(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リテーナ(38)内にあり、制御可能な圧縮空気を前記空気ばね通路(88)および前記第2空気ピストン室(84)へ供給するために連結される第1ポート(74)と、前記リテーナ(38)内にあり、実質的により低圧の圧縮空気を前記外側圧力スリーブ(55)用に第1空気ピストン室(89)へ供給するために連結される第2ポート(92)を含む請求項2の装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図11を参照すると、大きく拡大された缶胴15は、約0.2083ミリメートル(0.0082インチ)の厚みを備えた金属シートまたはアルミニウムシートから形成される。缶胴15は円形状の平坦な中心パネル16を含み、この
中心パネル16は、切頭円錐形即ち傾斜環状パネル壁部17および略円柱
状パネル壁部18
を備える環状のパネル壁部17、18により、傾斜状即ち切頭円錐状内壁部21を有すると共に概してU字形断面形状を備えた環状
のさら形部19と連結される。さら形部19はまた、僅かに傾斜する環状外壁部22を有し、この環状外壁部22は環状
で傾斜
した下側つかみ壁部23と連結され、下側つかみ壁部23は僅かに角度が付けられたブレイク25によって、上方に湾曲する上側つかみ壁部24と連結される。湾曲状の上側つかみ壁部24は、下方に湾曲する外周縁部29を有するクラウン部28の傾斜即ち切頭円錐形状の環状
の内
側クラウン壁部26とつながる。缶胴15の断面形状即ち輪郭は、上述の特許出願公開US−2005−0029269号に詳細に説明されている。しかしながら、本発明方法および装置は、軸方向断面の輪郭が異なる缶胴を製造するために適用されてもよい。
【0012】
図1を参照すると、工具アセンブリ35は、単動または複動機械プレスの上側ダイシュー40に据え付けられる環状上側リテーナ38を含む。リテーナ38は、上側ダイシュー40内の嵌め合い空隙42まで上方に突出する円柱状部41を有すると共に、圧縮空気室44を画定する。環状
のブランクドローダイ48は、円周方向に間隔が空けられた一組のねじ51によって、リテーナ38に固定される外方に突出する上側フランジ部49を有する。平坦なグランド環状スペーサ52はブランクドローダイ48の上側フランジ部に固定されると共に、
ブランクドローダイ48を上側リテーナ38に対して軸方向に精確に間隔が空くようにする。
【0013】
環状
の外側圧力スリーブ55は、ブランクドローダイ48の中で、軸方向に移動するように支持されると共に、半径方向プラスチック製摩耗ピン57を有する一体形成ピストン56を含む。ダイセンターピストン60は、上側リテーナ38の中で軸方向に移動するように支持されると共に、ダイセンターポンチ65を支持する下部62を含み、ダイセンターポンチ65は中心キャップねじ66によって、ダイセンターピストン60に取り外し可能に固定される。平坦なグランド環状硬質スペーサ67は、ダイセンターポンチ65およびダイセンターピストン60の下部62にある肩部の間に位置決めされており、ダイセンターピストン60でのダイセンターポンチ65の軸方向位置を精確に選択する。環状
のダイセンターポンチインサート68はダイセンターポンチ65の端部を形成すると共に、円周方向に間隔が空けられた一組のキャップねじ69によって固定される。円柱状圧縮空気貯蔵室70は、ダイセンターピストン60の中心部内に形成されると共に、キャップ板71によって上部が閉鎖される。貯蔵室70は、リテーナ38内に形成されると共に環状溝75に連結されるポート74と、ダイセンターピストン60内に形成される一組の半径方向通路76を介して圧縮空気を受け入れる。
【0014】
環状
の内側圧力スリーブ80は、外側圧力スリーブ55の中で軸方向に移動するように支持されると共に、一体ピストン82を含み、一体ピストン82は、ピストン82およびダイセンターピストン60の下部62にある半径方向肩部86の間に画定される環状
の空気ピストン室84内に制限される。空気ピストン室84は、円周方向に間隔が空けられた3個の空気通路88を介して圧縮空気を受け入れ、空気通路88は肩部86から、ダイセンターピストン60内の空気貯蔵室70へ軸方向に延出する。適当な二片空気シールリングは、内側圧力スリーブ80のピストン82および外側圧力スリーブ55のピストン56、並びにダイセンターピストン60の上部によって支えられる。外側圧力スリーブ55のピストン56は、停止肩部90まで延出すると共に、環状空気室91とつながる環状空気圧室89内に制限される。室89,91は、リテーナ38のポート92から圧縮空気を受け入れる。
【0015】
工具アセンブリ35はまた、単動または複動プレスの静止下側ダイシュー95に据え付けられた固定式環状下側リテーナ94を含む。下側リテーナ94は環状
の上
端部99を有する固定式
のダイコアリング98を支持すると共に、環状
のカットエッジダイ105を受け入れると共に制限する固定式環状リテーナ102も支持する。平坦な環状グランドスペーサ107は、カットエッジダイ105を制限するためにリテーナ102に固定されており、且つ、ダイコアリング98の上
端部99に対してカットエッジダイ
105を軸方向に精確に位置決めする。環状
の下側圧力スリーブ110はカットエッジダイ105およびダイコアリング98の上
端部99の間に位置決めされると共に、環状圧縮空気圧室114内で軸方向に移動するように支持される一体ピストン112を有し、圧縮空気圧室114は、下側リテーナ94およびダイコアリング98の間に画定される。室114は、下側リテーナ94内のポート(図示なし)を介して、圧縮空気を受け入れる。
【0016】
円形
のパネルポンチ118はダイコアリング98の上
端部99内に位置決めされると共に、パネルポンチピストン122と共に軸方向に移動するように固定され、パネルポンチピストン122はダイコアリング98内に形成される段付き円柱状ボア123内で支持される。平坦な環状グランドスペーサ126は、パネルポンチ118をピストン122上で軸方向に精確に位置決めするように、パネルポンチ118およびパネルポンチピストン122の間に位置決めされる。適当な二片空気シールリングは、摺動気密シールを形成するために、下側圧力スリーブ
110のピストン112およびパネルポンチピストン122によって支えられる。軸方向に延出する空気圧通路127は、パネルポンチピストン122の中心に形成されると共に、交差通路128および環状室129を通る圧縮空気を受け入れる。通路127はパネルポンチ118内の中心開口131を通り上方へ圧縮空気噴流をもたらし、
図11に示すように、プレス行程の終わり近くに、スリーブが上方へ移動するにつれて、缶胴15を外側圧力スリーブ55に接した状態で保持し、完成した缶胴
15を一般的な方法で、迅速に横方向に取り外す。
【0017】
図2を参照すると、変形工具アセンブリ35’は、ダイセンターピストン60’が内室70を有していない点を除き、工具アセンブリ35と同じように構成される。代わりに、空気ばね通路88’は半径方向通路135を介して圧縮空気を受け、通路135はポート92を介して圧縮空気を受ける環状室91と連結される。この圧縮空気は、外側圧力スリーブ55のピストン56と内側圧力スリーブ80のピストン82に同じ圧力が付与されるように、
0.862〜1.17MPa(125〜170p.s.i.
)程度であってよい。
図1の工具アセンブリ35と比較して、空気貯蔵室70は、ポート74、環状室75および通路76を介して、
1.10〜1.17MPa(160〜170p.s.i.
)程度の圧縮空気を受け入れる一方、外側圧力スリーブ55のピストン56は、ポート92を介して、
0.552〜0.621MPa(80〜90p.s.i.
)程度のより低圧の圧縮空気を受ける。
【0018】
工具アセンブリ35または35’の追加の構成および操作を説明する
図3〜図
11の拡大部分図を参照すると、各プレス行程に伴い、内側圧力スリーブ80は、上側ダイシュー40の初期の下降行程(
図3)および最後の上昇行程(
図11)の間に、ダイセンターポンチインサート68の平坦な底面と通常は同一平面内にあり、或いは同じ高さである端部即ちノーズ部140を有する。ノーズ部140は環状の逆S字形
の底輪郭面143を有しており、外方に湾曲する底端面144と、内方に湾曲する上面147を含む。外側圧力スリーブ55の底端は、ダイコアリング98の上端部99に形成される弓形クラウン面153と対向すると共に嵌り合う僅かに弓形のすなわち凹状の面151を有する。ダイコアリング98の環状
の上端部99はまた、
第1外方湾曲面154と、傾斜状即ち切頭円錐状面156と、
第1内方湾曲面157と、
第2外方湾曲面158と、
第2内方湾曲面161を有する。
第1外方湾曲面154と、切頭円錐状面156と、第1内方湾曲面157と、第2外方湾曲面158を含むS字形輪郭面154,156,157,158は、内側圧力スリーブ80の底端にある対応するS字形
の底輪郭面14
3と対向すると共に嵌り合う。
【0019】
パネルポンチ118は、傾斜状即ち切頭円錐状面163、略円柱状面164および傾斜状即ち切頭円錐状面165によって囲まれた平坦な円形上面162を有し、ダイセンターポンチ65の円柱状
のスカート部167の下端にあるS字形
の輪郭端面166と対向する。
図3および
図4に示すように、上側ダイシュー40が下降行程を開始すると、ブランクドローダイ48はカットエッジダイ105と協働して、薄状の金属シートまたはアルミニウムシートの略円形状の円板170にブランク加工を施す。上側ダイシューの連続下降行程(
図4)により、円板170の環状部は、外側圧力スリーブ55のピストン56に対して選択された空気圧によって決定される制御圧力で、外側圧力スリーブ55およびダイコアリング98の間で挟持される。円板170の外側周縁部は、ブランクドローダイ48の下方への移動および対向する下側圧力スリーブ110によって、下側圧力スリーブ110のピストン112に対して選択された室114内の空気圧によって制御された挟持圧力で、ダイコアリング98の上端部
99の周りで下方へ絞られる。
【0020】
図4および
図5に示すように、ダイセンターポンチインサート68は、内側圧力スリーブ80にあるS字形
の底輪郭面143の
底端面144よりも大きい大半径を備えた角面173を有する。
ダイセンターポンチインサート68は、外側圧力スリーブ55およびダイコアリング98内において、円板170の中心部からカップ
中心部C(
図5)の絞り加工を開始する。缶胴15の内側クラウン壁
部26は、内側圧力スリーブ80上の
底輪郭面14
3と、ダイコアリング98の嵌め合い面の間で形成される(
図5)。上側ダイシュー40の連続下降行程により、ダイセンターポンチ65の
ダイセンターポンチインサート68
はパネルポンチ118と協働して、カップ
中心部Cの絞りを継続する一方、円板170の外部は、外側圧力スリーブ55とダイコアリング
98とブランクドローダイ48の間で摺動する。
図7に示すように、上側ダイシュー40の連続下降行程により、ダイセンターポンチ65の環状
のスカート部167は、スカート部167の輪郭端面166が
第2外方湾曲面158および
第2内方湾曲面161と協働して、僅かに角度が付けられたブレイク25によって連結される
下側つかみ壁部23および
上側つかみ壁部24を形成するまで、内側圧力スリーブ80から延出する。同時に、内側圧力スリーブ80の底輪郭面14
3は、円板170の中間環状部を、ダイコアリング98の嵌め合い輪郭面
である第1内方湾曲面157、
切頭円錐状面156,
第1外方湾曲面154で形成および挟持して、缶胴15の環状部
である下側つかみ壁部23,
上側つかみ壁部24,
内側クラウン壁部26(
図11)を形成する。缶胴15のクラウン部28および外側カール状縁部29は、外側圧力スリーブ55のピストン56への制御された力により、ダイコアリング98上で同時に形成される。
【0021】
プレスの上側ダイシュー40が下降行程の下端に達し(
図7)、且つ、ピストン56がダイセンターピストン60の肩部90で止まると、ダイセンターピストン60の上方にある室44内の制御された空気圧により、ダイセンターピストン60およびダイセンターポンチ65は、例えば約2.54ミリメートル(0.10インチ)だけ僅かに上方に移動することができる。これにより、数回のプレス加工の間に、最終的な缶胴15すべての全体高さが、常に一定且つ均一であることが確実になる。その他のより精密に制御されたプレス加工では、ダイセンターピストン60は、リテーナ38または38’に固定されてもよい。
【0022】
ダイシュー40が上昇行程を開始すると(
図8)、ダイセンターポンチ65は、対向す
るパネルポンチ118と同様に上方へ移動する一方、内側圧力スリーブ80は、
内側クラウン壁部26および
クラウン部28を内側圧力スリーブ80およびダイコアリング98の嵌め合い面の間で保持するために、制御された一定の圧力を保つ。
図10に示すように、内側圧力スリーブ80のこの制御された圧力が維持されつつ、
傾斜状即ち切頭円錐状面163、略円柱状面164および傾斜状即ち切頭円錐状面165を含む周縁面163,164,165が缶胴15の環状部
であるパネル壁部17,18
、およびさら形部1
9を形成するように、パネルポンチピストン122によって作用させられる力により、パネルポンチ118は上方へ移動する。上側ダイシュー40が上昇行程を続けると、完成した缶胴15は、パネルポンチ118の中心孔131を介して、
中心パネル16に対して上方へ向けられる空気噴流により、外側圧力スリーブ55の上方への移動に伴い、ダイコアリング98およびパネルポンチ118から上方へ移動する。
【0023】
工具アセンブリ35または35’の構成および作用によれば、上記第1頁に記載する重要且つ好ましい特徴および効果がもたらされることが分かっている。例えば、小型の工具アセンブリは、単動機械プレス並びに複動プレスでの作動に適応しており、また、工具アセンブリの全高が減少することにより、工具アセンブリは、当該技術分野に既存する殆どの単動高速プレスで使用することができる。別の重要な効果としては、空気貯蔵室70およびダイセンターピストン60内にある円周方向に間隔が空けられた一組の空気ばね通路88により、ピストン室84でより低圧の空気を使用することができ、また、内側圧力スリーブ80のピストン82へのより低圧の空気により、高速作動の間に、工具アセンブリの上部における発熱が低減し、その結果、工具アセンブリはより均一且つ精密な缶胴
15を製造することができる。
【0024】
室70および/または91、および通路88または88’内の圧縮空気は、空気ばねとしても作用する。これらの空気ばねは、発熱を低減させるだけでなく、固定されたダイコアリング98に対する内側圧力スリーブ80による所望の精確な挟持力を保証するために、内側圧力スリーブ80のピストン82へ作用する弾性力を精確に選択できる。工具アセンブリ35は、外側圧力スリーブ55のピストン56へ、例えば
0.48から0.62MPa(70から90p.s.i.
)のより低圧の施設供給空気を使用することも可能にし、且つ、外側圧力スリーブ
55への精確に制御されたより低い空気圧により、カップ
中心部Cの形成の間に、外側圧力スリーブ55、ダイコアリング98およびブランクドローダイ
48の間で金属シートが摺動する時に、金属シートの伸張を回避することができる。
【0025】
更なる効果は、ダイセンターポンチ65、
ダイセンターポンチインサート68、ダイコアリング98およびパネルポンチ118の構成によってもたらされる。例えば、ダイコアリング98の上端
部99にある
弓形クラウン面153、第1外方湾曲面154、切頭円錐状面156、第1内方湾曲面157、第2外方湾曲面158および第2内方湾曲面161およびパネルポンチ118の上部にある周縁面
163、164、165に対して内側圧力スリーブ80の底端にある
底輪郭面
143およびダイセンターポンチ
65のスカート部167の底にある輪郭
端面
166を備えたプレスの作動およびタイミングにより、缶胴
15を形成する金属シートに皺や裂け目を生じさせることなく、極めて均一な壁厚を備えた缶胴
15を確実に製造することができる。工具はまた、より少ない空気圧で缶胴
15を形成することができるので、缶胴
15により高い座屈強度をもたらすのを助ける。例えば、ポート92(
図1)の空気圧は、外側圧力スリーブ55のピストン56に対して
0.48〜0.62MPa(70〜90p.s.i.
)であり、また、外側圧力スリーブおよび内側圧力スリーブ80のピストン82の両方を加圧するためのポート92(
図2)への空気圧は、
0.758〜0.896MPa(110〜130p.s.i.
)であってよい。より低圧の空気圧を使用することによるこれらの利点によれば、発熱がより少なくなり、工具アセンブリを約4.45センチメートル(1.75インチ)のプレスストロークで毎分650行程といった高速プレスで作動させる時に特に好ましい。また、ダイセンターポンチ65の輪郭
端面166は、精確に僅かな角度付きブレイク25によりつかみ壁部
23、24、25を精確に形成するので、缶胴
15の座屈強度も高まる。工具は更に、金属シートをダイの間で圧縮させることなく、缶胴15
にパネル壁部17
、18(
図8および
図9)およびさら形部19を形成するものであり、それにより、缶胴
15のこれらの部分は、精確に均一な厚みを維持すると共に、より均一な座屈強度をもたらす。
【0026】
本明細書で説明した装置または工具アセンブリ、およびそれらの作動方法は、本発明の好適な実施形態を構成するものであるが、当然のことながら、本発明は記載される工具アセンブリおよび方法工程のみに限定されるものではなく、添付の請求の範囲で定義される発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明には変更がおこなわれてもよい。