(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定接点と前記固定接点に選択的に接触する可動接点ならびに前記可動接点を動作させる切換え部材とが収納されたケースと、前記ケースを塞ぐ蓋体とが設けられた切換え装置において、
前記ケースに、底部から立ち上がって互いに対向する2つの内壁部と、それぞれの内壁部の外側に対向して前記底部から立ち上がる2つの外壁部と、それぞれの内壁部とそれぞれの外壁部の両端部どうしを連結して前記底部から立ち上がる側壁部とが一体に形成されて、前記内壁部と前記外壁部と前記側壁部ならびに前記底部とで囲まれて上方に開口部を有する2つの収納室と、2つの前記内壁部との間に位置する操作空間とが構成され、それぞれの前記収納室に前記固定接点と前記可動接点とが収納されており、
それぞれの前記収納室には、前記内壁部を貫通して上向きに開放された凹部が設けられ、
それぞれの前記切換え部材は、前記凹部に支持される第1の支持部と、外壁部に支持される第2の支持部と、前記収納室の内部に位置して前記可動接点を動作させる駆動部と、前記第1の支持部と連続して前記操作空間の内部に位置する操作部とを有し、
それぞれの前記収納室に、前記駆動部を前記可動接点に押し付けて、前記操作部を初期姿勢へ付勢するばね部材が収納されており、
前記蓋体に、それぞれの前記内壁部の操作空間に向く外面に重ねられる挟持片が形成され、前記凹部と前記挟持片との間に、前記底部と平行に延びる貫通部が形成されて、前記第1の支持部が前記貫通部に移動自在に支持され、前記切換え部材が、前記底部と平行に初期姿勢から切換え姿勢へ向けて移動可能であり、
2つの前記切換え部材は、切換え姿勢へ向かう移動方向が互いに逆向きであり、前記操作空間内に位置する前記操作部を介して前記切換え部材が切換え姿勢へ向けて移動させられるときの移動力によって、それぞれの収納室内で前記可動接点と前記固定接点との接触状態が切換えられることを特徴とする切換え装置。
前記可動接点には前記底部と逆方向へ隆起する乗り上げ部が形成され、切換え姿勢へ向かう前記駆動部が前記乗り上げ部に乗り上がることで、前記可動接点と前記固定接点との接触が切換えられ、
前記切換え部材が切換え姿勢に向けて移動し前記駆動部が前記乗り上げ部に乗り上がるときに、前記切換え部材が前記第1の支持部を支点として回動する請求項1記載の切換え装置。
前記切換え部材は、第1の支持部と前記駆動部とが、前記側壁部の対向方向に向けて離れて位置しており、前記切換え部材が初期姿勢のときに、前記ばね部材によって、前記第1の支持部と前記駆動部の双方が前記底部に向けて付勢されている請求項2または3記載の切換え装置。
操作部材に設けられた切換え押圧部が2つの前記操作部の間に位置し、前記操作空間内で前記切換え押圧部が一方向へ移動すると一方の前記切換え部材が切換え姿勢へ向けて移動させられ、他方向へ移動すると他方の前記切換え部材が切換え姿勢へ向けて移動させられる請求項5記載の切換え装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された切換え装置では、ケースに形成されたそれぞれの接点収納空間とスリットとが凹部を介して連通している。凹部には駆動体が回動自在で且つ上下に移動自在に支持されているため、凹部の内縁部と駆動体との間に大きな隙間が形成され、それぞれの接点収納部の密閉が十分ではない。駆動体は、回動動作と上下動作によって、導体板を切換え動作させるものであるため、導体板を動作させるときの駆動体の動作負荷が比較的大きい。また、導体板の切換えのときに駆動体が上下に動くため、装置の配置スペースが上方に余分に必要となる。
【0009】
さらに、スリットの上方では、カバー部材に窓孔が形成され、駆動体の被押圧部が窓孔から上方へ突出しているが、駆動体が回動するために、窓孔と被押圧部との間に大きな隙間を形成することが必要となっている。その結果、車室内のゴミや埃さらには水分が、カバー部材の窓孔からスリット内に入りやすく、さらに凹部を介してスリット内から接点収納部の内部にゴミなどが入り込みやすくなっており、接点の切換えの信頼性を低下させる課題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、2つの収納空間内の密閉性を向上させて、収納空間の内部での接点の切換え動作の信頼性を高めることができ、さらに、比較的低負荷で切換え動作を行うことができる切換え装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、固定接点と前記固定接点に選択的に接触する可動接点ならびに前記可動接点を動作させる切換え部材とが収納されたケースと、前記ケースを塞ぐ蓋体とが設けられた切換え装置において、
前記ケースに、底部から立ち上がって互いに対向する2つの内壁部と、それぞれの内壁部の外側に対向して前記底部から立ち上がる2つの外壁部と、それぞれの内壁部とそれぞれの外壁部の両端部どうしを連結して前記底部から立ち上がる側壁部とが一体に形成されて、前記内壁部と前記外壁部と前記側壁部ならびに前記底部とで囲まれて上方に開口部を有する2つの収納室と、2つの前記内壁部との間に位置する操作空間とが構成され、それぞれの前記収納室に前記固定接点と前記可動接点とが収納されており、
それぞれの前記収納室には、前記内壁部を貫通して上向きに開放された凹部が設けられ、
それぞれの前記切換え部材は、前記凹部に支持される第1の支持部と、外壁部に支持される第2の支持部と、前記収納室の内部に位置して前記可動接点を動作させる駆動部と、前記第1の支持部と連続して前記操作空間の内部に位置する操作部とを有し、
それぞれの前記収納室に、前記駆動部を前記可動接点に押し付けて、前記操作部を初期姿勢へ付勢するばね部材が収納されており、
前記蓋体に、それぞれの前記内壁部の操作空間に向く外面に重ねられる挟持片が形成され、前記凹部と前記挟持片との間に、前記底部と平行に延びる貫通部が形成されて、前記第1の支持部が前記貫通部に移動自在に支持され、前記切換え部材が、前記底部と平行に初期姿勢から切換え姿勢へ向けて移動可能であり、
2つの前記切換え部材は、切換え姿勢へ向かう移動方向が互いに逆向きであり、前記操作空間内に位置する前記操作部を介して前記切換え部材が切換え姿勢へ向けて移動させられるときの移動力によって、それぞれの収納室内で前記可動接点と前記固定接点との接触状態が切換えられることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、切換え部材が底部に沿って移動し、駆動部によって可動接点が切換えられる。そのため、凹部と挟持片との間の貫通部が上下に長く延びるものではなくなり、収納室の内部にゴミや埃や水分が侵入しにくくなる。
【0013】
また、切換え部材が底部に沿って水平に移動する移動力によって可動接点と固定接点との接触が切換えられるため、比較的軽い負荷で接点の切換えを行うことができる。また、切換え部材から延び出ている操作部が上下に動くことがないので、ケースの上方に操作部の上下方向への移動領域を確保することが必要ではない。
【0014】
本発明は、前記可動接点には前記底部と逆方向へ隆起する乗り上げ部が形成され、切換え姿勢へ向かう前記駆動部が前記乗り上げ部に乗り上がることで、前記可動接点と前記固定接点との接触が切換えられ、
前記切換え部材が切換え姿勢に向けて移動し
前記駆動部が前記乗り上げ部に乗り上がるときに、前記切換え部材が前記第1の支持部を支点として回動するものである。
【0015】
この場合に、前記第1の支持部は断面が円形の軸体であり、前記凹部と前記挟持片との間の前記貫通部内を前記軸体が摺動し且つ回動する。
【0016】
切換え部材が、底部に沿って水平に移動するとともに回動する動作で、可動接点と固定接点との接触が切換えられるため、接触の切換えを安定して確実に行うことができる。
【0017】
本発明は、前記切換え部材は、第1の支持部と前記駆動部とが、前記側壁部の対向方向に向けて離れて位置しており、前記切換え部材が初期姿勢のときに、前記ばね部材によって、前記第1の支持部と前記駆動部の双方が前記底部に向けて付勢されているものが好ましい。
【0018】
ばね部材によって第1の支持部と駆動部の双方が下向きに押さえられているため、可動接点を確実に駆動できるとともに、操作力を解除したときに切換え部材が初期姿勢に復帰しやすくなる。
【0019】
本発明は、2つの前記操作部が、前記操作空間の内部で、2つの前記側壁部の対向方向に間隔を空けて配置されているものである。
【0020】
また、操作部材に設けられた切換え押圧部が2つの前記操作部の間に位置し、前記操作空間内で前記切換え押圧部が一方向へ移動すると一方の前記切換え部材が切換え姿勢へ向けて移動させられ、他方向へ移動すると他方の前記切換え部材が切換え姿勢へ向けて移動させられるものである。
【0021】
本発明は、前記蓋体の前記挟持片からカバー部が折り曲げられており、前記カバー部が、操作空間に位置する前記操作部に上方から対向しているものとして構成できる。
【0022】
上記カバー部を設けることで、収納室へのゴミや埃や水分の侵入をさらに阻止しやすくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の切換え装置は、収納室と操作空間との間の貫通部が、底部と平行に延び、従来のように上下に延びるものではないため、2つの収納室にゴミや埃または水分が侵入しにくくなる。
【0024】
また、可動接点を比較的低負荷で確実に動作させることができ、切換え部材を初期姿勢へ復帰させることも容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に、本発明の実施の形態の切換え装置10と操作部材1とが組み合わされた構造が示されている。操作部材1は、車載用パワーウインドウ装置の開閉操作のためのものである。また切換え装置10は、車載用パワーウインドウ装置以外の各種電装設備の検知スイッチや切換えスイッチとして使用することが可能である。
【0027】
図2以下に示す切換え装置10は、X方向が前後方向、Y方向が左右方向、Z方向が上下方向である。
【0028】
切換え装置10はケース11を有している。ケース11は絶縁性の合成樹脂材料で射出成形されている。
【0029】
図4と
図5に示すように、ケース11は底部12を有している。
図3に示すように、ケース11には、底部12から垂直に立ち上がる第1の内壁部13aならびに第2の内壁部13bと、第1の外壁部14aならびに第2の外壁部14b、さらに側壁部15aと側壁部15bが一体に形成されている。
【0030】
第1の内壁部13aと第2の内壁部13bは前後方向(X方向)に対向し、第1の外壁部14aは第1の内壁部13aの前後方向の外側に対向し、第2の外壁部14bは第2の内壁部13bの前後方向の外側に対向している。側壁部15a,15bは、前記内壁部ならびに外壁部と直交する向きに形成され、左右方向(Y方向)に間隔を空けて対向している。
【0031】
ケース11には、第1の内壁部13aと第1の外壁部14aならびに側壁部15a,15bとで囲まれて下部が底部12で塞がれた第1の収納室S1が形成されている。また、第2の内壁部13bと第2の外壁部14bならびに側壁部15a,15bとで囲まれて下部が底部12で塞がれた第2の収納室S2が形成されている。第1の収納室S1と第2の収納室S2は、共に上方が解放された開口部となっている。
【0032】
ケース11には、第1の内壁部13aと第2の内壁部13bとの間に操作空間S3が形成されている。操作空間S3は、左右方向(Y方向)へ細長い空間である。
図2と
図3に示す実施の形態では、操作空間S3の左右方向の両側部が側壁部15a,15bで塞がれているが、操作空間S3が側壁部15a,15bで塞がれておらず、左右方向(Y方向)に解放されていてもよい。
【0033】
図2と
図3に、底部12の中心から垂直に上下方向(Z方向)に延びるケース中心線O0が示されている。ケース11は、ケース中心線O0を中心として180度回転させた形状と一致する。すなわち、第1の収納室S1と第2の収納室S2の構造と寸法、ならびに操作空間S3の構造と寸法は、ケース中心線O0に対して180度の回転対称である。
【0034】
図3に示すように、第1の内壁部13aに第1の凹部16aが形成され第2の内壁部13bに第2の凹部16bが形成されている。第1の凹部16aは第1の内壁部13aを前後方向(X方向)に貫通し、第2の凹部16bは第2の内壁部13bを前後方向(X方向)に貫通している。
図4に示すように、第1の凹部16aの下縁部17aは、底部13よりも上方に位置しており、
図3に示すように、第2の凹部16bの下縁部17bも、底部13よりも上方に位置している。下縁部17aと下縁部17bは、底部12と平行で左右方向(Y方向)に延びている。
【0035】
図3に示すように、第1の凹部16aの幅方向の中心は、ケース中心線O0よりも側壁部15aに近い位置にあり、第2の凹部16bの幅方向の中心は、ケース中心線O0よりも側壁部15bに近い位置にある。
【0036】
図3と
図4に示すように、第1の外壁部14aの第1の収納室S1に面する内面には、対向支持部18aが形成されている。対向支持部18aは、第1の外壁部14aの内面から隆起する段差部であり、第1の凹部16aに対向して、左右方向(Y方向)に同じ高さで延びている。同様に、第2の外壁部14bの内面にも、第2の凹部16bに対向する対向支持部18b(図には現れていない)が示されている。
【0037】
図3に示すように、第1の収納室S1では、第1の外壁部14aの内面に、ばね規制部21aとばね規制部22aが形成されている。ばね規制部21a,22aは、第1の外壁部14aの内面から隆起する段差部である。第1の内壁部13aの第1の収納室S1に面する内面にも、ばね規制部22aに対向するばね規制部が形成されている。同様に、第2の収納室S2においても、第2の外壁部14bの内側に2つのばね規制部が左右方向(Y方向)に間隔を空けて形成されている。
図3に現れているように、第2の内壁部13bの内面に、ばね規制部22bが形成されている。
【0038】
図6は
図2のVI−VI線の断面図であり、第2の収納室S2の内部構造が示されている。第2の収納室S2では、底部12に3個の固定接点が固定されて設けられている。左右方向(Y方向)の中央に第2のコモン固定接点31bが固定され、側壁部15aに近い側に第2の初期接触固定接点32bが固定され、側壁部15bに近い側に第2の切換え固定接点33bが固定されている。
【0039】
第1の収納室S1と第2の収納室S2はケース中心線O0を中心とする回転対称構造である。よって、第1の収納室S1では、中央に第1のコモン固定接点31aが、側壁部15bに近い側に第1の初期接触固定接点32aが固定され、側壁部15aに近い側に第1の切換え固定接点33aが固定されている。
図4には、第1のコモン固定接点31aと第1の切換え固定接点33aが現れている。
【0040】
図6に示すように、第2の収納室S2に可動接点35が収納されている。可動接点35は銅板などの導電性板材で形成されている。第2の収納室S2に収納されている可動接点35は、第2の初期接触固定接点32bに対向する初期接触片35aと、第2の切換え固定接点33bに対向する切換え接触片35bを有し、その中間に乗り上げ部35cが上向きに突出して形成されている。乗り上げ部35cは、第2のコモン固定接点31bと第2の切換え固定接点33bとの間でその上方に位置している。
【0041】
第1の収納室S1にも第2の収納室S2と同じ可動接点35が収納されている。第1の収納室S1に収納された可動接点35は、第2の収納室S2に収納された可動接点35と左右方向(Y方向)の向きが逆に配置されている。第1の収納室S1に収納された可動接点35は、初期接触片35aが側壁部15bに向けられ、切換え接触片35bが側壁部15aに向けられている。
【0042】
図3に示すように、ケース11の第1の収納室S1に第1の切換え部材40aが収納され、第2の収納室S2に第2の切換え部材40bが収納される。第1の切換え部材40aと第2の切換え部材40bは合成樹脂材料で形成されて、同じ構造で同じ寸法を有しているが、ケース11への組み込み姿勢が、ケース中心線O0に対して180度の回転対称である。そこで、以下では、第1の切換え部材40aと第2の切換え部材40bについて、異なる符号を付して説明する。
【0043】
図3に示すように、第1の切換え部材40aは、軸体41と可動部42と、軸体41と可動部42とを連結する連結部43とが一体に形成されている。軸体41と可動部42は、左右方向(Y方向)に間隔を空けて配置されている。軸体41は均一な直径の円形断面を有している。
【0044】
軸体41は、第1の凹部16aに支持される部分が支持部41aであり、支持部41aよりも先側の端部に操作部41cが形成されている。
図4に示すように、軸体41の操作部41cと逆側の端部に支持部41bが形成されている。可動部42の下部に駆動部42aが下向きに突出しており、可動部42の上面が加圧部42bとなっている。
【0045】
同様に、第2の切換え部材40bは、軸体41と可動部42ならびに連結部43が一体に形成され、軸体41に第1の支持部41aと第2の支持部41bならびに操作部41cが形成され、可動部42に駆動部42aと加圧部42bが形成されている。
【0046】
図3に示すように、第1の収納室S1と第2の収納室S2に、同じ構造で同じ寸法のばね部材55が上方から装着される。それぞれのばね部材55は板ばね材料で形成されたものであり、押圧弾性片56と、押圧弾性片56の左右方向の端部から上向きに曲げられた支持弾性片57,57とが一体に形成されている。
【0047】
図4に示すように、第1の収納室S1の上方の開口部が第1の蓋体60aで塞がれ、第2の収納室S2の上方の開口部が第2の蓋体60bで塞がれる。第1の蓋体60aと第2の蓋体60bは、同じ構造で同じ寸法のものであるが、ケース中心線O0を中心とする回転対称の向きで使用されている。
【0048】
図3に示すように、第1の蓋体60aと第2の蓋体60bは、板ばね材料を折り曲げて形成されている。それぞれの蓋体60a,60bには、内側挟持片61と外側挟持片62が下向きでほぼ直角に折り曲げられている。内側挟持片61と外側挟持片62は、前後方向(X方向)に間隔を空けて対向している。内側挟持片61には、下向きに解放された切欠き部61aが形成され、切欠き部61aの上縁部の一部から板ばね材料がほぼ垂直に折り曲げられてカバー部61bが形成されている。
【0049】
それぞれの蓋体60a,60bには、左右方向(Y方向)で対向する側部挟持片63,63が折り曲げられている。側部挟持片63,63のそれぞれには掛止穴63a,63aが開口している。
図3に示すように、ケース11の側壁部15a,15bの外面に、前記掛止穴63a,63aに対向する掛止突起15c,15cが一体に形成されている。
【0050】
上記各部材から構成される切換え装置10は、以下のように組み立てられる。
【0051】
第1の収納室S1と第2の収納室S2に可動接点35,35が収納された後に、第1の切換え部材40aと第2の切換え部材40bが、ケース11に対して上方から下向きに装着される。
【0052】
図4と
図5には、ケース11に第1の切換え部材40aが装着された状態が示されている。第1の切換え部材40aの軸体41の中腹部を意味している第1の支持部41aは、第1の内壁部13aに形成された第1の凹部16aの内部に挿入され、軸体41の一方の端面に形成された第2の支持部41bは、第1の外壁部14aの内面に形成された段差部である対向支持部18aに支持されている。第1の切換え部材40aの駆動部42aは、第1の収納室S1の内部に挿入され、軸体41の先部である操作部41cが、ケース11の操作空間S3の内部に位置している。
【0053】
同様にして、第2の切換え部材40bがケース11に装着されると、第1の支持部41aが第2の凹部16bに挿入され、第2の支持部41bが、第2の外壁部14bの内面に形成された対向支持部に支持される。そして、駆動部42aが第2の収納室S2の内部に配置され、操作部41cが操作空間S3に位置する。
【0054】
ケース11の第1の収納室S1と第2の収納室S2のそれぞれに、可動接点35と第1の切換え部材40aならびに第2の切換え部材40bが装着された後に、第1の収納室S1と第2の収納室S2にばね部材55,55が挿入される。そして、第1の収納室S1の上方の開口部に第1の蓋体60aが装着され、第2の収納室S2の上方の開口部に第2の蓋体60bが装着される。
【0055】
図4に示すように、第1の蓋体60aの内側挟持片61は、ケース11の第1の内壁部13aの操作空間S3に面する外面に弾圧され、外側挟持片62は第1の外壁部14aの外面に弾圧される。
図5と
図6などに示すように、側部挟持片63,63が側壁部15a,15bの外面に装着され、側部挟持片63,63のそれぞれに形成された掛止穴63a,63aが、側壁部15a,15bのそれぞれに形成された掛止突起15c,15cに掛止されて、第1の蓋体60aが固定される。
【0056】
同様に、第2の蓋体60bの内側挟持片61が、第2の内壁部13bの外面に、外側挟持片62が第2の外壁部14bの外面に弾圧される。また、側部挟持片63,63が側壁部15a,15bの外面に弾圧され、掛止穴63a,63aが掛止突起15c,15cに掛止される。
【0057】
図4と
図5に示すように、第1の蓋体60aの内側挟持片61が、第1の内壁部13aの外面に装着されると、第1の内壁部13aに形成された第1の凹部16aの下縁部17aと内側挟持片61の切欠き部61aとの間に、貫通部65が形成され、第1の収納室S1と操作空間S3が連通部65を介して連通される。第1の切換え部材40aが装着された状態では、軸体41の一部である第1の支持部41aが貫通部65の内部に位置している。
【0058】
図5は、
図2のV−V線の断面図であり、操作空間S3に第1の内壁部13aの外面が現れている。
図5に示すように、貫通部65は、底部12に沿って、左右方向(Y方向)に細長く形成されている。貫通部65の上下の開口幅寸法Hは、第1の切換え部材40aの軸体41の直径Dよりもやや広く形成されている。
【0059】
同様に、第2の内壁部13bに形成された第2の凹部16bの下縁部17bと、第2の蓋体60bの切欠き部61aとの間に貫通部65が形成され、第2の切換え部材40bの第1の支持部41aはこの貫通部65の内部に位置している。
図1と
図5に示すように、第1の切換え部材40aの操作部41cと第2の切換え部材40bの操作部41cは、ケース11の操作空間S3の内部において、左右方向(Y方向)に間隔を空けて対向している。
【0060】
図6に示すように、第2の収納室S2に第2の蓋体60bが装着されると、第2の蓋体60bの内面によって、ばね部材55の一対の支持弾性片57,57が下向きに押されて変形させられる。
図6に示すように、第2の切換え部材40bが初期姿勢のとき、押圧弾性片56が、軸体41と可動部42の加圧部42bの双方に当たって、第2の切換え部材40bが下向きに付勢される。
【0061】
押圧弾性片56によって軸体41が下向きに付勢されているために、軸体41の一部である第1の支持部41aが、第2の凹部16bの下縁部17bに押し付けられている。また、押圧弾性片56が可動部42の加圧部42bを下方に付勢しているために、駆動部42aが可動接点35に加圧されている。
【0062】
図6に示すように、第2の切換え部材40bの操作部41cに操作力が与えられていない初期状態では、第2の切換え部材40bの駆動部42aが、可動接点35の乗り上げ部35cよりも図示左側に位置し、第2のコモン固定接点31bと第2の初期接触固定接点32bとの間で、駆動部42aが可動接点35を下向きに押圧している。よって、可動接点35の初期接触片35aが第2の初期接触固定接点32bに接触している。
【0063】
図6に示すように、駆動部42aが乗り上げ部35cの左側で姿勢が安定しているため、初期姿勢での第2の切換え部材40bは、第2の収納室S2内で図示左側に移動しており、軸体41の第1の支持部41aが、貫通部65の図示左側の端部に移動している。
【0064】
一方、第1の収納室S1の内部では、第1の切換え部材40aが初期姿勢のときに、駆動部42aが乗り上げ部35cよりも図示右側に位置して可動接点35を下向きに押圧している。第1の切換え部材40aは図示右側へ移動しており、軸体41の第1の支持部41aが、第1の凹部16aと第1の蓋体60aの内側挟持片61との間に形成された貫通部65の内部において図示右側(側壁部15bに近い側)に移動している。
【0065】
図3に示すように、ケース11の第1の収納室S1と第2の収納室S2の内部では、外壁部14a,14bの内面と内壁部13a,13bの内面にばね規制部21a,22a,22bが形成されている。これらばね規制部は、ばね部材55の押圧弾性片56の下側に対向している。互いに独立した状態で収納室S1,S2内に収納されているばね部材55,55の下方向への移動がばね規制部で規制されるため、ばね部材55が収納室S1,S2内で不用意に倒れることなく、切換え部材40a,40bに下向きの加圧力を安定して与えることができる。
【0066】
図1に示すように、車載用パワーウインドウ装置などの電装設備では、切換え装置10のケース11が基台2上に固定され、コモン固定接点31a,31bと初期接触固定接点32a,32bならびに切換え固定接点33a,33bが、基台2上の回路パターンにハンダ付けされて接続されている。
【0067】
操作部材1は支持軸3に回動自在に支持されている。操作部材1の下端部に切換え押圧部4が一体に形成されており、切換え押圧部4が、第1の蓋体60aと第2の蓋体60bとの間から、ケース11の操作空間S3内に入り込んでおり、
図1と
図4ならびに
図5に示すように、切換え押圧部4が第1の切換え部材40aの操作部41cと第2の切換え部材40bの操作部41cとの間に位置している。
【0068】
操作部材1が
図1において実線で示す中立姿勢のとき、
図6に示すように、ケース11の第2の収納室S2では、第2の切換え部材40bが初期姿勢であり、可動接点35の初期接触片35aが第2の初期接触固定接点32bと接触している。第1の収納室S1では、第1の切換え部材40aが初期姿勢であり、可動接点35の初期接触片35aが、第1の初期接触固定接点32aに接触している。
【0069】
操作部材1が
図1においてα1方向へ倒されると、切換え押圧部4によって、第2の切換え部材40bの操作部41cが
図1と
図7の図示右方向であるα2方向へ押され、第2の切換え部材40bの第1の支持部41aが、貫通部65内をα2方向へ移動させられる。第1の支持部41aが第2の凹部16bの下縁部17bに加圧されているため、第2の切換え部材40bの軸体41は、下縁部17bに沿って、底部12と平行に図示右側へ移動させられる。
【0070】
図7に示すように、軸体41がα2方向へ移動するときに、駆動部42aが可動接点35の乗り上げ部35cに乗り上がるために、第2の切換え部材40bは、α2方向へ移動すると同時に軸体41を支点として時計方向へ回動させられて、
図7に示す切換え姿勢となる。このとき、可動接点35が第2のコモン固定接点31bとの接触部を支点として時計方向へ回動し、切換え接触片35bが第2の切換え固定接点33bと接触する。
【0071】
図7に示すように、第2の切換え部材40bが切換え姿勢になると、加圧部42bによってばね部材55の押圧弾性片56が上向きに押され、押圧弾性片56から可動部42に対して下向きの大きな復帰力が与えられる。よって、操作部材1への操作力が解除されると、
図6に示すように第2の切換え部材40bが初期姿勢に復帰する。
【0072】
図1において、操作部材1が時計方向(β1方向)へ倒されると、第1の切換え部材40aの操作部41cがβ2方向へ押され、第1の収納室S1で、第1の切換え部材40aがβ2方向へ移動させられるとともに反時計方向へ回動させられ、可動接点35の切換え接触片35bが第1の切換え固定接点33aに接触させられる。そして、操作部材1への操作力が解除されると、第1の切換え部材40aが初期姿勢に復帰する。
【0073】
この切換え装置1では、操作部材1が操作されたときに、その回動力で切換え部材40a,40bの軸体41,41が貫通部65に沿って左右方向(Y方向)へのみ移動させられる。そのため、操作部材1から切換え部材40a,40bへの力の伝達効率がよくなり、第1の切換え部材40aと第2の切換え部材40bを低負荷で動作させて、可動接点の接触状態を切換えることが可能である。
【0074】
また、ケース11の第1の収納室S1と第2の収納室S2の上方の開口部が、第1の蓋体60aと第2の蓋体60bとで個別に閉鎖させるため、蓋体に上方向に向けられる穴を形成する必要がなくなり、第1の収納室S1と第2の収納室S2にゴミや埃または水分などが入りにくくなる。第1の内壁部13aと第2の内壁部13bにそれぞれ貫通部65が形成されているが、この貫通部65は、それぞれの凹部16a,16bと蓋体60a,60bの内側挟持片61,61との間に形成されて、左右方向(Y方向)へ延びているため、従来のように貫通部65を上下に長く形成する必要がない。そのため、貫通部65と第1の支持部41aとの隙間から収納室S1,S2にゴミや埃または水分などが入りにくい。
【0075】
図5に示すように、それぞれの貫通部65の上には、蓋体60a,60bの内側挟持片61,61から折り曲げられたカバー部61b,61bが位置し、このカバー部61b,61bが操作部41c,41cの移動領域を上方から覆っているので、上方から貫通部65にゴミや埃または水分などが入り込むのを防止しやすい。
【0076】
なお、前記実施の形態では、蓋体60a,60bの内側挟持片61,61に切欠き部61a,61が形成され、内壁部13a,13bの凹部16a,16bと切欠き部61a,61aとの間に貫通部65,65が形成されているが、切欠き部61a,61aを設けずに、凹部16a,16bと内側挟持片61,61の下縁との間に貫通部65,65が形成されていてもよい。