(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した陶器製の照明装置は、複数の貫通孔から放射された透光を周辺の壁面に大きく投影するものでなく、仮に投影した場合であっても、壁面に単純な光の模様が映し出されるのみで、未だ十分な趣向が凝らされているとは言い難いものであった。
【0005】
すなわち、透光により投影された光の造形が単純であるため、観賞して楽しむことができるものではなかった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みたものであって、単に貫通孔からの放射光のみならず、ランプシェードそのものからのわずかな放射透光と、ランプシェードの周壁に埋設したガラス粒子の透光や反射光とにより側方に配した投影面体に微妙な投影光を投影すると共に、ランプシェード自体からの光の放射形態をも楽しめて単なる無機質な感触に有機質的な光のオブジェを周辺に形成できるようにすることにより、鑑賞者にさらなる美感を生起させることのできる照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、一定形状とした中空状のランプシェードと、ランプシェード内に設置する発光体と、前記発光体を立設する基台を備える照明装置において、前記ランプシェードは陶磁器とした中空器体にて形成すると共に、周壁面外面には多数の投光孔を、また、その近接する周辺位置には凹部を形成し、ランプシェードの外表面には、多角形状の透明な
ガラス粒子やダイヤモンド粒子を配設すると共に、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子は、平面視略8角形のテーブルと2等辺三角形のスターファセットと上部メインファセットとからなるクラウン部と、2等辺三角形の山型の下部ガードルファセットと下部メインファセットとからなるパビリオン部と、クラウン部とパビリオン部との境部分であるガードル部より構成し、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子はランプシェードの投光孔を貫通して、ランプシェードの内壁面より山型のパビリオン部を内側に突出して埋設し、発光体としての光源からの光がランプシェードの内壁面より内側に突出した
ガラス粒子やダイヤモンド粒子のパビリオン部の各カット面から入射して、その内部を乱反射した光は
ガラス粒子やダイヤモンド粒子の前面側のクラウン部の各カット面から放射するように構成し、しかも、一部の
ガラス粒子やダイヤモンド粒子はランプシェードの投光孔に近接する周辺位置に形成した凹部中に同
ガラス粒子やダイヤモンド粒子の下半分の山形形状のパビリオン部を埋没して配設し、発光体からの光は投光孔から透過して前記の周辺に近接して配設した
ガラス粒子やダイヤモンド粒子のクラウン部のカット面より入射して乱反射したのち、テーブルから放射され、弱い輝きを放つように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子及び/又はランプシェードには色彩を施したことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子は投光孔の周辺のランプシェード表面に貼着したことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ランプシェード表面に形成した
ガラス粒子やダイヤモンド粒子埋設のための凹部は内底面がランプシェードの内部空間と連通しているか又は、透光性薄膜としたことを特徴とする。
【0014】
請求項
5に記載の発明は、中空器体は発光体の発光時に半透光性となる陶磁器としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、一定形状とした中空状のランプシェードと、ランプシェード内に設置する発光体と、前記発光体を立設する基台を備える照明装置において、前記ランプシェードは陶磁器とした中空器体にて形成すると共に、周壁面外面には多数の投光孔を、また、その近接する周辺位置には凹部を形成し、ランプシェードの外表面には、多角形状の透明な
ガラス粒子やダイヤモンド粒子を配設すると共に、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子は、平面視略8角形のテーブルと2等辺三角形のスターファセットと上部メインファセットとからなるクラウン部と、2等辺三角形の山型の下部ガードルファセットと下部メインファセットとからなるパビリオン部と、クラウン部とパビリオン部との境部分であるガードル部より構成し、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子はランプシェードの投光孔を貫通して、ランプシェードの内壁面より山型のパビリオン部を内側に突出して埋設し、発光体としての光源からの光がランプシェードの内壁面より内側に突出した
ガラス粒子やダイヤモンド粒子のパビリオン部の各カット面から入射して、その内部を乱反射した光は
ガラス粒子やダイヤモンド粒子の前面側のクラウン部の各カット面から放射するように構成し、しかも、一部の
ガラス粒子やダイヤモンド粒子はランプシェードの投光孔に近接する周辺位置に形成した凹部中に同
ガラス粒子やダイヤモンド粒子の下半分の山形形状のパビリオン部を埋没して配設し、発光体からの光は投光孔から透過して前記の周辺に近接して配設した
ガラス粒子やダイヤモンド粒子のクラウン部のカット面より入射して乱反射したのち、テーブルから放射され、弱い輝きを放つように構成したので、ランプシェードを用いて側方の投影面体に多数の投光孔を形成したことによりランプシェード本体からの漏光と共に投光孔から所定の投影光が側方の投影面体に投影されることに加えて、外表面を多面体にカットした
ガラス粒子やダイヤモンド粒子からも内部からの光が透光して乱反射により拡散した乱光が投影面体に投影され複雑に投影光が重なった光のオブジェを形成し、看者に光の錯覚の楽しさを倍増することができる。
投光孔からは、発光体の発光形態に類した投影光を放射すると共に、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子からは多数のカット面から投影光の縮尺した形態になった多数の発光映像を放射し、ランプシェードの側方に配した投影面体に種々の大きさの投影光を投影することができる。
従来、投光孔の大きさでしか投影光の映像の大きさを調節できなかったものを本発明の
ガラス粒子やダイヤモンド粒子を用いることにより
ガラス粒子やダイヤモンド粒子表面のカット面の数だけ、しかも
ガラス粒子やダイヤモンド粒子表面のカット面の大きさに対応した映像として微小な縮尺された投影光を形成することができる。
特に、中空器体の内部に連通するように穿設した投光孔に埋設した
ガラス粒子やダイヤモンド粒子のカット面に対応して、発光体の発光形態に類似した投影光を微小な縮尺形態で側方に配した投影面体に投影することができる。
他方、ランプシェードの中空器体の壁面全体から漏光する淡い光と、投光孔からの模様的な光と、中空器体の
ガラス粒子やダイヤモンド粒子から乱光拡散される光、特に
ガラス粒子やダイヤモンド粒子のカットの仕方やカット数によって乱反射光がダイヤモンド風の輝きとなって発散し、ランプシェードの全体的な光のオブジェに
ガラス粒子やダイヤモンド粒子からの乱光が重なり、無機質的なランプシェードの光造形に加えて有機質的な光のオブジェを形成することになる。従って、ランプシェードにより側方の投影面体に投影する投影光もさることながらランプシェードの周壁からの光を複雑に発散する発光装飾品としも観賞することが出来る効果がある。このように、中空器体全体から浸潤する淡い光線と、周壁面の投光孔からの直接的な光の投影と、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子からの輝度を増幅した乱光等により幾多の光の重なりオブジェが形成されて、従来にないランプシェードの装飾的透光機能を増大することができ、光観賞の楽しさを格段に向上することができる効果がある。
【0016】
また、特に透明な
ガラス粒
子を用いることにより光の拡散機能が一段と向上し、特に粒子のカットが複雑な分乱光機能が向上して一段と乱光輝度を目立つように拡大することができる。特に
ガラス粒子は、身の回りの携帯用品の表面に付着させて光反射による装飾機能を向上するものとして使用されていたが、本発明ではそもそもランプシェードとして光の造形を創造する機能のものに、更に
ガラス粒子独自の光高反射性機能を付加されることにより、従来のランプシェードの光造形に加えて
ガラス粒子からの乱反射光がその配設位置や配設形態によって意外な光造形を作るということを発見した。この
ガラス粒子独自の乱反射光により、従来のランプシェードにはない光造形芸術を創造することが可能となった。
さらに、ガラス粒子を凹部に埋設するために、凹部の内底面からの淡い光を拡散することができることになり、より複雑な、かつ所定以上の輝度を保有したガラス粒子からの光を形成することができる効果がある。
また、ガラス粒子を条溝にも埋設するために、光源からの光が凹部の内底面から漏れ出し、この淡い光に加えて条溝からの光もガラス粒子内に入射し、これら入射した光をガラス粒子表面から拡散することができることになり、より複雑な、かつ所定以上の輝度を保有したガラス粒子からの光を形成することができる効果がある。
【0017】
請求項2の発明によれば、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子に色彩を施すことにより光に着色して更なる光のオブジェのバリエーションを形成することができる効果がある。また、ランプシェードに色彩を施すことにより
ガラス粒子やダイヤモンド粒子が放つ光がランプシェードの色彩と組み合されてランプシェードの表面を美しく効果的に浮かび上がらせることができる。さらに、ランプシェードと
ガラス粒子やダイヤモンド粒子の両方に色彩を施すことにより
ガラス粒子やダイヤモンド粒子が放つ色彩光がランプシェードの色彩と相俟って色彩光のグラデーションをランプシェード表面やランプシェード周囲の投影面体に形成することができる効果がある。
【0020】
請求項3の発明によれば、
ガラス粒子やダイヤモンド粒子は投光孔の周辺のランプシェード表面に貼着したので、光源からの光が凹部の内底面から漏れ出し、この淡い光が
ガラス粒子やダイヤモンド粒子内に入射し、この入射した光が
ガラス粒子やダイヤモンド粒子表面から拡散することができることになり、より複雑な、かつ所定以上の輝度を保有したガラス粒子からの光を形成することができる効果がある。
【0021】
請求項4の発明によれば、ランプシェード周壁の凹部内底面がランプシェード内部空間と連通しているため、直接的に内部光源からの光を乱反射してより輝度の高い光を
ガラス粒子やダイヤモンド粒子から拡散できる効果を有する。
【0022】
請求項5の発明によれば、中空器体は凹部内底面が透光性薄膜、すなわち陶磁器素材の薄膜形成状態としている場合には、上記の直接的光ではなく透光性薄膜を介して
ガラス粒子やダイヤモンド粒子から光の拡散を行うため、乱反射の光が淡くなるもののランプシェード周壁からの漏光よりは強い輝度を有した光が淡い光の中でアクセント的な機能を果たして光の変化を楽しむことができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施例を図面に基づき詳説する。
ランプシェードの形状は内部が中空であれば特に限定されるものではなく、例えば、笠形状、半球形状(ドーム形状)、砲弾形状(ロケット形状)、球形状、多角錐形状等、使用者の用途に合わせて適宜選択することができる。
【0025】
また、ランプシェードを形成する素材については、光源から発せられる熱に耐性を有すると共に淡い光を漏光する素材、例えば釉薬を施さない陶磁器、プラスチック製、金属製、植物性素材(竹製や木製)、や鉱物性素材、ガラス、粘土等であってもよい。
【0026】
ランプシェードの素材がプラスチック製或いは金属製の場合には、金型に融解したプラスチック或いは金属を流し込むことで、短時間で成形することができ、量産も行いやすい効果がある。
【0027】
次に、ランプシェードの素材が植物性素材(竹製や木製)或いは鉱物性素材の場合には、植物性素材、例えば、木製の部材を切削するため時間がかかるものの、木目を生かしたランプシェードを形成することができる。また、鉱物性素材、例えば、石材の部材を切削し形成することで、石材の材質を生かしたランプシェードを形成することができる。
【0028】
以下の説明では、釉薬を施さない陶磁器でランプシェードを形成した場合を例に挙げており、その製造工程は一般的な陶磁器の製法と同様であって、粘土を所定の中空器体に形成し、さらに複数の投光孔や星型の孔、三日月型の孔を形成して、乾燥して、その後、複数回の焼き工程を経て、陶磁器製のランプシェードが完成することとなる。
【0029】
発光体は、光を放射する光源であればあらゆるものを使用することができ、例えば、白熱球、蛍光灯、LED(発光ダイオード)、有機EL、無機EL等とすることができる。
【0030】
ランプシェードの周壁面には、光源からの光を透過させるための投光孔を穿設している。この投光孔は、円孔、細長孔、星型状孔、三日月型状孔、花弁状孔としているため、側方の投影面体に各孔に応じた投影光を投影することができる。
【0031】
しかも、これらの投光孔を多数穿設しているため、側方の投影面体に投影された投影光群は、あたかも天の川や銀河を思わせるような美しい映像を投影することができるのである。
【0032】
特に、ランプシェードの周壁面に頂部から下方へ曲線を描くように投光孔群を形成することにより、側方の投影面体、例えば壁面に投影された投影光群を絵画的な天の川形態とすることができる。但し、この投光孔群を形成する場合において、ランプシェード表面における投光孔同士の間隔は、2〜8mmの範囲内で形成するのが望ましい。2mmを下回ると、壁面に投影された投影光同士が過度に重複して単一の投光孔から放射された投影光が見えづらくなり、また、8mmを上回ると単一の投光孔から放射された投影光が独立しすぎて、絵画のような天の川状の投影を行うことができなくなるおそれがある。
【0033】
また、これらの投光孔の内周面は、ランプシェードの外方に下向きの下り勾配を設けて形成しても良い。すなわち、照明装置を配設した床面に軸線を向けた投光孔を設けることで、床面に投影光を投影することができる。
【0034】
投光孔の内周面は、ランプシェードの外方に向かって拡開状のテーパーに形成しても良い。このような構成とすることにより、投光孔の絞りを開いた状態とすることができ、投影光の周縁部が淡くなるいわゆる「にじみ」の効果を生起させることができる。
【0035】
一方で、投光孔の内周面は、前記ランプシェードの内方に向かって拡開状のテーパーに形成しても良い。このような構成とすることにより、投光孔の絞りを絞った状態とすることができ、投光孔の周縁部をシャープにして、投影光をくっきりと見せることができる。
【0036】
なお、これらの投光孔の内壁面には、光源からの光を反射する反射材としてガラス粒子を設けるようにしても良い。すなわち、光源から発せられる光の放射方向と、投光孔の軸線方向とが異なる場合であっても、投光孔の内壁面に反射材を配設することにより、投光孔を通過する光を効率的にランプシェードの外方へ導くことができる。また、投光孔内で光を乱反射させて、投影される投影光をより複雑な形状とし、さらに美しい投影光とすることができる。
かかる技術の発展的なものとして本発明ではガラス粒子をランプシェードの投光孔内部に埋設する技術を援用した。
【0037】
このガラス粒子
やダイヤモンド粒子は、光源からの光を反射できる素材であれば特に限定されるものではなく
、また、これらに着色を施して、投影光に色彩を表現するようにしても良い。
【0038】
本発明に係る照明装置では、ランプシェードは、形成する素材を釉薬を施さない陶磁器とし、前述のような工程で製造されて発光体からの照射光が前記ランプシェードの表面へ漏光すべく構成するようにしている。
陶磁器は、焼成後に白色となる粘土でかつ、周壁の厚みを約3mm程度に形成しており、さらに、周壁面に深さ約0.5mm程度の条溝が約1mm程度の間隔で形成されている。
【0039】
このような構成とすることにより、ランプシェード自体もほのかに明るくすることができ、鑑賞者に対し、投影光のみならず、ランプシェードの意匠自体も楽しませることができるのである。
【0040】
具体的な構成としては、例えば、ランプシェードの周壁面に一定間隔で条溝を形成する方法が挙げられる。投光孔からの光を周壁面の条溝で反射させながらランプシェードの外面を沿わせることにより、ランプシェードを明るくすることができる。
【0041】
また、投光孔は、ランプシェードの略円形状の周壁面に穿設した細長孔と、前記細長孔の両側に穿設した多数の外方に上向きの上り勾配の円孔とより構成するようにしても良い。
【0042】
このような構成とすることにより、細長孔より透射した透光は、壁面に上下方向に細長く投影することができ、しかも、ピンホール効果により円孔から透射した透光は、フィラメントの形状を投影像として投影することで同複数のフィラメント形状の投影像の集合体よりなる像は、絵画や影絵のような孔雀が羽根を開いたような造形となり壁面や天井面に投影することが可能となる。
【0043】
以下、本実施形態に係る照明装置について図面を用いて説明する。
【0044】
図1は照明装置の正面図、
図2は
図1のA−A線断面図、
図3は照明装置を示す底面図、
図4は照明装置の要部を示す断面図、
図5は、単体の投光孔よりの投影を説明する構成図、
図6は、2つの投光孔よりの投影を説明する構成図、
図7は投光孔の断面図、
図8(a)は照明装置の要部を示す平面図、
図8(b)は
図8(a)のB−B線断面図である。
【0045】
照明装置1は、
図1及び
図2に示すように、ランプシェード2とランプシェード2を載置し発光体3を立設する基台4とより構成している。
【0046】
ランプシェード2は、中空略球状に形成し、球形状の頂部10には大径の孔20を設け、球形状の周壁面11には略星形状孔23、略三日月形状孔24、投光孔22を多数穿設し、さらに同周壁面11に条溝30を等間隔に形成している。この球状の周壁面11には、上方から中途部に向かって斜めに多数の投光孔22を密集して穿設し、上方から下方に向かって一定間隔を設けて複数の星形状孔23や複数の略三日月形状孔24を散りばめながら穿設して設けている。
【0047】
そして、このランプシェード2は、
図2及び
図3に示すように、前述した製造工程により製造された釉薬のない陶磁器とし、底部12に切欠部27と、基台4に立設した発光体3を挿入可能な底部開口28と、脚部となる下面先端が平坦な突起13とを形成しており、基台4上に立設したランプ3に上方よりランプシェード2を被せることにより、同ランプシェード2の底部開口28内にランプ3が挿入され、切欠部27からランプ配線5が引き出されて、さらに上面平坦な突起13が基台4上面14に当接されることで、ランプシェード2が基台4上に載置されることとなる。
【0048】
基台4は、一定厚みの正方形状に形成され、同基台4の上面14は鏡面加工が施された大理石で構成されている。
【0049】
このような照明装置では、ランプ3を点灯すると、
図4に示すように、同ランプ3より放射状に光を放射しており、この放射状に放射された光Lは、ランプシェード2に穿設した投光孔22、各種形状の星形状孔23、三日月形状孔24を透過することで、
図1に示すように、周壁面11上の大小複数の円孔による天の川状の成形部29と周壁面11上に一定間隔で離間して散りばめられた複数の星形状孔23及び複数の三日月形状孔24による周壁面11上に点灯する装飾を直視し観賞可能とする効果があり、さらに、各投光孔22を透過した透光は、周囲の投影面体の例えば床面F、壁面W、天井面Rに大小複数の円孔からなる天の川状の成形部29による絵画のような投影像を投影し、一定間隔で離間して散りばめられた複数の星形状孔23及び複数の三日月形状孔24による絵画のような投影像を投影することが可能である。すなわち、鑑賞者にとっては、周壁面11上の複数の投光孔22、星形状孔23、三日月形状孔24を直視したときの明暗と、投光孔22、星形状孔23、三日月形状孔24より周囲の壁面W等に大小複雑な投影像と同投影像の明暗により幻想的な印象を醸し出す効果がある。
【0050】
また、周壁面11に穿設した投光孔22は、
図5に示すように、ランプシェード2の外方に下向きの下り勾配となるように形成した内周面(
図7(a)参照)を有しており、内周面を備えた投光孔22から透過した透光は、床面F等上において投影像15を投影することができる。すなわち、内周面21’の断面視における下辺34と床面Fは、角度θ1をなし、また、内周面の断面視における上辺35と床面Fは、角度θ2をなしており、角度θ1と角度θ2は、それぞれ鋭角をなしている。
【0051】
かかる角を鋭角とすることにより、内周面21’の断面視下辺34における延長線上の床面Fに投影される透光L2は高輝度となり、また、内周面21’の断面視上辺35における延長線上の床面Fに投影される透光L3は低輝度となることで、ランプシェード2の載置した位置より離れるに連れて投影像15が拡がり最後にはフェード化する効果がある。すなわち、鑑賞者にとっては、フェード化した投影像によりさらに幻想的な印象を醸し出す効果がある。
【0052】
さらに、周壁面11に穿設した投光孔22は、
図6に示すように、同周壁面11の上下方向の位置において、一定間隔を設けて形成しており、周壁面11の下方の投光孔22と周壁面11の上方の投光孔22から透過する各透光L4,L5が床面上において2つの投影像15,15を前後方向で重なり合うように2つの投光孔22を周壁面11に穿設している。
【0053】
従って、周壁面11に大小複数穿設した投光孔22より透過する透光は、床面上においてランプシェードの載置位置を基準に前後方向に重なり合いながら装飾性の高い投影像を投影することが可能となる効果がある。
【0054】
上述した投光孔22の内周面21’を外方に向かって下向きの下り勾配に形成する以外に、
図7(b)に示すように、投光孔22の内周面21’は、下方方向に穿設した外方に向かって拡開状のテーパーに形成してもよい。かかる構成とすることで、ランプ3を点灯した場合、照明装置1の載置位置より下方方向にある周辺の壁面Wや床面Fに円孔形状の投光孔22より透光した光Lが壁面Wに各種形状の投影像15、すなわちフィラメントの投影像51が反転して大きく投影することが可能となる効果がある。
【0055】
図7(c)に示すように、投光孔22の内周面21’は、ランプシェード2の内方に向かって拡開状のテーパーに形成してもよい。かかる構成とすることで、ランプ3を点灯した場合、照明装置1の載置位置より水平方向にある周辺の壁面Wや床面Fに投光孔22より透光した光Lが絞られ短い距離で各種形状の投影像15として小さく投影することが可能となる効果がある。
【0056】
ランプシェードの周壁面の曲面位置に応じて
図7中の投光孔22の内周面の構成を組み合わせることでさまざまな形、透光による陰影の投影像を投影することが可能となる。
【0057】
また、略星形状孔23や略三日月形状孔24を透射した光Lは、略星形状孔23や略三日月形状孔24の像を模様として壁面Wなどに投影させ、さらに、投光孔22より透射した光Lは、ピンホール効果により天井面R、壁面Wや床面Fにランプ3のフィラメント6の形状の像を反転した模様の投影像として投影させることが可能となる。
【0058】
さらに、照明装置におけるランプシェードの周壁面11には、周方向に等間隔の条溝30を形成している。周壁面11に形成したV字形状の条溝30は、
図8(b)に示すように、ランプシェード2の曲率が大きくなるにつれ、条溝30の頂角31の角度αも漸次大きくなるにように形成される。
【0059】
一方、
図8(a)に示すように、投光孔21を透過した光Lのうち、V字形状の条溝30に沿って進行する回折光L1は、V字形状の条溝30を形成する両斜面32,32に反射されながらジグザク状に進行することとなる。
【0060】
他方、投光孔21より透過した光Lが壁面Wや床面Fに照射された後、反射した光L2は、再度、ランプシェード2の周壁面11に到達し、周壁面11を照らし出すこととなる。このとき周壁面11に形成した下方のV字形状の条溝30は、ランプシェードの曲率が大きいほど頂角31を漸次大きくなるように形成されており、この条溝30を構成する各斜面32,32の面積も下方ほど広くなるため、反射光L2を広い受光面積で受光可能とする構成としている。
【0061】
照明装置1の発光体を点灯すると、暗室内において、略球状の周壁面11に穿設した投光孔22や略星形状孔23などから光Lが透射されて、同照明装置の周辺にある壁体W及び同照明装置の載置床面Fに、略星形状の投影像や、V字形状の投影像などの複雑な形状の模様として大きく投影される。さらに、透過した光Lうち漏光L1が、ランプシェード2の周壁面11のV字形状の条溝30に沿って反射しながら進行することにより、鑑賞者にとって逆光状態にかかわらずランプシェード2の周壁面11を観賞することが可能となり芸術性を向上する効果がある。
【0062】
かかるV字形状の条溝30により、逆光状態であっても各反射光L1,L2がランプシェード2の周壁面11を浮き立たせて観賞可能にならしめる。また、上述した基台4の上面14は、鏡面加工されており、投光孔21より透射した光Lが基台4上面14で反射されランプシェード2の周壁面11に形成されたV字形状の条溝30に照射されることにより、周壁面11を浮き立たせて観賞可能な構成としている。
【0063】
上述した照明装置1は、ランプシェード2の形状を中空略球形状としたが、以下に説明する他の照明装置41は、ランプシェード2の形状を先端尖鋭の中空円錐形状とする点が異なるものである。他の照明装置41の構成においては、照明装置1と同一符号を付して重複説明を省略する。
図9は他の照明装置を示す正面図である。
図10は他の照明装置の点灯状態示す斜視図である。
【0064】
暗室内でランプ3を点灯すると、
図10に示すように、周壁面11の後面の細長孔25から透射した光Lが周辺の壁面Wに上下方向、斜め方向に間延びした細長の光として投影され、また、細長孔25の両側に穿設した多数の投光孔22より透射した光Lが天井面Rや壁面Wや床面Fにフィラメントの形状によるV字状の投影像51をランプシェードから離間するにつれ重ね合うように徐々に大きく投影することができる。フィラメントの形状の投影像51の集合体は、絵画のような孔雀が羽根を広げたような造形として観賞することが可能となる。しかも、投光孔21より透光L1は、周壁面11のV字形状の条溝30に光L1が反射しながら進行し、さらに、天井面R、壁体Wや床面Fで乱反射した光L2はV字形状の条溝30に到達することにより、ランプシェード2の先端尖鋭の中空円錐形状を浮き立たせて、逆光状態においても観賞可能となる。また、略細長孔25や桜の花びら形状孔26を透射した光Lは、略細長孔25の投影像50や桜の花びら形状孔26の投影像52を床面F、壁面W、天井面Rに投影することで、先のフィラメントの投影像51との相乗効果で絵画のような複雑な投影像を作り出して観賞することができる。
【0065】
なお、周壁面11に穿設する孔の形状としては、略星形状孔23、略三日月形状孔24、略細長孔25や桜の花びら形状孔26に限らず芸術性を醸し出す貫通孔の形状であれば、これらの形状に限定するものではない。
【0066】
また、投光孔22は、拡開状のテーパーとすることでピンホール効果によりフィラメント6の形状の虚像を投影できる反面、光量が少ないため虚像の造影が暗くなる。
【0067】
投光孔22の径が小さい場合には、ピンホール効果によりランプのフィラメント6の形状が投影面に投影される。例えば、フィラメント6の形状がひし形の場合には、略V字形状の模様が投影されるが、この孔の径を可変することで、虚像の大きさや明るさを調整することが可能となる。
【0068】
なお、基台には、大理石を用いたが、人工大理石、無機材、樹脂、金属、ガラス等を用いたものでもよく材質を限定するものではない。
【0069】
[ガラス粒子つきランプシェード]
上述したように本発明では、陶磁器の周壁に多数の投光孔22や細長孔25や花びら形状孔26やV字形状の条溝30等を形成し、陶磁器内部の発光体3からランプシェード2周辺に配した投影面体に発光体3の光源に類する光影像を投影するものである。
しかも、本発明では、かかるランプシェード2の投影像形成技術に加えて、ガラス粒子
やダイヤモンド粒子をランプシェード2の周壁に埋没或いは貼着したことに大きな特徴を有する。
【0070】
すなわち、ランプシェード2の中空器体の周壁面にかかるスワロフスキー粒子
(なお、ここで称する「スワロフスキー」とは、登録商標である。)のようなガラス粒子
やダイヤモンド粒子を埋没、貼着することにより、中空器体に配設した発光体3の光源形状、例えば、フィラメントの形状の光影像がガラス粒子を透光する際に縮尺した多数の影光像を近辺の投影面体に投影するということを発明者は発見した。
【0071】
発明者は、かかるガラス粒子
やダイヤモンド粒子の乱反射機能が単なる光反射機構だけではなく近辺に配した投影面体に投影した際に、発光体3の光源の形が多数の投光孔等からの投影像と同形でかつ小さな縮尺像として、しかも、ガラス粒子
やダイヤモンド粒子のカット面の数だけ多数投影されるということを発見した。
【0072】
従って、投影面体に投影される造形投影像は、投光孔等からの基本的な大きさの映像に加えて、その映像近辺にはそれと同形にもかかわらず縮尺された多数の光の映像が投影されることになる。
【0073】
かかる光映像は、従来のランプシェード2からの単純な投影像と比較し、複雑でバリエーションに富んだ芸術的な投影光を形成することができる。
以下、ガラス粒子を配した釉薬を施さない陶磁器製のランプシェードについて詳細に説明する。
【0074】
図11に示すように、上記のように構成した釉薬を施さない陶磁器製のランプシェードにおいて周壁11には多数の凹部7を形成して、その凹部7内にガラス粒子8を埋設している。一部の凹部7の底部は、ランプシェード2内部に貫通している。また、底面9には、外部方向から内部方向に漏斗形状に構成されている。
【0075】
ガラス粒子8
やダイヤモンド粒子は、多角形状に形成され、底部を備えており、底部の面8bから入射した光Lを前面8aの多角面から放射可能な透明材質としている。また、ガラス粒子8
やダイヤモンド粒子は透明なものや赤色、青色、黄色、緑色等の多数の色彩からなる。このような色彩を施したガラス粒子8
やダイヤモンド粒子を用いることにより光源の光に着色して更なる光のオブジェのバリエーションを形成することができる。
【0076】
ガラス粒子8は、
透明な透光性ビーズであってもよい。
透明な
ガラス粒子8
やダイヤモンド粒子を用いることにより、光源や外からの光の拡散が一段と向上して、ガラス粒子8
やダイヤモンド粒子のカットが複雑な分乱光機能が向上して乱光輝度を目立つように拡大することができる。
【0077】
図11及び
図12に示すように、
ガラス粒子8
やダイヤモンド粒子は、41面体の多角形状の構造を有しており、クラウン部、ガードル部、パビリオン部からなる。また、
ガラス粒子の材質は、ガラスに酸化鉛を24%以上含有し、透明度が高く、屈折率1.52以上である。
【0078】
クラウン部8cは、平面視略8角形のテーブル8fと2等辺三角形のスターファセット8gと上部メインファセット8hとからなり、スターファセット8gが8面形成され、上部メインファセット8hが8面形成される。
【0079】
ガードル部8dは、クラウン部8cとパビリオン部8eとの境部分である。
【0080】
パビリオン部8eは、2等辺三角形の下部ガードルファセット8iと下部メインファセット8jとからなり、下部ガードルファセット8iが8面形成され、下部メインファセット8jが16面形成される。
【0081】
ガラス粒子8のパビリオン部8eから光源の光が入射する場合について説明する。1つの光源の光が8個の各下部ガードルファセット8iと16個の各下部メインファセット8jにそれぞれ入射し、
ガラス粒子8内を反射して、クラウン部8cの8個の各スターファセット8gと8個の各上部メインファセット8hからそれぞれ放射され、
図14に示すように幅が細い縮尺形状のV字形状の大小の投影像61,62を交互に仮想円C上に並べつつ、周囲の投影面体に投影している。
【0082】
ランプシェード2の外表面には、天の川や花をイメージした多数の凹部7を形成しており、これら凹部7には多角形状のガラス粒子8の底部周縁が埋設している。この凹部7の内底面は、ランプシェード2の内部と貫通してもよいし、或いは、貫通せずに薄膜を設けたものでもよい。このような各種類の凹部7にガラス粒子を設けた形態について、より具体的に以下の
図15から
図17を用いながら説明する。
【0083】
図15に示すように、ガラス粒子8は、ランプシェード2の凹部7内、すなわち、ランプシェード2の周壁11の厚みの間に埋設している。凹部7の内周面21’はランプシェード2の内側から外側に向けて拡開状のテーパーに形成している。
【0084】
凹部7の内底部は、ランプシェード2内に貫通しており、光源の光は透明なガラス粒子8の底面からガラス粒子内に入射し、入射した光の一部は凹部内周面によって反射されて、これらの光がガラス粒子8の前面側の各カット面から各方向に乱放射されて、ランプシェード2の側方の投影面体、例えば、壁面Wや床面FにV字形状の投影像61,62を投影することができる。
【0085】
多角形状のガラス粒子8のカット面から放射して投影面体に結像するV字形状の投影像61,62は、投光孔22から直接放射して投影面体に結像するV字形状の投影像より線の幅が細い縮尺形状のものとなる。また、線の幅が細い投影像61,62は、ガラス粒子8の前面側の各カット面から放射されるため、側方の投影面体に複数の縮尺投影像を一度に多数投影することができる。すなわち、1つの投光孔22から投影する像は1つであったが、ガラス粒子8を透過してカット面から投影する像は、カット面の数だけ複数となり、しかも、投光孔22からの投影像の縮尺像となり、より幻想的な投影像を醸し出すことができる。
【0086】
図11に示すように、ガラス粒子8がランプシェード2の
投光孔22を貫通して、ランプシェード2の内壁面より内側に突出した態様としている。光源からの光がランプシェード2の内壁面より内側に突出したガラス粒子8のパビリオン部8eの各カット面から入射して、その内部を乱反射した光はガラス粒子8の前面側のクラウン部8cの各カット面から放射され、ダイヤモンドのような輝きを放つとともに、ランプシェード2の側方の投影面体、例えば、壁面Wや床面FにV字形状の投影像61,62を投影することができる。
【0087】
ガラス粒子
8を凹部7に貼着した場合には、
ガラス粒子8のパビリオン部8eがランプシェード2の内壁面より内側に突出した態様となる。光源からの光がパビリオン部8eの各下部メインファセット8jに入射したのちクラウン部8cの各スターファセット8gと各上部メインファセット8hから放射され、幅が細い縮尺形状のV字形状を仮想円C(
図14参照)上に並べつつ、周囲の投影面体に投影している。ランプシェード2が投影面体から大きく離間すると仮想円Cの径は大きくなり、幅が細い縮尺形状のV字形状の像が大きく投影されることとなる。幅が細い縮尺形状のV字形状の投影像のうち8個は、輝度も明るく鮮明に投影され、その他の像の8個は、
ガラス粒子8の分光機能によって、輝度も暗くかつ虹色に投影さ
れることとなる。
【0088】
図16に示すように、ランプシェード2の凹部7の底面は、貫通しておらず、約1mm程度の厚みの薄膜7aを形成している。凹部7の薄膜7aに浸透性の高い樹脂16を含浸させてガラス粒子8を接着している。この樹脂16が膜の微小孔に含浸して、硬化する際に膜に微細なクラック17を発生させる。クラック17により薄膜7aは、ランプシェード2の内側と部分的に貫通した状態となる。
光源からの光は、微小クラック17を透過してガラス粒子8のパビリオン部8eより入射し、ガラス粒子の内部で乱反射した光がクラウン部8cのカット面から放射され、弱い輝きを放つこととなる。
【0089】
図17に示すように、ランプシェード2の凹部7に近接する周辺位置、例えば、3mm程度の位置にガラス粒子8の下半分を埋没させる。すなわち、凹部7の底面は、貫通しておらず、薄膜7aを残している。凹部7の薄膜7aに浸透性の高い樹脂16を含浸させてガラス粒子8を接着している。
光源からの光は投光孔22から透過して近接したガラス粒子8のクラウン部8cの一部のカット面より入射して乱反射したのち、テーブル8fから放射され、弱い輝きを放つこととなる。
【0090】
また、三日月形状の貫通した孔に近接した位置に凹部を複数設けて、複数の凹部7にガラス粒子8をそれぞれ埋没するようにしてもよい。このように大きな三日月形状孔24の近辺に複数のガラス粒子8を設けることにより、光源からの光が三日月形状孔24より透光して、ガラス粒子8のクラウン部8cの一カット面より入射し、ガラス粒子8内で反射してガラス粒子8のクラウン部8cの他のカット面から放射される。投光孔22に比べて三日月形状孔24から透光が多いために孔の周囲に設けた複数のガラス粒子8に強い透光が入射することとなる。各ガラス粒子8が投光孔22の周囲に配したガラス粒子8に比べて明るく輝きを放つこととなり幻想的な雰囲気を醸し出すこととなる。
【0091】
さらに、貫通した凹部に設けたガラス粒子では、光源からの光がガラス粒子の底面から入射し、ガラス粒子の内部を乱反射した光はガラス粒子の前面側の各カット面から放射され、ダイヤモンドのような輝きを放つとともに、ランプシェードの側方の投影面体、例えば、壁面Wや床面FにV字形状の投影像61,62を投影することができる。
【0092】
[ガラス粒子の他の例]
図18に示すガラス粒子8’は、通常のガードル部を除いた8角形のテーブル8’fと略台形のスターファセット8’gと二等辺三角形の上部メインファセット8’hと反射鏡8’xとからなり、スターファセット8’gや上部メインファセット8’hがそれぞれ8面形成されている。
【0093】
図19に示すように、ガラス粒子8’をランプシェード2の投光孔22に近接させて貼り付けると、光源の光が投光孔22より透光して、その光の一部が条溝30内を反射してガラス粒子8’のカット面に入射するとともに、投光孔22より透光した光がガラス粒子8’のカット面に直接入射することとなる。ガラス粒子に入射したこれらの光が反射鏡8’xにより反射されて、ガラス粒子8’のカット面より放射されて、弱い輝きを放ち、鑑賞者に美感を生起させることとなる。
【0094】
上述した
ガラス粒子を凹部に貼着したランプシェードが
図20及び
図21となる。すなわち、
図20は、
ガラス粒子を凹部に貼着したランプシェードの正面図であり、
図21はランプシャードの背面図である。
【0095】
このランプシェード2の背面側から放射した光が
図22に示す投影面体としての壁面Wや床面Fに投影されることとなる。
【0096】
図21中の
ガラス粒子8のクラウン部8cのカット面から放射した光が、
図22中の投影面体の壁面Wにおける右側上方面に、幅が細い縮尺形状のV字形状の像61,62を仮想円の縁に沿って等間隔にそれぞれ投影される。ランプシェード2の投光孔22や凹部7に貼着した
ガラス粒子8から放射する光が投影面体に折り重なるように複雑に投影されることにより、美しい映像を醸し出すとともに、ランプシェード2の正面の投光孔22からの光や凹部7に貼着した
ガラス粒子8から放射する光が鑑賞者に美感を生起されることとなる。
【0097】
このように各ガラス粒子から放射する光の強さが異なることで、鑑賞者に光の錯覚の楽しさを倍増させることができる。また、光源からの強い光が入射するガラス粒子では、ガラス粒子内で反射した光が各カット面からそれぞれ放射され、光源のV字形状のフィラメント形態に類似した投影像を微小な形態で側方に配した投影面体としての壁面、床面、天井面等に投影することができる。
【0098】
光源にLED光源を使用した場合には、凹部に貼着した
ガラス粒子の各カット面から放射する光が投影面体に光の点としてそれぞれ投影されることとなる。この投影面体の光の点の大きさは、投光孔から出射した光が投影面体に投影された光の円より小さいものとなる。また、光の点の明るさも光の円よりも若干暗いものとなる。
【0099】
また、LED光源は、赤色(R)のLED素子、緑色(G)のLED素子、青色(B)のLED素子からなるRGBのLED光源としてもよい。3色のLED光源を点灯した場合のランプシェードからの光の動向について詳説する。
【0100】
3色のLED光源からの光は投光孔22から透過して投影面体に照射される。
また、
図11に示す投光孔22に埋め込んだガラス粒子8ではそのパビリオン部8eにLED光源からのRの光、Gの光、Bの光が入射する。特に、下部メインファセット8jの各面にRの光、Gの光、Bの光の何れかの光が入射することによりクラウン部8cの各面から出射する光もRの光、Gの光、Bの光の何れか1色の光となり、鑑賞者は下部メインファセット8jの面ごとに異なる色として視認することができる。さらに、クラウン部8cの各面から出射した光とその他のガラス粒子8から出射した光は投影面体において丁重して、RGB以外の色彩、例えば、白色光となって視認することができる。
【0101】
さらに、
図16に示す凹部7に埋設したガラス粒子では凹部底の薄膜7aのクラック17から漏れるLEDの光がガラス粒子8に入射して、ガラス粒子8を弱く輝かす。
さらにまた、
図17に示す投光孔22に近接して埋設したガラス粒子8では、投光孔22からのLED光がガラス粒子8に斜めから入射して、特に後述するランプシェードの色彩の影響を受けて、輝くこととなる。
【0102】
すなわち、本照明装置の各種の光は
図30に示す以下の(1)から(6)の光と複雑に組み合わされてランプシェードの周壁を照らしたり、ガラス粒子を輝かしたり、投影面体を照射することなる。
(1)LED光源のRGB色の光が投光孔から透過する光x1。
(2)LED光源のRGB色の光とランプシェードの色彩と組み合されて投光孔から透過する光x2。
(3)LED光源のRGB色の光が投光孔に埋設したガラス粒子に入射してその後出射する光y1。
(4)LED光源のRGB色の光がランプシェードの色彩と組み合され、ガラス粒子に入射してその後出射する光y2。
(5)LED光源のRGB色の光が投光孔に近接した凹部のガラス粒子に入射してその後出射する光y3。
(6)ガラス粒子に色彩を施し、上記(3)から(5)の構成において、色彩付きのガラス粒子から出射する光。
【0103】
また、色彩を施したガラス粒子を用いる際に、ガラス粒子の色彩に合わせてランプシェード自体に色彩を施すようにしてもよい。
【0104】
すなわち、
図23から
図25に示すように、ランプシェード2’の素材の粘土に顔料を混ぜて色彩を施すようにしている。例えば、ピンク色の顔料を粘土に混ぜて、ピンク色のランプシェード2’を形成し、ランプシェード2’の周壁11に形成した凹部7にピンク色のガラス粒子8を埋没、貼着する。
特に、ランプシェード2’の凹部7底部の厚みは、薄く形成し、中空内の発光体3の光を透かすことができる程度の厚みに形成する。このように凹部7底部の厚みを薄くすることで凹部底部から漏れる光の透光率を向上させて、透かしを構成することができる。
【0105】
さらに、凹部7にガラス粒子8を貼着することで、発光体を点灯した際に、凹部7底部から弱い光が漏れて、その光がガラス粒子8の底面から入射して、前面8aの多角面から放射される。この多角面から放射されたピンク色の光の一部が十字形状の凹部7に沿って進みことで、鑑賞者は十字形状の光として視認することができる。
【0106】
図27から
図29に示すように、ランプシェード2’の表面に深い条溝30を形成し、深い条溝30の底部を薄くて透かしを形成するようにしてもよい。
すなわち、深い条溝30に近接した箇所に投光孔22を穿設し、深い条溝30にガラス粒子8を埋設、貼着する。
【0107】
深い条溝30にガラス粒子8を貼着し、発光体を点灯した際に、深い条溝30底部から弱い光が漏れて、さらに近接した投光孔22から出射した光がガラス粒子8の底面および側面から入射して、前面8aの多角面から色彩光として放射される。
【0108】
ランプシェード2’周壁11の色彩とガラス粒子8の色彩とガラス粒子8からの投影像が組み合わされて、それぞれの色彩と各光により幻想的な雰囲気を醸し出すことができる。
【0109】
上述した実施例では、釉薬を施さない陶磁器でランプシェードを形成した例を挙げたが、顔料を混ぜた釉薬を用いて、陶磁器のランプシェードを釉薬に漬けて色彩を施すようにしてもよい。
【0110】
すなわち、
図26に示すように、ランプシェードの表面に凹部7を形成し、凹部7底部の厚みを薄くて透かしを形成する。その後、ランプシェードを素焼きして、例えばピンク色の顔料を混ぜた釉薬に素焼きのランプシェードを漬ける。
【0111】
ランプシェード2’’表面の凹部7には、釉薬18のたまり18aが形成され、釉薬18が厚く塗られた箇所と薄く塗られた箇所が形成される。その後、ランプシェードを焼成すると釉薬たまり18aの箇所とそれ以外の箇所では色彩に濃淡が異なって現われる。
【0112】
凹部7の底部にピンク色のガラス粒子8を埋没、貼着する。例えば、ピンク色の濃淡のランプシェード2’’周壁11にピンク色のガラス粒子8を貼着し、中空器内の発光体を点灯すると、ピンク色の濃い凹部7に貼着したガラス粒子8は深いピンク色となり、深いピンク色の光を乱反射し、他方のピンク色の薄い周壁に貼着したガラス粒子8は薄いピンク色となり、淡いピンク色の光を乱反射する。このように各ガラス粒子8が生起する濃淡光により、ランプシェード2’’周壁11や投影面体に色彩のグラデーションが形成される。さらに、この色彩のグラデーション効果とガラス粒子からの投影像が組み合わされて幻想的な雰囲気を醸し出すことができる。
【0113】
なお、ランプシェードとガラス粒子の色彩は同一色である必要はなく、例えば、ピンク色のランプシェードにピンク色、青色、緑色等の複数種類のガラス粒子を埋没、貼着するようにしてもよい。このような複数色のガラス粒子を使用することで、光のオブジェのバリエーションを適宜変更することができる効果がある。
【0114】
なお、ランプシェードの透かしは、ランプシェード周壁の投光孔に釉薬の膜を形成し、投光孔に膜が張ったまま焼成したものであってもよい。
【0115】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。