(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩において、アミノグアニジン化合物とシュウ酸とのモル比(アミノグアニジン化合物:シュウ酸)が、1:1〜2:1の範囲である、請求項1に記載のガス発生剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」とも記す。)について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施形態のみに限定されない。
【0010】
本実施形態のガス発生剤は、下記一般式(1)で表されるアミノグアニジン化合物(以下、単に「アミノグアニジン化合物」とも記す)のシュウ酸塩を含有する。
【化2】
(式中、X、Yはそれぞれ独立して水素原子又はアミノ基である。)
本実施形態のガス発生剤において、アミノグアニジン化合物と塩を形成する酸にシュウ酸を用いる。アミノグアニジン等のアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩を用いることにより、汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの化学発泡剤として使用可能な分解開始温度を有し、発生ガス量が多く、発生ガスにアンモニア等の腐食性ガスをほとんど含まないガス発生剤を得ることが可能となる。
本実施形態のガス発生剤の発泡時の発生ガス量は、120mL/g以上であることが好ましい。
本実施形態のガス発生剤の発泡時のアンモニア発生量は、10mg/g以下であることが好ましく、5mg/g以下であることがより好ましく、1mg/gであることがさらに好ましい。
本実施形態のガス発生剤の分解開始温度は、例えば、汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの化学発泡剤として使用可能な分解開始温度であることが好ましく、具体的には、90〜380℃であることが好ましく、110〜250℃であることがより好ましい。
なお、本実施形態において、ガス発生剤の発泡時の発生ガス量、アンモニア発生量及び分解開始温度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0011】
本実施形態に用いるアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩は、アミノグアニジン化合物とシュウ酸とを反応させることにより得られる。アミノグアニジン化合物としては、特に限定されないが、例えば、アミノグアニジン、ジアミノグアニジン、トリアミノグアニジン等が挙げられる。中でも、アミノグアニジンが好ましい。上記反応に用いるシュウ酸は公知の化合物であり市販品として入手することができ、シュウ酸無水物あるいはシュウ酸二水和物のいずれを用いてもよい。
【0012】
上記反応に用いるアミノグアニジン化合物としては、塩を形成していないアミノグアニジン化合物を用いることもできるが、アミノグアニジン化合物は酸と塩を形成することにより安定性が向上し入手も容易となるため、アミノグアニジン化合物の塩を用いることが好ましい。アミノグアニジン化合物と塩を形成する酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、硝酸、過塩素酸、炭酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、チオシアン酸等が挙げられる。これらの酸の中で、シュウ酸よりも酸性度が小さい酸と塩を形成したアミノグアニジン化合物を原料として用いるのが、合成が簡便になるため好ましい。このようなアミノグアニジン化合物の塩としては、アミノグアニジン炭酸塩等が挙げられる。
【0013】
次に、アミノグアニジン化合物の炭酸塩とシュウ酸とから本実施形態のガス発生剤に用いるアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩を得る反応条件について説明する。反応は、アミノグアニジン化合物の炭酸塩1モルに対し、シュウ酸を1モル〜過剰量使用し、水やアルコールなどの極性溶媒中、常圧、0〜100℃で10分〜24時間撹拌して反応させることにより進行する。反応後、公知の方法により目的物を精製する。例えば氷水等で冷却させ結晶を析出、単離して粗結晶を得る方法が挙げられる。
【0014】
アミノグアニジン化合物の炭酸塩とシュウ酸との使用割合は、モル比(炭酸塩:シュウ酸)で好ましくは1:1〜1:100、より好ましくは1:1〜1:10である。反応は室温下で行っても、必要に応じて加温下で行ってもよく、水やアルコールなどの極性溶媒の沸点を考慮すると、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃で行う。
【0015】
上記の極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコールなどが挙げられ、生成物の精製が容易で経済性に優れる水が好ましい。
【0016】
反応終了後、冷却操作などにより析出した結晶を濾別し、水やアルコール等で洗浄後、減圧下で乾燥させることでアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩を得ることができる。
本実施形態に用いるアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩は、通常、アミノグアニジン化合物:シュウ酸=1:1の割合で塩を形成しているが、アミノグアニジン化合物:シュウ酸=2:1の割合で塩を形成している場合もあり、両者の混合物の場合もある。本実施形態に用いるアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩において、アミノグアニジン化合物とシュウ酸とのモル比(アミノグアニジン化合物:シュウ酸)は、1:1〜2:1の範囲であることが好ましく、1:1〜1.5:1の範囲であることがより好ましく、1:1〜1.2:1の範囲であることがさらに好ましい。
したがって、本実施形態に用いるアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩は、例えば、下記式(1−1)で表すこともできる。
【化3】
(式中、X、Yはそれぞれ独立して水素原子又はアミノ基であり、nは1.0〜2.0の範囲の数である。)
【0017】
上述のようにして得られたアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩は、ガス発生剤として用いることができる。本実施形態のガス発生剤は、例えば、汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの化学発泡剤として好適に用いることができる。本実施形態のガス発生剤に用いるアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩は、汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの発泡体成型温度(例えば130〜250℃程度)で、アンモニア等の腐食性ガスの発生を抑制し、単独で高倍率の発泡体を得ることができる。
本実施形態のガス発生剤は、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩だけからなる場合であっても汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの化学発泡剤として好適に用いることができるが、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩以外に補助剤をさらに含有させてもよい。当該補助剤は、特に限定されないが、例えば、酸化剤、架橋剤(C)、亜硝酸塩、ハイドロタルサイト等が挙げられる。本実施形態のガス発生剤は、このような補助剤をさらに含有すると、アンモニア等の腐食性ガスの発生をより一層抑制することができ、後述する発泡体を製造する際の温度も好適な範囲となる傾向にある。
本実施形態のガス発生剤において、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩以外に補助剤を含有させる場合、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩の含有量は、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩と補助剤との合計質量に対して0.5〜95質量%であること好ましい。
前記酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、過炭酸ナトリウムが挙げられる。前記酸化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本実施形態のガス発生剤において、酸化剤の含有量は、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩と補助剤との合計質量に対して0.5〜95質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。
前記架橋剤(C)としては、特に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス[t−ブチルパーオキシ]シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルパーオキシソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシドが挙げられる。前記架橋剤(C)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本実施形態のガス発生剤において、架橋剤(C)の含有量は、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩と補助剤との合計質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。 前記亜硝酸塩としては、特に限定されないが、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム等が挙げられ、これらの中からから選ばれる一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの亜硝酸塩は粉砕された微粉であることが好ましい。
本実施形態のガス発生剤において、亜硝酸塩の含有量は、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩と補助剤との合計質量に対して0.5〜60質量%であることが好ましく、15〜55質量%であることがより好ましい。
前記ハイドロタルサイトは、結晶性複合金属水酸化物であり、下記一般式(H)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
【化4】
上記一般式(H)中、M
2+はMg、Mn、Fe、およびZnからなる群から選択される金属の2価金属イオン、M
3+はAl、FeおよびCrからなる群から選択される金属の3価金属イオン、A
n−はOH、F、Cl、Br、NO
3、CO
3およびSO
4からなる群から選択される基のn価のアニオン、xは0<x≦0.33の範囲であり、nは整数であり、mは0以上である。
ここで、mは好ましくは0であるが、ハイドロタルサイトの乾燥状態や保管状態により変動するものであり、本発明の効果を損なわない範囲であれば特にmを限定するものではない。nはアニオンの価数であり、好ましくは1又は2、より好ましくは2である。
これらの中でも、M
2+がMg
2+、M
3+がAl
3+であるハイドロタルサイトが好ましく、Al:Mgのモル比は、入手のし易さから2:5〜2:10が好ましい。例えば、Al:Mgのモル比が2:5である場合には、Alのモル分率x(x=Al/(Mg+Al))は0.29であり、AlとMgのモル比が2:10の場合には、Alのモル分率xは0.17である。
前記ハイドロタルサイトは、亜硝酸塩の反応性を向上させる作用を有する。ハイドロタルサイトを配合することにより、ガス発生剤の加熱時に発生し得るアンモニアガスの分解を促進し、亜硝酸塩の反応性を向上させることで亜硝酸ガスの発生を抑制し、窒素ガスの生成を促進しガス発生剤の発泡性を向上することができる。前記ハイドロタルサイトの粒子径は特に限定されるものではないが、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩と亜硝酸塩との反応に効果的に作用させるために、ガス発生剤中での分散性を高めることが好ましく、最大粒子径が80μm以下の微粉ハイドロタルサイトがより好ましい。
本実施形態のガス発生剤において、ハイドロタルサイトの含有量は、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩と補助剤との合計質量に対して1〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
【0018】
本実施形態のガス発生剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の安定剤、顔料・充填材、発泡調節剤等を更に配合してもよい。安定剤としては、特に限定されないが、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸塩、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ジブチルチンマレート、尿素等が挙げられる。顔料・充填材としては、特に限定されないが、例えば、クロムイエロー、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。また発泡調節剤としては、特に限定されないが、例えば、マレイン酸等が挙げられる。
本実施形態のガス発生剤の製造方法は特に限定されるものではなく、一般的な混合方法を用いることができる。例えば、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩、亜硝酸塩及びハイドロタルサイトを、高速ミキサー、リボンブレンダー、コーンブレンダー等を用いて、温度60℃以下、時間5分程度の条件で均一に分散するように混合すればよい。
【0019】
本実施形態のガス発生剤は、マイクロカプセル型のガス発生剤であってもよい。
本実施形態において、マイクロカプセル型のガス発生剤とは、コアシェル構造を有するガス発生剤のことをいう。
マイクロカプセル型のガス発生剤として、具体的には、例えば、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩、又はアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩以外にさらに前記補助剤等を含有させた組成物をコア成分として有するマイクロカプセル型のガス発生剤が挙げられる。当該マイクロカプセル型のガス発生剤のシェルの主成分は、特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチルであり、かつ分散剤として後述する脂肪酸塩または界面活性剤を含むことが好ましい。このようなマイクロカプセル型のガス発生剤を用いてゴムや熱可塑性樹脂に気泡を導入することで、加硫や架橋を阻害することなく、さらに分解残渣やVOC成分を発生することなくポリマー中に均一な気泡を導入できるため、架橋密度の低下が抑制され、かつ気泡状態が良好で発泡性に優れた架橋発泡体を得ることができる。
前記ポリメタクリル酸メチルは、メタクリル酸メチルモノマーを構成単位とするホモポリマーであることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で他のモノマーを共重合してもよい。他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、酢酸ビニル、α-メチルスチレン、クロロプレン、ネオプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0020】
前記マイクロカプセル型のガス発生剤を製造する際に用いる架橋剤(D)としては、特に限定されないが、例えば、(ポリ)エチレングリコール、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、メタクリル酸アリル、イソシアン酸トリアリル、トリアクリルホルマール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸1,3-ブチルグリコール、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、エチレングリコールジメタクリレート、(ポリ)エチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンが好ましい。
【0021】
架橋剤(D)の添加割合はマイクロカプセルシェルモノマー質量(メタクリル酸メチルモノマー及び他のモノマーの合計質量)に対して1〜5質量%が好ましい範囲である。架橋剤(D)の割合が1質量%未満ではカプセルシェルの架橋が不十分で、コア成分が分解した際に発生する分解残渣を効率よく吸着できないため、分解残渣は容易にカプセルシェルを通過してしまう。架橋剤(D)の割合が5質量%を超えるとカプセルシェルは硬く脆くなり、コア成分の分解時にカプセルシェルが破損してしまい、分解残渣の吸着効果は低下する。
【0022】
前記マイクロカプセル型のガス発生剤を製造する際に用いる重合開始剤としては特に限定されず、この分野で一般的に使用されているものを使用することができる。使用できる重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物が挙げられる。具体的には、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化ジアルキル類、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化ジアシル類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のパーオキシエステル類、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物類等が挙げられる。
【0023】
前記マイクロカプセル型のガス発生剤は、懸濁重合法等の乳化重合法により製造することができる。例えば、マイクロカプセルシェルのモノマー(例えば、メタクリル酸メチルモノマー)、架橋剤(D)、重合開始剤を有する油相(O相)に、固相(S相)のコア成分(例えば、アミノグアニジン化合物のシュウ酸塩、又はアミノグアニジン化合物のシュウ酸塩以外にさらに前記補助剤等を含有させた組成物)を添加し攪拌混合することでS/O乳濁液を調整する。このS/O乳濁液を水相(W相)に添加し攪拌混合することでS/O/W懸濁液を調整する。このS/O/W懸濁液をオートクレーブ等の加圧重合反応装置に仕込み加圧重合しケーキ状物質を得る。このケーキ状物質を濾過や遠心分離等の一般的な方法により濾別し、得られた残渣を蒸留水で3〜5回程度洗浄した後、乾燥機を用いて温度40〜60℃で一昼夜乾燥することで、前記マイクロカプセル型のガス発生剤を得ることができる。加圧重合条件としては、一般的な条件を用いることができるが、例えば、重合温度は40〜70℃、重合時間は10〜24時間、重合圧力は0.2〜0.3MPaである。
【0024】
懸濁重合においては分散安定剤や分散安定補助剤の存在下で行うのが好ましい。分散安定剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等を使用することができる。特にシリカ、リン酸カルシウムが好ましい。
【0025】
分散安定補助剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル等を使用することができる。
【0026】
分散安定剤と分散安定補助剤との好ましい組み合わせとして、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせが挙げられる。縮合生成物は、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸の縮合生成物やジエタノールアミンとイタコン酸の縮合生成物が好ましい。縮合物は酸価によって規定されるが、酸価65以上90以下が好ましい。さらに無機塩、特に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等を添加すると粒径が細かく均一なマイクロカプセル型のガス発生剤を得るのに好適である。
【0027】
前記マイクロカプセル型のガス発生剤は分散剤として脂肪酸塩または界面活性剤を含むことが好ましい。これらの脂肪酸塩または界面活性剤は、マイクロカプセル型のガス発生剤を製造する際に、マイクロカプセルシェルのモノマー、架橋剤(D)、重合開始剤を有する油相(O相)に添加される。前記マイクロカプセル型のガス発生剤における脂肪酸塩または界面活性剤の含有量は、コア成分(前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物以外にさらに前記補助剤等を含有させた組成物)に対して0.01〜3質量%であることが好ましい。当該含有量が0.01質量%以上である場合はコア成分の安定性が十分である為に固相/油相液滴が合一することが抑制され、重合時に凝集物となり難い傾向にある。当該含有量が3質量%以下である場合は固相/油相液滴の粘性が高くなり過ぎず、液滴同士がくっつき難くなってマイクロカプセル粒子の粒度分布が広がることが抑制される傾向にある。
【0028】
前記脂肪酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。これら脂肪酸塩のうちでも、好ましくは炭素数15〜22の高級脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種以上であり、より好ましくはカリウム、カルシウム、リチウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の高級脂肪酸金属塩である。また、本発明の効果を損なわない範囲で酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等を使用してもよい。
【0029】
前記界面活性剤としては、特に限定されず、公知の陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アリルスルホネート等のスルホネート型陰イオン界面活性剤、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート等のサルフェート型陰イオン界面活性剤、リグニン亜硫酸塩等が挙げられる。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の糖エステル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油等の植物油型非イオン界面活性剤、ボリオキシエチレンアルキルエーテル等のアルコール型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキル(C8〜12)フェニルエーテル・ホルマリン縮合物等のアルキルフェノール型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー型非イオン界面活性剤、フェニルフェニルエーテル等の多芳香環型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
前記の界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が最も好適である。また、本発明の効果を阻害しない範囲において、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び各種添加物を併用することも可能である。
【0031】
前記界面活性剤のHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)は、0.01〜16が好ましい範囲であり、より好ましくは0.01〜9であり、さらに好ましくは0.01〜3である。HLB値が16よりも大きい場合は界面活性剤の親水性が強く、固相/油相液滴中の固相が水相寄りになってしまう。固相/油相液滴の固相が水相寄りになってしまうと重合後のマイクロカプセル粒子の表面付近にコア成分が集まってしまい、コア成分の分解時の分解残渣低減効果は薄い。HLB値が16以下の場合は、固相/油相液滴中の固相が均一に油相へ分散する為、分解残渣の低減効果は高い。特に、HLB値が3以下の場合は界面活性剤の親油性が高く、固相/油相液滴中の固相が油相の中心に集まり、重合後には粒子の中心にコア成分が集まったマイクロカプセル型のガス発生剤が得られ、加熱時の分解残渣の低減効果も高い。
【0032】
本実施形態の発泡用組成物は、上述のガス発生剤と被発泡材料とを含有する。
本実施形態の発泡用組成物において、上述のガス発生剤と共に含有させる被発泡材料としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂及び/又はゴムが挙げられる。被発泡材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体で例示されるポリオレフィン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本実施形態の発泡用組成物は、架橋剤(E)をさらに含有していてもよい。本実施形態の発泡用組成物に含有させる架橋剤(E)は、上述のガス発生剤に含有させる架橋剤(C)と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0033】
本実施形態の発泡体は、上述の発泡用組成物を発泡させた発泡体である。
本実施形態の発泡体を製造する方法としては、上述のガス発生剤と被発泡材料とを含有する発泡用組成物を加熱する工程を含む方法であれば特に限定されず一般的な発泡体の製造方法を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、架橋剤(E)、及び上述のガス発生剤を、加熱した混練りロールで混練りし、発泡用組成物(未発泡樹脂組成物)を調製することができる。混練温度は好ましくは90〜130℃である。ここで発泡用組成物中に含有させる架橋剤(E)としては、特に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス[t−ブチルパーオキシ]シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルパーオキシソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド等が挙げられる。前記架橋剤(E)は1種単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。また、発泡用組成物中の架橋剤(E)の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜1.5質量部であることがより好ましい。
【0034】
このようにして得られた未発泡樹脂組成物を金型内に充填し、プレス機で加圧することにより樹脂組成物(例えば、熱可塑性樹脂)の発泡体が得られる。金型厚み、加圧条件などは特に制限されず、熱可塑性樹脂の種類や用途などに応じて従来公知の発泡体成形方法を適宜採用することができる。例えば、厚み1〜30mmの金型内に未発泡樹脂組成物を100%充填し、プレス機で100〜170℃、及び150kg/cm
2の条件下、3〜60分間加圧し、3〜60分水冷することによりシート状組成物を得る。得られたシート状組成物を1日静置した後、40〜80℃のオーブンで1時間加熱し、130〜250℃で150〜600秒間加熱して樹脂組成物の発泡体が得られる。
【0035】
このようにして樹脂組成物の発泡体を製造する際、上述のガス発生剤の使用量は、目的の発泡倍率に応じて適宜選択しうるものであって特に制限はないが、好ましくは合成樹脂材料100質量部に対し1〜30質量部配合される。
【0036】
本実施形態に用いるゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルーブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
上述のガス発生剤をゴムに配合して発泡用組成物を調製し、それにより発泡体を製造する方法としては、一般的な発泡体の製造条件を用いることができる。例えば、ゴム材料、加硫剤、充填剤、加硫促進剤、及び上述のガス発生剤を混練りロールで均一に分散させ、発泡用組成物を得る。得られた発泡用組成物を70〜90℃に加熱した押出機へ投入して未加硫成形体を調製する。得られた未加硫成形体を60〜220℃に加熱したオーブン中で5〜15分加熱することで加硫及び発泡を行い、ゴム材料の発泡体が得られる。
【0038】
発泡用組成物中における各成分の配合割合は特に制限されないが、ゴム材料100質量部に対し、加硫剤は好ましくは0.1〜10質量部配合される。充填剤は、ゴム材料100質量部に対し好ましくは10〜150質量部配合される。加硫促進剤は、ゴム材料100質量部に対し好ましくは0.1〜20質量部配合される。
【0039】
このようにしてゴム材料の発泡体を製造する際、上述のガス発生剤の使用量は、目的の発泡倍率に応じて適宜選択しうるものであって特に制限はないが、好ましくはゴム100質量部に対し1〜20質量部配合される。
【0040】
本実施形態で用いられる加硫剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、硫黄が挙げられる。
本実施形態で用いられる充填剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、重質、軽質炭酸カルシウム、カーボンブラックが挙げられる。
本実施形態で用いられる加硫促進剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸系加硫促進剤が挙げられ、具体的には、例えば、DM(ジベンジルチアゾル・ジスルフィド)、ジメチルジチオカルバミン亜鉛、ジブチルジチオカルバミン亜鉛が挙げられる。
本実施形態の発泡用組成物には、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ダイアナプロセスオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化カルシウム、尿素系助剤、二酸化ケイ素(シリカ)、タルク、酸化マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、水酸化カルシウム、ステアリン酸バリウム、二塩基性亜リン酸鉛、酸化鉛等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。以下に示す実施例、比較例においては、特に限定しない限り、ガス発生剤に用いる化合物の構造は、CHN元素分析及び融点により同定し、ガス発生剤の分解開始温度、発生ガス量、アンモニア発生量の評価は、それぞれ以下の方法で行った。
【0042】
<ガス発生剤の分解開始温度の測定>
ガス発生剤の分解開始温度は、示差熱−熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製EXSTAR6000)を用いて、大気下、25℃を開始温度として10℃/minで昇温するという条件で測定した。分解開始温度は、昇温開始時の重量に対して、5%重量減少した温度とした。
【0043】
<発生ガス量の測定>
ガス発生剤0.5gを試験管に取り、熱媒体として流動パラフィン10mLを添加した後、試験管とガスビュレットとをゴム管でつなぎ、試験管を60℃のオイルバスに浸した。その後、オイルバスを2℃/minの昇温速度で、240℃まで加熱した。当該加熱中に発生したガスをガスビュレットですべて捕集し、ガス発生剤1gあたりの発生ガス量(mL)を求めた。
【0044】
<アンモニア発生量の測定>
ガス発生剤0.5gを試験管に取り、熱媒体として流動パラフィン1mLを添加した後、この試験管と、ねじ口試験管と、0.1N塩酸を100mL入れたねじ口瓶とを、この順にゴム管でつないだ。窒素ガスを流速0.4L/minで流しながら、ガス発生剤を入れた試験管をブロックヒーターにて、228℃になるまで加熱した。当該加熱中に発生したアンモニアガスを0.1N塩酸に捕集し、塩酸中のアンモニウムイオンをイオンクロマトグラフ(日本ダイオニクス(株)製DX−320J)にて定量して、ガス発生剤1gあたりの発生したアンモニアガス量(mg)を求めた。
【0045】
(合成例1)アミノグアニジンシュウ酸塩(2)の合成
【化5】
50mLナスフラスコにアミノグアニジン炭酸塩(東京化成工業(株)製)3.98g(29mmol)、水18gを加えた後、磁気攪拌子を用いて攪拌した。次いでシュウ酸2.63g(29mmol)を少量ずつ加え、発泡が収まるまで攪拌した。析出した白色固体を濾取、メタノールで洗浄した後、50℃で18時間真空乾燥させ、白色固体3.39g(21mmol)を得た。得られた固体を炭素、水素、窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,21.96;H,4.91;N,34.14に対し、実測値C,21.78;H,4.75;N,34.22であり、アミノグアニジンシュウ酸塩であることを確認した。モル収率は71%であった。また、得られた固体について、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、211〜212℃であった。
【0046】
(比較合成例1)グアニジンシュウ酸塩(3)の合成
【化6】
30mLナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩(東京化成工業(株)製)1.80g(10mmol)、水2.5mLを加え、室温で撹拌した後、シュウ酸(和光純薬工業(株)製)を907mg(10mmol)加えた。シュウ酸を加えると発泡した。さらに、3時間撹拌した後、反応液をエタノールに滴下し、析出した白色固体を、濾取、エタノールで洗浄した後、50℃で17時間真空乾燥して、白色固体1.55g(7.5mmol)を得た。得られた固体を炭素、水素、窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,23.08;H,5.81;N,40.37に対し、実測値C,23.05;H,6.22;N,39.92であり、グアニジンシュウ酸塩であることを確認した。モル収率は75%であった。また、得られた固体について、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、149〜150℃であった。
【0047】
(実施例1)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)の分解開始温度及び発生ガス量を測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0048】
(比較例1)
比較合成例1で得られたグアニジンシュウ酸塩(3)の分解開始温度及び発生ガス量を実施例1と同様の条件で測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0049】
(比較例2)
グアニジン炭酸塩(東京化成工業(株)製)の分解開始温度及び発生ガス量を実施例1と同様の条件で測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0050】
(比較例3)
グアニジン硝酸塩(東京化成工業(株)製)の分解開始温度及び発生ガス量を実施例1と同様の条件で測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0051】
(比較例4)
アミノグアニジン炭酸塩(東京化成工業(株)製)の分解開始温度及び発生ガス量を実施例1と同様の条件で測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0052】
(比較例5)
アミノグアニジン硝酸塩(SIGMA-ALDRICH社製)の分解開始温度及び発生ガス量を実施例1と同様の条件で測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0053】
(比較例6)
4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)(永和化成工業(株)製)の分解開始温度及び発生ガス量を実施例1と同様の条件で測定した。分解開始温度及び発生ガス量を表1に示す。
【0054】
【表1】
表1から、アミノグアニジン等はシュウ酸と塩を形成することにより、発生ガス量が増える、あるいは分解開始温度が120℃以上と汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの成形温度に対応可能となることがわかった。
【0055】
(実施例2)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)のアンモニアガス発生量をブロックヒーターでの加熱温度を185℃に変えた以外は上記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
【0056】
(比較例7)
比較合成例1で得られたグアニジンシュウ酸塩(3)(式(3)で表される化合物)のアンモニアガス発生量を、上記記載と同様の条件で測定した。結果を表2に示す。
【0057】
(比較例8)
アゾジカルボンアミド(ADCA)(永和化成工業(株)製)のアンモニアガス発生量を、ブロックヒーターでの加熱温度を210℃に変えた以外は、上記記載と同様の条件で測定した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
表2より、本実施形態のガス発生剤はアンモニアガス発生量が少なく、汎用プラスチック(例えば、熱可塑性樹脂)及びゴムの化学発泡剤として、成型時に金型を汚染することなく、安全性に優れることがわかった。
【0059】
(実施例3)
120℃に加熱されたオープンロールでポリエチレン(商品名「LE200M」日本ポリエチレン(株)製)100質量部を混練し、続いて合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)16質量部を添加して4分30秒混練し、続いてジクミルパーオキサイド(DCP)(商品名「パークミルD」、日油(株)製)0.8質量部を添加して1分30秒混練してオープンロールから混練物を取り出した。165℃に加熱されたプレス装置の金型(2mm)の内容積100%充填となるように混練物を投入し、プレス圧力50kg/cm
2で3分間加圧し、続いてプレス圧力150kg/cm
2で3分間加圧し、5分間水冷しシート状組成物を得た。得られたシート状組成物を1日静置した後、60℃のオーブンで1時間加熱し、220℃で244秒間加熱し、発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0060】
(実施例4)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)の添加量を23質量部に変え、220℃で加熱する時間を244秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0061】
(実施例5)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)の添加量を23質量部に変え、DCPの添加量を1.5質量部に変え、220℃で加熱する時間を261秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0062】
(実施例6)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)の添加量を23質量部に変え、DCPの添加量を0.3質量部に変え、220℃で加熱する時間を268秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0063】
(実施例7)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)の添加量を23質量部に変え、DCPを1,1−ビス[t−ブチルパーオキシ]シクロヘキサン(商品名「パーヘキサC−40」、日油(株)製)2.0質量部に変え、220℃で加熱する時間を250秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0064】
(実施例8)
合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)の添加量を23質量部に変え、DCPをジ−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名「パーブチルP」、日油(株)製)0.8質量部に変え、220℃で加熱する時間を240秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0065】
(比較例9)
ガス発生剤をアゾジカルボンアミド(ADCA)(永和化成工業(株)製)に変え、220℃で加熱する時間を305秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0066】
(比較例10)
ガス発生剤を炭酸水素ナトリウム(商品名「セルボンFE−507」、永和化成工業(株)製)に変え、220℃で加熱する時間を240秒にした以外は実施例3と同様の条件で発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
なお、本実施例において、発泡体の比重、発泡倍率及び気泡数は以下のとおり測定した。
比重:電子比重計 MD−200Sにより測定した。
発泡倍率:ポリエチレンの比重(0.92g/cm
3)/発泡体の比重により算出した。
気泡数:マイクロスコープ HIROX KH7700 2D計測により測定した。
表3より本発明のガス発生剤を用いることで、白色の発泡体が得られることがわかった。
【0068】
(実施例9)
冷却(通水)されたロール機で飽和炭化水素ゴム(商品名「EPT 4021」三井化学(株)製)100質量部を混練し、続いてカーボンブラック(商品名「旭#50UG」旭カーボン(株)製)70質量部、軽微性炭酸カルシウム(近江化学工業(株)製)40質量部、ダイアナプロセスオイル(商品名「PW−90」出光興産(株)製)45質量部、酸化亜鉛(ZnO(亜鉛華)三井金属鉱業(株)製)5質量部、及びステアリン酸(CH
3(CH
2)
16COOH、商品名「つばき」日油(株)製)1質量部を添加して混練して混練物Aを得た。当該混練物Aを1日以上、常温で保管して熟成させた。冷却(通水)されたロール機で前記熟成させた混練物Aを混練し、続いてジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(ジメチルジチオカルバミン亜鉛、商品名「ノクセラーPZ」大内新興化学工業(株)製)1.1質量部、ジチオカルバミン酸系加硫促進剤(ジブチルジチオカルバミン亜鉛、商品名「ノクセラーBZ」大内新興化学工業(株)製)1.7質量部を添加して混練し、続いて硫黄(商品名「微粉硫黄S」細井化学工業株式会社製)1.7質量部、酸化カルシウム(商品名「Fライム1300D」株式会社カルファイン製)5質量部、合成例1で得られたアミノグアニジンシュウ酸塩(2)(式(2)で表される化合物)5.25質量部、及び尿素系助剤(商品名「セルペーストK5」永和化成工業(株)製)6質量部を添加して混練してロール機から混練物Bを取り出した。当該混練物Bを押出機に投入し、ダイス温度50℃で押出成形し、シート状の成形体を得た。得られたシート状の成形体を1日常温で熟成(エージング)した後、180℃のオーブンで10分間加熱して発泡体を得た。得られた発泡剤の発泡倍率は1.280であった。なお、当該発泡倍率を算出するためのブランクとしてアミノグアニジンシュウ酸塩(2)を配合しなかった以外は上記混練物Bの製造方法と同様にして混練物Cを製造し、当該混練物Cの比重を測定した。当該発泡倍率は、混練物Cの比重(0.860g/cm
3)/発泡体の比重(0.672g/cm
3)により算出した。また、比重は、電子比重計 MD−200Sにより測定した。