(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117804
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】足場用の連結部材
(51)【国際特許分類】
E04G 7/32 20060101AFI20170410BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20170410BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
E04G7/32 A
F16B7/04 301U
F16B2/10 E
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-535692(P2014-535692)
(86)(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公表番号】特表2014-534366(P2014-534366A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】SE2012051033
(87)【国際公開番号】WO2013055280
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年9月18日
(31)【優先権主張番号】1150930-4
(32)【優先日】2011年10月10日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156478
【氏名又は名称】プラスエイト テクノロジー アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ウォールサー ハリー
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−514149(JP,A)
【文献】
特表昭56−501411(JP,A)
【文献】
特表2004−519568(JP,A)
【文献】
特開平10−037455(JP,A)
【文献】
特開2002−371708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/32
F16B 2/10
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場(1)などにおいて足場要素(4、5)を直立材(3)に連結するための、縦方向および横方向を有する連結部材(2)であって、
該連結部材(2)が、
該直立材(3)の把持部(6)の中に掛かるように配置されている鉤形連結部(7)と、
該連結部材(2)を該直立材(3)に固定し得るロック位置と該連結部材(2)を該直立材(3)から解放し得る解放位置との間で切り換え可能なロック装置(19)と
を含み、
該ロック装置(19)が、
回動軸(14)を中心として回動式に該鉤形連結部(7)に取り付けられている第一の締め付け部(20)であって、該連結部材(2)と該直立材(3)との間の連結を締着するためにロック位置において該直立材(3)および該把持部(6)の少なくとも一方と相互作用するように配置されている、該第一の締め付け部(20)と、
ロック位置と解放位置との間で摺動可能である楔形ロック部(21)であって、該第一の締め付け部(20)を該直立材(3)および該把持部(6)の少なくとも一方と相互作用させるために、解放位置からロック位置への動きの間に該第一の締め付け部(20)を該直立材(3)および該把持部(6)の方向に楔作用によって押すように配置されている、該楔形ロック部(21)と
を含み、ここで、
該第一の締め付け部(20)が、横方向に離間しておりその間に空隙(27)を共同で画定している二つの側面部(20a、20b)を含むこと、
該鉤形連結部(7)が少なくとも部分的に該空隙(27)内に配置されるように、該第一の締め付け部(20)が、該鉤形連結部(7)の外側に配置されていること、
該二つの側面部(20a、20b)のそれぞれが、該第一の締め付け部(20)を回動式に該鉤形連結部(7)に取り付けるための留め付け手段(29)を含むこと、
該ロック装置(19)が、使用位置において該鉤形連結部(7)の上部分(23)に配置されている第二の締め付け部(22)をさらに含むこと、ならびに、
該連結部材(2)が締着されるとき、該楔作用を達成するために、該鉤形連結部(7)の第一の前向き支持面(50)が該楔形ロック部(21)の第一の後向き締着面(54)と相互作用するように配置されていること、および、該第一の前向き支持面(50)が該回動軸(14)よりも前方に位置付けられていること
を特徴とする、前記連結部材(2)。
【請求項2】
鉤形連結部(7)が、
使用位置において下向きである支え面(25)であって、直立材(3)の把持部(6)と相互作用するように配置されている、該支え面(25)
を含むこと、および
回動軸(14)が、使用位置において該鉤形連結部(7)の該支え面(25)よりも下に配置されていること
を特徴とする、請求項1記載の連結部材(2)。
【請求項3】
横方向に離間した二つの側面部(20a、20b)のそれぞれが、直立材(3)および把持部(6)の少なくとも一方との相互作用のための少なくとも一つの締着面(30a、30b、31a、31b)を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の連結部材(2)。
【請求項4】
第一の締め付け部(20)が、横方向に離間した側面部(20a、20b)のそれぞれに固定された状態で接続されているコネクタ部(32)をさらに含み、単一の、剛性の第一の締め付け部(20)が形成されるようになっていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の連結部材(2)。
【請求項5】
楔形ロック部(21)が、解放位置において第一の締め付け部(20)の一部分によって支持されるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の連結部材(2)。
【請求項6】
第一の締め付け部(20)が、コネクタ部(32)に固定された状態で接続されている楔載せ台部(34)をさらに含むこと、および
該楔載せ台部(34)が、連結部材(2)のロック解除位置において楔形ロック部(21)を載せるための支え面(35)を含むこと
を特徴とする、請求項4または5記載の連結部材(2)。
【請求項7】
前記第二の締め付け部(22)が、前記鉤形連結部(7)に摺動可能に連結されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項記載の連結部材(2)。
【請求項8】
第二の締め付け部(22)が、ロック位置と解放位置との間で摺動可能であり、楔形ロック部(21)が、該第二の締め付け部(22)を直立材(3)と相互作用させるために、解放位置からロック位置への動きの間に該第二の締め付け部(22)を該直立材(3)の方向に楔作用によって押すように配置されていることを特徴とする、請求項7記載の連結部材(2)。
【請求項9】
第二の締め付け部(22)が二つの側面部分(22a、22b)を含み、かつ該第二の締め付け部(22)が、鉤形連結部(7)に設けられた一対の外側凹み(42a、42b)に、該二つの側面部分(22a、22b)によって摺動可能に連結されていることを特徴とする、請求項7または8記載の連結部材(2)。
【請求項10】
第一および第二の締め付け部(20、22)が、鉤形連結部(7)に別々に取り付けられており、かつ相互に直接接触しないことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項記載の連結部材(2)。
【請求項11】
楔形ロック部(21)が、該楔形ロック部(21)の本質的に縦方向に延在している細長い穴(36)を含むことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項記載の連結部材(2)。
【請求項12】
横方向に離間した側面部(20a、20b)のそれぞれが金属板で形成されていることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項記載の連結部材(2)。
【請求項13】
鉤形連結部(7)が、共に接合された二つの鉤形側面部(7a、7b)から形成されていることを特徴とする、請求項7〜12記載の連結部材(2)。
【請求項14】
楔形ロック部(21)が、鉤形連結部(7)の二つの鉤形側面部(7a、7b)の間に部分的に配置されていること、および
該楔形ロック部(21)が、第一の締め付け部(20)の空隙(27)内に部分的に配置されていること
を特徴とする、請求項13記載の連結部材(2)。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項記載の連結部材(2)と、少なくとも一つの把持部(6)を有する直立材(3)とを含む連結システム(100)であって、
該把持部(6)が、使用位置において上向きである支え面(24)をもつこと、および
鉤形連結部(7)が、使用位置において下向きである支え面(25)をもつこと、および
該鉤形連結部(7)が、該支え面(24、25)間の相互作用によって支持されるように配置されていること
を特徴とする、前記連結システム(100)。
【請求項16】
把持部(6)が、
該把持部(6)の外周に存在している第二の締着面(10a)であって、使用位置において少なくとも部分的に下向きである、該第二の締着面(10a)
をもつこと、および
第一の締め付け部(20)が、ロック装置(19)のロック位置において少なくとも部分的に上向きである少なくとも一つの締着面(30a、30b、31a、31b)を含むこと
を特徴とし、該把持部(6)の該第二の締着面(10a)と該第一の締め付け部(20)の該締着面(30a、30b、31a、31b)との間の相互作用によって、ロック位置に締着かつ固定され得るようになっている、請求項15記載の連結システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場構造において足場要素と直立材とを共に連結するための連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
足場とは、作業員および資材を支えるために建築現場/建造物などの周囲に建造される一時的構造物である。初期の頃の足場は木や竹で建造され、構成部分を固定するためにロープが使用されていた。今日、足場は、鉄パイプ/チューブで作られ、これらのパイプ/チューブを固定するために機械的連結部材が使用される。数多くの構成のいくつかのそのような連結部材が選択可能に市販されている。さらには、連結部材を選択するためのいくつかの基準があるが、使いやすさ、信頼性および安全性がもっとも重要である。
【0003】
たとえば、国際公開公報第02/22989号(特許文献1)は、当技術分野において以前から公知の連結部材を示す。この連結部材は、鉤形の本体、ロック楔、回動する下締め付け部材および摺動可能な上締め付け部材を含む。しかし、この設計は、連結剛性、頑丈さ、信頼性および安全性に関する問題を含む。
【0004】
したがって、既存の連結部材に伴う問題を解決する改善された新規の連結部材が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開公報第02/22989号
【発明の概要】
【0006】
概要
とりわけ、本発明の目的は、前述の問題が少なくとも部分的に回避される、足場などにおいて足場要素を直立材に連結するための新規の連結部材を提供することである。連結部材は縦方向および横方向を有する。さらに、連結部材は、前記直立材の把持部の中に掛かるように配置された鉤形連結部と;該連結部材を該直立材に固定し得るロック位置と該連結部材を該直立材から解放し得る解放位置との間で切り換え可能なロック装置とを含む。さらに、ロック装置は第一の締め付け部を含み、該第一の締め付け部は、回動軸を中心として回動式に前記鉤形連結部に取り付けられており、かつ前記連結部材と前記直立材との間の連結を締着するために前記ロック位置において前記直立材および前記把持部材の少なくとも一方と相互作用するように配置されている。さらに、ロック装置は、ロック位置と解放位置との間で摺動可能である楔形ロック部を含む。前記解放位置から前記ロック位置への楔形ロック部の移動が、前記直立材および前記把持部の少なくとも一方の方向への前記第一の締め付け部の動きを生じさせる。
【0007】
本発明の目的の少なくとも一部は、連結部材の前記第一の締め付け部が、横方向に離間しておりその間に空隙を共同で画定している二つの側面部を含み、および該側面部が、鉤形連結部が部分的に該空隙の中に入るように該鉤形連結部の外側に回動式に取り付けられている、請求項1の特徴部分の特性によって達成される。
【0008】
国際公開公報第02/22989号の従来技術設計においては、回動する下締め付け部材は連結器具の本体中に配置されており、それにより、回動する下締め付け部材の寸法が制限される。というのも、下締め付け部材の形状および形態は、鉤形ボディの内側にある利用可能な空間に直接依存するからである。この空間における制限が、回動する締め付け部材の限られた強度および頑丈さを生じさせる。本発明の第一の締め付け部は、その外側に配置されかつ横方向に離間した側面部によって、第一の締め付け部に使用される材料の寸法およびタイプの制限が緩和されたために、回動する締め付け部そのものの改善された強度および頑丈さを提供し、それにより、頑丈な設計および高い安全性となる可能性の改善がもたらされる。さらには、側面部分間の大きな横方向距離によって第一の締め付け部そのものの幅が増大し、それに起因した、第一の締め付け部と直立材との間の相互作用の幅の増大は、連結部材と直立材との間のより剛性の連結、特に、連結部材の縦軸を中心とする増大したねじれ剛性を生じさせる。
【0009】
さらに、鉤形連結部は、使用位置において下向きである支え面であって、前記直立材の前記把持部と相互作用するように配置されている該支え面を含んでもよい。回動軸は、使用位置において、前記鉤形連結部の前記支え面よりも下に配置され得る。この配置は、回動軸から鉤形連結部の遠端までの距離が減るため、相対的にコンパクトであり、その結果、より頑丈かつ安定である第一の締め付け部を提供する利点を有する。そのうえ、相対的に低い回動軸の位置は、楔形ロック部が引き抜かれたとき、第一の締め付け部の解放位置とロック位置との間での第一の締め付け部の角運動の増大、ひいては、ロック位置にある第一の締め付け部に加えられるより高い重力トルクにより、解放位置の方向への改善された自動的動きを生じさせる。
【0010】
横方向に離間した二つの側面部のそれぞれは、前記直立材および前記把持部の少なくとも一方との相互作用のための締着面を含み得る。各側面部に締着面を直接提供することにより、より少数のパーツしか要らず、より費用効果的な連結部材の製造が達成される。
【0011】
第一の締め付け部はさらに、横方向に離間した側面部に固定された状態で接続されているコネクタ部を含み得、単一の、剛性の第一の締め付け部が形成されるようになっている。この主題は、強い第一の締め付け部材の利点を提供し、ここで、第一の締め付け部材の効率的な回動を目的として側面部間の相互位置が固定されている。
【0012】
楔形ロック部は、好ましくは、前記解放位置において前記第一の締め付け部の一部分によって支持されるように配置されている。この配置は、鉤形連結部から楔形ロック部を完全に抜き取る必要性を排除し、代わりに、楔形ロック部が使用位置に非常に近いまま残ることを可能にし、これは、速やかで効率的な連結部材の取り扱いをもたらす。そのうえ、第一の締め付け部そのものによって支持を提供することにより、たとえばユーザによって操作されたとき、第一の締め付け部の前進動が自動的に該支持の解除および、それにより、ロック位置の方向への楔形ロック部の動きを生じさせる。
【0013】
第一の締め付け部はさらに、前記コネクタ部に固定された状態で接続されている楔載せ台部を含み得、該楔載せ台部は、連結部材のロック解除位置において楔形ロック部を載せるための支え面を含み得る。楔載せ台部は、楔形ロック部のための安全かつ確実な支持面を提供して、それにより、足場の組み立ておよび解体中の連結器具の取り扱いを改善する。
【0014】
ロック装置はさらに、前記鉤形連結部の上部分に固定されている第二の締め付け部であって、該鉤形連結部と摺動可能に相互作用する該第二の締め付け部を含み得る。この主題は、ロック装置の締め付け力を鉤の上側と下側とに分散することにより、連結部材と直立材との間のよりさらなる剛性の連結の利点を提供する。第二の締め付け部はまた、それがなければなおも存在する可能性がある任意の残留あそびをなくす。
【0015】
そのうえ、第二の締め付け部は、ロック位置と解放位置との間で摺動可能であり得、かつ楔形ロック部は、該楔形ロック部が該解放位置から該ロック位置へと動くときに、該第二の締め付け部を直立材と相互作用させるために該第二の締め付け部を該直立材の方向に楔作用によって押すように、配置されていてもよい。
【0016】
好ましくは、前記第二の締め付け部は二つの側面部分を含み、該第二の締め付け部は、鉤形連結部に設けられた一対の外側凹みに、該二つの側面部分によって摺動可能に連結されている。鉤形連結部への第二の締め付け部のこの連結配置は、簡単かつ確実であり、ならびに第二の締め付け部のコンパクトかつ強固な設計を可能にするという利点を有する。第二の連結部のどの部分も回動軸と相互作用せず、第二の締め付け部は、より確実な機能のために鏡映対称であってもよい。
【0017】
前記第一および第二の締め付け部は、前記鉤形連結部に別々に取り付けられ得、相互に直接接触しなくてもよい。この配置は、両方の締め付け部材が鉤形連結部の回動軸に取り付けられる従来技術設計とは反対に、第一の締め付け部と第二の締め付け部との間の、それらの動作中の任意の負の相互作用をなくす利点を有する。
【0018】
さらに、楔形ロック部は、該楔形ロック部の本質的に縦方向に延在している細長い穴を含み得る。この配置は、楔形ロック部および鉤形連結部の摺動を損なうことなく、楔形ロック部を鉤形連結部に固定する利点を有する。連結部材のいかなるパーツの脱離も防ぐことは、連結部材の重要な安全性局面である。というのも、そうしなければ、組み立て/解体の間または後に連結部材のパーツが人または物の上に落下するおそれがあるからである。ロック楔は、好ましくは、この穴を通してリベットによって鉤形連結部と接続されている。
【0019】
前記横方向に離間した側面部のそれぞれは金属板で形成されていてもよい。板金での側面部の形成は、費用効果的な製造および堅牢な構造を可能にする。このようにして製造されたパーツは、鋳造によって作られたパーツよりも頑丈である。
【0020】
鉤形連結部は、共に接合された二つの鉤形側面部から形成されていてもよい。この配置は、該側面部を鋼板から製造し、それらを、切断および曲げ加工ののち、溶接などによって接合することを可能にする利点を有する。その結果、より効率的な製造および堅牢な構造が達成される。
【0021】
さらに、前記楔形ロック部は、前記鉤形連結部の前記二つの鉤形側面部の間に部分的に配置されていてもよいし、および該楔形ロック部は、前記第一の締め付け部の前記空隙内に部分的に配置されていてもよい。この配置は、外側からの望まれない操作から楔形ロック部を保護する利点を有する。ロック装置は、ユーザによって操作されたときのみ解放位置に入り、足場の他のパーツまたはそれを使用する人との不測の相互作用によっては決して解放位置に入らないことが重要である。そのうえ、楔形ロック部の本発明の配置は、連結部材の増大した対称性、ひいては改善された信頼性をもたらす。
【0022】
さらに、前記直立材の把持部は、使用位置において上向きである支え面を有する。また、鉤形連結部は、使用位置において下向きである支え面を有する。鉤形連結部は、これらの支え面間の相互作用によって支持されるように配置されている。
【0023】
さらに、把持部は、該把持部の外周に存在している第二の締着面であって、使用位置において部分的に下向きである該第二の締着面を有し得、前記第一の締め付け部は、ロック位置において少なくとも部分的に上向きである締着面を含み得る。前記連結部材は、前記把持部の第二の締着面と前記第一の締め付け部の締着面との間の相互作用によってロック位置に締着され得る。
[本発明1001]
足場(1)などにおいて足場要素(4、5)を直立材(3)に連結するための、縦方向および横方向を有する連結部材(2)であって、
該連結部材(2)が、
該直立材(3)の把持部(6)の中に掛かるように配置されている鉤形連結部(7)と、
該連結部材(2)を該直立材(3)に固定し得るロック位置と該連結部材(2)を該直立材(3)から解放し得る解放位置との間で切り換え可能なロック装置(19)と
を含み、
該ロック装置(19)が、
回動軸(14)を中心として回動式に該鉤形連結部(7)に取り付けられている第一の締め付け部(20)であって、該連結部材(2)と該直立材(3)との間の連結を締着するためにロック位置において該直立材(3)および該把持部(6)の少なくとも一方と相互作用するように配置されている、該第一の締め付け部(20)と、
ロック位置と解放位置との間で摺動可能である楔形ロック部(21)であって、該第一の締め付け部(20)を該直立材(3)および該把持部(6)の少なくとも一方と相互作用させるために、解放位置からロック位置への動きの間に該第一の締め付け部(20)を該直立材(3)および該把持部(6)の方向に楔作用によって押すように配置されている、該楔形ロック部(21)と
を含み、ここで、
該第一の締め付け部(20)が、横方向に離間しておりその間に空隙(27)を共同で画定している二つの側面部(20a、20b)を含むこと、
該鉤形連結部(7)が少なくとも部分的に該空隙(27)内に配置されるように、該第一の締め付け部(20)が、該鉤形連結部(7)の外側に配置されていること、
該二つの側面部(20a、20b)のそれぞれが、該第一の締め付け部(20)を回動式に該鉤形連結部(7)に取り付けるための留め付け手段(29)を含むこと
を特徴とする、前記連結部材(2)。
[本発明1002]
鉤形連結部(7)が、
使用位置において下向きである支え面(25)であって、直立材(3)の把持部(6)と相互作用するように配置されている、該支え面(25)
を含むこと、および
回動軸(14)が、使用位置において該鉤形連結部(7)の該支え面(25)よりも下に配置されていること
を特徴とする、本発明1001の連結部材(2)。
[本発明1003]
横方向に離間した二つの側面部(20a、20b)のそれぞれが、直立材(3)および把持部(6)の少なくとも一方との相互作用のための少なくとも一つの締着面(30a、30b、31a、31b)を含むことを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1004]
第一の締め付け部(20)が、横方向に離間した側面部(20a、20b)のそれぞれに固定された状態で接続されているコネクタ部(32)をさらに含み、単一の、剛性の第一の締め付け部(20)が形成されるようになっていることを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1005]
楔形ロック部(21)が、解放位置において第一の締め付け部(20)の一部分によって支持されるように配置されていることを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1006]
第一の締め付け部(20)が、コネクタ部(32)に固定された状態で接続されている楔載せ台部(34)をさらに含むこと、および
該楔載せ台部(34)が、連結部材(2)のロック解除位置において楔形ロック部(21)を載せるための支え面(35)を含むこと
を特徴とする、本発明1004および1005の連結部材(2)。
[本発明1007]
ロック装置(19)が、
使用位置において鉤形連結部(7)の上部分(23)に配置されている第二の締め付け部(22)であって、該鉤形連結部(7)に摺動可能に連結されている、該第二の締め付け部(22)
をさらに含むことを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1008]
第二の締め付け部(22)が、ロック位置と解放位置との間で摺動可能であり、楔形ロック部(21)が、該第二の締め付け部(22)を直立材(3)と相互作用させるために、解放位置からロック位置への動きの間に該第二の締め付け部(22)を該直立材(3)の方向に楔作用によって押すように配置されていることを特徴とする、本発明1007の連結部材(2)。
[本発明1009]
第二の締め付け部(22)が二つの側面部分(22a、22b)を含み、かつ該第二の締め付け部(22)が、鉤形連結部(7)に設けられた一対の外側凹み(42a、42b)に、該二つの側面部分(22a、22b)によって摺動可能に連結されていることを特徴とする、本発明1007または1008の連結部材(2)。
[本発明1010]
第一および第二の締め付け部(20、22)が、鉤形連結部(7)に別々に取り付けられており、かつ相互に直接接触しないことを特徴とする、本発明1007〜1009のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1011]
楔形ロック部(21)が、該楔形ロック部(21)の本質的に縦方向に延在している細長い穴(36)を含むことを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1012]
横方向に離間した側面部(22a、22b)のそれぞれが金属板で形成されていることを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1013]
鉤形連結部(7)が、共に接合された二つの鉤形側面部(7a、7b)から形成されていることを特徴とする、前記本発明のいずれかの連結部材(2)。
[本発明1014]
楔形ロック部(21)が、鉤形連結部(7)の二つの鉤形側面部(7a、7b)の間に部分的に配置されていること、および
該楔形ロック部(21)が、第一の締め付け部(20)の空隙(27)内に部分的に配置されていること
を特徴とする、本発明1013の連結部材(2)。
[本発明1015]
本発明1001〜1014のいずれかの連結部材(2)と、少なくとも一つの把持部(6)を有する直立材(3)とを含む連結システム(100)であって、
該把持部(6)が、使用位置において上向きである支え面(24)をもつこと、および
鉤形連結部(7)が、使用位置において下向きである支え面(25)をもつこと、および
該鉤形連結部(7)が、該支え面(24、25)間の相互作用によって支持されるように配置されていること
を特徴とする、前記連結システム(100)。
[本発明1016]
把持部(6)が、
該把持部(6)の外周に存在している第二の締着面(10a)であって、使用位置において少なくとも部分的に下向きである、該第二の締着面(10a)
をもつこと、および
第一の締め付け部(20)が、ロック装置(19)のロック位置において少なくとも部分的に上向きである少なくとも一つの締着面(30a、30b、31a、31b)を含むこと
を特徴とし、該把持部(6)の該第二の締着面(10a)と該第一の締め付け部(20)の該締着面(30a、30b、31a、31b)との間の相互作用によって、ロック位置に締着かつ固定され得るようになっている、本発明1015の連結システム(100)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の部分において、添付図面によって示す態様を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。図示される態様は例示目的のみに使用され、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではないことが強調されよう。
【0025】
【
図1】本発明を使用することができる足場の例を示す。
【
図2】解放位置/ロック解除位置における本発明の連結部材の側面図を示す。
【
図3】ロック位置における本発明の連結部材の側面図を示す。
【
図4】解放位置/ロック解除位置における本発明の連結部材の部分断面図を示す。
【
図5】ロック位置における本発明の連結部材の部分断面図を示す。
【
図7】連結部材が一つの直立材および一つの横木とともにロックされた位置にある、本発明の連結システムの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
図1は、本発明によって記載されるようなタイプであり得る連結部材2を備えた足場1の例を示す。足場1は、本質的に垂直に向けられたチューブである、柱脚とも知られるいくつかの直立材3と、本質的に水平に向けられたチューブである、横木とも知られるいくつかの足場部材4、5とを含む。さらに、直立材3および足場部材4、5は、本発明の連結部材2によって互いに連結されて足場1を形成している。直立材3は、その下端が、地面、歩道、床などであり得る表面に載る。足場要素4、5は、それらの両端が連結部材2によって直立材3に連結されている。本発明の連結部材2は、きわめて剛性の連結であり、外側からの支持なしで自立する足場を提供することができる。しかし、従来の用途において、足場1が建造物の近くに位置付けられるとき、安全性および安定性の理由から、足場は通常、その建造物に留め付けられる。従来の足場1は、その目的として、通常は水平足場部材4、5の間に載る建造物プラットフォームを支持しなければならないが、足場1は、たとえば、様々なイベントでのステージ、足場の形成、人、乗り物、ボート、建造物のための雨風用シェルタの支持、看板の支持、または建造中に鋳造構築物を支持するためのいわゆるブレースの形成などの、多数の様々な用途および機能を有し得る。さらに、直立材3は、それらの長さに沿って規則的な間隔でいくつかの把持部6を有する。把持部6は一般に、ボウル/カップ形であり、かつ当技術分野において公知の任意のやり方で直立材3の本体に溶接される、または取り付けられる。さらに、把持部6は直立材3の長さに沿って様々な場所に配置されるため、足場要素4、5の連結もまた、様々な高さに関連した目的のために様々な場所で実施することができる。全体として足場1の支持部を形成する水平足場要素4、5は別として、本発明の連結器具2は、特殊な目的、たとえば特殊な作業を実施するための昇降器具または他の補助器具を定着するための特殊な足場要素の懸架のために使用することが可能である。そのような場合、そのような足場要素は、細長いまたは水平である必要はなく、場合によっては、一つの直立材3で保定され、一つまたは複数の把持部6に連結され得る。または、足場要素は、レールを形成し、落下を防止する、いわゆる格子レールからなっていてもよい。さらに、いくつかの水平足場要素4、5を一つの同じ連結部材2によって一つの直立材3に連結することもできる。ここで以下に、連結部材2の詳細な構造および作用を説明する。
【0027】
図2〜10は、連結部材2の構造を詳細に示す。連結部材2は、縦方向X、横方向Yおよび高さ方向Zを有する。連結部材2の使用位置において、連結部材2の縦方向Xおよび横方向Yの両方は、おおむね水平面に配置されるように適合され、連結部材2の高さ方向Zは、おおむね垂直方向に沿って配置されるように適合されている。連結部材は適切な機能のために重力を使用するため、連結部材2のこの配置が、使用位置における連結部材2の正確かつ安全な機能を保証する。しかし、使用位置における連結部材2の正確な水平/垂直配置からの一定の逸脱、たとえば+/-20°の逸脱が、いかなる顕著な負の機能的局面も生じさせることはない。連結部材2は、他すべての構成部がそれに配置される/組み立てられるとき連結部材2のバックボーンとなる鉤形連結部7を含む。鉤形連結部7は、直立材3の把持部6を把持するように形成されている把持面8によって前方を横に制限される支え面25を有する。鉤形連結部7の支え面25は、把持面8と共に、連結部材の使用位置において下向きに開口する凹みを部分的に画定する。この凹みは、把持部6の上向きに突出する壁10を受けるように構成されている。鉤形連結部7は、ここでは、共に接合されて鉤形連結部7を形成する二つのほぼ鏡映対称の側面部7a、7bでできている。二つの側面部7a、7bの間の接触面は、横方向Yに対して垂直であり、かつ横方向Yにおいて連結部材2の中央に位置する第一の面と一致する。二つの側面部7a、7bを接合すると、一方の側面部7a、7bの前壁58および後壁59が他方の側面部7a、7bの対応する前壁58および後壁59と接触し、側面部7a、7bは、該前後の壁58、59によって形成される各側面部7a、7bの面取りした前後壁部分61、62において、溶接60によって共に溶接される。各側面部7a、7bは、横向き回動軸14が貫通して延在し、かつ連結部材2を共に保持するためのリベット48を受けるように配置されている穴15をもつ。
図2に示すように、回動軸14は、使用位置において、前記鉤形連結部7の支え面25から連結部材2の高さ方向Zに距離dだけ下方に配置される。
図4、5に示すように、鉤形連結部7は、頂部から延在し、かつ、鉤形連結部7の高さ方向Zに下向きに続く貫通空隙16をもつ。さらに、部分的に貫通空隙16の中には、楔形ロック部21が配置される。鉤形連結部7はまた、
図7に示すように、たとえば水平チューブ4を連結するための留め付け部分18を含む。支え面25は連結部材2の縦方向の前端に位置し、留め付け部分18は連結部材2の縦方向の後端に位置する。以下、本明細書中、連結部材2の前方とは、係合位置において直立材3に向かう方向をいう。
【0028】
連結部材2はさらに、第一の締め付け部20と、第二の締め付け部22と、楔形ロック部21とを含むロック装置19を含む。楔形ロック部21は、鉤形連結部7中にある貫通空隙16中に摺動可能に配置される。楔形ロック部21は、単にロック楔21と呼ぶこともでき、以下、両方の語は互換可能に使用される。第二の連結部22は、使用位置において、前記鉤形連結部7の上部分23に配置される。さらに、第一および第二の締め付け部20、22は、鉤形連結部7に別々に取り付けられ、したがって、ロック動作または解放動作中の任意の負の相互干渉をなくすために、相互に直接接触しない。
【0029】
ここで以下に、構造の詳細ならびに鉤形連結部7およびロック装置19と直立材3との相互作用を詳細に説明する。
図7は、ロック位置における連結部材2と、それに連結された直立材3および横木4との相互作用を詳細に示す。上述したように、鉤形連結部7は、直立材3の把持部6と係合し、かつ、それを把持するように形成されている把持面8によって横に制限される支え面25を有する。そのうえ、ボウル/カップ形把持部6は、図示する例においては円柱形であるが、原則として角を有する形状、たとえば正方形のパイプまたは原則として大きなロッドであり得る直立材3に、より詳細には、その囲い面9に固定された状態で取り付けられる。図示する中で、把持部6は、直立材の囲い面9の周囲に延在している壁10をもち、第一の締着面11が直立材3に向けて内方に面している。本発明の開示された態様において、第一の締着面11は、直立材3と同心的に、すなわち直立材3の囲い面9から一定の距離をとって直立材3の周囲に延在しているが、たとえばカーブした第一の締着面を容易にする多くの他の形状の把持が可能である。把持部6はさらに、好都合には、水、粒子などのための水抜き穴(図示せず)をもった底12をもつ。原則として、把持部6の底12をなくし、円柱形の壁10のみが応力吸収性離間要素によって直立材3の囲い面9に接続されるようにしてもよい。そのうえ、または、把持部6は、連結部材2を受けるための周方向に離間した穴を有する円板によって形成されてもよいし、または様々な角位置で直立材に固定された複数のブラケットによって形成されてもよい。把持部6は、その形状に関係なく、連結部材2の下向きに突出する鉤を受けるための、第一の締着面11と直立材3の囲い面9との間に位置付けられた連続的または間欠的な空間6aを形成する。特に、鉤形連結部が把持部の上向き空隙の中に挿入されるように配置されることにより、増大した組み立ておよび解体の安全性が提供される。というのも、ロック装置19の作動の前に、連結部材2を相対的に高い連結安全性で一時的に把持部材6に連結し得るからである。この構成は、多くの場合、足場1の組み立ておよび解体中に起こる。
【0030】
鉤形連結部7の前端は、連結部材2が組み立てられるとき、把持部6の空間6a中へと下向きに突出して、それと係合し、かつそれによって支持されるように配置される。
図7からよく見てとれるように、把持部6は、壁10の、リング形の、図示する例においては円形の上向き縁によって形成される上向き支え面24をもつ。これは支え面24を形成し、この支え面は、鉤形連結部7の同様な形状の下向き支え面25と相互作用するように配置される。支え面24、25は、好都合には平面であり、かつこの例においては、高さ方向Zに対して垂直な平面に延在している。把持部6の第一の締着面11は、鉤形連結部7の把持面8と相互作用するためのものである。鉤形連結部の各側面部7a、7bは把持面8をもつ。把持面8は、連結部材2の係合位置において、直立材3とは反対の方向を向いており、把持部6の第一の締着面11の方向を向いている。明確には見えないが、把持面8もまた、好都合にはカーブしており、より詳細には、把持部6の第一の締着面11と本質的に同じ形状で凸状にカールしており、それによって面接触が保証される。
【0031】
ロック装置19の詳細な構造に関して
図2〜5および8〜10を参照する。第一の締め付け部20は、共に接合された二つの別々の横方向に離間した側面部、好ましくは鋼板20a、20bで形成されている。側面部20a、20bの少なくとも第一の部分は平坦であり、かつ平行な面に延在し、折り目39によって第一の部分から区切られた側面部20a、20bの第二の部分は平坦であり、かつ互いに向かって傾き、それぞれが好ましくは直立材3の中心縦軸に向けられている。側面部20a、20bは、それらの離間した関係により、
図6によく示されているように、該側面部20a、20bの間に空隙27を共同で画定する。したがって、空隙27、すなわち空間は、その横方向Yが側面部20a、20bによって制限されている。空隙27は、完成した連結部材における組み立ての前にはほぼ空洞であり、組み立てののち、楔形ロック部21および鉤形連結部7はいずれも、少なくとも部分的に該空隙27内に配置される。第一の締め付け部20は、鉤形連結部7の側面部7a、7b上の外側に配置される。この配置により、鉤形連結部7は、部分的に前記空隙27内に配置される。さらに、横方向に離間した二つの側面部20a、20bのそれぞれは、横方向に離間した二つの側面部20a、20bを横向き回動軸14を中心として回動式に鉤形連結部7に取り付けるための留め付け手段29を含む。留め付け手段29は、ここでは、リベット48を受けるように配置された各側面部20a、20b中の穴によって形成されるが、リベットの代わりにねじ部材を使用するか、または第一の締め付け部20の側面部20a、20bの一つに直接リベット/ピンを提供するなど、多くの他の構成の回動的接続が可能である。リベット48はさらに、鉤形連結部の各側面部7a、7bのスルーホール15と係合するように配置される。各穴15の軸は横向き回動軸14と本質的に整合している。留め付け手段29は、横方向に離間した二つの側面部20a、20bを鉤形連結部7と回動式に留め付けるために使用される。
【0032】
図6によく示されているように、横方向に離間した二つの側面部20a、20bのそれぞれは、ロック位置において、直立材3の把持部6の囲い面9と相互作用するための前向き締着面30a、30bをもつ。さらに、前向き締着面30a、30bは、横方向に離間した側面部20a、20bのそれぞれの下部分にもたらされる。横方向に離間した二つの側面部20a、20bのそれぞれはさらに、ロック位置において、把持部6の外側の第二の締着面10aと相互作用するための、本質的に上向きの締着面31a、31bをもつ。上向き締着面31a、31bは、使用位置において、前向き締着面30a、30bよりも上にもたらされる。そのうえ、横方向に離間した側面部20a、20bは、側面部20a、20bの下部分において、かつ前向き締着面30a、30bに隣接するところで、コネクタ部32によって共に接合されて、単一の、剛性の第一の締め付け部を形成している。コネクタ部32は、好ましくは、前記側面部20a、20bのそれぞれに溶接される金属板によって形成されている。加えて、
図4、5によく示されているように、ロック楔21のための第一の支え面35を提供するために、楔載せ台34がコネクタ部32に固定された状態で接続されている。
図4によく示されているように、連結部材2がロック解除位置にあるときはいつでも、ロック楔21はこの楔載せ台34の上に載る。または、コネクタ部32と楔載せ台34とが一つの部片で形成されてもよく、または、横方向に離間した側面部20a、20bが一つの部片で形成されてもよい。
【0033】
連結部材2を直立材3にロックするためには、第一の締め付け部20を横向き回動軸14を中心に回動させ、ロック位置において、上述したように、前向き締着面30a、30bを把持部6の囲い面9と接触させる。さらに、ロック位置において、上向き締着面31a、31bを把持部6の第二の締着面10aと接触させる。したがって、先に説明したやり方で、第一の締め付け部20は、鉤形連結部7を後方かつ下方に押すことができ、それにより、連結部材2の偶発的係合解除の危険性がほぼ解消される、きわめて剛性であそびのない安全な連結を提供する。
【0034】
ロック楔の形態および機能を説明するために、特に
図9および10を参照する。ロック楔21は、本質的に楔として設計され、少なくとも第一の楔面37を有する。第一の楔面37は、使用位置において前方を向いており、かつ横方向に離間した側面部20に固定されているコネクタ部32と係合することによって第一の連結部22を直立材に向けて押すように形成されている。ロック楔21は、ロック楔21の本質的に縦方向Xに延在している細長い穴36を含む。上述したように、ロック楔21は、鉤形連結部7の中にある貫通空隙16中に位置付けられ、かつ、リベットまたはピン48をロック楔21の細長い穴36および鉤形連結部7の穴15に通すことにより、横向き回動軸14を中心にそれに接続される。ロック楔21は、貫通空隙16の内側で自由に上下動することができ、両摺動方向の移動のレベルは細長い穴36の長さによって部分的に制限される。ロック楔21は、その下端38において、連結部材2の縦方向に下向きの楔形に減少する寸法をもつ。
【0035】
さらに、必要な楔作用を達成するために、ロック楔21は第一および第二の前向き支持面50、51によって後方に支持され、これらの支持面は、鉤形連結部7の各側面部7a、7b上に向かい合って提供され、かつ、連結部材1が締着されると、ロック楔の第一および第二の後向き締着面54、55とそれぞれ相互作用するように配置される。したがって、各側面部7a、7bは、鉤形連結部7の中心に向かって横方向Yに一定の距離だけ突出する第一の支持突起52上に配置されている第一の前向き支持面50と、鉤形連結部7の中心に向かって横方向Yに一定の距離だけ突出する第二の支持突起53上に配置されている第二の前向き支持面51とを備える。側面部7a、7bの第一の支持突起52は、横方向Yに向かい合って配置され、ロック楔21の中央部分56の厚さよりも大きく、かつ、ロック楔21の周囲の主要部分に沿って延在している周囲フランジ部分57の厚さよりも小さい距離だけ横方向に離間している。それにより、第一および第二の支持突起は、連結部材1の縦方向Xにおけるロック楔21の動きの自由を制限する。また、ロック楔21の中央部分56の厚さと比較して増大した周辺フランジ部分57の厚さが、ロック楔21の強度を高め、ハンマなどによる度重なる打撃よってロック楔の下端38および頂部49が変形し、平坦化することを防ぐ目的に役立つ。
【0036】
第一および第二の支持突起52、53の位置は、大きな曲げトルクが連結部材1に作用したときロック楔21が解放位置に向かう望まれない動きの危険を減らすために、縦方向Xに、それぞれ第一および第二の楔面38に対して相対的に近くに配置されている。好ましくは、第一および第二の両前向き支持面50、51は回動軸14よりも前方に位置付けられる。
【0037】
第二の締め付け要素22の構造を説明するために
図2〜6を参照する。上述したように、第二の締め付け部22は、使用位置において、前記鉤形連結部7の上部分23に配置される。第二の締め付け部22は、一つの部片として形成され、かつ、鉤形連結部7に設けられている一対の外側凹み42a、42bに摺動可能に連結される二つの側面部分22a、22bを含む。第二の締め付け部の二つの側面部分22a、22bは、連結部材2の正面図を示す
図6に明確に見てとれる。第二の締め付け部22はさらに、直立材の方向に突出しかつ
図6によく示されているように前向き締着面44をもった前部43をもち、この前部は、把持部6の上方で直立材3に向かって締着面44を形成するように配置されている。このようにして、連結部材2の、そのロック位置におけるなおさらに改善された連結剛性および強さが保証される。第二の締め付け部材22の締着面44は、好ましくは、締着面44の中央領域と比較して前方に一定の距離だけ突出する側方隆起部44aを含む。側方隆起部44aは、連結部材2の高さ方向Zに延在し、かつ、ロック位置において直立材3と接触して、それにより、直立材との拡大した周方向接触面積を第二の締め付け部22に与えて、さらに改善された連結剛性を生じさせるように配置されている。加えて、第二の連結部22は、
図4によく示されているように、ロック楔21の前向きの傾斜した第二の楔面46との相互作用によって締着されるように配置されている後向き締着面45をもつ。第一および第二の楔面37、46が、ロック楔21に対し、その特徴的な二重楔面を与える。
【0038】
操作中、ユーザ、たとえば建築作業員が足場1を建造しようとすると、作業員は、連結部材2をロック解除位置で使用する。連結部材2がはじめにロック位置または中間位置にある場合、連結部材3のロック解除位置は、連結部材3を上下反転させるだけで、ロック楔21が重力によって解放位置に落下し、第一の締め付け部20が回動して開放位置に戻ることによって容易に達成し得る。連結部材を回転させて使用位置に戻すと、連結部材2は、第一の締め付け部20内の確実なロック楔支持によってロック解除位置に維持される。その後、ユーザは、鉤形連結部7の把持面8を直立材3の把持部6に取り付け、鉤形連結部7の支え面25が把持部6の支え面24によって支持されることを可能にする。ロック解除位置/解放位置における連結部材2のアセンブリは、
図2および4によく見ることができる。その後、ロック装置19を作動させる。作動は、好都合には、単に第一の締め付け部20を直立材3に向けて押すことによって実施される。第一の締め付け部20の移動は、ユーザによる手動によって、たとえば従来の手工具、たとえばハンマを使用する、第一の締め付け部20の後部分47に対する打撃によって実施されてもよい。
【0039】
その際、第一の締め付け部20の支え面35がロック楔21の下の位置から取り外され、その後、ロック楔は、重力およびロック楔21の重さにより、ロック位置に落下する。
図3、5、6および7を参照すること。ロック位置に向かって落下すると、第一の楔面37が第一の締め付け部20と係合し、第二の楔面46が第二の締め付け部22と係合して、該第一および第二の締め付け部20、22をロック位置に動かす。このように、ロック楔21は、鉤形連結部7の各側面部7a、7bの第一および第二の前向き支持面50、51と接触するその第一および第二の後向き締着面54、55ならびにリベット48、ロック楔21の細長い穴36および鉤形連結部7の穴15の組み合わせによって後方に支持を得るため、楔相互作用が生じる。その後、連結部材2を直立材3に最終的に固定するために、従来の手工具、たとえばハンマを使用して、好ましくは、ロック楔21の頂部49への打撃を実施する。連結部材2は、今や、直立材3および水平足場要素4と堅く連結した形態にある。この堅い連結形態は、
図7における連結システム100として見ることができる。第一の締め付け部20は、いくつかの異なる締着面30a、30b、31a、31bを有する状態で示されているが、他の形状の締着面が実現可能であることが留意されよう。
【0040】
連結部材2の解放操作は、同様な、ただし反対のやりかたで実施される。ロック楔21を、好ましくは、手工具、たとえばハンマを用いて、ロック楔21の下端38に対して下から打撃を加えてロック位置から打ち出したのち、おそらくは、必要ならば、その上端位置に達するまでロック楔21を手で持ち上げる。ロック楔21の細長い穴36の下接触端がリベット48と接触するとき、その最上端位置に達する。第一の楔面37を引き抜くと、第一の締め付け部20は、それ自体の重さにより、下方かつ後方に回動することができる。さらに、楔載せ台34の支持面35がロック楔21の下端38よりも下の位置に戻り、その後、ロック楔21は、連結部材2の解放位置/ロック解除位置において安定に静止し得る。ロック楔21が今や解放位置にあり、第二の締め付け部22が後方に摺動することができるため、第二の締め付け部22もまた、ロック解除される。ここでもまた、ロック解除位置/解放位置における連結部材2のアセンブリを
図2および4に見ることができる。さらに、第一および第二の両締め付け部20、22を緩めたのち、鉤形連結部7を把持部6から容易に持ち上げることができる。このようにして、非常にコンパクト、頑丈かつ確実であり、安全性が高く、使いやすい連結部材/システム2、100を達成することができる。
【0041】
鉤形連結部7の側面部7a、7b、第二の締め付け部22およびロック楔21は、好ましくは、材料強度を増し、より剛性の連結部材2を提供し、衝撃下の割れの危険を最小限にするために、鍛造によって鋼から形成される。高い強度は、把持部6の空間6aの中へと下に突出し、かつ連結部材2の主要な耐荷構造をもたらすように配置される鉤形連結部7の前端にとって特に重要である。というのも、その破損が安全性の著しい危機を招く可能性が高いからである。第一の締め付け部20の側面部20a、20b、コネクタ部32および楔載せ台部34はすべて、好ましくは、相対的に厚い、好ましくは厚さ3〜5mmの鋼板で形成されて、高い強度および費用効果的な製造をもたらす。第一の締め付け部22は、側面部20a、20b、コネクタ部32および楔載せ台部34を共に溶接することによって組み立てられる。
【0042】
特許請求の範囲に記載される参照番号は、特許請求の範囲によって保護される主題の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、それらの唯一の機能は、特許請求の範囲を理解しやすくすることである。
【0043】
理解されるように、本発明は、特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な明白な点において変形を加えられてもよい。したがって、図面およびそれに関する説明は、性質において例示的とみなされるものであり、限定的とみなされてはならない。
【符号の説明】
【0044】
参照符号の表
1 足場
2 連結部材
3 直立材
4、5 足場要素
6 把持部
6a 把持部の空間
7 鉤形連結部
7a、7b 鉤形連結部の側面部
8 把持面
9 囲い面
10 壁
10a 把持部の第二の締着面
11 把持部の第一の締着面
12 把持部の底
14 回動軸
15 鉤形連結部の各側面部の穴
16 鉤形連結部の貫通空隙
18 鉤形連結部の留め付け部分
19 ロック装置
20 第一の締め付け部
20a、20b 第一の締め付け部の側面部
21 楔形ロック部
22 第二の締め付け部
22a、22b 第二の締め付け部の側面部分
23 鉤形連結部の上部分
24 把持部の支え面
25 鉤形連結部の支え面
27 第一の締め付け部の空隙
29 第一の締め付け部の各側面部の留め付け手段
30a、30b、31a、31b 第一の締め付け部の締着面
32 第一の締め付け部のコネクタ部
34 第一の締め付け部の楔載せ台部
35 第一の締め付け部の支え面
36 楔形ロック部の細長い穴
37 楔形ロック部の第一の楔面
38 楔形ロック部の下端
39 側面部の折り目
42a、42b 鉤形連結部の外側凹み
43 第二の締め付け部の前部
44 第二の締め付け部の前向き締着面
44a 側方隆起部
45 第二の締め付け部の後向き締着面
46 楔形ロック部の第二の楔面
47 第一の締め付け部の後部
48 リベット
49 楔形ロック部の頂部
50 第一の前向き支持面
51 第二の前向き支持面
52 第一の支持突起
53 第二の支持突起
54 第一の後向き締着面
55 第二の後向き締着面
56 楔形ロック部の中央部分
57 楔形ロック部の周辺フランジ部分
58 前壁
59 後壁
60 溶接
61 面取りした前壁部分
62 面取りした後壁部分
100 連結システム