特許第6117965号(P6117965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6117965携帯情報端末カバー及び携帯情報端末プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6117965
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】携帯情報端末カバー及び携帯情報端末プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20170410BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04M1/02 C
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-64251(P2016-64251)
(22)【出願日】2016年3月28日
【審査請求日】2016年10月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514165716
【氏名又は名称】株式会社タイヨー
(73)【特許権者】
【識別番号】316001799
【氏名又は名称】竹内 正樹
(73)【特許権者】
【識別番号】514133427
【氏名又は名称】株式会社バイナル
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正樹
【審査官】 中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0378422(US,A1)
【文献】 特開2015−181321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00−15/08
A45F 3/00−3/12
H05K 5/00−5/06
B65D 30/00−33/38
B65D 57/00−59/08
B65D 81/00−81/17
B65D 85/30−85/48
H04M 1/00
H04M 1/02−1/23
H04M 1/24−1/82
H04M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末の背面を覆うように前記携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末の背面を覆う部分である背面板部を備えるカバー本体と、
前記背面板部に設けられ、前記携帯情報端末を前記背面板部に対してスライド移動可能に保持する保持部と、
前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動された場合に、前記携帯情報端末により検出される状態を変化させるように構成された変化部と、
を備え
前記携帯情報端末は、電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成され、
前記変化部は、前記スリープ状態の前記携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、前記携帯情報端末に前記スリープ状態から前記起動状態に遷移する処理を実行させる、携帯情報端末カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末カバーであって、
前記変化部は、前記起動状態の前記携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、前記携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアを起動する処理を実行させる、携帯情報端末カバー。
【請求項3】
携帯情報端末の背面を覆うように前記携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末の背面を覆う部分である背面板部を備えるカバー本体と、
前記背面板部に設けられ、前記携帯情報端末を前記背面板部に対してスライド移動可能に保持する保持部と、
前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動された場合に、前記携帯情報端末により検出される状態を変化させるように構成された変化部と、
を備え
前記携帯情報端末は、電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成され、
前記変化部は、前記起動状態の前記携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、前記携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアを起動する処理を実行させる、携帯情報端末カバー。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の携帯情報端末カバーであって、
前記変化部は、前記起動状態の前記携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、前記携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアの機能を実行させる、携帯情報端末カバー。
【請求項5】
携帯情報端末の背面を覆うように前記携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末の背面を覆う部分である背面板部を備えるカバー本体と、
前記背面板部に設けられ、前記携帯情報端末を前記背面板部に対してスライド移動可能に保持する保持部と、
前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動された場合に、前記携帯情報端末により検出される状態を変化させるように構成された変化部と、
を備え
前記携帯情報端末は、電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成され、
前記変化部は、前記起動状態の前記携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、前記携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアの機能を実行させる、携帯情報端末カバー。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末は、磁気を検出する磁気センサを備え
記変化部は、磁力を有する部品を備え、
前記磁力を有する部品は、前記携帯情報端末の前記背面板部に対するスライド移動に伴い前記携帯情報端末に対する位置が変化するように設けられ
前記変化部は、前記携帯情報端末に対する前記磁力を有する部品の位置が変化することで、前記携帯情報端末により検出される、磁気の状態を変化させる、携帯情報端末カバー。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末は、マイクを備え
記変化部は、
スピーカと、
前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動された場合に、所定の音である処理実行音を前記スピーカに出力させる音制御部と、
を備え
前記変化部は、前記処理実行音を前記スピーカから出力させることで、前記携帯情報端末により検出される、前記処理実行音の入力状態を変化させる、携帯情報端末カバー。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末は、NFC通信を行うためのNFCアンテナを備え
記変化部は、前記NFCアンテナから発信される電波による電力で駆動することにより所定の情報である処理実行情報を前記NFCアンテナに送信するNFCタグを備え、
前記NFCタグは、前記携帯情報端末の前記背面板部に対するスライド移動に伴い、前記携帯情報端末に対する位置が変化するように設けられ
前記変化部は、前記携帯情報端末に対する前記NFCタグの位置が変化し、前記NFCタグが前記処理実行情報を前記NFCアンテナに送信することで、前記携帯情報端末により検出される、前記処理実行情報の受信状態を変化させる、携帯情報端末カバー。
【請求項9】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の携帯情報端末カバーであって、
前記携帯情報端末は、当該携帯情報端末と前記携帯情報端末カバーとを接続するケーブルを接続可能な接続部を備え
記変化部は、
前記携帯情報端末の前記背面板部に対するスライド移動に連動して切り替えられるスイッチと、
前記スイッチの切替えに基づいて、前記ケーブルに所定の信号である処理実行信号を出力する信号出力部と、
を備え
前記変化部は、前記ケーブルに前記処理実行信号が出力されることで、前記携帯情報端末により検出される、前記処理実行信号の入力状態を変化させる、携帯情報端末カバー。
【請求項10】
電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成された携帯情報端末が備えるコンピュータを、
前記携帯情報端末が、当該携帯情報端末の背面を覆うように当該携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、当該携帯情報端末の背面を覆う部分である背面板部を備え、当該携帯情報端末を前記背面板部に対してスライド移動可能に保持する前記携帯情報端末カバーの前記背面板部に対してスライド移動したか否かを判定する判定部、及び、
前記判定部により前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動したと判定された場合に、前記携帯情報端末を前記スリープ状態から前記起動状態に遷移させる処理を実行する処理実行部、
として機能させる携帯情報端末プログラム。
【請求項11】
電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成された携帯情報端末が備えるコンピュータを、
前記携帯情報端末が、当該携帯情報端末の背面を覆うように当該携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、当該携帯情報端末の背面を覆う部分である背面板部を備え、当該携帯情報端末を前記背面板部に対してスライド移動可能に保持する前記携帯情報端末カバーの前記背面板部に対してスライド移動したか否かを判定する判定部、及び、
前記判定部により前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動したと判定された場合に、前記起動状態の前記携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアを起動させる処理を実行する処理実行部、
として機能させる携帯情報端末プログラム。
【請求項12】
電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成された携帯情報端末が備えるコンピュータを、
前記携帯情報端末が、当該携帯情報端末の背面を覆うように当該携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、当該携帯情報端末の背面を覆う部分である背面板部を備え、当該携帯情報端末を前記背面板部に対してスライド移動可能に保持する前記携帯情報端末カバーの前記背面板部に対してスライド移動したか否かを判定する判定部、及び、
前記判定部により前記携帯情報端末が前記背面板部に対してスライド移動したと判定された場合に、前記起動状態の前記携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアの機能を実行させる処理を実行する処理実行部、
として機能させる携帯情報端末プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯情報端末カバー及び携帯情報端末プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが携帯して使用可能な情報機器である携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーが知られている。特許文献1には、携帯情報端末としてのスマートフォンに装着されるスマートフォンカバーが開示されている。一般に、スマートフォンには、背面における上端部にカメラのレンズが配置されている。特許文献1に記載のスマートフォンカバーは、スマートフォンの幅方向両側を挟持して固定する固定部が、カバー本体に対して上下方向にスライド移動可能に設けられている。スマートフォンをスライド移動させてカメラのレンズをスマートフォンカバーから露出させることで、スマートフォンのカメラ機能が利用可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−46712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスマートフォンカバーでは、カメラのレンズを露出させるためだけにスマートフォンカバーのスライド移動機能、ひいてはスマートフォンカバーに対するスマートフォンの相対移動機能が利用されていた。換言すれば、携帯情報端末カバーの相対移動機能を用いて携帯情報端末が十分に活用されているとは言えなかった。
【0005】
本開示の一局面は、携帯情報端末カバーの相対移動機能を用いて携帯情報端末をより便利に利用する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、保持部と変化部とを備える。保持部は、カバー本体に設けられ、携帯情報端末をカバー本体に対して移動可能に保持する。変化部は、携帯情報端末がカバー本体に対して移動された場合に、携帯情報端末により検出される状態を変化させるように構成されている。
【0007】
このような構成によれば、携帯情報端末がカバー本体に対して移動された場合に、携帯情報端末により検出される状態が変化するため、携帯情報端末は自身がカバー本体に対して移動されたことを検出することができる。したがって、携帯情報端末と携帯情報端末カバーとの協働により、携帯情報端末の移動に連動して所定の処理が実行される構成を実現することができる。したがって、携帯情報端末カバーの相対移動機能を用いて携帯情報端末をより便利に利用することができる。
【0008】
本開示の一態様は、携帯情報端末が、磁気を検出する磁気センサを備え、磁気センサの検出値に基づいて所定の処理を実行するように構成されていてもよい。そして、変化部は、磁力を有する部品を備え、磁力を有する部品は、携帯情報端末のカバー本体に対する移動に伴い携帯情報端末に対する位置が変化するように設けられていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、携帯情報端末に対する磁力を有する部品の位置が変化することで、携帯情報端末により検出される、磁気の状態が変化する。したがって、比較的安価かつ簡易な構成で、携帯情報端末により検出される状態を変化させることができる。
【0010】
本開示の一態様は、携帯情報端末が、マイクを備え、マイクに所定の音である処理実行音が入力されることにより所定の処理を実行するように構成されていてもよい。そして、変化部は、スピーカと、携帯情報端末がカバー本体に対して移動された場合に、処理実行音をスピーカに出力させる音制御部と、を備えていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、処理実行音がスピーカから出力されることで、携帯情報端末により検出される、音の入力状態を変化させることができる。
本開示の一態様は、携帯情報端末が、NFC通信を行うためのNFCアンテナを備え、NFCアンテナを介して所定の情報である処理実行情報を受信することにより所定の処理を実行するように構成されていてもよい。そして、変化部は、NFCアンテナから発信される電波による電力で駆動することにより処理実行情報をNFCアンテナに送信するNFCタグを備え、NFCタグは、携帯情報端末のカバー本体に対する移動に伴い、携帯情報端末に対する位置が変化するように設けられていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、携帯情報端末に対するNFCタグの位置が変化し、NFCタグが処理実行情報をNFCアンテナに送信することで、携帯情報端末により検出される、情報の受信状態が変化する。このように、NFCアンテナから発信される電波による電力に基づいて、携帯情報端末により検出される状態を変化させることができる。
【0013】
本開示の一態様は、携帯情報端末が、当該携帯情報端末と携帯情報端末カバーとを接続するケーブルを接続可能な接続部を備え、ケーブルを介して所定の信号である処理実行信号が入力されることにより所定の処理を実行するように構成されていてもよい。そして、変化部は、携帯情報端末のカバー本体に対する移動に連動して切り替えられるスイッチと、スイッチの切替えに基づいて、ケーブルに処理実行信号を出力する信号出力部と、を備えていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、ケーブルに処理実行信号が出力されることで、携帯情報端末により検出される、信号の入力状態が変化する。したがって、携帯情報端末が状態変化を検出することができる確実性を向上させることができる。
【0015】
本開示の一態様は、携帯情報端末が、電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成されていてもよい。そして、変化部は、スリープ状態の携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、携帯情報端末にスリープ状態から起動状態に遷移する処理を実行させてもよい。
【0016】
このような構成によれば、スリープ状態の携帯情報端末をカバー本体に対して移動させるだけで、スリープ状態から起動状態に遷移させることができる。
本開示の一態様は、携帯情報端末が、電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成されていてもよい。そして、変化部は、起動状態の携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、携帯情報端末に所定の処理を実行させてもよい。
【0017】
このような構成によれば、起動状態の携帯情報端末をカバー本体に対して移動させるだけで、携帯情報端末に所定の処理を実行させることができる。
本開示の一態様は、変化部が、起動状態の携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアを起動する処理を実行させてもよい。
【0018】
このような構成によれば、起動状態の携帯情報端末をカバー本体に対して移動させるだけで、携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアを起動させることができる。
本開示の一態様は、変化部が、起動状態の携帯情報端末により検出される状態を変化させることにより、携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアの機能を実行させてもよい。
【0019】
このような構成によれば、起動状態の携帯情報端末をカバー本体に対して移動させるだけで、携帯情報端末に所定のアプリケーションソフトウェアの機能を実行させることができる。
【0020】
本開示の別の態様は、携帯情報端末プログラムであって、携帯情報端末が備えるコンピュータを判定部及び処理実行部として機能させる。判定部は、携帯情報端末が、当該携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって当該携帯情報端末を移動可能に保持する携帯情報端末カバーに対して移動したか否かを判定する。処理実行部は、判定部により携帯情報端末が携帯情報端末カバーに対して移動したと判定された場合に、所定の処理を実行する。
【0021】
このような構成によれば、携帯情報端末が携帯情報端末カバーに対して移動したと判定された場合に、携帯情報端末が、ユーザが認識可能である所定の処理を実行する。つまり、携帯情報端末の移動に連動して携帯情報端末が所定の処理を実行する。したがって、携帯情報端末カバーの相対移動機能を用いて携帯情報端末をより便利に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1Aは、板部が第1の位置に位置している状態のスマートフォンカバーの正面図である。図1Bは、板部が第2の位置に位置している状態のスマートフォンカバーの正面図である。
図2図2Aは、スマートフォンに装着された状態のスマートフォンカバーの図1Aに対応する正面図である。図2Bは、スマートフォンに装着された状態のスマートフォンカバーの図1Bに対応する正面図である。
図3】スマートフォンの構成を表すブロック図である。
図4図4Aは、板部の背面図である。図4Bは、ベースの正面及びバネを表す図である。図4Cは、蓋部の正面図である。
図5】スライド連動処理のフローチャートである。
図6】第2実施形態のスマートフォンカバーの構成を表すブロック図である。
図7図7Aは、板部が第1の位置に位置しており、スマートフォンのNFCアンテナとスマートフォンカバーのNFCタグとの間でNFC通信が行われていない状態を表す図である。図7Bは、板部が第2の位置に位置しており、スマートフォンのNFCアンテナとスマートフォンカバーのNFCタグとの間でNFC通信が行われている状態を表す図である。
図8】第4実施形態のスマートフォンカバーの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1及び図2に示すスマートフォンカバー1は、ユーザが携帯して使用可能な情報機器である携帯情報端末の一例としてのスマートフォン2に装着されることにより、スマートフォン2の正面及び背面を覆う二つ折り形状の手帳型のカバーである。図1及び図2では、開状態(二つ折りにされていない状態)のスマートフォンカバー1が示されている。後述するように、スマートフォン2はスマートフォンカバー1によってスライド移動可能に保持され、スマートフォン2がスライド移動されることに連動してスマートフォン2で所定の処理が実行される。スマートフォン2は、複数の機種のスマートフォンの中の一例であり、スマートフォンカバー1は、複数の機種のスマートフォンに対応可能に構成されている。また、スマートフォン2は、電源オフ状態、スリープ状態及び起動状態に遷移可能に構成されている。ここでいう起動状態とは、通常起動している状態、換言すれば、電源オン状態においてスリープ状態が解除された状態である。
【0024】
<スマートフォン2の電気的な構成>
まず、スマートフォン2の電気的な構成について、図3を用いて説明する。スマートフォン2は、タッチパネルディスプレイ21、カメラ部22、磁気センサ23、イヤホンジャック24、NFCアンテナ25、マイク26、ボタン操作部27及び制御部28を備える。
【0025】
タッチパネルディスプレイ21は、スマートフォン2の正面に設けられており、制御部28から要求された種々の画像を表示する。また、タッチパネルディスプレイ21は、ユーザからのタッチ操作を受け付けて、タッチ操作の内容を表す操作信号を制御部28に出力する。
【0026】
カメラ部22は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いて電子撮像するデジタルカメラである。カメラ部22は、制御部28からの指令に従い撮像を行い、撮像した画像を表すデータを制御部28に出力する。図2A及び図2Bに示すように、カメラ部22のレンズ22aは、スマートフォン2の背面における上端部に設けられている。図2A及び図2Bでは、レンズ22aは透過して図示されている。
【0027】
磁気センサ23は、磁気を検出するセンサであり、検出値を表す信号を制御部28に出力する。磁気センサ23は、地磁気を検出し、検出した地磁気に基づいて方位を計測する機能(いわゆる電子コンパス機能)のために使用される。
【0028】
イヤホンジャック24は、耳又はその近傍に装着可能な発音体(例えばスピーカ)を有するイヤホンケーブルを接続可能な接続端子である。イヤホンジャック24にイヤホンケーブルが接続された状態においては、音楽等の音を表す音信号が制御部28からイヤホンジャック24を介してイヤホンケーブルに出力可能である。一方、この状態においては、イヤホンケーブルに設けられた音量調節ボタンが操作されると、操作の内容を表す操作信号がイヤホンジャック24を介して制御部28に出力され、音信号の表す音の音量が制御部28により調節される。
【0029】
NFCアンテナ25は、NFC(Near Field Communication)方式の通信を行うためのアンテナであり、制御部28からの指令に従い、NFC通信が可能な機器との間で各種情報の送受信を行う。NFCアンテナ25は、例えば、NFCアンテナ25とNFC通信を行うリーダ・ライタにスマートフォン2をかざして電子マネーの決済を行うために使用される。
【0030】
マイク26は、音を入力するための装置であり、入力された音に応じた信号を制御部28に出力する。マイク26は、スマートフォン2を用いて通話を行う際に音を入力するために使用される。また、本実施形態のスマートフォン2は、ユーザの発した音声を認識し、その内容に応じた処理を実行する音声認識機能を有しており、マイク26は、スマートフォン2の音声認識機能を実現するためにも使用される。
【0031】
ボタン操作部27は、図2A及び図2Bに示すホームボタン27a、ボリュームボタン27b,27c及びスリープボタン27dなどの物理ボタンを備え、タッチパネルディスプレイ21でのタッチ操作以外の基本操作をボタン操作により可能とする。
【0032】
ホームボタン27aは、スマートフォン2の正面におけるタッチパネルディスプレイ21の下方に設けられ、当該ボタン27aが押されるとタッチパネルディスプレイ21にホーム画面が表示される。本実施形態では、ホーム画面においてアプリケーションソフトウェア(以下、アプリ)のアイコンをタッチすることでアプリが起動され、ホームボタン27aを押すことで、当該アプリが終了される。
【0033】
ボリュームボタン27b,27cは、スマートフォン2の側面において互いに近接して設けられており、ボリュームボタン27bが押されると音量が増加し、ボリュームボタン27cが押されると音量が減少する。
【0034】
スリープボタン27dは、スマートフォン2の上部に設けられ、当該ボタン27dが押されるとスマートフォン2がスリープ状態に遷移する一方、スリープ状態のときに当該ボタン27dが押されるとスリープ状態から復帰する。また、スリープボタン27dを所定時間以上長押しすると、スマートフォン2の状態が、電源オン状態と電源オフ状態との間で切り替えられる。ボタン操作部27は、ボタン操作の内容の表す信号を制御部28に出力する。
【0035】
制御部28は、CPU、ROM及びRAM等を構成要素とするマイクロコンピュータを備える。制御部28は、各種装置21〜27との間で信号の送受信を行い、受信した信号に基づき、図5に示すスライド連動処理を行う。本実施形態では、スマートフォン2には、専用のアプリ(以下、スライド連動アプリ)がインストールされており、スライド連動処理はこのスライド連動アプリの処理である。スライド連動アプリは、通常のカメラアプリに、スマートフォン2がスライドされるとカメラ部22による撮像が行われる機能が付加されたアプリである。スライド連動処理及びスライド連動アプリについては、後で詳述する。
【0036】
<スマートフォンカバー1の物理的な構成>
次に、スマートフォンカバー1の物理的な構成について、図1図2及び図4を用いて説明する。以下では、概略長方形状の板状のスマートフォン2がスマートフォンカバー1に装着された状態におけるスマートフォン2の長手方向及び短手方向をそれぞれ、スマートフォンカバー1及びスマートフォンカバー1が備える各構成の上下方向及び左右方向と称する。
【0037】
スマートフォンカバー1は、カバー本体3と、保持部4と、図4Bに示すバネ5と、を備える。
図1及び図2に示すカバー本体3は、概略長方形状のシート状に形成され、当該長方形の中央部においてスマートフォンカバー1の上下方向に沿って平行に形成された2本の折りたたみ線31,32でUの字状に折りたたまれて、スマートフォン2を挟むように二つ折りにされる。カバー本体3は、例えば革製である。
【0038】
カバー本体3における内側の面(スマートフォン2と対向する側の面)は、折りたたみ線31,32により3つの面である正面対向面33、側面対向面34及び背面対向面35に区分される。正面対向面33と側面対向面34とは連続し、側面対向面34と背面対向面35とは連続する。これらの面はいずれも概略長方形状であり、その長手方向はスマートフォンカバー1の上下方向に一致する。正面対向面33と背面対向面35とは同一形状で、側面対向面34はこれらの面33,35よりも左右方向の幅が短く設計されている。
【0039】
正面対向面33は、カバー本体3が折りたたまれた状態においてスマートフォン2の正面と対向する面であり、その大きさはスマートフォン2の正面視での大きさよりも一回り大きく設計されている。なお、正面対向面33には、クレジットカードやキャッシュカード等のカード類を収納可能な複数(この例では2つ)のポケット33a,33bが備え付けられている。
【0040】
側面対向面34は、カバー本体3が折りたたまれた状態においてスマートフォン2の側面と対向する面であり、その左右方向の幅はスマートフォン2の厚みよりも大きく設計されている。
【0041】
背面対向面35は、スマートフォン2の背面と対向する面である。背面対向面35は、正面対向面33と同一形状、つまりスマートフォン2の正面視での大きさよりも一回り大きいため、図2Aに示すようにスマートフォン2の背面全体を覆うことが可能である。また、図示しないが、カバー本体3が折りたたまれることで、正面対向面33と背面対向面35とでスマートフォン2の背面全体に加え正面全体も覆うことが可能である。換言すれば、カバー本体3は、スマートフォン2の正面を覆う板部である正面板部33aを備え、正面板部33aによりスマートフォン2の正面の少なくとも一部が覆われた状態である閉状態(スマートフォンカバー1が二つ折りにされている状態)と、正面板部33aによりスマートフォン2の正面の全部が覆われていない状態である開状態(スマートフォンカバー1が二つ折りにされていない状態)と、を実現する。
【0042】
なお、本実施形態では、カバー本体3は、当該カバー本体3の左右両側の2つの辺の一方から外側に突出したベルト部36を備える。ベルト部36が他方の辺に留められることにより、カバー本体3が折りたたまれた状態が維持される。
【0043】
保持部4は、背面対向面35における中央部に設けられている。換言すれば、保持部4は、カバー本体3のうちの、板状のスマートフォン2におけるタッチパネルディスプレイ21が設けられた面(正面)の反対側の面(背面)を覆う部分である背面板部35aに設けられている。この保持部4は、スマートフォン2をカバー本体3に対してスライド移動可能に保持するための部材である。ここでいうカバー本体3に対して移動可能に保持するとは、カバー本体3における背面板部35aに対して移動可能に保持することを意味する。保持部4は、板部41と、板部41に貼り付けられた粘着シート42と、板部41をスマートフォンカバー1の上下方向にスライド移動可能に保持するスライド機構43と、を備える。
【0044】
板部41は、概略長方形状の板状の樹脂製の部材であり、その長手方向はスマートフォンカバー1の上下方向と一致する。図1A及び図1Bに示すように、板部41の正面(カバー本体3が折りたたまれたときに正面対向面33に対向する面)には長方形状の粘着シート42が貼り付けられおり、スマートフォン2の背面に接着する接着面42aが形成されている。スマートフォン2は、接着面42aに着脱可能に接着されるが、粘着シート42の粘着力は強力であるため、一度貼付されると容易には剥がれにくい。また、接着面42aは、背面対向面35よりも突出する位置に設けられている。
【0045】
図4Aに示すように、板部41の背面には、小突起41aが形成されている。また、板部41の左右両側には、板部41の背面側(図4Aの紙面手前側)に突出する一対の側壁41b,41cが形成されている。
【0046】
図4B及びCに示すように、スライド機構43は、ベース431と、ベース431の上に板部41が配置された状態で上から被せられる蓋部432と、を備える。
ベース431は、スマートフォンカバー1の上下方向に沿った長さが板部41よりも十分に長く、左右方向に沿った長さが板部41よりもやや長い概略長方形状の板状の樹脂製の部材であり、板部41の背面と対向する。ベース431は、当該ベース431の上に板部41が配置された状態で、スマートフォンカバー1の上下方向に沿った板部41のスライド移動をガイドする。また、ベース431の正面には、小突起431aが形成されている。
【0047】
蓋部432は、概略U字状の板状の樹脂製の部材であり、その外径はベース431の下端部を除く外形と略一致している。蓋部432は、板部41がベース431の上に配置された状態で、ベース431の下端部を除く外縁を上から覆うように被せられる。これにより、背面対向面35と垂直な方向の板部41の移動が規制される。
【0048】
板部41は、スライド機構43により、図1Aに示す第1の位置と図1Bに示す第2の位置との間でスライド移動可能に保持される。板部41が第1の位置に位置している状態では、図2Aに示すように、スマートフォン2の背面全体がカバー本体3に覆われる。一方、板部41が第2の位置に位置している状態では、図2Bに示すように、スマートフォン2の背面における端部がカバー本体3よりも外側へ突出する。また、板部41が第1の位置に位置している状態では、前述の閉状態において、スマートフォン2のタッチパネルディスプレイ21の全部がカバー本体3(正面板部33a)により覆われる。また、板部41が第2の位置に位置している状態では、閉状態においても、タッチパネルディスプレイ21の一部(タッチパネルディスプレイ21における上部)がカバー本体3から露出する。板部41が第2の位置に位置している状態では、スマートフォン2のカメラ部22のレンズ22aがカバー本体3よりも外側へ突出して、カメラ部22による撮像が可能になる。
【0049】
図4Bに示すバネ5は、磁力を有する金属製のバネである。バネ5は、ジグザグ形状をしており、その両端部がカールして輪状部5a,5bが形成されている。
バネ5は、板部41が第1の位置及び第2の位置に維持されるように板部41を位置決めする役割を担っている。具体的には、バネ5の一方の輪状部5aが、ベース431の小突起431aに引っ掛けられ、他方の輪状部5bが、板部41の小突起41aに引っ掛けられる。小突起431a,41aは、板部41がベース431の上下方向の中央部(つまりスライド移動可能な範囲における中央位置)に位置したときにバネ5が最短になるように設けられている。このため、バネ5は、ベース431の中央部よりも第1の位置に近い範囲では第1の位置側へ板部41を付勢し、中央部よりも第2の位置に近い範囲では第2の位置側へ板部41を付勢する。
【0050】
また、板部41(スマートフォン2)がスライド移動することに伴い、スマートフォン2に対するバネ5の位置が変化する。ここでいう「位置が変化する」とは、その物体における少なくとも一点の位置が変化することをいう。つまり、その物体の重心の移動を伴わない回転も、ここでいう位置の変化に含まれる。
【0051】
スマートフォン2がスライド移動することで、磁気センサ23に対するバネ5の位置が変化する。また本実施形態では、板部41が第1の位置に位置している状態よりも第2の位置に位置している状態の方がバネ5についての磁気センサ23の検出値が高くなるように、バネ5が設けられている。
【0052】
[1−2.処理]
次に、スマートフォン2の制御部28が実行するスライド連動処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。スライド連動処理は、前述したスライド連動アプリが起動されることで、実行される。
【0053】
このスライド連動アプリは、撮像モードとアルバムモードとの2つのモードを有しており、これらのモードが切替可能となっている。撮像モードは、カメラ部22による撮像を行うためのモードである。撮像モードでは、タッチパネルディスプレイ21に、カメラ部22のレンズ22aから見える風景が表示される。また、撮像モードは、タッチパネルディスプレイ21に、ソフトウェアボタンとして、撮像を行うシャッターボタン、画質やセルフタイマーの設定等を行う各種設定ボタン、及び、アルバムモードとの間でモードを切り替えるモード切替ボタンが表示される。
【0054】
一方、アルバムモードは、撮像した画像が表示されるモードである。アルバムモードでは、タッチパネルディスプレイ21に、撮像した画像の一覧、撮像した画像を編集するための各種設定ボタン及びモード切替ボタンが表示される。なお、スライド連動アプリの起動時には、モードはアルバムモードに設定される。
【0055】
S101で、制御部28は、通常操作が行われたか否かを判定する。制御部28は、タッチパネルディスプレイ21に表示された各種ソフトウェアボタンのいずれかが操作された場合に、通常操作が行われたと判定する。一方、制御部28は、各種ソフトウェアボタンのいずれも操作されていない場合に、通常操作が行われていないと判定する。制御部28は、通常操作が行われたと判定した場合に、処理をS102に移行させる。
【0056】
S102で、制御部28は、S101の操作内容に応じた通常処理を実行する。例えば、制御部28は、S101でシャッターボタンが操作されたと判定した場合に、カメラ部22に撮像を行わせる。制御部28は、S102の処理を実行すると、処理をS103に移行させる。
【0057】
一方、制御部28は、前述したS101で通常操作が行われていないと判定した場合に、前述したS102を飛ばして、処理をS103に移行させる。
S103で、制御部28は、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動したか否かを判定する。ここで、制御部28は、磁気センサ23の検出値に基づいて、スマートフォン2が移動したか否かを判定する。
【0058】
具体的には、S101〜S107の処理は、後述する終了操作が行われたと判定されるまで複数周期実行される。そして、制御部28は、磁気センサ23の検出値が、1周期前のS103では所定のしきい値(以下、スライド判定しきい値)未満であって、最新のS103ではスライド判定しきい値以上である場合に、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動したと判定する。なお、1周期目のS103では、制御部28は、磁気センサ23の検出値に関係なく、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動していないと判定する。
【0059】
また、このスライド判定しきい値は、バネ5の磁気及び地磁気以外の磁気による磁気センサ23への影響が無視できる状況において、スマートフォン2が第1の位置に位置している状態での磁気センサ23の検出値よりも高く、スマートフォン2が第2の位置に位置している状態での磁気センサ23の検出値よりも低くなるように設定される。
【0060】
制御部28は、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動したと判定した場合に、処理をS104に移行させる。
S104で、制御部28は、所定の処理である第1の処理を実行する。本実施形態では、第1の処理は、スライド連動アプリの機能を実行する処理、具体的には、モードを撮像モードに切り替え、カメラ部22に撮像を行わせる処理である。つまり、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動し、カメラ部22のレンズ22aがカバー本体3から露出すると、自動的にモードが撮像モードに切り替えられ、カメラ部22による撮像が行われる。なお、最新のS104が実行される前にモード切替ボタンが操作されて既にモードが撮像モードである場合は、最新のS104の実行前後でモードは撮像モードのままである。制御部28は、S104の処理を実行すると、処理をS105に移行させる。
【0061】
一方、制御部28は、前述したS103で、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動していないと判定した場合に、前述したS104を飛ばして、処理をS105に移行させる。
【0062】
S105で、制御部28は、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動したか否かを判定する。ここで、制御部28は、磁気センサ23の検出値に基づいて、スマートフォン2が移動したか否かを判定する。
【0063】
具体的には、制御部28は、磁気センサ23の検出値が、1周期前のS103では前述したスライド判定しきい値以上であって、最新のS103ではスライド判定しきい値未満である場合に、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動したと判定する。なお、1周期目のS105では、制御部28は、磁気センサ23の検出値に関係なく、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動していないと判定する。制御部28は、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動したと判定した場合に、処理をS106に移行させる。
【0064】
S106で、制御部28は、前述した第1の処理と異なる所定の処理である第2の処理を実行する。本実施形態では、第2の処理は、スライド連動アプリの機能を実行する処理であり、具体的には、モードをアルバムモードに切り替え、撮像した画像の一覧がタッチパネルディスプレイ21に表示されるアルバム表示を実行する処理である。つまり、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動し、カメラ部22のレンズ22aがカバー本体3に覆われると、自動的にモードがアルバムモードに切り替えられ、アルバム表示が行われる。なお、最新のS106が実行される前にモード切替ボタンが操作されて既にモードがアルバムモードである場合は、最新のS106の実行前後でモードはアルバムモードのままである。制御部28は、S106の処理を実行すると、処理をS107に移行させる。
【0065】
一方、制御部28は、前述したS105で、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動していないと判定した場合に、前述したS106を飛ばして、処理をS107に移行させる。
【0066】
S107で、制御部28は、終了操作が行われたか否かを判定する。制御部28は、スマートフォン2のホームボタン27aが操作された場合に、終了操作が行われたと判定する。
【0067】
このS107で、制御部28は、終了操作が行われたと判定した場合に、スライド連動処理を終了する。一方、制御部28は、終了操作が行われていないと判定した場合に、前述したS101に戻り、S101以降の処理を繰り返す。
【0068】
[1−3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態では、スマートフォンカバー1は、スマートフォン2をカバー本体3に対して移動可能に保持し、スマートフォン2がカバー本体3に対して移動された場合に、スマートフォン2により検出される状態を変化させる。
【0069】
したがって、スマートフォン2は、自身がカバー本体3に対して移動されたことを検出することができる。そして、スマートフォン2とスマートフォンカバー1との協働により、スマートフォン2の移動に連動して、ユーザが認識可能な所定の処理が実行される。したがって、カバー本体3のスライド移動機能を用いてスマートフォン2をより便利に利用することができる。
【0070】
(1b)本実施形態では、スマートフォンカバー1は、起動状態のスマートフォン2により検出される状態を変化させることにより、所定の処理として第1のスライド連動アプリの機能であるモードの切替え及びカメラ部22による撮像を実行する処理をスマートフォン2に実行させる。
【0071】
このため、起動状態のスマートフォン2をカバー本体3に対して移動させるだけで、スマートフォン2にこれらの処理を実行させることができる。
特に、スマートフォンカバー1の装着時にカメラ部22による撮像を行うにはスマートフォン2を第2の位置に移動させる必要があるが、スマートフォン2の第2の位置への移動に伴いカメラ部22による撮像が自動的に行われるため、手間を軽減することができる。
【0072】
(1c)本実施形態では、スマートフォン2は、磁気センサ23の検出値に基づいて、モードの切替え等を実行するように構成されている。また、スマートフォンカバー1のバネ5は、スマートフォン2のカバー本体3に対する移動に伴い、スマートフォン2に対する位置が変化するように設けられている。
【0073】
したがって、スマートフォン2に対するバネ5の位置が変化することで、スマートフォン2により検出される、磁気の状態が変化する。よって、比較的安価かつ簡易な構成で、スマートフォン2により検出される状態を変化させることができる。
【0074】
(1d)本実施形態では、スマートフォン2のスライド移動に伴いスマートフォン2に対する位置が変化する磁力を有する部品を設けるに当たり、板部41の位置決めに使用されるバネ5を流用している。したがって、磁力を有する部品を別途設ける構成と比較して、スマートフォンカバーの部品点数を減らすことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、バネ5が磁力を有する部品及び変化部の一例に相当する。また、S103及びS105が判定部としての処理の一例に相当し、S104及びS106が処理実行部としての処理の一例に相当する。
【0076】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0077】
第2実施形態のスマートフォン2は、第1実施形態と同一の構成である。ただし、第2実施形態のスマートフォン2には、前述したスライド連動アプリはインストールされていない。
【0078】
一方、図6に示す第2実施形態のスマートフォンカバー6は、スピーカ61と、スイッチ62と、音声再生部63と、を更に備え、前述したバネ5に代えて図示しないバネを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0079】
スマートフォンカバー6が備えるバネは、磁力を有していない通常の金属製のバネである。このバネは、第1実施形態のバネ5と同一の形状及び弾性等を有する。
スピーカ61は、音声再生部63からの指令に従い、音を出力する。
【0080】
スイッチ62は、スマートフォンのスライド移動に連動して切り替えられる。本実施形態では、スイッチ62は、ベース431に設けられており、板部41が第1の位置から第2の位置に移動すると板部41からの外力により押し込まれてオンの状態になり、板部41が第2の位置から第1の位置に移動すると板部41からの外力から解放されてオフの状態になる。
【0081】
音声再生部63は、専用のICチップを備えて構成されており、スイッチ62の切替えに基づいて、所定の音をスピーカ61に出力させる。本実施形態では、スマートフォン2は、スリープ状態において、音声認識機能を起動させるための所定のキーワードが処理実行音としてマイク26に入力されると、スリープ状態から起動状態(具体的には音声操作を受け付ける音声操作状態)に遷移するように構成されている。音声再生部63は、板部41が第1の位置から第2の位置に移動してスイッチ62がオフの状態からオンの状態に切り替えられると、このキーワードの音声をスピーカ61に出力させる。このため、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動されると、そのキーワードの音声がスマートフォン2のマイク26に入力され、自動的にスマートフォン2がスリープ状態から起動状態に遷移する。
【0082】
[2−2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0083】
本実施形態では、スマートフォン2は、マイク26に処理実行音が入力されることにより、スリープ状態から起動状態に遷移する処理を実行するように構成されている。また、スマートフォンカバー6は、スマートフォン2がカバー本体3に対して移動された場合に、処理実行音をスピーカ61に出力させることで、スマートフォン2により検出される、音の入力状態を変化させる。したがって、スマートフォン2をカバー本体3に対して移動させるだけで、スマートフォン2をスリープ状態から起動状態に遷移させることができる。
【0084】
特に、音声認識機能を標準の機能として有するスマートフォンは広く利用されているため、専用のアプリケーションを用いなくても、スライド移動に連動させてスマートフォンをスリープ状態から起動状態に遷移させることができる。
【0085】
なお、本実施形態では、音声再生部63が音制御部の一例に相当し、スピーカ61、スイッチ62及び音声再生部63が変化部の一例に相当する。
[3.第3実施形態]
[3−1.第1実施形態との相違点]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0086】
第3実施形態のスマートフォン2は、第1実施形態と同一の構成である。第3実施形態のスマートフォン2には、第1実施形態と同様にスライド連動アプリがインストールされている。第3実施形態のスライド連動アプリは、基本的には第1実施形態のスライド連動アプリと同様のアプリであるが、スライド連動処理の内容が一部異なる。第3実施形態のスライド連動処理については後述する。
【0087】
一方、図7A及び図7Bに示す第3実施形態のスマートフォンカバー7は、NFCタグ71を更に備え、前述したバネ5に代えて第2実施形態と同様のバネ(つまり通常の金属製のバネ)を備える点で、第1実施形態と相違する。なお、図7A及び図7Bでは、NFCタグ71及びスマートフォン2のNFCアンテナ25は、透過して図示されている。
【0088】
NFCタグ71は、スマートフォン2のNFCアンテナ25から発信される電波による電力で駆動することにより、NFCアンテナ25に所定の情報である処理実行情報を送信するためのタグである。NFCタグ71は、カバー本体3における上部に内蔵されており、板部41がスライド移動されてもカバー本体3におけるNFCタグ71の位置が変化しないように設けられている。その結果、NFCタグ71は、スマートフォン2のスライド移動に伴い、スマートフォン2に対する位置が変化する。
【0089】
また、図7Aに示すように、スマートフォン2が第1の位置に位置している状態では、NFCタグ71は、NFCアンテナ25とのNFC通信が行われない距離に位置する。一方、図7Bに示すように、スマートフォン2が第2の位置に位置している状態では、NFCタグ71は、NFCアンテナ25とのNFC通信が行われる距離に位置する。また、NFCタグ71は、スマートフォン2が第2の位置に位置し、NFCアンテナ25からの電波を受信している間は、NFCアンテナ25に対し処理実行情報を送信し続ける。
【0090】
[3−2.処理]
次に、第3実施形態のスマートフォン2の制御部28が実行するスライド連動処理について、前述の図5を用いて説明する。
【0091】
第3実施形態のスライド連動処理のS101〜S107のうち、S103及びS105以外の処理は、第1実施形態のスライド連動処理と同様である。以下では、相違点に係るS103及びS105のみを説明する。
【0092】
S103で、制御部28は、NFCアンテナ25により受信される情報に基づいて、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動したか否かを判定する。
具体的には、制御部28は、NFCアンテナ25が、1周期前のS103ではNFCタグ71から処理実行情報を受信していない状態であり、最新のS103ではNFCタグ71から処理実行情報を受信している状態である場合に、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動したと判定する。なお、1周期目のS103では、制御部28は、NFCアンテナ25の処理実行情報の受信状態に関係なく、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動していないと判定する。
【0093】
S105で、制御部28は、NFCアンテナ25により受信される情報に基づいて、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動したか否かを判定する。
具体的には、制御部28は、NFCアンテナ25が、1周期前のS103ではNFCタグ71から処理実行情報を受信している状態であり、最新のS103ではNFCタグ71から処理実行情報を受信していない状態である場合に、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動したと判定する。なお、1周期目のS105では、制御部28は、NFCアンテナ25の処理実行情報の受信状態に関係なく、スマートフォン2が第2の位置から第1の位置に移動していないと判定する。
【0094】
[3−3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)及び(1b)と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0095】
本実施形態では、スマートフォン2は、NFCアンテナ25を介して処理実行情報を受信することにより、スライド連動アプリのモードの切替え及びカメラ部22による撮像を実行するように構成されている。また、スマートフォンカバー7のNFCタグ71は、スマートフォン2のカバー本体3に対する移動に伴い、スマートフォン2に対する位置が変化するように設けられている。
【0096】
したがって、スマートフォン2に対するNFCタグ71の位置が変化し、NFCタグ71が処理実行情報をNFCアンテナ25に送信することで、スマートフォン2により検出される、情報の受信状態が変化する。このように、NFCアンテナ25から発信される電波による電力に基づいて、スマートフォン2により検出される状態を変化させることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、NFCタグ71が変化部の一例に相当する。
[4.第4実施形態]
[4−1.第1実施形態との相違点]
第4実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0098】
第4実施形態のスマートフォン2は、第1実施形態と同一の構成である。ただし、第4実施形態のスマートフォン2には、前述したスライド連動アプリはインストールされていない。
【0099】
また、第4実施形態のスマートフォン2は、カメラアプリの起動時において、イヤホンジャック24に接続されたイヤホンケーブルの音量調節ボタンがシャッターボタンとして機能するように構成されている。より詳細には、スマートフォン2は、イヤホンケーブルの音量調節ボタンが操作されてイヤホンジャック24に音量を調節するための信号(以下、音量調節信号)が入力されると、カメラ部22による撮像を行うように構成されている。
【0100】
一方、図8に示す第4実施形態のスマートフォンカバー8は、スマートフォン2のスライド移動に連動させてスマートフォン2にカメラ部22による撮像を行わせる。このスマートフォンカバー8は、音量調節信号が入力されることでカメラ部22による撮像を行うというスマートフォン2の機能を利用して、スマートフォン2にカメラ部22による撮像を行わせる。具体的には、スマートフォンカバー8は、スイッチ81、ケーブル82及び信号出力部83を更に備え、前述したバネ5に代えて第2実施形態と同様のバネを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0101】
スイッチ81は、スマートフォン2のスライド移動に連動して切り替えられる。本実施形態では、スイッチ81は、第2実施形態のスイッチ62と同様にベース431に設けられており、板部41が第1の位置から第2の位置に移動するとオンの状態に切り替えられ、板部41が第2の位置から第1の位置に移動するとオフの状態に切り替えられる。
【0102】
ケーブル82は、スマートフォン2とスマートフォンカバー8とを電気的に接続するためのものである。ケーブル82の一端にはプラグが設けられており、このプラグがスマートフォン2のイヤホンジャック24に差し込まれる。
【0103】
信号出力部83は、専用のICチップを備えて構成されており、板部41が第1の位置から第2の位置に移動してスイッチ81がオンの状態に切り替えられると、音量調節信号をケーブル82に出力する。
【0104】
このように本実施形態では、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動されると、信号出力部83からケーブル82に音量調節信号が出力され、ケーブル82を介して音量調節信号がイヤホンジャック24に入力される。このため、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動されると、カメラ部22による撮像が自動的に行われる。
【0105】
[4−2.効果]
以上詳述した第4実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)及び(1b)と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0106】
本実施形態では、ケーブル82を用いるため、スマートフォン2が状態変化を検出することができる確実性を向上させることができる。すなわち、例えば第2実施形態のようにスマートフォン2のスライド移動に連動させて音を出力する構成では、外部が騒がしい状況などではスマートフォン2が音を検出しづらい。換言すれば、スマートフォン2が状態変化を検出しづらい。これに対して、本実施形態では、スマートフォン2が移動された場合に、ケーブル82を介して音量調節信号がスマートフォン2に入力されることにより、スマートフォン2への信号の入力状態が変化される。したがって、音を出力する構成と比較して、外部状況に影響されずにスマートフォン2により検出される状態を変化させる。よって、スマートフォンカバー8によれば、スマートフォン2が状態変化を検出することができる確実性を向上させることができる。ひいては、スマートフォン2のスライド移動に連動して処理が実行される確実性を向上させることができる。
【0107】
なお、本実施形態では、イヤホンジャック24が接続部の一例に相当し、音量調節信号が処理実行信号の一例に相当し、スイッチ81及び信号出力部83が変化部の一例に相当する。
【0108】
[5.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0109】
(5a)上記第1,第3及び第4実施形態では、スマートフォン2のスライド移動に連動して実行されるアプリの機能はカメラ部22による撮像等である。具体的には、保持部4は、スマートフォン2を、当該スマートフォン2の背面に設けられたカメラ部22のレンズ22aがカバー本体3により覆われる位置である第1の位置と、レンズ22aがカバー本体3から露出する位置である第2の位置と、の間で移動可能に保持する。そして、スマートフォンカバー1,7,8は、スマートフォン2が第1の位置から第2の位置に移動された場合に、スマートフォン2により検出される状態を変化させることにより、レンズ22aを用いる処理としてカメラ部22による撮像等をスマートフォン2に実行させた。しかし、スマートフォンのスライド移動に連動して実行されるアプリの機能はこれに限られるものではない。例えば、スマートフォンのスライド移動に連動して、スマートフォンのフラッシュ用のライトを点灯させてもよい。
【0110】
また、上記第1,第3及び第4実施形態では、スマートフォン2をスライド移動させることで、起動状態のスマートフォン2にカメラ部22による撮像等の所定のアプリの機能を実行させるが、起動状態のスマートフォンに実行させる処理はこれに限られるものではない。
【0111】
例えば、スマートフォンカバーは、起動状態のスマートフォンにより検出される状態を変化させることにより、スマートフォンに所定のアプリを起動する処理を実行させてもよい。また、逆に、スマートフォンに所定のアプリを終了する処理を実行させてもよい。
【0112】
具体的には例えば、スマートフォンが第1の位置から第2の位置にスライド移動した場合に、カメラアプリを起動する処理を実行させてもよい。また、スマートフォンが第2の位置から第1の位置にスライド移動した場合に、カメラアプリを終了する処理を実行させてもよい。つまり、前述したカメラ部22のレンズ22aを用いる処理は、カメラ部22による撮像に限られず、カメラアプリの起動などの、カメラ部22による撮像を行うための準備であってもよい。
【0113】
このような構成によれば、起動状態のスマートフォンをカバー本体に対して移動させるだけで、スマートフォンに所定のアプリを起動又は終了させることができる。特に、カメラアプリなどの、スマートフォンカバーの装着時において利用するためにスマートフォンを第2の位置に移動させる必要があるアプリについては、スマートフォンの移動とアプリの起動とを同時に行うことができるため、手間を軽減することができる。
【0114】
また例えば、スマートフォンカバーは、起動状態のスマートフォンにより検出される状態を変化させることにより、スマートフォンに起動状態からスリープ状態に遷移する処理を実行させてもよい。このような構成によれば、起動状態のスマートフォンをカバー本体に対して移動させるだけで、起動状態からスリープ状態に遷移させることができる。
【0115】
また例えば、前述したように、スマートフォン2が第1の位置に位置している状態では、閉状態において、スマートフォン2のタッチパネルディスプレイ21の全部がカバー本体3(正面板部33a)により覆われる。一方、スマートフォン2が第2の位置に位置している状態では、閉状態においても、タッチパネルディスプレイ21の一部(タッチパネルディスプレイ21における上部)がカバー本体3から露出する。このことを利用して、例えばスマートフォンカバーは、スマートフォンが第1の位置から第2の位置に移動された場合に、スマートフォンにより検出される状態を変化させることにより、タッチパネルディスプレイにおけるカバー本体から露出している部分(上記各実施形態ではタッチパネルディスプレイ21における上部)に所定の情報を表示する処理をスマートフォンに実行させてもよい。
【0116】
所定の情報として例えば、電話の着信があった場合に、発信者の情報が表示されてもよい。このような構成によれば、閉状態、具体的にはスマートフォンカバーが2つ折りにされた状態のままでも、スマートフォンをスライド移動させることで、タッチパネルディスプレイに表示された所定の情報を確認することができる。そして、スマートフォンカバーを2つ折りにした状態のままで、電話に出るか否かの判断等を行うことができる。また、この場合において例えば、スマートフォンを、当該スマートフォンを第2の位置から第1の位置にスライド移動させてカバー本体に収納することで、着信を拒否できる構成としてもよい。
【0117】
また例えば、スマートフォンに電話が掛かっていないときなどにおいて、タッチパネルディスプレイにおけるカバー本体から露出する部分に、直近のスケジュール等が表示されるようにしてもよい。
【0118】
(5b)上記第1実施形態では、磁力を有する部品としてバネ5を例示したが、磁力を有する部品はこれに限られるものではない。磁力を有する部品は、例えば、スマートフォン2のスライド移動に伴い磁気センサ23の検出値を変化させるためだけに別途カバー本体3に設けられた磁石等であってもよい。換言すれば、磁力を有する部品を設けるに当たり、板部41の位置決め等に使用される部品を流用しなくてもよい。
【0119】
(5c)バネ5、ひいては磁力を有する部品の位置の変化の仕方は上記第1実施形態のものに限られるものではない。磁力を有する部品は例えば、カバー本体3に対して平行移動してもよい。同様に、NFCタグの位置の変化の仕方も上記第3実施形態のものに限られるものではない。
【0120】
(5d)上記第2実施形態では、音声再生部63は、スマートフォン2をスリープ状態から起動状態に遷移させるための処理実行音をスピーカ61に出力させるが、処理実行音はこれに限られるものではない。音声再生部は、例えば、処理実行音として、スマートフォン2に所定のアプリを起動する処理を実行させるための音声をスピーカに出力させてもよい。また例えば、音声再生部は、処理実行音として、スマートフォン2に所定のアプリの機能を実行させるための音声をスピーカに出力させてもよい。
【0121】
また、上記第2実施形態では、スマートフォンカバー6は、1種類の処理実行音のみ出力可能であるが、スマートフォンカバーが出力可能な処理実行音の種類はこれに限られるものではない。スマートフォンカバーは例えば、2種類以上の処理実行音を出力可能であってもよい。この場合において例えば、スマートフォンカバーは、音声再生部の設定等を変更することにより、スピーカから出力される処理実行音を変更可能であってもよい。また例えば、音声再生部の設定等を変更しなくても複数種類の処理実行音が出力されてもよい。具体的には例えば、上記各実施形態のようにスマートフォン2、ひいては携帯情報端末がカバー本体に対して複数種類の移動(方向が異なる移動や、平行移動及び回転移動など)が可能である場合において、移動の種類に応じて異なる種類の処理実行音が出力されてもよい。
【0122】
また例えば、スマートフォンひいては携帯情報端末は、前述したように、音声認識機能を作動させるための所定のキーワートが処理実行音としてマイクに入力されると、音声操作を受け付ける音声操作状態に遷移するように構成されているとする。この場合において、音声再生部は、携帯情報端末が移動された場合に、スピーカに、そのキーワードを第1の音声として出力させ、その後に、携帯情報端末に所定の処理を実行することを指示する音声を第2の音声として出力させてもよい。第2の音声は、例えば、所定のアプリの起動や、所定のアプリが有する所定の機能の実行など、具体的な操作内容を表す音声であってもよい。つまり、音声再生部が、複数の処理実行音を、間隔を空けて発することで、携帯情報端末に複数の処理を順に実行させるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、携帯情報端末をスリープ状態から起動状態(具体的には音声操作状態)に遷移させ、その後にカメラアプリを起動させるといったことが可能となる。
【0123】
このように、スマートフォンカバーを複数種類の処理実行音を出力可能な構成とすることで、スマートフォン2の音の入力状態の多様な変化を実現することできる。したがって、これに応じて、スマートフォン2に音の入力状態の変化に応じた複数種類の処理を実行させることができる。
【0124】
(5e)上記第2実施形態では、スマートフォンカバー6は、スマートフォン2がスライド移動された場合に、スマートフォンが標準的に有している機能である音声認識機能に働きかけることで、スマートフォン2に所定の処理を実行させたが、スマートフォン、ひいては携帯情報端末に処理を実行させる方法はこれに限られるものではない。例えば、上記第1及び第3実施形態のように、インストールされた専用のアプリに働きかけることで、携帯情報端末に所定の処理を実行させてもよい。
【0125】
(5f)上記第3実施形態では、スマートフォン2のスライド移動に伴いNFC通信が行われている状態と行われていない状態とが切り替えられることにより、スマートフォン2により検出される状態が変化される。しかし、NFC通信を用いてスマートフォン2により検出される状態を変化させる構成はこれに限られるものではない。
【0126】
例えば、NFCタグを、スマートフォンカバーがスマートフォン2に装着されている状態においてNFCアンテナ25と常時NFC通信を行うように設ける。そして、スマートフォン2の移動に連動して切り替えられるスイッチ等を用いて、スマートフォン2の移動に連動してNFCタグから送信される情報の内容が変更されてもよい。
【0127】
また例えば、スマートフォンカバーは、NFCアンテナ25からの電波を遮蔽する遮蔽部材を備えていてもよい。具体的には、遮蔽部材は、スマートフォンの移動に伴い、NFCタグを覆う位置と、NFCタグを覆わない位置と、の間で移動するように設けられていてもよい。この構成では、NFCタグが遮蔽部材により覆われている状態では、NFCタグがNFCアンテナ25からの電波を受信せず、処理実行情報をNFCアンテナ25に送信しない。一方、NFCタグが遮蔽部材により覆われていない状態では、NFCタグがNFCアンテナ25からの電波を受信し、処理実行情報をNFCアンテナ25に送信する。
【0128】
例えば、上記実施形態の板部41に、前述した遮蔽部材としての機能を持たせてもよい。具体的には、板部が第1の位置に位置している状態において、当該板部により覆われる位置にNFCタグを設ける。このNFCタグは、板部が移動してもその位置が変わらないように設けられる。このような構成によれば、板部が第1の位置から第2の位置に移動されるとNFCタグが露出し、NFCタグがNFCアンテナ25からの電波を受信できるようにすることができる。
【0129】
また、上記第3実施形態では、スマートフォン2は、NFCタグ71からの処理実行情報の受信の有無に基づいて、所定の処理を実行する。換言すれば、処理実行情報は、当該情報がNFCタグ71から送信された情報であることを識別可能なレベルの情報であればよい。しかしながら、NFCタグ71から送信される情報はこれに限られるものではなく、当該情報は例えば、携帯情報端末に実行させる処理を特定するような、より精細な情報であってもよい。
【0130】
(5g)上記第4実施形態では、ケーブル82はスマートフォンカバー8の一部であるが、スマートフォンカバーの構成はこれに限られるものではない。例えば、スマートフォンカバーとケーブルとは別体であってもよい。換言すれば、ケーブルは、スマートフォンカバーに着脱可能に接続されてもよい。
【0131】
(5h)上記各実施形態では、スマートフォンカバー1,6〜8は、スマートフォン2により検出される状態を変化させるように構成されている。より詳細には、スマートフォンカバー1,6〜8は、スマートフォン2が備えるセンサにより検出される状態を変化させるように構成されている。センサとは、磁気、音、特定の電波、光、加速度、高度、圧力などの物理量を検出し、電気信号に変換する機能を有する装置を意味する。例えば、センサには、磁気を検出する磁気センサ23、音を検出するマイク26、特定の電波を検出する電波センサ(例えばNFCアンテナ25)、光を検出する光センサ(例えばカメラ部22)、加速度を検出する加速度センサ、高度を検出する高度センサ、圧力を検出する圧力センサなどが含まれる。これらのうち、上記各実施形態では、磁気センサ23により検出される、磁気の状態等が変化されたが、スマートフォンカバーが変化させる、スマートフォンにより検出される状態はこれに限られるものではない。
【0132】
例えば、スマートフォンは、所定の光である処理実行光を検出する光センサ(例えばカメラ部22)を備え、当該光センサにより処理実行光が検出されることにより所定の処理を実行するように構成される。そして、スマートフォンカバーは、処理実行光を出力する発光体(例えばLED)を備え、スマートフォンの移動に連動して切り替えられるスイッチの切替えに基づいて、発光体に処理実行光を出力させてもよい。このような構成によれば、スマートフォンにより検出される、光の入力状態を変化させることで、スマートフォンに所定の処理を実行させるができる。
【0133】
また例えば、スマートフォンは、Bluetooth(登録商標。以下、BT。)通信を行うためのアンテナである端末側BTアンテナを備え、端末側BTアンテナを介して所定の情報であるBT処理実行情報を受信することにより所定の処理を実行するように構成される。そして、スマートフォンカバーは、端末側BTアンテナとBT通信可能なアンテナであるカバー側BTアンテナを備え、スマートフォンの移動に連動して切り替えられるスイッチの切替えに基づいて、カバー側BTアンテナにBT処理実行情報を送信させてもよい。このような構成によれば、スマートフォンにより検出される、情報の受信状態を変化させることで、スマートフォンに所定の処理を実行させるができる。
【0134】
また例えば、スマートフォンは、当該スマートフォンの加速度を検出する加速度センサを備え、加速度センサの検出値に基づいて、自身がカバー本体に対して移動されたことを検出してもよい。そして、スマートフォンは、自身がカバー本体に対して移動されたことを検出した場合に、所定の処理を実行するように構成されていてもよい。このような構成によれば、スマートフォンにより検出される、加速の状態を変化させることで、スマートフォンに所定の処理を実行させることができる。また、スマートフォンは例えば、当該スマートフォンが移動後の位置に停止する直前に発生する、移動と逆方向に作用する加速度を検出することにより、自身が移動されたことを検出してもよい。
【0135】
また、スマートフォンは、加速度センサと、磁気センサ23などの他のセンサと、を併用して、自身がカバー本体に対して移動されたことを検出してもよい。このような構成によれば、他のセンサのみを用いる構成と比較して、スマートフォンの移動の検出精度を向上させることができる。
【0136】
(5i)上記各実施形態では、スマートフォン2はカバー本体3に対してスライド移動するが、スマートフォン2、ひいては携帯情報端末のカバー本体に対する相対移動はこれに限られるものではない。携帯情報端末は例えば、カバー本体に対して回転してもよい。
【0137】
(5j)上記各実施形態では、携帯情報端末としてスマートフォン2を例示したが、携帯情報端末はこれに限られるものではない。携帯情報端末は、例えば、携帯電話やタブレット端末、携帯可能なゲーム機等であってもよい。
【0138】
(5k)上記各実施形態で、制御部28が実行する機能の一部又は全部を、1つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
(5l)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0139】
(5m)前述したスマートフォン2の制御部28の他、当該制御部28としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、カバー本体に対する携帯情報端末の移動に連動して携帯情報端末に処理を実行させる方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0140】
1,6〜8…スマートフォンカバー、2…スマートフォン、3…カバー本体、5…バネ、21…タッチパネルディスプレイ、22…カメラ部、23…磁気センサ、24…イヤホンジャック、25…NFCアンテナ、26…マイク、27…ボタン操作部、28…制御部、41…板部、43…スライド機構、61…スピーカ、62,81…スイッチ、63…音声再生部、71…NFCタグ、82…ケーブル、83…信号出力部。
【要約】
【課題】携帯情報端末カバーの相対移動機能を用いて携帯情報端末をより便利に利用する技術を提供する。
【解決手段】携帯情報端末に装着される携帯情報端末カバーであって、保持部と変化部とを備える。保持部は、カバー本体に設けられ、携帯情報端末をカバー本体に対して移動可能に保持する。変化部は、携帯情報端末がカバー本体に対して移動された場合に、携帯情報端末により検出される状態を変化させるように構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8