(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体(1)に収められた温度調整タンク(2)と、前記温度調整タンク(2)に接続された注水バルブ(8)とを備え、前記温度調整タンク(2)内の飲料水が前記注水バルブ(8)の出口(47)から流出するウォーターサーバーにおいて、
前記注水バルブ(8)の入口(46)から前記出口(47)へ至る流路(48)が紫外線透過性の材料で形成されたボディ部(54)と、前記ボディ部(54)に紫外線を照射する紫外線発光源(55)とを備えており、
前記ボディ部(54)のうち、前記流路(48)に沿った外壁面部(59)が、外部に露出しないように紫外線反射層(60)で覆われており、
前記注水バルブ(8)が、下向きの前記出口(47)をもったアングル弁からなり、
前記紫外線発光源(55)が、前記入口(46)と弁座(51)との間に亘る入口側管路(56)の下方に配置されていることを特徴とするウォーターサーバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注水バルブの入口から出口に至る流路のうち、弁座を境とした入口側は、開弁時に、温度調整タンクで冷却又は加熱された低温又は高温の飲料水で満ちている。その低温又は高温の飲料水は温度による制菌性をもつため、入口側に位置する流路内壁面や弁体表面部では、通常、細菌繁殖による衛生面の不安はない。閉弁状態が長く続くと、注水バルブの流路内に滞留している飲料水が常温になり、温度による制菌性は失われるが、菌株が入口側流路内に侵入しない限り汚染されることはない。
【0005】
一方、弁座を境とした出口側に位置する流路内壁面や弁体表面部では、閉弁中、外気に曝露され、なおかつ水滴が付着していることが多いため、特に外気中の浮遊菌を拾いやすく、細菌繁殖が進み易い。
【0006】
温度調整タンクが冷水タンクの場合、注水バルブの出口側に浮遊菌が付着すると、着床した菌が徐々に菌糸を注水バルブの入口側に伸ばし、さらに、タンクから注水バルブに至る出口管内にはん殖が広がり、最終的には、冷水タンク内部の比較的温度の高い(常温に近い)部分に到達する可能性がある。
【0007】
温度調整タンクが温水タンクの場合、出口管や注水バルブを含む温水経路については内部が熱水殺菌されるため、浮遊菌が付着したとしても、冷水経路のような問題は起こりにくい。
【0008】
ところが、温水をカップ等に注ぐとき、コーヒーやミルク等の糖分やたんぱく質を含んだ飛沫が注水バルブの出口付近に付着することがある。そのままで長時間温水を使用しなかった場合、本来のミネラルウォーターと比較して飛躍的に付着菌を増殖させることがあるので、温水側の注水バルブといえども安心はできない。
【0009】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ウォーターサーバーの注水バルブでの細菌繁殖を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明は、筐体に収められた温度調整タンクと、前記温度調整タンクに接続された注水バルブとを備え、前記温度調整タンク内の飲料水が前記注水バルブの出口から流出するウォーターサーバーにおいて、前記注水バルブの入口から前記出口へ至る流路が紫外線透過性の材料で形成されたボディ部と、前記ボディ部に紫外線を照射する紫外線発光源とを備えている構成を採用した。
【0011】
上記構成によれば、紫外線発光源が発光した紫外線は、紫外線透過性のボディ部内に拡がるので、流路内壁面や弁体表面の広い範囲にあたる。その紫外線によって流路内壁面や弁体表面が殺菌されるので、注水バルブでの細菌繁殖を防止することができる。
【0012】
前記ボディ部のうち、前記流路に沿った外壁面部が、外部に露出しないように紫外線反射層で覆われているとよい。流路に沿った外壁面部に達した紫外線が紫外線反射層に反射されて流路の内壁面や弁体の表面に向い易くなるので、殺菌性をより高めることができる。
【0013】
より好ましくは、前記注水バルブが下向きの前記出口をもったアングル弁からなるとよい。出口から外部に紫外線が漏出したとしても、使用者にあたり難くなる。また、アングル弁にすると、前記紫外線発光源を、前記入口と弁座との間に亘る入口側管路の下方に配置することができる。紫外線発光源がこのように配置にされていると、紫外線を入口側管路の内壁面に照射でき、また、前記弁座と前記出口との間に亘る出口側管路の内壁面にも入口側管路を迂回することなく照射することができる。したがって、効率よく紫外線を流路全体の内壁面にあて易い。
【0014】
また、前記弁座と前記出口との間に亘る出口側管路の内壁面が光触媒を含有する紫外線透過材からなるようにしてもよい。外気に曝露される出口側管路の内壁面での殺菌性を光触媒で高めることができ、また、光触媒による撥水作用で水滴の残留を防ぐこともできる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、この発明に係るウォーターサーバーは、上記構成の採用により、紫外線によって流路内壁面や弁体表面が殺菌されるので、注水バルブでの細菌繁殖を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係るウォーターサーバーの一実施形態を
図1に示す。このウォーターサーバーは、筐体1と、筐体1に収納され、冷却された飲料水を貯めておく温度調整タンク2(以下、「冷水タンク2」と呼ぶ。)と、加熱された飲料水を貯めておく温度調整タンク3(以下、「温水タンク3」と呼ぶ。)と、冷水タンク2の側方に配置され、空気と飲料水を上下2層に収容するバッファタンク4と、冷水タンク2よりも下方に配置され、交換式の原水容器5を横向きにした状態で収納するボトルバスケット6と、このボトルバスケット6を載置する載置台7と、冷水用の注水バルブ8と、温水用の注水バルブ9と、空気殺菌チャンバ10と、を有する。
【0018】
冷水タンク2は、通気管11及びバッファタンク給水管12を介してバッファタンク4と、空気導入路13を介して空気殺菌チャンバ10と、原水汲出し管14を介して原水容器5と、冷水タンク2の出口管15に接続された注水バルブ8と、それぞれ連通している。原水汲出し管14には第1の三方弁16と第2の三方弁17が設けられている。各三方弁16、17は、後述する
図2及び
図3で示すように、第1の殺菌用配管18及び第2の殺菌用配管19への流路を遮断して、原水容器5内の飲料水を原水汲出し管14から冷水タンク2へ移送し、冷水及び温水の注出を可能とする通常流路と、後述する
図4で示すように、原水容器5から原水汲出し管14への流路、及び、原水汲出し管14から冷水タンク2への流路を遮断して、原水汲出し管14−第1の殺菌用配管18−バッファタンク4−温水タンク給水管20−温水タンク3−第2の殺菌用配管19−原水汲出し管14、の閉ループからなる殺菌流路と、を切り替えることができるように構成されている。ここで、各三方弁16、17は電磁弁であって、通電することにより殺菌流路とし、通電を解除することで通常流路とすることができる。
図1等においては、第1の三方弁16と、第2の三方弁17を、それぞれ単一の弁で構成した例を示しているが、複数の二方弁を用いてこれと同様の機能を奏するように構成することもできる。
【0019】
冷水タンク2内の上部には、案内板21が設けられている。案内板21には、原水汲出し管14から供給される飲料水の流れを水平方向の流れに変えるスロープが形成されている。この案内板21を設けることにより、冷水タンク2に供給された飲料水が冷水タンク2全体に拡散するのを防止でき、冷水タンク2下部の冷水の低温状態を保つことができる。冷水タンク2内には、貯められた飲料水の水位を検知する水位センサ22が設けられている。水位センサ22で検知した水位が所定値以下に下がると、原水汲出し管14に設けたポンプ23が作動して、原水容器5から冷水タンク2への飲料水の移送が行われる。冷水タンク2の容量は、一般的に2〜4リットル程度である。
【0020】
ポンプ23として、例えば、ダイヤフラムの往復動によってポンプ室の容積を増減させ、この増減に伴って飲料水を吸入・吐出するダイヤフラムポンプや、一対のギヤの歯溝とポンプのケーシングの内面との間に閉じ込められた飲料水を、ギヤの回転によって移送するギヤポンプを採用することができる。ポンプ23の吐出口側には、流量センサ24が設けられている。この流量センサ24で原水容器5の原水が無くなったことを検知すると、図示しない容器交換ランプによって、使用者にそのことが通知される。冷水タンク2の下部外周には、冷却装置25が設けられている。冷却装置25で、冷水タンク2内の飲料水が5℃程度に冷却される。
【0021】
バッファタンク4は、通気管11及びバッファタンク給水管12を介して冷水タンク2と、第1の殺菌用配管18を介して第1の三方弁16と、温水タンク給水管20を介して温水タンク3と、それぞれ連通している。バッファタンク給水管12のバッファタンク4側の端部にはフロートバルブ26が設けられ、冷水タンク2から移送された飲料水の水位が所定値以上となると、フロートバルブ26によって前記端部が塞がれ、バッファタンク4内の飲料水が冷水タンク2側に逆流しないようになっている。このように、フロートバルブ26を設けることにより、温水が温水タンク給水管20を通って温水タンク3からバッファタンク4に逆流してきた場合に、この温水がさらにバッファタンク給水管12を通って冷水タンク2に逆流するのを防止できる。また、後述する温水循環による殺菌時に、バッファタンク4内の温水が冷水タンク2に逆流するのも防止できる。このため、冷水タンク2中の冷水の温度が上昇したり、この温度上昇に伴って冷水タンク内に雑菌が発生したりするのを防止することができる。バッファタンク4の下部は、下方ほど縮径した円錐状となっている。このため、後述する温水循環による殺菌時に、バッファタンク4下部の隅に飲料水が滞留するのを防止することができる。バッファタンク4の容量は、一般的に0.2〜0.5リットル程度である。
【0022】
温水タンク3は、温水タンク給水管20を介してバッファタンク4と、第2の殺菌用配管19を介して第2の三方弁17と、温水タンク3の出口管27に接続された注水バルブ9と、それぞれ連通し、さらに温水タンク3内の残水を排出するドレン管28に接続されている。残水の排出作業時以外は、ドレン管28の出口にはプラグ29が設けられている。温水タンク3内には、ヒータ30が設けられ、ヒータ30で飲料水が加熱される。加熱された飲料水の温度は、温水タンク3の壁面に設けられた温度センサ31によって検知される。温水タンク3は、冷水タンク2及びバッファタンク4と異なり、全体が飲料水で満たされた密閉構造となっている。そして、温水タンク3よりも上に設けられたバッファタンク4内の飲料水の重さによって温水タンク3内が加圧され、その加圧によって注水バルブ9の出口から温水の流出がなされる。温水タンク3の容量は、一般的に1〜2リットル程度である。この例では、ヒータ30としてシースヒータを用いたが、温水タンク3の外周に、バンドヒータを巻き付けた構成とすることもできる。
【0023】
ボトルバスケット6に収納した原水容器5には水出口32が設けられており、水出口32に、原水汲出し管14のジョイント部33が横向きに挿し込まれている。このジョイント部33は中空筒状の部材であって、飲料水を自由に通し得るようになっており、飲料水を移送するポンプ23よりも高い位置に設けられている。ジョイント部33の近傍にはガイド部材34が設けられている。ガイド部材34により、ジョイント部33に水出口32を挿し込む際に、両者の軸心が同軸となるように原水容器5が案内される。ボトルバスケット6を載置する載置台7下側及び筐体1の底板上にはローラ35が設けられている。これらのローラ35が回転することにより、原水容器5を収納したボトルバスケット6を容易に筐体1内にセットし、又は筐体1内から取り出すことができる。ボトルバスケット6には把手36が設けられていて、把手36を握ってボトルバスケット6を容易に載置台7に載置できるようにしている。この実施形態で用いられる原水容器5は、薄手のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂からなるソフトタイプのものである。この種の原水容器5は比較的柔軟性に富んでおり、飲料水の移送とともに撓んでその内容積が減少する。原水容器5には、一般的に、新品時において10〜12リットルの飲料水が充填されている。
【0024】
この例では、原水容器5にソフトタイプのものを採用したが、飲料水を移送してもその容積が変わらないハードタイプのものや、可撓性が高い樹脂フィルム製の袋を段ボール箱等の箱体に収容したバッグインボックスタイプのものも採用することができる。
【0025】
空気殺菌チャンバ10は、空気取り入れ口37及びオゾン出口38を形成した中空のケース39と、ケース39内に空気中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体40とを有している。オゾン出口38は、空気導入路13を介して冷水タンク2と連通している。発生したオゾンを冷水タンク2及びバッファタンク4の気相部分に送り込んで、これらの殺菌を行うことにより、この冷水タンク2及びバッファタンク4内の衛生度を高めている。オゾン発生体40として、低圧水銀灯や無声放電装置等を使用することができる。
【0026】
冷水の注出時は、両三方弁16、17への通電を解除して、
図2に示すように、第1の三方弁16について、原水汲出し管14から冷水タンク2に向かう流路を確保するとともに、第2の三方弁17について、原水容器5から原水汲出し管14に向かう流路を確保する。これにより、冷水の注出が可能な通常流路が構成される。ここで、注水バルブ8を開弁操作すると、冷水タンク2内の飲料水の重さによって冷水タンク2内が加圧され、その加圧によって注水バルブ8の出口から冷水が流出される。この冷水の注出に伴って冷水タンク2内の水位低下が水位センサ22によって検知されると、ポンプ23が作動して、原水容器5から冷水タンク2への飲料水の移送が行われる。この移送によって、冷水タンク2内の水位が回復する。
【0027】
温水の注出時は、両三方弁16、17への通電を解除して、
図3に示すように、第1の三方弁16について、原水汲出し管14から冷水タンク2に向かう流路を確保するとともに、第2の三方弁17について、原水容器5から原水汲出し管14に向かう流路を確保する。これにより、温水の注出が可能な通常流路が構成される。ここで、注水バルブ9を開弁操作すると、注水バルブ9の出口から温水が流出される。この温水の注出に伴って温水タンク3内の温水が減少すると、その減少分だけ、バッファタンク4から温水タンク給水管21を通って飲料水が即座に補給される。すると、バッファタンク4内の水位が低下し、この低下に伴ってバッファタンク給水管12に設けたフロートバルブ26が開放し、冷水タンク2からこのバッファタンク給水管12を通って、フロートバルブ26が閉じる水位となるまでバッファタンク4に飲料水が補給される。この補給に伴って冷水タンク2内の水位低下が水位センサ22によって検知されると、ポンプ23が作動して、原水容器5から冷水タンク2への飲料水の移送が行われる。この移送によって、冷水タンク2内の水位が回復する。
【0028】
温水循環による殺菌時は、両三方弁16、17に通電して、
図4に示すように、第1の三方弁16について、原水汲出し管14からバッファタンク4に向かう流路を確保するとともに、第2の三方弁17について、温水タンク3から原水汲出し管14に向かう流路を確保する。これにより、原水汲出し管14−第1の殺菌用配管18−バッファタンク4−温水タンク給水管20−温水タンク3−第2の殺菌用配管19−原水汲出し管14、の閉ループからなる殺菌流路が構成される。ここで、ポンプ23で殺菌流路内の温水を循環させることにより、この殺菌流路内の殺菌を行うことができる。この温水が殺菌に有効な所定以上の温度(例えば85℃)を保つように、適宜ヒータ30を作動させる。この殺菌時にポンプ23を適宜停止することも許容される。この殺菌流路内に所定温度以上の温水が滞留しさえすれば、十分な殺菌作用が発揮されるためである。
【0029】
上記のように構成した殺菌流路は、冷水タンク2を経由しない。このため、冷水タンク2内の冷水が温められることがなく、温水循環による殺菌時においても、使用者に低温の冷水を提供することができる。
【0030】
このウォーターサーバーは、ユーザのスイッチ操作による入力を契機として、冷却装置25、ヒータ30をOFFし、その入力から所定時間経過後にONする自動制御部を備えている。その所定時間は、例えば、6時間以上の値に設定される。そのOFF中の追加入力により、所定時間の計測がリセットされ、改めて計測が開始される。このような自動制御は、例えば、タイマー制御によって実現することができる。
【0031】
このウォーターサーバーの注水バルブ8、9を
図5に示す。注水バルブ9は、注水バルブ8と同じ構造になっているので、以下、注水バルブ8を代表例として説明する。
【0032】
注水バルブ8は、弁箱41と、弁体42と、弁軸43と、弁ばね44と、操作レバー45とを有する。
【0033】
注水バルブ8の入口46と出口47は、弁箱41に形成されている。注水バルブ8は、下向きの出口47をもったアングル弁になっている。すなわち、弁箱41には、入口46と出口47の中心線が直角で、入口46から出口47に至る流路48の方向が直角に変わる流路48が形成されている。流路48は、入口46から出口管15と接続されている。
【0034】
弁箱41には、流路48と上下方向に連通する弁体組込み口も形成されている。弁体42は、シリコーンゴム成形品になっている。弁体組込み口は、弁箱41に装着された蓋50と、弁体42とによって水密に密封されている。
【0035】
弁軸43は、弁体42に連結されている。弁ばね44は、蓋50と弁軸43間に介在し、弁軸43を閉弁方向(下方向)に付勢する。
【0036】
操作レバー45は、弁軸43を弁ばね44の付勢力に抗して開弁方向(上方向)に変位させる。
【0037】
注水バルブ8の閉弁状態においては、弁ばね44の付勢力により、流路48内に形成された弁座51に弁体42が当接し、出口47からの冷水流出が阻止される。閉弁状態から操作レバー45の下端側を奥方向に押し込むと、この操作レバー45の上端側を支点とする梃子の原理によって、この上端側に固定された弁軸43が弁ばね44の付勢力に抗して引き上げられる。すると、弁軸43の下端に連結された弁体42が弾性変形し、この弁体42の下部と弁座51との間に隙間が形成され、この隙間を通って冷水が出口47に至る。
【0038】
なお、不意な注水バルブ8の開弁を防止するため、通常は、弁軸43の引き上げがロック部材52によって阻止されるようになっている。ボタン53の操作により、ロック部材52が弁軸43の引き上げを許すロック解除位置に変位させられる。
【0039】
注水バルブ8は、紫外線透過性の材料で形成されたボディ部54と、ボディ部54に紫外線を照射する紫外線発光源55とを備えている。
【0040】
ボディ部54には、流路48の全体が形成されている。流路48の内壁面は、飲料水を入口46から出口47まで導く表面からなる。弁座51もボディ部54に含まれている。紫外線発光源55が発光した紫外線は、紫外線透過材製のボディ部54内に拡がるので、流路48の広い範囲で内壁面まで到達する。流路48の弁座51や弁体42の近くで流路48の内壁面に達した紫外線は、その内壁面を抜けて弁体42の表面にあたる。このように、紫外線発光源からの紫外線によって流路48の内壁面や弁体42の表面の広い範囲が殺菌される。
【0041】
なお、弁箱41の全体形状は、ボディ部54によって決まっている。これは構造を簡素化するためであり、例えば、構造的強度や化粧性を与えるために、ボディ部54を別体の弁箱に収容することもできる。
【0042】
紫外線発光源55として、紫外線発光ダイオードや水銀ランプを用いることができる。紫外線発光源55が発する紫外線は、殺菌性に最も優れたC波(波長280nm未満)にすることが好ましい。
【0043】
紫外線発光源55は、筐体1側から電源を供給されるようになっている。その電源供給は、注水バルブ8での細菌繁殖を衛生面で問題ない数に抑制することができる限り、適宜の時期に行えばよい。例えば、タイマー制御で定期的に紫外線発光源55のON/OFFを行なうことができる。また、冷却装置25やヒータ30のOFF/ONと、紫外線発光源55のON/OFFとを連動させることも可能である。
【0044】
紫外線発光源55は、入口46と弁座51との間に亘る入口側管路56の下方に配置されている。このため、紫外線発光源55は、紫外線を入口側管路56の内壁面に照射でき、また、弁座51と出口47との間に亘る出口側管路57の内壁面にも、入口側管路56を迂回することなく照射することができる。
【0045】
紫外線発光源55からの紫外線を流路48全体の内壁面まで導くことが可能な光通路としてボディ部54が機能する限り、一種類又は複数種類の紫外線透過性材を適宜に用いてボディ部54を形成することができる。
【0046】
出口側管路57の内壁面が、光触媒を含有する紫外線透過材58からなる。光触媒は、紫外線を吸収して励起状態になると、酸化還元能を示す。光触媒として、酸化チタンを用いることができる。
【0047】
紫外線透過材58は、紫外線透過性樹脂に光触媒粒子を拡散させたコーティング材になっている。紫外線透過性樹脂として、ポリプロピレンやポリエチレンやポリビニルアルコールが挙げられる。
【0048】
ボディ部54のうち、紫外線透過材58を除いた残部が、紫外線透過材58よりも紫外線透過性に優れた別の紫外線透過材からなる。その別の紫外線透過材で流路48の全体形状を成形後、その出口側管路57とする成形表面部に紫外線透過材58がコーティングされている。その別の紫外線透過材として、前述の紫外線透過性樹脂やガラスを用いることができる。流路48の内壁面から外れた箇所に光触媒が存在しても殺菌に寄与せず、無駄になる。このため、紫外線透過材58を除いた残部には、積極的に光触媒を含有させず、紫外線透過材58よりも優れた紫外線透過性を与えることが好ましい。
【0049】
紫外線発光源55が発光した紫外線は、紫外線透過材58に対して出口側管路57の外側からあたる。紫外線透過材58にあたった紫外線の一部は、その光触媒粒子の拡散隙間を抜けて出口側管路57の内壁面まで達する。その内壁面に達した紫外線の一部は、ここで光触媒に吸収される。その内壁面に達しても光触媒に吸収されなかった紫外線は、内壁面を通り抜ける。このため、出口側管路57の内壁面では、その紫外線を吸収した光触媒の酸化還元能による殺菌作用と、その紫外線を吸収した光触媒による撥水作用と、その通り抜ける紫外線自体による殺菌作用とが得られる。光触媒の酸化還元能による殺菌作用は、紫外線自体による殺菌作用よりも強力なので、光触媒によって出口側管路57の内壁面での殺菌性が高められる。
【0050】
紫外線透過材58は、出口側管路57の内壁面に限ることが好ましい。流路48の弁座51を境とした入口側の内壁面に光触媒が含まれていると、光触媒の酸化還元能により、飲料水が分解されて水素が発生する。閉弁中は水素の逃げ場がなく、水素が注水バルブ8の構成部品、特に合成樹脂部品に浸透して、構成部品の劣化を早める懸念がある。出口側管路57の内壁面のみを紫外線透過材58で形成すれば、その懸念がない。なお、流路48の弁座51を境とした入口側の内壁面を紫外線透過材58で形成する場合、ボディ部54をガラスで形成する等、水素による劣化対策を図ることが好ましい。
【0051】
ボディ部54のうち、流路48に沿った外壁面部59が、外部に露出しないように紫外線反射層60で覆われている。流路48に沿った外壁面部59は、流路48を形成する肉部の外側表面といえる。紫外線反射層60は、紫外線発光源55からの紫外線を反射する。紫外線反射層60は、成形したボディ部54に対する真空蒸着やめっき等の表面処理を施したり、成形したボディ部54に金属カバーを嵌合したりすることで実現することができる。外壁面部59の全体を紫外線反射層60で覆う必要性はなく、他の部品を装着するために紫外線反射層60で覆わない領域を作ってもよい。図示例では、紫外線発光源55の配置口の内面、蓋50との組み合わせ面を形成する雄ねじ部分は、外壁面部59に含まれるが、紫外線発光源55、蓋50によって覆われるため、紫外線反射層60で覆われていない。
【0052】
紫外線反射層60に反射された紫外線は、内側へ向きを変えるので、流路48の内壁面や弁体42の表面に向い易くなる。紫外線反射層60が流路48の周囲を取り囲むので、一箇所の紫外線発光源55であっても、紫外線は、紫外線反射層60での反射を繰り返して、入口側管路56の周囲を巡ったり、出口側管路57の周囲を巡ったりする。
【0053】
上述のように、このウォーターサーバーは、紫外線発光源55が発光した紫外線が紫外線透過性のボディ部54内に拡がり、その紫外線によって流路48の内壁面や弁体42の表面の広い範囲が殺菌されるので、注水バルブ8、9での細菌繁殖を防止することができる。ひいては、コーヒー、ミルク等の飛沫や外気中の浮遊菌が出口側管路57の内壁面に付着したとしても、冷水タンク2や温水タンク3まで繁殖が拡大しないようにすることができる。
【0054】
また、このウォーターサーバーは、流路48に沿った外壁面部59に達した紫外線が紫外線反射層60に反射されて流路48の内壁面や弁体42の表面に向い易くなるので、殺菌性をより高めることができる。
【0055】
また、このウォーターサーバーは、下向きの出口47をもっているアングル弁を注水バルブ8、9に採用しているので、出口47から外部に紫外線が漏出したとしても、使用者にあたり難くすることができる。
【0056】
また、このウォーターサーバーは、入口側管路56の下方に紫外線発光源55を配置しているので、紫外線を入口側管路56の内壁面に照射でき、また、出口側管路57の内壁面にも入口側管路56を迂回することなく照射することができる。したがって、このウォーターサーバーは、効率よく紫外線を流路48全体の内壁面にあて易い。
【0057】
また、このウォーターサーバーは、出口側管路57の内壁面が光触媒を含有する紫外線透過材58からなるので、出口側管路57の内壁面での殺菌性を光触媒で高めることができ、また、光触媒による撥水能で水滴の残留を防ぐこともできる。ひいては、コーヒー、ミルク等の飛沫が出口側管路57の内壁面に付着しないようにし、出口側管路57の内壁面に付着した浮遊菌が入口側管路56内に侵入することを一層防止することができる。
【0058】
注水バルブ8、9における殺菌能力は、出口側管路57の内壁面に付着した浮遊菌が注水バルブ8、9の入口46に達するまで繁殖できないように設定すればよい。光触媒を含有する紫外線透過材58、紫外線反射層60の採否やカバー範囲は、その設定を満足する手段として適宜に決定すればよい。
【0059】
この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。例えば、原水容器の水出口を下向きに載置する形式のウォーターサーバー、原水容器を筐体の上部にセットして飲料水を温度調整タンクまで重力送水する形式のウォーターサーバー、バッファタンクを省略し、冷水タンクから温水タンクへ移流する形式のウォーターサーバー等、他の形式のウォーターサーバーにも広く適用することができる。