特許第6117626号(P6117626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6117626媒体供給システムにおいてカット媒体を選択的に送る空気圧バッフル用の方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117626
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】媒体供給システムにおいてカット媒体を選択的に送る空気圧バッフル用の方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/60 20060101AFI20170410BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B65H29/60 G
   B65H5/22 A
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-121299(P2013-121299)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-5151(P2014-5151A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】13/529,450
(32)【優先日】2012年6月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ・ハーマン
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−202968(JP,A)
【文献】 米国特許第03030979(US,A)
【文献】 米国特許第03552415(US,A)
【文献】 米国特許第04029127(US,A)
【文献】 米国特許第04736942(US,A)
【文献】 米国特許第03844189(US,A)
【文献】 特表2002−523709(JP,A)
【文献】 特開平01−308355(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0021665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/22
B65H 29/58−29/62
B41J 13/00−13/32
G03G 15/00
F15C 1/00− 7/00
F15D 1/00−14/00
B03B 1/00−13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体供給システムにおいてカット媒体を送る装置であって、
入力媒体経路と、
第1出力媒体経路と、
第2出力媒体経路と、
前記入力媒体経路と前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体経路との間に位置決めされた第1湾曲バッフルと、
前記入力媒体経路と前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体経路との間に位置決めされた第2湾曲バッフルと、
前記入力媒体経路に沿う方向に空気を送り、前記第1湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された第1空気入力と、
前記入力媒体経路に沿う方向に空気を送り、前記第2湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された第2空気入力と、
オン状態にあるときに前記第1空気入力に空気を流れ込ませるように構成された第1空気入力デバイスと、
オン状態にあるときに前記第2空気入力に空気を流れ込ませるように構成された第2空気入力デバイスと、
を備え、
前記第1湾曲バッフルと前記第2湾曲バッフルは、互いに対向し、相手に向けて凸状に湾曲し、
前記第1空気入力デバイスがオン状態にあるときに前記第1空気入力を通して供給される空気によって、前記第1湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記第1湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せることで、前記入力媒体経路から前記第1出力媒体経路へ前記カット媒体を供給し、
前記第2空気入力デバイスがオン状態にあるときに前記第2空気入力を通して供給される空気によって、前記第2湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記第2湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せることで、前記入力媒体経路から前記第2出力媒体経路へ前記カット媒体を供給し、
制御部が前記第1空気入力デバイスおよび前記第2空気入力デバイスを制御し前記カット媒体が出力される経路を前記第1出力媒体経路と前記第2出力媒体経路の一方に選択的に決定する、装置。
【請求項2】
媒体供給システムにおいてカット媒体を送る装置であって、
入力媒体経路と、
第1出力媒体経路と、
第2出力媒体経路と、
前記入力媒体経路と前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体経路との間に位置決めされた湾曲バッフルと、
前記湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された空気入力と、
オン状態にあるときに前記空気入力に空気を流れ込ませるように構成された空気入力デバイスと、
を備え、
前記湾曲バッフルは、前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体に向けて凸状に湾曲し、重力方向に関して前記入力媒体経路の上方に位置決めされ、
前記空気入力デバイスがオン状態にあるときに、前記空気入力を通して供給される空気によって、前記湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せることで、前記入力媒体経路から前記第1出力媒体経路へ前記カット媒体を供給し、
前記空気入力デバイスがオフ状態にあるときに、前記湾曲バッフルから離れる方へ前記カット媒体を下降させることで、前記入力媒体経路から前記第2出力媒体経路へ前記カット媒体を供給し、
制御部が前記空気入力デバイスを制御し前記カット媒体が出力される経路を前記第1出力媒体経路と前記第2出力媒体経路の一方に選択的に決定する、装置。
【請求項3】
媒体供給システムにおいてカット媒体を送る装置であって、
入力媒体経路と、
第1出力媒体経路と、
第2出力媒体経路と、
前記入力媒体経路と前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体経路との間に位置決めされた湾曲バッフルと、
前記湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された空気入力と、
オン状態にあるときに前記空気入力に空気を流れ込ませるように構成された空気入力デバイスと、
を備え、
前記湾曲バッフルは、前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体に向けて凸状に湾曲し、重力方向に関して前記入力媒体経路の下方に位置決めされ、
前記空気入力デバイスがオン状態にあるときに、前記空気入力を通して供給される空気によって、前記湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せることで、前記入力媒体経路から前記第2出力媒体経路へ前記カット媒体を供給し、
前記空気入力デバイスがオフ状態にあるときに、前記入力媒体経路から前記第1出力媒体経路へ前記カット媒体を供給し、
制御部が前記空気入力デバイスを制御し前記カット媒体が出力される経路を前記第1出力媒体経路と前記第2出力媒体経路の一方に選択的に決定する、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
第1入力媒体バッフルと第2入力媒体バッフルとを備え、
前記第2入力媒体バッフルは、前記第1入力媒体バッフルとの間のスペース内に前記入力媒体経路を形成するように位置決めされ、
前記装置はさらに、前記第1湾曲バッフルを含む第1方向転換チャンバ壁を備え、前記第1方向転換チャンバ壁は、前記第1入力媒体バッフルとの間に前記第1空気入力を形成するように位置決めされ、
前記装置はさらに、前記第2湾曲バッフルを含む第2方向転換チャンバ壁を備え、前記第2方向転換チャンバ壁は、前記第2入力媒体バッフルとの間に前記第2空気入力を形成するように位置決めされる、
装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の装置であって、
第1入力媒体バッフルと第2入力媒体バッフルとを備え、
前記第2入力媒体バッフルは、前記第1入力媒体バッフルとの間のスペース内に前記入力媒体経路を形成するように位置決めされ、
前記装置はさらに、前記湾曲バッフルを含む方向転換チャンバ壁を備え、前記方向転換チャンバ壁は、前記第1入力媒体バッフルとの間に前記空気入力を形成するように位置決めされる、装置。
【請求項6】
前記第1空気入力を通して供給される空気によって形成された空気層は、前記カット媒体が前記第1湾曲バッフルの表面に接することを防止し、前記第2空気入力を通して供給される空気によって形成された空気層は、前記カット媒体が前記第2湾曲バッフルの表面に接することを防止する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記空気入力を通して供給される空気によって形成された空気層は、前記カット媒体が前記湾曲バッフルの表面に接することを防止する、請求項2または3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体経路の少なくとも一部を形成するように構成された少なくとも1つの出口バッフルをさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの出口バッフルはv字形をしている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
媒体供給システムにおいてカット媒体を送る方法であって、
入力媒体経路を通してカット媒体を供給させるステップと、
前記入力媒体経路に沿う方向に空気を送るように構成された第1空気入力であって、さらに前記入力媒体経路と第1出力媒体経路および第2出力媒体経路との間に位置決めされた凸状に湾曲した第1湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された第1空気入力を通して、空気を供給させるステップと、
前記入力媒体経路に沿う方向に空気を送るように構成された第2空気入力であって、さらに前記入力媒体経路と前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体との間に位置決めされ、前記第1湾曲バッフルの凸状の湾曲に対向するよう凸状に湾曲した第2湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された第2空気入力を通して、空気を供給させるステップと、
前記第1空気入力に空気を流れ込ませるように構成された第1空気入力デバイスがオン状態にあるとき、前記第1空気入力を通して供給される空気によって、前記第1湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記第1湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せて、前記入力媒体経路から前記第1出力媒体経路へ前記カット媒体を供給させるステップと、
前記第2空気入力に空気を流れ込ませるように構成された第2空気入力デバイスがオン状態にあるとき、前記第2空気入力を通して供給される空気によって、前記第2湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記第2湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せて、前記入力媒体経路から前記第2出力媒体経路へ前記カット媒体を供給させるステップと、
前記第1空気入力デバイスおよび第2空気入力デバイスを選択的に動作させ前記カット媒体が出力される経路を前記第1出力媒体経路と前記第2出力媒体経路の一方に決定させるステップと、
を含む方法。
【請求項11】
媒体供給システムにおいてカット媒体を送る方法であって、
入力媒体経路を通してカット媒体を供給させるステップと、
前記入力媒体経路と第1出力媒体経路および第2出力媒体経路との間に重力方向に関して前記入力媒体経路の上方に位置決めされた凸状の湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された空気入力を通して、空気を供給させるステップと、
前記空気入力に空気を流れ込ませるように構成された空気入力デバイスがオン状態にあるとき、前記空気入力を通して供給される空気によって、前記湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せて、前記入力媒体経路から前記第1出力媒体経路へ前記カット媒体を供給させるステップと、
前記空気入力デバイスがオフ状態にあるとき、前記湾曲バッフルから離れる方へ前記カット媒体を下降させて、前記入力媒体経路から前記第2出力媒体経路へ前記カット媒体を供給させるステップと、
前記空気入力デバイスのオン状態とオフ状態を選択して前記カット媒体が出力される経路を前記第1出力媒体経路と前記第2出力媒体経路の一方に決定させるステップと、
を含む方法。
【請求項12】
媒体供給システムにおいてカット媒体を送る方法であって、
入力媒体経路を通してカット媒体を供給させるステップと、
前記入力媒体経路と第1出力媒体経路および第2出力媒体経路との間に重力方向に関して前記入力媒体経路の下方に位置決めされた凸状の湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された空気入力を通して、空気を供給させるステップと、
前記空気入力に空気を流れ込ませるように構成された空気入力デバイスがオン状態にあるとき、前記空気入力を通して供給される空気によって、前記湾曲バッフルの凸形状の頂部と前記入力媒体経路を通して供給された前記カット媒体との間の絞られた流路に低圧領域を形成して前記湾曲バッフルに向かう方へ前記カット媒体を引き寄せて、前記入力媒体経路から前記第2出力媒体経路へ前記カット媒体を供給させるステップと、
前記空気入力デバイスがオフ状態にあるとき、前記入力媒体経路から前記第1出力媒体経路へ前記カット媒体を供給させるステップと、
前記空気入力デバイスのオン状態とオフ状態を選択して前記カット媒体が出力される経路を前記第1出力媒体経路と前記第2出力媒体経路の一方に決定させるステップと、
を含む方法。
【請求項13】
第1入力媒体バッフルおよび第2入力媒体バッフルが、当該第1入力媒体バッフルと当該第2入力媒体バッフルの間のスペース内に、前記入力媒体経路を形成するように位置決めされ、前記第1湾曲バッフルを含む第1方向転換チャンバ壁が、前記第1入力媒体バッフルとの間に前記第1空気入力を形成するように位置決めされ、前記第2湾曲バッフルを含む第2方向転換チャンバ壁が、前記第2入力媒体バッフルとの間に前記第2空気入力を形成するように位置決めされる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第1入力媒体バッフルおよび第2入力媒体バッフルが、当該第1入力媒体バッフルと当該第2入力媒体バッフルの間のスペース内に、前記入力媒体経路を形成するように位置決めされ、前記湾曲バッフルを含む方向転換チャンバ壁が、前記第1入力媒体バッフルと前記方向転換チャンバ壁の間に前記空気入力を形成するように位置決めされる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1空気入力を通して供給される空気により形成される空気層が、前記カット媒体が前記第1湾曲バッフルの表面に接することを防止し、前記第2空気入力を通して供給される空気により形成される空気層が、前記カット媒体が前記第2湾曲バッフルの表面に接することを防止する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記空気入力を通して供給される空気により形成される空気層が、前記カット媒体が前記湾曲バッフルの表面に接することを防止する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの出口バッフルが、前記第1出力媒体経路および前記第2出力媒体経路のうちの少なくとも一部を形成するように構成される、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの出口バッフルが、v字形をしている、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体供給(給紙)システムにおいて空気圧バッフル(バッフル=調整板)によってカット媒体を選択的に送るための、印刷および/またはコピーに有用な装置、方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタシステムおよび/またはコピー機システムは、しばしば、両面印刷機能および/または両面反転機能を有し、両面シート媒体または両面カット媒体の両面に、1つ以上の画像を印刷しまたはコピーすることを可能にする。両面の使用を可能にするために、種々のバッフルシステム内へカット媒体を送ることがしばしば必要になる。媒体は、従来、機械式方向転換器(方向転換器=ダイバータ)ゲートによって、選択されたバッフルシステム内へ送られる。例えばカット媒体の先頭エッジを、選択されたバッフルシステムへ方向転換するために、従来の機械式方向転換器ゲートが作動され、到来する媒体の経路内へ裏返される。従来の両面印刷システムは、しばしば2つの経路を有し、1つは両面経路または反転経路へ媒体を戻すための経路であり、1つは別の処理ステップへ媒体を出力するまたは最終仕上げを行うための経路である。選択されたバッフルシステムにおいて、シート媒体は、例えば両面経路もしくは反転経路、または出力経路の中を駆動することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の機械式方向転換器ゲートは、しばしば媒体と接触して、選択されたバッフルシステムへ媒体を方向転換する。さらに加えて、従来の機械式方向転換器ゲートは、媒体と接触することによって、途切れのないプロセス経路を確実にする。従来の方向転換(ダイバージョン)システムにおいて、プリンタ経路の内部におけるバッフルシステムまたは駆動システム内で途切れが起こると、インク画像に圧力がかかり、画像に跡が付くことになる。しかし、この接触が原因で、従来の機械式方向転換器ゲートは、しばしば画像に跡が付く圧力ポイントを生み出し、それによって、機械式方向転換器ゲートを通して媒体を供給しながらこするために、画像にダメージを与えることになる。さらに、従来の機械式方向転換器ゲートは、任意のこすりが原因で、または例えば本システム内に予想外のリップ(縁)をもたらす、機械式方向転換器ゲートの不整列が原因で、媒体の先頭エッジ、または媒体上の任意のコーティングにもダメージを与えることがある。
【0004】
したがって、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送るアプローチの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいてカット媒体を送る装置は、入力媒体経路を含む。同装置は、第1出力媒体経路も含む。同装置は、第2出力媒体経路をさらに含む。同装置は、入力媒体経路と少なくとも第1出力媒体経路との間に位置決めされた湾曲バッフルをさらに加えて含む。同装置は、湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された空気入力も含む。空気入力を通して供給される空気と湾曲バッフルの間の相互作用は、少なくとも部分的に、第1出力媒体経路および第2出力媒体経路のうちの1つを、入力媒体経路を通して供給された媒体に選択させる。
【0006】
別の一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいてカット媒体を送る方法は、少なくとも部分的に、入力媒体経路を通して媒体を供給させるステップを含む。本方法は、少なくとも部分的に、入力媒体経路と少なくとも第1出力媒体経路との間に位置決めされた湾曲バッフルに沿って空気を入力するように構成された空気入力を通して、空気を供給させるステップも含む。本方法は、少なくとも部分的に、空気入力を通して供給される空気と湾曲バッフルの間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、第1出力媒体経路および第2出力媒体経路のうちの1つを媒体に選択させるステップをさらに含む。
【0007】
本発明の実施の形態は、添付の図面に、例としてかつ限定する目的ではなく図示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送ることができるシステムの図である。
図2図2は、一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送ることができるシステムの図である。
図3図3は、一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送るプロセスのフローチャートである。
図4図4は、一実施の形態を実装するのに用いることができるチップセットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される、用語「媒体」は、紙、ポリマー、金属などのうちの1つ以上を含む任意の両面基板を指す。媒体は、カットすることができ、または任意の形状もしくはサイズのシートにすることができる。
【0010】
図1は、一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送ることができるシステムの図である。
【0011】
プリンタシステムおよび/またはコピー機システムは、しばしば、両面印刷機能および/または両面反転機能を有し、両面シート媒体または両面カット媒体の両面に、1つ以上の画像を印刷しまたはコピーすることを可能にする。両面の使用を可能にするために、種々のバッフルシステム内へカット媒体を送ることがしばしば必要になる。媒体は、従来、機械式方向転換器ゲートによって、選択されたバッフルシステム内へ送られる。従来の両面印刷システムは、しばしば2つの経路を有し、1つは両面経路または反転経路へ媒体を戻すための経路であり、1つは印刷された媒体を出力するための経路である。選択されたバッフルシステムにおいて、媒体は、例えば両面経路もしくは反転経路、または出力経路の中を駆動することができる。
【0012】
従来の機械式方向転換器ゲートは、媒体と接触して、選択されたバッフルシステムへ媒体を方向転換する。これにより、特に固体インク印刷の場合には、カット媒体の印刷される面が、跡を付けるリスクにさらされる。例えば固体インクシステムにおいて、インクは、バッフルシステムまたは駆動システムの構成要素と接触するたびに、ダメージを受けやすい。残念ながら、従来の機械式方向転換器ゲートは、媒体と接触することによって、途切れのないプロセス経路を確実にする。例えば、シート媒体の先頭エッジを、選択されたバッフルシステムへ方向転換するために、従来の機械式方向転換器ゲートが作動され、到来する媒体の経路内へ裏返される。
【0013】
従来の方向転換システムにおいて、プリンタ経路の内部におけるバッフルシステムまたは駆動システム内で途切れが起こると、インク画像に圧力がかかり、画像に跡が付くことになる。したがって、従来の機械式方向転換ゲートは、通例、分割され、その結果同ゲートは上流のバッフルと交錯することになる。これにより、多数の「指状突起部」が生み出され、媒体の先頭エッジおよび本体は、例えば方向転換器ゲート全域を移行中に、これらの「指状突起部」に遭遇することになる。
【0014】
しかし、この接触が原因で、従来の機械式方向転換器ゲートは、しばしば画像に跡が付く圧力ポイントを生み出し、それによって、機械式方向転換器ゲートを通して媒体を供給しながらこするために、画像にダメージを与えることになる。さらに、従来の機械式方向転換器ゲートは、任意のこすりが原因で、または従来の方向転換システム内に予想外のリップ(縁)をもたらす、機械式方向転換器ゲートの不整列が原因で、媒体の先頭エッジ、または媒体上の任意のコーティングにもダメージを与えることがある。
【0015】
この問題に対処するために、図1のシステム100は、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送る能力を導入する。種々の実施の形態に従って、システム100は、媒体の1つ以上の表面全域に高速空気を押し込み、選択された下流のバッフルおよび媒体経路に媒体を送る。媒体の全域に押し込まれる高速空気は、いくつかの実施の形態において、ベルヌーイ(Bernoulli)効果およびコアンダ(Coanda)効果のために、選択された経路を媒体に追随させる。言い換えれば、媒体表面全体に移動する空気によってもたらされた圧力差を用いて、および湾曲バッフル表面の周りにおけるその空気の移動を用いて、入力媒体は、入力バッフルから選択された下流のバッフルおよび出力媒体経路へ、どんな機械式ゲートとも接触せずに送ることができる。
【0016】
空気流は、いくつかの機能を実行する。例えば、高速空気は、空気が移動中の媒体面にかかる圧力を低下させることによって、システム100の片側に媒体を引き付ける(すなわち、ベルヌーイ効果)。さらに加えて、移動中の空気によって生み出された境界の空気層は、システム100内の任意のバッフルに関して媒体が有する可能性があるどんな接触リスクも低減し、さらに、媒体とシステム100のバッフルとの間の接触によってもたらされる跡を付ける機会を低減する。さらに、バッフルの湾曲部によって、空気および媒体が、選択されたバッフルおよび下流の出力媒体経路まで、湾曲バッフル表面を追随することが可能になる(すなわち、コアンダ効果)。
【0017】
したがって、システム100は、上述したように、両面印刷を含むことができるさまざまな最終仕上げの目的で、入力経路から、選択された出口バッフル経路へ媒体を送るための種々の媒体の非接触方向制御を可能にする。システム100は、2つの下流の経路のうちの1つに媒体を送る従来の機械式方向転換器ゲートの必要性を排除する。これは、媒体に印刷された画像に跡を付ける機会を低減するだけでなく、故障したり、すり減らしたり、または部品表に種々の部品を追加することによって媒体供給システムのコストを増したりすることもある余分な移動部品を排除することによって、システム100の簡素化もまた行う。
【0018】
図1に示されるように例示的な一実施の形態に従って、システム100は、上側バッフル103と下側バッフル105の間に形成された入力媒体経路101を含む。入力媒体経路は、プロセス方向Aへ媒体107を供給するように構成される。媒体107は、紙製品とすることができまたは例えばポリマーもしくは金属を含むことができる、カット媒体またはシートなどの任意の媒体とすることができる。システム100は、媒体107の供給先である方向転換チャンバ(チャンバ=室)109をさらに含む。媒体方向転換チャンバは、上側チャンバ壁111および下側チャンバ壁113を含む。本実施の形態において、上側チャンバ壁111は上側湾曲バッフル115を含み、下側チャンバ壁113は下側湾曲バッフル117を含む。上側湾曲バッフル115および下側湾曲バッフル117は、本例において方向転換チャンバ109の内部に関して、凸状である。代替策としては、上側湾曲バッフル115および下側湾曲バッフル117は、方向転換チャンバ109の内部に関して、凹状とすることができる。
【0019】
システム100は、上側出力媒体経路121および下側出力媒体経路123をさらに加えて含む。上側出力媒体経路121は、上側チャンバ壁111と上側出口バッフル125の間に形成され、下側出力媒体経路123は、下側チャンバ壁113と下側出口バッフル127の間に形成される。1つ以上の実施の形態において、上側出口バッフル125および下側出口バッフル127は、図1に図示されるように、v字形を形成するように交わることができるが、u字形でもよいし、または完全に分離してもよい。図示されるように、上側湾曲バッフル115および下側湾曲バッフル117は、入力媒体経路101と、上側出力媒体経路121および下側出力媒体経路123のうちの少なくとも1つとの間に位置決めされる。
【0020】
システム100は、上側湾曲バッフル115に沿って空気を入力するように構成された上側空気入力131内へ、空気130を入力するように構成された上側空気入力デバイス129も含む。システム100は、下側湾曲バッフル117に沿って空気を入力するように構成された下側空気入力135内へ、空気を供給する(図2に図示される)ように構成された下側空気入力デバイス133をさらに含む。
【0021】
本例において、システム100は、対称である。対称のバッフルおよび空気システムは、上側空気入力デバイス129または下側空気入力デバイス133のうちの1つを作動することによって、媒体107が、上側出力媒体経路121または下側出力媒体経路123のうちの1つへ送られることを可能にする。媒体107の上側または下側の面に高速空気を加えると、選択された湾曲バッフルへおよび選択された上側出力媒体経路121または下側出力媒体経路123内へ媒体を引き出すことになる。例えば、図1において上側空気入力デバイス129はオン状態にあり、それによって上側出力媒体経路121内へ媒体107を供給させる。
【0022】
上述したように、境界の空気層、例えば入力媒体経路101の2つの面のうちの1つの面上にある、図示されるような空気130は、上側空気入力131または下側空気入力135内へ入力中の高速空気130の方向に媒体107を送る(すなわちベルヌーイ効果)。入力媒体経路101からの媒体の方向転換の方向は、能動型の空気入力デバイスをオフし、かつ他方の空気入力デバイスを作動することによって、スイッチング可能である。本例において、上側空気入力デバイス129はオフされ、下側空気入力デバイス133はオンされて、下側出力媒体経路123へ入力媒体107を送ることができる。次いで、下側空気入力デバイス133はオフされ、上側空気入力デバイス129はオンされて、上側出力媒体経路121内へ媒体107を供給させることができる。言い換えれば、出力媒体経路は、例えば、下流のプロセスを交互に変える必要性に応じて、選択的に制御することができる。代替策としては、上側空気入力デバイス129がオン状態にあるとき、上側出力媒体経路121内へ媒体107を供給させることができるが、一方では、上側空気入力デバイス129がオフ状態にあり、かつ媒体107が下側出力媒体経路123内へ下降することを例えば媒体厚が妨げない場合、下側出力媒体経路123内へ媒体107を下降させることができる。
【0023】
種々の実施の形態に従って、上側空気入力デバイス129および下側空気入力デバイス133は、上側空気入力131および下側空気入力135内へ空気を入力することができる任意の種類のコンプレッサ(圧縮機)、ポンプ、チューブ(管)、ホース、などとすることができる。
【0024】
対称の方向転換システムであるように図示されるが、代替の一実施の形態において、システム100は、下側湾曲バッフル117を欠き、説明された湾曲バッフルのうち、重力方向Bに関して入力媒体経路101の上方に位置決めされた上側湾曲バッフル115だけを含むことができる。したがってシステム100は、本例において、オン状態にあるとき、上側空気入力131に空気を流れ込ませるように構成された上側空気入力デバイスだけを含むことができる。本例において、上側空気入力デバイスがオン状態にあるとき、上側湾曲バッフル115に向かう方へ媒体107を引き出して、入力媒体経路101から上側出力媒体経路121へ媒体107を供給させる。上側空気入力デバイスがオフされる場合、重力のために上側湾曲バッフル115から離れる方へ媒体107を下降させ、入力媒体経路101から下側出力媒体経路123へ媒体107を供給する。
【0025】
代替策としては、システム100は、上側湾曲バッフル115を欠き、その代わりに重力方向Bに関して入力媒体経路101の下方に位置決めされた下側湾曲バッフル117だけを含む。本例において、システム100は、オン状態にあるとき下側空気入力135に空気を流れ込ませるように構成された、説明された空気入力デバイスのうちの下側空気入力デバイス133だけを有することができる。本例において、下側空気入力デバイス133がオン状態にあるとき、下側湾曲バッフル117に向かう方へ媒体107を引き出して、入力媒体経路101から下側出力媒体経路123へ媒体107を供給させる。しかし、本例において、下側空気入力デバイス133がオフ状態にあるとき、入力媒体経路101から上側出力媒体経路121へ媒体107を供給させる。例えば、媒体107の重さが、移動の方向を媒体107に維持させかつ下向きの重力が原因で曲がることがない特定の値である場合、媒体107は、下側出力媒体経路123へ下降するのではなくて、上側出力媒体経路121を継続することができる。
【0026】
例えば、システム100が、上側湾曲バッフル115および下側湾曲バッフル117のうちの1つだけを有する場合、システム100は、例えば、対向する方向転換チャンバ壁111もしくは113、または反対位置の空気入力131もしくは135を含む場合と含まない場合がある。むしろ、システム100は、例えば、出力媒体経路を形成するために必要に応じて、説明された出口バッフルだけを存在している状態にすることができる。
【0027】
上述したように、配列にかかわらず、上側空気入力131および下側空気入力135のうちの1つ以上を通して供給される空気層は、媒体107が、それぞれの湾曲バッフル115、117のうちのいずれかに接することを防止しまたは制限して、任意のバッフル、チャンバ壁と接触することによってもたらされる、または従来の方向転換手段と関連付けられる画像欠陥を防止しまたは低減する。言い換えれば、システム100は、媒体の一面と湾曲バッフルの間に加わる高速空気の薄層を用いて、湾曲バッフルを媒体に追随させる(すなわちコアンダ効果)とともに、湾曲バッフル全域でかつ隣接する出口バッフルおよび出力媒体経路内へ、媒体107を「持ち上げる」または引き出す(すなわちベルヌーイ効果)。
【0028】
図2は、媒体107が下側出力媒体経路123内へ方向転換中である、上述したシステム100の図である。本例において、上側空気入力デバイスはオフ状態にあり、下側空気入力デバイス133はオン状態にある。空気201は、下側空気入力デバイス133によって下側空気入力135へ供給されて、下側湾曲バッフル117に沿って空気を入力する。言い換えれば、システム100は、媒体の一面と湾曲バッフルの間に加わる高速空気の薄層を用いて、湾曲バッフルを媒体に追随させる(すなわちコアンダ効果)とともに、湾曲バッフル全域でかつ隣接する出口バッフルおよび出力媒体経路内へ、媒体107を「持ち上げる」または引き出す(すなわちベルヌーイ効果)。上述したように、入力媒体経路101の下側の面上の境界の空気層は、下側空気入力135内へ入力中の高速空気の方向に媒体107を送る(すなわちベルヌーイ効果)。
【0029】
図3は、一実施の形態に従って、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送るプロセスのフローチャートである。一実施の形態において、システム100は、プロセス300を実行し、かつ例えば、図4に示されるようにプロセッサおよびメモリを含むチップセットに実装された制御モジュールを含むことができる。ステップ301において、システム100は、少なくとも部分的に、入力媒体経路101を通して媒体107を供給させる。次いで、ステップ303において、システム100は、少なくとも部分的に、入力媒体経路101と、上述した上側出力媒体経路121または下側出力媒体経路123などの少なくとも第1出力媒体経路との間に位置決めされた、上述した上側湾曲バッフル115または下側湾曲バッフル117などの湾曲バッフルに沿って、空気を入力するように構成された、上述した上側空気入力131または下側空気入力133などの空気入力を通して、上述した空気130または空気201などの空気を供給させる。次いで、ステップ305において、システム100は、少なくとも部分的に、空気入力を通して供給される空気と湾曲バッフルの間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、上側出力媒体経路121および下側出力媒体経路123のうちの1つを、媒体107に選択させる。
【0030】
例えば、上述したように、実施の形態に依存して、(1)ベルヌーイ効果によって上側湾曲バッフル115または下側湾曲バッフル117のうちの1つに向かう方へ媒体107を引き出させて、コアンダ効果によってそれぞれ上側出力媒体経路121または下側出力媒体経路123内へ媒体107を供給させるか、(2)空気入力デバイスがオフ状態にあるとき、上側湾曲バッフル115から離れる方へ媒体107を下降させて、重力によって下側出力媒体経路内へ媒体107を供給させるか、それとも(3)例えば媒体剛性に基づいて入力媒体経路101から上側出力媒体経路121へ直接に媒体107を供給させるかする。
【0031】
本明細書で説明された、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送るプロセスは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェアおよび/もしくはファームウェアおよび/もしくはハードウェアの組み合わせによって、有利に実装することができる。例えば、本明細書で説明されたプロセスは、プロセッサ、デジタル信号処理(DSP:digital signal processing)チップ、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)などによって、有利に実装することができる。説明された機能を実行するためのこのような典型的なハードウェアが、以下に詳述される。
【0032】
図4は、一実施の形態を実装することができる、チップセットまたはチップ400を図示する。チップセット400は、本明細書で説明したように媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送るようにプログラミングされ、例えば、バス401、プロセッサ403、メモリ405、DSP407およびASIC409などの部品を含むことができる。
【0033】
プロセッサ403およびメモリ405は、1つ以上の物理的なパッケージ(例えばチップ)内に組み込むことができる。例として、物理的パッケージは、構造組立品(例えばベースボード)上の1つ以上の材料、部品、および/または配線から成る配列を含み、物理的強度、サイズの保全、および/または電気的相互作用の制限などの1つ以上の特徴を提供する。一部の実施の形態において、チップセット400は、単一のチップ内に実装できるようにもくろまれる。一部の実施の形態において、チップセットまたはチップ400は、単一の「システムオンチップ」として実装できるようにさらにもくろまれる。一部の実施の形態において、個々のASICは例えば使用せずに、本明細書で開示されるような関連のあるすべての機能が1つのプロセッサまたは複数のプロセッサによって実行することになるようにさらにもくろまれる。チップセットまたはチップ400、またはこれらの一部分は、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送る1つ以上のステップを実行する手段を構成する。
【0034】
1つ以上の実施の形態において、チップセットまたはチップ400は、チップセット400の部品間で情報を通過させるバス401などの通信機構を含む。プロセッサ403は、バス401への接続性を有し、命令を実行して、例えばメモリ405に格納された情報を処理する。プロセッサ403は、各コアが独立に実行するように構成された、1つ以上の処理コアを含むことができる。マルチ・コア・プロセッサは、単一の物理的パッケージの内部で多重処理を可能にする。マルチ・コア・プロセッサには、2つの、4つの、8つの、またはより多数の処理コアを含む例がある。代替策としてはまたは加えて、プロセッサ403は、バス401を経由してタンデムに構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含み、命令、パイプライン処理、およびマルチスレッドの独立した実行を可能にすることができる。プロセッサ403は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)407または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)409などの、一定の処理機能および処理タスクを実行する1つ以上の専門部品も伴うことができる。DSP407は、典型的には、プロセッサ403とは独立して、実在の信号(例えば、音声)をリアルタイムで処理するように構成される。同様に、ASIC409は、より汎用のプロセッサによっては容易に実行されない専門機能を実行するように構成することができる。本明細書で説明される本発明の機能の実行を促進する他の専門部品は、1つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、1つ以上のコントローラ、または他の1つ以上の専用コンピュータチップを含むことができる。
【0035】
1つ以上の実施の形態において、プロセッサ(または多重プロセッサ)403は、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送ることに関連したコンピュータ・プログラム・コードによって指定された情報に関する演算セットを実行する。コンピュータ・プログラム・コードは、指定された機能を実行するプロセッサおよび/またはコンピュータシステムの演算用の、命令セットまたは命令を提供するステートメントセットである。例えば、コードは、プロセッサのネイティブ命令セットへコンパイルされるコンピュータプログラミング言語内に書き込むことができる。コードは、ネイティブ命令セット(例えば、機械語)を用いて直接に書き込むこともできる。演算セットは、バス401から情報を取り込むステップおよびバス401上に情報を配置するステップを含む。演算セットは、典型的には、情報の2単位以上を比較するステップ、情報の単位位置をシフト操作するステップ、ならびに加算もしくは乗算または論理和(OR)、排他的論理和(XOR)、および論理積(AND)のような論理演算などによって情報の2単位以上を組み合わせるステップも含む。プロセッサによって実行できる演算セットの各演算は、1つ以上のディジットから成る演算コードなどの、命令と呼ばれる情報によってプロセッサに対して表される。一連の演算コードなどの、プロセッサ403が実行する一連の演算は、コンピュータシステム命令または単にコンピュータ命令とも呼ばれる、プロセッサ命令を構成する。プロセッサは、とりわけ、機械部品、電気部品、磁気部品、光学部品、化学部品または量子部品として、単独でまたは組み合わせて実装することができる。
【0036】
プロセッサ403および付随の部品は、バス401経由でメモリ405への接続性を有する。メモリ405は、動的メモリ(揮発性メモリ)(例えば、RAM(random access memory=ランダム・アクセス・メモリ)、磁気ディスク、書き込み可能光ディスクなど)および静的メモリ(不揮発性メモリ)(例えば、ROM(read−only memory=リード・オンリ・メモリ=読み出し専用メモリ)、CD−ROM(compact disc−read only memory=シーディーロム)など)のうちの1つ以上を含み、実行されると本明細書で説明された、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送る本発明のステップを実行する、実行可能な命令を格納する。メモリ405は、本発明のステップの実行と関連した、または同実行によって発生したデータも格納する。
【0037】
1つ以上の実施の形態において、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)または他の任意の動的記憶デバイスなどの、メモリ405は、媒体供給システムにおいて空気圧バッフルによってカット媒体を選択的に送るプロセッサ命令を含む情報を格納する。動的メモリは、内部に格納される情報をシステム100によって変更されることを可能にする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる記憶場所において格納される情報の1単位を、隣接アドレスにおける情報とは独立して格納され検索されることを可能にする。メモリ405は、プロセッサ403によって、プロセッサ命令の実行中に一時的な値を格納するためにも用いられる。メモリ405は、システム100によって変更されない、命令を含む静的情報を格納するための、バス401に結合されたリード・オンリ・メモリ(ROM)または他の任意の静的記憶デバイスとすることもできる。メモリには、電力が失われたとき、内部に格納された情報を失う揮発性記憶で構成されるものもある。メモリ405は、システム100がオフされるときまたはそうでない場合電力を失うとき、この場合であっても存続する、命令を含む情報を格納するための、磁気ディスク、光ディスクまたはフラッシュカードなどの不揮発性(持続性)記憶デバイスとすることもできる。
【0038】
本明細書で使用される用語「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、プロセッサ403へ情報を提供することに関与する、実行用命令を含む任意の媒体を指す。このような媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、不揮発性媒体、揮発性媒体)、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体は、例えば、光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリを含む。伝送媒体は、例えば、ツイスト・ペア・ケーブル、同軸ケーブル、銅線、ファイバ光ケーブル、ならびに電波、光波および赤外線波を含む音波および電磁波などの、配線またはケーブルなしに空間の中を進む搬送波を含む。信号は、振幅、周波数、位相、偏波または伝送媒体を介して伝送される他の物理的特性における人工の過渡変動を含む。コンピュータ読み取り可能な媒体の周知の形態は、例えば、フロッピディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD−ROM、CDRW(compact disc rewritable=再書き込み可能CD)、DVD(digital versatile disc)、他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、光学式マークシート、穿孔パターンもしくは他の光学的認識可能な印を有する他の任意の物理媒体、RAM、PROM(programmable ROM=プログラム可能ROM)、EPROM(erasable PROM=消去可能PROM)、FLASH−EPROM(フラッシュEPROM)、EEPROM(electrically erasable PROM=電気的消去可能PROM)、フラッシュメモリ、他の任意のメモリチップもしくはメモリカートリッジ、搬送波、またはコンピュータ読み取り可能な他の任意の媒体を含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体という用語は、本明細書において、伝送媒体を除く任意のコンピュータ読み取り可能な媒体を指すのに用いられる。
図1
図2
図3
図4