(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイル部は、前記第1コイル部と交差して並べて配置される4以上の第2コイル部を含み、前記第2コイル部に対してその並び順に付与した正の整数を3で割り算した余りが0となる第2コイル部は第4のトリガー発信機に接続され、前記余りが1となる第2コイル部は第5のトリガー発信機に接続され、前記余りが2となる第2コイル部は第6のトリガー発信機に接続され、
前記位置検出部は、前記無線タグの移動に伴う、前記タグ情報に含まれる前記第1〜第6のトリガー発信機に固有の前記トリガー識別番号の切り替わりのパターンと前記無線タグの移動前の位置とに基づき、前記無線タグの移動後の位置を演算することを特徴とする請求項1記載の位置検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(構成)
初めに本発明の位置検出システム100の構成を説明する。
図1は、本発明の位置検出システム100の一例を示す概略構成図である。
位置検出システム100は、無線タグ1と、位置検出の対象エリア(以後、対象エリアという。)内の例えば床などに配設されたトリガーコイル2と、トリガーコイル2を制御するトリガー発信機3と、無線タグ1からのタグ情報を、アンテナ4を介して受信する受信機5と、受信機5で受信した無線タグ1からのタグ情報に基づき、対象エリア内における無線タグ1の位置検出を行なう位置検知サーバ6と、を備える。
【0012】
無線タグ1は、トリガーコイル2から出力される後述のトリガーIDを含むトリガー信号を受信すると、このトリガー信号から取得したトリガーIDとともにこの無線タグ1を特定するタグIDを、無線により送信する。
すなわち、無線タグ1は、
図2に示すように、アンテナ1aと、発信回路1bと、演算処理装置1cと、トリガーコイル2から出力されるトリガー信号を検出する磁界検出回路1dと、を含む。
【0013】
演算処理装置1cは、無線タグ1全体の動作を制御し、図示しない電池で駆動される。演算処理装置1cは、磁界検出回路1dが外部からのトリガー信号を検出すると、図示しないメモリに記憶された当該無線タグ1を特定するタグIDと、検出したトリガー信号に含まれるトリガーIDと、をタグ情報として、発信回路1bからアンテナ1aを介して送信する。
ここで、対象エリアは、
図1に示すように、直交するX軸およびY軸で表されるX−Y平面上のエリアである。
トリガーコイル2は、
図1に示すように、X軸方向に並べて配置されるトリガーコイル2(X1)と、トリガーコイル2(X2)と、トリガーコイル2(X3)と、を備えるとともに、Y軸方向に並べて配置されるトリガーコイル2(Y1)と、トリガーコイル2(Y2)と、トリガーコイル2(Y3)と、を備える。
【0014】
これらトリガーコイル2(X1)〜2(X3)、2(Y1)〜2(Y3)は、同一構成であるのでここではトリガーコイル2としてその構成を説明する。
図3は、トリガーコイル2の配置状況を説明する説明図である。
トリガーコイル2は、矩形状に配置される1または複数のコイル部2aを備え、これらコイル部2aが連結部2bで連結されてなり、1本のコイル用ケーブルがいわゆる一筆書きで形成した櫛型状に配置されてなる。このトリガーコイル2は連結部2bにおいてトリガー発信機3に接続される。なお、トリガーコイル2の長さによっては、トリガーコイル2の途中に増幅器を設け、伝送過程における信号の減衰による影響を除去するようにしてもよい。また、
図3では、複数のコイル部2aの端部にトリガー発信機3を設けているが、例えば、コイル部2aとコイル部2aとの間にトリガー発信機3を設けることにより伝送過程における信号の減衰を抑制するようにしてもよい。
【0015】
コイル部2aは、
図3に示すように矩形状に配置されたコイル部2aの2つの長辺部分がX軸またはY軸と平行となるように配置される。
X軸方向のトリガーコイル2(X1)〜(X3)は、
図4に示すように、そのコイル部2aの長辺部分がY軸と平行となるように配置され、かつ、トリガーコイル2(X1)のコイル部2a、トリガーコイル2(X2)のコイル部2a、トリガーコイル2(X3)のコイル部2aが、この順に並び、以後同様に、トリガーコイル2(X1)のコイル部2a、トリガーコイル2(X2)のコイル部2a、トリガーコイル2(X3)のコイル部2aが、この順に繰り返し並ぶように配置される。
【0016】
同様に、Y軸方向のトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)は、
図4に示すように、そのコイル部2aの長辺部分がX軸と平行となるように配置され、かつ、トリガーコイル2(Y1)のコイル部2a、トリガーコイル2(Y2)のコイル部2a、トリガーコイル2(Y3)のコイル部2aがこの順に並び、以後同様に、トリガーコイル2(Y1)のコイル部2a、トリガーコイル2(Y2)のコイル部2a、トリガーコイル2(Y3)のコイル部2aが、この順に繰り返し並ぶように配置される。また、
図4に示すように対象エリアのゲートGの外側の領域(以後、ゲート前領域という。)ARにも、少なくとも1つのトリガーコイル2が配置されるようになっている。
図4は、トリガーコイル2(Y1)のコイル部2aがX軸方向に延長して配置されている場合を示す。
【0017】
X軸方向に配置されるコイル部2a(すなわち、トリガーコイル2(X1)〜2(X3)のコイル部)の数は、対象エリアのX軸方向の長さに応じて決定すればよい。同様に、Y軸方向に配置されるコイル部2a(すなわち、トリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)のコイル部)の数は、対象エリアのY軸方向の長さに応じて決定すればよい。つまり、対象エリア全面にコイル部2aが格子状に配置されるように、X軸方向およびY軸方向に、トリガーコイル2(X1)〜2(X3)のコイル部2aおよびトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)のコイル部2aを所定の順番で繰り返し配置する。
【0018】
トリガーコイル2には高周波電流が流される。それによって、コイル部2aのコイル用ケーブルの周囲には磁界が発生し、コイル部2aの周囲にドーム状の検出エリアが形成される。
これらトリガーコイル2(X1)〜2(X3)、2(Y1)〜2(Y3)は、トリガー発信機3により制御される。
【0019】
トリガー発信機3は、
図1に示すように、各トリガーコイル2(X1)〜2(X3)、2(Y1)〜2(Y3)のそれぞれに対応して設けられる。すなわち、トリガー発信機3は、トリガーコイル2(X1)〜2(X3)のそれぞれに対応するトリガー発信機3(X1)〜3(X3)と、トリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)のそれぞれに対応するトリガー発信機3(Y1)〜3(Y3)と、を備える。各トリガー発信機3(X1)〜3(X3)、3(Y1)〜3(Y3)は同一の機能構成を有するため、ここでは、トリガー発信機3として説明する。
【0020】
トリガー発信機3は、それぞれ対応するトリガーコイル2に対して高周波電流を流し、高周波磁界を発生させる。このとき、各トリガーコイル2に固有のIDであるトリガーIDを含む高周波磁界を発生させる。この発生された高周波磁界をトリガー信号として無線タグ1は動作する。
アンテナ4および受信機5は、対象エリア内に設けられ、対象エリア内の無線タグ1が出力したタグ情報を受信可能な位置に配置される。
【0021】
位置検知サーバ6は記憶部6aを有し、受信機5とLANなどの通信回線で接続され、対象エリア外の監視室などに設けられる。そして、アンテナ4を介して受信機5で受信した無線タグ1からのタグ情報(タグIDおよびトリガーID)に基づき、対象エリア内における無線タグ1の位置検出を行なう。
具体的には、位置検知サーバ6では、無線タグ1から送信される、タグIDとトリガーIDとに基づき、タグIDで特定される無線タグ1の現在位置を、タグID毎に、トリガーID座標I(X,Y)として管理する。なお、「X」はトリガーコイル2(X1)〜2(X3)からのトリガーID、「Y」はトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)からのトリガーIDを表す。
【0022】
位置検知サーバ6では、無線タグ1からのタグ情報を受信する毎に、対応する無線タグ1のトリガーID座標Iを更新する。また、無線タグ1からタグ情報が通知される毎に、対応する無線タグ1の前回の処理周期時のトリガーID座標I
t−1と、今回の処理周期時のトリガーID座標I
tとの変化パターンから無線タグ1の移動パターンを検出し、これに基づき、座標変換関数を決定する。そして、この決定した座標変換関数と、前回の処理周期時の無線タグ1の位置とから、無線タグ1の現在位置を求める。
【0023】
図4に示すように、トリガーコイル2(X1)〜2(X3)、2(Y1)〜2(Y3)は、対象エリア全面に格子状に配置されている。また、トリガーコイル2は、X軸方向にトリガーコイル2(X1)〜2(X3)のコイル部2aが所定の順で繰り返し並ぶように配置され、同様にY軸方向にトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)のコイル部2aが所定の順で繰り返し並ぶように配置される。さらに、ゲート前領域ARには、トリガーコイル2(Y1)のコイル部2aが延長して配置されている。
【0024】
ここで、対象エリアに格子状に配置されたトリガーコイル2(X1)〜2(X3)と2(Y1)〜2(Y3)とで区分される区画を
図5のように表す。つまり、トリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11とトリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで形成される区画を(1,1)とする。同様に、トリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11とトリガーコイル2(Y2)の第1コイル部y21とで形成される区画を(1,2)、トリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11とトリガーコイル2(Y3)の第1コイル部y31とで形成される区画を(1,3)、トリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11とトリガーコイル2(Y1)の第2コイル部y12とで形成される区画を(1,4)、トリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11とトリガーコイル2(Y2)の第2コイル部y22とで形成される区画を(1,5)とする。
【0025】
同様に、トリガーコイル2(X2)の第1コイル部x21とトリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで形成される区画を(2,1)とし、トリガーコイル2(X3)の第1コイル部x31とトリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで形成される区画を(3,1)、トリガーコイル2(X1)の第2コイル部x12とトリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで形成される区画を(4,1)、トリガーコイル2(X2)の第2コイル部x22とトリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで形成される区画を(5,1)とする。他の区画も同様に設定する。
【0026】
そして、
図5に示すように、各トリガーコイル2のコイル部2aで区分される区画を座標(x,y)で表した座標を実空間座標R(x,y)とし、この実空間座標R(x,y)で表される空間をR空間とする。
また、
図4において、各トリガーコイル2のコイル部2aで区分される区画内に記載された座標(X,Y)は、トリガーID座標I(X,Y)であり、このトリガーID座標I(X,Y)で表される空間をI空間とする。
【0027】
図4のI空間において、例えばトリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11と、トリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで区分される区画のトリガーID座標はI(X1,Y1)と表される。このトリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11と、トリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで区分される区画には、トリガーコイル2(X1)による検出エリアとトリガーコイル2(Y1)による検出エリアとが形成されるため、この区画に存在する無線タグ1は、トリガーコイル2(X1)のトリガーID(X1)とトリガーコイル2(Y1)のトリガーID(Y1)とを検知する。つまり、I空間におけるトリガーID座標I(X1,Y1)は、トリガーコイル2(X1)の第1コイル部x11とトリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで区分される区画に無線タグ1が存在するときに、この無線タグ1から通知されるトリガーIDを表し、X座標は、X軸方向のトリガーコイル2のトリガーIDを表し、Y座標は、Y軸方向のトリガーコイル2のトリガーIDを表す。
【0028】
また、例えば、トリガーコイル2(X2)の第1コイル部x21と、トリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11とで区分される区画のトリガーID座標はI(X2,Y1)と表すことができる。
同様にトリガーID座標を設定することによって、
図4に示す各区画のトリガーID座標Iは、
図4中に示す座標で表すことができる。また、X軸方向、Y軸方向それぞれ3つのトリガーコイル2のコイル部2aが所定の順に並ぶように配置されるため、トリガーID座標IのX座標およびY座標の取り得る値はI(X1,Y1)〜I(X3,Y3)となり、I空間では、各区画は、I(X1,Y1)〜I(X3,Y3)の9通りのうちのいずれかの座標で表されることになる。
【0029】
なお、
図4においてゲート前領域ARには、トリガーコイル2(Y1)の第1コイル部y11のみが配置されているため、トリガーID座標はI(y1)となる。
図6は、
図4に示すI空間における一部の座標を取り出したものである。
図7は、
図6に示すI空間に対応するR空間における座標である。
無線タグ1が、例えば
図7の実空間座標R(4,4)からR(5,4)に移動すると、
図6に示すようにトリガーID座標は、I(X1,Y1)からI(X2,Y1)に変化する。
【0030】
そして、前述のように、トリガーID座標Iは、無線タグ1が各座標位置に存在するときに無線タグ1から通知されるトリガーIDを表す。
したがって、無線タグ1から通知されるトリガーID座標が、I(X1,Y1)からI(X2,Y1)に変化した場合、これは、無線タグ1がR空間において、実空間座標R(4,4)からR(5,4)に移動したことを表す。
このように、無線タグ1のR空間での前回の処理周期における実空間座標Rと、前回の処理周期におけるトリガーID座標Iとがわかっていれば、無線タグ1から通知されるトリガーIDに基づき、無線タグ1がR空間においてどこに移動したかを認識することができる。
【0031】
ここで、
図6に示すように、例えばトリガーID座標I(X2,Y2)に存在する無線タグ1が移動する場合、トリガーID座標I(X2,Y2)に隣接する8個の座標のうちのいずれかに移動することになる。つまり、トリガーID座標I(X2,Y2)からX軸方向に前後の座標I(X2,Y1)、I(X2,Y3)と、Y軸方向に左右の座標I(X1,Y2)、I(X3,Y2)と、斜め方向の座標I(X1,Y1)、I(X3,Y1)、I(X1,Y3)、I(X3,Y3)のいずれかに移動することになる。したがって、移動前後のトリガーID座標の変化量は、X座標およびY座標ともに、「0」、「+1」、および「−1」のいずれかとなる。
同様に、例えばトリガーID座標I(X2,Y3)に存在する無線タグ1が移動した場合も、このトリガーID座標I(X2,Y3)に隣接する8個の座標のうちのいずれかに移動するため、移動前後のトリガーID座標の変化量は、X座標およびY座標ともに、「0」、「+1」、および「−1」のいずれかとなる。
【0032】
そして、I空間におけるトリガーID座標に対応するR空間における区画も、無線タグ1が移動したときの移動前後の実空間座標R(x,y)の変化量は、x座標およびy座標ともに、「0」、「+1」、および「−1」のいずれかとなる。
つまり、R空間のある実空間座標R
t−1(x,y)に存在する無線タグ1が移動したとき、移動後の座標を表す実空間座標R
t(x,y)は、
図8に示す、座標変換関数fi(i=1〜8)で表すことができる。
図8において、R
t−1は、移動前のR空間における実空間座標を表す。R
tは、移動後のR空間における実空間座標を表す。
【0033】
前述のように、移動前後のトリガーID座標の変化量は、X座標およびY座標ともに、「0」、「+1」、および「−1」のいずれかであるため、座標変換関数として8つの関数を設定することができる。
つまり、例えば
図7に示す実空間座標R(5,5)に存在する無線タグ1が、
図7において上方向に1だけ移動したときには、I空間において、トリガーID座標のY座標のみY2からY1に変化し、すなわち、実空間座標はR(5,4)となる。
そのため、移動前の実空間座標R
t−1を(x
t−1,y
t−1)=(5,5)とすると、移動後の実空間座標はR
t(x
t−1,y
t−1−1)=(5,4)で表すことができ、これは
図8に示す座標変換関数f4に対応する。
【0034】
また、実空間座標R(5,5)に存在する無線タグ1が、
図7において左下方向に移動したときには、I空間において、トリガーID座標のX座標がX2からX1に変化し、Y座標がY2からY3に変化し、実空間座標はR(4,6)になる。
そのため、変化前の実空間座標をR
t−1(x
t−1,y
t−1)=(5,5)とすると、移動後の実空間座標はR
t(x
t−1−1,y
t−1+1)で表すことができ、これは
図8に示す座標変換関数f7に対応する。
【0035】
そして、前述のように、トリガーID座標Iは9通りであって、
図4に示すようにI空間には、同一の座標が複数存在するため、同じ方向に同じ数だけ移動したとしても、移動前に存在するトリガーID座標の座標値に応じてトリガーID座標のX座標およびY座標の変化量は異なる。つまり、無線タグ1が移動したときの移動前のトリガーID座標I
t−1と移動後のトリガーID座標I
tとの移動パターンに応じて、座標変換関数は異なる。この移動パターンごとに対応する座標変換関数を表したものが、
図9および
図10に示す対応図であって、移動パターンは72パターン存在する。
【0036】
例えば、無線タグ1が
図7に示すR空間で実空間座標でR(4,5)からR(5,5)に移動すると、I空間においてトリガーID座標はI(X1,Y2)からI(X2,Y2)に変化する。したがって、トリガーID座標がI(X1,Y2)からI(X2,Y2)に変化した場合には、実空間座標では、R(4,5)からR(5,5)に移動することになり、X座標が「+1」だけ変化するため、座標変換関数はf1となる。したがって、
図8の移動パターン「7」に示すように、トリガーID座標がI(X1,Y2)からI(X2,Y2)に変化する移動パターンの場合には、座標変換関数はf1:(x
t−1,y
t−1)→(x
t−1+1,y
t−1)として設定される。
【0037】
また、無線タグ1が
図6に示すI空間においてトリガーID座標I(X1,Y3)からI(X2,Y2)に移動した場合には、実空間座標では、R(4,6)からR(5,5)に移動することになり、X座標が「+1」、Y座標が「−1」となるため、座標変換関数はf6となる。したがって、
図10の移動パターン「41」に示すように、トリガーID座標がI(X1,Y3)からI(X2,Y2)に変化する移動パターンの場合には、座標変換関数はf6:(x
t−1,y
t−1)→(x
t−1+1,y
t−1−1)として設定される。
【0038】
以上から、R空間の座標とI空間の座標とが1対1に対応していなくても、移動前後のトリガーID座標Iと、移動前の実空間座標Rとがわかれば、実空間座標Rを算出することができることがわかる。
つまり、I空間におけるトリガーID座標Iと、R空間における実空間座標Rとは一対一には対応していないが、対象エリアに進入したときの実空間座標Rを初期位置とし、この初期位置における無線タグ1の、I空間におけるトリガーID座標IとR空間における実空間座標Rとを対応付ければ、以後は、移動パターンにしたがって、R空間における現在位置を表す実空間座標Rを得ることができる。
【0039】
つまり、実空間座標Rは、次式(1)で示す漸化式で表すことができる。
R
t1=R1
R
tn=fi(R
tn−1) i=1〜8 ……(1)
R
tn:移動後の実空間座標
R
tn−1:移動前の実空間座標
R
t1:実空間座標の初期値
fi:座標変換関数(トリガーID座標における移動パターンに対応)
実空間座標の初期位置R
t1(x
t1,y
t1)は、対象エリアのゲート前領域ARに配置されたトリガーコイル2のトリガーIDであるゲートIDに紐付けされる。
例えば
図4の場合には、ゲートID「Y1」と初期位置R
t1(1,1)とが紐付けされる。
【0040】
(動作)
次に、上記実施形態の動作を説明する。
図11は、位置検知サーバ6の処理手順の一例を示すフローチャートである。
位置検知サーバ6では、
図11に示す演算処理を、予め設定した所定周期で実行する。
なお、
図11では、説明を簡単にするために、位置検知サーバ6による監視対象の無線タグ1は、1つのみの場合について説明するが、複数の無線タグ1を監視対象として処理することも可能である。無線タグ1からはこの無線タグ1を特定するタグIDとトリガーIDとが通知されるため、タグIDで無線タグ1を識別し、無線タグ1毎に処理を行なえばよい。なお、監視対象は、人物に限るものではなく台車など、移動物であってもよい。
【0041】
まず、対象エリアについて、トリガーコイル2のコイル部2aにより区分される対象エリアの各区画について、
図4に示すトリガーコイル2の配置状況に対応した、
図5に示す、実空間座標を表す実空間座標情報を予め設定し、位置検知サーバ6の記憶部6aに記憶しておく。また、
図9および
図10に示す移動パターンに応じた座標変換関数の対応情報を作成し、これを記憶部6aに記憶しておく。また、対象エリアのゲートGのゲート前領域ARに配置されたトリガーコイル2のトリガーID(Y1)をゲートIDとし、このゲートIDとゲートGから対象エリアに進入したときの最初の区画の実空間座標、つまり初期位置R
t1(1,1)を紐付けて記憶部6aに記憶しておく。
【0042】
この状態で、無線タグ1を有する監視対象が、ゲートGから対象エリアに進入すると、ゲート前領域ARにはトリガーコイル2(Y1)により検出エリアが形成されていることから、トリガーコイル2(Y1)により出力されるトリガー信号を無線タグ1が検知し、トリガー信号に含まれるトリガーID(Y1)と無線タグ1を特定するタグID(例えばID1)とがタグ情報として送信される。また、対象エリアの、ゲートGから進入したときの最初の区画(実空間座標でR(1,1))には、トリガーコイル2(X1)および2(Y1)により検出エリアが形成されていることから、無線タグ1が対象エリア内に進入するとトリガーコイル2(X1)および2(Y1)により出力されるトリガー信号を無線タグ1が検知し、トリガー信号に含まれるトリガーID(X1)と(Y1)とがタグ情報として送信される。
これらタグ情報は、対象エリア内に配置されたアンテナ4を介して受信機5で受信され、LANなどの通信回線を介して位置検知サーバ6に送信される。
【0043】
位置検知サーバ6では、無線タグ1から、ゲート前領域ARに配置されたトリガーコイル2(Y1)を特定するトリガーID(Y1)が通知されると(ステップS1)、この時点では無線タグ1はまだ対象エリア内に進入していないため、位置検知サーバ6では、このトリガーIDは、ゲート前領域ARに配置されたトリガーコイル2を特定するトリガーID、すなわちゲートIDであると判断し、ゲートIDに紐付けられて記憶部6aに格納されている初期位置R
t1を読み出し、これを実空間座標R
tとする。この場合、初期位置R
t1は(1,1)であるため、実空間座標R
tは(1,1)となる(ステップS2)。
続いて、無線タグ1が対象エリア内の検知エリアにおいて検知したトリガーID(X1)と(Y1)とが通知されると(ステップS3)と、位置検知サーバ6は、無線タグ1が対象エリアに進入したと判断し、トリガーID座標I
tを(X1,Y1)とする(ステップS4)。
【0044】
そして、対象エリア内に進入した監視対象が、そのまま前進し
図5に示すR空間において、実空間座標R(1,1)から、R(2,1)、R(3,1)、R(4,1)と進むと、
図4に示すI空間に示すように、無線タグ1は、トリガーコイル2(Y1)の検知エリア内において、トリガーコイル2(X2)の第1コイル部x21、トリガーコイル2(X3)の第1コイル部x31、そして、トリガーコイル2(X1)の第2コイル部x12を通過する。
【0045】
そのため、無線タグ1からは、トリガーコイル2(Y1)のトリガーID(Y1)とともに、トリガーコイル2(X2)のトリガーID(X2)、トリガーコイル2(X3)のトリガーID(X3)、トリガーコイル2(X1)のトリガーID(X1)が順に送信される。
位置検知サーバ6では、トリガーID(X2)および(Y1)が通知されると(ステップS5)、トリガーID座標I
tは(X1,Y1)でありトリガーIDが変化していることから、ステップS6からステップS7を経てステップS8に移行し、トリガーID座標I
t(X1,Y1)をI
t−1(X1,Y1)に更新するとともに、トリガーID座標I
tを(X2,Y1)とする。また、実空間座標R
t(1,1)をR
t−1(1,1)に更新する。
【0046】
そして、トリガーID座標I
t−1は(X1,Y1)であり、トリガーID座標I
tは(X2,Y1)であることから、移動パターンは「1」となり、座標変換関数f1と、実空間座標R
t−1(1,1)とから、実空間座標R
tは(2,1)と演算される(ステップS9〜ステップS11)。
続いて、位置検知サーバ6では、トリガーID(X3)および(Y1)が通知されると同様に処理を行い、トリガーID座標I
tは(X2,Y1)であって、X座標が変化していることから、トリガーID座標I
t(X2,Y1)をI
t−1(X2,Y1)とし、トリガーID座標I
tを(X3,Y1)とし、実空間座標R
t(2,1)をR
t−1(2,1)とする。
【0047】
そして、トリガーID座標I
t−1(X2,Y1)とトリガーID座標I
t(X3,Y1)とから、移動パターンは「2」となり、座標変換関数f1と、実空間座標R
t−1(2,1)とから、実空間座標R
tは(3,1)と演算される。
同様に、位置検知サーバ6では、トリガーID(X1)および(Y1)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X3,Y1)でありX座標が変化していることから、トリガーID座標I
t−1を(X3,Y1)、トリガーID座標I
tを(X1,Y1)、実空間座標R
t−1を(3,1)とし、トリガーID座標I
t−1(X3,Y1)とトリガーID座標I
t(X1,Y1)とから、移動パターンは「3」となり、座標変換関数f1と、実空間座標R
t−1(3,1)とから、実空間座標R
tは(4,1)と演算される。
【0048】
つづいて、監視対象がY軸方向に向きを変え、無線タグ1が、R空間において実空間座標R(4,1)から、R(4,2)、R(4,3)、R(4,4)と進むと、
図4に示すI空間に示すように、無線タグ1は、トリガーコイル2(X1)の第2コイル部x12の検知エリア内において、トリガーコイル2(Y2)の第1コイル部y21、トリガーコイル2(Y3)の第1コイル部y31、そして、トリガーコイル2(Y1)の第2コイル部y12を通過する。
そのため、無線タグ1からは、トリガーコイル2(X1)のトリガーID(X1)と共に、トリガーコイル2(Y2)のトリガーID(Y2)、トリガーコイル2(Y3)のトリガーID(Y3)、トリガーコイル2(Y1)のトリガーID(Y1)が順に送信される。
【0049】
位置検知サーバ6では、トリガーID(X1)および(Y2)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X1,Y1)でありY座標が変化していることから、ステップS5、ステップS6を、ステップS7を経てステップS8に移行し、トリガーID座標I
t(X1,Y1)をI
t−1(X1,Y1)に更新するとともに、トリガーID座標I
tを(X1,Y2)とする。また、実空間座標R
t(4,1)をR
t−1(4,1)に更新する。
【0050】
そして、トリガーID座標I
t−1は(X1,Y1)であり、トリガーID座標I
tは(X1,Y2)であることから、移動パターンは「19」となり、座標変換関数f3と、実空間座標R
t−1(4,1)とから、実空間座標R
tは(4,2)と演算される(ステップS9〜ステップS11)。
同様に、位置検知サーバ6では、トリガーID(X1)および(Y3)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X1,Y2)でありY座標が変化していることから、トリガーID座標I
t(X1,Y2)をI
t−1(X1,Y2)とし、トリガーID座標I
tを(X1,Y3)とし、実空間座標R
t(4,2)をR
t−1(4,2)とする。
【0051】
そして、トリガーID座標I
t−1(X1,Y2)とトリガーID座標I
t(X1,Y3)とから、移動パターンは「20」となり、座標変換関数f3と、実空間座標R
t−1(4,2)とから、実空間座標R
tは(4,3)と演算される。
同様に、位置検知サーバ6では、トリガーID(X1)および(Y1)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X1,Y3)であって、Y座標が変化していることから、トリガーID座標I
t−1を(X1,Y3)、トリガーID座標I
tを(X1,Y1)、実空間座標R
t−1を(4,3)とし、トリガーID座標I
t−1(X1,Y3)とトリガーID座標I
t(X1,Y1)とから、移動パターンは「21」となり、座標変換関数f3と、実空間座標R
t−1(4,3)とから、実空間座標R
tは(4,4)と演算される。
【0052】
つづいて、監視対象が向きを変え、無線タグ1が、R空間において、実空間座標R(4,4)から、R(3,5)、R(4,6)、R(5,5)、R(6,4)と進むと、
図4のI空間に示すように、無線タグ1は、トリガーコイル2(X3)の第1コイル部x31およびトリガーコイル2(Y2)の第2コイル部y22、トリガーコイル2(X1)の第2コイル部x12およびトリガーコイル2(Y3)の第2コイル部y32、トリガーコイル2(X2)の第2コイル部x22およびトリガーコイル2(Y2)の第2コイル部y22、トリガーコイル2(X3)の第2コイル部x32およびトリガーコイル2(Y1)の第2コイル部y12を通過する。
【0053】
そのため、無線タグ1からは、トリガーID(X3)およびトリガーID(Y2)、トリガーID(X1)およびトリガーID(Y3)、トリガーID(X2)およびトリガーID(Y2)、トリガーID(X3)およびトリガーID(Y1)が順に送信される。
位置検知サーバ6では、トリガーID(X3)および(Y2)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X1,Y1)であり座標が変化していることから、ステップS5、ステップS6からステップS7を経てステップS8に移行し、トリガーID座標I
t(X1,Y1)をI
t−1(X1,Y1)に更新するとともに、トリガーID座標I
tを(X3,Y2)とする。また、実空間座標R
t(4,4)をR
t−1(4,4)に更新する。
【0054】
そして、トリガーID座標I
t−1は(X1,Y1)であり、トリガーID座標I
tは(X3,Y2)であることから、移動パターンは「67」となり、座標変換関数f7と、実空間座標R
t−1(4,4)とから、実空間座標R
tは(3,5)と演算される(ステップS9〜ステップS11)。
同様に、位置検知サーバ6では、トリガーID(X1)および(Y3)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X3,Y2)であって、座標が変化していることから、ステップS5、ステップS6からステップS7を経てステップS8に移行し、トリガーID座標I
t(X3,Y2)をI
t−1(X3,Y2)に更新するとともに、トリガーID座標I
tを(X1,Y3)とする。また、実空間座標R
t(3,5)をR
t−1(3,5)に更新する。
【0055】
そして、トリガーID座標I
t−1は(X3,Y2)であり、トリガーID座標I
tは(X1,Y3)であることから、移動パターンは「50」となり、座標変換関数f5と、実空間座標R
t−1(3,5)とから、実空間座標R
tは(4,6)と演算される(ステップS9〜ステップS11)。
さらに、位置検知サーバ6では、トリガーID(X2)および(Y2)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X1,Y3)であって、座標が変化していることから、ステップS5、ステップS6からステップS7を経てステップS8に移行し、トリガーID座標I
t(X1,Y3)をI
t−1(X1,Y3)に更新するとともに、トリガーID座標I
tを(X2,Y2)とする。また、実空間座標R
t(4,6)をR
t−1(4,6)に更新する。
【0056】
そして、トリガーID座標I
t−1は(X1,Y3)であり、トリガーID座標I
tは(X2,Y2)であることから、移動パターンは「41」となり、座標変換関数f6と、実空間座標R
t−1(4,6)とから、実空間座標R
tは(5,5)と演算される(ステップS9〜ステップS11)。
つづいて位置検知サーバ6では、トリガーID(X3)および(Y1)が通知されると、トリガーID座標I
tは(X2,Y2)であって、座標が変化していることから、ステップS5、ステップS6からステップS7を経てステップS8に移行し、トリガーID座標I
t(X2,Y2)をI
t−1(X2,Y2)に更新するとともに、トリガーID座標I
tを(X3,Y1)とする。また、実空間座標R
t(5,5)をR
t−1(5,5)に更新する。
【0057】
そして、トリガーID座標I
t−1は(X2,Y2)であり、トリガーID座標I
tは(X3,Y1)であることから、移動パターンは「46」となり、座標変換関数f6と、実空間座標R
t−1(5,5)とから、実空間座標R
tは(6,4)と演算される(ステップS9〜ステップS11)。
以後同様に、無線タグ1からトリガーIDが通知される毎に、実空間座標R
tの更新が行なわれる。そして、監視対象がゲートGを通って対象エリア外に移動すると、ゲート前領域ARに移動した時点で、無線タグ1から通知されるトリガーIDが(Y1)となり、通知されるトリガーIDがゲートID(Y1)となる。そのため、位置検知サーバ6では、無線タグ1が対象エリア外に移動したことを認識し(ステップS7)、この監視対象の無線タグ1に対する位置検出を終了する。
【0058】
(効果)
このように、実空間座標RとトリガーID座標Iとが一対一に対応していなくても、移動前後におけるトリガーID座標I
t−1、I
tと、移動前の実空間座標R
t−1とがわかれば、移動後の実空間座標R
tを演算することができる。
そして、このとき、トリガーID座標Iは、X軸方向に3種類、Y軸方向に3種類のトリガーIDからなる座標であるため、対象エリアが広くなった場合であっても対象エリアのI空間におけるトリガーID座標は、X軸方向に3種類、Y軸方向に3種類のトリガーIDで表されることになる。つまり、対象エリアが広くなった場合であっても、上記と同様の手順で実空間座標Rを演算することができる。
【0059】
したがって、対象エリアが広くなった場合であっても、トリガーコイル2として、X軸方向にトリガーIDの異なる3種類のトリガーコイル2と、Y軸方向にトリガーIDの異なる3種類のトリガーコイル2とを設ければよく、すなわち、トリガーコイル2とこのトリガーコイル2を制御するトリガー発信機3とからなるトリガーユニットを少なくとも3組設ければよい。
そのため、従来のように、対象エリアが広い場合であっても、対象エリアの広さに応じてトリガーユニット数が増大することはない。よって、その分、使い勝手の向上や、コスト削減や、部品数の削減、位置検出システムの占有面積の削減などを図ることができる。
【0060】
(変形例)
なお、上記実施形態において、コイル部2aは他のコイル部2aと必ずしも隣接して設ける必要はなく隙間を開けて配置してもよい。上述のように、無線タグ1は、コイル部2aにより形成される検知エリアからトリガー信号を検出してトリガーIDを取得し、位置検知サーバ6では、無線タグ1から通知されるトリガーIDを用いて無線タグ1の位置検出を行なっている。また、前回の処理周期におけるトリガーID座標I
t−1および今回の処理周期とにおけるトリガーID座標I
tと、前回の処理周期における無線タグ1の実空間座標R
t−1に基づき、今回の処理周期における実空間座標R
tを検出している。
【0061】
そのため、無線タグ1がトリガーID座標間を移動する際に、無線タグ1がコイル部2aどうしの境界部分に存在し、いずれのコイル部2aのトリガーIDも検出することができない場合には、無線タグ1からX軸方向およびY軸方向のトリガーIDがともに出力されないため、位置検知サーバ6では、適切に無線タグ1の位置検出を行なうことができず、すなわち、以後の位置検出にも影響を与える可能性がある。
【0062】
したがって、これらを考慮して、無線タグ1のタグ情報の送信周期、位置検知サーバ6が無線タグ1から通知されるタグ情報に対する処理を実行する周期、さらにコイル部2aの幅、およびコイル部2a間の間隔、また、コイル部2aが発生する磁界強度などを設定すればよく、また、その際、対象エリア内における監視対象の移動速度や、必要とする位置検出精度なども考慮して設定してもよい。
【0063】
また、複数のコイル部2aの配置間隔によっては、例えばX軸方向の2つのコイル部2aの境界部分などにおいて、無線タグ1が2つのコイル部2aのトリガーID、すなわち、2つのトリガーコイル2のトリガーIDをそれぞれ検出する可能性がある。このような場合には、無線タグ1側で磁界強度などに基づいていずれか一方のトリガーIDを選択して、位置検知サーバ6に通知するようにしてもよい。あるいは、位置検知サーバ6側で、無線タグ1から通知されるトリガーIDの変化状況を監視し、X軸方向およびY軸方向それぞれのトリガーコイル2のトリガーIDが変化したときには、連続して所定回数同じトリガーIDが通知され明らかに無線タグ1がコイル部2a間を移動したとみなすことができるときに、トリガーIDが変化した、すなわち、コイル部2a間を移動したと判断して、移動後の実空間座標を演算するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、
図12(a)に示すように、ゲートGが1つでありかつゲートが、実空間座標R(1,1)のY軸側に設けられた場合について説明したが、これに限るものではない。
ゲートGが例えば、
図12(b)に示すように実空間座標R(1,2)の領域のY軸側に設けられている場合、
図12(c)に示すように実空間座標R(1,3)の領域のY軸側に設けられている場合であっても、上記と同様に処理を行なうことができる。例えば、ゲートGが
図12(b)に示すように、実空間座標R(1,2)の領域のY軸側に設けられている場合には、実空間座標R(1,2)に配置されているY軸方向のトリガーコイル2(Y2)のコイル部2aをゲート前領域ARまで延長して設ければよい。この場合、無線タグ1がゲート前領域ARに存在する場合には、トリガーIDとして(Y2)のみが通知されるため、トリガーIDとして(Y2)のみが通知されたときには、このトリガーIDはゲートIDであるとして、無線タグ1はゲート前領域ARに存在すると判断すればよい。そして、このゲートID(Y2)と初期位置R
t1(x1,y2)とを紐付けて記憶部6aに格納すればよい。
【0065】
同様に、ゲートGが
図12(c)に示すように、実空間座標R(1,3)の領域のY軸側に設けられている場合には、実空間座標R(1,3)に配置されているY軸方向のトリガーコイル2(Y3)のコイル部2aをゲート前領域ARまで延長して設ければよい。そして、トリガーID(Y3)をゲートIDとし、このゲートIDと初期位置R
t1(x1,y3)とを紐付けて記憶部6aに格納すればよい。
【0066】
また、例えば、対象エリアにゲートが複数ある場合には、例えば
図12に示す3つのゲートIDを採用すればよく、また、ゲートが4以上ある場合には、
図12の3つのゲートIDの他に、例えば、
図13に示すように、X軸方向のトリガーコイル2およびY軸方向のトリガーコイル2をともにゲート前領域ARにも配置するようにしてもよい。
その際、実空間座標R(1,1)の領域のY軸側にゲートGが設けられている場合には、
図13(a)に示すように、Y軸方向の2つのトリガーコイル2(Y1)および2(Y2)をゲート前領域ARに配置すればよい。また、実空間座標R(1,2)の領域のY軸側にゲートGが設けられている場合には、
図13(b)に示すように、Y軸方向の2つのトリガーコイル2(Y2)および2(Y3)をゲート前領域に配置すればよい。また、実空間座標R(1,3)の領域のY軸側にゲートGが設けられている場合には、
図13(c)に示すように、Y軸方向のトリガーコイル2(Y1)および2(Y3)をゲート前領域ARに配置すればよい。
【0067】
また、これらに限るものではなく、ゲートGから進入したときの最初の区画に配置されたY軸方向のトリガーコイル2と、このトリガーコイル2の近くに配置されたトリガーIDの異なる他のトリガーコイル2とをゲート前領域ARに配置してもよい。
また、例えば、
図14に示すように、Y軸方向のトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)の3つのトリガーコイル2のコイル部2aをゲート前領域ARに配置するようにしてもよい。
つまり、ゲートGがY軸側に設けられている場合には、
図12〜
図14に示すように、ゲート前領域ARに1、2または3種類のY軸方向のトリガーコイル2を設けることによって、7通りのゲートIDを設定することができる。
【0068】
そして、これら複数のトリガーコイル2をゲート前領域ARに配置する場合も、ゲート前領域に配置されたトリガーコイル2のトリガーIDをゲートIDとし、このゲートIDとゲートGの配置位置に対応した初期位置R
t1とを紐付けて記憶部6aに記憶しておけばよい。
したがって、対象エリアに複数のゲートが設けられている場合には、ゲート毎に異なるゲートIDとなるようにトリガーコイル2を配置し、ゲート毎に、ゲートIDと初期位置とを紐付ければよい。
【0069】
また、
図12〜
図14ではゲートGがY軸側に設けられている場合について説明したが、これに限るものではなくゲートGがX軸側に設けられている場合であっても適用することができる。この場合には、X軸方向のトリガーコイル2のコイル部2aを延長して、ゲート前領域ARに配置すればよい。そして、ゲートGがX軸側に設けられている場合には、ゲート前領域に1、2または3種類のY軸方向のトリガーコイル2を設けることによって、7通りのゲートIDを設定することができる。また、ゲートをY軸側およびX軸側に設けることによって、合計14通りのゲートIDを設定することができる。つまり、ゲートが14箇所に設けられている対象エリアであっても、無線タグ1の現在位置を的確に検出することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、対象エリアにX軸方向およびY軸方向のトリガーコイル2を格子状に配置する場合について説明したがこれに限るものではなく、例えば各区画が平行四辺形の形状になるようにトリガーコイル2を配置することも可能である。また、各区画が同一形状である必要はなく、要は、対象エリア全面をX軸方向のトリガーコイル2とY軸方向のトリガーコイル2とによって、区分することができればよい
【0071】
また、上述のように、トリガーコイル2から出力されるトリガー信号から取得したトリガーIDに基づき、無線タグ1の実空間座標Rを演算しているため、トリガーコイル2からのトリガーIDを取得できない場合には、実空間座標Rの演算を行なうことができない。そのため、コイル部2aを矩形状に形成して、複数のトリガーコイル2のコイル部2aを所定の順に配置した場合、例えばコイル部2aどうしの境界部分に沿って無線タグ1が移動すると、場合によっては、無線タグ1がコイル部2aから出力されるトリガー信号を検出することができず、実空間座標の更新を正しく行なうことができない可能性がある。
【0072】
そのため、例えば、コイル部2aどうしの境界部分を、波形形状など、無線タグ1がコイル部2aどうしの境界の形状に沿って移動することが困難な形状、あるいは無線タグ1を有する監視対象が通常ではとり得ることのない移動軌跡を表す形状となるようにコイル部2aを配置し、仮に、無線タグ1がコイル部2aどうしの境界付近を移動したとしても、いずれかのコイル部2aから出力されるトリガー信号を無線タグ1が取得できるような形状にコイル部2aを配置してもよい。
【0073】
また、コイル部2aの幅が大きくなるほど、実空間座標Rで表される1区画の領域が広くなるため、位置検出精度が低下することになる。したがって、コイル部2aの幅は、必要とする位置検出精度に応じて設定すればよい。
また、上記実施形態では、トリガーコイル2を床に配置する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば天井に配置することも可能である。なお、天井に配置する場合など、トリガーコイル2を密に配置することが困難である場合には、コイル部2aの幅などが比較的大きくなるため位置検出精度が低下することになる。したがって、必要とする位置検出精度を考慮して、トリガーコイル2の配置位置を決定することが望ましい。また、所望の検出精度を維持することができるように、トリガーコイル2の磁界強度を調整するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、1本のコイル用ケーブルからなるトリガーコイル2を櫛形状に配置する場合、すなわち、複数のコイル部2aを直列に接続して櫛形状のトリガーコイル2を形成する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、複数のコイル部2aを共通のトリガー発信機3に接続し、すなわち複数のコイル部2aを並列にトリガー発信機3に接続してもよい。要は、所定の順に配置された複数のコイル部2aに対して、3つのトリガー発信機3によって高周波信号を供給することができればどのような形状に配置されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、X−Y平面において、ある座標位置から移動する場合には、この座標位置からその前後左右および斜めの計8方向のいずれかに移動することになるため、前後のどちらに移動したか、また、左右のどちらに移動したかを検出するために、X軸方向に3種類のトリガーコイル2(X1)〜2(X3)、Y軸方向に3種類のトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)、を設け、これら計6種類のトリガーコイル2によって、X−Y平面における位置検出を行なう場合について説明したが、これに限るものではない。
【0076】
例えば、対象エリアが幅の狭い通路など、対象エリアの幅方向の移動(位置)は検出しなくてもよく、前後方向の移動(位置)のみを検出すればよい場合には、例えばY軸方向の3種類のトリガーコイル2(Y1)〜2(Y3)の各コイル部2aが所定の順に繰り返し配置されるようにすることによって、Y軸方向の位置のみを検出するように構成してもよい。この場合、座標変換関数は、y座標のみを変換する関数となるが、その関数は、
図9および
図10に示す対応図におけるy座標を変換するための関数と同様に設定することができる。
【0077】
また、対象エリアの幅方向の位置検出精度がそれほど要求されない場合には、X軸方向には1種類または2種類のトリガーコイル2のみを配置し、幅方向については左右どちらのエリアに存在するかのみを判定するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、コイル部2aの幅は、対象エリアのゲートGの幅(例えば、550mm)程度に設定しているが、任意に設定することができる。
【0078】
また、本実施形態では、コイル部2aにより形成された検知エリアを無線タグ1が通過する際に、検知エリアからトリガー信号を取得することができればよい。前述のように、ゲートGを通って対象エリアに進入した際の最初の区画を位置検出の基準として用いているため、少なくとも、例えばゲートGを通って対象エリアに進入した際の最初の区画を区分するためのコイル部2aの幅は、ゲートGの幅程度に設定することが望ましい。
【0079】
また、上記実施形態では、ゲート前領域にトリガーコイル2を配置してこのトリガーIDをゲートIDとし、このゲートIDが通知されたときに、実空間座標Rの初期位置とトリガーID座標とを対応付ける場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、ゲートGに、このゲートGから対象エリア内に進入した無線タグ1の有無、およびそのタグIDを検出するセンサユニットを設け、このセンサユニットによって、対象エリア内に進入した無線タグ1を検出したとき、そのタグIDと例えばゲートGを特定する情報とを位置検知サーバ6に通知する。位置検知サーバ6は、ゲートGから対象エリア内に進入したときの最初の区画の実空間座標Rを初期位置R
t1としてゲートGと紐付けて記憶しておく。そして、センサユニットからゲートGを特定する情報およびタグIDが通知されたときに、ゲートGに対応する初期位置R
t1を、無線タグ1の初期位置R
t1とし、初期位置において無線タグ1から通知されたトリガーIDからなるトリガーID座標Iとを対応付けるようにしてもよい。なお、これに限るものではなく、ゲートGから対象エリア内に進入した最初の区画における実空間座標Rと、無線タグ1から通知されるトリガーIDからなるトリガーID座標Iとを対応付けることができればどのような手順で対応付けてもよい。
【0080】
また、このように、無線タグ1が所定の計測位置(例えばゲートGから対象エリア内に進入した最初の区画、あるいは対象エリアの中央に設定した区画など)に進入したことおよび無線タグ1のタグIDを検出するセンサユニットを対象エリア内に設け、無線タグ1が前記計測位置に存在するときに、センサユニットが無線タグ1のタグIDとセンサユニットを特定する情報とを位置検知サーバ6に送信し、位置検知サーバ6では、通知されたタグIDとセンサユニットを特定する情報から特定される前記計測位置の実空間座標Rと、無線タグ1が前記計測位置に存在するときに無線タグ1から通知されるトリガーIDからなるトリガーID座標Iと、を対応付けるように構成し、すなわち対象エリア内において実空間座標RとトリガーID座標Iとを再度対応付けるように構成してもよい。このようにすることによって、例えば、何らかによって無線タグ1がトリガーコイル2のトリガーIDを取得することができなくなったために実空間座標RとトリガーID座標Iとの対応がずれた場合であっても、計測位置に進入した時点で正しい対応付けを行なうことができるため、無線タグ1の現在の実空間座標Rの検出精度が低下することを抑制することができる。
【0081】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。
さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。