(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が20質量%〜40質量%である請求項1または請求項2に記載の太陽電池封止材用シート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<太陽電池封止材用シート>
本発明の太陽電池封止材用シートは、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、有機過酸化物と、前記有機過酸化物の1時間半減期温度以下の融点を有し、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が20g/10分以上であるポリオレフィンとを含み、前記ポリオレフィンの含有量が、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体と前記ポリオレフィンとの合計量に対して、0質量%を超えて8質量%以下である。0質量%を超えることで、太陽電池封止材用シートは耐加熱収縮性に優れ、8質量%以下であることで、太陽電池封止材用シートの透明性が維持できる。
本発明におけるポリオレフィンは、太陽電池封止材用シートに含まれる有機過酸化物の1時間半減期温度以下の融点を有し、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が20g/10分以上である(以下、「特定ポリオレフィン」ともいう)。太陽電池封止材用シートは、有機過酸化物の1時間半減期温度以下で加工するため、特定ポリオレフィンは、融点が、有機過酸化物の1時間半減期温度以下であるものを用いる。また、特定ポリオレフィンのメルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が20g/10分以上であることで、太陽電池封止材用シートのシート成形性を確保することができる。
【0018】
以下、本発明の太陽電池封止材用シートが含有し得る各成分について説明する。
なお、特に記載しない限り、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1999に準拠して、190℃、2160g荷重で測定された値〔g/10分〕である。
【0019】
〔エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)〕
本発明の太陽電池封止材用シートは、エチレン・酢酸ビニル共重合体の少なくとも1種を含有する。
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、エチレンに由来する構成単位と、酢酸ビニルに由来する構成単位とを少なくとも含み、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
【0020】
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が20質量%〜40質量%であることが好ましい。酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が20質量%以上であることで、太陽電池封止材用シートの透明性、接着性、及び柔軟性を向上することができ、含有割合が40質量%以下であることで、太陽電池封止材用シートを成形し易くなる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体中の、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合は、20質量%〜35質量%であることがより好ましい。
【0021】
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル及びエチレン以外の他のモノマー単位を更に含んでもよいが、本発明においては、他のモノマー単位を含まず、酢酸ビニルに由来する構成単位と、エチレン由来の構成単位とによってエチレン・酢酸ビニル共重合体が構成されていることが好ましい。
【0022】
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が、10g/10分〜100g/10分であることが好ましい。エチレン・酢酸ビニル共重合体のMFRが上記範囲内であることで、シート成形性を維持できる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体のMFRは、15g/10分〜50g/10分であることがより好ましく、15g/10分〜40g/10分であることがさらに好ましい。
【0023】
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、1種単独で又は共重合比等の異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体の太陽電池封止材用シート中における含有量としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体と特定ポリオレフィンとの合計100質量%中に、92質量%〜100質量%未満が好ましく、94質量%〜100質量%未満がより好ましい。
エチレン・酢酸ビニル共重合体の含有量が前記範囲内であることにより、透明性、柔軟性及び加工性を与えることができる。さらに、含有量が前記範囲内であることにより、接着性及び接着安定性(特に、ポリエステルなどの樹脂製のバックシートに対する接着性)を良化することができる。
【0024】
〔有機過酸化物〕
本発明の太陽電池封止材用シートは、有機過酸化物の少なくとも1種を含有する。
太陽電池封止材用シートが有機過酸化物を含有することで、太陽電池封止材用シートを太陽電池モジュールに適用した場合に、高温での使用時における溶融流れ防止等の耐熱性を付与することができる。
有機過酸化物の種類は特に制限されないが、1時間半減期温度(分解温度)が150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。有機過酸化物の1時間半減期温度が150℃以下であることで、エチレン・酢酸ビニル共重合体及び特定ポリオレフィンとの相溶し易く、太陽電池封止材用シートの高速架橋性を実現することができる。
有機過酸化物の1時間半減期温度の下限は特に制限されないが、太陽電池封止材用シートの成形性維持の観点から、100℃以上とすることが好ましい。
【0025】
1時間半減期温度が100℃〜150℃の有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジt−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドが挙げられる。
以上の中でも、少なくとも、炭素数3〜6の分岐アルキルパーオキシ基を有する化合物が好ましく、少なくとも、t−ブチルパーオキシ基を有する化合物がより好ましく、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン〔1時間半減期温度=140℃〕およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート〔1時間半減期温度=121℃〕がさらに好ましい。
【0026】
有機過酸化物の太陽電池封止材用シート中における含有量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体と特定ポリオレフィンとの合計100質量部に対し、0質量部を超えて2質量部以下の割合で、有機過酸化物を用いることが好ましく、さらに0質量部を超えて1質量部以下の割合で有機過酸化物を用いることが好ましい。
【0027】
−架橋助剤−
本発明の太陽電池封止材用シートは、さらに、架橋助剤を含有してもよい。
架橋助剤の具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物を例示することができる。より具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
架橋助剤は、エチレン・酢酸ビニル共重合体と特定ポリオレフィンとの合計100質量部に対し、5質量部以下で用いることが好ましく、特に0.1質量部〜3質量部の割合で用いることが好ましい。
【0028】
〔有機過酸化物の1時間半減期温度以下の融点を有し、MFRが20g/10分以上であるポリオレフィン(特定ポリオレフィン)〕
本発明の太陽電池封止材用シートは、特定ポリオレフィンの少なくとも1種を、太陽電池封止材用シート全質量に対して、0質量%を超えて8質量%以下の割合で含有する。なお、特定ポリオレフィンとは、太陽電池封止材用シートが含有する有機過酸化物の1時間半減期温度以下の融点を有し、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が20g/10分以上であるポリオレフィンをいう。
太陽電池封止材用シートが、特定ポリオレフィンを、0質量%を超えて8質量%以下の割合で含有することで、太陽電池封止材用シートの透明性を維持したまま、太陽電池封止材用シートの加熱収縮率を小さくすることができる。
【0029】
ポリオレフィンとしては、炭素数2〜10のα−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−オクテンなど)の単独重合体または共重合体などが挙げられる。より具体的なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。
【0030】
ポリエチレンのうち好ましいのは、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、及び線状低密度ポリエチレン(Linear Low density Polyethylene、LLDPE)である。また、ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合によるエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレンとα−オレフィン(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜10)との酢酸ビニルから導かれる構成単位などが挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体、好ましくは、単独共重合体とランダム共重合体が好適である。
【0031】
ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、及びプロピレンと他のモノマーとの共重合によるプロピレン系共重合体から選ばれる重合体が挙げられる。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとα−オレフィン(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数4〜8)とのランダム、ブロック、交互共重合体などが挙げられる。プロピレン系共重合体は、好ましくは、単独共重合体とランダム共重合体が好適である。
【0032】
上記の中でも、ポリオレフィンとしては、透明性及び加熱収縮率抑制の点で、低密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0033】
−融点−
特定ポリオレフィンは、太陽電池封止材用シートが含有する有機過酸化物の1時間半減期温度以下の融点を有する。太陽電池封止材用シートが1時間半減期温度の異なる2種以上の有機過酸化物を含有するときは、最も1時間半減期温度が低い有機過酸化物の1時間半減期温度を基準とする。
ポリオレフィンの融点が、有機過酸化物の1時間半減期温度よりも高いと、架橋反応が促進し、シートを加工することができなくなる。
特定ポリオレフィンの融点は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)を用い、JIS K−7121に準拠して求めることができる。なお、DSC測定において、複数の融点が示される場合は、本発明においては、最大の融点をもって融点とみなす。
【0034】
特定ポリオレフィンの融点と、有機過酸化物の1時間半減期温度との温度差は、シート成形加工性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
【0035】
−MFR−
特定ポリオレフィンは、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が、20g/10分以上である。
特定ポリオレフィンのMFRが20g/10分以上であると、シート成型加工性が良好となる。
特定ポリオレフィンのMFRは、シート成形性維持の観点から、22g/10分以上であることが好ましい。
また、特定ポリオレフィンのMFRの上限は特に制限されないが、シート成形性維持の観点から、100g/10分以下であることが好ましい。特定ポリオレフィンのMFRは、90g/10分以下であることがより好ましく、80g/10分以下であることがさらに好ましい。
【0036】
特定ポリオレフィンがポリエチレンのとき、ポリエチレンのMFRは、20g/10分〜100g/10分が好ましく、特に好ましくは20g/10分〜80g/10分である。
特定ポリオレフィンがポリエチレンのとき、ポリエチレンの密度は、880kg/m
3〜960kg/m
3が好ましく、900kg/m
3〜940kg/m
3がより好ましい。
【0037】
特定ポリオレフィンの太陽電池封止材用シート中の含有量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体と特定ポリオレフィンとの合計100質量%に対して、0質量%を超えて8質量%以下である。
特定ポリオレフィンの含有量は、透明性の観点から、6質量%以下であることが好ましい。また、特定ポリオレフィンの含有量は、耐加熱収縮性の観点から、2質量%以上であることが好ましい。
なお、太陽電池封止材用シートは、特定ポリオレフィンを1種のみ含有するものであってもよいし、2種以上を含有していてもよい。
【0038】
〔シランカップリング剤〕
本発明の太陽電池封止材用シートは、さらに、シランカップリング剤の少なくとも1種を含有していてもよい。
太陽電池封止材用シートがシランカップリング剤を含有することで、接着性を高め、ガラス等の基材やバックシート等との接着加工を安定にすることができる。
シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0039】
シランカップリング剤は、接着性の改良効果及びシート成形時の加工安定性の観点から、太陽電池封止材用シート100質量部に対し、3質量部以下、好ましくは0.03質量部〜3質量部、特に0.05質量部〜1.5質量部の割合で用いることが好ましい。
シランカップリング剤が太陽電池封止材用シート中に上記範囲で含まれていると、太陽電池封止材用シートと、保護材又は太陽電池素子等との接着性を向上させることができる。
【0040】
〔各種添加剤〕
本発明の太陽電池封止材用シートは、さらに、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、光拡散剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
【0041】
太陽電池封止材用シートが、紫外線吸収剤、光安定剤、または酸化防止剤を含有することで、シートが紫外線に曝されることによるシートの劣化を防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン、及び2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系;フェニルサリチレート及びp−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のものが挙げられる。
【0042】
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系のものが挙げられる。
ヒンダードアミン系の光安定剤として、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェノキシアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−2,4−ジオキソ−3−nオクチル−スピロ[4,5]デカン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−アセトキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリアジン−2,4,6−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)ホスファイト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3−トリカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロパン−1,1,2,3−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレートなどを挙げることができる。
【0043】
酸化防止剤としては、各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
また、ホスファイト系酸化防止剤の具体例としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファネートジメチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファネートなどを挙げることができる。
【0044】
酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤は、太陽電池封止材用シート100質量部に対し、各々通常は5質量部以下、好ましくは0.01質量部〜3質量部の量で含有すればよい。
【0045】
着色剤としては、顔料、無機化合物、染料等が挙げられる。特に白色の着色剤として、酸化チタン、酸化亜鉛及び炭酸カルシウムが挙げられる。
光拡散剤としては、無機系の球状物質としてガラスビーズ、シリカビーズ、シリコンアルコキシドビーズ、中空ガラスビーズなどが挙げられる。また、有機系の球状物質として、アクリル系やビニルベンゼン系などのプラスチックビーズなどが挙げられる。
難燃剤としては、臭素化物などのハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水和物などが挙げられる。
【0046】
本発明の太陽電池封止材用シートの総厚みは、0.05mm〜2mmの範囲が好ましい。シートの総厚みが0.05mm以上であると、衝撃等による太陽電池素子の破損が抑えられる。シートの総厚みが2mm以下であると、シートが透明性を有し、太陽光の受光量が保て、出力を高く維持することができる。
また、本発明の太陽電池封止材用シートは単層で使用することも出来るが、他のポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α、β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・α、β―不飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマーなど)などの熱可塑性樹脂と積層して使用することも出来る。
【0047】
本発明の太陽電池封止材用シートの成形は、T−ダイ成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機などを使用する公知の方法によって行なうことができる。
例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、有機過酸化物、及び特定ポリオレフィン、並びに、必要に応じてシートが含有してもよい各種添加剤を予めドライブレンドして押出機のホッパーから供給し、シート状に押出成形することによって得ることができる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体および特定ポリオレフィンは、有機過酸化物による架橋を促進するため、予め、粉状またはペレット状にしておいてもよい。
【0048】
また、予めエチレン・酢酸ビニル共重合体及び特定ポリオレフィンをメルトブレンドしてから、メルトブレンド物を、有機過酸化物、または、有機過酸化物および必要に応じてシートが含有し得る架橋助剤もしくは各種添加剤とドライブレンドして押出機のホッパーから供給し、シート状に押出成形することによって得ることができる。
更に別の手段として、有機過酸化物、並びに酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤を予めマスターバッチにして、エチレン・酢酸ビニル共重合体及び特定ポリオレフィンのメルトブレンド物に添加することも可能である。
加工温度は90℃から230℃の範囲で、用いる成分の加工性に合わせて選択することができる。
【0049】
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池封止材用シートを備える。
例えば、本発明の太陽電池封止材用シートを用い、太陽電池素子を上下の保護材で固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば、上部透明保護材/封止材用シート/太陽電池素子/封止材用シート/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材用シートで挟む構成のもの、ガラスなどの基板の表面上に形成された太陽電池素子を、上部透明保護材/封止材用シート/太陽電池素子/封止材用シート/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟む構成のもの、上部透明保護材の内周面上に形成された太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系シート上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材用シートと下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
本発明の太陽電池モジュールは、透明性が高く、耐加熱収縮性に優れる本発明の太陽電池封止材用シートを備えるため、耐久性に優れ、電池性能がより安定した太陽電池モジュールとすることができる。
【0050】
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。本発明の封止材用シートは、特にアモルファスシリコン太陽電池素子の封止に有用である。
【0051】
太陽電池モジュールを構成する上部透明保護材としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを例示することができる。また、下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層のシートを例示することができる。本発明の封止材用シートは、これらの上部又は下部保護材に対して良好な接着性を示す。
【0052】
本発明の太陽電池封止材用シートを用いて、前記のような太陽電池素子や上部保護材、下部保護材とともに積層接着する際には、従来のエチレン・酢酸ビニル共重合体の系で行なわれていた長時間にわたる加圧加熱による架橋工程が施されなくても、実用に耐えうる接着強度及び接着強度の長期安定性を付与することができる。但し、より強固な接着強度や接着強度安定性を付与する観点では、短時間の加圧加熱処理を施しておくことが推奨される。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0054】
太陽電池封止材用シートの作製に用いる成分の詳細は以下の通りである。
<1.エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)>
(EVA−1):
エチレン由来の構成単位の含有割合:72質量%、
酢酸ビニル(VA)由来の構成単位の含有割合:28質量%、
MFR(JIS K7210−1999、190℃、荷重2160g)=15g/10分、融点:71℃
(EVA−2)
エチレン由来の構成単位の含有割合:72質量%、
酢酸ビニル(VA)由来の構成単位の含有割合:28質量%、
MFR(JIS K7210−1999、190℃、荷重2160g)=30g/10分、融点:69℃
【0055】
<2.ポリオレフィン(PO)>
(PO−1)低密度ポリエチレン:
MFR(JIS K7210−1999、190℃、荷重2160g)=70g/10min)、融点=102℃、形状=ペレット
(PO−2)低密度ポリエチレン:
MFR(JIS K7210−1999、190℃、荷重2160g)=23g/10min)、融点=105℃、形状=粉状
【0056】
<3.有機過酸化物(peroxide)>
(有機過酸化物A)
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
1時間半減期温度=140℃
(有機過酸化物B)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート
1時間半減期温度=121℃
【0057】
<4.架橋助剤>
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、関東化学(株)製
【0058】
<5.シランカップリング剤>
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン KBM503、信越化学(株)製
【0059】
<太陽電池封止材用シートの作製>
〔実施例1〕
上記のEVA−1を4750g(95質量部)、PO−1を250g(5質量部)の合計5000gの樹脂に対して、有機過酸化物A(5g)、有機過酸化物B(20g)、架橋助剤(50g)、及びシランカップリング剤(10g)を混合し、樹脂に混合物を含浸するため1昼夜放置した。得られた混合物含浸樹脂を、40mmφシート成形機にて厚み0.4mmに成形し、実施例1の太陽電池封止材用シート1とした。
【0060】
〔実施例2〜実施例6、及び比較例1〜比較例2〕
実施例1の太陽電池封止材用シート1の作製において、EVA−1(95質量部)を、表1の「エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)」欄に示される種類および量に変更し、かつ、PO−1(5質量部)、表1の「ポリオレフィン(PO)」欄に示される種類および量に変更したほかは同様にして、実施例2〜実施例6の太陽電池封止材用シート2〜太陽電池封止材用シート6、及び比較例1〜比較例2の太陽電池封止材用シート101〜太陽電池封止材用シート102の作製をした。
【0061】
〔比較例3および比較例4〕
EVA−1およびEVA−2を、それぞれ40mmφシート成形機にて厚み0.4mmに成形し、比較例3および比較例4の太陽電池封止材用シート103および太陽電池封止材用シート104とした。
【0062】
<太陽電池封止材用シートの評価>
作製された実施例及び比較例の太陽電池封止材用シートについて、次に示す耐加熱収縮性および透明性を評価した。結果を表1に示す。
【0063】
〔1.耐加熱収縮性(加熱収縮率)〕
実施例および比較例の各太陽電池封止材用シートを、MD(Machine Direction)方向200mm×TD(Transverse Direction)方向200mmに切断した。この切断後の太陽電池封止材用シートのMD方向の長さ(200mm)を、L1という。
サイズ250mm×250mm×3.2mm厚のガラス上の全面に、ニッカリ粉を塗布後、太陽電池封止材用シートを置き、110℃の熱板上で3分加熱した。次いで、太陽電池封止材用シートを、20℃の冷却板上で3分冷却した。この加熱冷却後の太陽電池封止材用シートのMD方向の長さ(L2という)を測定した。
得られた太陽電池封止材用シートのMD方向の長さL2と、L1とから、太陽電池封止材用シートのMD方向の収縮率を、下記式に基づき、計算した。
収縮率〔%〕=〔収縮長さ(mm)÷L1(200mm)〕×100〔%〕
収縮長さ〔mm〕=L1(200mm)−L2(mm)
【0064】
〔2.透明性(光線透過率)〕
透明性評価用試料は、太陽電池封止材用シートを110℃に設定したプレス成形機にてプレス成形し、サイズ250mm×250mm×厚み0.5mmのプレスシートを作製した。
作製したプレスシートについて、ヘイズメーター(スガ試験機(株)製)にてJIS−K7136に準じて全光線透過率を測定し、太陽電池封止材用シートの透明性を評価する指標とした。
【0065】
【表1】
【0066】
表1中、「peroxide」欄の「T
50」は、実施例および比較例の太陽電池封止材用シートに含まれる有機過酸化物のうち、1時間半減期温度が最も低い方の有機過酸化物(すなわち、有機過酸化物B)の1時間半減期温度を表す。
【0067】
表1からわかるように、実施例の太陽電池封止材用シートは、透明性(高光線透過率)を維持しつつ、耐加熱収縮性(低加熱収縮率)に優れている。
このように透明性と耐加熱収縮性を両立する太陽電池封止材用シートを太陽電池モジュールの作製に適用すれば、耐久性に優れ、電池性能がより安定した太陽電池モジュールが得られることが見込まれる。