(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定部が、前記生体組織に光を照射し戻ってきた光を受光して、受光信号に基づいて血流量を測定するものであることを特徴とする請求項1または2記載の血流計測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の指標値は、例えばSPPはカフを下肢に巻いて加圧する必要があって虚血状態の患者には負担が大きいなど、指標値の取得が困難な場合もあり、新たな指標値が望まれている。
また、従来の指標値では、血行障害などの症状段階が異なる患者群の区別は必ずしも明瞭ではないため、血行状態が悪い患者群と比較的状態のよい他の患者群とを明確に区分できる新たな指標値が望まれている。
本発明は、血行状態を明瞭に示した新たな指標値を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の血行状態評価方法は、
生体組織の血流量を、時間経過を経ながら複数回測定する測定過程と、
上記測定過程で測定された血流量の時間変化の傾きを算出する傾き算出過程と、
上記傾きの値を、予め決められた基準値と比較することで上記生体組織における血流状態を評価する評価過程と、
を経ることを特徴とする。
【0006】
本発明の血行状態評価方法では、血流量の時間変化の傾きを血流状態評価の指標値として用いている。この傾きが、血行状態を明瞭に示す指標値となっていることは本発明者らが行った臨床的試験によって新たに見いだされた事実である。
また、この臨床的試験では、血流量の測定が生体組織の表層(例えば表皮)における血流量を測定するものであっても、傾きの値が、その表層の下の部位(例えば筋肉など)を含んだ組織塊における血行状態を明瞭に示すことも確認された。
更に、この臨床的試験では、傾きを指標値として用いると、虚血状態などのように血行状態がかなり悪化している被検者群とそこまで至っていない被検者群とで指標値の分布に明瞭な差異が生じることも新たに見いだされた。
本発明の血行状態評価方法は、このような発見的事実に基づいた発明であり、本発明の血行状態評価方法によれば、血行状態を明瞭に示した新たな指標値を得ることができ、そのような指標値に基づいて的確な評価を行うことができる。
【0007】
上記目的を達成する本発明の血流計測装置は、
生体組織の血流量を時間経過を経ながら複数回測定する測定部と、
上記測定部で測定された血流量の時間変化の傾きを算出する傾き算出部と、
上記傾き算出部によって算出された傾きの値を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の血流計測装置によれば、血流量の時間変化の傾きを得ることができ、血行状態を明瞭に示す指標値として評価に用いることができる。
【0008】
時間変化する量を分析する数学的手法としては、例えば量の減少に関する分析に限っても、1階微分(傾き)、2階微分、減少率(元の量に対する減少分の比率)、減衰比(元の量に対する減衰後の量の比率)、崩壊定数、半減期(半値半幅)、時定数、など様々な手法が知られている。そして、このように数多存在する分析手法の中から、血行状態を明瞭に示す指標値が得られるような分析方法を見つけ出すことは、指標値が適切であるかどうかを臨床的試験によって確認する手間だけを考えても決して容易ではない。
特に、従来のSPPやTcPO2と同レベルでの信頼性を有した指標値を見つけようとすればその手間は尚更である。
しかも、血流量の測定対象が生体組織の表層(例えば皮膚)であるにも関わらず、血行状態としては、上肢や下肢、前腕や足、臀部などといった、ある程度の大きさを有する組織塊(表層の下の部位も含んだ組織塊)における血行状態を正しく評価できる指標値を見つけることが必要となれば、測定値自体の分析とは全く意味が異なる。
【0009】
逆に、指標値としての医学的な信頼性が臨床的試験などで確認されていないのに、数学的な分析値を算出し表示する機能を血流計測装置に搭載することは、医療技術としての観点で言えば決して有用ではなく、却って「雑音」を増やして有用性を損なうこととなる。
本発明者らは、今回行った臨床的試験によって、血流量の時間変化の傾きが、血行状態(特に上述した組織塊での血行状態)を明瞭に示す指標値であるという事実を新たに見いだした。このような傾きは、本発明者らによって信頼性が確認されるまでは、血行状態の指標として常識的でも慣用的でもなく、本発明の血行状態評価方法および血流計測装置は、従来の医療技術における常識や慣用とは一線を画した発明といえる。
【0010】
本発明の血流計測装置は、上記測定部が、上記生体組織に光を照射し戻ってきた光を受光して、受光信号に基づいて血流量を測定するものであることが好ましい。この好ましい血流計測装置によれば、血流量を非侵襲的手法で測定することができ、生体組織への負担が少ない。また、光によって血流そのものから血流量を測定するので、特に血流量の変化について精度のよい測定が実現する。
また、本発明の血流計測装置は、上記測定部が、上記生体組織に貼り付けられたプローブで生体組織に対して光の送受を行うものであることが更に好ましい。この更に好ましい血流計測装置によれば、例えば患者の体動のような生体組織の全体的な動きが血流量の測定に与える影響を抑制し、精度よく血流量を測定することができる。
【0011】
上記目的を達成する本発明の血流計測システムは、
生体組織に対し、血流量を変化させる刺激を付与する刺激付与装置と、
上記刺激付与装置による上記刺激の付与中あるいは付与後に上記生体組織の血流量を計測する血流計測装置とを備え、
上記血流計測装置が、
生体組織の血流量を時間経過を経ながら複数回測定する測定部と、
上記測定部で測定された血流量の時間変化の傾きを算出する傾き算出部と、
上記傾き算出部によって算出された傾きの値を表示する表示部と、
を備えたものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の血流計測システムによれば、血流計測装置で血流量の時間変化の傾きを得ることができ、血行状態を明瞭に示す指標値として評価に用いることができる。また、刺激付与装置で生体組織に刺激を与えることで血流量の変化を促すので、容易に指標値を得ることができる。
また、本発明の血流計測システムは、
上記刺激付与装置が、上記生体組織を加温するものであり、
上記血流計測装置が、加温後の血流量を計測するものであることが好ましい。
この好ましい血流計測システムによれば、加温、冷却、摩擦、振動付与、化学的刺激など、様々想定し得る刺激のうち、比較的穏やかで生体組織への負担が小さい加温を用いることにより、安全性を保ちながら適切な指標値を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、血行状態を明瞭に示した指標値を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について以下図面を参照して説明する。
図1は、本発明の血流計測システムの一実施形態を示す外観図である。
本実施形態の血流計測システム10は、パーソナルコンピュータ100にレーザ光の発光と受光を行う発光受光器200と加温シート400が接続された構成となっている。
加温シート400は生体組織(例えば被検者の手足など)に貼り付けられてその生体組織を加温するものである。
発光受光器200から発せられたレーザ光は光ファイバー310を介してプローブ300へと導かれる。
【0016】
プローブ300も生体組織(例えば被検者の手足など)に貼り付けられてその生体組織に光を照射するものである。また、プローブ300は、生体組織から戻ってきた光を受けて光ファイバー310に送り込む。
プローブ300から光ファイバー310を介して送られてきた光は発光受光器200で受光され、受光強度を表した電気的な受光信号に変換される。この受光信号は発光受光器200からパーソナルコンピュータ100へと送られる。
次に、この血流計測システム10の機能について説明する。
【0017】
図2は、血流計測装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
上述したように、血流計測システム10の加温シート400は例えば被検者の下肢20に貼り付けられ、その貼り付けられた箇所を加温する。一方、プローブ300は、加温シート400によって加温された箇所に、加温シート400と交換で貼り付けられる。但し、加温シート400は透明なシートであるため、加温シート400上に更にプローブ300を貼り付けて加温中の測定を行うことも可能である。
パーソナルコンピュータ100内には、機能的な構成要素として信号取得部110と、流量算出部120と、傾き算出部130と、加温制御部140と、GUI部150が備えられている。加温シート400はパーソナルコンピュータ100から給電されて加温を行い、加温制御部140によって温度なども制御される。
【0018】
加温シート400と加温制御部140とを併せたものが、本発明に得刺激付与装置の一例に相当する。また、血流計測システム10のうち、加温シート400と加温制御部140を除いた他の部分が、本発明の血流計測装置の一実施形態に相当する。
被検者の下肢20などに貼り付けられたプローブ300から照射されて戻ってきた光は、上述したように発光受光器200で受光されて受光信号に変換される。プローブ300が生体組織に貼り付けられているので、例えば体動などのような、血流以外の動きによる影響が抑えられる。また、プローブ300から照射されて生体組織内で散乱された光は、血流そのものによる散乱成分を多く含んでおり、この散乱成分から血流量を算出することにより、血流量が非侵襲かつ直接的に測定されることとなる。なお、ここで測定される血流量は、被検者の皮膚の毛細血管における血流量であり、皮膚の下に存在する筋肉や太い血管などにおける血流量は直接には測定されない。
【0019】
発光受光器200で得られた受光信号は、パーソナルコンピュータ100の信号取得部110によって経時的に取得されて流量算出部120へと送られる。流量算出部120では、受光信号に対してFFT(高速フーリエ変換)が施されて周波数成分が算出され、血流の流速範囲に相当する周波数範囲の信号強度から血流量が算出(測定)される。血流量の算出は、信号取得部110による受光信号の経時的な取得と並行して継続的に行われ、各時刻での血流量が経時的に算出される。
プローブ300から流量算出部120に至る部分が、本発明にいう測定部の一例に相当する。
【0020】
傾き算出部130は、流量算出部120で算出された血流量から、血流量の時間変化の傾きを算出する。この傾き算出部130が、本発明にいう傾き算出部の一例に相当する。傾き算出部130によって傾きが算出される時間区間(算出区間)は、ユーザによるマニュアル設定であってもよいし自動設定であってもよいが、後述する一過性上昇後の時間区間であることが望ましい。
流量算出部120および傾き算出部130による算出結果は、GUI部150によってパーソナルコンピュータ100のディスプレイ上に表示される。また、このGUI部150におけるユーザの操作によって、信号取得部110、流量算出部120、傾き算出部130、および加温制御部140に対して各種の設定が指示される。このGUI部150が、本発明にいう表示部の一例に相当する。
【0021】
図3は、GUI部による画面表示の例を示す図である。
GUI部150によってディスプレイ上に表示される表示画面400には機能ボタンと表示欄が設けられており、機能ボタンをポインティングデバイスなどによって選択することで各種の機能をパーソナルコンピュータ100に指示することができ、表示欄には各種の算出結果が表示される。
【0022】
設定部の各機能ボタン410をユーザが選択することで、各設定用の画面が開き、その設定用の画面を介して、サンプリング周波数や測定時間などの測定条件、測定結果の表示条件、傾きの算出区間などの算出条件、加温の温度条件などが設定される。測定条件は
図2の信号取得部110に設定され、表示条件はGUI部150自身に設定され、算出条件は
図2の流量算出部120や傾き算出部130に設定され、温度条件は
図2の加温制御部140に設定される。
【0023】
測定部の各機能ボタン430をユーザが選択することで、測定の開始や終了が指示され、測定値表示欄450には、測定された血流量の最新値が表示される。
グラフ表示欄440には流量算出部120によって経時的に測定された血流量の時間経過を表したグラフが表示される。
グラフ操作部の各機能ボタン420をユーザが選択することで、グラフの保存や読出しや印刷が指示される。
傾き表示欄460には、血流量の測定値から傾き算出部130によって算出された傾きの値が(下)肢の虚血重症度(Ischemic Severity of Extremity)として表示される。
【0024】
図4は、健常者における血流量の測定例を示すグラフであり、
図5は、下肢虚血の患者における血流量の測定例を示すグラフである。
図4および
図5の横軸は経過時間(秒)を表し、縦軸は血流量を表している。
健常者の場合、
図4に示すように、加温を止めてからしばらくは血流量が上昇し、その後、徐々に血流量が減少するが、下肢虚血の患者の場合は、
図5に示すように血流量の減少が少なく、殆ど減少が見られない例もある。健常者の場合と下肢虚血の患者の場合のいずれでも、図中に矢印で示したように、加温を止めてからの一時的な血流量の上昇(一過性上昇)が見られ、その一過性上昇の後の血流量変化に、健常者と下肢虚血の患者とで顕著な差異が生じる。
【0025】
加温後における血流量の減少(即ち一過性上昇後の減少)は、加温によって増進していた血流が、加温箇所から周囲に再配分されるというメカニズムで生じていると考えられる。血行状態が悪化して虚血状態になると再配分が阻害されて、
図5に示すように血流量の減少も遅くなるという傾向が見られる。
本発明者らは、血流量の傾きが血行状態の指標値として適切である可能性に思い至り、臨床的な試験で指標値としての精度(信頼性)を検証した。なお、
図4,
図5に示すような時間的に減少する変化における傾きの値は数学的にはマイナスの値で表現されるが、本実施形態では血流量が減少する方向の傾きをプラスの値で表すものとする。
【0026】
図6は、血流量の傾きとTcPO2との相関性を示すグラフである。
図の横軸はTcPO2の値(mmHg)を示し、縦軸は血流量の傾き(Flow/min)を示している。
グラフ上には、多数の被検者についてTcPO2と血流量の傾きを測定した結果がプロットされている。
グラフ上でのプロット点の分布は、主に第1集団G1と第2集団G2に集中しており、第1集団G1は、血流量の傾きが0.20以上であるとともにTcPO2の値が30mmHg以上となっており、第2集団G2は、血流量の傾きが0.20未満であるとともにTcPO2の値が30mmHg未満となっている。
【0027】
また、TcPO2の値が30mmHg未満であることは、下肢の血流状態が有病ないしは重症下肢虚血であることの診断基準として医学界にて従来から用いられており、この基準によれば、第2集団G2は有病ないしは重症下肢虚血であり、第1集団G1は比較的血行状態がよいということになる。
プロット点が主に第1集団G1と第2集団G2に集中していることは、「血流量の傾きが0.20」という閾値が「TcPO2の値が30mmHg」という診断基準値にほぼ相当していることを示唆しており、血流量の傾きは血行状態を示す指標としてTcPO2の値と同程度の信頼性を有すると言える。
【0028】
このような試験によって、血流量の傾きがTcPO2と同程度に信頼性のある指標値であることが確認できた。なお、ここでは図示等は省略するが、本発明者らは、SPPと血流量の傾きとの相関性についても検証しており、この検証でも、血流量の傾きがSPPと同程度に信頼性のある指標値であることが確認できた。
ところで、上述したように血流量の測定は皮膚の毛細血管における血流量の測定であるのに対し、TcPO2やSPPによって評価される血行状態は、皮膚の下に存在する筋肉なども含んだ組織塊における血行状態である。つまり、皮膚の血流量の値には、組織塊の血行状態を表す状態量が潜在しており、血流量の傾きが用いられることによってその状態量が顕在化したと言える。
【0029】
具体的には、皮膚の血流量の傾きは、上述した血流の再配分の程度を表していると考えられる。そして、この血流の再配分は、皮膚の下の部位も含んだ組織塊に存在する血管網において血管が刺激に対して拡張・収縮を行った結果として生じていると考えられる。
このような血管の拡張・収縮については、虚血状態などを生じていると刺激に対する反応が乏しくなることが知られており、今回の臨床的試験で、血行状態の悪い第2集団G2における血流量の時間変化の傾きが、比較的血行状態がよい第1集団G1に較べて有意に小さいという結果が得られたのは、組織塊におけるこのような反応の乏しさが「血流量の傾き」という指標によって顕在化した結果であると考えられる。
【0030】
このことから、血流量の時間変化を生じさせる刺激の種類に関わらず、血流量の時間変化の傾きは組織塊の血行状態を明瞭に示している可能性が高いと推察される。即ち、通常状態から加温して血流が増加するときの傾きや、通常状態から冷却して血流量が減少するときの傾きや、冷却によって減少した血流量が通常量に上昇するときの傾きも、血行状態を明瞭に示している可能性が高いと推察される。
また、温度変化以外の刺激(例えば摩擦、振動付与、化学的刺激など)に伴う血流の時間変化についても、傾きが血行状態を明瞭に示している可能性が充分にあると推察される。
但し、加温の刺激が与えられた後、刺激(加温)が止められ、更に一過性上昇を経た後の血流量の傾きは、加温によって増えた血流の再配分を特によく表していると考えられ、血行状態の指標として特に好ましい。
血流量の傾きが指標値としてTcPO2やSPPと同程度に信頼性が高いことは、本発明者らによる上記試験によって新たに発見された事実であるが、更に、本発明者らの試験では、血流量の傾きを指標値として用いた場合には、TcPO2やSPPでは得られない有用な作用が得られることも新たに発見された。この有用な作用とは、虚血状態など血行状態が悪化している集団と、そうでない集団とを分離する作用である。
【0031】
図7は、血流量の傾きを指標値とした場合に得られる分離作用を示すグラフである。
図の横軸は血流量の傾きを示し、縦軸は被検者の人数を示している。
傾きを指標値として用いた場合には、被検者の分布には傾き0.20付近に谷間が生じ、分布が2つのピークP1,P2に分離することがグラフから確認できる。このように被検者の分布が分離するということは、分布の谷間を境界として血行状態の段階が変わっていることを意味すると考えられる。この事を検証するために、2つのピークP1,P2のうち傾きが0.20よりも小さい方のピークP1に属している被検者(即ち
図5に示す第2集団G2に属している被検者)の一部に対し、血行状態を改善させる血行再建術(具体的な内容は被検者によって異なる)を施したところ、術前に対し術後はTcPO2およびSPPが有意に上昇するとともに、全例で血流量の傾きが0.20を超えた。
このように、血流量の傾きは、血行状態が病的であるか否かによって明瞭な差異を生じ、診断基準として有用であることが確認された。
【0032】
なお、TcPO2やSPPでは、被検者の分布にこのような分離が生じないことは従来から知られているし、図示は省略するが、今回の試験で同じ被検者集団から得られたTcPO2やSPPを用いた被検者の分布に分離が生じないことも確認された。
以上説明したように、血流量の傾きは、血行状態を明瞭に示す新たな指標値であることが確認でき、そのような指標値を用いた本発明の血行状態評価方法によれば正確な評価が実現できる。また、本発明の血流計測装置や血流計測システムによればそのような新たな指標値を得ることができる。
【0033】
なお、上記説明では、本発明にいう測定部や傾き算出部や表示部について、ソフトウェアでパーソナルコンピュータ上に実現する例が示されているが、本発明にいう測定部や傾き算出部や表示部は、ハードウェアによって実現されたものであってもよい。
また、上記説明では、本発明にいう刺激付与装置として生体組織を加温する装置の例が示されているが、本発明にいう刺激付与装置は、生体組織を冷却するものであってもよく、生体組織を摩擦するものや振動を付与するものや化学的刺激を与えるものであってもよい。
【0034】
また、上記説明では、本発明の血流計測装置の実施形態として、刺激付与装置とともに血流計測システムに組み込まれた例が示されているが、本発明の血流計測装置は、刺激付与装置とは分離されたものであってもよく、刺激付与装置を伴わない形態の装置(例えば人手によって加温された生体組織の血流計測に用いられるもの)であってもよい。
【0035】
また、上記説明では、本発明にいう測定部の一例として、被検者の体に貼り付けるプローブを介して光の送受を行うものが示されているが、本発明にいう測定部は、被検者に対して離れた位置から光を照射し、被検者から戻ってきた光も離れた位置で受け取るものであってもよい。
血行状態を明瞭に示した新たな指標値を得るために、生体組織の血流量を時間経過を経ながら複数回測定し、測定された血流量の時間変化の傾きを算出し、算出された傾きの値を表示することを特徴とする。