【文献】
ANTHONY A ESTRADA,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,2012年 9月17日,V55 N22,P9416-9433
【文献】
HUIFEN CHEN,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,2012年 5月16日,V55 N11,P5536-5545
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、LRRK2の機能を調節し、かつパーキンソン病等のLRRK2媒介性疾患及び病状の処置に有用である化合物に関する。
【0002】
背景技術
パーキンソン病、レビー小体型認知症及びハンチントン病等の神経変性疾患は、何百人もの人々が罹患している。パーキンソン病は、およそ1000人に1人が罹患する慢性の進行性運動系障害であり、遺伝性パーキンソン病は、患者全体の5〜10%を占める。パーキンソン病は、中脳ドーパミンニューロンの進行的な喪失によって引き起こされ、患者は運動を管理及び制御する能力が低下する。主なパーキンソン病の症状は、震え、硬直、運動緩徐及び平衡障害である。多くのパーキンソン病患者は、また、情動変化、記憶喪失、会話障害及び睡眠障害等のその他の症状も経験する。
【0003】
ロイシンリッチリピートキナーゼ2タンパク質(LRRK2)をコードする遺伝子が、遺伝性パーキンソン病と関連して同定された(Paisan-Ruiz et al., Neuron, Vol. 44(4), 2004, pp 595-600; Zimprich et al., Neuron, Vol. 44(4), 2004, 601-607)。インビトロ研究は、パーキンソン病が関連する突然変異が、野生型と比較して、増加するLRRK2キナーゼ活性と、減少するGTP加水分解速度をもたらすことを示している(Guo et al., Experimental Cell Research, Vol. 313(16), 2007, pp. 3658-3670)。抗LRRK2抗体が、パーキンソン病と関連する脳幹レビー小体及びレビー小体型認知症と関連する皮質抗体(cortical antibodies)を標識するために使用されているが、このことは、LRRK2がレビー小体の形成及びこれらの疾患と関連する病因において重要な役割を果たしうることを示唆している(Zhou et al., Molecular Degeneration, 2006, 1:17 doi:10.1186/1750-1326-1-17)。LRRK2は、また、クローン病感受性及びハンセン病感受性の増加と潜在的に関連する遺伝子として同定された(Zhang et al., New England J. Med. Vol. 361 (2009) pp.2609-2618)。
【0004】
LRRK2は、また、軽度認知障害からアルツハイマー病への移行(WO2007/149789);L−ドーパ誘発性ジスキネジア(Hurley et al., Eur. J. Neurosci., Vol. 26, 2007, pp. 171-177);神経前駆体の分化と関連するCNS障害(Milosevic et al., Neurodegen., Vol. 4, 2009, p. 25);腎癌、乳癌、前立腺癌、血液癌及び肺癌等の癌ならびに急性骨髄性白血病(WO2011/038572);乳頭状腎及び甲状腺癌(Looyenga et al., www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1012500108);多発性骨髄腫(Chapman et al., Nature Vol. 471, 2011, pp. 467-472);筋萎縮性側索硬化症(Shtilbans et al., Amyotrophic Lateral Sclerosis "Early Online 2011, pp. 1-7);関節リウマチ(Nakamura et al., DNA Res. Vol. 13(4), 2006, pp. 169-183);ならびに強直性脊椎炎(Danoy et al., PLoS Genetics, Vol. 6(12), 2010, e1001195, pp. 1-5)と関連している。
【0005】
従って、LRRK2活性の調節に効果的な化合物及び組成物は、パーキンソン病及びレビー小体型認知症等の神経変性疾患、アルツハイマー病及びL−ドーパ誘発性ジスキネジア等のCNS障害、腎癌、乳癌、前立腺癌、血液癌、乳頭癌及び肺癌等の癌、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫、ならびにハンセン病、クローン病、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ及び強直性脊椎炎等の炎症性疾患のための処置を提供することができる。特に、JAK2等のその他のキナーゼよりもLRRK2に対して選択的であるLRRK2親和性を有し、かつ、パーキンソン病等の神経変性障害の処置のための効果的な薬物を提供することができる化合物の必要性がある。
【0006】
発明の概要
本発明は、式I:
【化1】
[式中、
mは、0〜3であり;
Xは、−NR
a−;−O−;又は−S(O)
r−(ここで、rは、0〜2であり、そして、R
aは、水素又はC
1−6アルキルである)であり;
R
1は、C
1−6アルキル;C
1−6アルケニル;C
1−6アルキニル;ハロ−C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル;ヒドロキシ−C
1−6アルキル;アミノ−C
1−6アルキル;C
1−6アルキルスルホニル−C
1−6アルキル;C
3−6シクロアルキル(C
1−6アルキルで場合により置換されている);C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);テトラヒドロフラニル;テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;オキセタニル;又はオキセタン−C
1−6アルキルであるか;
又はR
1及びR
aは、これらが連結している原子と一緒になって、O、N及びSから選択される追加のヘテロ原子を場合により含むことができ、かつオキソ、ハロ又はC
1−6アルキルで置換されている、3〜6員環を形成してよく;
R
2は、ハロ;C
1−6アルコキシ;シアノ;C
1−6アルキニル;C
1−6アルケニル;ハロ−C
1−6アルキル;ハロ−C
1−6アルコキシ;C
3−6シクロアルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);テトラヒドロフラニル;テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;アセチル;オキセタニル;又はオキセタン−C
1−6アルキルであり;
R
3及びR
4は、各々独立して、ハロ;C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ;C
3−6シクロアルキルオキシ;ハロ−C
1−6アルキル;又はハロ−C
1−6アルコキシであるか;
又はR
3及びR
4は、これらが連結している原子と一緒になって、各々O、N及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含む5又は6員環を形成してよく、その環は、R
6で1回以上場合により置換されており;
R
5は、C
1−6アルキル−スルホニル;C
3−6シクロアルキルスルホニル;C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルスルホニル;シアノ;シアノ−C
1−6アルキル;ヘテロシクリル(R
6で1回以上場合により置換されている);ヘテロシクリル−C
1−6アルキル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている);ハロ−C
1−6アルキル;ヘテロシクリル−スルホニル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている);又はカルボキシであり;そして
R
6は、C
1−6アルキル;ハロ;ハロ−C
1−6アルキル;又はオキソである]
で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0007】
本発明は、また、該化合物を含む医薬組成物、該化合物を使用する方法、及び該化合物を調製する方法を提供する。
【0008】
発明の詳細な説明
定義
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含む本出願において使用される以下の用語は、下記の定義を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に他のことを示していない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0009】
「アルキル」は、炭素原子及び水素原子だけからなる、1〜12個の炭素原子を有する一価の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基、すなわち、C
1−C
6アルキルを指す。アルキル基の例としては、特に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシル等が含まれる。
【0010】
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の一価の直鎖炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の一価の分岐鎖炭化水素基、例えば、エテニル、プロペニル等を意味する。
【0011】
「アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の一価の直鎖炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の一価の分岐鎖炭化水素基、例えば、エチニル、プロピニル等を意味する。
【0012】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の二価の直鎖飽和炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の二価の分岐鎖飽和炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0013】
「アルコキシ」及び「アルキルオキシ」は、互換的に使用してもよく、式−OR(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル部分である)で表される部分を意味する。アルコキシ部分の例としては、特に限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が含まれる。
【0014】
「アルコキシアルキル」は、式R
a−O−R
b−(式中、R
aは、本明細書に定義されるアルキルであり、そして、R
bは、本明細書に定義されるアルキレンである)で表される部分を意味する。典型的なアルコキシアルキル基としては、例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル及び1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルが含まれる。
【0015】
「アルコキシアルコキシ」は、式−O−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルコキシである)で表される基を意味する。
【0016】
「アルキルカルボニル」は、式−C(O)−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキルである)で表される部分を意味する。
【0017】
「アルコキシカルボニル」は、式−C(O)−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアルコキシである)で表される基を意味する。
【0018】
「アルキルカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0019】
「アルコキシカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルコキシである)で表される基を意味する。
【0020】
「アルコキシカルボニルアルコキシ」は、式−O−R−C(O)−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルコキシである)で表される基を意味する。
【0021】
「ヒドロキシカルボニルアルコキシ」は、式−O−R−C(O)−OH(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンである)で表される基を意味する。
【0022】
「アルキルアミノカルボニルアルコキシ」は、式−O−R−C(O)−NHR’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0023】
「ジアルキルアミノカルボニルアルコキシ」は、式−O−R−C(O)−NR’R''(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’及びR''は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0024】
「アルキルアミノアルコキシ」は、式−O−R−NHR’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0025】
「ジアルキルアミノアルコキシ」は、式−O−R−NR’ R''(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’及びR''は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0026】
「アルキルスルホニル」は、式−SO
2−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキルである)で表される部分を意味する。
【0027】
「アルキルスルホニルアルキル」は、式−R’−SO
2−R''(式中、R’は、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R''は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される部分を意味する。
【0028】
「アルキルスルホニルアルコキシ」は、式−O−R−SO
2−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0029】
「アミノ」は、式−NRR’(式中、R及びR’は、各々独立して、水素又は本明細書に定義されるアルキルである)で表される部分を意味する。従って、「アミノ」には、「アルキルアミノ」(式中、R及びR’の一方は、アルキルであり、他方は、水素である)及び「ジアルキルアミノ」(式中、R及びR’は、共にアルキルである)が含まれる。
【0030】
「アミノカルボニル」は、式−C(O)−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアミノである)で表される基を意味する。
【0031】
「アルコキシアミノ」は、式−NR−OR’(式中、Rは、水素又は本明細書に定義されるアルキルであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルキルである)で表される部分を意味する。
【0032】
「アルキルスルファニル」は、式−SR(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキルである)で表される部分を意味する。
【0033】
「アミノアルキル」は、基−R−R’(式中、R’は、本明細書に定義されるアミノであり、そして、Rは、本明細書に定義されるアルキレンである)を意味する。「アミノアルキル」には、アミノメチル、アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル等が含まれる。「アミノアルキル」のアミノ部分は、アルキルで1回又は2回置換されて、それぞれ、「アルキルアミノアルキル」及び「ジアルキルアミノアルキル」を与えうる。「アルキルアミノアルキル」としては、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、エチルアミノエチル等が含まれる。「ジアルキルアミノアルキル」としては、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、N−メチル−N−エチルアミノエチル等が含まれる。
【0034】
「アミノアルコキシ」は、基−OR−R’(式中、R’は、本明細書に定義されるアミノであり、そして、Rは、本明細書に定義されるアルキレンである)を意味する。
【0035】
「アルキルスルホニルアミド」は、式−NR’SO
2−R(式中、Rは、アルキルであり、そして、R’は、水素又はアルキルである)で表される部分を意味する。
【0036】
「アミノカルボニルオキシアルキル」又は「カルバミル(carbamyl)アルキル」は、式−R−O−C(O)−NR’R''(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’、R''は、各々独立して、水素又は本明細書に定義されるアルキルである)で表される基を意味する。
【0037】
「アルキニルアルコキシ」は、式−O−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアルキニルである)で表される基を意味する。
【0038】
「アリール」は、単環式、二環式又は三環式芳香環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。アリール部分の例としては、特に限定されないが、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル(benzopiperadinyl)、ベンゾピペラジニル(benzopiperazinyl)、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等が含まれ、これらは、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。
【0039】
「アリールアルキル」及び「アラルキル」は、互換的に使用してもよく、基−R
aR
b(式中、R
aは、本明細書に定義されるアルキレン基であり、そして、R
bは、本明細書に定義されるアリール基である)を意味し、例えば、フェニルアルキル、例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチル等がアリールアルキルの例である。
【0040】
「アリールスルホニル」は、式−SO
2−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアリールである)で表される基を意味する。
【0041】
「アリールオキシ」は、式−O−R(式中、Rは、本明細書に定義されるアリールである)で表される基を意味する。
【0042】
「アラルキルオキシ」は、式−O−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるアリールである)で表される基を意味する。
【0043】
「カルボキシ」又は「ヒドロキシカルボニル」は、互換的に使用してもよく、式−C(O)−OHで表される基を意味する。
【0044】
「シアノアルキル」は、式−R’−R''(式中、R’は、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R''は、シアノ又はニトリルである)で表される部分を意味する。
【0045】
「シクロアルキル」は、単環式又は二環式からなる一価の飽和炭素環部分を意味する。特定のシクロアルキルは、非置換であるか又はアルキルで置換されている。シクロアルキルは、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。特に定義しない限り、シクロアルキルは、1個以上の置換基で場合により置換されていてもよく、ここで、各置換基は、独立して、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである。シクロアルキル部分の例としては、特に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等(これらの部分不飽和(シクロアルケニル)誘導体を含む)が含まれる。
【0046】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R’−R''(式中、R’は、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R''は、本明細書に定義されるシクロアルキルである)で表される部分を意味する。
【0047】
「シクロアルキルアルコキシ」は、式−O−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるシクロアルキルである)で表される基を意味する。
【0048】
「ヘテロアリール」は、N、O又はSから選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである少なくとも1個の芳香族環を有する、5〜12個の環原子の単環式又は二環式基を意味し、ここで、ヘテロアリール基の結合点は、芳香族環上にあるものと理解される。ヘテロアリール環は、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例としては、特に限定されないが、場合により置換されているイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等が含まれ、これらの各々は、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。
【0049】
「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアラルキル」は、式−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるヘテロアリールである)で表される基を意味する。
【0050】
「ヘテロアリールスルホニル」は、式−SO
2−R(式中、Rは、本明細書に定義されるヘテロアリールである)で表される基を意味する。
【0051】
「ヘテロアリールオキシ」は、式−O−R(式中、Rは、本明細書に定義されるヘテロアリールである)で表される基を意味する。
【0052】
「ヘテロアラルキルオキシ」は、式−O−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるヘテロアリールである)で表される基を意味する。
【0053】
用語「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」は、互換的に使用してもよく、置換基フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0054】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が同じ又は異なるハロゲンで置き換わっている、本明細書に定義されるアルキルを意味する。例示的なハロアルキルとしては、−CH
2Cl、−CH
2CF
3、−CH
2CCl
3、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF
3)等が含まれる。
【0055】
「ハロアルコキシ」は、式−OR(式中、Rは、本明細書に定義されるハロアルキル部分である)で表される部分を意味する。例示的なハロアルコキシは、ジフルオロメトキシである。
【0056】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも1個の環原子がN、NH又はN−アルキルであり、残りの環原子がアルキレン基を形成する、飽和環を意味する。
【0057】
「ヘテロシクリル」は、1、2又は3又は4個のヘテロ原子(窒素、酸素又は硫黄から選択される)を組入れる1〜3個の環からなる、一価の飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例としては、特に限定されないが、場合により置換されている、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼピニル、ピロリジニル、アゼチジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル等が含まれる。そのようなヘテロシクリルは、本明細書に定義されるように場合により置換されていてもよい。
【0058】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−R−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるヘテロシクリルである)で表される部分を意味する。
【0059】
「ヘテロシクリルオキシ」は、式−OR(式中、Rは、本明細書に定義されるヘテロシクリルである)で表される部分を意味する。
【0060】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式−OR−R’(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、そして、R’は、本明細書に定義されるヘテロシクリルである)で表される部分を意味する。
【0061】
「ヘテロシクリルスルホニル」は、式−SO
2−R(式中、Rは、本明細書に定義されるヘテロシクリルである)で表される基を意味する。
【0062】
「ヒドロキシアルコキシ」は、式−OR(式中、Rは、本明細書に定義されるヒドロキシアルキルである)で表される部分を意味する。
【0063】
「ヒドロキシアルキルアミノ」は、式−NR−R’(式中、Rは、水素又は本明細書に定義されるアルキルであり、そして、R’は、本明細書に定義されるヒドロキシアルキルである)で表される部分を意味する。
【0064】
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R''(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンであり、R’は、水素又は本明細書に定義されるアルキルであり、そして、R''は、本明細書に定義されるヒドロキシアルキルである)で表される部分を意味する。
【0065】
「ヒドロキシカルボニルアルキル」又は「カルボキシアルキル」は、式−R−(CO)−OH(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンである)で表される基を意味する。
【0066】
「ヒドロキシカルボニルアルコキシ」は、式−O−R−C(O)−OH(式中、Rは、本明細書に定義されるアルキレンである)で表される基を意味する。
【0067】
「ヒドロキシアルキルオキシカルボニルアルキル」又は「ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−O−R−OH(式中、各Rは、アルキレンであり、そして、同じであっても異なっていてもよい)で表される基を意味する。
【0068】
「ヒドロキシアルキル」は、1個以上の、例えば、1、2又は3個のヒドロキシ基で置換されている、本明細書に定義されるアルキル部分を意味する(但し、同じ炭素原子は、2個以上のヒドロキシ基を有しないものとする)。代表例としては、特に限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが含まれる。
【0069】
「ヒドロキシシクロアルキル」は、シクロアルキル基中の1、2又は3個の水素原子がヒドロキシ置換基で置き換わっている、本明細書に定義されるシクロアルキル部分を意味する。代表例としては、特に限定されないが、2−、3−又は4−ヒドロキシシクロヘキシル等が含まれる。
【0070】
「アルコキシヒドロキシアルキル」及び「ヒドロキシアルコキシアルキル」は、互換的に使用してもよく、ヒドロキシで少なくとも1回及びアルコキシで少なくとも1回置換されている、本明細書に定義されるアルキルを意味する。従って、「アルコキシヒドロキシアルキル」及び「ヒドロキシアルコキシアルキル」は、例えば、2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロパン−1−イル等を包含する。
【0071】
「ウレア」又は「ウレイド」は、式−NR’−C(O)−NR''R''’(式中、R’、R''及びR''’は、各々独立して、水素又はアルキルである)で表される基を意味する。
【0072】
「カルバメート」は、式−O−C(O)−NR’R''(式中、R’及びR''は、各々独立して、水素又はアルキルである)で表される基を意味する。
【0073】
「カルボキシ」は、式−O−C(O)−OHで表される基を意味する。
【0074】
「スルホンアミド」は、式−SO
2−NR’R''(式中、R’、R''及びR''’は、各々独立して、水素又はアルキルである)で表される基を意味する。
【0075】
「場合により置換されている」は、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「シクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」部分を伴って使用される場合、そのような部分が、非置換(すなわち、空の原子価は全て、水素原子によって占められている)であるか、又は本明細で関連するように特定の基で置換されていてもよいことを意味する。
【0076】
「脱離基」は、有機合成化学において従来それに用いられる意味を有する基、すなわち、置換反応条件下で置き換えられうる原子又は基を意味する。脱離基の例としては、特に限定されないが、ハロゲン、アルカン−又はアリーレンスルホニルオキシ、例えば、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ及びチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されているベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等が含まれる。
【0077】
「モジュレーター」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用としては、特に限定されないが、本明細書に定義されるようなアゴニスト、アンタゴニスト等が含まれる。
【0078】
「場合による」又は「場合により」は、続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要もなく、その記載は、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。
【0079】
「疾患」及び「疾患病状」は、任意の疾患、病状、症状、障害又は徴候を意味する。
【0080】
「不活性有機溶媒」又は「不活性溶媒」は、溶媒がこれと組み合わせて説明される反応条件下で不活性であること意味し、これには、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン又はジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等が含まれる。特に指定のない限り、本発明の反応で使用される溶媒は、不活性溶媒である。
【0081】
「薬学的に許容しうる」は、一般的に、安全で、無毒であり、生物学的にも別の面でも望ましくないことはない医薬組成物の調製に有用であることを意味し、そして、動物用ならびにヒト用の製薬用途に許容しうることを含む。
【0082】
化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、本明細書に定義されるように薬学的に許容しえて、かつ親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。
【0083】
薬学的に許容される塩についての全ての言及が、同じ酸付加塩の、本明細書で定義される溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形態(多形)を含むことを理解すべきである。
【0084】
「保護基(Protective group)」又は「保護している基(protecting group)」は、合成化学において従来それに用いられる意味で、化学反応を別の保護されていない反応部位で選択的に行うことができるように、多官能性化合物中の1つの反応部位を選択的にブロックする基を意味する。本発明の特定のプロセスでは、反応体中に存在する反応性の窒素及び/又は酸素原子をブロックするために保護基に依存している。例えば、用語「アミノ保護基」及び「窒素保護基」は本明細書において互換的に使用され、合成手順中において望まない反応から窒素原子を保護することを意図する有機基を指す。例示的な窒素保護基としては、特に限定されないが、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)等が含まれる。当業者であれば、除去の容易さやその後の反応での耐久性に関して、どのように基を選択すべきかを理解されよう。
【0085】
「溶媒和物」は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶固体病状において溶媒分子を一定のモル比で捕捉する傾向を有し、それによって溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコール和物である。水和物は、1個以上の水分子と、水がその分子病状をH
2Oとして保持する物質の1つとの組み合わせによって形成され、そのような組み合わせから、1個以上の水和物を形成することができる。
【0086】
「パーキンソン病」は、運動能力、会話及び/又は認知機能を害する中枢神経系の変性疾患を意味する。パーキンソン病の症状としては、例えば、筋硬直、震え、身体的動作の遅延(運動緩徐)及び身体的動作の喪失(無動症)を含むことができる。
【0087】
「レビー小体病」、また、「レビー小体型認知症」、「びまん性レビー小体病」、「皮質性レビー小体病」とも呼ばれるものは、脳内のレビー小体の存在によって解剖学的に特徴付けられる神経生成障害を意味する。
【0088】
「被験体」は、哺乳動物及び非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、ヒト;チンパンジー及びその他の類人猿及びサル類等の人類以外の霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタ等の家畜;ウサギ、イヌ及びネコ等の愛玩動物;ラット、マウス及びモルモット等のげっ歯類を含む実験動物等を非限定的に含む哺乳類のあらゆるメンバーを意味する。非哺乳動物の例としては、特に限定されないが、トリ等が含まれる。用語「被験体」は、特定の年齢又は性別を表さない。
【0089】
「治療有効量」は、疾患病状を処置するために被験体に投与される場合、疾患病状についてそのような処置を達成するために十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置されている疾患病状、処置される疾患の重篤度、被検体の年齢及び相対的な健康病状、投与の経路及び形態、診察にあたる医師又は獣医の判断、ならびにその他の要因に応じて変化する。
【0090】
用語「上記に定義されるもの」及び「本明細書において定義されるもの」は、変数について言及するとき、その変数の広い定義、ならびに存在するならば、特定の定義を参照によって組入れる。
【0091】
疾患病状を「処置する」又は「処置」としては、とりわけ、疾患病状を抑制すること、すなわち、疾患病状又はその臨床症状の発症を抑止すること、及び/又は疾患病状を緩和すること、すなわち、疾患病状又はその臨床症状の一時的又は完全な後退を引き起こすことが含まれる。
【0092】
用語「処理する」、「接触する」及び「反応する」は、化学反応について言及するとき、表示及び/又は所望の生成物を生成するために、2種以上の試薬を適切な条件下で添加又は混合することを意味する。表示及び/又は所望の生成物を生成する反応が、必ずしも最初に添加した2種の試薬の組み合わせから直接生じるとは限らず、すなわち、最終的に表示及び/又は所望の生成物の生成に至る混合物として生成される、1つ以上の中間体が存在してもよいことを理解すべきである。
【0093】
「C
1−6」は、本明細書において、任意のその他の用語と組み合わされて、1個の炭素〜6個の炭素、すなわち、1、2、3、4、5又は6個の炭素を指し、「C
2−6」は、2個の炭素〜6個の炭素、すなわち、2、3、4、5又は6個の炭素を指し、「C
3−6」は、1個の炭素〜6個の炭素、すなわち、3、4、5又は6個の炭素を指す。
【0094】
命名及び構造
一般的に、本出願において使用される命名及び化学名は、CambridgeSoft(商標)によるChembioOffice(商標)に基づいている。本明細書において構造中の炭素、酸素、硫黄又は窒素原子上に現れる任意の空の原子価は、特に指示のない限り、水素原子の存在を示す。窒素含有ヘテロアリール環が、窒素原子上に空の原子価を有すると示され、そして、R
a、R
b又はR
c等の変数がヘテロアリール環上に示される場合、そのような変数は、空の原子価の窒素に結合又は連結していてもよい。キラル中心が構造中に存在するが、そのキラル中心について具体的な立体化学が示されない場合、キラル中心を伴う両方のエナンチオマーがその構造に包含される。本明細書に示される構造が複数の互変異性体形態で存在しうる場合、そのような互変異性体の全てがその構造に包含される。本明細書において構造中に表される原子は、そのような原子の全ての天然同位体を包含することが意図される。従って、例えば、本明細書において表される水素原子は、重水素及び三重水素を含むことを意味し、そして、炭素原子は、C
13及びC
14同位体を含むことを意味する。
【0095】
本発明の化合物
本発明は、式I:
【化2】
[式中、
mは、0〜3であり;
Xは、−NR
a−;−O−;又は−S(O)
r−(ここで、rは、0〜2であり、そして、R
aは、水素又はC
1−6アルキルである)であり;
R
1は、C
1−6アルキル;C
1−6アルケニル;C
1−6アルキニル;ハロ−C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル;ヒドロキシ−C
1−6アルキル;アミノ−C
1−6アルキル;C
1−6アルキルスルホニル−C
1−6アルキル;C
3−6シクロアルキル(C
1−6アルキルで場合により置換されている);C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);テトラヒドロフラニル;テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;オキセタニル;又はオキセタン−C
1−6アルキルであるか;
又はR
1及びR
aは、これらが連結している原子と一緒になって、O、N及びSから選択される追加のヘテロ原子を場合により含むことができ、かつオキソ、ハロ又はC
1−6アルキルで置換されている、3〜6員環を形成してよく;
R
2は、ハロ;C
1−6アルコキシ;シアノ;C
1−6アルキニル;C
1−6アルケニル;ハロ−C
1−6アルキル;ハロ−C
1−6アルコキシ;C
3−6シクロアルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);テトラヒドロフラニル;テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;アセチル;オキセタニル;又はオキセタン−C
1−6アルキルであり;
R
3及びR
4は、各々独立して、ハロ;C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ;C
3−6シクロアルキルオキシ;ハロ−C
1−6アルキル;又はハロ−C
1−6アルコキシであるか;
又はR
3及びR
4は、これらが連結している原子と一緒になって、各々O、N及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含む5又は6員環を形成してよく、その環は、R
6で1回以上場合により置換されており;
R
5は、C
1−6アルキル−スルホニル;C
3−6シクロアルキルスルホニル;C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルスルホニル;シアノ;シアノ−C
1−6アルキル;ヘテロシクリル(R
6で1回以上場合により置換されている);ヘテロシクリル−C
1−6アルキル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている);ハロ−C
1−6アルキル;ヘテロシクリル−スルホニル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている);又はカルボキシであり;そして
R
6は、C
1−6アルキル;ハロ;ハロ−C
1−6アルキル;又はオキソである]
で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0096】
式Iのある実施態様において、
mは、0〜1であり;
Xは、−NH−又は−O−であり;
R
1は、C
1−6アルキルであり;
R
2は、ハロ;シアノ又はハロ−C
1−6アルキルであり;
R
3及びR
4は、各々独立して、ハロ;C
1−6アルキル又はC
1−6アルコキシであり;
R
5は、C
1−6アルキル−スルホニル;シアノ;ヘテロシクリル(R
6で1回以上場合により置換されている);ヘテロシクリル−C
1−6アルキル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている);ハロ−C
1−6アルキル;ヘテロシクリル−スルホニル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている);又はカルボキシであり;そして
R
6は、オキソである。
【0097】
式Iのある実施態様において、R
1及びR
aは、これらが連結している原子と一緒になって、O、N及びSから選択される追加のヘテロ原子を場合により含むことができ、かつオキソ、ハロ又はC
1−6アルキルで場合により置換されていてもよい、3〜6員環を形成する。
【0098】
式Iのある実施態様において、R
1及びR
aは、これらが連結している原子と一緒になって、5又は6員環を形成する。
【0099】
式Iのある実施態様において、R
1及びR
aは、これらが連結している原子と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル又はオキサゾラジノニル(oxazoladinonyl)基を形成する。
【0100】
式Iのある実施態様において、R
2は、アセチルである。
【0101】
式Iのある実施態様において、R
1が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル−C
1−6アルキル又はシクロブチル−C
1−6アルキルである場合、Xは、−O−である。
【0102】
式Iのある実施態様において、mは、0〜2である。
【0103】
式Iのある実施態様において、mは、0又は1である。
【0104】
式Iのある実施態様において、mは、0である。
【0105】
式Iのある実施態様において、mは、1である。
【0106】
式Iのある実施態様において、rは、0である。
【0107】
式Iのある実施態様において、rは、2である。
【0108】
式Iのある実施態様において、Xは、−NR
a−又は−O−である。
【0109】
式Iのある実施態様において、Xは、−NR
aである。
【0110】
式Iのある実施態様において、Xは、−O−である。
【0111】
式Iのある実施態様において、Xは、−S(O)
n−である。
【0112】
式Iのある実施態様において、Xは、−NH−又は−O−である。
【0113】
式Iのある実施態様において、R
aは、水素である。
【0114】
式Iのある実施態様において、R
aは、C
1−6アルキルである。
【0115】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルキル;ハロ−C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル;アミノ−C
1−6アルキル;C
1−6アルキルスルホニル−C
1−6アルキル;C
3−6シクロアルキル;又はC
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルである。
【0116】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルキル;C
3−6シクロアルキル(C
1−6アルキルで場合により置換されている);又はC
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている)である。
【0117】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルキル;ハロ−C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル;アミノ−C
1−6アルキル;C
1−6アルキルスルホニル−C
1−6アルキル;テトラヒドロフラニル;テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;オキセタニル;又はオキセタン−C
1−6アルキルである。
【0118】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルキル;ハロ−C
1−6アルキル;C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル;アミノ−C
1−6アルキル;又はC
1−6アルキルスルホニル−C
1−6アルキルである。
【0119】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルキルである。
【0120】
式Iのある実施態様において、R
1は、ハロ−C
1−6アルキルである。
【0121】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキルである。
【0122】
式Iのある実施態様において、R
1は、アミノ−C
1−6アルキルである。
【0123】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
1−6アルキルスルホニル−C
1−6アルキル(C
1−6アルキルで場合により置換されている)である。
【0124】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
3−6シクロアルキル(C
1−6アルキルで場合により置換されている)である。
【0125】
式Iのある実施態様において、R
1は、C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている)である。
【0126】
式Iのある実施態様において、R
1は、テトラヒドロフラニルである。
【0127】
式Iのある実施態様において、R
1は、テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;オキセタニルである。
【0128】
式Iのある実施態様において、R
1は、オキセタン−C
1−6アルキルである。
【0129】
式Iのある実施態様において、R
1は、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;イソブチル;3,3−ジメチルプロピル;シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロプロピルメチル;シクロブチルメチル;シクロペンチルメチル;シクロプロピルエチル;メトキシエチル;オキセタニル;又はテトラヒドロフラニルメチルである。
【0130】
式Iのある実施態様において、R
1は、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;イソブチル;3,3−ジメチルプロピル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロプロピルメチル;シクロブチルメチル;シクロペンチルメチル;シクロプロピルエチル;メトキシエチル;オキセタニル;又はテトラヒドロフラニルメチルである。
【0131】
式Iのある実施態様において、R
1は、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;イソブチル;3,3−ジメチルプロピル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロペンチルメチル;メトキシエチル;オキセタニル;又はテトラヒドロフラニルメチルである。
【0132】
式Iのある実施態様において、R
1は、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;又はイソブチルである。
【0133】
式Iのある実施態様において、R
1は、メチル又はエチルである。
【0134】
式Iのある実施態様において、R
1は、メチルである。
【0135】
式Iのある実施態様において、R
1は、エチルである。
【0136】
式Iのある実施態様において、R
1は、シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロプロピルメチル;シクロブチルメチル;シクロペンチルメチル;又はシクロプロピルエチルである。
【0137】
式Iのある実施態様において、R
1は、シクロペンチル;シクロヘキシル;又はシクロペンチルメチルである。
【0138】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ;C
1−6アルコキシ;ハロ−C
1−6アルキル;ハロ−C
1−6アルコキシ;C
3−6シクロアルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキル(ここで、C
3−6シクロアルキル部分は、C
1−6アルキルで場合により置換されている);テトラヒドロフラニル;テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキル;オキセタニル;又はオキセタン−C
1−6アルキルである。
【0139】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ;C
1−6アルコキシ;ハロ−C
1−6アルキル;シアノ;C
1−6アルキニル;C
1−6アルケニル;C
3−6シクロアルキル;又はC
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルである。
【0140】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ;C
1−6アルコキシ;ハロ−C
1−6アルキル;シアノ;C
3−6シクロアルキル;又はC
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルである。
【0141】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ;C
1−6アルコキシ;ハロ−C
1−6アルキル;C
3−6シクロアルキル;又はC
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルである。
【0142】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ;ハロ−C
1−6アルキル;又はシアノである。
【0143】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ;又はハロ−C
1−6アルキルである。
【0144】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロである。
【0145】
式Iのある実施態様において、R
2は、C
1−6アルコキシである。
【0146】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ−C
1−6アルコキシである。
【0147】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ−C
1−6アルキルである。
【0148】
式Iのある実施態様において、R
2は、C
3−6シクロアルキルである。
【0149】
式Iのある実施態様において、R
2は、C
3−6シクロアルキル−C
1−6アルキルである。
【0150】
式Iのある実施態様において、R
2は、テトラヒドロフラニルである。
【0151】
式Iのある実施態様において、R
2は、テトラヒドロフラニル−C
1−6アルキルである。
【0152】
式Iのある実施態様において、R
2は、オキセタニルである。
【0153】
式Iのある実施態様において、R
2は、オキセタン−C
1−6アルキルである。
【0154】
式Iのある実施態様において、R
2は、ハロ、トリフルオロメチル又はシアノである。
【0155】
式Iのある実施態様において、R
2は、クロロ、トリフルオロメチル又はシアノである。
【0156】
式Iのある実施態様において、R
2は、クロロ又はトリフルオロメチルである。
【0157】
式Iのある実施態様において、R
2は、フルオロ、クロロ又はブロモである。
【0158】
式Iのある実施態様において、R
2は、クロロである。
【0159】
式Iのある実施態様において、R
2は、フルオロである。
【0160】
式Iのある実施態様において、R
2は、ブロモである。
【0161】
式Iのある実施態様において、R
2は、トリフルオロメチルである。
【0162】
式Iのある実施態様において、R
2は、メトキシである。
【0163】
式Iのある実施態様において、R
2は、シアノである。
【0164】
式Iのある実施態様において、R
2は、C
1−6アルキニルである。
【0165】
式Iのある実施態様において、R
2は、C
1−6アルケニルである。
【0166】
式Iのある実施態様において、R
3は、C
1−6アルキルである。
【0167】
式Iのある実施態様において、R
3は、ハロである。
【0168】
式Iのある実施態様において、R
3は、C
1−6アルキルである。
【0169】
式Iのある実施態様において、R
3は、C
1−6アルコキシである。
【0170】
式Iのある実施態様において、R
3は、ハロ又はC
1−6アルコキシである。
【0171】
式Iのある実施態様において、R
3は、C
3−6シクロアルキルオキシである。
【0172】
式Iのある実施態様において、R
3は、ハロ−C
1−6アルキルである。
【0173】
式Iのある実施態様において、R
3は、ハロ−C
1−6アルコキシである。
【0174】
式Iのある実施態様において、R
3は、ハロ又はメトキシである。
【0175】
式Iのある実施態様において、R
3は、フルオロ、クロロ又はメトキシである。
【0176】
式Iのある実施態様において、R
3は、フルオロ又はクロロである。
【0177】
式Iのある実施態様において、R
3は、メトキシである。
【0178】
式Iのある実施態様において、R
3は、メチルである。
【0179】
式Iのある実施態様において、R
3は、クロロである。
【0180】
式Iのある実施態様において、R
3は、フルオロである。
【0181】
式Iのある実施態様において、R
4は、C
1−6アルキルである。
【0182】
式Iのある実施態様において、R
4は、ハロである。
【0183】
式Iのある実施態様において、R
4は、C
1−6アルキルである。
【0184】
式Iのある実施態様において、R
4は、C
1−6アルコキシである。
【0185】
式Iのある実施態様において、R
4は、ハロ−C
1−6アルキルである。
【0186】
式Iのある実施態様において、R
4は、ハロ−C
1−6アルコキシである。
【0187】
式Iのある実施態様において、R
4は、ハロ又はメトキシである。
【0188】
式Iのある実施態様において、R
4は、フルオロ、クロロ、メチル又はメトキシである。
【0189】
式Iのある実施態様において、R
4は、フルオロ、クロロ又はメトキシである。
【0190】
式Iのある実施態様において、R
4は、フルオロ又はクロロである。
【0191】
式Iのある実施態様において、R
4は、メトキシである。
【0192】
式Iのある実施態様において、R
4は、メチルである。
【0193】
式Iのある実施態様において、R
4は、クロロである。
【0194】
式Iのある実施態様において、R
4は、フルオロである。
【0195】
式Iのある実施態様において、R
4は、C
3−6シクロアルキルオキシである。
【0196】
式Iのある実施態様において、R
3及びR
4は、これらが連結している原子と一緒になって、各々O、N及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含む5又は6員環を形成し、その環は、R
6で1回以上場合により置換されている。
【0197】
式Iのある実施態様において、R
3及びR
4は、これらが連結している原子と一緒になって、エチレン基によって分離されている2個の酸素原子を含む6員環を形成する(すなわち、R
3及びR
4は、一緒になって、エチレン−ジオキシ基を形成する)。
【0198】
式Iのある実施態様において、R
3及びR
4は、これらが連結している原子と一緒になって、メチレン基によって分離されている2個の酸素原子を含む5員環を形成する(すなわち、R
3及びR
4は、一緒になって、メチレン−ジオキシ基を形成する)。
【0199】
式Iのある実施態様において、R
5は、C
1−6アルキル−スルホニルである。
【0200】
式Iのある実施態様において、R
5は、C
1−6アルキル−スルホニル又はシアノである。
【0201】
式Iのある実施態様において、R
5は、C
3−6シクロアルキル−スルホニルである。
【0202】
式Iのある実施態様において、R
5は、シアノである。
【0203】
式Iのある実施態様において、R
5は、シアノ−C
1−6アルキルである。
【0204】
式Iのある実施態様において、R
5は、R
6で場合により置換されているヘテロシクリルである。
【0205】
式Iのある実施態様において、R
5は、ヘテロシクリル−C
1−6アルキル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で場合により置換されている)である。
【0206】
式Iのある実施態様において、R
5は、ハロ−C
1−6アルキルである。
【0207】
式Iのある実施態様において、R
5は、カルボキシである。
【0208】
式Iのある実施態様において、R
5は、メタンスルホニルである。
【0209】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリン−4−イル−メチルである。
【0210】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリニルである。
【0211】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリン−4−イルである。
【0212】
式Iのある実施態様において、R
5は、オキセタニルである。
【0213】
式Iのある実施態様において、R
5は、オキセタン−3−イルである。
【0214】
式Iのある実施態様において、R
5は、ピロリジノニルである。
【0215】
式Iのある実施態様において、R
5は、ピロリジン−2−オン−1−イルである。
【0216】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリノニルである。
【0217】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリン−3−オン−4−イルである。
【0218】
式Iのある実施態様において、R
5は、ピペリジノニルである。
【0219】
式Iのある実施態様において、R
5は、ピペリジン−2−オン−1−イルである。
【0220】
式Iのある実施態様において、R
5は、トリフルオロメチルである。
【0221】
式Iのある実施態様において、R
5は、ヘテロシクリル−スルホニル(ここで、ヘテロシクリル部分は、R
6で1回以上場合により置換されている)である。
【0222】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリン−4−スルホニルである。
【0223】
式Iのある実施態様において、R
5は、モルホリン−スルホニルである。
【0224】
R
5がヘテロシクリルであるか、又はヘテロシクリル部分を含有する本発明の実施態様において、そのようなヘテロシクリルは、アゼピニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル又はオキセタニルであってよく、各々R
6で1回以上場合により置換されている。
【0225】
R
5がヘテロシクリルであるか、又はヘテロシクリル部分を含有する本発明の実施態様において、そのようなヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、アゼチジニル、アゼピニル、オキサアゼピニル又はピロリジニルであってよく、各々R
6で1回以上場合により置換されている。
【0226】
R
5がヘテロシクリルであるか、又はヘテロシクリル部分を含有する本発明の実施態様において、そのようなヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピロリジニルであってよく、各々R
6で1回以上場合により置換されている。
【0227】
式Iのある実施態様において、R
5は、メタンスルホニル;シアノ;モルホリン−4−イル−メチル;モルホリン−4−イル;モルホリン−4−イル−スルホニル;又はトリフルオロメチルである。
【0228】
式Iのある実施態様において、R
5は、メタンスルホニル;シアノ;又はモルホリン−4−イル−メチルである。
【0229】
式Iのある実施態様において、R
5は、メタンスルホニル;又はシアノである。
【0230】
式Iのある実施態様において、該化合物は、下記からなる群より選択される:
N2−(2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−N2−(2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチルピリミジン−2,4−ジアミン、2−フルオロ−5−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリル、3−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリル、4−(5−クロロ−4−(メチルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−3−メトキシベンゾニトリル、(2−クロロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−(5−クロロ−4−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−アミン、N2−(2−クロロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−N2−(2−クロロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−N4−メチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(2−メトキシ−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−2−メチル−4−(4−メチルアミノ−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンゾニトリル、2−(5−フルオロ−2−メトキシ−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニルアミノ)−4−メチルアミノ−ピリミジン−5−カルボニトリル、4−エチルアミノ−2−(5−フルオロ−2−メトキシ−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−5−カルボニトリル、5−メトキシ−2−メチル−4−(4−メチルアミノ−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンゾニトリル、5−クロロ−N2−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル]−N4−メチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(5−フルオロ−4−メタンスルホニル−2−メトキシ−フェニル)−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(2−イソプロポキシ−4−メタンスルホニル−フェニル)−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−N2−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−4−メタンスルホニル−フェニル]−N4−メチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、(5−クロロ−4−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−4−メタンスルホニル−フェニル]−アミン、N2−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−4−メタンスルホニル−フェニル]−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(5−クロロ−4−メタンスルホニル−2−メトキシ−フェニル)−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−[5−フルオロ−2−(2−フルオロ−エトキシ)−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル]−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N4−エチル−N2−[5−フルオロ−2−(2−フルオロ−エトキシ)−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(4−メタンスルホニル−2−メトキシ−5−メチル−フェニル)−N4−メチル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−N2−(2−メトキシ−4−モルホリノフェニル)−N4−メチルピリミジン−2,4−ジアミン、4−(5−クロロ−4−(メチルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−3−メトキシ安息香酸、N2−(2−メトキシ−4−(モルホリノスルホニル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−N2−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−N4−メチルピリミジン−2,4−ジアミン、2−クロロ−4−(5−クロロ−4−(メチルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−メトキシ安息香酸、1−(2−フルオロ−5−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル)ピロリジン−2−オン、4−(2−フルオロ−5−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル)モルホリン−3−オン、1−(2−フルオロ−5−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル)ピペリジン−2−オン、N2−(5−フルオロ−2−メトキシ−4−(オキセタン−3−イル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、N4−エチル−N2−(2−メトキシ−5−メチル−4−(メチルスルホニル)フェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(4−(エチルスルホニル)−2−メトキシ−5−メチルフェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(2−メトキシ−5−メチル−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン、N2−(5−フルオロ−2−メトキシ−4−(モルホリノメチル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン及びN4−エチル−N2−(8−(メチルスルホニル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン。
【0231】
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5のいずれかがアルキルであるか、又はアルキル部分を含有する場合、そのようなアルキルは、低級アルキル、すなわち、C
1−C
6アルキルであってよく、そして、多くの実施態様において、C
1−C
4アルキルであってよい。
【0232】
本発明は、また、薬学的に許容しうる担体;及び本明細書に記載される化合物を含む組成物に関する。
【0233】
本発明は、また、パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載される化合物を投与することを含む方法に関する。
【0234】
本発明は、また、パーキンソン病の予防又は治療において使用するための、本明細書に記載される式Iの化合物に関する。
【0235】
本発明は、また、パーキンソン病の予防又は治療に有用である、本明細書に記載される医薬組成物に関する。
【0236】
本発明は、また、パーキンソン病の予防又は治療のための医薬の調製のための、本明細書に記載される式Iの化合物に関する。
【0237】
本発明は、また、LRRK2受容体によって媒介されるか、又はそうでなければLRRK2受容体と関連する疾患又は病状を処置するための方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0238】
該疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病又はレビー小体型認知症等の神経変性疾患でありうる。
【0239】
該疾患は、アルツハイマー病及びL−ドーパ誘発性ジスキネジア等のCNS障害でありうる。
【0240】
該疾患は、腎癌、乳癌、前立腺癌、血液癌、乳頭癌又は肺癌、急性骨髄性白血病又は多発性骨髄腫等の癌又は増殖性疾患でありうる。
【0241】
該疾患は、ハンセン病、クローン病、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ及び強直性脊椎炎等の炎症性疾患でありうる。
【0242】
本発明は、また、認知記憶を増強するための方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0243】
本発明の方法による代表的化合物は、下記の実験例に示す。
【0244】
合成
本発明の化合物は、下記に示し、説明する例示的合成反応スキームに記載する様々な方法によって製造することができる。
【0245】
これらの化合物の調製に使用する出発物質及び試薬は、一般的に、Aldrich Chemical Co.等の販売業者から入手可能であるか、又は参考文献(例えば、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals; and Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40)に記載されている手順に従って当業者に公知の方法により調製されるかのいずれかである。下記の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を単に例示するためのものであって、これらの合成反応スキームに対して様々な変更を行うことができるが、それらの変更は当業者が本出願に含まれる開示を参照することにより示唆されるであろう。
【0246】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望であれば、従来技術(非限定的に、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含む)を用いて単離及び精製することができる。このような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を用いて特徴付けることができる。
【0247】
特に指定のない限り、本明細書に記載の反応は、大気圧で、不活性雰囲気下、約−78℃〜約150℃、例えば、約0℃〜約125℃の反応温度範囲、又は好都合には、ほぼ室温(又は周囲温度)、例えば、約20℃で行うことができる。
【0248】
下記のスキームAは、式I又は式II(式中、X、m、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、本明細書に定義されるとおりである)の特定の化合物の調製に使用可能な1つの合成手順を例示する。
【0249】
【化3】
【0250】
スキームAの工程1において、ジクロロピリミジン化合物
aを試薬
bと反応させると、ピリミジン化合物
cが得られる。工程1の反応は、極性溶媒条件下で実施してよい。Xが−O−である本発明の実施態様において(すなわち、試薬
bがアルコールである)、工程1の反応は、塩基の存在下で行ってよい。
【0251】
工程2において、ピリミジン化合物
cは、アニリン化合物
dとの反応を受けて、本発明の式Iのフェニルアミノピリジン化合物を与える。工程2の反応は、極性プロトン性溶媒中、HCl等の酸の存在下で実施してよい。多くのアニリン化合物
dは、市販されているか、又は下記の実施例に示すようにニトロベンゼンから容易に合成することができる。
【0252】
スキームAの手順に対して多くの変形が可能であり、それらの変形は当業者であれば示唆されよう。本発明の化合物を製造するための具体的な詳細は、下記の実施例に記載する。
【0253】
投与及び医薬組成物
本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物又は個々の異性体、異性体のラセミ混合物もしくは非ラセミ混合物、又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体、及び場合によりその他の治療及び/又は予防成分と一緒に含む医薬組成物を含む。
【0254】
一般的に、本発明の化合物は、治療有効量で、類似の有用性をもたらす薬剤について許容される任意の投与形態により投与される。適切な用量範囲は、処置される疾患の重篤度、被験体の年齢及び相対的な健康病状、使用する化合物の効力、投与の経路及び形態、投与が目的とする適応症、ならびに担当する医師の選択及び経験等の数多くの要因に応じて、典型的には、1日当たり1〜500mg、例えば、1日当たり1〜100mg、最も好ましくは、1日当たり1〜30mgである。そのような疾患を処置する当業者であれば、必要以上に試験を行うことなく、個人的な知識及び本出願の開示により、ある特定の疾患用の本発明の化合物の治療有効量を確定することが可能である。
【0255】
本発明の化合物は、経口(バッカル及び舌下を含む)、経腸、経鼻、局所、経肺、経膣もしくは非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下及び静脈内を含む)投与に適切なものを含む医薬製剤として、又は吸入もしくは通気による投与に適切な形態で投与してもよい。特定の投与方法は、一般的に、苦痛の程度に従って調整できる簡便な1日用量レジメンを使用する経口である。
【0256】
本発明の化合物の一種又は複数を、慣用の佐剤、担体又は希釈剤の1種以上と一緒に、医薬組成物及び単位投薬の形態にすることができる。医薬組成物及び単位投薬形態は、慣用の成分を慣用の割合で、追加の活性化合物もしくは成分と共に又は無しで含むことができ、単位投薬形態は、使用される1日用量の意図される範囲に見合う活性成分のあらゆる適切な有効量を含むことができる。医薬組成物は、錠剤もしくは充填カプセル剤、半固形剤、粉末剤、持続性放出製剤等の固形剤として、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくは経口用の充填カプセル剤等の液体剤として;又は直腸内もしくは膣内投与用の坐剤の形態で;又は非経口的使用の注射用滅菌液剤の形態で使用することができる。従って、1錠当たり活性成分の約1mg、より広範には、約0.01〜約100mgを含有する製剤が、適切で代表的な単位投薬形態である。
【0257】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与用の用量形態で処方してもよい。医薬組成物及び用量形態は、活性成分として、1種又は複数の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むことができる。薬学的に許容しうる担体は、固体又は液体のいずれであってもよい。固体製剤は、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩解剤又はカプセル化材料としても作用することができる1種以上の物質であってもよい。粉末剤では、担体は、一般に、微粉化した活性成分との混合物である微粉化固体である。錠剤では、活性成分は、一般的に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及び大きさに成形される。粉末剤及び錠剤は、活性化合物を約1〜約70%含有することができる。適切な担体としては、特に限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、ココアバター等が含まれる。用語「製剤」は、担体を有するか又は有しない活性成分がそれと関連する担体により周囲を囲まれているカプセル剤を提供する、担体としてのカプセル化材料を有する活性化合物の製剤を含むことを意図している。同様に、カシェ剤及びトローチ剤も含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、経口投与に適切な固体形態であってもよい。
【0258】
経口投与に適切な他の形態は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液体形態の製剤、又は使用の直前に液体形態の製剤に変換されることが意図されている固体形態の製剤を含む。乳剤は、液剤、例えば、プロピレングリコール水溶液剤で調製することができるか、又は例えばレシチン、ソルビタンモノオレアートもしくはアカシア等の乳化剤を含有することができる。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、風味剤、安定剤及び増粘剤を加えることにより調製することができる。水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を、天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の周知の懸濁剤等の粘性材料と共に水に分散することにより調製することができる。固体形態の製剤は、液剤、懸濁剤及び乳剤を含み、活性成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有することができる。
【0259】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例としては、ボーラス注射又は持続注入による)のために製剤化することができ、アンプル剤、充填済注射器、小型注入容器中に又は防腐剤を添加した多用量容器中に単位用量形態で存在できる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤又は乳剤、例えば、ポリエチレングリコール水溶液中の液剤のような形態をとることができる。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)及び注射用有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)を含み、防腐剤、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤等の配合剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、滅菌固体の無菌分離によるか、又は適切なビヒクル、例えば、滅菌した発熱物質を含まない水を用いて、使用前の構成用溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってもよい。
【0260】
本発明の化合物を、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として又は経皮パッチ剤として表皮に局所投与するために製剤化することができる。例えば、軟膏剤及びクリーム剤を、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加え、水性又は油性基剤を用いて製剤化することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤を用いて製剤化することができ、また一般的に、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤又は着色剤も含有する。口腔内の局所投与に適切な製剤は、風味付けした基剤、通常、スクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアのような不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む洗口剤を含む。
【0261】
本発明の化合物は、坐剤として投与するために製剤化することができる。脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物のような低融点ロウを、最初に溶融して、活性成分を例えば撹拌により均質に分散する。次に均質溶融混合物を、都合のよい大きさの成形型に注ぎ、冷却させ、凝固させる。
【0262】
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化することができる。活性成分に加えて、当技術分野で適切であることが知られているような担体を含有するペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー剤。
【0263】
対象の化合物は、経鼻投与用に製剤化することができる。液剤又は懸濁剤を、慣用の方法、例えば、滴瓶、ピペット又はスプレーを用いて直接鼻腔に適用する。製剤は単回投与又は多回投与形態で提供することができる。滴瓶又はピペットの後者の場合、液剤又は懸濁剤の適切で所定の容量を患者が投与することで、それを達成することができる。スプレーの場合、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて達成することができる。
【0264】
本発明の化合物は、特に、鼻内投与を含む気道へのエアロゾル投与用に製剤化することができる。化合物は、一般的に、例えば、5ミクロン以下程度の小さい粒径を有する。そのような粒径は、当技術分野で公知の手段、例えば、微粉砕により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素、あるいは他の適切なガスのような、適切な噴射剤を用いた加圧パックで提供される。エアロゾルは、また、レシチンのような界面活性剤を都合よく含有することができる。薬物の用量は、計量弁により制御することができる。あるいは、活性成分は、乾燥粉末の形態で、例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリジン(PVP)のような適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物で提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えば、ゼラチンのカプセルもしくはカートリッジ、又は粉末が吸入器により投与されうるブリスターパックにおける単位用量形態で存在しうる。。
【0265】
所望であれば、製剤は、活性成分の持続的又は制御的放出投与に適合する腸溶性コーティングを用いて調製できる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物送達装置に配合できる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要であり、患者の処置レジメンに対するコンプライアンスが重要である場合に有利である。経皮送達系における化合物は、多くの場合、皮膚付着固体支持体に結合されている。目的の化合物は、また、浸透向上剤、例えば、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。持続的放出送達系は、手術又は注入により皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、脂質可溶膜、例えば、シリコーンゴム又は生物分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸中に化合物をカプセル化する。
【0266】
医薬製剤は、単位用量形態であってもよい。そのような形態では、製剤は、活性成分の適切な量を含有する単位用量に小分けされている。単位用量形態は、パッケージ製剤であることができ、そのパッケージは、パケット錠剤、カプセル剤及びバイアル又はアンプル中の粉末剤のような製剤の別個の分量を含有する。また、単位投薬形態は、それ自体カプセル剤、錠剤、カシェ剤又はトローチ剤であることができるか、又はパッケージ形態におけるこれらのうちのいずれかの適切な数であることができる。
【0267】
その他の適切な医薬担体及びその製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬製剤を以下に記載する。
【0268】
有用性
本発明の化合物は、パーキンソン病、レビー小体型認知症及びハンチントン病等の神経変性疾患を含むLRRK2媒介性疾患又は病状の処置に、また、一般的にそれを必要とする被験体の認知記憶の増強に有用である。
【0269】
実施例
下記の調製例及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施できるように示す。これらは、本発明の範囲を制限するとものではなく、本発明の例示及び代表例としてのみ考えられるべきである。
【0270】
特に明記しない限り、融点(すなわち、MP)を含む温度は全て、セ氏温度(℃)である。表示及び/又は所望の生成物を生成する反応が、必ずしも最初に添加した2種の試薬の組み合わせから直接生じるとは限らず、すなわち、最終的に表示及び/又は所望の生成物の生成に至る混合物として生成される、1つ又は複数の中間体が存在してもよいことを理解すべきである。下記の略語を調製例及び実施例において使用することができる。
【0271】
略語の一覧
AcOH 酢酸
AIBN 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)
Atm. 気圧
(BOC)
2O 二炭酸ジ−tert−ブチル
DavePhos 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル
DCM ジクロロメタン/塩化メチレン
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPF 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
Et
2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール/エチルアルコール
EtOAc 酢酸エチル
HATU 2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム
HBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
RP HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
i−PrOH イソプロパノール/イソプロピルアルコール
LCMS 液体クロマトグラフ/質量分析
MeOH メタノール/メチルアルコール
MW マイクロ波
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMP 1−メチル−2−ピロリジノン
PSI ポンド毎平方インチ
RT 室温
TBDMS tert−ブチルジメチルシリル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0272】
調製1: 2−クロロ−5−フルオロ−N−メチルピリミジン−4−アミン
【化4】
スターラーバーを備えた250mLの丸底フラスコに、9.0gの5−フルオロ−2,4−ジクロロ−ピリミジン、40mLのメタノール及びエタノール中の15mLの8Mメチルアミンを加えた。反応物は熱くなり(穏やかな発熱)、室温で約30分間撹拌した。TLC(1:1 EtOAc:ヘプタン)及びLCMSでチェックしたところ、反応は完了していた。反応物を濃縮して、9.77gの粗物質を得て、これを、シリカカラムにてDCM中1%〜10%MeOHの勾配を35分間かけて流して精製し、6.77gの純粋な2−クロロ−5−フルオロ−N−メチルピリミジン−4−アミンを得た。
【0273】
同じ方法を使用して、適切な市販の置換2,4−ジクロロ−ピリミジン及びアミンを使用して、下記の表1に示す化合物を製造した。
【0274】
【表1】
【0275】
調製2: 2,5−ジクロロ−4−メトキシピリミジン
【化5】
スターラーバーを備えた250mLの丸底フラスコに、1gの5−クロロ−2,4−ジクロロ−ピリミジン及び15mLのジエチルエーテルを加えた。混合物を氷浴中で0℃まで冷却し、次に、1当量のメタノール中のナトリウムメトキシド(120mgのナトリウムと4mLのメタノールを室温で反応させて調製した)をゆっくり加えた。反応物を室温で一晩撹拌し、LCMSでチェックした。白色の沈殿物を濾過し、固体を冷メタノールで洗浄した。乾燥した後、0.98gの純粋な2,5−ジクロロ−4−メトキシピリミジンを得て、この物質をさらに精製することなく使用した。
【0276】
同じ方法を使用して、適切な市販のアルコール及び適切な置換2,4−ジクロロ−ピリミジンを使用して、下記の表2に示す化合物を製造した。
【0277】
【表2】
【0278】
調製3: 2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン
【化6】
工程1: 2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン
DMF(25mL)中の4−フルオロ−2−メトキシ−1−ニトロベンゼン(1.38g、8.06mmol)及びメチルメルカプタンナトリウム(0.622g、8.87mmol)の混合物を室温で18時間撹拌した。反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)(メチル)スルファン(0.95g、59%)を得た。
【0279】
工程2: 2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)−1−ニトロベンゼン
アセトン(10mL)中の(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)(メチル)スルファン(0.58g、2.9mmol)の懸濁液に、水(10mL)、メタノール(1.0mL)を加えた。混合物を氷浴で10分間冷却した後、オキソン(2.90g、4.72mmol)を4回に分けて4分間かけて加えた。反応物を0℃で15分間撹拌し、次に、室温まで放温した。反応物を室温で2時間撹拌した後、EtOAc(50mL)で希釈した。懸濁液を濾過し、その容量を1/3まで濃縮して、水(40mL)で希釈した。次に、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)−1−ニトロベンゼン(0.67g、83%)を得た。
【0280】
工程3: 2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン
エタノール(10mL)中の2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)−1−ニトロベンゼン(0.175g、0.76mmol)及びパラジウム炭素(10wt%、0.10g)の懸濁液を、水素下、1気圧で18時間撹拌した。反応物をセライトで濾過し、濃縮して、2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン(0.15g、92%)を得た。
【0281】
2−クロロ−4−(メチルスルホニル)アニリン;5−フルオロ−2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン;2−イソプロポキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン;2−(2−フルオロエトキシ)−4−(メチルスルホニル)アニリン;5−クロロ−2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン;及び2−メトキシ−5−メチル−4−(メチルスルホニル)アニリンを同様に調製した。
【0282】
調製4: 4−アミノ−2−フルオロ−5−メトキシベンゾニトリル
【化7】
工程1: 1−ブロモ−2−フルオロ−5−メトキシ−4−ニトロベンゼン
メタノール(20mL)中の1−ブロモ−2,5−ジフルオロ−4−ニトロベンゼン(2.56g、0.011mmol)の溶液に、25%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(2.5mL)を加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌した。次に、反応物を濃縮し、EtOAcに再溶解して、水で洗浄した。水性洗浄物をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、1−ブロモ−2−フルオロ−5−メトキシ−4−ニトロベンゼン(2.65g、99%)を得た。
【0283】
工程2: 4−ブロモ−5−フルオロ−2−メトキシアニリン
イソプロパノール(20mL)中の1−ブロモ−2−フルオロ−5−メトキシ−4−ニトロベンゼン(0.998g、3.99mmol)の溶液に、鉄(0.7g、12mmol)、塩化アンモニウム(0.64g、12mmol)及び水(2mL)を加えた。反応物を75℃で2時間撹拌し、次に、濾過して、濃縮した。残渣を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4−ブロモ−5−フルオロ−2−メトキシアニリン(0.82g、93%)を得た。
【0284】
工程3: 4−アミノ−2−フルオロ−5−メトキシベンゾニトリル
圧力管に、4−ブロモ−5−フルオロ−2−メトキシアニリン(0.24g、1.1mmol)、シアン化亜鉛(0.10g、0.87mmol)、Pd
2(dba)
3(100mg、0.11mmol)、DavePhos(86mg、0.22mmol)及びDMF(3mL)を加えた。反応物を密封し、100℃で6時間撹拌した。反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、4−アミノ−2−フルオロ−5−メトキシベンゾニトリル(0.18g、77%)を得た。
【0285】
4−アミノ−5−クロロ−2−メチルベンゾニトリル;4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゾニトリル;及び4−アミノ−3−メトキシベンゾニトリルを同様に調製した。
【0286】
実施例1: N2−(2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン
【化8】
1−ブタノール(1.5mL)中の2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)アニリン(0.095g、0.47mmol)及び2−クロロ−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン(0.10g、0.47mmol)の混合物に、TFA(0.036mL、0.047mmol)を加えた。反応物を、密封管中、100℃で1.5時間撹拌した。反応物を濃縮し、生成物を逆相HPLCによって単離して、N2−(2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2,4−ジアミン(0.18g、20%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.58 (d, J = 12.9, 1H), 8.24 (d, J = 5.0, 2H), 7.53 (d, J = 10.1, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.38 - 7.29 (m, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 2.94 (d, J = 4.3, 3H); LRRK2 Ki = 0.002。
【0287】
実施例2: 5−クロロ−N2−(2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチルピリミジン−2,4−ジアミン
2−クロロ−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、2−クロロ−5−クロロ−N−メチルピリミジン−4−アミンを使用して、5−クロロ−N2−(2−メトキシ−4−(メチルスルホニル)フェニル)−N4−メチルピリミジン−2,4−ジアミンを同様に調製した;1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.64 (d, J = 8.6, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.51 (d, J = 8.6, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.42 (d, J = 4.3, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 2.93 (d, J = 4.5, 3H); LRRK2 Ki = 0.002。
【0288】
上記の手順を使用して調製した追加の化合物を、選択した化合物のLRRK2 K
i(マイクロモル)親和性値と共に下記の表3に示す。
【0289】
実施例3: 2−フルオロ−5−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリル
【化9】
1−ブタノール(2mL)中の4−アミノ−2−フルオロ−5−メトキシベンゾニトリル(66mg、0.40mmol)及び2−クロロ−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン(0.10g、0.47mmol)の混合物に、TFA(0.05mL、0.07mmol)を加えた。反応物を、密封管中、75℃で2時間撹拌した。反応物を濃縮し、生成物を逆相HPLCによって単離して、2−フルオロ−5−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.57 (d, J = 13.4, 2H), 8.34 (s, 1H), 8.29 (d, J = 6.1, 1H), 7.56 - 7.42 (m, 3H), 3.93 (s, 3H), 2.95 (s, 3H); LRRK2 Ki = 0.022。
【0290】
実施例4: 3−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリル
4−アミノ−2−フルオロ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに、4−アミノ−3−メトキシベンゾニトリルを使用して、3−メトキシ−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリルを同様に調製した:1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.53 (d, J = 8.7, 1H), 8.23 (d, J = 8.4, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.45 (d, J = 8.0, 1H), 7.35 (dd, J = 12.3, 7.3, 1H), 3.94 (s, 3H), 2.93 (d, J = 4.4, 3H); LRRK2 Ki = 0.008。
【0291】
実施例5: 4−(5−クロロ−4−(メチルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−3−メトキシベンゾニトリル
4−アミノ−2−フルオロ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに4−アミノ−3−メトキシベンゾニトリルを、そして、2−クロロ−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミンの代わりに5−クロロ−N4−メチルピリミジン−2,4−ジアミンを使用して、4−(5−クロロ−4−(メチルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−3−メトキシベンゾニトリルを同様に調製した:1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.59 (d, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.42 (m, 3H), 3.94 (s, 3H), 2.92 (d, 3H); LRRK2 Ki = 0.008。
【0292】
上記の手順を使用して調製した追加の化合物を、選択した化合物のLRRK2 K
i(マイクロモル)親和性値と共に下記の表3に示す。
【0293】
【表3】
【0294】
実施例30: インビトロLRRK2 LabChipアッセイ
このアッセイを使用して、Ki
app、IC
50又は阻害率値を決定することによって、LRRK2の活性を阻害する化合物の効力を決定した。ポリプロピレンプレート中、LRRK2、蛍光標識ペプチド基質、ATP及び試験化合物を一緒にインキュベートした。LabChip 3000(Caliper Life Sciences)を使用して、反応後、基質をキャピラリー電気泳動によってリン酸化物と非リン酸化物の2つの集団に分離した。各々の相対量は、蛍光強度によって定量した。LRRK2 Kiは、下記式に従って決定した:
Y=V0*(1−((x+Ki*(1+S/Km)+Et)/(2*Et)−(((x+Ki*(1+S/Km)+Et)^2−(4*Et*x))^0.5)/(2*Et)))。
【0295】
表4及び本明細書のその他の箇所のKiは、μMで示す。
【0296】
使用したアッセイ条件及び材料は、下記のとおりである:
【0297】
最終アッセイ条件:
5mM MgCl
2中のLRRK2 G2019S:5.2nM(Invitrogen lot # 567054A)
1mM MnCl
2中のLRRK2 G2019S:11nM(Invitrogen lot # 567054A)
5mM MgCl
2中のLRRK2野生型:15nM(Invitrogen lot # 500607F)
5mM MgCl
2中のLRRK2 I2020T:25nM(Invitrogen lot # 43594)
基質:1μM
ATP:130μM
キナーゼ反応時間:2時間
温度:周囲温度
総容量:20μl
【0298】
ATPapp Kms:
5mM MgCl
2中のG2019S:130μM
1mM MnCl
2中のG2019S:1μM
5mM MgCl
2中の野生型:80μM
5mM MgCl
2中のI2020T:14μM
【0299】
材料:
固体支持体:50μL容量の黒色ポリプロピレン384ウェルプレート(MatriCal cat # MP101-1-PP)
キナーゼ:LRRK2 G2019S(Invitrogen cat # PV4882)
LRRK2野生型(Invitrogen cat # PV4874)
基質:5FAM−GAGRLGRDKYKTLRQIRQ−CONH
2
非結合プレート:384ウェル透明V底ポリプロピレンプレート(Greiner cat # 781280)
ATP:10mM ATP(Cell Signaling cat # 9804)
Triton X−100:Triton X−100
Brij−35:Brij−35(Pierce cat # 20150)
コーティング試薬#3:コーティング試薬#3(Caliper)
DMSO:DMSO(Sigma cat # 34869-100ML)
コンプリート反応バッファー:H
2O/25mM Tris、pH8.0/5mM MgCl
2/2mM DTT/0.01%Triton X−100
停止溶液:H
2O/100mM HEPES、pH7.2/0.015%Brij−35/0.2%コーティング試薬#3/20mM EDTA
分離バッファー:H
2O/100mM HEPES、pH7.2/0.015%Brij−35/0.1%コーティング試薬#3/1:200コーティング試薬#8/10mM EDTA/5%DMSO
【0300】
化合物プレートの調製:
段階希釈用に、34.6μlのDMSOを縦列3〜24に加えた。アッセイコントロール用に、37.5μlのDMSOを横列A及びPの縦列1及び2に加え、a、d及び50μlの25μM G−028831(Staurosporine)を横列Bの縦列1及び2に加えた。サンプル用に、100μMで開始するために、37.5μlのDMSOを縦列1及び2に加え、次に、12.5μlの10mMの化合物を加えた;10μMで開始するために、78μlのDMSOを縦列1&2に加え、次に、2μlの10mMの化合物を加えた;そして、1μMで開始するために、25μMの化合物(2μlの10mM 化合物+798μlのDMSO)を空の縦列1及び2に加えた。精密機械を使用して、1:3.16の段階希釈を実施した(「PLK_BM_serial_halflog」)。
【0301】
ATP調製:
ATPをコンプリートキナーゼバッファー中282.1μMに希釈した(最終濃度は、130μMであった)。
【0302】
トータル及びブランク調製:
コンプリート反応バッファー中、基質を4μMに希釈した。等容量のコンプリート反応バッファーと4μMの基質を合わせ、ブランクを得た。等容量のコンプリート反応バッファーと4μMの基質を合わせ、合わせた溶液に2×最終LRRK2濃度を加えた。
【0303】
アッセイ手順:
50μlのポリプロピレンプレートに、5μl/ウェルのバッファー/基質をブランクウェルに手で加えた。Biomek FXを使用して、キナーゼ反応を開始した(「PLK SAR 23 ATP」)。下記を適切なウェルに加えた:
2μl化合物+23μlATP;
アッセイプレート中、5μl/ウェルの化合物/ATP;
アッセイプレート中、5μl/ウェルのキナーゼ/基質
【0304】
プレートを暗所で2時間インキュベートした。Biomek FXを使用して、キナーゼ反応を停止し(「PLK Stop」)、アッセイプレートに10μl/ウェルの停止溶液を加えた。結果をLabChip 3000で読み取った。
【0305】
Lab Chip 3000プロトコル:
ジョブ「LRRK2 IC50」を使用し、下記のジョブ設定でLabChip 3000を実行した:
圧力:−1.4psi
ダウンストリーム電圧:−500V
アップストリーム電圧:−2350V
ポストサンプルバッファーシップ時間:75秒
ポストダイバッファーシップ時間:75秒
最終遅延時間:200秒
【0306】
実施例31: インビトロLRRK2 Lanthascreen結合アッセイ
このアッセイを使用して、Ki
app、IC
50又は阻害率値を決定することによって、LRRK2の活性を阻害する化合物の効力を決定した。384ウェルプロキシプレート(F黒色、浅底ウェルプレート)中、LRRK2、Eu抗GST抗体、Alexa Fluor(登録商標)キナーゼトレーサー236及び試験化合物を一緒にインキュベートした。
【0307】
Alexa Fluor(登録商標)「トレーサー」のキナーゼへの結合は、Eu標識抗GST抗体を加えることによって決定した。トレーサーと抗体のキナーゼへの結合は、高度のFRETをもたらし、一方で、トレーサーとキナーゼ阻害剤の交換は、FRETの喪失をもたらした。
【0308】
使用したアッセイ条件及び材料は、下記のとおりである:
最終アッセイ条件:
GST−LRRK2 G2019S 10nM
Eu抗GST抗体 2nM
キナーゼトレーサー236 8.5nM
キナーゼ反応時間:1時間
温度:周囲温度
総容量:15μl
DMSO:1%
【0309】
材料:
384ウェルプロキシプレート(F黒色、浅底ウェル) Perkin Elmer cat# 6008260
キナーゼ:LRRK2 G2019S Invitrogen cat # PV4882(LOT 567054A)
Eu標識抗GST抗体 Invitrogen cat # PV5594
Alexa Fluor(登録商標)キナーゼトレーサー236 Invitrogen cat #PV5592
TRIS−HCl Sigma cat # T3253
EGTA Sigma cat # E3889
Brij−35:Sigma cat # B4184(30%w/v)
DMSO:Sigma cat # D8418
MgCl
2 Sigma cat # M9272
反応バッファー:H
2O/50mM Tris、pH7.4/10mM MgCl
2/1mM EGTA/0.01%Brij35
【0310】
化合物プレートの調製:
100%DMSO中、試験化合物(10mM原液)を1:3.16(20μl+43.2μl)に段階希釈する。12pt曲線。反応バッファー中、各濃度1:33.3(3μl+97μl)に希釈する。5μlをアッセイプレートにスタンプする。最終トップ試験濃度100μM。
【0311】
トータル及びブランク調製:
反応バッファー中、5μlのDMSO(3%)をトータル及びブランクウェルに加え、5μlのEu標識抗GST抗体(6nM)をブランクウェルに加えた。
【0312】
アッセイ手順:
5μlのLRRK2(30nM)/Eu標識抗GST抗体(6nM)混合物を化合物及びトータルウェルに加える。5μlのキナーゼトレーサー(25.5nM)を全てのウェルに加える。プレートを、プレートシェーカー上にて、室温で1時間インキュベートする(穏やかに振とうする)。Perkin Elmer EnVision読み取り機のHTRFプロトコルで読み取る。
【0313】
データ処理:
比率:(665/620)*10000を計算する。全てのデータ点から平均バックグラウンド値を減算する。各試験値に対するコントロールの%を計算する。コントロールの%対化合物濃度をプロットする。Ki値を計算する(xlfit曲線フィッティング−Morrison式)。
【0314】
Kiの結果をμMで表す。Kiの式:Y=V0*(1−((x+Ki*(1+S/Km)+Et)/(2*Et)−(((x+Ki*(1+S/Km)+Et)^2−(4*Et*x))^0.5)/(2*Et)))
式中、Et=4nM
kd(トレーサー)=8.5nM
トレーサー濃度(S)=8.5nM
【0315】
実施例32: パーキンソン病動物モデル
パーキンソン病は、1−メチル−4−フェニルテトラヒドロピリジン(MPTP)(線条体ドーパミン(DA)神経末端マーカーの喪失をもたらす選択的な黒質線条体ドーパミン作動性神経毒)を投与することによって、マウス及び霊長類で再現することができる。本発明の化合物のパーキンソン病の処置における有効性を、MPTP誘導神経変性を使用し、Saporito et al., J. Pharmacology (1999) Vol. 288, pp. 421-427に記載されるプロトコルに一般的に従って評価することができる。
【0316】
簡潔に述べると、MPTPをPBSに2〜4mg/mlの濃度で溶解し、マウス(雄C57、体重20〜25g)に20〜40mg/kgで皮下注射する。本発明の化合物をポリエチレングリコールヒドロキシステアレートで可溶化し、PBSに溶解する。MPTPを投与する4〜6時間前に、皮下注射によってマウスに化合物溶液を10ml/kgで投与して、その後、7日間毎日投与する。最後の注射日に、マウスを屠殺し、中脳をブロッキングし、パラホルムアルデヒド中で後固定する。線条体を切り取って、重さを量り、−70℃で保存する。
【0317】
このように回収した線条体で、Sonsalla et al., J.Pharmacol. Exp. Ther. (1987) Vol. 242, pp. 850-857に記載されるように、電気化学的検出を用いHPLCによって、ドーパミンとその代謝物であるジヒドロキシフェニル酢酸及びホモバニリン酸の含有量を評価した。線条体は、また、Okunu et al., Anal Biochem (1987) Vol. 129, pp. 405-411のチロシンヒドロキシラーゼアッセイを使用し、標識チロシンからL−ドーパへのチロシンヒドロキシラーゼ媒介変換に伴って発生する
14CO
2を測定することによって評価することもできる。線条体は、White et al., Life Sci. (1984), Vol. 35, pp. 827-833に記載されるモノアミンオキシダーゼ−Bアッセイを使用し、Saporito et al.,(1992) Vol. 260, pp. 1400-1409に記載されるドーパミンの取り込みをモニタリングすることによってさらに評価することができる。
【0318】
本発明をその特定の実施態様に関して記載してきたが、これに対して種々の変更を行ってよく、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り同等物を置換してもよいことが、当業者により理解されるべきである。加えて、多くの改変を、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス工程が本発明の客観的精神及び範囲に適合するように行ってもよい。そのような改変は全て、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。