(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すべての図面において、同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態における構成について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置100の構成の一例を示す図である。
【0015】
本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100は、グランド側アンテナ素子110と、第1給電側アンテナ素子120と、第2給電側アンテナ素子130とを含む。
【0016】
グランド側アンテナ素子110は、1/4波長素子である。グランド側アンテナ素子110は、給電側末端において、外部のグランド線811を経由して、外部の無線装置900のグランド端子901に接続される。
【0017】
第1給電側アンテナ素子120は、1/4波長素子である。第1給電側アンテナ素子120は、給電側末端において、外部の第1信号線812を経由して、外部の無線装置900の第1信号端子902に接続される。
【0018】
第2給電側アンテナ素子130は、1/4波長素子である。第2給電側アンテナ素子130は、給電側末端において、外部の第2信号線813を経由して、外部の無線装置900の第2信号端子903に接続される。
【0019】
第1給電側アンテナ素子120は、グランド側アンテナ素子110と第1の角度を成して互いの給電側末端において隣接するように配置される。第1の角度は、0度より大きく180度より小さい任意の角度であるが、例えば、90度である。
【0020】
第2給電側アンテナ素子130は、グランド側アンテナ素子110と第1給電側アンテナ素子120とが張る面内において第1給電側アンテナ素子120と反対側に、グランド側アンテナ素子110と第2の角度を成して互いの給電側末端において隣接するように配置される。第2の角度は、0度より大きく180度より小さい任意の角度であるが、例えば、90度である。
【0021】
本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100の最も典型的な構成では、第1の角度及び第2の角度は共に、おおよそ90度である。
【0022】
第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110は、第1のダイポールアンテナを構成する。第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110は、第2のダイポールアンテナを構成する。
【0023】
通常のダイポールアンテナでは、グランド側アンテナ素子110及び第1給電側アンテナ素子120は、同一直線上に直列に配置される。同様に、通常のダイポールアンテナでは、グランド側アンテナ素子110及び第2給電側アンテナ素子130は、同一直線上に直列に配置される。アンテナ装置100では、1/4波長アンテナ素子のなす角度によらず、グランド側アンテナ素子110及び第1給電側アンテナ素子120は第1のダイポールアンテナとして動作する。同様に、アンテナ装置100では、1/4波長アンテナ素子のなす角度によらず、グランド側アンテナ素子110及び第2給電側アンテナ素子130は第2のダイポールアンテナとして動作する。
【0024】
ただし、アンテナ装置100の第1のダイポールアンテナ及び第2のダイポールアンテナは、通常のダイポールアンテナとは放射パターン等の特性が異なる。第1のダイポールアンテナは
図1の上下方向に非対称なので、第1のダイポールアンテナの放射パターンは上下方向に非対称である。同様に、第2のダイポールアンテナは
図1の上下方向に非対称なので、第2のダイポールアンテナの放射パターンは上下方向に非対称である。
【0025】
次に、本実施形態における動作について説明する。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置100の動作を説明するための図である。
【0027】
図2(a)は、ダイバーシティアンテナ装置100の構成を示す図である。ダイバーシティアンテナ装置100に含まれる第1のダイポールアンテナと第2のダイポールアンテナとは、グランド側アンテナ素子110を共有する。
図2(b)は、グランド側アンテナ素子を共有しないダイバーシティアンテナ装置103の構成を示す図である。ダイバーシティアンテナ装置103は、第1給電側アンテナ素子120及び第1グランド側アンテナ素子110からなる第1のダイポールアンテナと、第2給電側アンテナ素子133及び第2グランド側アンテナ素子113からなる第2のダイポールアンテナとを含む。ダイバーシティアンテナ装置103では、第1のダイポールアンテナと第2のダイポールアンテナとの間の干渉を防ぐために、両者間の距離を離して設置される。ダイバーシティアンテナ装置100は、2つのダイポールアンテナが近接するが互いに強い干渉を及ぼすことなく、アンテナ装置103と同様に、2つのダイポールアンテナとして動作することが知られている。ダイバーシティアンテナ装置100が、実際に2つのダイポールアンテナとして動作することは、本発明の第2乃至第4の実施形態において後述される。具体的には、ダイバーシティアンテナ装置100を含む本発明の第2乃至第4の実施形態のダイバーシティアンテナ装置の各ダイポールアンテナが、所定の周波数帯において低いインピーダンスを有し、アンテナとして動作することが示される。
【0028】
ただし、ダイバーシティアンテナ装置100では、特定の瞬間には、2つのダイポールアンテナのうちのいずれか一方にのみ給電される。つまり、ダイバーシティアンテナ装置100では、2つのダイポールアンテナのうちのいずれか一方のみが選択的に使用される。
【0029】
ダイバーシティアンテナ装置100の第1のダイポールアンテナは
図2(a)の上下方向に非対称なので、ダイバーシティアンテナ装置100の第1のダイポールアンテナの放射パターンは上下方向に非対称である。ダイバーシティアンテナ装置100の第2のダイポールアンテナは第1のダイポールアンテナと
図2(a)の上下方向に逆向きに配置されるので、アンテナ装置100の第2のダイポールアンテナの放射パターンは第1のダイポールアンテナの放射パターンと異なる。
【0030】
ダイバーシティアンテナ装置100の第1のダイポールアンテナ及び第2のダイポールアンテナの放射パターンは上下方向に異なるので、アンテナ装置100はダイバーシティアンテナとして動作する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100は、2つのダイポールアンテナ間で1つのグランド側アンテナ素子110を共有する。また、ダイバーシティアンテナ装置100は、放射パターンの異なる2つのダイポールアンテナとして動作する。つまり、ダイバーシティアンテナ装置100は、ダイバーシティアンテナとして動作する。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100には、ダイバーシティアンテナ装置に含まれる、1つのダイポールアンテナ毎の1/4波長素子の数を削減できるという効果がある。
【0032】
また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100は、1つのダイポールアンテナ毎の1/4波長素子の数を削減する。通常、1つのダイポールアンテナ毎の1/4波長素子が多いほど、ダイバーシティアンテナを収容するために必要な断面積又は容積が大きい。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100には、ダイバーシティアンテナを収容するために必要な断面積又は容積を削減できるという効果がある。
【0033】
また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100では、2つのダイポールアンテナは給電側末端において隣接するように配置される。ダイバーシティアンテナ装置100は、2つのダイポールアンテナが距離を離して配置されたダイバーシティアンテナ装置に比べて、アンテナ装置を収容するために必要な断面積が小さい。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置100には、ダイバーシティアンテナを収容するために必要な断面積を削減できるという効果がある。
(第2の実施形態)
次に、上述した第1の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置を含む、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、ダイバーシティアンテナ装置と外部の無線装置との間の信号路が、3層以上の基板上に形成される。以下の説明において、第1の実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0034】
本実施形態における構成について説明する。
【0035】
図3は、本発明の第2の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置200の構成の一例を示す図である。
図3において、左右方向をX軸、高さ方向をY軸、奥行き方向をZ軸とする。
【0036】
本実施形態のダイバーシティアンテナ装置200は、グランド側アンテナ素子110と、第1給電側アンテナ素子120と、第2給電側アンテナ素子130と、信号路820とを含む。信号路820は、グランド線821と、第1信号線822と、第2信号線823とを含む。
【0037】
グランド線821は、外部の無線装置900のグランド端子901と、グランド側アンテナ素子110の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0038】
第1信号線822は、外部の無線装置900の第1信号端子902と、第1給電側アンテナ素子120の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0039】
第2信号線823は、外部の無線装置900の第2信号端子903と、第2給電側アンテナ素子130の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0040】
第1信号線822及び第2信号線823は、グランド線821に対して帯状の導体箔同士が平行であり、所定の間隔でグランド線821を挟むように配置される。
【0041】
信号路820は、基板720上に形成される。基板720は、3層以上の多層基板である。グランド線821、第1信号線822、及び第2信号線823のそれぞれは、基板720の互いに異なる層の回路である。以下では、基板720が3層基板である場合について説明する。
【0042】
基板720の内層はベタグランドパターンを含む。ベタグランドパターンとは、導体箔のほとんどの部分がグランドに接続された面状の回路である。グランド線821、第1信号線822、及び第2信号線823は、基板720のベタグランドパターンから所定の間隔離だけ引き出される。
【0043】
第1信号線822は、基板720の裏面に形成される。第2信号線823は、基板720の表面に形成される。グランド線821は、基板720の内層に形成される。
【0044】
グランド側アンテナ素子110は、基板720の内層に形成される。
【0045】
第1給電側アンテナ素子120は、基板720の裏面に接して基板の下向き垂直に配置される。
【0046】
第2給電側アンテナ素子130は、基板720の表面に接して基板の上向き垂直に配置される。
【0047】
次に、本実施形態における動作について説明する。
【0048】
信号路820はストリップラインを構成するので、信号路820では伝送路から漏洩する電磁波は少ない。
【0049】
次に、本実施形態におけるシミュレーション結果の一例について説明する。本シミュレーション結果は、無線LANの5GHz帯のアンテナに関するシミュレーション結果である。
図4、
図5、
図6は、本シミュレーション結果の一部である。
【0050】
図4は、本発明の第2の実施形態のダイバーシティアンテナ装置200の高周波電流分布の一例を示す図である。
図4(a)は、第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110を動作させた際の高周波電流分布を示す。
図4(b)は、第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110を動作させた際の高周波電流分布を示す。電流の向きと大きさは矢印で示される。
【0051】
図4(a)及び
図4(b)において、信号路820は、ストリップラインを構成しており、高周波電流は微小で、アンテナとして動作していない。
【0052】
図4(a)において、高周波電流は主に第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110に流れており、第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110は第1のダイポールアンテナとして動作している。
【0053】
図4(b)において、高周波電流は主に第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110に流れており、第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110は第2のダイポールアンテナとして動作している。
【0054】
図5は、本発明の第2の実施形態のダイバーシティアンテナ装置200の放射パターンの一例を示す図である。
図5(a)は、下側のダイポールアンテナのXY面における水平偏波の放射パターンを示す。
図5(b)は、上側のダイポールアンテナのXY面における水平偏波の放射パターンを示す。放射パターンのグラフの値は、XY面の特定の角度における、アイソトロピックアンテナを基準とした電力のデシベル値である。
【0055】
2つのダイポールアンテナの指向性は、XY面において互いに上下逆向きであり、ダイバーシティアンテナとして動作している。
【0056】
図6は、本発明の第2の実施形態のダイバーシティアンテナ装置200のインピーダンスの一例を示す図である。
図6(a)は、下側のダイポールアンテナのインピーダンスを示す。
図6(b)は、上側のダイポールアンテナのインピーダンスを示す。下側のグラフでは、インピーダンスのグラフの値は、特定の周波数に対するインピーダンスの大きさである。上側のグラフは、インピーダンスの大きさと位相の関係を示す。
【0057】
図6において、ダイバーシティアンテナ装置200の各ダイポールアンテナは、5GHz帯においてインピーダンスが小さく、アンテナとして動作している。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置200は、第1の実施形態のダイバーシティアンテナ装置100を含む。また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置200の信号路820はストリップラインを構成するので、伝送路から漏洩する電磁波が少ない。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置200は、第1の実施形態のダイバーシティアンテナ装置100と同じ効果を有する。
【0059】
また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置200において、グランド側アンテナ素子110及び信号路820は、3層以上の多層基板上に形成される。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置200には、無線装置の一部が3層以上の多層基板上に実装される場合にも、ダイバーシティアンテナを収容するために必要な断面積又は容積を削減できるという効果がある。
(第3の実施形態)
次に、上述した第1の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置を含む、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、ダイバーシティアンテナ装置と外部の無線装置との間の信号路が、2層以上の基板上に形成される。以下の説明において、第1の実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0060】
本実施形態における構成について説明する。
【0061】
図7は、本発明の第3の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置300の構成の一例を示す図である。
図7において、左右方向をX軸、高さ方向をY軸、奥行き方向をZ軸とする。
【0062】
本実施形態のダイバーシティアンテナ装置300は、グランド側アンテナ素子110と、第1給電側アンテナ素子120と、第2給電側アンテナ素子130と、信号路830とを含む。信号路830は、グランド線831と、第1信号線832と、第2信号線833とを含む。
【0063】
グランド線831は、外部の無線装置900のグランド端子901と、グランド側アンテナ素子110の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0064】
第1信号線832は、外部の無線装置900の第1信号端子902と、第1給電側アンテナ素子120の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0065】
第2信号線833は、外部の無線装置900の第2信号端子903と、第2給電側アンテナ素子130の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0066】
第1信号線832は、グランド線831に対して帯状の導体箔同士が平行であり、所定の間隔でグランド線831と同一面内に並ぶように配置される。
【0067】
第2信号線833は、グランド線831に対して帯状の導体箔同士が平行であり、所定の間隔でグランド線831を覆うように配置される。
【0068】
信号路830は、基板730上に形成される。基板730は、2層以上の多層基板である。グランド線831及び第1信号線832は、基板730の1つの層の回路である。第2信号線833は、基板730の別の層の回路である。以下では、基板730が2層基板である場合について説明する。
【0069】
基板730の裏面はベタグランドパターンを含む。グランド線831、第1信号線832、及び第2信号線833は、基板730のベタグランドパターンから所定の間隔離だけ引き出される。
【0070】
グランド側アンテナ素子110は、基板730の裏面に形成される。
【0071】
第1給電側アンテナ素子120は、基板730の裏面に接して基板の下向き垂直に配置される。
【0072】
第2給電アンテナ素子130は、基板730の表面に接して基板の上向き垂直に配置される。
【0073】
次に、本実施形態における動作について説明する。
【0074】
信号路830において、第1信号線832及びグランド線831はコプレーナラインを構成し、第2信号線833及びグランド線831はストリップラインを構成する。コプレーナラインの特性インピーダンスは、ストリップラインと同じ50Ωであり、コプレーナラインはストリップラインと同様に動作する。つまり、信号路830では、伝送路から漏洩する電磁波は少ない。
【0075】
次に、本実施形態におけるシミュレーション結果の一例について説明する。本シミュレーション結果は、無線LANの5GHz帯のアンテナに関するシミュレーション結果である。
図8、
図9、
図10は、本シミュレーション結果の一部である。
【0076】
図8は、本発明の第3の実施形態のダイバーシティアンテナ装置300の高周波電流分布の一例を示す図である。
図8(a)は、第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110を動作させた際の高周波電流分布を示す。
図8(b)は、第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110を動作させた際の高周波電流分布を示す。電流の向きと大きさは矢印で示される。
【0077】
図8(a)及び
図8(b)において、信号路830は、ストリップライン又はコプレーナラインを構成しており、高周波電流は微小で、アンテナとして動作していない。
【0078】
図8(a)において、高周波電流は主に第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110に流れており、第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110は第1のダイポールアンテナとして動作している。
【0079】
図8(b)において、高周波電流は主に第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110に流れており、第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110は第2のダイポールアンテナとして動作している。
【0080】
図9は、本発明の第3の実施形態のダイバーシティアンテナ装置300の放射パターンの一例を示す図である。
図9(a)は、下側のダイポールアンテナのXY面における水平偏波の放射パターンを示す。
図9(b)は、上側のダイポールアンテナのXY面における水平偏波の放射パターンを示す。放射パターンのグラフの値は、XY面の特定の角度における、アイソトロピックアンテナを基準とした電力のデシベル値である。
【0081】
2つのダイポールアンテナの指向性は、XY面において互いに上下逆向きであり、ダイバーシティアンテナとして動作している。
【0082】
図10は、本発明の第3の実施形態のダイバーシティアンテナ装置300のインピーダンスの一例を示す図である。
図10(a)は、下側のダイポールアンテナのインピーダンスを示す。
図10(b)は、上側のダイポールアンテナのインピーダンスを示す。下側のグラフでは、インピーダンスのグラフの値は、特定の周波数に対するインピーダンスの大きさである。上側のグラフは、インピーダンスの大きさと位相の関係を示す。
【0083】
図10において、ダイバーシティアンテナ装置300の各ダイポールアンテナは、5GHz帯においてインピーダンスが小さく、アンテナとして動作している。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置300は、第1の実施形態のダイバーシティアンテナ装置100を含む。また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置300の信号路830はストリップライン又はコプレーナラインを構成するので、伝送路から漏洩する電磁波が少ない。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置300は、第1の実施形態のダイバーシティアンテナ装置100と同じ効果を有する。
【0085】
また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置300において、グランド側アンテナ素子110及び信号路830は、2層以上の多層基板上に形成される。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置300には、無線装置の一部が2層以上の多層基板上に実装される場合にも、ダイバーシティアンテナを収容するために必要な断面積又は容積を削減できるという効果がある。
(第4の実施形態)
次に、上述した第1の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置を含む、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、ダイバーシティアンテナ装置と外部の無線装置との間の信号路が、1層以上の基板上に形成される。以下の説明において、第1の実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0086】
本実施形態における構成について説明する。
【0087】
図11は、本発明の第4の実施形態におけるダイバーシティアンテナ装置400の構成の一例を示す図である。
図11において、左右方向をX軸、高さ方向をY軸、奥行き方向をZ軸とする。
【0088】
本実施形態のダイバーシティアンテナ装置400は、グランド側アンテナ素子110と、第1給電側アンテナ素子120と、第2給電側アンテナ素子130と、信号路840とを含む。信号路840は、グランド線841と、第1信号線842と、第2信号線843とを含む。
【0089】
グランド線841は、外部の無線装置900のグランド端子901と、グランド側アンテナ素子110の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0090】
第1信号線842は、外部の無線装置900の第1信号端子902と、第1給電側アンテナ素子120の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0091】
第2信号線843は、外部の無線装置900の第2信号端子903と、第2給電側アンテナ素子130の給電側末端とを接続する帯状の導体箔である。
【0092】
第1信号線842は、グランド線841に対して帯状の導体箔同士が平行であり、所定の間隔でグランド線841と同一面内に並ぶように配置される。
【0093】
第2信号線843は、グランド線841に対して帯状の導体箔同士が平行であり、第1信号線842の反対側に、所定の間隔でグランド線841と同一面内に並ぶように配置される。
【0094】
信号路840は、基板740上に形成される。基板740は、1層以上の基板である。グランド線841、第1信号線842、及び第2信号線843は、基板740の1つの層の回路である。以下では、基板740が1層基板である場合について説明する。
【0095】
基板740の裏面はベタグランドパターンを含む。グランド線841、第1信号線842、及び第2信号線843は、基板740のベタグランドパターンから所定の間隔離だけ引き出される。
【0096】
グランド側アンテナ素子110は、基板740の裏面に接して基板の下向き垂直に配置される。
【0097】
第1給電側アンテナ素子120及び第2給電側アンテナ素子130は基板の同じ層の回路として形成される。
【0098】
次に、本実施形態における動作について説明する。
【0099】
信号路840は、コプレーナラインを構成するので、信号路840では伝送路から漏洩する電磁波は少ない。
【0100】
次に、本実施形態におけるシミュレーション結果の一例について説明する。本シミュレーション結果は、無線LANの5GHz帯のアンテナに関するシミュレーション結果である。
図12、
図13、
図14は、本シミュレーション結果の一部である。
【0101】
図12は、本発明の第4の実施形態のダイバーシティアンテナ装置400の高周波電流分布の一例を示す図である。
図12(a)は、第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110を動作させた際の高周波電流分布を示す。
図12(b)は、第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110を動作させた際の高周波電流分布を示す。電流の向きと大きさは矢印で示される。
【0102】
図12(a)及び
図12(b)において、信号路840は、コプレーナラインを構成しており、高周波電流は微小で、アンテナとして動作していない。
【0103】
図12(a)において、高周波電流は主に第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110に流れており、第1給電側アンテナ素子120及びグランド側アンテナ素子110は第1のダイポールアンテナとして動作している。
【0104】
図12(b)において、高周波電流は主に第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110に流れており、第2給電側アンテナ素子130及びグランド側アンテナ素子110は第2のダイポールアンテナとして動作している。
【0105】
図13は、本発明の第4の実施形態のダイバーシティアンテナ装置400の放射パターンの一例を示す図である。
図13(a)は、左側のダイポールアンテナのXY面における水平偏波の放射パターンを示す。
図13(b)は、右側のダイポールアンテナのXY面における水平偏波の放射パターンを示す。放射パターンのグラフの値は、XY面の特定の角度における、アイソトロピックアンテナを基準とした電力のデシベル値である。
【0106】
2つのダイポールアンテナの指向性は、XY面において互いに左右逆向きであり、ダイバーシティアンテナとして動作している。
【0107】
図14は、本発明の第4の実施形態のダイバーシティアンテナ装置400のインピーダンスの一例を示す図である。
図14(a)に左側のダイポールアンテナのインピーダンスを示す。
図14(b)は、右側のダイポールアンテナのインピーダンスを示す。下側のグラフでは、インピーダンスのグラフの値は、特定の周波数に対するインピーダンスの大きさである。上側のグラフは、インピーダンスの大きさと位相の関係を示す。
【0108】
図14において、ダイバーシティアンテナ装置400の各ダイポールアンテナは、5GHz帯においてインピーダンスが小さく、アンテナとして動作している。
【0109】
以上説明したように、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置400は、第1の実施形態のダイバーシティアンテナ装置100を含む。また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置400の信号路840はコプレーナラインを構成するので、伝送路から漏洩する電磁波が少ない。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置400は、第1の実施形態のダイバーシティアンテナ装置100と同じ効果を有する。
【0110】
また、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置400において、グランド側アンテナ素子110及び信号路840は、1層以上の基板上に形成される。従って、本実施形態のダイバーシティアンテナ装置400には、無線装置の一部が1層以上の基板上に実装される場合にも、ダイバーシティアンテナを収容するために必要な断面積又は容積を削減できるという効果がある。
【0111】
以上、本発明を、上述した各実施形態およびその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態およびその変形例に記載した範囲には限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。