特許第6117730号(P6117730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117730
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】組立式発泡箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/04 20060101AFI20170410BHJP
   B65D 13/00 20060101ALI20170410BHJP
   B65D 6/04 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B65D21/04
   B65D13/00 Z
   B65D6/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-82077(P2014-82077)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-163526(P2015-163526A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-18665(P2014-18665)
(32)【優先日】2014年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593025619
【氏名又は名称】トーホー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】楠田 真太郎
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−212315(JP,A)
【文献】 実開平03−045846(JP,U)
【文献】 実開昭62−200588(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3104698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/04
B65D 6/04
B65D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡合成樹脂により成型され、多角形状の底板及びこの底板の周囲各辺のうちの一の辺を除いた各辺から一体に立設された側板を有する箱型部と、前記箱型部の一の側面に取り外し可能に係止される矩形状の取付用側板と、多角形状の蓋板と、を備える組立式発泡箱において、
前記取付用側板には、その側面に沿って凸条部が形成され、
前記底板には、その上面の前記一の辺に沿って、前記取付用側板の下側面の凸条部が差し込まれる凹条溝部が形成され、
前記側板には、前記取付用側板が係止される辺において、前記取付用側板の左右側面の凸条部がスライド嵌合されるスライド溝部が形成され
前記蓋板は、その下面の周方向に沿って形成され、前記取付用側板の上側面に形成された凸条部及び前記箱型部の上面に形成された第2の凸条部が差し込まれる凹部を有する、ことを特徴とする組立式発泡箱。
【請求項2】
前記蓋板には、その各コーナ部分において、複数の半円筒形の連通口、及び当該複数の連通口間の空間を繋ぐための段差部が設けられる、ことを特徴とする請求項1記載の組立式発泡箱。
【請求項3】
前記取付用側板の凸条部には、その長手方向に沿って、所定範囲に亘って設けられた山型部が形成され、
前記底板の凹条溝部、前記側板のスライド溝部、及び前記蓋板の凹部の少なくとも1つの内側面には、前記山型部を係止するための窪み部が形成される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の組立式発泡箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡スチロールなどで形成された組立式発泡箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生鮮食料品などを収容して運搬するために箱形状の発泡箱が用いられている。発泡箱は、通常、箱形状の本体部と蓋部とから形成されているため、何も収容されていないような発泡箱は嵩高であり、コンパクトではないという問題がある。そこで、容器本体を底板と前後左右の側板とに分割形成し、これらを組み立てることができるようにした発泡スチロール製の断熱容器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−58682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示す組立式発泡箱において、側板には外側に突設して設けられた支持壁が設けられており、必ずしもコンパクト化できたとまでは言えない。
【0005】
また、組立式発泡箱では、使用の際には箱の強度を保ちながら容易に組み立てることができるようにする一方、不使用時には容易に分解できるようにする必要がある。しかしながら、上記特許文献1に示す組立式発泡箱は蝶番手段などを用いるため、その組み立てや分解に手間を要するという問題もある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不使用時においてはコンパクト化でき、且つ極めて容易に組み立てや分解ができる組立式発泡箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、発泡合成樹脂により成型され、多角形状の底板及びこの底板の周囲各辺のうちの一の辺を除いた各辺から一体に立設された側板を有する箱型部と、前記箱型部の一の側面に取り外し可能に係止される矩形状の取付用側板と、多角形状の蓋板と、を備える組立式発泡箱において、前記取付用側板には、その側面に沿って凸条部が形成され、前記底板には、その上面の前記一の辺に沿って、前記取付用側板の下側面の凸条部が差し込まれる凹条溝部が形成され、前記側板には、前記取付用側板が係止される辺において、前記取付用側板の左右側面の凸条部がスライド嵌合されるスライド溝部が形成され、前記蓋板は、その下面の周方向に沿って形成され、前記取付用側板の上側面に形成された凸条部及び前記箱型部の上面に形成された第2の凸条部が差し込まれる凹部を有することを特徴とするものである。
【0009】
この組立式発泡箱において、前記蓋板には、その各コーナ部分において、複数の半円筒形の連通口、及び当該複数の連通口間の空間を繋ぐための段差部が設けられることが好ましい。
【0010】
この組立式発泡箱において、前記取付用側板の凸条部には、その長手方向に沿って、所定範囲に亘って設けられた山型部が形成され、前記底板の凹条溝部、前記側板のスライド溝部、及び前記蓋板の凹部の少なくとも1つの内側面には、前記山型部を係止するための窪み部が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る組立式発泡箱は、矩形状の底板の周囲各辺のうちの一の辺を除いた各辺から一体に立設された側板を有する箱型部と、箱型部の一の側面に係止される矩形状の取付用側板とを有する。取付用側板の側面には凸条部が形成され、箱型部の底板には取付用側板の下側面の凸条部が差し込まれる凹条溝部、箱型部の側板には取付用側板の左右側面の凸条部がスライド嵌合されるスライド溝部が形成されている。この構成により、本発明では、不使用時においてはコンパクト化でき、且つ極めて容易に組み立てや分解ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)本発明の実施の形態1に係る組立式発泡箱を組み立てる前の状態を示した斜視図、(b)同上組立式発泡箱の本体部の斜視図である。
図2】(a)同上組立式発泡箱の箱型部を積み重ねる前の状態を示した斜視図、(b)前記箱型部を積み重ねた状態を示した斜視図、(c)さらに複数の前記箱型部を積み重ねた状態を示した斜視図、(d)同上組立式発泡箱の取付用側板を内部に収容した状態を示す斜視図である。
図3】(a)同上箱型部の正面図、(b)同上箱型部の左側面図、(c)同上箱型部の上面図、(d)同上箱型部の右側面図、(e)同上箱型部の底面図、(f)同上箱型部のA−A線断面図、(g)同上箱型部のB−B線断面図である。
図4】(a)同上取付用側板の上面図、(b)同上取付用側板の左側面図、(c)同上取付用側板の正面図、(d)同上取付用側板の右側面図、(e)同上取付用側板の背面図、(f)同上取付用側板の底面図である。
図5】(a)同上本体部の正面図、(b)同上本体部の左側面図、(c)同上本体部の上面図、(d)同上本体部のC−C線断面図、(e)同上本体部の底面図、(f)同上本体部のD−D線断面図である。
図6】(a)同上組立式発泡箱の蓋板の正面図、(b)同上蓋板の左側面図、(c)同上蓋板の底面図、(d)同上蓋板のE−E線断面図、(e)同上蓋板の上面図、(f)同上蓋板のF−F線断面図である。
図7】(a)同上蓋板のコーナ部の拡大図、(b)同上蓋板のコーナ部のH−H線断面図である。
図8】(a)上記実施の形態1の変形例に係る組立式発泡箱に備わる取付用側板の上面図、(b)同上取付用側板の左側面図、(c)同上取付用側板の正面図、(d)同上取付用側板の右側面図、(e)同上取付用側板の背面図、(f)同上取付用側板の底面図である。
図9】同上変形例における取付用側板と底板との係合状態の説明図である。
図10】(a)本発明の実施の形態2に係る組立式発泡箱を組み立てる前の状態を示した斜視図、(b)同上組立式発泡箱を構成する取付用側板の内面側の斜視図である。
図11】(a)本発明の実施の形態2の変形例に係る組立式発泡箱を組み立てる前の状態を示した斜視図、(b)同上組立式発泡箱の箱型部の側板及び底板に形成された凸部の上面図、(c)同上組立式発泡箱を構成する取付用側板の内面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る組立式発泡箱について図1乃至図7を参照して説明する。図1(a)は組立式発泡箱1を組み立てる前の状態を示しており、組立式発泡箱1は、発泡合成樹脂により成型され、矩形状の底板2a及びこの底板2aの周囲各辺のうちの一の辺を除いた各辺から一体に立設された側板2b,2c,2dを有する箱型部2と、箱型部2の一の側面に取り外し可能に係止される矩形状の取付用側板3と、を備える。組立式発泡箱1は、例えば、ネギなどの食料品、精密機械、電化製品等の保存、保管、運搬等に使用されるものであり、また、発泡合成樹脂は、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂である。
【0016】
箱型部2の底板2aには、図1に示すように、その上面の取付用側板3が取り付けられる一の辺に沿って、取付用側板3の下側面に形成された凸条部3aが差し込まれる凹条溝部2eが形成されている(図3をも参照)。また、側板2b,2dは、取付用側板3が係止される辺に沿って、取付用側板3の左右側面に形成された凸条部3b,3cがスライド嵌合されるスライド溝部2f,2gが形成されている。そして、図1(b)に示すように、取付用側板3の凸条部3a,3b,3cが、箱型部2の凹条溝部2e,2f,2gに差し込まれることで組立式発泡箱1の本体部4が組み立てられる。
【0017】
次に、不使用状態における組立式発泡箱1の保管方法を、図2を用いて説明する。図2(a),(b)に示すように、組立式発泡箱1の2つの箱型部2は、同じ一の側面を有していないために、その不使用状態においては、互いに上下左右方向が逆になる方向で積み重ねることができる。また、図2(c),(d)に示すように、取付用側板3は、その積み重ねされた2つの組立式発泡箱1の内部空間に収容できる。従って、従来の発泡箱と比較して、本実施の形態1に係る組立式発泡箱1では、保管に必要なスペースを略半分にでき、不使用時において嵩高となるという問題を解消できる。
【0018】
矩形状の取付用側板3は、図4に示すように、その側面に沿って凸条部3a〜3dが形成されている。また、図5は、本実施の形態1に係る組立式発泡箱1において箱型部2と取付用側板3とが組み立てられた状態を示している。
【0019】
組立式発泡箱1は、図6に示すように、さらに多角形状(矩形状)の蓋板5を有し、この蓋板5は、その下面の周方向に沿って形成され、箱型部2の上面に形成された凸条部(第2の凸条部)2h〜2j、及び取付用側板3の上側面に形成された凸条部3dが差し込まれる凹部5aを有する。
【0020】
また、蓋板5のコーナ部分Gは、図7に示すように、この蓋板5を本体部4に装着したとき、外部と本体部4との間で空気の出し入れがされるように、複数の半円筒形の連通口5b,5c,5d、及び当該複数の連通口5b,5c,5d間の空間を繋ぐために凹部5aよりも深い段差部5eが設けられている。
【0021】
以上の説明のように、本実施の形態1において、矩形状の取付用側板3には、その下側面及び左右側面に沿って凸条部3a〜3dが形成される。また、箱型部2の底板2aには、その上面の取付用側板3が取り付けられる一の辺に沿って、取付用側板3の凸条部3aが差し込まれる凹条溝部2eが形成される。また、側板2b,2dは、取付用側板3が係止される辺において、取付用側板3の凸条部3b,3cがスライド嵌合されるスライド溝部2f,2gが形成される。これらの構成により、本実施の形態1に係る組立式発泡箱1では、不使用時においてはスペースを取ることなく、コンパクト化でき、且つ極めて容易に組み立てや分解ができる。従って、極めてコンパクトな状態で組立式発泡箱1の輸送や保管ができ、従来の発泡箱における在庫スペースや輸送コストなどの問題を解決することができる。
【0022】
また、蓋板5には通気のための連通口5b,5c,5dや段差部5eが形成されている。このため、組立式発泡箱1の内部空間と外気との間に隙間ができ、この結果、組立式発泡箱1の内部湿度や温度を、外気を調整することで容易に調整できる。またさらに、組立式発泡箱1の廃棄に際にしても、箱型部2と取付用側板3と蓋板5とに分解することで、極めて容易に且つコンパクトな状態で廃棄できる。
【0023】
(変形例)
本実施の形態1の変形例について図8及び図9を参照して説明する。本変形例では、図8に示すように、取付用側板3の凸条部3a〜3dには、取付用側板3の周方向(凸条部3a〜3dの長手方向)に沿って、所定範囲に亘って設けられた山型部3e〜3hが形成されている。また、底板2aの凹条溝部2e及び側板2b,2cのスライド溝部2f,2gの内側面には、山型部3e〜3gを係止するための窪み部が形成されている。さらに、蓋板5の凹部5aの内側面には、山型部3hを係止するための窪み部5f(図6参照)が形成されている。例えば、図9に示すように、取付用側板3の下側の凸条部3aにおいて外方に突出した形状で形成された山型部3eは、底板2aの凹条溝部2eの内側面に形成された窪み部2nに係止される。この構成により、本変形例においては、上記実施の形態1の効果に加えて、箱型部2、取付用側板3、及び蓋板5の間をより強固に固定することができるという作用効果を奏する。
【0024】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る組立式発泡箱について、図10を参照して説明する。なお、本実施の形態2の説明において上記実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0025】
図10に示すように、本実施の形態2において、取付用側板3には、その内側側面の周方向に沿って凹条溝部3iが形成される。底板2aには、取付用側板3が取り付けられる側の側面において、取付用側板3の凹条溝部3iに差し込まれる凸部2kが形成される。側板2b,2dには、取付用側板3が取り付けられる側の側面において、取付用側板3の凹条溝部3iに差し込まれる凸部(第2の凸部)2l,2mが形成される。さらに、図示していないが、蓋板5にも、取付用側板3が取り付けられる側の側面において、取付用側板3の凹条溝部3iに差し込まれる凸部が形成される。
【0026】
従って、本実施の形態2に係る組立式発泡箱1の構造によっても、上記実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、不使用時においてはスペースを取ることなく、コンパクト化でき、且つ極めて容易に組み立てや分解ができる組立式発泡箱1を実現できる。
【0027】
(変形例)
本実施の形態2の変形例について、図11を参照して説明する。本変形例において、組立式発泡箱の側板2b,2dには、取付用側板3が取り付けられる側の側面において、取付用側板3の凹条溝部3jが差し込まれる凸部(第2の凸部)2о,2pが形成されている。そして、図11(b)に示すように、これら凸部2о,2pは、底板2aから蓋板側に向かって幅広となる形状(例えばテーパ形状など)を有している。
【0028】
取付用側板3を組立式発泡箱の箱型部2に取り付ける場合には、図11(a)の点線矢印で示すように、取付用側板3の凹条溝部3jの先端側を、側板2b,2dの凸部2о,2pの略中間位置に差し込んでスライドさせながら取付用側板3の凹条溝部3jと凸部2k,2о,2pとを嵌合させる。このような構造により、本変形例では、上記実施の形態2に係る組立式発泡箱の作用効果に加えて、取付用側板3をより強固に、且つ隙間なく箱型部2に固定することができる。
【0029】
なお、上述した実施の形態1,2では、直方体形状の組立式発泡箱1を用いて説明したが、立方体でもよく、五角型や六角型などの多角形状を有している組立式発泡箱にも、適用することができる。また、各部材の係合に用いる凹凸形状を逆にしても構わない。
【符号の説明】
【0030】
1 組立式発泡箱
2 箱型部
2a 底板
2b,2c,2d 側板
2e 凹条溝部
2f,2g スライド溝部
2h,2i,2j 第2の凸条部
2k 凸部
2l,2m 第2の凸部
2n 窪み部
2о,2p 凸部
3 取付用側板
3a,3b,3c,3d 凸条部
3e,3f,3g,3h 山型部
3i,3j 凹条溝部
4 本体部
5 蓋板
5a 凹部
5b,5c,5d 連通口
5e 段差部
5f 窪み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11