特許第6117856号(P6117856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6117856
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】酵母を使用したスクアレンの生成
(51)【国際特許分類】
   C12P 5/02 20060101AFI20170410BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20170410BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170410BHJP
【FI】
   C12P5/02ZNA
   !C12N1/19
   !C12N15/00 A
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-112498(P2015-112498)
(22)【出願日】2015年6月2日
(62)【分割の表示】特願2011-510739(P2011-510739)の分割
【原出願日】2009年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-211675(P2015-211675A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】61/055,931
(32)【優先日】2008年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512133786
【氏名又は名称】ニューセリス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100114465
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 健
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,キース,エー.
(72)【発明者】
【氏名】クヌース,マーク,イー.
(72)【発明者】
【氏名】フォン,ノエル,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ビーサム,ピーター,アール.
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−131176(JP,A)
【文献】 特表2008−531513(JP,A)
【文献】 特表平11−509098(JP,A)
【文献】 特表2008−537878(JP,A)
【文献】 特表2002−523101(JP,A)
【文献】 特表2001−518301(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/102342(WO,A2)
【文献】 Journal of Agricultural and Food Chemistry,2011年 8月 2日,Vol. 59,p. 9980-9989
【文献】 Applied and Environmental Microbiology,1998年,Vol. 64, No. 7,p. 2676-2680
【文献】 Applied and Environmental Microbiology,2008年 3月14日,Vol. 74, No. 10,p. 3229-3241
【文献】 Zhang, D. et al.,Yeast Squalene Synthase: Expression, Purification, and Characterization of Soluble Recombinant Enzyme,ARCHIVES OF BIOCHEMISTRY AND BIOPHYSICS,1993年,Vol. 304, No. 1,pp. 133-143
【文献】 MERKULOV, S. et al.,Cloning and characterization of the Yarrowia lipolytica squalene synthase (SQS1) gene and functional complementation of the Saccharomyces cerevisiae erg9 mutation,Yeast,2000年,Yeast 2000; 16,pp. 197-206
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母によりスクアレンを生成する方法であって、
方法は、前記酵母を殺菌剤と共に培養することを含み、
酵母は、ATCC 20688、ATCC 90811、およびATCC 90904から選択されるYarrowia lipolytica株であり、
殺菌剤は、スクアレンエポキシダーゼ抑制殺菌剤であり、
酵母は、外来性スクアレンシンターゼ遺伝子を発現し、これにより遺伝学的に改変させられたものである、
方法。
【請求項2】
殺菌剤が、テルビナフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
酵母は、遺伝学的に改変された酵母であり、
方法は、イソプレノイド生合成経路中の1つ以上の酵素の活性または発現を増加または減少させることを含み、
前記酵素活性または発現は、1つ以上の設計変異によって増加または減少され、
前記1つ以上の設計変異は、前記酵素内の規定位置に存在し、
前記遺伝的に改変された酵母は天然酵母と比較して増加した量のイソプレノイドを生成する、
方法。
【請求項4】
1つ以上の酵素が、混合二本鎖オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド非含有分子、および一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドから成る群から選択される遺伝子修復オリゴ核酸塩基により改変された、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基が、混合二本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
混合二本鎖オリゴヌクレオチドが、50ヌクレオチド長を超え、100ヌクレオチド長未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
混合二本鎖オリゴヌクレオチドの第一ストランドおよび第二ストランドが、標的遺伝子の2つの断片と相同性を有する2つの領域を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の酵素が、アセチルCoAカルボキシラーゼ(「ACCase」)、HMG-CoAレダクターゼ、スクアレンエポキシダーゼ、スクアレンシンターゼ、およびATPクエン酸リアーゼから成る群から選択される酵素を含む、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アセチルCoAカルボキシラーゼが、低減した活性または発現を示す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
HMG-CoAレダクターゼが、増加した活性または発現を示す、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
スクアレンエポキシダーゼが、低減した活性または発現を示す、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
スクアレンシンターゼまたはATPクエン酸リアーゼが、増加した活性または発現を示す、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2008年5月23日出願の米国特許仮出願第61/055,931号「酵母を使用したスクアレンの生成」に基づく優先権を主張し、この出願は、あらゆる目的のために、参照により全体として本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
酵母を使用して、スクアレン等のイソプレノイドを生成するための方法および組成物が提供される。
【背景技術】
【0003】
以下の本発明の背景技術の説明は、本発明を理解する際の補助として提供されるものにすぎず、本発明に対して、従来技術を記載または構成すると認めるものではない。
【0004】
スクアレン等のイソプレノイドは、商業上重要な種類の脂質である。これらは、優れた潤滑性、酸化安定性、低流動点、低凝固点、高引火点、および易生分解性を有する。スクアレンは、現在、オリーブ油または冷水サメ肝油からの抽出によって、高単価で生成されている。高単価であるために、スクアレンおよびスクアラン(スクアレンの完全に水素化された誘導体)の経済的に実現可能な使用は、腕時計用潤滑油、医薬品/栄養補助食品、化粧品、香水、および高価値生成物の化学中間産物等、小市場用途である。
【0005】
しかしながら、生分解性潤滑油、潤滑油添加剤、および油圧油の大きな潜在的市場の可能性が存在する。これらの生成物の生分解性は、特に、農業用途あるいは相当量の潤滑油または油圧油が環境中で損失され得る場合等、環境に敏感な用途に重要である。生分解性潤滑油、潤滑油添加剤、および油圧油の潜在的市場は、非常の大きく、年間約500万メートルトンと推測される。
【0006】
植物および動物性油脂から誘導される、生分解性潤滑油、潤滑油添加剤、および油圧油が利用可能であるが、それらは欠点を有する。典型的には、比較的に高温で固化(すなわち、寒冷気候で固化)し、高温条件下での使用には低過ぎる引火点を有する(すなわち、通常の熱気機関条件下では、故障または燃焼する)。
【0007】
したがって、生分解性潤滑油、潤滑油添加剤、および油圧油におけるスクアレンおよびスクアランの大規模製造ならびに普及を可能にするであろう、費用効果的スクアレンの生成方法が所望される。
【0008】
Changら(Appl.Microbiol.Biotechnol.,2008,78,963-72)は、「大量のスクアレンおよびいくつかの多価不飽和脂肪酸」を生
成する、野生型酵母Pseudozyma sp.JCC207の発見について開示している。Changらは、米国グアム近郊から収集された海水からPseudozyma sp.JCC207の単離について記載しているが、Pseudozyma sp.JCC207が、P.regulosaまたはP.aphidisの新種または変異体であるかどうかについては不確かである。論文では、「[Pseudozyma sp.JCC207]のスクアレン生成の効率について、異なる条件下で調べた」と述べられている。
【0009】
Dow AgroSciences LLC(Using Yeast Fermentation to Produce Cost-Effective and Bio
degradable Lubricants(http://statusreports.atp.nist.gov/reports/95-01-0148PDF.pdf))は、「脂肪性(油性)酵母の代謝特性を改変し、生合成を通してイソプレンを生成する酵母の能力を向上させる遺伝子工学の使用の提案」について開示している。具体的には、4つの酵素が、標的とされている(ACCase、ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMGR)、スクアレン合成酵素、およびスクアレンエポキシダーゼ)。
【0010】
米国特許第5,460,949号は、「酵母中のスクアレンおよび特異的ステロールの蓄積を増加させる方法」について開示している。特に、「スクアレンおよびステロールの蓄積は、HMG-CoAレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発
現レベルを上昇させることによって増加する」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,460,949号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Changら Appl.Microbiol.Biotechnol.,2008,78,963-72
【非特許文献2】Dow AgroSciences LLC Using Yeast Fermentation to Produce Cost-Effective and Biodegradable Lubricants(http://statusreports.atp.nist.gov/reports/95-01-0148PDF.pdf)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、酵母からスクアレンを生成するための組成物および方法を提供する。
【0014】
一側面では、イソプレノイドを生成する、遺伝的に改変された酵母が提供される。ある実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、スクアレンを生成する。
【0015】
関連する側面では、酵母が、対応する天然酵母と比較して増加した濃度のスクアレンを生成するように遺伝的に改変される、遺伝的に改変された酵母が提供される。本発明の上述の側面のある実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、1つ以上の変異を有する、1つ以上の修飾酵素を発現する。上述の側面のある実施形態では、遺伝的に改変された酵母中の1つ以上の酵素の発現レベルは、対応する天然酵母に対して増加または減少している。関連する実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、1つ以上の変異を有する、1つ以上の修飾酵素を発現し、遺伝的に改変された酵母中の1つ以上の酵素の発現レベルは、対応する天然酵母に対して増加または減少している。ある好ましい実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母は、遺伝子修復オリゴ塩基を使用して、変異を酵素中に導入することによって、遺伝的に改変される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母は、例えば、米国特許出願第10/411,969号および第11/625,586号に記載のように、酵素の発現を増加または減少させるように、酵素をコードする遺伝子の翻訳開始部位またはその近傍に1つ以上の変異を導入することによって、遺伝的に改変される。ある実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母中の修飾酵素は、アセチルCoAカルボキシラーゼ(すなわち、「ACCase」)、HMG-CoAレダクターゼ、スクアレンエポキシダーゼ、スクアレンシ
ンターゼ、およびATPクエン酸リアーゼから成る群から選択される1つ以上の酵素を含む。
【0016】
核酸塩基は、プリン、ピリミジン、あるいはそれらの誘導体または類似体である塩基を含む。ヌクレオシドは、ペントースフラノシル部分、例えば、任意に置換されたリボシドまたは2'-デオキシリボシドを含有する、核酸塩基である。ヌクレオシドは、リンを含有または非含有し得る、いくつかの連結部分のうちの1つによって連結可能である。非置換ホスホジエステル連結によって連結されたヌクレオシドは、ヌクレオチドと称される。本明細書で使用される「核酸塩基」は、ペプチド核酸塩基、ペプチド核酸のサブユニット、およびモルホリン核酸塩基、ならびにヌクレオシドおよびヌクレオチドを含む。
【0017】
オリゴ核酸塩基は、核酸塩基のポリマーであって、そのポリマーは、相補的配列を有するDNAとワトソン・クリック塩基対形成することによって、ハイブリダイズ可能である。オリゴ核酸塩基鎖は、ポリマーの最終核酸塩基である、単一の5'および3'末端を有する。特定のオリゴ核酸塩基鎖は、あらゆる種類の核酸塩基を含有可能である。オリゴ核酸塩基化合物は、相補的な1つ以上のオリゴ核酸塩基鎖を含む化合物であって、ワトソン・クリック塩基対形成によってハイブリダイズされる。核酸塩基は、デオキシリボ型またはリボ型のいずれかである。リボ型核酸塩基は、核酸塩基を含有するペントースフラノシルであって、2'炭素は、ヒドロキシル、アルキルオキシ、またはハロゲンと置換されたメ
チレンである。デオキシリボ型核酸塩基は、リボ型核酸塩基以外の核酸塩基であって、ペントースフラノシル部分を含有しない、あらゆる核酸塩基を含む。
【0018】
オリゴ核酸塩基ストランドは、一般的に、オリゴ核酸塩基鎖と、オリゴ核酸塩基鎖のセグメントまたは領域との両方を含む。オリゴ核酸塩基ストランドは、3'端および5'端を有する。オリゴ核酸塩基ストランドが、鎖と同一の広がりを持つ場合、ストランドの3'
および5'端もまた、鎖の3'および5'末端である。
【0019】
用語「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、以下に詳述されるように、混合二本鎖オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド非含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、および他の遺伝子修復分子を含む、オリゴ核酸塩基を表すものとして本明細書では使用される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母は、油性酵母から誘導される。ある好ましい実施形態、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母は、Cryptococcus curvatus、Yarrowia lipolytica、Rhodotorula glutinus、およびRhorosporidium tondoidesから成る群から選択される酵母から誘導される。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、Cryptococcus curvatus、Yarrowia lipolytica、およびRhodotorula glutinusから成る群から選択される酵母から誘導される。関連する実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinusから成る群から選択される酵母から誘導される。ある好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、Yarrowia lipolyticaから誘導されたものではない。
【0021】
ある好ましい実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母中の修飾酵素は、アセチルCoAカルボキシラーゼ(すなわち、「ACCase」)である。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母中のアセチルCoAカルボキシラーゼは、その活性および/または発現が、対応する天然酵母に対して減少するように、あるいは活性および/または発現が排除されるように修飾される。他の実施形態では、アセチルCoAカルボキシラーゼは、その基質選択性が、改変されるように修飾されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、アセチルCoAカルボキシラーゼの活性および/または発現が対応する天然酵母に対して減少しているが、活性が
排除されないように修飾される。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のアセチルCoAカルボキシラーゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の約90%、または約80%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約20%、または約10%、または約5%まで減少するように修飾される。関連する実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のアセチルCoAカルボキシラーゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の90-95%、または80-90%、または70-80%、または60-70%、または50-60%、または40-50%、または約30-40%、または約20-30%、または約10-20%、または約5-10%、または約2-5%であるように修飾される。
【0022】
ある好ましい実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母中の修飾酵素は、HMG-CoAレダクターゼである。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に
改変された酵母中のHMG-CoAレダクターゼは、その活性および/または発現が、対
応する天然酵母に対して増加するように修飾される。他の実施形態では、HMG-CoA
レダクターゼは、基質選択性が改変されるように修飾されてもよい。ある好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のHMG-CoAレダク
ターゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の少なくとも1.2倍、または1.5倍、または2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または10倍、または10倍、または20倍、または50倍、または100倍、または1,000倍、または10,000倍、または100,000倍、または1,000,000倍以上まで増加するように修飾される。
【0023】
ある好ましい実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母中の修飾酵素は、スクアレンエポキシダーゼである。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母中のスクアレンエポキシダーゼは、その活性および/または発現が、対応する天然酵母に対して減少するように、あるいは活性および/または発現が排除されるように修飾される。他の実施形態では、スクアレンエポキシダーゼは、その基質選択性が改変されるように修飾されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、スクアレンエポキシダーゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母に対して減少しているが、活性が排除されないように修飾される。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のスクアレンエポキシダーゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の約90%、または約80%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約20%、または約10%、または約5%まで減少するように修飾される。関連する実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のスクアレンエポキシダーゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の90-95%、または80-90%、または70-80%、または
60-70%、または50-60%、または40-50%、または約30-40%、または約20-30%、または約10-20%、または約5-10%、または約2-5%であるように修飾される。
【0024】
ある好ましい実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母中の修飾酵素は、スクアレンシンターゼである。いくつかの好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母中のスクアレンシンターゼは、その活性および/または発現が、対応する天然酵母とに対して増加するように修飾される。他の実施形態では、スクアレンシンターゼは、その基質選択性が、改変されるように修飾されてもよい。ある好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のスクアレンシンターゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の少なくとも1.2倍、または1.5倍、または2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または10倍、ま
たは10倍、または20倍、または50倍、または100倍、または1,000倍、または10,000倍、または100,000倍、または1,000,000倍以上増加するように修飾される。
【0025】
ある好ましい実施形態では、本明細書に提供される遺伝的に改変された酵母中の修飾酵素は、ATPクエン酸リアーゼである。いくつかの実施形態では、ATPクエン酸リアーゼ遺伝子のサブユニット(例えば、Yarrowia lipolytica ATPクエン酸リアーゼ;Genoleveres YALI0D24431gおよびYALI0E34793g)の一方または両方が、本明細書に説明されるように修飾される。ある実施形態では、修飾酵母中のATPクエン酸リアーゼの活性は、単一サブユニットのホロ酵素を含む、動物ATPリアーゼ遺伝子の挿入および/または異種発現によって増加する。いくつかの好ましい実施形態では遺伝的に改変された酵母中のATPクエン酸リアーゼは、その活性および/または発現が、対応する天然酵母に対して増加するように修飾される。ある好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝的に改変された酵母中のATPクエン酸リアーゼの活性および/または発現が、対応する天然酵母の活性および/または発現の少なくとも1.2倍、または1.5倍、または2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または10倍、または10倍、または20倍、または50倍、または100倍、または1,000倍、または10,000倍、または100,000倍、または1,000,000倍以上増加するように修飾される。
【0026】
上述の側面のある好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝子的に修飾された酵母である。他の好ましい実施形態では、遺伝的に改変された酵母は、遺伝子導入酵母である。さらなる実施形態は、遺伝子導入および遺伝子改変の両方を含む、酵母である。
【0027】
本明細書で使用される語句「遺伝的に改変された酵母」は、遺伝子導入酵母または遺伝的に修飾された酵母を指す。
【0028】
本明細書で使用される用語「天然酵母」は、遺伝子的に修飾された(すなわち、遺伝子導入または遺伝子的に改変された)、酵母を指す。天然酵母は、野生型酵母ならびに特定の特性を達成するように選択的に繁殖された酵母を含む。
【0029】
語句「遺伝子導入酵母」は、別の酵母種または非酵母種からの遺伝子を有する、酵母を指す。そのような遺伝子は、「導入遺伝子」と称される場合がある。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「標的遺伝子」は、修飾される酵素をコードする遺伝子を指す。
【0031】
語句「遺伝的に改変された酵母」は、1つ以上の設計変異を含有する、導入遺伝子および/または修飾酵素等の1つ以上の遺伝子的修飾を有する、酵母を指す。そのような設計変異は、天然酵素と異なる活性を有する、修飾酵素をもたらす場合がある。そのような差異として、基質特異性または活性レベルの差異を含み得る。本明細書で使用される場合、「遺伝子導入酵母」は、「遺伝的に改変された酵母」の種類のうちの1つである。
【0032】
語句「油性酵母」は、有機体から抽出可能な少なくとも約20%の乾燥菌体重量(cdw)脂質を含有する、酵母を指す。少なくとも約20%のcdw脂質レベルを蓄積するための能力は、特定の属に限定されない。約20%超のcdw脂質は、Lipomyces
lipofer、L.starkeyi、L.tetrasporus、Candida lipolytica、C.diddensiae、C.paralipolytica、C.curvata、Cryptococcus albidus、Crypto
coccus laurentii、Geotrichum candidum、Rhodotorula graminus、Trichosporon pullulans、Rhodosporidium toruloides、Rhodotorula glutinus、Rhodotorula gracilis、およびYarrowia
lipolyticaにおいて報告されている。例えば、Tatsumiらの米国特許第4,032,405号およびRattray,Microbial Lipids,Vol.1(1998)を参照されたい。
【0033】
本明細書で使用される用語「約」は、定量的観点から、±10%を意味する。例えば、「約3%」は、2.7-3.3%を包含し、「約10%」は、9-11%を包含するであろう。
【0034】
別途指示がない限り、本明細書に記載される任意の割当は、重量パーセントである。
【0035】
本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の説明および請求項から明白となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
遺伝的に改変された酵母によって生成される増加した量のイソプレノイドは、イソプレノイド生合成経路内の1つ以上の酵素を変異または修飾の結果であり得る。例えば、アセチルCoAカルボキシラーゼ(すなわち、「ACCase」)、HMG-CoAレダクタ
ーゼ、スクアレンエポキシダーゼ、およびスクアレンシンターゼを修飾または変異することができる。
【0037】
好ましい実施形態では、修飾酵素を発現する遺伝的に改変された酵母は、本明細書に説明されるように、遺伝子修復オリゴ核酸塩基の使用を通して、酵素中の変異を導入することによって生成される。本方法は、当技術分野において周知の方法のいくつかのうちのいずれかによって、着目標的遺伝子の特異的変異を含有する遺伝子修復オリゴ核酸塩基を酵母細胞中に導入し(例えば、マイクロキャリア、マイクロファイバ、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、LiOAc、微粒子銃、スフェロプラスト化、および/またはAgrobacterium(例えば、McClelland,CM.,Chang,Y.C.,and Kwon-Chung,KJ.(2005)Fungal G
enetics and Biology 42:904-913参照)、そして、
変異酵素を有する細胞を識別することを含む。
【0038】
本発明の一側面では、本明細書に開示される遺伝的に改変された酵母から抽出されるイソプレノイドが提供される。関連する側面では、本明細書に説明される遺伝的に改変された酵母から抽出されるスクアレンが提供される。
【0039】
本発明の別の側面では、イソプレノイド、好ましくは、スクアレンを生成する方法が提供される。ある実施形態では、本方法は、本明細書に説明される遺伝的に改変された酵母を提供し、そして酵母からスクアレンを抽出することを含む。
【0040】
本発明の上述の側面のさらなる実施形態では、上述の遺伝的に改変されたまたは遺伝子導入酵母から抽出されるイソプレノイドが提供される。
【0041】
酵母の種類
本明細書に開示される組成物および方法は、いくつかの酵母種または菌株のうちのいずれかに基づき得る。ある実施形態では、酵母は、油性酵母である。例えば、酵母は、Cryptococcus curvatus(例えば、ATCC 20508)、Yarr
owia lipolytica(例えば、ATCC 20688またはATCC 90811)、Rhodotorula glutinus(例えば、ATCC 10788またはATCC 204091)、およびRhorosporidium toruloidesであってもよい。発明者らは、ある他の酵母(Yarrowia lipolytica等)と比較して、Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinisは、多くの培養条件下、幅広い基質上で非常に高い細胞密度に成長し、大量の総脂質を生成することを発見した。故に、ある実施形態では、Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinisは、本明細書に開示される組成物および方法にとって、特に有用であり得る。Yarrowia lipolyticaのために開発され、特異的である、多くの遺伝子的手段(例えば、形質転換プロトコル、選択可能マーカー)が存在する。したがって、いくつかの実施形態では、Yarrowia lipolyticaが、本明細書に開示される組成物および方法にとって、特に有用であり得る。
【0042】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基
本発明は、以下に詳述されるような配座および化学的性質を有する、「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」によって実施することができる。本発明の「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、混合二本鎖オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド非含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、および後述の特許および特許公開に記載の他の遺伝子修復分子を含む。また、本発明の「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、「リコンビナジェニックオリゴ核酸塩基」、「RNA/DNAキメラオリゴヌクレオチド」、「キメラオリゴヌクレオチド」、「混合二本鎖オリゴヌクレオチド(MDON)」、「RNA DNAオリゴヌクレオチド(RDO)」、「ジーンターゲッティングオリゴヌクレオチド」、「ゲノプラスト」、「一本鎖修飾オリゴヌクレオチド」、「一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド変異ベクター」、「二本鎖変異ベクター」、および「ヘテロ二本鎖変異ベクター」を含む、他の名称を使用して、公開されている科学および特許文献中にも記載されている。
【0043】
Kmiecによる米国特許第5,565,350号(Kmiec I)およびKmiecによる米国特許第5,731,181号(Kmiec II)(参照することによって、本明細書に援用される)に記載される配座と化学的性質とを有する、オリゴ核酸塩基は、本発明の「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」としての使用に好適である。Kmiec Iおよび/またはKmiec IIにおける遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、2つの相補的ストランドを含有し、その一方は、他方のストランドのDNA型ヌクレオチドと塩基対形成する塩基である、RNA型ヌクレオチドのうちの少なくとも1つのセグメント(「RNAセグメント」)を含有する。
【0044】
Kmiec IIは、プリンおよびピリミジン塩基含有非ヌクレオチドが、ヌクレオチドと置換可能であることを開示している。本発明のために使用可能な付加的遺伝子修復分子は、米国特許第5,756,325号、第5,871,984号、第5,760,012、5,888,983、5,795,972、第5,780,296号、第5,945,339号、第6,004,804、および第6,010,907号、国際特許第PCT/US00/23457号、国際特許公開第WO98/49350号、第WO99/07865号、第WO99/58723号、第WO99/58702号、および第WO99/40789に記載されている(それぞれ、全体として本明細書に援用される)。
【0045】
一実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、混合二本鎖オリゴヌクレオチドのRNA型ヌクレオチドが、2'-ヒドロキシルをフルオロ、クロロ、またはブロモ官能基と置き換える、または2'-O上に置換基を置くことによってRNase耐性となる、混合二本鎖オリゴヌクレオチドである。好適な置換基として、Kmiec IIによって教示される、置換基を含む。代替置換基として、米国特許第5,334,711号(Sproat)
号によって教示される置換基と、特許公開第EP629 387号および第EP679 657(集合的に、Martinの出願)によって教示される置換基とを含む(参照することによって、本明細書に援用される)。本明細書で使用される場合、リボヌクレオチド、あるいはMartinの出願またはSproatに記載される置換基と置換される2'-OHを有するリボヌクレオチドの2'-フルオロ、クロロ、またはブロモ誘導体は、「2'-置換リボヌクレオチド」と称される。本明細書で使用される場合、用語「RNA型ヌクレオチド」は、非置換ホスホジエステル連結、あるいはKmiec IまたはKmiec IIによって教示される非天然連結のいずれかによって、混合二本鎖オリゴヌクレオチドの他のヌクレオチドに連結された、2'-ヒドロキシルまたは2'-置換ヌクレオチドを意味する。本明細書で使用される場合、用語「デオキシリボ型ヌクレオチド」は、非置換ホスホジエステル連結、あるいはKmiec IまたはKmiec IIによって教示される非天然連結のいずれかによって、遺伝子修復オリゴ核酸塩基の他のヌクレオチドに連結することができる2'-Hを有するヌクレオチドを意味する。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、非置換リン酸ジエステル結合によってのみ連結された、混合二本鎖オリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、連結は、置換ホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体、およびKmiec IIによって教示される非リン系連結による。さらに別の実施形態では、混合二本鎖オリゴヌクレオチド中の各RNA型ヌクレオチドは、2'置換ヌクレオチドである。2'-置換リボヌ
クレオチドの特定の好ましい実施形態は、2'-フルオロ、2'-メトキシ、2'-プロピルオキシ、2'-アリルオキシ、2'-ヒドロキシルエチルオキシ、2'-メトキシエチルオキシ、2'-フルオロプロピルオキシ、および2'-トリフルオロプロピルオキシ置換リボヌクレオチドである。2'-置換リボヌクレオチドのより好ましい実施形態は、2'-フルオロ、2'-メトキシ、2'-メトキシエチルオキシ、および2'-アリルオキシ置換ヌクレオチドである。別の実施形態では、混合二本鎖オリゴヌクレオチドは、非置換リン酸ジエステル結合によって連結される。
【0047】
単一種類の2'-置換RNA型ヌクレオチドのみを有する混合二本鎖オリゴヌクレオチドは、より便宜的に合成されるが、本発明の方法は、2つ以上の種類のRNA型ヌクレオチドを有する、混合二本鎖オリゴヌクレオチドによって実施可能である。RNAセグメントの機能は、2つのRNA型トリヌクレオチド間へのデオキシヌクレオチドの導入により生じる中断によって影響され得ず、故に、用語「RNAセグメント」は、「断続RNAセグメント」等を包含する。非断続RNAセグメントは、連続的RNAセグメントと称される。別の実施形態では、RNAセグメントは、RNase耐性と非置換2'-OHの交互ヌクレオチドを含有し得る。混合二本鎖オリゴヌクレオチドは、好ましくは、100未満、より好ましくは、85未満であるが、50超のヌクレオチドを有する。第1および第2のストランドは、ワトソン・クリック塩基対形成する。一実施形態では、混合二本鎖オリゴヌクレオチドのストランドは、第1および第2のストランドが、単一の3'と単一の5'端とを有する、単一のオリゴヌクレオチド鎖のセグメントであるように、一本鎖ヘキサ、ペンタ、またはテトラヌクレオチド等のリンカーによって共有結合している。3'および5'端は、「ヘアピンキャップ」の追加によって保護可能であって、それによって、3'および
5'末端ヌクレオチドは、隣接するヌクレオチドとワトソン・クリック塩基対形成する。
加えて、第2のヘアピンキャップは、第1と第2のストランドとの間のワトソン・クリック塩基対が安定化されるように、3'および5'端から離れた第1と第2のストランドとの間の接点に存在することができる。
【0048】
第1および第2のストランドは、標的遺伝子の2つのフラグメントと相同である、すなわち、標的遺伝子と同一配列を有する、2つの領域を含有する。相同領域は、RNAセグメントのヌクレオチドを含有し、接続DNAセグメントの1つ以上のDNA型ヌクレオチドを含有してもよく、また、介在DNAセグメント内に存在しないDNA型ヌクレオチド
を含有してもよい。相同の2つの領域は、「異種領域」と称される、標的遺伝子の配列と異なる配列を有する領域によって、分離され、かつそれぞれ、それに隣接する。異種領域は、1つ、2つ、または3つの不整合ヌクレオチドを含有し得る。不整合ヌクレオチドは、連続的であり得る、または代替として、標的遺伝子と相同である1つまたは2つのヌクレオチドによって分離することができる。代替として、異種領域はまた、1つ、2つ、3つ、または5つ以下のヌクレオチドの挿入断片も含有し得る。代替として、混合二本鎖オリゴヌクレオチドの配列は、混合二本鎖オリゴヌクレオチドからの1つ、2つ、3つ、または5つ以下のヌクレオチドの欠失によってのみ、標的遺伝子の配列と異なってもよい。異種領域の長さおよび位置は、この場合、混合二本鎖オリゴヌクレオチドのヌクレオチドが、異種領域内に存在しなくても、欠失の長さであるとみなされる。2つの相同領域に対して相補的標的遺伝子のフラグメント間の距離は、理想的には、置換または複数の置換が意図される場合の異種領域の長さである。異種領域が、挿入断片を含有する場合、相同領域は、それによって、遺伝子中のそれらの相補的相同フラグメントからさらに離れて、混合二本鎖オリゴヌクレオチド中で分離され、異種領域が欠失をコードする場合、その逆が適用される。
【0049】
混合二本鎖オリゴヌクレオチドのRNAセグメントはそれぞれ、相同領域、すなわち、標的遺伝子のフラグメントと配列が等しい領域の一部であって、そのセグメントは、合わせて、好ましくは、少なくとも13のRNA型ヌクレオチド、好ましくは、16-25の
RNA型ヌクレオチド、さらにより好ましくは、18-22のRNA型ヌクレオチド、最
も好ましくは、20のヌクレオチドを含有する。一実施形態では、相同領域のRNAセグメントは、介在DNAセグメントによって分離され、それに隣接する、すなわち、「それによって接続される」。一実施形態では、異種領域の各ヌクレオチドは、介在DNAセグメントのヌクレオチドである。混合二本鎖オリゴヌクレオチドの異種領域を含有する、介在DNAセグメントは、「変異誘発セグメント」と称される。
【0050】
本発明の別の実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、国際特許出願第PCT/US00/23457号、米国特許第6,271,360号、第6,479,292号、および第7,060,500号(参照することによって、全体として本明細書に援用される)に開示される、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド変異ベクター(SSOMV)である。SSOMVの配列は、米国特許第5,756,325号、第5,871,984号、第5,760,012号、第5,888,983号、第5,795,972号、第5,780,296号、第5,945,339号、第6,004,804号、および第6,010,907号、ならびに国際公開第WO98/49350号、第WO99/07865号、第WO99/58723号、第WO99/58702号、および第WO99/40789号に記載される、変異ベクターと同一原理に基づく。SSOMVの配列は、変異誘発領域と称される、所望の遺伝子的改変を含有する領域によって分離される標的配列と相同である、2つの領域を含有する。変異誘発領域は、標的配列中の相同領域を分離する配列と同一長であるが、異なる配列を有する、配列を有し得る。そのような変異誘発領域は、置換を生じさせ得る。代替として、SSOMV中の相同領域は、相互に連続的であり得る一方、同一配列を有する標的遺伝子中の領域は、1つ、2つ、またはそれ以上のヌクレオチドによって分離される。そのようなSSOMVは、SSOMVに欠如しているヌクレオチドの標的遺伝子から欠失を生じさせる。最後に、相同領域と等しい標的遺伝子の配列は、標的遺伝子中で隣接するが、SSOMVの配列中の1つ、2つ、またはそれ以上のヌクレオチドによって分離されてもよい。そのようなSSOMVは、標的遺伝子の配列中に挿入断片を生じさせる。
【0051】
SSOMVのヌクレオチドは、未修飾リン酸ジエステル結合によって連結されるが、3'末端および/または5'末端ヌクレオチド間連結、あるいは代替として、2つの3'末端
および/または5'末端ヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエートまたはホスホロアミ
ダートであり得る、デオキシリボヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、ヌクレオチド間連結は、SSOMVのヌクレオチド間の連結であって、3'端ヌクレオチドま
たは5'端ヌクレオチドとブロッキング置換基との間の連結を含まない(上記参照)。特
定の実施形態では、SSOMVの長さは、21-55のデオキシヌクレオチドであって、
故に相同領域の長さは、全長少なくとも20のデオキシヌクレオチドであって、少なくとも2つの相同領域はそれぞれ、少なくとも8のデオキシヌクレオチドの長さを有するはずである。
【0052】
SSOMVは、標的遺伝子のコードまたは非コードストランドのいずれかに相補的であるように設計することができる。所望の変異が、単一塩基の置換である場合、両変異誘発ヌクレオチドがピリミジンであることが好ましい。所望の機能的結果の達成と一致する範囲において、相補的ストランド中の両変異誘発ヌクレオチドおよび標的ヌクレオチドは、ピリミジンであることが好ましい。特に、トランスバージョン変異をコードする、すなわち、CまたはT変異誘発ヌクレオチドが、それぞれ、相補的ストランド中のCまたはTヌクレオチドと不整合である、SSOMVが好ましい。
【0053】
オリゴデオキシヌクレオチドに加え、SSOMVは、リンカーを通して5'末端炭素に
付着される、5'ブロッキング置換基を含有し得る。リンカーの化学的性質は、その長さ
以外は重要ではなく、好ましくは、少なくとも6原子長であって、リンカーは、柔軟性があるはずである。ビオチン、コレステロール、または他のステロイド、あるいは非インターカレート型陽イオン蛍光色素等の種々の非毒性置換基を使用することができる。特に、SSOMVを生成するための試薬として好ましいのは、Glen Research(Sterling Va.)からCy3(TM)およびCy5(TM)として市販されている試薬であって、オリゴヌクレオチド中への混入によって、それぞれ、3,3,3',3'-テトラメチルN,N'-イソプロピル置換インドモノカルボシアニンおよびインドジカル
ボシアニン色素を産出する、ブロッキングされたホスホロアミダイトである。Cy3は、最も好ましい。インドカルボシアニンが、N-オキシアルキル置換される場合、5'末端ホスフェートを伴うホスホジエステルとして、オリゴデオキシヌクレオチドの5'末端に便
利に連結することができる。色素とオリゴデオキシヌクレオチドとの間の色素リンカーの化学的性質は重要ではなく、合成上の便宜性のために選択される。市販のCy3ホスホラミダイトが、指示通りに使用される場合、結果として生じる5'修飾は、ブロッキング置
換基およびリンカーを含み、合わせて、N-ヒドロキシプロピルN'-ホスファチジルプロ
ピル3,3,3',3'-テトラメチルインドモノカルボシアニンとなる。
【0054】
好ましい実施形態では、インドカルボシアニン色素は、インドール環の3および3'位
置において四置換される。理論に制限されることなく、これらの置換は、色素がインターカレート型色素であることを妨げる。これらの位置における置換基の識別は重要ではない。加えて、SSOMVは、3'ブロッキング置換基を有し得る。同様に、3'ブロッキング置換基の化学的性質は、重要ではない。
【0055】
異種発現
ある実施形態では、異種発現は、酵母(例えば、Yarrowia lipolyticd)中の外来性遺伝子または内在性遺伝子の余剰コピーを発現させるために使用される。酵母中の異種発現は、当技術分野において周知の方法を使用して行なうことが可能である。異種発現を使用した酵母中の外来性遺伝子または内在性遺伝子の余剰コピーの発現は、(a)転写開始のためのプロモーター配列、(b)転写の終結のためのターミネーター配列、および(c)選択可能マーカーを含む、ベクターの使用を伴ってもよい。異種発現および発現ベクターは、例えば、Madzak,C,Gaillardin,C,and
Beckerich,J-M.,2004 Heterologous Protei
n Expression and Secretion in the Non-Co
nventional Yeast Yarrowia lipolytica:a review,Journal of Biotechnology 109:63-81
に記載されているようなものであってもよい。使用し得る選択可能マーカー遺伝子の非限定的リストとして、ura3、lys5、trp1、leu2、ade1、ハイグロマイシン耐性をコードするE.coli hph、およびSaccharomyces cerevisiaeからのSUC2を含む。使用し得るプロモーターの非限定的リストとして、pLEU2、pXPR2、pPOX2、pPOT1、pICL1、pG3P、pMTP、pTEF、およびpRPS7を含む。使用し得るターミネーター配列の非限定的リストとして、XPR2t、LIP2t、およびPHO5tを含む。
【0056】
ある実施形態では、Yarrowia lipolytica LYS1(Genolevures YALI0B15444g)、TRP1(Genolevures YALI0B07667g)、およびADE1(Genolevures YALI0E33033g)遺伝子のうちの1つ以上が、選択可能マーカーとして使用される。
【0057】
ある実施形態では、統合的発現ベクターとして、Yarrowia lipolytica解糖経路遺伝子、アルカンまたはグリセロール利用遺伝子、ACC1、HMG1、ERG1、およびERG9から成る群から選択される1つ以上のプロモーターおよび/またはターミネーター配列を含む。
【0058】
Yarrowia lipolyticaの一方または両方のサブユニットのある実施形態では、Yarrowia lipolytica中のATPクエン酸リアーゼ(Genoleveres YALI0D24431gおよびYALI0E34793g)は、過剰発現される。
【0059】
修飾酵素
脂肪酸生合成経路およびイソプレノイド生合成経路中に伴われる酵素をコードする遺伝子は、変異のための好ましい標的である。いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、アシルCoAカルボキシラーゼをコードする。他の実施形態では、標的遺伝子は、HMG-C
oAレダクターゼをコードする。他の実施形態では、標的遺伝子は、スクアレンエポキシダーゼをコードする。他の実施形態では、標的遺伝子は、スクアレンシンターゼをコードする。ある実施形態では、標的遺伝子は、ATPクエン酸リアーゼをコードする。変異は、酵素の活性を減少または排除する、酵素の活性を向上させる、あるいは酵素の活性を改変する(例えば、基質選択性を変化)させるように設計することができる。
【0060】
野生型油性酵母中では、アセチルCoAは、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)を介して、脂肪酸生合成中へと広範囲に導かれる。したがって、スクアレン合成に利用可能なアセチルCoAの量を増加させるためには、ACCaseの酵素的発現または特異的活性を減少することが望ましい。ACCaseの例示的遺伝子配列は、登録番号Z71631に示されるSaccharomyces cerevisiae中のACC1遺伝子である。故に、ACCaseの細胞内活性が減少したある実施形態では、メバロン酸塩生合成とトリグリセリド生合成との間の分岐点における酵素は、油脂合成のために区分されたアセチルCoAの量を減少させ、それによって、イソプレン経路へのその可用性を増加させるであろう。
【0061】
HMG-CoAレダクターゼ活性は、イソプレン生合成のための律速酵素である。HM
G-CoAレダクターゼの例示的遺伝子配列は、それぞれ、登録番号NC_001145
およびNC_001144に示されるSaccharomyces cerevisiae中のHMG1ならびにHMG1遺伝子を含む。故に、ある実施形態では、HMG-Co
Aレダクターゼ活性は、HMGR遺伝子を修飾し、転写を増加させ、得られた蛋白質を安
定化させ、および/または生成物のフィードバック阻害を減少させることによって増加するであろう。
【0062】
酵母中のACCase活性の減少および/またはHMG-CoAレダクターゼ活性の増
加は、経路中の後続酵素の操作によって、いくつかの関連イソプレノイド生成物を生成可能な核となるイソプレノイド生成有機体を生じさせ得る。
【0063】
スクアレンエポキシダーゼは、ステロール生合成の第1の関与段階に触媒作用を及ぼす。スクアレンエポキシダーゼの例示的遺伝子配列は、登録番号NC_001139に示されるSaccharomyces cerevisiae中のERG1遺伝子である。故に、ある実施形態では、スクアレンエポキシダーゼ活性および/または発現は、酵母、例えば、酵素のアミノ酸配列中の触媒的に重要な残留物によって、減衰されるであろう。
【0064】
スクアレンシンターゼは、2つのcl5イソプレン前駆体(ファルネシル二リン酸(FPP))を濃縮することによって、スクアレンの合成に触媒作用を及ぼす。スクアレンシンターゼの例示的遺伝子配列は、登録番号NC_001140に示されるSaccharomyces cerevisiae中のERG9遺伝子である。故に、ある実施形態では、スクアレンシンターゼ活性および/または発現は、酵母中で増加するであろう。
【0065】
ATPクエン酸リアーゼ(E.C.4.1.3.8)は、クエン酸塩を触媒的に開裂し、アセチルCoAおよびオキサロ酢酸を生成する。アセチルCoAは、脂肪酸生合成のためのACCaseによって、イソプレンおよびスクアレン等の誘導体の生成のためのアセチルCoAアセチル転移酵素によって使用される。
【0066】
代謝性変化の結果は、アセチルCoAからスクアレンへと炭素を導き、この炭素流の主要な競合経路を減衰させ、生成されるスクアレンの大幅な増加をもたらすことになるであろう。
【0067】
酵母細胞中への遺伝子修復オリゴ核酸塩基の送達
遺伝子修復
オリゴ核酸塩基を伴う酵母細胞を形質転換するために、任意の一般的に知られている方法が、本発明の方法において使用可能である。例示的方法として、マイクロキャリアまたはマイクロファイバの使用、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、LiOAc、微粒子銃、スフェロプラスト化、および/またはAgrobacterium(例えば、McClelland,CM.,Chang,Y.C,and Kwon-Ch
ung,KJ.(2005)Fungal Genetics and Biology
42:904-913参照)を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、金属マイクロキャリア(ミクロスフェア)は、投射物体の貫入(微粒子銃送達)によって、細胞壁を有する酵母細胞中へとDNAの大量のフラグメントを導入するために使用されるものであって、当業者には周知である。マイクロキャリアを選択するための一般的技術および、それらを投射するためのデバイスは、米国特許第4,945,050号、第5,100,792号、および第5,204,253号に記載されている。
【0069】
本発明の方法においてマイクロキャリアを使用するための特定の条件は、国際公開第WO99/07865号、第US09/129,298号に記載されている。例えば、氷冷マイクロキャリア(60mg/mL)、混合二本鎖オリゴヌクレオチド(60mg/mL)、2.5M CaCl、および0.1Mスペルミジンをその順番で添加し、例えば、10分間、渦流攪拌することによって、混合物を徐々に撹拌し、10分間、室温で放置し
、それによって、マイクロキャリアが、5倍量のエタノール中に希釈され、遠心分離され、100%エタノール中で再懸濁される。接着溶液中の成分の例示的濃度として、8-1
0μg/μLマイクロキャリア、14-17μg/μL混合二本鎖オリゴヌクレオチド、
1.1-1.4M CaCl、および18-22mMスペルミジンを含む。一実施例では、成分濃度は、8μg/μLマイクロキャリア、16.5μg/μL混合二本鎖オリゴヌクレオチド、1.3M CaCl、および21mM スペルミジンである。
【0070】
また、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、マイクロファイバを使用して細胞壁および細胞膜に貫通させる本発明の実施のために、酵母細胞中に導入することができる。Coffeeらの米国特許第5,302,523号は、Black Mexican Sweetの懸濁トウモロコシ培養物の形質転換を促進するために、30x0.5μmおよび10x0.3μm炭化ケイ素ファイバの使用について記載している。マイクロファイバを使用して、酵母細胞の形質転換のために、DNAを導入するために使用し得る任意の機械的技術が利用され、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を送達可能である。
【0071】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基のマイクロファイバ送達の一実施例は、以下の通りである。滅菌マイクロファイバ(2μg)を、約10μgの混合二本鎖オリゴヌクレオチドを含有する、150μLの酵母成長媒体中に懸濁させる。酵母培養物を沈殿させ、等量の濃縮細胞および滅菌ファイバ/ヌクレオチド懸濁液を、10分間、渦流攪拌し、培養皿に撒く。選択培地は、特定の形質のために適切となるように、直ちに、または最大約120時間の遅延を伴って、適用される。
【0072】
別の実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、酵母細胞から誘導されるプロトプラストのエレクトロポレーションによって、酵母細胞に送達可能である。プロトプラストは、当業者に周知の技術に従って、酵母細胞の酵素的処理によって形成される(例えば、Gallois et al.,1996,in Methods in Molecular Biology 55:89-107,Humana Press,Totowa
,N.J;Kipp et al.,1999,in Methods in Mole
cular Biology 133:213-221,Humana Press,T
otowa,N.J.参照)。プロトプラストは、エレクトロポレーションに先立って、成長培地中で培養される必要がない。エレクトロポレーションの例証的条件は、0.6-
4μg/mLの遺伝子修復オリゴ核酸塩基の濃度を伴う、総体積0.3mL中、3x10のプロトプラストである。
【0073】
さらに別の別の実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、酵母細胞のウィスカーまたはマイクロインジェクションによって、酵母細胞に送達可能である。ウィスカーと呼ばれる技術は、本質的に、Frame et al.,1994,Plant J.6:941-948に記載されているように行なわれる。遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、ウィス
カーに添加され、酵母細胞を形質転換するために使用される。遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、遺伝子修復が、オリゴヌクレオチドと標的遺伝子中の標的配列との間で触媒作用を受けるように、酵母細胞中にリコンビナーゼおよび/または遺伝子修復錯体を形成可能な蛋白質をコードする配列を含むプラスミドと共インキュベートしてもよい。
【0074】
所望の修飾酵素を有する酵母の選択
修飾酵素を発現する酵母は、いくつかの手段のうちのいずれかを通して同定可能である。一方法は、同一実験中、遺伝子修復オリゴ核酸塩基(GRON)を使用して、選択可能遺伝子変換(すなわち、マーカー)および非選択可能遺伝子変換(例えば、着目標的遺伝子)の両方を標的にする、同時遺伝子変換方式である。このようにして、GRONが送達されなかった、またはRONによって指定された遺伝子変換を伝達不可能であった細胞は、排除されるであろう。非関連遺伝子を標的にするGRONの送達は、ある頻度において
、選択的であることが期待されないため、成功裏に選択された遺伝子変換を伴うコロニーは、他の標的遺伝子のうちの1つ中にも遺伝子変換を有することが予測されるであろう。遺伝子変換事象は、単一ヌクレオチド多型(SNP)分析によって解明されるであろう。
【0075】
したがって、ゲノムDNAは、酵母から抽出され、各標的に対して、SNP検出技術、例えば、対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応(ASPCR)を使用して、個々のDNA試料が選別される。陽性酵母中の配列変化を個別に確認するために、標的遺伝子の適切な領域が、PCR増幅され、結果として生じる単位複製配列が、直接配列決定されるか、またはクローニングされ、多重挿入断片が配列決定されてもよい。
【0076】
代替として、着目遺伝子中への変異の混入は、抽出された核酸中の単一ヌクレオチド変異を検出するように設計されたいくつかの分子生物学技術のうちのいずれかによって同定可能である(例えば、PCRおよび単一ヌクレオチドプライマ伸長分析などの増幅方法)。より大きな変異は、変異される標的遺伝子の領域の増幅および配列決定によって検出可能である。
【0077】
代替として、修飾酵素を含有する酵母または酵母細胞は、例えば、酵母によって生成される、イソプレノイドの組成の分析によって同定可能である。したがって、酵母を成長させ、油脂を抽出し、当技術分野において周知の方法(例えば、ガスクロマトグラフィ)を使用して分析可能である。
【実施例】
【0078】
実施例1 Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula
glutinis形質転換系
Cryptococcus curvatus(ATCC菌株20508)およびRhodotorula glutinis(ATCC菌株10788と204091)形質転換系を生成するために、S.cerevisiaeに対するカナマイシン耐性を与えるKANMX発現カセット(プロモーター遺伝子ターミネーター)を選択可能マーカーとして使用され、カナマイシン感受性から耐性に菌株を遺伝子変換する(例えば、Baudin,A.,et al.(1993)Nucleic Acids Research(21)3329-3330参照)。菌株は、発現カセット単独によって形質転換され、同
様に、KANMXは、DNA複製起点を含有するR.glutinus(例えば、Oloke.J.K.,and Glick,B.R.(2006)African Journal of Biotechnology 5(4):327-332参照)中に現れ
る、プラスミドの制限フラグメントに結合される。DNAは、エレクトロポレーション、LiOAc、微粒子銃、スフェロプラスト化、および/またはAgrobacteriiim(McClelland,CM.,Chang,Y.C.,and Kwon-Ch
ung,K.J.(2005)Fungal Genetics and Biology 42:904-913)によって、C.curvatusおよびR.glutini
s中に導入される。
【0079】
実施例2 選択可能マーカー
Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinis中にウラシル栄養要求性変異株を生成するために、抗代謝性5-フルオロオロ
チン酸を含有する最少培地中で細胞を成長させ、ura3またはura5遺伝子中に病変を伴う耐性変異株を選択した。Cryptococcus curvatusの33の安定した5-FOAコロニーおよびRhodotorula glutinisの20の
安定した5-FOAコロニーを堆積させた。Cryptococcus curvat
usおよびRhodotorula glutinisの両方から野生型URA3遺伝子をクローニングし、5-FOA分離株中の変異株ura3遺伝子の配列を決定する。
【0080】
他の栄養要求性マーカーは、Saccharomyces cerevisiae中の機能的相補性によってクローニングされる(Ho,Y.R.,and Chang,M.C.(1988)Chinese Journal of Microbiology and Immunology 21(1):1-8参照)。ゲノムおよび/またはcD
NAライブラリは、菌株YPH500(MATαura3-52 lys2-801 ade2-101 trpl-Δ63 his3-Δ200 leu2-ΔI)への形質転換のためのウラシル選択可能Saccharomyces発現ベクターへの結合のために、Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinisから構築され、リシン、アデニン、トリプトファン、ヒスチジン、およびロイシン原栄養体を選択する。これらの原栄養体から、LYS2、ADE2、TRP1、HIS3、LEU2の対応する遺伝子が、ゲノムまたはcDNA挿入断片から配列決定される。
【0081】
実施例2 RTDS技術を使用した酵母の遺伝的改変
Yarrowia lipolytica菌株ATCC 90811(leu2-35
lys5-12 ura3-18 XPR2B)から、leu2、lys5、およびura3遺伝子の対立遺伝子を、PCRならびに野生型対立遺伝子と比較したその配列によってクローニングし、差異を同定した。
【0082】
ura3の場合、差異は、位置1365(A→G変異、リシンに対してAAA→AAGコーディングの静止変化をもたらす)、1503(ATCC 90811中のAAGAA余剰配列フレーム変化をもたらすが、1511でフレームに戻り、7つの付加アミノ酸をもたらし、その後、配列は、GenBankのYL URA3として継続する)、1511(ATCC 90811中の余剰T)、および1978(C→T変異、カルボキシ末端が欠如した蛋白質24アミノ酸を短縮する停止変異につながる)において認められた。GRONオリゴヌクレオチドは、STOP(TGA)->R(CGA)遺伝子変換を行い、
Y1Ura3-YLU40564アミノ酸番号付与に基づく264Rを産出することによ
って、原栄養性を回復するように設計された。使用されるGRONは、Y1Ura31264/C/40/5'Cy3/3'idC(配列VCGAGGTCTGTACGGCCAGAACCGAGATCCTATTGAGGAGGHを有する)、およびY1Ura31264/NC/40/5'Cy3/3'idC(配列VCCTCCTCAATAGGATCTCGGTTCTGGCCGTACAGACCTCGH(V=CY3;H=3'DMT d
C CPG)を有する)である。10、30、50μgの各GRONを、酢酸リチウム系の方法を使用して、Yarrowia lipolytica菌株ATCC 90811に形質転換し、ura-2%グルコース上に固定した。コーディングストランドを使用し
たGRON設計によって、合計82のura+コロニーと、非コーディングストランドを使用したGRON設計によって、6つのコロニーを得、間隙修復オリゴヌクレオチドによる形質転換によく見られるストランドバイアスを実証した。18のコーディングストランド形質転換体の配列が、17のクローンにおける意図された変化を実証した。
【0083】
LEU2の場合、差異は、位置1710(フレームシフトおよび早期蛋白質終結につながる余剰C欠失)、1896(余剰T)、2036(停止コドン後に位置するT→A変異)、および2177(余剰Tは欠落、停止コドン後に位置する)において認められた。
【0084】
LEU2の場合、差異は、位置1092(G→A TCG→TCA、同類置換(Serine));1278(G→A CAG→CAA、同類置換(Glutamine))、および1279(G→A GGT→ATT、変化V→I)において認められた。
【0085】
故に、変異は、種々の目的のために使用し、例えば、原栄養性酵母を遺伝子変換し、栄養要求性とする、またはその逆を行うことも可能である。
【0086】
Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinisにおけるRTDS技術の有効性を実証するための類似方式は、Yarrowia lipolyticaに関して説明されるように行われるものであって、そこでは、ura3変異が、原栄養性を回復するように修正される。
【0087】
実施例3 標的遺伝子のクローニング
NCBIデータベースにおいて入手可能なSaccharomycesおよび他の酵母のACCase、HMGR、スクアレンシンターゼ、ならびにスクアレンエポキシダーゼの配列を、PCRプライマーのソースとして使用し、対応する遺伝子を、Cryptococcus curvatusおよびRhodotorula glutinisとともに、その対応する調節領域(プロモーター、ターミネーター)からクローニングする。それぞれ、転写を増加または減少する「アップ」および「ダウン」プロモーター変異を同定するために、これら4つの遺伝子のプロモーターを、比較的に変異性であるDNAポリメラーゼによってクローニングし、プロモーター中に点変異を生成し、およびこれらのフラグメントを、S cerevisiaeまたはE coliにおいて、インビトロ試験を行うために、緑色蛍光蛋白質(GFP)またはβガラクトシダーゼレポーター遺伝子と融合されたプラスミド中にクローニングする。プロモーター「アップ」変異が、RTDSによって、HMGRおよびスクアレンシンターゼゲノム配列中に再導入される一方、「ダウン」プロモーター変異が、ゲノムACCaseおよびスクアレンエポキシダーゼ配列中で行われる。異種遺伝子発現において使用するために、R.glutinisおよびC.curvatus中の必須遺伝子(例えば、GAPDH、アクチン)から、プロモーターをクローニングする。PCRクローニングのためのプライマーは、S.cerevisiae中のこれらの遺伝子に対する相同性から設計される。
【0088】
実施例4 スクアレン生成増加のための標的遺伝子の操作
ACCase。ACCase遺伝子の複製数は、R.glutinisおよびC.curvatus、ならびに他の酵母において判定される。RTDSを利用して、停止コドンを任意余剰複製中の翻訳開始部位直後に導入することによって、ACCase発現を減少させる。ACCase mRNAレベルとACCase酵素特異的活性との間の相関が、Saccharomyces cerevisiaeにおいて実証された。
【0089】
スクアレンエポキシダーゼ。同様に、S cerevisiaeにおけるスクアレン蓄積の増加は、2倍体中のスクアレンエポキシダーゼの複製のうちの1つの分裂によって達成された(Kamimura,N.,Hidaka,M.,Masaki,H.,and
Uozumi,T.(1994)Appl.Microb.Biotech.42:353-357)。R.glutinisおよびC.curvatus、ならびに他の酵母
中のスクアレンエポキシダーゼの複製数が判定され、RIDSを使用して、第1の複製を越えて、余剰複製中の翻訳開始部位直後に停止コドンを生成または挿入する。
【0090】
HMGR。Saccharomyces cerevisiae and哺乳類HMGR酵素は両方とも、真核細胞において、急速な細胞内代謝回転を受ける多くの短寿命蛋白質中に存在する、そのリンカー領域中にアミノ酸配列を含有する(Rogers.S.,Wells,R.,and Rechsteiner,M.(1986)Science
234:364 368,and Chun,K.T.,and Simom,R.D.(1991)J.Biol.Chem.267(6)4236-4246参照)。類似
配列(存在する場合)を、R.glutinisおよびC.curvatus中のHMGR遺伝子において同定し、RTDSを使用して排除し、HMGR蛋白質の代謝回転を減少させる。そのような類似配列は、S.cerevisiaeスクアレンシンターゼ遺伝子中に認められており、また、そのような配列がR.glutinisおよびC.curv
atus中のスクアレンシンターゼ遺伝子に存在するかどうかも判定される。また、配列が、R.glutinisおよびC.curvatusスクアレンシンターゼ中に存在する場合、RTDSを使用して、蛋白質の代謝回転を減少させる。
【0091】
S.cerevisiae中のHMGRは、2つの高度に保存されたドメインを含み、そのN-末端552アミノ酸は、膜結合性に関与する。C-末端触媒部分のみ含有する短縮HMG1蛋白質の過剰発現は、S.cerevisiaeにおいて、40倍のHMG-C
oA活性をもたらした、スクアレンの蓄積を乾物の5.5%まで増加させた(Polakowski,T.,Stahl,U.,and Lang,C.(1998)Appl.Microbiol.Biotech.49:66-71)。R.glutinisおよ
びC.curvatus HMGR蛋白質が類似構造を有しているかどうか判定され、そうである場合、RTDSが使用され、可溶性触媒ドメインのみ発現させる。
【0092】
HMGRの蛋白質構造およびDNA配列は、膜結合性N-末端ドメインおよび触媒C-末端ドメインを伴う、菌類から哺乳類の真核細胞間において高度に保存される。2つのドメイン間の境界は、Yarrowia lipolytica HMG1遺伝子(Genelouvres Yarrowia lipolytica YALI0E04807g)中のアミノ酸500-600の領域にマップ可能であって、そこで、疎水性プロットは
、疎水性から親水性へと遷移する。残基548および544は、Yarrowia lipolytica HMG1の疎水性プロット、ならびに短縮Saccharomyces cerevisiae(Donald,K.A.G.,et al,1997.Appl.Environ.Micro.63(9):3341-3344)とCandid
a utilis(Shimada,H.et al,1998.Appl.Environ.Micro.64(7):2676-2680)蛋白質のN-末端に対するその相同性の評価から選択される。故に、一実施例では、Yarrowia lipolytica HMG1 IのC-末端ドメインのアミノ酸548-1000が発現し、第2の実施例では、Yarrowia lipolytica HMG1 IのC-末端ドメインのア
ミノ酸544-1000が発現する。関連実施例では、Yarrowia lipoly
tica HMG1 IのC-末端ドメインのアミノ酸543-1000が発現する、またはYarrowia lipolytica HMG1 IのC-末端ドメインのアミノ
酸545-1000が発現する、またはYarrowia lipolytica HM
G1 IのC-末端ドメインのアミノ酸546-1000が発現する、またはYarrowia lipolytica HMG1 IのC-末端ドメインのアミノ酸547-1000が発現する、またはYarrowia lipolytica HMG1 IのC-末
端ドメインのアミノ酸549-1000が発現する。
【0093】
シリアンハムスターでは、HMGR触媒ドメインの活性は、AMP-依存性キナーゼ(
Omkumar,R.V.,Darnay、B.G.,and Rodwell,V.W.(1994)J.Biol.Chem.269:6810-6814)によるリン酸化
されることによって、減少調節され、類似調節様式は、S.cerevisiaeに関して説明されている。R.glutinis、C.curvatus、および他の酵母中のHMGR蛋白質が、同様に調節されるかどうかを判定し、そうである場合、RTDSを用いて、リン酸化反応部位を排除する。
【0094】
スクアレンシンターゼ。哺乳類系中のスクアレンシンターゼを、SREBP(ステロール調節要素結合蛋白質)(Szkopinsda,A.,Swiezewska,E.,and Karst,F(2000)Biochem.Biophys.Res.Comm.267:473-477)によって、HMG-CoAシンターゼおよびファルネシル二リン酸シンターゼとともに、転写レベルに基づいて、協調的に調節される。SREBPは、3つの形態で存在、その1つは、スクアレンシンターゼプロモーターを結合する。その
ような転写因子および/または結合部位が、R.glutinis、C.curvatus、および他の酵母中のスクアレンシンターゼプロモーターに存在するかどうか判定し、存在する場合、RTDSを使用して、スクアレンシンターゼの転写を向上させる、そのような転写因子および/または結合部位を変化させる。
【0095】
実施例5 Cryptococcus curvatusの成長条件
Cryptococcus curvatusの成長を評価して、最良の炭素源を判定し、培地中のその細胞質量を最大限にした。酵母抽出物系の肥沃な培地では(10g/L酵母抽出物、20g/Lペプトン)、C.curvatusは、2-20%w/vグルコ
ース中で良好に成長し、4日後、16%w/vグルコース以上において、最大レベルの55g/L乾燥菌体重量(CDW)を達成した。同様に、C、curvatusは、3-1
2%w/vグリセロールの同一培地中でも成長し、5日後、12%w/vグリセロール中40g/LのCDWを達成した。また、C.curvatusは、バイオディーゼルグリセロール(Imperial Western Products,Coachella,CA)中でも、最大3.5%w/vまで成長し、23g/L CDWをもたらした。
【0096】
実施例6 増加スクアレン生成増加のための標的遺伝子の環境操作
環境操作を試験し、スクアレンの正味収率を増加させる。これらは、include(a)オレイン酸、オリーブまたは他の植物油、イノシトール、コリン、ソラフェン、フルアジホップ、およびクレトジム、または他のACCase抑制除草剤による、ACCase発現および/または活性の抑制、(b)テルビナフィン、トルナフテート、およびエルゴステロール、または他のスクアレンエポキシダーゼ抑制殺菌剤による、スクアレンエポキシダーゼ発現および/または活性の抑制、(c)グリセロール系培地中のC/N比の操作(開始培地中において、または添加剤によって)、(d)培地中の窒素源の変更(有機対無機対単体/複合体)、(e)炭素添加形態の変更(例えば、バッチ対流加)、(f)炭素源以外の栄養素枯渇作用の検証、(g)糖、糖アルコール、アルコール、多価アルコール、および有機酸の混合物を含めるための炭素源の変更、(h)ロバスタチンまたは他のスタチン型抑制剤等のHMGR抑制化合物による成長の選択、および(i)親油性色素あるいは染料を使用する、および/または、例えば、重量測定あるいはガスクロマトグラフィ法を使用する抽出可能脂質の分析による、培地中の高油生成の選択を含む。
【0097】
実施例として、Yarrowia lipolytica ATCC 90904を、120時間、30℃および300rpmにおいて、0乃至50μg/mlのテルビナフィンが添加された高炭素/窒素比培地(C/N=420,Li,Y-H.,Liu,B.,
Zhao,Z-B.,and Bai,F-W.2006“Optimized Culture Medium and Fermentation Conditions for Lipid Production by Rhodosporidium toruloides”Chinese Journal of Biotechnology 22(4):650-656)(以降、「CYM001培地」)中で培養した。12
.5μg/ml以上の濃度のテルビナフィンは、スクアレンとして、最大18.5%の総脂質をもたらした。
【0098】
別の実施例では、Yarrowia lipolytica ATCC 90904を、120時間、30℃および300rpmにおいて、0乃至50μg/mlのオレイン酸が添加されたCYM001培地を培養した。10μl/mlのオレイン酸の添加は、脂質蓄積を63.3%の脂質/CDW(乾燥菌体重量)へと向上させることが認められた。
【0099】
さらなる実施例では、Yarrowia lipolytica ATCC 90904を、120時間、30℃および300rpmにおいて、0乃至200μMのクレトジムが添加されたCYM001培地中で培養した。200μMのクレトジムの添加は、60-
mlフラスコあたり60倍のスクアレンの収率(mg)増加をもたらした。
【0100】
酸素増加は、S.cerevisiae中のHMG1およびHMG2の分別調整を生じさせ、好気条件下において、HMG2の急速分解およびHMG1の発現増加をもたらすことが認められた(Casey,W.M.,Keesler,G.A.,Parks,L.W.(1992)J.Bact.174:7283-7288)。我々の油性酵母中のH
MGR遺伝子の数が、酸素によって影響を受けるかどうか判定し、そうである場合、その発現および活性は、酸素レベルを変更することによって、発酵槽中で操作される。
【0101】
「CYM001培地」(Li,Y-H.,Liu,B.,Zhao,Z-B.,and Bai,F-W.(2006)Chinese Journal of Biotech
nology 22(4):650-656)から開始し、種々の成分および成分濃度を
変更し(新しい成分の添加を含む)、細胞増殖、細胞の%総脂質含量/単位質量、および%スクアレン/総脂質を向上させる。評価される培地成分として、炭素源:グリセロール、グルコース、窒素源:アンモニウム化合物、硝酸、アミノ酸、無機塩:カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、カルシウム、銅、酵母抽出物、脂質前駆体、および脂質合成影響因子:テルビナフィン、クレトジム、おレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、および消泡剤を含む。評価される他の因子として、%接種材料、発酵経過時間、温度、pH、背圧、溶存酸素(DO)、供給組成、供給方式、および撹拌方式を含む。
【0102】
実施例7 菌株選択
従来の菌株選択方法を、油性酵母中で使用し、その正味スクアレン生産性を向上させる。UV、ニトロソグアニジン、またはエタンメチルスルホン酸によって変異を生じさせた菌株を、スクアレン蓄積増加のために、スクリーニングおよび/または選択する。また、菌株を、3%グリセロールを含有するYEP(15g/L酵母抽出物、5g/Lペプトン)培地またはロバスタチンおよび他の周知のHMGR抑制剤を含有する培地上の反復通過等、繰り返し選択圧に曝す。また、菌株を、可変量のグリセロールおよび/またはグルコースを含有するCYM001培地、あるいはロバスタチンおよび他の周知のHMGR抑制剤および/またはスクアレンシンターゼ抑制剤を含有する培地上の反復通過に曝し、HMGRおよび/またはスクアレンシンターゼ活性の増加によって、自然発生変異株を得る。そのような変異は、HMGR、スクアレンシンターゼ、または他の遺伝子においてであってもよい(「二次的部位変異」)。
【0103】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0104】
本明細書で例証的に説明される本発明は、本明細書に具体的には開示されない、任意の要素または複数の要素、制限または複数の制限の不在下でも好適に実施することができる。したがって、例えば、用語「成る」、「含む」、「含有する」等は、広義的かつ制限なく、解釈されるものとする。加えて、本明細書で用いられる用語および表現は、制限としてではなく、説明の観点から使用され、図示および説明される特徴またはそれらの一部の任意の同等物を排除するように、そのような用語および表現の使用を意図するものではなく、種々の修正が、請求される発明の範囲内で可能であることを認識されたい。
【0105】
したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴によって、具体的に開示されるが、本明細書に開示される、具現化された本発明の、修正、改良、および変形は、当業者によって企図され得、そのような修正、改良、および変形は、本発明の範囲内であるとみなされることを理解されたい。本明細書に提供される、材料、方法、および実施例は
、好ましい実施形態の代表かつ例示であって、発明の範囲の制限として意図されるものではない。
【0106】
本発明は、本明細書において、広義かつ包括的に説明されてきた。包括的開示内に属するより狭義の種および亜属群もそれぞれ、本発明の一部を形成する。これは、除去される材料が、本明細書において、具体的に明記されるかどうかにかかわらず、属から任意の対象物質を除去するという、条件付きまたは否定的制限を伴う、本発明の包括的説明を含む。
【0107】
加えて、本発明の特徴または側面が、マーカッシュ群の観点から説明される場合、当業者は、本発明が、また、それによって、マーカッシュ群の任意の個々の部材または部材の亜群の観点からも説明されることを認識するであろう。
【0108】
本明細書に記載される刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべて、参照することによって、それぞれ個々に援用される場合と同様に、参照することによって、全体として明示的に援用される。矛盾が生じる場合、定義を含め、本明細書を優先するものとする。