(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、図面においては、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0027】
<1. 第1実施形態>
<1.1. 装置構成>
図1は、第1実施形態に係る描画装置100の概略斜視図である。また、
図2は、描画装置100の概略平面図である。さらに
図3は、描画装置100のバス配線図である。
図1において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の各図についても同様である。また、
図2においては、説明の都合上、架橋構造体11および描画ヘッド33が二点鎖線によって図示されている。
【0028】
描画装置100は、例えばプリント基板を製造する工程において、プリント基板(以下、単に「基板」という。)90の上面に形成された感光材料(レジスト)の層(感光体)にデバイス形成のためのパターンを描画する装置である。
図1および
図2に示されるように、描画装置100は、主に架台1、移動プレート群2、露光部3、および制御部5を備えている。
【0029】
○架台1
架台1は、略直方体状の外形を有しており、その上面の略水平な領域には、架橋構造体11や移動プレート群2が備えられる。架橋構造体11は、移動プレート群2の上方に略水平に掛け渡されるようにして架台1上に固定されている。
図1に示すように、架台1は、移動プレート群2と架橋構造体11とを一体的に支持する。
【0030】
○移動プレート群2
移動プレート群2は、主に、基板90をその上面の略水平な領域に保持する基板保持プレート21と、基板保持プレート21を下方から支持する支持プレート22と、支持プレート22を下方から支持するベースプレート23と、ベースプレート23を下方から支持する基台24と、基板保持プレート21をZ軸回りに回動させる回動機構211と、支持プレート22をX軸方向に移動させるための副走査機構221と、ベースプレート23をY軸方向に移動させるための主走査機構231とを備える。
【0031】
基板保持プレート21は、図示を省略しているが、その上面に複数の吸着孔が分散して設けられている。これらの吸着孔は、真空ポンプに接続されており、当該真空ポンプを動作することによって、基板および基板保持プレート21間の雰囲気を排気することができる。これにより、基板90を基板保持プレート21の上面に吸着保持することができる。
【0032】
図2に示されるように、回動機構211は、基板保持プレート21の(−Y)側端部に取り付けられた移動子と、支持プレート22の上面に設けられた固定子とにより構成されるリニアモータ211aを有する。また、回動機構211は、基板保持プレート21の中央部下面側と支持プレート22との間に、回動軸211bを有する。リニアモータ211aを動作させることによって、固定子に沿って移動子がX軸方向に移動し、基板保持プレート21が支持プレート22上の回動軸211bを中心として所定角度の領域内で回動する。
【0033】
副走査機構221は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子と、ベースプレート23の上面に設けられた固定子とにより構成されるリニアモータ221aを有する。また、副走査機構221は、支持プレート22とベースプレート23との間に、X軸方向に延びる一対のガイド部221bを有する。リニアモータ221aを動作させることによって、支持プレート22がベースプレート23上のガイド部221bに沿ってX軸方向に移動する。
【0034】
主走査機構231は、ベースプレート23の下面に取り付けられた移動子と、基台24上に設けられた固定子とにより構成されるリニアモータ231aを有する。また、主走査機構231は、ベースプレート23と架台1との間に、Y軸方向に延びる一対のガイド部231bを有する。リニアモータ231aを動作させることによって、ベースプレート23が基台24上のガイド部231bに沿ってY軸方向移動する。したがって、基板保持プレート21に基板90を保持した状態で主走査機構231を動作させることによって、基板90をY軸方向に沿って移動させることができる。なお、これら移動機構は、後述の制御部5により、その動作が制御される。
【0035】
なお、回動機構211、副走査機構221および主走査機構231の駆動については、上述のリニアモータ211a,221a,231aを利用したものに限定されない。例えば、回動機構211および副走査機構221については、サーボモータおよびボールネジ駆動を利用したものであってもよい。また、基板90を移動させる代わりに、露光部3を移動させる移動機構を設けてもよい。さらに、基板90および露光部3の双方を移動させるようにしてもよい。また、図示を省略するが、例えば、基板保持プレート21をZ軸方向に昇降させることによって、基板90を上下に昇降させる昇降機構を設けてもよい。
【0036】
○露光部3
図1に戻って、露光部3は、LED光源部31、照明光学系32および描画ヘッド33で構成される光学ユニットを複数台(ここでは、5台)備えている。なお、
図1では、図示が省略されているが、各描画ヘッド33に対して、LED光源部31および照明光学系32がそれぞれ設けられている。LED光源部31は、制御部5から送られる所要の駆動信号に基づいて、所要波長のレーザ光を出射する光源装置である。LED光源部31から出射された光ビームは、ロッドインテグレーター、レンズおよびミラーなどで構成される照明光学系32を介して、描画ヘッド33へ導かれる。
【0037】
各描画ヘッド33は、照明光学系32から出射される光線を、基板90の上面に照射するものである。各描画ヘッド33は、X軸方向に沿って架橋構造体11の側面上部に等ピッチで配設されている。
【0038】
図4は、露光部3の概略を示す斜視図である。
図4において、光変調部4および投影光学系332は、各描画ヘッド33の内部の所定位置に配置されている。LED光源部31から出射された光ビームは、照明光学系32にて当該ビームの形状が整えられる。そして、照明光学系32にて断面矩形状に成形される。そして、照明光学系32を通過した光ビームは、光変調部4へと導かれ、光変調部4の変調動作有効領域に照射される。
【0039】
光変調部4へ照射された光ビームは、制御部5の制御に基づいて空間的に変調され、投影光学系332へと入射する。投影光学系332は、入射してきた光を所要の倍率に変倍して、主走査方向へ移動する基板90上へ導く。
【0040】
○光変調部4
光変調部4は、電気的な制御によって入射光を空間変調させて、パターンの描画に寄与させる必要光と、パターンの描画に寄与させない不要光とを、互いに異なる方向に反射させる、デジタルミラーデバイス(DMD)を備えている。DMDは、例えば1辺約10μmの正方形の微小ミラーが、1920×1080個マトリクス状に配列された空間変調素子である。各々のミラーがメモリセルに書き込まれたデータに従って、正方形の対角を軸として、所要角度で傾くように構成されている。制御部5からのリセット信号によって、各々のミラーは、一斉に駆動される。
【0041】
DMDに表示されたパターンは、投影光学系332によって、基板90の露光面上に投影される。また、DMDに表示されるパターンは、後述するように、主走査機構231による基板保持プレート21の移動に伴って、主走査機構231のエンコーダー信号を元に作られるリセットパルスによって連続的に書き換えられる。これによって、描画光が基板90の露光面上に照射され、ストライプ状の像が形成される。
【0042】
図5は、描画処理が行われている基板90を示す平面図である。描画処理は、制御部5の制御下で主走査機構231および副走査機構221が基板保持プレート21に載置された基板90を、複数台の描画ヘッド33に対して相対的に移動させつつ、複数の描画ヘッド33のそれぞれから基板90の上面に空間変調された光を照射することによって行われる。
【0043】
なお、以下の説明では、基板90上において、互いに直交するx軸方向およびy軸方向を定義する。この基板90上に定義されるxy座標系は、主走査機構231による基板90の移動に伴って、XYZ座標系のY軸方向に沿って移動する。また、xy座標系は、副走査機構221による基板90の移動に伴って、XYZ座標系のX軸方向に沿って移動する。
【0044】
また、主走査機構231によって、基板90が移動したときの、基板90から見た描画ヘッド33の移動方向を主走査方向とする。また、副走査機構221によって、基板90を移動させたときの、基板90から見た描画ヘッド33の移動方向を副走査方向とする。
図5に示される例では、主走査方向は、+y方向(矢印AR11)および−y方向(矢印AR13)となっており、副走査方向は、+x方向(矢印AR12)となっている。
【0045】
まず、主走査機構231によって、基板保持プレート21が−Y方向に移動させることによって、基板90を描画ヘッドに対して相対的に移動させる(主走査)。これを基板90から見ると、複数の描画ヘッド33が、矢印AR11で示されるように、+y方向に相対的に移動したことになる。この主走査が行われる間、各描画ヘッド33は、パターンデータ541に応じて変調された断面矩形状の描画光を、基板90に連続的に照射する。すなわち、基板90の露光面に投影される。各描画ヘッド33が主走査方向(+y方向)に沿って基板90を1回横断すると、各描画光に対応した描画領域33Rが基板90上を通過することによって、帯状領域R1にパターンが描画されることなる。この帯状領域R1は、主走査方向に延びており、副走査方向に沿う幅が、描画光の幅(ストライプ幅)に相当する領域である。ここでは、5台の描画ヘッド33が、同時に基板90上を横断するため、1回の主走査により同時の5本の帯状領域R1のそれぞれに、パターンが描画されることになる。
【0046】
1回の主走査が終了すると、副走査機構221によって、基板保持プレート21が+X方向に、既定の距離だけ移動させることによって、基板90を描画ヘッド33に対して相対的に移動させる(副走査)。これを基板90からみると、矢印AR12で示されるように、複数の描画ヘッド33が、副走査方向(+x方向)に、既定の距離分だけ移動することになる。
【0047】
副走査が終了すると、再び主走査が行われる。すなわち、主走査機構231によって、基板保持プレート21が+Y方向に移動させることによって、基板90を複数の描画ヘッド33に対して相対的に移動させる。これを基板90から見ると、各描画ヘッド33は、−y方向に移動することによって、矢印AR13で示されるように、基板90上における、直前の主走査で描画された帯状領域R1に隣接する領域を横断することとなる。この主走査においても、各描画ヘッド33は、パターンデータ541に応じて変調された描画光を、基板90に向けて連続的に照射する。これによって、先の主走査で描画された帯状領域R1に隣接する帯状領域R2に、パターンが描画される。
【0048】
以後、上記と同様に、主走査と副走査とが繰り返して行われ、基板90上の描画対象領域の全域にパターンが描画されると、描画処理が終了する。
図5に示される例では、2回の副走査を挟んだ3回の主走査によって、各描画ヘッド33が帯状領域R1,R2,R3を横断し、これによって、描画対象領域の全域にパターンが形成される。
【0049】
○制御部5
図3に示されるように、制御部5は、CPU51、読取専用のROM52、主にCPU51の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAM53および不揮発性の記録媒体であるメモリ54を備えている。また、制御部5は、表示部56、操作部57、回動機構211、副走査機構221、主走査機構231、LED光源部31(詳細には、光源ドライバ)、光変調部4およびオートフォーカス機構6といった描画装置100の各構成とバス配線、ネットワーク回線またはシリアル通信回線などにより接続されており、これら各構成の動作の制御を行う。
【0050】
CPU51は、ROM52内に格納されているプログラム55を読み取りつつ実行することにより、RAM53またはメモリ54に記憶されている各種データについての演算を行う。このように、描画装置100は、CPU51、ROM52、RAM53およびメモリ54を備えることにより、一般的なコンピュータとしての構成を備えている。画像処理部511,描画制御部513および温度制御部515は、CPU51がプログラム55に従って動作することにより実現される機能ブロックである。ただし、これらの要素の一部または全部は、論理回路などによって実現されてもよい。これらの要素の動作内容の詳細については、後述する。
【0051】
メモリ54は、基板90上に描画すべきパターンについてのパターンデータ541を記憶する。パターンデータ541は、例えば、CADソフトなどによって作成されたベクトル形式のデータを、ラスター形式のデータに展開した画像データである。制御部5は、このパターンデータ541に基づき、光変調部4を制御することによって、描画ヘッド33から出射する光ビームを変調する。なお、描画装置100では、主走査機構231のリニアモータ231aから送られてくるリニアスケール信号に基づいて、変調のリセットパルスが生成される。このリセットパルスに基づいて動作する変調部4によって、基板4の位置に応じて変調された描画光が、各描画ヘッド33から出射される。
【0052】
なお、本実施の形態では、パターンデータ541は、単一の画像(基板90全面に形成すべきパターンが表現された画像)についてのデータとしてもよいが、例えば、単一画像についてのパターンデータ541から、描画ヘッド33のそれぞれが描画を担当する部分についての画像データを、描画ヘッド33毎に個別に生成する構成としてもよい。
【0053】
表示部56は、一般的なCRTモニタや液晶ディスプレイなどで構成され、制御部5の制御によりオペレータに対して各種データを表示する。また、操作部57は、各種ボタンやキー、マウス、タッチパネル等から構成され、描画装置100に対して指示を入力するために、オペレータにより操作される。
【0054】
○オートフォーカス機構6
図6は、描画ヘッド33の概略を示す側面図である。
図6に示されるように、各描画ヘッド33には、オートフォーカス機構6がそれぞれ設けられている。オートフォーカス機構6は、描画ヘッド33および基板90(詳細には、露光面)の間の離間距離L1の変動を検出するための検出器61を備えている。オートフォーカス機構6は、検出器61によって検出された離間距離L1の変動に合わせて、描画ヘッド33の描画光の焦点を調整する。
【0055】
検出器61は、レーザ光を基板90に照射する照射部611と、基板90を反射したレーザ光を受光する受光部613とで構成されている。照射部611は、基板90の表面に対する法線方向(ここでは、Z軸方向)に対して所定の角度だけ傾斜した軸に沿って基板90の上面に入射させ、スポット状に照射する。受光部613は、例えばZ軸方向に延びるラインセンサーで構成されている。該ラインセンサー上におけるレーザ光の入射位置によって、基板90の上面の変動が検出されることとなる。検出器61は、描画ヘッド33の投影光学系332の筐体外周面に設けられている取付機構62を介して、描画ヘッド33に対して固定される。
【0056】
また、オートフォーカス機構6は、検出器61によって検出された変動量に応じて、投影光学系332のレンズをZ軸方向に上下させる昇降機構63を備えている。検出器61が検出した変動量を制御部5または不図示の専用の演算回路などに渡され、所要のプログラムに従った演算処理が行われる。これによって、昇降機構63によるレンズの昇降量が決定される。
【0057】
図7は、アライメント用カメラ41の視野位置を校正する様子を示す概略平面図である。
図8は、アライメント用カメラ41の視野位置を校正する様子を示す概略側面図である。アライメント用カメラ41は、
図7に示されるように、基板90の表面の四隅付近などに記録されているアライメントマークAMを撮影することによって、基板90の位置を特定するために使用される。基板90の四隅に形成されたアライメントマークAMの位置を特定することによって、設置時における基板90の重心位置のずれだけでなく、基板90の伸縮、回転などによる位置ずれも特定することができる。つまり、アライメント用カメラ41は、基板90の位置を特定する位置特定部を構成する。
【0058】
図1では図示が省略されているが、アライメント用カメラ41は、架台1に固定された、移動プレート群2を跨ぐように架け渡されている架橋構造体43に取り付けられている(
図11参照)。アライメント用カメラ41は、該架橋構造体43に設けられたスライド機構によって、X軸方向に移動するように構成されている。この移動機構によってアライメント用カメラ41をX軸方向に沿って移動させるとともに、基板保持プレート21をY軸方向に沿って移動させることによって、アライメント用カメラ41が基板90の各アライメントマークAMを撮影する。
【0059】
<アライメント用カメラ41の視野位置の校正>
正確な描画を行うためには、アライメント用カメラ41と各描画ヘッド33の描画位置の位置関係を正確に求めておく必要がある。そこで、本実施形態では、アライメント用カメラ41の視野位置と、描画ヘッド33の描画位置のそれぞれの校正が行われる。ここでは、まずアライメント用カメラ41の視野位置の校正について説明する。
【0060】
図7および
図8に示されるように、描画装置100は、校正用スケール71および校正用カメラ72を備えている。校正用スケール71は、透明な素材により形成された部材であり、その表面に目盛りが形成されている。この目盛りのZ軸方向の高さは、基板保持プレート21に保持された基板90の表面の高さ(すなわち、アライメントマークAMが形成されている高さ)にほぼ一致している。校正用スケール71は、移動プレート群2(例えば、Y軸方向に沿って移動する基板保持プレート21)の+Y側に固定されている。このため、校正用スケール71は、基板保持プレート21とともに、Y軸方向に移動される。校正用カメラ72は、校正用スケール71の下方(−Z方向)に固定されており、その焦点は、校正用スケール71に形成された目盛りに合わせられている。
【0061】
図7および
図8に示されるように、アライメント用カメラ41によって校正用スケール71の目盛りが撮影される。この撮影によって取得されたデータが、画像処理部511に送信され、所要の画像処理が行われる。これによって、アライメント用カメラ41の視野位置を示す視野位置情報543が取得され、メモリ54などの記憶部(RAM53などの一時的に情報を記憶するものも含む。)に保存される。
【0062】
このようにして取得された視野位置情報543は、描画装置100において、基板90の位置を特定するアライメント処理の際に読み出される。つまり、アライメント用カメラ41で読み取られたアライメントマークAMの位置情報に、アライメント用カメラ41自体の視野位置情報543が加味されることで、基板90の位置を高精度に特定することができる。
【0063】
なお、アライメント用カメラ41は、描画装置100の各要素自体の温度または環境温度が上昇することなどによって、視野位置の変動が生じる場合がある。このため、所要のタイミングで、アライメント用カメラ41の視野位置情報543が再取得されることが望ましい。視野位置情報543の再取得は、例えば、基板製造のロット単位毎に行われる。また、後述する描画ヘッド33の描画位置の校正時にも、視野位置情報543の再取得が行われる。
【0064】
<描画ヘッド33の描画位置の校正>
図9は、描画ヘッド33の描画位置を校正する様子を示す概略平面図である。また、
図10は、描画ヘッド33の描画位置を校正する様子を示す概略側面図である。描画ヘッドの描画位置を校正する場合、校正用カメラ72は、各描画ヘッド33が出射する描画光の投影パターンと、校正用スケール71の目盛りを撮影する。なお、校正用カメラ72は、校正用スケール71が延びるX軸方向に沿って直線移動することが可能に構成されている。撮影されたデータは、画像処理部511に送信され、所要の画像処理が行われる。これによって、各描画ヘッド33の描画光が基板90に投影されるXY平面内における位置(すなわち、描画位置)を示す、描画位置情報545が取得され、メモリ54などの記憶部に保存される。
【0065】
描画位置情報545は、パターンデータ541に基づいたパターン描画が行われる際に、描画制御部513によって視野位置情報543と共に読み出され、パターン描画を開始する位置などを補正するために利用される。
【0066】
なお、描画ヘッド33は、描画装置100の各要素の温度またはそれらの周辺の温度が上昇することなどによって、その描画位置に変動が生じる場合がある。このため、所要のタイミングで、描画位置情報545の再取得が行われる。描画位置情報545の再取得は、例えば、基板製造のロット単位毎に行われる。また、描画装置100において、設定された枚数の基板90を処理される度にも行われる。
【0067】
以上のように、視野位置情報543および描画位置情報545を適宜のタイミングで取得することによって、描画装置100におけるパターン描画の精度を高く維持することができる。
【0068】
○温調機8
図11は、温調機8を含めた描画装置100の概略側面図である。
図1では図示が省略されているが、複数の描画ヘッド33は、筐体35によって覆われており、筐体35の室内に収納されている。筐体35の室内には、温調機110から温調用のエアが供給されるエア供給口351が形成されている。エア供給口351には、供給される温調用のエアの温度を測定する温度検出器81aが設けられている。温度検出器81aによって検出された温調用のエアの温度情報は、温調機110にフィードバックされ、温調機110が供給する温調用のエアの温度または風量が変更される。これによって、筐体35の室内温度を目的温度に迅速に合わせることができる。
【0069】
また、描画ヘッド33において、温度変化により倍率やフォーカス変動を発生する要素は、投影光学系332のレンズである。このため、レンズの温度が一定となるよう、温調機110が供給する温調用のエア温度または風量が変更される。具体的には、複数の描画ヘッド33のうち、1以上の描画ヘッド33における投影光学系332のレンズの温度が、温度検出器81bによって検出される。検出されたレンズの温度情報は、温度制御部515に送信される。温度制御部515は、送信された温度情報に基づき、各描画ヘッド33の温度が目的温度となるように、温調機110を制御する。
【0070】
温度制御部515による、温調機110の温調制御の一例として、例えば、PID制御が挙げられる。具体的に、温調機110が温調用のエアの温度を変更する場合、レンズの温度t(n)に対して、次式で与えられる設定温度の差分ΔTs(n)が求められる。
【0071】
ΔTs(n)=Kp{t(n−1)−t(n)}+Ki{r(n)−t(n)}+Kd{2t(n−1)−t(n−2)−t(n)}・・・式(1)
【0072】
上記式(1)において、t(n)は現在の温度測定値、t(n−1),t(n−2)は、それぞれ、前回、前々回の温度測定値である。また、r(n)は、現在の目標温度値である。さらに、Kp,KiおよびKdは、予め設定された係数である。温調機110は、目標温度値Ts(n)に式(1)で求められたΔTs(n)を付加した温度の温調用のエアを供給するように制御されることとなる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る描画装置100では、投影光学系332を構成するレンズの温度を監視し、その温度に基づいた温調制御が行われることによって、その変形などが抑制される。これによって、倍率、フォーカス変動または描画位置の変動を抑制することができるため、各描画ヘッド33の描画位置を安定化させることができる。なお、温度を監視する部位は、投影光学系332のレンズに限定されるものではなく、温度変化によって、倍率、フォーカス変動または描画位置に変動を発生させる可能性がある部分であれば、どのような部分であってもよい。また1箇所の温度だけではなく、複数箇所の温度に基づいて、温調制御が行われるようにしてもよい。
【0074】
<温度依存性の描画位置の位置ずれ補正>
描画装置100の装置自体の熱によって、アライメント用カメラ41を支える架橋構造体43や、描画ヘッド33を支える架橋構造体11自体に変形が発生すると、上記校正処理で特定された、アライメント用カメラ41の視野位置と、各描画ヘッド33の描画位置との間の位置関係が崩れてしまう。すると、基板90に対する描画ヘッド33の描画位置に位置ずれが発生してしまい、高精度なパターン描画が困難となる。そこで、本実施形態では、視野位置・描画位置間の温度依存性の位置ずれを補正することによって、描画精度の低下を抑制する。
【0075】
具体的に、本実施形態では、視野位置・描画位置間の温度依存性の変動に関係する部位を、アライメント用カメラ41を支持する架橋構造体43とし、この架橋構造体43の温度を温度検出器81cによって検出する。そして、検出された温度に対応する、視野位置・描画位置間の温度依存性の位置ずれ量Δyを、描画制御部513が、所定の演算を行うことによって取得する。
【0076】
より具体的には、描画を開始する際に測定された温度と、描画ヘッド33の描画位置の校正時における温度の温度差ΔTbが取得される。そして、該温度差ΔTbに対応する、位置ずれ量Δyが求められる。この位置ずれ量Δyは、次式に基づいて求められる。
【0078】
この位置ずれ量Δyを求めるための関数Fは、以下のようにして決定される。すなわち、予め、実験的に描画装置100を駆動することによって発生した温度差ΔTbと、その温度差ΔTbが生じたときの位置ずれ量Δyのデータを収集される。そして、取得された温度差ΔTbと位置ずれ量Δyとの相関関係が解析されることによって、関数Fが決定される。関数Fは、1次関数としてもよいし、あるいは、2次以上の関数としてもよい。
【0079】
なお、関数Fを決定するためのデータ収集時においては、例えば、描画ヘッド33から描画光の出射を行わずに、基板90を主走査方向(すなわち、Y軸方向)にのみ往復移動させることによって、温度差ΔTbを発生させるようにしてもよい。このようにして取得された関数Fは、メモリ54などの記憶部に保存され、あるいは、プログラム55の一部として保持され、位置ずれ量Δyの算出時に適宜利用される。
【0080】
また、測定部位の温度が変化してから、位置ずれ量Δyが発生するまでの間に時間差がある場合には、その点を考慮して位置ずれ量Δyを求めるようにしてもよい。例えば、所要期間内の複数のタイミングで測定された温度変化量の平均値をΔTbとして、位置ずれ量Δyが求められるようにしてもよい。
【0081】
なお、視野位置・描画位置間の温度依存性の変動に関係する部位を、架橋構造体43のみに設定するだけなく、その他の場所に設定することも考えられる。例えば、基板保持プレート21または架橋構造体11などを温度測定部位としてもよい。すなわち、温度測定部位は、視野位置・描画位置間の温度依存性の変動に関係する部位であれば、どのような場所であってもよい。もちろん、複数箇所の温度に基づいて、位置ずれ量Δyが求められてもよい。この場合、複数箇所の温度の温度変化(ΔTb1,ΔTb2,・・・)を変数とする関数Fを予め取得しておけばよい。
【0082】
また、関数Fを用いる代わりに、いくつかの温度差ΔTbと位置ずれ量Δyの対応表を予め作成しておき、該対応表を参照することで、実際に測定された温度差ΔTbに対応する位置ずれ量Δyが取得されるようにしてもよい。
【0083】
描画制御部513は、以上のようにして取得された位置ずれ量Δy分だけ、描画開始位置をオフセットすることによって、各描画ヘッド33にパターン描画を行わせる。これによって、パターン描画の精度を高く維持することができる。
【0084】
<校正用スケールの温度依存性位置ずれ補正>
また、走査機構(主走査機構231および副走査機構221)の駆動による、移動プレート群2の発熱によって、校正用スケール71の位置ずれが発生する場合がある。校正用スケール71の位置ずれが発生すると、上述したアライメント用カメラ41の視野位置、および、描画ヘッド33の描画位置の校正結果(すなわち、視野位置情報543および描画位置情報545)に、位置ずれが発生することとなる。
【0085】
アライメント用カメラ41の視野位置の校正、および、描画ヘッド33の描画位置の校正の双方が、時間的に連続して行われた場合は、双方の校正結果に、校正用スケール71の位置ずれが含まれていることになる。このため、校正結果である視野位置情報543および描画位置情報545を用いて、基板90に対する描画位置を補正したとき、校正用スケール71の位置ずれの影響は相殺されることとなる。しかしながら、どちらか一方のみを校正した場合には、校正用スケール71の位置ずれ分、校正結果に位置ずれが発生してしまう。
【0086】
そこで、本実施形態では、校正用スケール71の温度依存性の位置ずれに関係する部位を、移動プレート群2とし、この該移動プレート群2(例えば、基板保持プレート21)の温度が変化したときの、温度変化量(温度差ΔTc)から、位置ずれ量Δhを求める。
【0087】
具体的に、移動プレート群2の温度は、温度検出器81dによって検出される。そして、アライメント用カメラ41の視野位置の校正時と、描画ヘッド33の描画位置の校正時とにおける、移動プレート群2の温度の温度差ΔTcから、次式に基づいて、校正用スケールの温度依存性の位置ずれ量Δhが求められる。
【0089】
この位置ずれ量Δhを求めるための関数Gは、上述の関数Fと同様に、予め、実験的に描画装置100を駆動することによって発生させた温度差ΔTcと、その温度差が生じたときの位置ずれ量Δhのデータを収集され、収集された温度差ΔTcと位置ずれ量Δhの相関関係を解析することによって決定される。取得された関数Gは、メモリ54などの記憶部に保存され、あるいは、プログラム55の一部として保持され、位置ずれ量Δhの算出時に適宜利用される。
【0090】
本実施形態では、位置ずれ量Δhを、一つの場所(移動プレート群2)の温度変化と関連付けして求めるようにしているが、一つの場所だけでなく、複数の場所の温度の温度変化に関連付けて、求められるようにしてもよい。この場合、複数の場所の温度変化量(温度差ΔTc1,ΔTc2・・・)を変数とする関数Gが決定されればよい。
【0091】
また、測定部位の温度が変化してから、位置ずれ量Δhが発生するまでの間に、時間差がある場合には、その点を考慮して位置ずれ量Δhを求めるようにしてもよい。例えば、所要期間内の複数のタイミングで測定された温度変化量の平均値をΔTcとして、位置ずれ量Δhが求められるようにしてもよい。
【0092】
また、関数Gを用いる代わりに、いくつかの温度差ΔTcと位置ずれ量Δhの対応表を予め作成しておき、該対応表を参照することで、実際に測定された温度差ΔTcに対応する位置ずれ量Δhが取得されるようにしてもよい。
【0093】
描画制御部513が、以上のようにして取得されたΔhを合わせた量分だけ、描画開始位置をオフセットして、パターン描画を行う。すると、温度に依存して位置ずれする校正用スケール71を用いたことによって発生した校正処理の結果の誤差を、結果的に除去することができる。したがって、高精度なパターン描画を実現することができる。
【0094】
<1.2.パターン描画の流れ>
図12は、パターン描画の流れの一例を示す図である。なお、以下の説明において、描画装置100の動作は、特に断らない限り、制御部5の制御に基づいて行われるものとする。パターン描画の対象となる感光体が形成された基板90は、基板保持プレート21に保持されているものとする。また、温調機110による、筐体35の室内の温調は、パターン描画中、行われているものとする。
【0095】
パターン描画画開始されると、描画装置100は、まず、温度検出器81c,81dによって、各部位の温度測定が行われる(
図12:ステップS101)。そして、描画ヘッド33の描画位置の校正処理が必要かどうか判定される(
図12:ステップS102)。上述したように、描画ヘッド33の描画位置の校正処理は、例えば、基板製造のロット単位毎に行われればよい。このため、ステップS102では、新たなロット単位の基板製造に該当するかどうかに基づいて、判定される。
【0096】
描画ヘッド33の描画位置の校正が必要と判定された場合には(ステップS102においてYES)、描画ヘッド33の描画位置の校正が行われる(
図12:ステップS103)。これによって、描画位置情報545が取得され、メモリ54などの記憶部に保存される。また、この校正時の温度がメモリ54などの記憶部に保存される(
図12:ステップS104)。描画ヘッド33の描画位置の校正が不要と判定された場合には(ステップS102においてNO)、ステップS105に処理が進められる。
【0097】
ステップS104の処理が完了すると、描画装置100は、アライメント用カメラ41の視野位置の校正が必要かどうか判定される(
図12:ステップS105)。上述したように、アライメント用カメラ41の視野位置の校正は、基板製造のロット単位毎、または、描画ヘッド33の描画位置の校正が行われた際に行われればよい。このため、ステップS105では、新たなロット単位の基板製造に該当するかどうか、および、ステップS102において、描画ヘッド33の描画位置の校正が行われたかどうか、に基づいて判定される。
【0098】
アライメント用カメラ41の視野位置の校正が必要と判定された場合には(ステップS105においてYES)、アライメント用カメラ41の視野位置の校正が行われる(
図12:ステップS106)。これによって、視野位置情報543が取得され、メモリ54などの記憶部に保存される。
【0099】
さらに、アライメント用カメラ41の視野位置の校正が行われると、校正用スケール71の温度依存性の位置ずれ量Δhが取得され、メモリ54などの記憶部に保存される(
図12:ステップS107)。具体的には、温度検出器81dによって検出される、現在温度(つまり、ステップS101において測定された温度)と、最後に実行された描画ヘッド33の描画位置の校正時の温度(ステップS104にて記録された温度)との温度差ΔTcを、上記式(3)の関数Gに代入することによって、位置ずれ量Δhが求められる。なお、描画ヘッド33の描画位置の校正、および、アライメント用カメラ41の視野位置の校正の双方が行われた場合(すなわち、ステップS102,ステップS105においてYESと判定された場合)、ステップS107における位置ずれ量Δhの取得は、省略してもよい。
【0100】
また、アライメント用カメラ41の視野位置の校正が不要と判定された場合には、(すなわち、ステップS105においてNO)ステップS106,S107の処理がスキップされ、ステップS108に処理が進められる。
【0101】
校正用スケール71の位置ずれ量Δhが求められると、視野位置・描画位置間の温度依存性の位置ずれ量Δyが求められる(
図12:ステップS108)。具体的には、温度検出器81cによって検出された、現在温度(ステップS101において測定された温度)と、最後に描画ヘッド33の描画位置の校正時の温度(ステップS104において記録された温度)との温度差ΔTbを、上記式(2)の関数Fに代入することによって、位置ずれ量Δyが求められる。
【0102】
次に、位置ずれ量Δhと位置ずれ量Δyの合計値が求められる(
図12:ステップS109)。取得された合計値分は、描画制御部513に送られる。そして、描画制御部513は、この合計値分だけ、描画ヘッド33の描画開始位置をオフセットすることとなる。
【0103】
合計値が求められると、基板90のアライメント処理が行われる(
図12:ステップS110)。具体的には、アライメント用カメラ41によって、基板90に形成されているアライメントマークAMが撮影される。そして、画像処理部511が画像処理することによって、基板90の位置(重心位置、伸縮または回転)が特定される。
【0104】
次に、描画位置の設定が行われる(
図12:ステップS111)。このステップS111では、まず、メモリ54からパターンデータ541が読み出される。そして、ステップS110にて行ったアライメント結果に基づいて、パターンデータ541を変形することによって、基板90の位置ずれを補正する。また、描画開始位置が、ステップS103で取得された描画位置情報545、ステップS106で取得された視野位置情報543、および、ステップS109で取得された位置ずれ量Δh,Δyの合計値の分を加味して、オフセットされる。
【0105】
描画位置設定が完了すると、描画装置100は、パターン描画を開始する(
図12:ステップS112)。このステップS112では、ステップS111にて取得された、描画制御部513が、ステップS111において設定された描画開始位置でパターン描画を開始するとともに、補正済みのパターンデータ541に基づき、各描画ヘッド33を制御する。
【0106】
なお、ステップS111において、描画位置情報545、視野位置情報543および位置ずれ量Δh,Δyの分だけ、描画開始位置がオフセットされたパターンデータを生成しておき、該パターンデータに基づいて、ステップS112のパターン描画が行われるようにしてもよい。
【0107】
また、上記各工程は、
図12に示される順序で実行されなくてもよいことは言うまでもない。例えば、ステップS110のアライメント処理は、ステップS101〜ステップS109のいずれかが実行される前に行うことも考えられる。また、ステップS101の温度測定についても、適宜のタイミングで行われればよい。
【0108】
<2. 第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る描画装置100Aの構成を示す概略側面図である。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0109】
本実施形態に係る描画装置100Aでは、アライメント用カメラ41の視野位置の校正時に、画像処理部511Aが、校正用スケール71の温度依存性の位置ずれ量Δhを取得する。そして、画像処理部511Aは、校正結果に位置ずれ量Δhが加味した情報を、視野位置情報543として、メモリ54などの記憶部に保存する。該視野位置情報543は、第1実施形態と同様に、描画制御部513がパターン描画を実行する際に使用される。
【0110】
図14は、第2実施形態に係るパターン描画の流れの一例を示す図である。本実施形態に係る描画装置100Aにおいて、パターン描画が開始されると、まず、温度測定が行われる(
図14:ステップS201)。この工程は、ステップS101と同様の工程である。
【0111】
つぎに、描画ヘッド33の描画位置の校正が必要かどうか判定される(
図14:ステップS202)。この工程は、ステップS102と同様の工程である。校正が必要な場合には(ステップS202においてYES)、描画ヘッド33の描画位置の校正が行われる(
図14:ステップS203)。そして、校正時の温度が保存される(
図14:ステップS204)。ステップS203およびS204の工程は、それぞれ、ステップS103およびS104の工程と同様である。校正が不要な場合には(ステップS202においてNO)、ステップS203,S204がスキップされ、次のステップS205に処理が進められる。
【0112】
描画ヘッド33の描画位置の校正が終了すると、位置ずれ量Δy,Δhが求められる(
図14:ステップS205)。このステップS205で求められた位置ずれ量Δhは、後述するアライメント処理(ステップS208)において使用される。また、位置ずれ量Δyは、後述する描画位置設定(ステップS209)において使用される。
【0113】
位置ずれ量Δh、Δyが求められるとアライメント用カメラ41の視野位置の校正が必要かどうか判定される(
図14:ステップS206)。校正が必要な場合には(ステップS206においてYES)、アライメント用カメラ41の視野位置の校正が行われる(
図14:ステップS207)。このとき、この視野位置の校正結果とともに、ステップS205において取得された校正用スケール71の位置ずれ量Δhを加えたものを、視野位置情報543としてメモリ54などの記憶部に保存される。校正が不要な場合には(ステップS206においてNO)、ステップS206がスキップされ、次のステップS207に処理が進められる。
【0114】
次に、アライメント処理が行われる(
図14:ステップS208)。このアライメント処理の結果、基板90の位置が特定される。このとき、基板90の位置に、ステップS207にて取得された視野位置情報543に含まれる位置ずれ量Δhが、アライメント結果に加味される。アライメント処理が完了すると、描画位置設定が行われる(
図14:ステップS209)。これによって、基板90の位置(重心位置、伸縮または回転)に対応して補正された、補正済みのパターンデータが生成される。
【0115】
ステップS208およびS209は、それぞれ、ステップS110およびS111とほぼ同様の工程である。ただし、ステップS209においては、ステップS205で取得された位置ずれ量Δyが加味され、描画開始位置がオフセットされる。また、アライメント結果に位置ずれ量Δhが加味されているため、ステップS111において設定される描画開始位置は、位置ずれ量Δhも加味されたものとなっている。
【0116】
ステップS111のパターンデータ541の補正が完了すると、描画装置100は、パターン描画を開始する(
図14:ステップS210)。この工程は、ステップS112とほぼ同様である。
【0117】
本実施形態に係る描画装置100Aによると、校正用スケール71の温度依存性の位置ずれが加味された、アライメント用カメラ41の視野位置情報543を取得することができる。これによって、パターン描画の精度を高めることができる。
【0118】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。