特許第6117785号(P6117785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117785
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】拘縮対策具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/37 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   A61F5/37 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-524869(P2014-524869)
(86)(22)【出願日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】JP2013068992
(87)【国際公開番号】WO2014010676
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2014年12月12日
【審判番号】不服2016-9703(P2016-9703/J1)
【審判請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-157778(P2012-157778)
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-230867(P2012-230867)
(32)【優先日】2012年10月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512177986
【氏名又は名称】株式会社ホワイトサンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】西野 仁雄
(72)【発明者】
【氏名】白木 基之
(72)【発明者】
【氏名】山内 智之
【合議体】
【審判長】 山口 直
【審判官】 宮下 浩次
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3119481(JP,U)
【文献】 特公昭50−39185(JP,B2)
【文献】 特開2012−95734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する複数の樹脂製の線条が立体的で不規則に絡まって部分的に融着されて一体化した立体網状構造体と、該立体網状構造体を被覆する被覆部材を有する拘縮対策具であって、
該拘縮対策具を握ることにより、拘縮を改善させることを特徴とする拘縮対策具。
【請求項2】
前記拘縮対策具を握った際に、指を挿入する指挿入部材と、親指以外の隣接する指同士が接触することを防止する離間部材の少なくとも一つを設けたことを特徴とする請求項1記載の拘縮対策具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘縮対策具に関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞などにより上位運動系に障害があると、反射の亢進、筋緊張の亢進、拘縮などが起こってくる。特に、手や前腕では屈筋がよく発達しているので、網様体脊髄神経路等を介して屈筋の興奮が高まると、屈曲反射の増大、屈筋の拘縮が起こると考えられている。
そして、手の指が拘縮し、手を握りこんだままの状態にしておくと、手指の拘縮が進行して爪が掌に食い込んでしまったり、手を握りこんだままの状態でいることから、掌が発汗により蒸れたり、またそのために臭気が発生してしまったりする。
【0003】
この手の指が拘縮した人に握らせる拘縮対策具として、手の平の一部に当接する塊部と、該塊部にそれぞれの基部が連結され、隣り合う手の指の付け根部の間に嵌入する複数の突出部とを有し、塊部と突出部の内部には球状の発泡材やビーズが多数充填されているものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の上記拘縮対策具では、拘縮対策具を握った際に掌や手指への刺激を低減するために発泡材等をクッション材として使用しているが、この発泡材同士の隙間は少なく通気性があまりよくない。また、発泡材は保温性を有するために、長時間握っていると熱がこもって発汗が促進され、逆効果になるという問題もある。
【0005】
更に、この発泡材は、拘縮した手指に拘縮対策具を握らせる際に拘縮対策具を変形させる必要があるため、発泡材が移動できる程度の密度で充填されている。そのため、上記拘縮対策具を握ると、発泡材が拘縮対策具の両端に移動してしまい掌の中にはあまり発泡材が存在せず、握った手の内側にクッション材が存在しないこととなり、爪が掌に食い込むことを防止することはあまり期待できないという問題がある。
【0006】
上記のように、手指が拘縮した人の掌の蒸れを防止する適切な器具はなく、タオルを巻いたものを握らせているのが現状である。しかしこの場合、タオルの吸水力はあまり高くないためタオルを頻繁に交換する必要があり、介護する人間の手間を増加させる。また、タオルはあまり潰れないために、手指の拘縮が進んで手指が開きにくくなると、タオルを握らせにくくなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、手指の拘縮が進んで手指が開きにくい人にも容易に握らせることができ、かつ、握った掌の中に通気空間を確保し掌の蒸れを防止することができる拘縮対策具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明、伸縮性を有する複数の樹脂製の線条が立体的で不規則に絡まって部分的に融着されて一体化した立体網状構造体と、該立体網状構造体を被覆する被覆部材を有する拘縮対策具であって、
該拘縮対策具を握ることにより、拘縮を改善させることを特徴とする拘縮対策具である
【0009】
更に、本発明では、この拘縮対策具を握った際に、指を挿入する指挿入部材と、親指以外の隣接する指同士が接触することを防止する離間部材の少なくとも一つを設けてもよい。

【発明の効果】
【0010】
本発明では、拘縮対策具のクッション材として、内部において相互に連通するとともに表面に開口する空隙が形成された三次元の立体構造を有する弾性体を用いたことにより拘縮対策具に通気空間を設けることができ、この拘縮対策具を使用することにより、掌の蒸れを防止し感染症や臭気の発生を抑制することができる。
また、クッション材として空隙率の大きな立体網状構造体を用いて、より掌の蒸れを防止し、臭気の発生を抑制することができる。
更に、親指以外の隣接する指同士が接触することを防止する離間部材を設けて、指間に褥瘡が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る拘縮対策具1の正面図。
図2】実施例1の拘縮対策具1に用いるクッション材2の斜視図。
図3図2の実施例1のクッション材2の正面図。
図4図2の実施例1のクッション材2の左側面図。
図5】本発明の実施例2に係る拘縮対策具1の斜視図。
図6図5の実施例2の拘縮対策具1の正面図。
図7図5の実施例2の拘縮対策具1の左側面図。
図8図5の実施例2の拘縮対策具1の使用状態を示す図。
図9】本発明の実施例5に係る拘縮対策具1に用いるクッション材21の斜視図。
図10図9の実施例5のクッション材21の正面図。
図11図9の実施例5のクッション材21の左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による実施例を添付の図に基づいて説明する。
[実施例1]
【0013】
図1は本発明の実施例1に係る拘縮対策具1の正面図を示す。
本実施例では、拘縮対策具1はクッション材2と該クッション材2を被覆する被覆部材3とを有する。
【0014】
クッション材2は、その内部において相互に連通するとともに表面に開口する空隙が形成された三次元の立体構造を有する弾性体からなるものである。該クッション材2として、実施例1においては、図2図4に示すように、樹脂、例えば熱可塑性樹脂からなる伸縮性を有する材料により長尺に連続した線条2aが多数本立体的に不規則に絡み合って、その相互の接触部が溶着され、線条2a間に空隙2bが形成された立体網状構造体を用いた。この立体網状構造体は、例えば特公昭50−39185号公報にその製法の1例が開示されている。
【0015】
クッション材2である立体網状構造体の原料は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン66などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、これらの樹脂をベースとし共重合したコポリマーやエラストマー、EVA樹脂(エチレン酢酸ビニルコポリマー)、EMMA樹脂(エチレン・メチルメタクリレートコポリマー)、上記各種の樹脂を混合したものなどである。これらの原料のうち、好ましいのはEVA樹脂や低密度ポリエチレンやポリエステルである。
【0016】
クッション材2の空隙率としては75〜95%が好ましく、本実施例では85%とし、クッション材2を構成する線条2aの線径としては0.1〜1.0mmが好ましく、本実施例では0.5mmとし、また反発力としては0.2〜2.0kgf/mmが好ましく、本実施例では0.50kgf/mmとした。このように設定することで、クッション材2を握った感じが、人の腕等を握った感じに近くなり、握り心地が良いものとなる。
【0017】
クッション材2は、図2図4に示すように、その軸に直交する断面が円形若しくは楕円形の円柱状に形成されている。該クッション材2の大きさは、手で握ることができれば任意に設定でき、好ましくは、その直径は20mm〜100mmであり、本実施例では30〜40mmに設定した。
【0018】
被覆部材3は、図1に示すように、クッション材2全体を被覆するように設けられている。該被覆部材3は、通気性があり吸水性が低く速乾性のある布地素材で構成することが好ましい。本実施例の被覆部材3はポリエステル繊維からなり、ネット状に編成された布地の表編地と裏編地と、この表編地と裏編地間を往来するように編み込まれた連結糸とを有し、該連結糸を介して表編地及び裏編地が所定の厚み間隔を保って連結されるダブルラッセル編地で構成した。
被覆部材3の表面には、リン酸チタニア系無光触媒(特許第3829640号)や光触媒等を塗布しても良い。
【0019】
拘縮対策具1は、手の指が拘縮した人に握らせることにより手の指の拘縮の進行を抑えるとともに、爪が掌に食い込むことを防止することができる。
【0020】
また拘縮対策具1に用いたクッション材2は立体網状構造体で空隙率が75〜95%と大きく、その空隙を空気が流通することができるため通気性が良く、更に、被覆部材3もダブルラッセル編地を用いたため通気性が良いので、握った掌の中に通気空間を形成することができ、掌の蒸れを防止でき、その蒸れを防止することで、水虫等の皮膚病の発生も抑制し臭気の発生も低減することができる。
【0021】
さらに拘縮対策具1に用いたクッション材2は、立体網状構造体で空隙率が75〜95%と大きいため小さく変形させることができ、手指の拘縮が進行して手指が開きにくくなった人でも容易に握らせることができる。またクッション材2を立体網状構造体で構成したことで、弾性を有するとともに一体化していて元の形へ復元することができるため、上記従来技術の拘縮対策具とは異なり、拘縮対策具1を小さく変形させて使用者に握らせた後確実に復元して、掌に通気空間を確実に形成することができる。
【0022】
クッション材2を樹脂製の立体網状構造体で構成し、被覆部材3等をダブルラッセル編地で構成したことにより、拘縮対策具1は吸水性が低く通気性が高いために、拘縮対策具1を丸洗いした後の乾燥が短時間で済む。また拘縮対策具1の表面に水虫等の皮膚病を治療する等の薬を塗布した場合にも、拘縮対策具1の吸水性が低いため拘縮対策具にはつきにくく、効率よく薬を患部に提供することができる。
【0023】
また、クッション材2は立体網状構造体であるため、その端面に複数の線条2aがでるが、そのクッション材2を弾性を有するダブルラッセル編地で覆うことにより、拘縮対策具1を握った際に力を分散させて、掌の一部分に力が集中することを抑えることができる。
【0024】
線条2aの線径:0.5mm、空隙率:85%、反発力:0.54±0.03kgf/mmの特性を有する直径33mmのクッション材2を用いた拘縮対策具1を、手指が拘縮した20人程が使用したところ、次のような事象が認められた。
【0025】
従来は、手指が拘縮した人に物を握らせると手指の拘縮が促進されてしまい、物を握らせないほうがよいという学説もあったが、本発明の実施例1に係る拘縮対策具1を使用したところ、早い人で1週間、遅くとも1ヶ月後には、掌の皮膚の状態が改善されると共に手指の拘縮が改善され、使用前はその指を開くことが困難であったものが、介護者がその指を容易に開くことが出来るようになった。この手指の拘縮の改善は、球状の発泡材やビーズを使用した従来の拘縮対策具やタオルを使用した際には認められなかった効果である。また、手指の拘縮が改善された後に、ビーズを使用した従来の拘縮対策具やタオルを使用した場合には、拘縮の状態が悪化してしまうという事象が認められた。本発明の拘縮対策具1は常時使用することが望ましい。
【0026】
更に、手指の拘縮の緩和に伴い、腕や上腕や肩等の拘縮も改善するという事象や、言語を発することが困難であった人が簡単な言語を発することが出来るようになったという事象も認められた。
【0027】
本発明の拘縮対策具1のクッション材2は樹脂製の立体網状構造体で構成されていることにより、該拘縮対策具1が三次元反発力(復元力)と弾力性を有しているため、この拘縮対策具1を握ると、拘縮対策具1の三次元反発力により手指を開く方向に力が作用する。
【0028】
また、手指が拘縮している人が本発明の拘縮対策具1を使用した場合、手指の拘縮により、該拘縮対策具1を強く握れば握るほど、その反発力により手指が伸展方向の力を受けて、屈筋が弛緩し、伸筋が緊張し、24時間手指のリハビリ(ストレッチ)を行っていることと同様の効果を得られていると推測される。また、手指が拘縮している場合には拘縮により拘縮対策具1を常に握り込むこととなるため、握っている間は連続して手のリハビリを行っている状態となっていると推測される。
【0029】
そのため、今まで屈筋が最大限に緊張していたものが、無意識の内に手指を動かすことが出来るようになる。その結果、屈筋の緊張が緩み、手指の伸展、手指間の拡大が起き、腕の運動可動領域の拡大にもつながっていくと推測される。
【0030】
また、手には多くの神経があり、本発明の拘縮対策具1を握ることでその三次元反発力等により、手に対し一定ではない種々様々な刺激が付与されて脳が活性化されたことにより、拘縮の改善や言語を発することが困難であった人が簡単な言語を発するという事象が生じたのではないかと推測される。
【0031】
この拘縮の改善により介護に必要な時間が短縮され、介護現場の負担を軽減することが出来る。また拘縮内面の皮膚の状態が改善されることで薬物費用や塗布時間も軽減できる。
【0032】
本発明の拘縮対策具1は、拘縮対策具の用途以外にも日常使用することで拘縮になることを抑制する拘縮予防器具としても有効である。また、この拘縮対策具1を握ることで脳内を活性化させることから、リハビリ用の器具や乳幼児から高齢者まで幅広い年代における脳活性化器具や幼児用の知育玩具、ボケ防止用器具などとしても利用することが出来る。
[実施例2]
【0033】
実施例2の拘縮対策具1は、図5-図7に示すように、実施例1の拘縮対策具1に対して、指挿入部材5と離間部材7を追加したものである。
被覆部材3には、図5図6に示すように、親指以外の夫々の指を挿入する指挿入部材5が、クッション材2の円柱形状軸方向に4個連続して設けられている。該指挿入部材5は、図6に示すように、布地素材を指が挿入できるように逆U字状に形成し、その両端部を被覆部材3に縫接することにより形成されている。指挿入部材5は、通気性があり吸水性が低く速乾性のある素材で構成することが好ましい。本実施例では、実施例1の被覆部材3と同様のダブルラッセル編地で構成した。また、指挿入部材5の指挿入穴5aは、夫々、親指以外の指が挿入できるだけの大きさであれば任意に設定してよく、指挿入部材5の厚みも任意に設定することができる。なお、本実施例では指挿入部材5を4個設けたが、2個や3個、あるいは連続した波形の1個など、任意の数に設定することができる。
【0034】
夫々の隣接する指挿入部材5と5の間には、親指以外の隣接する指同士の接触を防止する前記離間部材7が介在して設けられ、該離間部材7は、図5図7に示すように、指挿入穴5aの挿通方向において指挿入部材5に対しその両側に突出するように設けられている。離間部材7は、指挿入部材5,5間で被覆部材3の近傍部分のみ指挿入部材5に縫接されている。これにより、離間部材7の指挿入部材5の両側に突出した部分は、被覆部材3に対して固設されておらず、自由に折り曲げることができるようになっている。
【0035】
図7に示す離間部材7の高さHは、図8に示すように、拘縮対策具1を握った際に、手指の隙間から突出する高さにすることが好ましい。また、図7の離間部材7における指挿入穴5aの挿通方向の長さLは、拘縮対策具1を握った際に、少なくとも隣接する指の間で、その指の略全体に離間部材7が位置する長さにすることが好ましい。
【0036】
離間部材7の被覆部材3側の端部(図7における下端面)7aは、図7に示すように、指挿入部材5がクッション材2(被覆部材3)から上方に垂直に立設する位置において、図7の側面図におけるクッション材2の12時の位置から、時計回り及び反時計回りに夫々75度の位置となるように設定されている。また、離間部材7の被覆部材3とは反対側の端部(図7における上端面)は、指挿入部材5の指挿通方向と略平行になるように形成されている。また、離間部材7における指挿入部材5の指挿通方向の両側端は、その被覆部材3とは反対側の端部(上端面)に対して略直交するように設定されている。
【0037】
離間部材7は、通気性があり吸水性が低く速乾性のある素材で構成することが好ましい。本実施例では上記被覆部材3と同様のダブルラッセル編地を折り曲げて2重にして構成した。
【0038】
その他の構造は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を発揮する。
【0039】
本実施例では、更に、親指以外の隣接する指同士が接触することを防止する離間部材7を設けたことにより、指同士の接触を抑制し指間に褥瘡が生じることを防止できる。
また、離間部材7の高さHを、拘縮対策具1を握った際に、指相互の隙間から突出する高さとしたことでその位置を容易に把握でき、介護者が離間部材7の位置を容易に修正することができる。
また離間部材7は指挿入部材5に対して縫接され、被覆部材3に対しては結合されておらず、離間部材7は挿通方向両端でどちらも変形可能で、握る際に指を挿通してもその指の股に当たって折れ曲がるため、指挿入部材5における指挿入穴5aの両側のいずれからも手指を挿入することができる。
なお、本実施例では指挿入部材5と離間部材7を共に設けたが、この指挿入部材5と離間部材7の何れか一方のみを設けてもよい。
[実施例3]
【0040】
実施例1,2では、拘縮対策具を手指の拘縮対策具として説明したが、本発明に係るこの拘縮対策具は、実施例3として適当なサイズのものに形成し、これを脇や、膝裏等の関節部や、両脚の間、例えば両膝の間に挟むように構成する。これにより、上記の手指の場合と同様に、挟んだ部位に通気空間を形成し、その部位の蒸れを解消するとともに、臭気の発生を抑制することもできる。
本実施例においても、実施例1,2と同様に、拘縮の改善やリハビリ効果等を発揮する。
更に、本実施例においては、脚が拘縮した人が拘縮対策具1を両膝の間や膝裏等に挟むことにより股関節や膝の拘縮が緩和し、その可動域が広がることにより褥瘡が生じることを予防することが出来る。
[実施例4]
【0041】
実施例1乃至3の拘縮対策具1のクッション材2は立体網状構造体を円柱状に形成したものであるが、このクッション材は立体網状構造体で構成されていれば形状は任意のものとすることが出来る。また、被覆部材はクッション材全体を覆うようにクッション材の形状に対応した形状に成形する。
【0042】
本発明の拘縮対策具は、手指が拘縮した人の場合には手で握ったり、腕が拘縮した人の場合には脇や上腕と胸との間に挟んだり、脚が拘縮した人の場合には両膝の間や膝裏等に挟んだり、様々な部位に挟むことにより、その部位に通気空間を形成して蒸れを解消するとともに、実施例1と同様に、その部位のリハビリ効果も期待できる。そのため、挟む部位に応じてクッション材及び被覆部材はその部位に挟むことができる任意の形状に成形することが好ましい。
【0043】
本実施例においても、実施例1〜3と同様の作用効果を発揮することが出来る。
[実施例5]
【符号の説明】
【0045】
1 拘縮対策具
2,21 クッション材
2a 線条
3 被覆部材
5 指挿入部材
7 離間部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11