【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、
溶質および溶媒を含む第1の液体の提供、
該第1の液体の液滴の形成、
該液滴を第2の液体と接触させることで、該溶媒を小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成することを含み、
該溶質がポリマーを含み、該第1の液体のポリマー濃度が少なくとも7%w/vであり、
該第2の液体の該溶媒の溶解度が、第2の液体100ml当たり少なくとも5gの溶媒である、
固体ビーズを作製するための方法が提供される。
【0006】
上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。
【0007】
該第2の液体との溶媒の溶解度は、溶媒と第2の液体が接触する温度で評価される。
【0008】
該第2の液体における溶媒の溶解度は、少なくとも10g/100mlで選択的に少なくとも20g/100mlであってよい。該溶媒は該第2の液体と実施的に混合可能であってよい。
【0009】
該ビーズの最大寸法の変動係数は0.1以下(そして選択的には0.06以下)であってよい。該変動係数は、該ビーズの最大寸法の標準偏差を平均最大寸法で除したものである。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、
溶質および溶媒を含む第1の液体の提供、
該第1の液体の液滴の形成、
該液滴を第2の液体と接触させることで、該溶媒を小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成することを含み、
該溶質がポリマーを含み、該第1の液体のポリマー濃度が少なくとも7%w/vである、
最大寸法の変動係数が0.1以下である固体ビーズを作製するための方法が提供される。
【0011】
上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。該最大寸法の変動係数は0.06以下であってよい。該変動係数は、最大寸法の標準偏差を平均最大寸法で除したものである。
【0012】
本発明の第2の態様の方法では、該第2の液体の該溶媒の溶解度は、第2の液体100ml当たり少なくとも5gの溶媒、選択的に少なくとも10g/100ml、そして選択的に少なくとも20g/100mlであってよい。該溶媒は該第2の液体と実施的に混合可能であってよい。
【0013】
本発明の第1および第2の態様の方法では、該方法は小滴を生成させるために操作可能な圧電部品を含む液滴生成器の提供、および該液滴生成器に該第1の液体の小滴を形成させることを含んでよい。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、
溶質および溶媒を含む第1の液体の提供、
小滴を生成させるために操作可能な圧電部品を含む液滴生成器の提供、
該液滴生成器による該第1の液体の小滴の形成、
該液滴を第2の液体と接触させることで、該溶媒を小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成することを含み、
該溶質がポリマーを含み、該第1の液体のポリマー濃度が少なくとも7%w/vである、
固体ビーズを作製するための方法が提供される。
【0015】
上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。
【0016】
本発明の第3の態様の方法では、該第2の液体の該溶媒の溶解度は、第2の液体100ml当たり少なくとも5gの溶媒、選択的に少なくとも10g/100ml、そして選択的に少なくとも20g/100mlであってよい。該溶媒は該第2の液体と実施的に混合可能であってよい。
【0017】
さらに、該ビーズの最大寸法の変動係数は0.1以下(選択的には0.06以下)であってよい。該変動係数は、該ビーズの最大寸法の標準偏差を平均最大寸法で除したものである。
【0018】
本発明の第1、第2および第3の態様の方法では、該第1の液体の該ポリマー濃度は選択的に少なくとも10%w/v、選択的に少なくとも15%w/v、より選択的に少なくとも20%w/v、選択的に15〜35%w/v、選択的に20〜45%w/v、そしてより選択的に30〜45%w/vであってよい。上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。
【0019】
さらに、本発明の第1、第2および第3の態様の方法では、該溶媒は非水性であってよい。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、
溶質および溶媒を含む第1の液体の提供、
該第1の液体の液滴の形成、
該液滴を第2の液体と接触させることで、該溶媒を小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成することを含み、
該溶質がポリマーを含み、
該溶媒が非水性で第2の液体100ml当たり少なくとも5gの溶解度である、
固体ビーズを作製するための方法が提供される。該溶媒の該第2の液体における溶解度は、少なくとも10g/100ml、そして選択的に少なくとも20g/100mlであってよい。該溶媒は該第2の液体と実施的に混合可能であってよい。
【0021】
非水性溶媒は少量(体積で最大10%)の水を含んでよいが、選択的に体積で最大5%、選択的に体積で最大2%の水を含む。該非水性溶媒は実質的に水を欠き得る。
【0022】
該第1の液体のポリマー濃度は少なくとも7%w/v、選択的に少なくとも10%w/v、選択的に少なくとも15%w/v、選択的に少なくとも20%w/v、選択的に15〜35%、選択的に20〜45%w/v、そしてより選択的に30〜45%w/vであってよい。上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。さらに、該ビーズの最大寸法の変動係数は0.1以下(選択的には0.06以下)であってよい。該変動係数は、該ビーズの最大寸法の標準偏差を平均最大寸法で除したものである。
【0023】
該方法は、小滴を生成させるために操作可能で、該液滴生成器に該第1の液体の小滴を形成させる圧電部品を含む液滴生成器の提供を含んでよい。
【0024】
本発明の第1、第2、第3および第4の態様の方法では、該液滴が該第2の液体に最初に接触してから固体ビーズの形成にかかる時間が15分未満、選択的に5分未満、より選択的に2分未満、そしてより選択的に1分未満であってよい。固体ビーズが形成されたかを断定するのは比較的簡単である。光学顕微鏡下での混濁度の著名な変化により、それらは固体であることが明瞭に観察される。それらは液滴が合体するようには合体せず、合体しないまま操作することができる。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、
溶質および溶媒を含む第1の液体の提供、
該第1の液体の液滴の形成、
該液滴を第2の液体と接触させることで、該溶媒を小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成することを含み、
該溶質がポリマーを含み、該第1の液体のポリマー濃度が少なくとも7%w/vであり、
該液滴が該第2の液体に最初に接触してから固体ビーズの形成にかかる時間が15分未満であってもよい、
固体ビーズを作製するための方法が提供される。
【0026】
上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。
【0027】
該液滴が該第2の液体に最初に接触してから固体ビーズの形成にかかる時間は選択的に5分未満、より選択的に2分未満、そしてより選択的に1分未満であることが好ましい。
【0028】
さらに、該ビーズの最大寸法の変動係数は0.1以下であってよい。該変動係数は、該ビーズの最大寸法の標準偏差を平均最大寸法で除したものである。
【0029】
該方法は、小滴を生成させるために操作可能で、該液滴生成器に該第1の液体の小滴を形成させる圧電部品を含む液滴生成器の提供を含んでよい。
【0030】
該第1の液体のポリマー濃度は少なくとも10%w/v、選択的に少なくとも15%w/v、選択的に少なくとも20%w/v、選択的に15〜35%、選択的に20〜45%w/v、そしてより選択的に30〜45%w/vであってよい。上述されている重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、「%w/v」の算出に言及されている体積(‘v’)は該溶媒の体積である。
【0031】
混乱を避けるため、下記の記述は本発明の第1、第2、第3、第4および第5の態様の方法に関する。
【0032】
理論に縛られることを望むものではないが、平衡になるよう、該溶媒は該第2の液体に溶解すると考えられる。該溶媒は該第2の液体と実施的に混合可能であり、該第2の液体は体積過剰なため、該溶媒は溶質から離れて、該第2の液体と急速に平衡化する。
【0033】
該方法は、前記液滴を気体に通過させ該第2の液体に接触させることを含んでよい。該方法は、前記液滴を、気体を通って排出させ該第2の液体に接触させることを含んでよい。該方法は、付加的にまたは代わりに、重力の影響下で、液滴を気体に通過させ該第2の液体と接触させることを含んでよい。たとえば、圧電ディスペンサーは、ゼロでない初速度で下向きに小滴を排出する。該小滴は、該圧電ディスペンサーが下向きに小滴を排出するよう配置された場合にも、重力の影響を受ける。
【0034】
該小滴は、1〜50mm、選択的に1〜30mm、より選択的には2〜25mm、さらに選択的には3〜20mmの気体(典型的には空気)を通ってよい。
【0035】
本発明の方法は、典型的には平均最大寸法が10〜200μm、好ましくは20〜150μm、そしてより好ましくは40〜120μmである固体ビーズの作製に用いられてよい。該固体ビーズが略球状であることが好ましい。
【0036】
該液滴の平均直径と該ビーズの平均最大寸法(該ビーズが略球状である場合、典型的には平均寸法)の比率が約4:1未満、選択的に約3:1未満、より選択的には約2:1未満、そして選択的に約1.5:1未満であってよい。小滴の寸法は、たとえば、高速度カメラを用いて測定されてよい。
【0037】
該ポリマーは、典型的には生体適合性ポリマーである。「生体適合性」とは、典型的には生体細胞、組織、臓器、または器官と適合し、免疫機構による損傷、毒性、または拒絶反応のリスクがないと受け取られる。用いることができるポリマーの例は、Purasorb
PDL 02A、Purasorb PDL 02、Purasorb PDL 04、Purasorb PDL 04A、Purasorb PDL 05、Purasorb
PDL 05A、Purasorb PDL 20、Purasorb PDL 20Aなどの(さまざまな末端基をもつ)ポリラクチド;Purasorb PG 20などの(さまざまな末端基をもつ)ポリグリコリド;ポリカプロラクトン;ポリ無水物;およびPurasorb
PDLG 5004、Purasorb PDLG 5002、Purasorb PDLG 7502、Purasorb PDLG 5004A、Purasorb PDLG
5002A、resomer RG755S、Resomer RG503、Resomer RG502、Resomer RG503H、Resomer RG502H、RG752、RG752Hなどの(さまざまな末端基をもち、乳酸対グリコール酸比および分子量が含まれてもよい)乳酸とグリコール酸とのコポリマー、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、該溶質は、水に実質的に溶解しないことが好ましい(該第2の液体として水を用いることは便利である)。
【0038】
該第2の液体が水を含む場合、該溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、n−メチルピロリドン、ヘキサフルオロ−イソプロパノール、グリコフロール、PEG200およびPEG400などの水混和性有機溶媒であることが好ましい。
【0039】
特にポリマーがポリ(α-ヒドロキシ)酸を含む場合、該ポリマーの重量平均分子量(MW)は、4〜700キロダルトンであってもよい。該ポリマーが(しばしば「PLGA」とよばれる)乳酸とグリコール酸のコポリマーを含む場合には、前記ポリマーは4〜120キロダルトン、好ましくは4〜15キロダルトンの重量平均分子量を有してもよい。
【0040】
該ポリマーがポリラクチドを含む場合には、前記ポリマーは4〜700キロダルトンの重量平均分子量を有してもよい。
【0041】
特に該ポリマーがポリ(α-ヒドロキシ)酸を含む場合には、該ポリマーは、0.1〜2dl/gの固有粘度を有してもよい。該ポリマーが(しばしば「PLGA」とよばれる)乳酸とグリコール酸のコポリマーを含む場合には、前記ポリマーは0.1〜1dl/g、そして選択的には0.14〜0.22dl/gの固有粘度を有してもよい。該ポリマーがポリラクチドを含む場合には、前記ポリマーは0.1〜2dl/g、そして選択的には0.15〜0.25dl/gの固有粘度を有してもよい。該ポリマーがポリグリコリドを含む場合には、前記ポリマーは0.1〜2dl/g、そして選択的には1.0〜1.6dl/gの固有粘度を有してもよい。該第1の液体が、該固体ビーズ中にカプセル化されていることが望ましいターゲット材料を含むことが好ましい。該ターゲット材料は、粒子として該第1の液体に組み込まれてもよく、また溶解されてもよい。該ターゲット材料は薬学的活性剤を含んでもよく、また薬学的活性剤の前駆体であってもよい。薬学的活性剤は、たとえば、これだけに限らないが、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤を含む、非経口送達に適した任意の薬剤であってよい。特に制御放出非経口送達によるポリマービーズ中の薬物の送達は、たとえば水難溶性、高毒性、低吸収性特徴を有する薬物の場合に特別の利点を有するが、本発明はそのような薬剤とともに用いることに限定されるものではない。該活性剤は、たとえば低分子の薬物または高分子などのより複雑な分子であってよい。該薬学的活性剤はペプチド剤を含んでよい。「ペプチド剤」という用語には、しばしば一般に「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」と称されるポリ(アミノ酸)が含まれる。この用語にはまた、ペプチド剤アナログ、誘導体、アシル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグ化誘導体、融合タンパク質などが含まれる。本発明の方法において用いることができるペプチド剤には(これだけに限らないが)、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン、成長ホルモンおよび成長因子が含まれる。適切なペプチド剤のさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0034]〜[0040]を参照)にある。該薬学的活性剤はゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRHR)アゴニストであってよい。ゴナドトロピン放出ホルモン受容体アゴニストは、当業者にはしばしばゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストとして知られている。たとえば、GnRHRアゴニストはリュープロレリン(一般にリュープロライドとして知られている)またはその前駆体であってよい。
【0042】
該ターゲット材料(特に薬学的活性剤またはその前駆体である場合)は、該ポリマーの重量に対し2〜60%w/w、選択的に5〜40%w/w、より選択的に5〜30%w/w、そしてさらに選択的に5〜15%w/wの量提供されてもよい。
【0043】
該ターゲット材料がペプチド剤を含む場合には、該第1の液体は1つまたは複数の三次構造変化阻害剤を含んでもよい。三次構造変化阻害剤の例は:糖、糖部分を含む化合物、(グリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどの)ポリオール、(炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムなどの)固体または溶解された緩衝剤、および(CaCl
2、MnCl
2、NaClおよびNiCl
2などの)金属塩である。該第1の液体は、三次構造変化阻害剤を最大25%w/w含んでよい。三次構造変化阻害剤の重量パーセントは該ポリマー重量の割合で算出される。たとえば、該第1の液体は金属塩を0.1〜10%w/w(選択的には1〜8%w/w、そしてより選択的には3〜7%w/w)、およびポリオールを0.1〜15%w/w(選択的には0.5〜6%w/w、そしてより選択的には1〜4%w/w)含んでよい。
【0044】
該第2の液体は、(典型的にはポリマーである)該溶質が実質的に溶解しない任意の液体を含んでよい。そのような液体は、時々「非溶媒」と称される。適切な液体は、たとえば、水、メタノール、エタノール、プロパノール(例、1−プロパノール、2−プロパノール)、ブタノール(1−ブタノール、2−ブタノール、またはtert−ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールおよび高級アルコール;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタンおよび高級炭化水素を含む単純炭化水素が含まれ得る。所望であれば、液体の混合物を用いることができる。
【0045】
該第2の液体は第2の液体の流れとして提供されてよく、該方法は該液滴を第2の液体の流れと接触させることを含んでよい。第2の液体の流れは、小滴が最初に該第2の液体に衝突する部位から小滴を輸送し、それにより効果的に該小滴間の間隔をあけ(そこから該ビーズが形成され)るので、該小滴を第2の液体の流れに接触させることは有利である。これは、小滴が癒着する機会を減らす。第2の液体の流れ中の隣接する小滴/ビーズの間隔が、該小滴の平均直径の少なくとも2倍(選択的に少なくとも3倍、選択的に5倍未満、そして選択的に10倍未満)であってよい。これは、分注メカニズムの放電周波数および該第2の液体の流速との適切な相関により得られ得る。該第2の液体の流速は少なくとも50ml/分であってよい。
【0046】
したがって、該方法は、最初の位置で該液滴が該第2の液体に最初に接触し、最初の位置より下流で該固体ビーズを集めることを含むのが好ましい。
【0047】
本発明の方法は、該固体ビーズを該第2の液体から分離することを含んでよい。
【0048】
該第2の液体は、水を含むのが好ましく、また選択的には1つまたは複数の界面活性剤、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール(例、1−プロパノール、2−プロパノール)、ブタノール(例、1−ブタノール、2−ブタノール、またはtert−ブタノール)、イソプロピルアルコール、Polysorbate20、Polysorbate40、Polysorbate60およびPolysorbate80などのアルコールと共に含むのが好ましい。アルコールのような界面活性剤は、小滴を受容する該第2の液体の表面張力を低下させ、該第2の液体に衝突する場合の該小滴の変形を減少させ、それにより球状でない小滴形成の可能性を減らす。これは、該小滴からの該溶媒の抽出が急速な場合に特に重要である。
【0049】
該第2の液体が水および1つまたは複数の界面活性剤を含む場合には、該第2の液体の該界面活性剤含有量は1〜95%v/v、選択的に1〜30%v/v、選択的に1〜25%v/v、より選択的には5%〜20%v/v、そしてさらに選択的には10〜20%v/vであってよい。該界面活性剤の体積パーセントは、該第2の液体の体積に対して算出される。
【0050】
該第2の液体の組成は、該液滴が第2の液体に最初に接触する点からの距離に応じて変化してよい。たとえば、該第2の液体の該界面活性剤の濃度が、該液滴が該第2の液体に最初に接触する点からの距離に応じて変化してもよい。たとえば、球状ビーズの形成を容易にするため、該小滴が該第2の液体に最初に接触する点において、該界面活性剤の濃度は比較的高く(たとえば、30〜50%v/v)てもよい。該小滴が該第2の液体に最初に接触する点の下流では、界面活性剤の濃度はより低くてもよい。これは、たとえば、(水のような)該第2の液体の大部分を構成する液体を、該第2の液体の流れに導入することで達成できる。前記液体の導入により、ビーズを形成するために該溶媒が該小滴から抽出される割合が増加され得る。
【0051】
したがって、本発明の方法は、前記小滴を該第2の液体に接触させた後で、前記小滴を取り囲む該第2の液体の界面活性剤の濃度を低下させることを含んでもよい。
【0052】
したがって、小滴が該第2の液体に最初に接触する点の、該第2の液体の下流における界面活性剤の濃度は、小滴が該第2の液体に最初に接触する点における該第2の液体の界面活性剤の濃度より低くてもよい。
【0053】
該第2の液体は水を含み(即ち、水性である)、表面張力が60mNm
−1未満、選択的に50mNm
−1未満、より選択的には40mNm
−1未満、そしてさらに選択的には35mNm
−1であることが好ましい。
【0054】
ターゲット材料が該第1の液体に提供されている場合には、該第2の液体は塩および/またはポリオールなどの1つまたは複数のオスモル濃度変化剤を提供されてもよい。該オスモル濃度変化剤は、該ターゲット材料の該第2の液体への拡散を相当量阻止することで、該ターゲット材料を一旦形成されたビーズ内に保持するのに役立つオスモル濃度を作り出すよう、該第2の液体に加えられる。該オスモル濃度変化剤は、(ナトリウムおよびマグネシウムの塩化物などの)金属塩、並びにグリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどのポリオールを含んでもよい。
【0055】
オスモル濃度変化剤の総濃度は、0.1〜2M、典型的には0.2〜1M、そして選択的には0.3〜0.8Mであってもよい。たとえば、第2の液体はNaCl溶液を0.4M、およびソルビトール溶液を0.4M含んでもよく、したがって、該第2の液体は総濃度0.8Mのオスモル濃度変化剤を含む。
【0056】
該小滴が最初に接触した時の該第2の液体の温度は、周囲温度以上であってよい。本発明の方法において、該小滴を冷却するためには一般に該第2の液体を冷却する必要はない。該第2の液体が周囲温度未満であることが時々、望まれ得る。該小滴が最初に接触した時の該第2の液体の温度は、0〜25℃、選択的に5〜20℃、選択的に5〜15℃、そして選択的に5〜10℃であってもよい。該第2の液体の温度は、そのようにして製造されたビーズの1つまたは複数の特性に影響し得ることが見出された。たとえば、該第2の液体がより低い温度だと、作製されたビーズはより大量の(医薬品などの)充填剤を含み得ること、孔がより少なくなり得ること、そしてより長い時間尺度で充填剤を放出することが見出された。
【0057】
該第2の液体のpHは、たとえば、3〜10であってよい。該第2の液体のpHは、該ビーズの表面形態に影響を及ぼし得ることが見出された。
【0058】
該小滴が該第2の液体に最初に接触する該第2の液体の領域において、該第2の液体の深さは少なくとも0.1mm、選択的に少なくとも0.3mm、そしてより選択的には0.3〜3mmの深さであってもよい。
【0059】
該小滴が該第2の液体に最初に接触する該第2の液体の領域において、該第2の液体は該小滴の平均最大寸法の少なくとも2倍の深さ、選択的には該小滴の平均最大寸法の少なくとも3倍、そしてより選択的には該小滴の平均最大寸法の少なくとも3倍〜50倍の深さであってもよい。
【0060】
小滴を生成するステップが圧電部品を用いて実施される場合、液滴を生成するステップは、圧電部品に電気信号を入れることを含んでもよい。該電気信号の周波数は200〜10000Hz、選択的に400〜6000Hz、そしてより選択的には500〜4000Hzであってよい。信号の形状は、たとえば、矩形であってもよい。該信号は、3〜50μs、選択的に5〜30μs、そしてより選択的に7〜20μsのパルス長を有してもよい。パルス間隔は、400〜2000μsであってもよい。たとえば、電気信号の周波数が500〜800Hzの場合には、パルス間隔は、典型的には1200〜1600μsであってもよい。たとえば、電気信号の周波数が1700〜2300Hzの場合には、パルス間隔は、典型的には400〜600μsであってもよい。該信号の電圧は30〜100V、そして選択的に40〜80Vであってよい。
【0061】
該方法は、液滴の形成前に該第1の液体を加熱することを含んでよい。該第1の液体は50〜100℃、そして選択的に50〜80℃の温度に加熱されてよい。該第1の液体を加熱することで粘度は低下し、それにより小滴の形成は容易になる。
【0062】
該方法は、該第2の液体を加熱することを含んでよく、選択的には液滴が該第2の液体に接触する前に加熱することを含んでよい。
【0063】
該方法は、選択的に該第2の液体を冷却することを含んでよく、選択的には液滴が該第2の液体に接触する前に冷却することを含んでよい。該第2の液体の温度は、液滴から形成された1つまたは複数の該固体ビーズの特性(たとえば、ビーズの多孔性)に影響し得ることが見出された。たとえば、該第2の液体の温度は、寸法、多孔性および基剤が医薬品のような任意の充填剤をカプセル化する効率の1つまたは複数に影響し得る。
【0064】
該方法は、
該第2の液体が流れる1つまたは複数の流路;
該第1の液体の小滴を生成する1つまたは複数の液滴生成器;
該第2の液体の流れを生じさせる1つまたは複数の手段;
該液滴生成器を支持する1つまたは複数の支持体;および
該液滴生成器の操作を制御するための1つまたは複数の信号発生器
の1つまたは複数の提供を含んでもよい。
【0065】
該第2の液体が流れる流路の寸法は、典型的な実験条件により変化してもよい。たとえば、流路の長さは、液滴の脱溶媒和の速さおよび流路を通る該第2の液体の流速によりある程度影響されてもよい。典型的には、流路の長さは10〜1000mm、選択的に20〜200mm、さらに選択的に30〜100mmであってもよい。
【0066】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路は、実質的に均一な断面を有してよい。
【0067】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路は、断面が略U字形であってもよい。該形状は、容易に製造できる。該U字形は、丸底または平底のU字形であってよい。
【0068】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路は、断面が略V字形であってもよい。
【0069】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路の深さは、その幅よりも大きくてよい。そのような設計により、任意の周囲の空気の動きから(典型的には低質量の)該小滴を保護し得る。
【0070】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路の幅は、0.5〜20mm、選択的には1〜10mm、より選択的には2〜6mmであってよい。そのような流路は、大量の第2の液体を必要としていないが、該装置の比較的単純な組み立てを可能にするため、十分に幅広い。たとえば、小滴生成器と流路の配置は、そのような幅の流路を有することで簡易化される。
【0071】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路の深さは、0.5〜20mm、選択的には1〜10mm、より選択的には2〜10mmであってよい。そのような流路は、該小滴に対する望ましくない影響を有するかもしれない、任意の周囲の空気の動きから保護できるよう、十分に深い。
【0072】
小滴が該第2の液体に最初に接触する点の下流における該流路の長さが、前記小滴導入点の上流における該流路の長さの少なくとも1倍(選択的には少なくとも2倍、さらに選択的には少なくとも3倍)大きいことが好ましい。
【0073】
該流路は、流路キャリアに形成されてもよい。
【0074】
該流路は、横方向に移動可能であってよい。これは、該流路と該液滴生成器を互いに調整するのに役立ち得る(これは、該液滴生成器で生成された小滴が該流路に落下するのを確実にするために重要である)。これに関連して、(存在するならば)該流路キャリアは横方向の移動のため、備え付けられてもよい。
【0075】
該流路は、枢動可能であってよい。これは、該流路と該液滴生成器を互いに調整するのに役立ち得る(これは、該液滴生成器で生成された該小滴が該流路に落下するのを確実にするために重要である)。これに関連して、(存在するならば)該流路キャリアは枢動のため、備え付けられてもよい。
【0076】
該方法は、該液滴生成器が、該流路中の該第2の液体に小滴を注ぐよう操作可能であることを確実にするために、該流路と液滴生成器を互いに調整する手段の提供を含んでもよい。
【0077】
該流路と液滴生成器を互いに調整する手段は、(存在するならば)該流路キャリアと接触するための1つまたは複数の調節面を含み、1つまたは複数の該調節面と該流路キャリアの接触により、該液滴生成器から小滴を受容するよう該流路キャリアが調整される。該流路と液滴生成器を調整する手段は、典型的には該流路キャリアの両側に1つずつの2つの調節面を含んでもよい。少なくとも1つの調節面の少なくとも一部は、カーブしていてもよい。2つの該調節面は、それらの間に間隔が定められてもよい。2つの該調節面の間隔は、該調節面の一方の端で他方の端よりも大きくてもよい。これは、該小滴生成器に対する該流路の簡単な調整を容易にする。
【0078】
1つまたは複数の該調節面が、該液滴生成器に付随していてもよい。該装置には液滴生成器支持体が備えられてもよく、その場合、1つまたは複数の該調節面は、該液滴生成器支持体と一体、または取り付けられていてよい。このような設計は、該液滴生成器に対する該流路の調整を容易にする。典型的には、該液滴生成器と2つの該調節面の平行移動により、2つの該調節面の間隔に該流路キャリアが受容される。2つの該調節面の間隔は、該流路キャリアが最終位置にあるとき、小滴が該流路の中心に注がれるように、該流路と液滴生成器が適正に並べられるような間隔である。
【0079】
該流路は傾斜していてもよい。該流路の傾斜は、該流路に沿ったビーズの動作に役立ち、該流路の端へのビーズの付着を防ぐ補助をする。これは、低い界面エネルギーを有さない、鋼鉄のような材料で該流路が形成されている場合には、問題となり得る。該傾斜角は、0.5〜30°、そして選択的には1〜20°であってよい。
【0080】
該傾斜角は、たとえば0.5〜30°、そして選択的には1〜20°と、可変であってもよい。
【0081】
該方法は、該流路を傾斜する手段の提供を含んでもよい。該流路を傾斜する手段は、典型的には、(該装置が流路キャリアを含む場合には)該流路キャリアを傾斜する手段を含む。該流路を傾斜する手段は、該傾斜角を変化させるために操作可能であってもよい。該流路を傾斜する手段は、1つまたは複数(および典型的には2つ)の該流路に付随する第1面と、1つまたは複数(および典型的には2つ)の該液滴生成器に付随する第2面を含んでもよく、該流路を傾斜するために、各々の第1面は対応する第2面と係合している。1つまたは複数(および典型的には各々)の該第1面は典型的には実質的に下を向く。1つまたは複数(および典型的には各々)の該第2面は典型的には上を向く。少なくとも1つ(および典型的には各々)の該第1面には、内向きまたは外向きに突出し得る、横方向に突出したリップが備えられてもよい。該装置は、典型的にはそのようなリップを2つ、該流路の両側に1つずつ、備える。少なくとも1つの該第1面は、該流路に対して傾斜していてもよい。少なくとも1つ(および典型的には各々)の該第2面には、突起が備えられてもよい。前記突起は、選択的に外向きに突出してもよい。
【0082】
典型的には、液滴生成器の動作が少なくとも1つの第2面の動作を起こし、第1面に対する少なくとも1つの第2面の動作が、流路の傾斜の角度を変化させる。
【0083】
該小滴生成器は(存在するならば)、小滴生成口を含んでもよい。該小滴生成口と第2の液体の流れの表面の最も近い間隔は、典型的には1〜50mm、選択的には1〜30mm、より選択的には2〜25mm、さらに選択的には3〜20mmであってよい。
【0084】
典型的には、第2の液体の流れは深さ0.5〜2mmであってよく、そのため小滴生成口と流路の底の最も近い間隔は、典型的には3〜50mm、選択的には3〜30mm、より選択的には4〜25mm、さらに選択的には4〜20mmであってよい。
【0085】
該方法は、第2の液体を加熱するために操作可能な加熱器の提供を含んでもよい。該方法は、第2の液体を冷却するために操作可能な冷却器の提供を含んでもよい。
【0086】
疑義が生じないために、固体ビーズはゲルの形態であってよい。
【0087】
第1の液体は、溶媒中に溶解された溶質を含まなくてもよい。第1の液体は、固体粒子が分散されたキャリア液を含む可能性がある。同様に、上述の装置の液滴生成器から注がれた液体は、固体粒子が分散されたキャリア液を含んでもよい。
【0088】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第1、第2、第3、第4または第5の態様による方法で作製または作製可能な1つまたは複数のビーズが提供される。