく、
図11のようにハの字状に配置すると、コイルで生じた磁束を各永久磁石に対して均一に作用させることができるため、ロータ340Aとステータ320との間に分布する磁束の様子が、
図10とは若干異なってくる。
【0057】
<誘導子型回転モータの動作>
図12は、実施形態3の変形例1に係る誘導子型回転モータの動作説明に供する図である。実施形態3の変形例1でも、
図8に示した、U相のコイル330U−1、330U−2、V相のコイル330V−1、330V−2、W相のコイル330W−1、330W−2に相当するコイルに、電気角120°の位相差を持つ三相交流電流を流す。
図12では、そのときの、ステータ320とロータ340Aとの間の磁束分布を、ロータ340Aの回転、30°刻みで示してある。
【0058】
図12に示すように、ロータ340Aの回転に伴って、ロータ340Aとステータ320との間には、ステージ毎に矢線で示すような磁束が分布する。実施形態3の変形例1に係る誘導子型回転モータ300Aの場合、ロータ340Aの1つの誘導子歯342の先端が隣接する2つのティース間を跨ぐ位置にあるときには、1つのティースからの磁束はロータ340Aの1つの誘導子歯342を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、ロータ340Aはステータ320からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。V相とW相に接続されたコイル330V−1、330W−1が発生する各ステージの磁束分布の様子は、
図10と類似しており、
図12に示す通りである。
【0059】
このように、実施形態3の変形例1に係る誘導子型回転モータ300Aでも、実施形態1−3に係る誘導子型回転モータ100、200、300と同様に、隣接するティース間の磁束は必ずロータ340Aの誘導子歯342を通過するために、コイルが発生させた磁束は有効に利用されてロータ340Aを回転させるトルクとなる。このことは、(1)以外のステージでも同様である。また、隣接するティース間が薄肉部THを介して連続しているので、また、永久磁石をハの字状に配置しているので、最大トルクを大きくすることができる一方、ロータ340Aに発生するトルク変動は滑らかになり、コギングやトルクリップルが少なくなる。
【0060】
〔実施形態3の変形例2〕
<誘導子型回転モータの構成>
図13は、実施形態3の変形例2に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図13に示す誘導子型回転モータ300Bは、
図11に示した誘導子型回転モータ300Aとコイルの巻き方が異なる。
【0061】
図11に示した誘導子型回転モータ300Aでは各ティースにコイルを巻回した。
図13に示した誘導子型回転モータ300Bでは、ティース324Uにコイル330Uを巻回してU相を形成し、ティース324Vにコイル330Vを巻回してV相を形成し、ティース324Wにコイル330Wを巻回してW相を形成する。
【0062】
<誘導子型回転モータの動作>
図13に示した誘導子型回転モータ300Bの動作は、
図11に示した誘導子型回転モータ300Aとほぼ同じである。実施形態3の変形例2に係る誘導子型回転モータ300Bでも、実施形態1−3に係る誘導子型回転モータ100、200、300と同様に、隣接するティース間の磁束は、薄肉部THを通過せずに、必ずロータ340Aの誘導子歯342を通過する。このため、コイルが発生させた磁束は有効に利用されてロータ340Aを回転させるトルクとなる。
【0063】
〔実施形態4〕
<誘導子型回転モータの構成>
図14は、実施形態4に係る誘導子型回転モータの構成図である。図に示すように、本実施形態に係る誘導子型回転モータ400は、ステータ420とロータ440とを有する。
【0064】
ステータ420は、円筒状のヨーク422、U相のティース424U−1、424U−2、V相のティース424V−1、ティース424V−2、W相のティース424W−1、424W−2を有する。U相のティース424U−1、424U−2、V相のティース424V−1、ティース424V−2、W相のティース424W−1、424W−2のそれぞれは、ヨーク422の内周側に中心角60°の等角度で配置される。実施形態4に係る誘導子型回転モータ400は、6ティースの三相誘導子型回転モータである。
【0065】
U相のティース424U−1には3つの永久磁石426U−1A、426U−1B及び426U−1Cが、V相のティース424V−1には3つの永久磁石426V−1A、426V−1B及び426V−1Cが、W相のティース424W−1には3つの永久磁石426W−1A、426W−1B及び426W−1Cが、それぞれ配置される。また、U相のティース424U−2には3つの永久磁石426U−2A、426U−2B及び426U−2Cが、V相のティース424V−2には3つの永久磁石426V−2A、426V−2B及び426V−2Cが、W相のティース424W−2には3つの永久磁石426W−2A、426W−2B及び426W−2Cが、それぞれ配置される。実施形態4に係る誘導子型回転モータ400は、各ティースに3個の永久磁石が配置される。
【0066】
永久磁石426U−1A、426U−1B、426U−1C、426U−2A、426U−2B、426U−2C、426V−1A、426V−1B、426V−1C、426V−2A、426V−2B、426V−2C、426W−1A、426W−1B、426W−1C、426W−2A、426W−2B、426W−2C、は長板形状を有する。
【0067】
各ティース424U−1、424U−2、424V−1、424V−2、424W−1、424W−2の奥行き方向(図面の表裏方向)に向けて、永久磁石426U−1A、426U−1B、426U−1C、426U−2A、426U−2B、426U−2C、426V−1A、426V−1B、426V−1C、426V−2A、426V−2B、426V−2C、426W−1A、426W−1B、426W−1C、426W−2A、426W−2B、426W−2Cの収納孔(符号は省略する)が形成してある。
【0068】
永久磁石426U−1A、426U−1B、426U−1C、426U−2A、426U−2B、426U−2C、426V−1A、426V−1B、426V−1C、426V−2A、426V−2B、426V−2C、426W−1A、426W−1B、426W−1C、426W−2A、426W−2B、426W−2Cは、各ティース424U−1、424U−2、424V−1、424V−2、424W−1、424W−2のそれぞれの収納孔に挿入され、各収納孔に流し込んだ接着剤で固定される。
【0069】
永久磁石426U−1A、426U−1C、426U−2A、426U−2C、426V−1A、426V−1C、426V−2A、426V−2C、426W−1A、426W−1C、426W−2A、426W−2Cは、反時計回り方向に、それぞれS→Nを繰り返すように、極性を揃えて配置される。また、永久磁石426U−1B、426U−2B、426V−1B、426V−2B、426W−1B、426W−2Bは、反時計回り方向に、それぞれN→Sを繰り返すように、極性を揃えて配置される。したがって、各ティースの中央で挟まれる永久磁石は、両側に位置する永久磁石から反発力を受ける。たとえば、ティース424U−1では、そのティースの中央に位置する永久磁石426U-1Bの極性がその両側に位置する永久磁石426U-1A、426U-1Cの極性とは反対の極性になっており、永久磁石426U-1Bは永久磁石426U-1A、426U-1Cから反発力を受ける。
【0070】
U相のティース424U−1にはコイル430U−1が巻回され、V相のティース424V−1にはコイル430V−1が巻回され、W相のティース424W−1にはコイル430W−1が巻回される。また、U相のティース424U−2にはコイル430U−2が巻回され、V相のティース424V−2にはコイル430V−2が巻回され、W相のティース424W−2にはコイル430W−2が巻回される。
【0071】
ロータ440に対峙する各ティース424U−1、424V−1、424W−2、424U−2、424V−2、424W−1の先端は環状に配置される。ティース424U−1、424V−1、424W−2、424U−2、424V−2及び424W−1の先端は途切れることなく薄肉部THを介して連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0072】
ロータ440はティースの先端と一定のギャップを介して対向する10個の誘導子歯442を備える10極の突極型ロータである。ロータ440は全てのティースの先端部分で形成される円筒状の空間内で回転する。ロータ440の各誘導子歯442の先端は、全てのティースの先端部分で形成される円筒と同心の円弧形状を有する。
【0073】
<誘導子型回転モータの動作>
実施形態4に係る誘導子型回転モータ400も実施形態1−3に示した誘導子型回転モータ100、200、300と同様に、ティースに配置された3つの永久磁石が、ティース間に存在する薄肉部THに流れようとする磁束を阻止する。このため、1つのティースからの磁束はロータ440の1つの誘導子歯442を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、ロータ440はステータ420からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。
【0074】
実施形態4に係る誘導子型回転モータ400によれば、各ティースに3つの永久磁石を配置し、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせ、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石は同一の極性同士を向き合わせてある。このため、各ティースからロータ440の内部を通過する磁束以外に、ティース間を短絡して通過しようとする磁束(短絡磁束)をロータ440の誘導子歯442に導くことができ、ロータ440に大きなトルクを発生させることができる。また、ティース間は薄肉部THで連結されているので、ロータ440が発生するトルクは滑らかになり、コギングやトルクリップルが少ない誘導子型回転モータを実現できる。
【0075】
〔実施形態4の変形例1〕
<誘導子型回転モータの構成>
図15は、実施形態4の変形例1に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図15に示す誘導子型回転モータ400Aは、
図14に示した誘導子型回転モータ400とはロータの極数が異なる。
【0076】
図14に示した誘導子型回転モータ400は10極のロータ440であるが、
図15に示した誘導子型回転モータ400Aは8極のロータ440Aである。その他の構成は
図14の誘導子型回転モータ400と同一である。
【0077】
<誘導子型回転モータの動作>
図15に示した誘導子型回転モータ400Aの動作は
図14に示した誘導子型回転モータ400と同一である。ティース間の薄肉部THの作用も同一である。
【0078】
〔実施形態4の変形例2〕
<誘導子型回転モータの構成>
図16は、実施形態4の変形例2に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図16に示す誘導子型回転モータ400Bは、
図14に示した誘導子型回転モータ400とはティースの数、コイルに対する電流の流し方及びロータの極数が異なる。
【0079】
誘導子型回転モータ400Bは、U相のティースとしてティース424U及び2つのティース424−U、V相のティースとしてティース424V及び2つのティース424−V、W相のティースとしてティース424W及び2つのティース424−W、という9個のティースを有する。したがって、各ティースは中心角40°の等角度で配置される。実施形態4の変形例2に係る誘導子型回転モータ400Bは、9ティースの三相誘導子型回転モータである。
【0080】
ティース424UにはU相の電圧が印加され、2つのティース424−Uには−U相の電圧が印加される。また、ティース424VにはV相の電圧が印加され、2つのティース424−Vには−V相の電圧が印加される。さらに、ティース424WにはW相の電圧が印加され、2つのティース424−Wには−W相の電圧が印加される。
【0081】
ロータ440Bは、14の誘導子歯442Bを備えた14極のロータである。以上が
図14に示した誘導子型回転モータ400と異なる部分であり、その他の構成は同一である。
【0082】
<誘導子型回転モータの動作>
図16に示した誘導子型回転モータ400Bの動作は
図14に示した誘導子型回転モータ400と同一である。ティース間の薄肉部THの作用も同一である。
【0083】
〔実施形態4の変形例3〕
<誘導子型回転モータの構成>
図17は、実施形態4の変形例3に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図17に示す誘導子型回転モータ400Cは、
図16に示した誘導子型回転モータ400Bとはコイルに対する電流の流し方及びロータの極数が異なる。
【0084】
誘導子型回転モータ400Cのティースの構成は
図16に示した誘導子型回転モータ400Bと同一である。各ティースには、U相、V相、W相の三相電圧が印加される。
【0085】
ロータ440Cは、15の誘導子歯442Cを備えた15極のロータである。以上が
図16に示した誘導子型回転モータ400Bと異なる部分であり、その他の構成は同一である。
【0086】
<誘導子型回転モータの動作>
図17に示した誘導子型回転モータ400Cの動作は
図16に示した誘導子型回転モータ400Bと同一である。ティース間の薄肉部THの作用も同一である。
【0087】
〔実施形態4の変形例4〕
<誘導子型回転モータの構成>
図18は、実施形態4の変形例4に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図18に示す誘導子型回転モータ400Dは、
図17に示した誘導子型回転モータ400Cのロータ440Cとヨーク420Cを入れ替えて配置したものである。
【0088】
各ティースに設けられている3つの永久磁石はロータ440D側に配置し、ティース間の薄肉部THもロータ440D側に設ける。ヨーク420Dは全てのティースを内周側で固定する。
【0089】
<誘導子型回転モータの動作>
図18に示した誘導子型回転モータ400Dの動作は、ロータ440Dがティースの外周側で回転する点が異なるものの、
図16に示した誘導子型回転モータ400Bと同一である。ティース間の薄肉部THの作用も同一である。
【0090】
〔実施形態4の変形例5〕
<誘導子型回転モータの構成>
図19は、実施形態4の変形例5に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図19に示す誘導子型回転モータ400Eは、
図18に示した誘導子型回転モータ400D内周部分に内周側ロータ445Eを配置したものである。
【0091】
つつみ形状の各ティースには、ロータ440E側と内周側ロータ445Eに永久磁石を3つずつ配置する。各ティースに配置された永久磁石の極性の並びは、
図14に示した実施形態4に係る誘導子型回転モータ400の永久磁石の並びと同一である。つまり、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせ、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石も異なる極性同士を向き合わせてある。
【0092】
ロータ440E、内周側ロータ445Eの両側に対峙する各ティースの先端は環状に配置される。ティースの先端は途切れることなく薄肉部THを介して連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0093】
<誘導子型回転モータの動作>
図19に示した誘導子型回転モータ400Eは、ティースの外側に位置するロータ440Eとティースの内側に位置する内周側ロータ445Eが独立して回転できる。ロータ440Eとロータ445Eとを一体化すれば、ロータとしてのトルクを倍増させることができる。
図19に示した誘導子型回転モータ400Eの基本的な動作は、
図16及び
図18に示した誘導子型回転モータ400B、400Dと同一である。ティース間の薄肉部THの作用も同一である。
【0094】
〔実施形態5〕
<誘導子型回転モータの構成>
図20は、実施形態5に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図21は、
図20に示す誘導子型回転モータの組み立て図である。
図22は、
図20に示す誘導子型回転モータのティースとコイルの構成図である。
図23は、
図22に示すコイルの構成図である。
【0095】
図20に示すように、本実施形態に係る誘導子型回転モータ500は、ステータ520とロータ540とを有する。
【0096】
ステータ520は、
図21に示すように、円筒状のヨーク522に支柱ティース525A、525B、525C、525D、525E、525Fが一体的に形成され、2つの支柱ティース525A、525Bの間には2つの永久磁石を配置した磁気突起527Aが設けられ、同様に、支柱ティース525B、525Cの間には磁気突起527Bが、支柱ティース525C、525Dの間には磁気突起527Cが、支柱ティース525D、525Eの間には磁気突起527Dが、支柱ティース525E、525Fの間には磁気突起527Eが、支柱ティース525F、525Aの間には磁気突起527Fがそれぞれ設けられる。各ティース及び磁気突起の先端部分には2つの永久磁石が配置される。支柱ティースの先端部分は薄肉部THを介して途切れることなく連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0097】
図22に示すように、ティース524Uにはコイル530Uが巻回される。同様に、
図20に示すように、ティース524−Wにはコイル530−Wが、ティース524Vにはコイル530Vが、ティース524−Uにはコイル530−Uが、ティース524Wにはコイル530Wが、ティース524−Vにはコイル530−Vが、それぞれ巻回される。支柱ティースの幅とティースの幅は同じであっても異なっても良い。支柱ティース及びティースは打ち抜いた方向性電磁鋼板を積層して形成しても良い。この場合には、コイルの巻線軸方向と方向性電磁鋼板の磁化容易軸が平行になるようにするのが好ましい。ティースにおける方向性電磁鋼板の積層方向の厚みは支柱ティースにおける方向性電磁鋼板の積層方向の厚みよりも薄くしてある。また、ティースにおける方向性電磁鋼板の積層方向に直交する方向の幅は支柱ティースにおける方向性電磁鋼板の積層方向に直交する方向の幅よりも広くしてある。
【0098】
コイル530Uは、
図23に示すように、ティース524Uに巻回されるが、コイルエンドはヨーク522から突出する。
【0099】
コイル530Uが巻回されたティース524Uは、
図21に示すように、支柱ティース525A、支柱ティース525B及びヨーク522に囲まれる空間内で、ヨーク522と磁気突起527Aに支えられて保持される。同様に、
図20に示すように、コイルが巻回された各ティースは、支柱ティース及びヨーク522に囲まれる各空間内で、ヨーク522と磁気突起に支えられて保持される。実施形態5に係る誘導子型回転モータ500は、12ティースの三相誘導子型回転モータである。
【0100】
各支柱ティース525A−525Fの先端部分及び磁気突起527A−527Fには2つの永久磁石が配置される。永久磁石は、長板形状を有し、時計方向にN→S、S→N、S→N、N→Sを繰り返すように極性を揃えて配置される。したがって、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士が向き合い、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石は同一の極性同士が向き合う。
【0101】
ロータ540はティースの先端と一定のギャップを介して対向する11個の誘導子歯542を備える11極の突極型ロータである。ロータ540は全てのティースの先端部分で形成される円筒状の空間内で回転する。ロータ540の各誘導子歯542の先端は、全てのティースの先端部分で形成される円筒と同心の円弧形状を有する。
【0102】
<誘導子型回転モータの動作>
実施形態5に係る誘導子型回転モータ500も上記の実施形態に示した誘導子型回転モータと同様に、ティースに配置された2つの永久磁石が、ティース間に存在する薄肉部THに流れようとする磁束を阻止する。このため、1つのティースからの磁束はロータ540の1つの誘導子歯542を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、ロータ540はステータ520からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。
【0103】
実施形態5に係る誘導子型回転モータ500によれば、各ティースに2つの永久磁石を配置し、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせ、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石も異なる極性同士を向き合わせてある。このため、各ティースからロータ540の内部を通過する磁束以外に、ティース間を短絡して通過しようとする磁束(短絡磁束)をロータ540の誘導子歯542に導くことができ、ロータ540に大きなトルクを発生させることができる。また、ティース間は薄肉部THで連結されているので、ロータ540が発生するトルクは滑らかになり、コギングやトルクリップルが少ない誘導子型回転モータを実現できる。
【0104】
〔実施形態6〕
<誘導子型回転モータの構成>
図24は、実施形態6に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図24に示すように、本実施形態に係る誘導子型回転モータ600は、ステータ620とロータ640とを有する。
【0105】
ステータ620は、円筒状のヨーク622に支柱ティース625A、625B、625C、625Dが一体的に形成され、各ティースの先端部分には4つの永久磁石が配置される。2つの支柱ティース625A、625Bの間には4つの永久磁石を配置した磁気突起627Aが設けられ、同様に、支柱ティース625B、625Cの間には磁気突起627−Bが、支柱ティース625C、625Dの間には磁気突起627−Aが、支柱ティース625D、625Aの間には磁気突起627Bが、それぞれ設けられる。支柱ティース及び磁気突起の先端部分は薄肉部THを介して途切れることなく連続し、全てのティースの先端部分で円筒状の空間を形成する。
【0106】
ティース624Aはコイル630Aが巻回される。同様に、ティース624−Bにはコイル630−Bが、ティース624−Aにはコイル630−Aが、ティース624Bにはコイル630Bが、それぞれ巻回される。
【0107】
コイル630Aが巻回されたティース624Aは、支柱ティース625A、支柱ティース625B及びヨーク622に囲まれる空間内で、ヨーク622と磁気突起627Aに支えられて保持される。コイルが巻回された各ティースは、支柱ティース及びヨーク622に囲まれる各空間内で、ヨーク622と磁気突起に支えられて保持される。したがって、コイルを巻回しない支柱ティースとコールを巻回するティースが周方向に交互に配置されることになる。実施形態6に係る誘導子型回転モータ600は、2極8ティースの三相誘導子型回転モータ(2相ステッピングモータ)である。
【0108】
各支柱ティース625A−625Dの先端部分及び磁気突起627A、627−B、627−A、627Bには4つの永久磁石が配置される。永久磁石は、長板形状を有し、時計方向にN→S、S→N、S→N、N→Sを繰り返すように極性を揃えて配置される。したがって、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士が向き合い、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石は同一の極性同士が向き合う。
【0109】
ロータ640はティースの先端と一定のギャップを介して対向する15個の誘導子歯642を備える15極の突極型ロータである。ロータ640は全てのティースの先端部分で形成される円筒状の空間内で回転する。ロータ640の各誘導子歯642の先端は、全てのティースの先端部分で形成される円筒と同心の円弧形状を有する。
【0110】
<誘導子型回転モータの動作>
図25は、実施形態6に係る誘導子型回転モータの動作説明に供する図である。実施形態6では、
図24に示したコイル630A、630−B、630−A、630Bに
図25に示すような、A相、B相、及びA相、B相とは逆相の交流電流を流す。
図25では、そのときのステータ620とロータ640との間の磁束分布を、ロータ640の回転、45°刻みで示してある。
【0111】
図25に示すように、ロータ640の回転に伴って、ロータ640とステータ620との間には、ステージ毎に矢線で示すような磁束が分布する。実施形態6に係る誘導子型回転モータ600の場合、ロータ640の1つの誘導子歯642の先端が隣接する2つのティース間を跨ぐ位置にあるときには、薄肉部THは通過せずに、1つのティースからの磁束はロータ640の1つの誘導子歯642を通って隣接する他の1つのティースに向かう。したがって、ロータ340はステータ320からの磁束を有効に利用してトルクを発生させる。
【0112】
ティースと磁気突起とは薄肉部THを介して連続しているが、薄肉部THには磁束は流れない。各ティースと磁気突起にはそれぞれ4個の永久磁石が配置され、隣り合うティース及び磁気突起の永久磁石は薄肉部THを挟むように配置される。このため、薄肉部THには隣接するティースの永久磁石からの磁束が流れ、薄肉部THは磁気飽和状態となっているからである。
【0113】
このように、実施形態6に係る誘導子型回転モータ600でも、隣接するティース間の磁束は必ずロータ640の誘導子歯642を通過するために、コイルが発生させた磁束は有効に利用されてロータ640を回転させるトルクとなる。隣接するティース間が薄肉部THを介して連続しているので、ロータ640に発生するトルク変動は滑らかになり、コグングやトルクリップルが少なくなる。
【0114】
実施形態6に係る誘導子型回転モータ600によれば、各ティースに4つの永久磁石を配置し、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士を向き合わせ、また、同一のティースに属する隣り合う永久磁石は同一の極性同士を向き合わせてある。このため、各ティースからロータ640の内部を通過する磁束以外に、ティース間を短絡して通過しようとする磁束(短絡磁束)をロータ640の誘導子歯642に導くことができ、ロータ640に大きなトルクを発生させることができる。また、ティース間は薄肉部THで連結されているので、ロータ640が発生するトルクは滑らかになり、コギングやトルクリップルが少ない誘導子型回転モータを実現できる。
【0115】
〔実施形態6の変形例1〕
<誘導子型回転モータの構成>
図26は、実施形態6の変形例1に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図26に示す誘導子型回転モータ600Aは、
図25に示した誘導子型回転モータ600とはステータ620Aの構成が異なる。
【0116】
誘導子型回転モータ600Aは、8つのティースから構成される。ティース625Aは外周側にはヨークを備え、内周側には4つの永久磁石を備える。ティース625−A、ティースBなどの残りのティースもティース625Aと同様である。それぞれのティースを組み合わせると、
図26のようなステータ620Aが形成される。内周側の磁石を有するティースの先端部分は、隣り合うティースの先端部分と隣接し、しっかりと接触して、薄肉部THを形成する。一方、外周側のティースも隣接するティースとしっかりと接触してヨーク622Aを形成する。ヨーク622Aを形成する、隣接するティース同士は磁気抵抗の増加を防止するために、隙間なく接続されることが好ましい。
【0117】
<誘導子型回転モータの動作>
図26に示した誘導子型回転モータ600Aの動作は
図24に示した誘導子型回転モータ600と、相数が異なるものの、基本的な動作は同一である。ティース間の薄肉部THの作用も同一である。
【0118】
〔実施形態6の変形例2〕
図27は、実施形態6の変形例2に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図27に示す誘導子型回転モータ600Bは、
図17に示した誘導子型回転モータ400Cのコイルの数を10個にした点と、A相、B相、C相、D相、E相の5相の交流電圧を印加して、ステッピングモータとした点で相違する。その他の構成は誘導子型回転モータ400Cと同一である。また、基本的な動作も誘導子型回転モータ400Cと同一である。
【0119】
〔実施形態6の変形例3〕
図28は、実施形態6の変形例3に係る誘導子型回転モータの構成図である。
図28に示す誘導子型回転モータ600Cは、
図27に示した誘導子型回転モータ600Bの構成とは、コイルの巻回のしかたが異なるだけで、その他の構成は同一である。また、基本的な動作も誘導子型回転モータ600Bと同一である。
【0120】
以上のように、本発明に係る誘導子型回転モータによれば、各ティースには永久磁石が配置され、隣り合うティースに属する隣り合う永久磁石は異なる極性同士が向き合うように配置されているので、ティース間の短絡磁束を減少させ、短絡磁束を有効に活用することができ、サイズ当たりのトルクを向上させ、モータの適用範囲を広げ、永久磁石の使用量を少なくできる。
【0121】
なお、以上の実施形態で例示した誘導子型回転モータは、本発明の技術的思想を限定するものではない。