特許第6117595号(P6117595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117595
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】版印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/40 20060101AFI20170410BHJP
   B41F 35/06 20060101ALI20170410BHJP
   B41F 17/34 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B41M1/40 C
   B41F35/06
   B41F17/34 C
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-75717(P2013-75717)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-200916(P2014-200916A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145378
【氏名又は名称】株式会社秀峰
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】村岡 貢治
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−202856(JP,A)
【文献】 特開昭61−024452(JP,A)
【文献】 特開2012−20525(JP,A)
【文献】 特表2007−526155(JP,A)
【文献】 特開2009−172835(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷原版に所定の印刷パターンになるようにインキを付着する第1工程と、
前記インキが付着している印刷原版にブランケットを押し付けて、該ブランケットに前記インキを転写させる第2工程と、
前記インキが転写されたブランケットを被印刷面に押し付け、前記ブランケットに転写されたインキを前記被印刷面に転写させる第3工程と、
前記被印刷面に前記インキを転写した後のブランケットを平坦なクリーニング面に押し付け、前記ブランケットに残存するインキを、前記クリーニング面に付着させる第4工程と、
前記残存するインキを前記クリーニング面に付着した後のブランケットを、吸湿材に押し付け、該吸湿材にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、前記ブランケットに付着またはしみ込ませる第5工程と、を繰り返すことを特徴とする版印刷方法。
【請求項2】
前記第5工程の後に、前記水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケットをエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去する第6工程を有することを特徴とする請求項1記載の版印刷方法。
【請求項3】
前記第5工程の後に、または、前記第6工程の後に、前記ブランケットを平坦な乾燥面に押し付け、前記ブランケットに付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去する第7工程を有することを特徴とする請求項1または2記載の版印刷方法。
【請求項4】
第1工程に先行して、ブランケットを吸湿材に押し付け、該吸湿材にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、前記ブランケットに付着またはしみ込ませる開始第1工程を有することを特徴とする請求項1記載の版印刷方法。
【請求項5】
前記開始第1工程の後に、前記水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケットをエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去する開始第2工程を有することを特徴とする請求項4記載の版印刷方法。
【請求項6】
前記開始第1工程の後に、または、前記開始第2工程の後に、前記ブランケットを平坦な乾燥面に押し付け、前記ブランケットに付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去する開始第3工程を有することを特徴とする請求項4または5記載の版印刷方法。
【請求項7】
前記吸湿材が、積層された紙であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の版印刷方法。
【請求項8】
前記クリーニング面が、紙の表面または粘着テープの粘着面であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の版印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は版印刷方法、特に、ブランケットを用いた版印刷方法(凸版印刷および凹版印刷をまとめて「版印刷」と総称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、版印刷方法は、印刷パターンに応じたパターンにインキが載せられた印刷原版(印版に同じ)にブランケット(パッドに同じ)を押し付けて、印刷パターン状のインキを印刷用パッドに転写(移し取る)し、引き続き、印刷用パッドを被印刷面に押し付けて、転写したインキを被印刷面に転写(移し渡す)ことによって、被印刷面に印刷パターンを印刷するものである。このとき、印刷品位を低下させないために、印刷原版を往復運動させることによって、印刷原版に当接しているインクボックス内のインクを揺すって、撹拌し、固化し難くする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−114496号公報(第9−10頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明は、インクを撹拌することによって、固化し難くすることができるものの、以下の問題があった。すなわち、ブランケット(パットに同じ)は、シリコンゴムの混合物によって形成されていることから、インキが硬い(例えば、88PaS以上)場合、被印刷面に転写する転写性が悪くなるため、転写性を確保するためには、インクを軟らかくする必要がある。一方、インクを軟らかくした場合、印刷原版(印版)が汚れ易くなり、印刷原版(印版)を管理する負担が増大するため、インクを硬くしたいという要請がある。そのため、転写性と印刷原版の清浄性との何れかが満足されなかった。
【0005】
本発明は上記問題を解決するものであって、転写性と印刷原版の清浄性の両方を満足することができる版印刷方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る版印刷方法は、印刷原版に所定の印刷パターンになるようにインキを付着する第1工程と、
前記インキが付着している印刷原版にブランケットを押し付けて、該ブランケットに前記インキを転写させる第2工程と、
前記インキが転写されたブランケットを被印刷面に押し付け、前記ブランケットに転写されたインキを前記被印刷面に転写させる第3工程と、
前記被印刷面に前記インキを転写した後のブランケットを平坦なクリーニング面に押し付け、前記ブランケットに残存するインキを、前記クリーニング面に付着させる第4工程と、
前記残存するインキを前記クリーニング面に付着した後のブランケットを、吸湿材に押し付け、該吸湿材にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、前記ブランケットに付着またはしみ込ませる第5工程と、を繰り返すことを特徴とする。
【0007】
(2)前記第5工程の後に、前記水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケットをエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去する第6工程を有することを特徴とする。
(3)また、前記第5工程の後に、または、前記第6工程の後に、前記ブランケットを平坦な乾燥面に押し付け、前記ブランケットに付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去する第7工程を有することを特徴とする。
【0008】
(4)さらに、第1工程に先行して、ブランケットを吸湿材に押し付け、該吸湿材にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、前記ブランケットに付着またはしみ込ませる開始第1工程を有することを特徴とする。
(5)また、前記開始第1工程の後に、前記水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケットをエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去する開始第2工程を有することを特徴とする。
(6)また、前記開始第1工程の後に、または、前記開始第2工程の後に、前記ブランケットを平坦な乾燥面に押し付け、前記ブランケットに付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去する開始第3工程を有することを特徴とする。
【0009】
(7)さらに、前記吸湿材が、積層された紙であることを特徴とする。
(8)さらに、前記クリーニング面が、紙の表面または粘着テープの粘着面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(i)本発明に係る版印刷方法は、前記構成であるから、ブランケットに適度の水または溶剤が付着またはしみ込んでいるため、硬いインキであっても、転写性が悪くなることがない。このため、硬いインキを使用することで、印刷原版(印版)が清浄に保たれ、印刷原版(印版)の管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る版印刷方法を説明する作業の流れを示すフローチャート。
図2図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第1工程)を示す側面図。
図3図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第2工程)を示す側面図。
図4図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第3工程)を示す側面図。
図5図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第4工程)を示す側面図。
図6図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第5工程)を示す側面図。
図7図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第6工程)を示す側面図。
図8図1に示す作業の流れに対応した作業の状況(第7工程)を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図8は本発明の実施の形態1に係る版印刷方法を説明するものであって、図1は作業の流れを示すフローチャート、図2図8は作業の状況を模式的に示す側面図である。
図1において、版印刷方法100は、開始工程と、繰返し工程とを有している。
【0013】
(開始工程)
開始工程は、ブランケット20を吸湿材50に押し付け、吸湿材50にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、ブランケット20に付着またはしみ込ませる開始第1工程(SP1)と、水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケット20を気吹手段60によってエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去する開始第2工程(SP2)と、ブランケット20を平坦な乾燥面70に押し付け、ブランケット20に付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去する開始第3工程(SP3)と、からなる開始工程と、を有している。
なお、ブランケット20に適量の水または溶剤が付着またはしみ込んでいる場合は、開始第2工程(SP2)および開始第3工程(SP3)の一方または両方の実施を省略してもよい。
【0014】
(繰返し工程)
また、繰返し工程は、印刷原版10に所定の印刷パターン1になるようにインキ2を付着する第1工程(S1)と、
印刷パターン1状にインキ2が付着している印刷原版10に、ブランケット20を押し付けて、ブランケット20にインキ2を転写させる第2工程(S2)と、
インキ2が転写されたブランケット20を、被印刷面30に押し付け、ブランケット20に転写されたインキ2を被印刷面30に転写させる第3工程(S3)と、
被印刷面30にインキ2を転写した後のブランケット20を、平坦なクリーニング面40に押し付け、ブランケット20に残存するインキ2を、クリーニング面40に付着させる第4工程(S4)と、を有している。
【0015】
さらに、残存するインキ2をクリーニング面40に付着した後のブランケット20を、吸湿材50に押し付け、吸湿材50にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、ブランケット20に付着またはしみ込ませる第5工程(S5)と、
前記水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケット20を気吹手段60によってエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去する第6工程(S6)と、
さらに、第5工程(S5)または第6工程(S6)の後に、ブランケット20を平坦な乾燥面70に押し付け、ブランケット20に付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去する第7工程(S7)とを有している。
なお、ブランケット20に適量の水または溶剤が付着またはしみ込んでいる場合は、第6工程(S6)および第7工程(S7)の一方または両方の実施を省略してもよい。
【0016】
(作業状況)
第1工程において、印刷原版10に所定の印刷パターン1になるようにインキ2を付着する要領は限定するものではなく、いわゆる凸版印刷でも凹版印刷であってもよい。
図2の(a)において、印刷原版10の略全面にインキ2を均一な厚さに塗布し、略全面に塗布されたインキ2を部分的に撤去して、残されたインキ2(膜厚を誇張し、斜線を付して示す)が印刷パターン1になっている(凸版印刷)。また、印刷原版10に印刷パターン1に対応して水等をしみ込ませて、インキ2を部分的にはじかせてもよい。
図2の(b)において、印刷原版10の全面にマスキング材10aが設置され、図2の(c)において、マスキング材10aに印刷パターン1に対応した凹部10bが形成され、図2の(d)において、凹部10bにインキ2が充填されている(凹版印刷)。また、印刷原版10に印刷パターン1に対応してシリコン剤等を部分的に塗布し、インキ2を部分的にはじかせてもよい。
【0017】
図3の(a)〜(c)において、第2工程(S2)では、印刷パターン1状にインキ2が付着している印刷原版10に、ブランケット20を押し付けて、ブランケット20にインキ2を転写させる。
図4の(a)および(b)において、第3工程(S3)では、インキ2が転写されたブランケット20を、被印刷面30に押し付け、ブランケット20に転写されたインキ2を被印刷面30に転写させる。なお、被印刷面30として平面を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、非平面(曲面)であってもよい。
図5において、第4工程では、被印刷面30にインキ2を転写した後のブランケット20を、平坦なクリーニング面40に押し付け、ブランケット20に残存するインキ2を、クリーニング面40に付着させている。なお、クリーニング面40は紙ないし粘着テープであるが、これに限定するものではない。
【0018】
図6において、第5工程(S5)では、クリーニング後のブランケット20を、吸湿材50に押し付け、吸湿材50にしみ込んでいる水または溶剤の一部を、ブランケット20に付着またはしみ込ませている。なお、吸湿材50は、例えば、紙を50枚程度積層したものに、水または溶剤をしみ込ませたもの(含浸したもの)であるが、吸湿性を具備するものであれば、紙に限定するものではない。また、複数枚を積層したのでなく、1枚(1層)であってもよい。
また、溶剤は、インキ2との性質に応じて適宜選定されるものであって、硬いインキ2を軟化させる性質を有する、例えば、シンナー、キシレンやトルエン等であるが、これらに限定するものではない。
【0019】
図7において、第6工程(S6)では、前記水または溶剤の一部が付着またはしみ込んでいるブランケット20を気吹手段60によってエアーブローし、前記水または溶剤の一部を除去している。なお、気吹手段60の形式や数量、あるいはエアーブローの方向等は限定するものではない。
図8において、第7工程(S7)では、ブランケット20を平坦な乾燥面70に押し付け、ブランケット20に付着またはしみ込んでいる前記水または溶剤の一部を除去している。なお、乾燥面70は、乾燥した紙を積層したものであるが、吸湿性を具備するものであれば、紙に限定するものではない。また、複数枚を積層したのでなく、1枚(1層)であってもよい。
【0020】
なお、開始工程における、開始第1工程(SP1)、開始第2工程(SP2)および開始第3工程(SP3)は、それぞれ繰返し工程における、第5工程(S5)、第6工程(S6)および第7工程(S7)と同じであるから、説明を省略する。
【0021】
(効果)
以上のように、版印刷方法100は、ブランケット20が適量の水または溶剤がしみ込んでいる(または付着している)状態において、ブランケット20は、印刷原版10からインキ2を受け取り、被印刷面にインキ2を受け渡している。
したがって、ブランケット20は、印刷原版10から硬いインキ2(例えば、200PaS以上)を受け取っても、適度に軟らかくなった状態で、かかるインキ2を被印刷面に受け渡すことができるから、硬いインキ2を使用しても、転写性が損なわれることがない。また、硬いインキ2を使用することができるから、印刷原版が汚れることが少ない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、硬いインキを使用しても、転写性と印刷原版の清浄性の両方を保つことができるから、各種形状や各種大きさのブランケットを用いた版印刷方法として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 印刷パターン
2 インキ
10 印刷原版
10a マスキング材
10b 凹部
20 ブランケット
30 被印刷面
40 クリーニング面
50 吸湿材
60 気吹手段
70 乾燥面
100 版印刷方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8