特許第6118004号(P6118004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6118004
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】再帰性反射体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/124 20060101AFI20170410BHJP
   G02B 27/22 20060101ALI20170410BHJP
   G03B 35/24 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   G02B5/124
   G02B27/22
   G03B35/24
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-573633(P2016-573633)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(86)【国際出願番号】JP2016070990
【審査請求日】2016年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-188402(P2015-188402)
(32)【優先日】2015年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−511303(JP,A)
【文献】 特開平11−296113(JP,A)
【文献】 特開2016−57346(JP,A)
【文献】 特開2016−80937(JP,A)
【文献】 特開2016−71047(JP,A)
【文献】 特開2016−114754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00− 5/136
G02B 27/00−27/64
G03B 35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状ブロックの上側に、平行配置された光反射溝と、所定間隔で平行配置され、前記光反射溝に直交する仕切り壁とを有する再帰性反射体であって、
前記光反射溝は、直交する第1、第2の光反射面を備え、前記仕切り壁は上方に向かって幅狭となる抜き勾配が設けられ、一側に前記第1、第2の光反射面とは直交する垂直光反射面を有することを特徴とする再帰性反射体。
【請求項2】
請求項1記載の再帰性反射体において、前記仕切り壁の他側には、前記第1、第2の光反射面とは同一の角度で交差する傾斜光反射面が設けられ、前記第1、第2の光反射面及び前記傾斜光反射面を用いた立体像表示装置としても使用可能であることを特徴とする再帰性反射体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の再帰性反射体において、前記仕切り壁の高さhは、前記第1、第2の光反射面によって形成される断面直角三角形の高さaの0.9〜1.5倍の範囲にあることを特徴とする再帰性反射体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の再帰性反射体において、前記仕切り壁の最大厚さ部分の幅w1は前記第1、第2の光反射面の交差線の長さbの0.1〜1倍の範囲にあることを特徴とする再帰性反射体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の再帰性反射体を複数、同一平面状に並べて配置したことを特徴とする再帰性反射体。
【請求項6】
請求項2記載の再帰性反射体を複数、同一平面状に並べて配置し、立体像表示装置として使用することを特徴とする再帰性反射体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3つの光反射面を有する再帰性反射体に係り、場合によっては対象物(ディスプレイ、実像、物体等)からの光を反射させて別の空間に集光させて結像する立体像表示装置にも使用できる再帰性反射体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、略90度の二面角で接する一対のコーナー反射面とこのコーナー反射面に直交する仕切り壁に形成された垂直反射面とを組み合わせた反射素子(光反射ユニット)を並べて配置した再帰性反射体が提案されている。そして、特許文献2には、再帰性反射体に更にハーフミラーを組み合わせた立体像表示装置が提案されている。
【0003】
また、特許文献3には、透明平板の内部に一方側の面に垂直に帯状の平面光反射部が並べて形成された第1、第2の光制御パネルを用い、第1、第2の光制御パネルの平面光反射部が直交するように第1、第2の光制御パネルを配置した光学結像装置が提案され、一方側にある対象物の像を実像として対称位置に形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−511303号公報
【特許文献2】特開2009−25776号公報
【特許文献3】特開2012−14194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の再帰性反射体は、直交する第1、第2の反射面に対する第3の反射面を平行溝によって形成しているので、プレスや金型を用いた成形が困難であるとうい問題があった。
また、特許文献2記載の技術は、3つの面が直交する平面コーナーキューブを使用しており、精密な平面コーナーキューブの形成が困難であるという問題があった。
また、特許文献3記載の装置は、2枚の光制御パネルを必要とし、大型の光制御パネルの製造が困難であるので、全体として安価に製造できず、更に大型の光学結像装置の製造は困難であった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、平板状に形成可能、かつ大量生産が可能で、並べて配置すれば大型になり、場合によって立体像表示装置としても利用可能な再帰性反射体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る再帰性反射体は、平板状ブロックの上側に、平行配置された光反射溝と、所定間隔で平行配置され、前記光反射溝に直交する仕切り壁とを有する再帰性反射体であって、
前記光反射溝は、直交する第1、第2の光反射面を備え、前記仕切り壁は上方に向かって幅狭となる抜き勾配が設けられ、一側に前記第1、第2の光反射面とは直交する垂直光反射面を有する。
【0008】
また、第2の発明に係る再帰性反射体は、第1の発明に係る再帰性反射体において、前記仕切り壁の他側には、前記第1、第2の光反射面とは同一の角度で交差する傾斜光反射面が設けられ、前記第1、第2の光反射面及び前記傾斜光反射面を用いた立体像表示装置としても使用可能である。
【0009】
第1、第2の発明に係る再帰性反射体において、前記仕切り壁の高さhは、前記第1、第2の光反射面によって形成される断面直角三角形の高さaの0.9〜1.5倍の範囲にあるのが好ましい。
【0010】
第1、第2の発明に係る再帰性反射体において、前記仕切り壁の最大厚さ部分の幅w1は前記第1、第2の光反射面の交差線の長さbの0.1〜1倍の範囲にあるのが好ましい。
【0011】
第1、第2の発明に係る再帰性反射体を複数、同一平面状に並べて配置し、前記平板状ブロックの表側に形成されたより多くの前記第1、第2の光反射面及び前記垂直光反射面を用いてより大型の高効率(輝度、反射率の高い)の再帰性反射体とすることもできる。
【0012】
そして、第2の発明に係る再帰性反射体を複数、同一平面状に並べて配置し、前記平板状ブロックの表側に形成されたより多くの前記第1、第2の光反射面及び前記傾斜光反射面を用いてより大型の高効率の立体像表示装置を形成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る再帰性反射体においては、光反射溝が、直交する第1、第2の光反射面を備え、一側に第1、第2の光反射面と直交する垂直光反射面が形成された仕切り壁には上方に向かって幅狭となる抜き勾配が設けられているので、金型やプレスを用いた成形が極めて容易となる。特に、再帰性反射体を熱可塑性樹脂を用いてモールド成形を行って形成する場合は、製造が極めて容易となり、安価に製造できる。
なお、各光反射面の形成は、例えば、アルミニウム等の反射率の高い金属を蒸着又はスパッタリングの鏡面処理によって形成するが、平板状ブロックの表側にのみ鏡面処理を行えばよい。
【0014】
そして、第1、第2の光反射面及び垂直光反射面で、コーナーキューブと同一作用を有する再帰性反射体を形成する。ここで、平板状ブロック(例えば、直方体状)の表側(上側)から光を入射させる場合は、透過する物質がないので、物質透過による光の減衰がなく、より輝度の高い再帰性反射性能を得ることができる。
【0015】
そして、更にこの再帰性反射体を複数並べて配置すると、より大型の再帰性反射体を得ることができ、並べて配置された再帰性反射体に対してハーフミラーを立設すると、大型の立体像表示装置となる。
【0016】
また、第2の発明に係る再帰性反射体においては、以上の再帰性反射体としての機能を果たす他、直交する第1、第2の光反射面に対して傾斜光反射面を設けており、第1、第2の光反射面及び傾斜光反射面を反射する光方向と入射光の方向が一致しないため(即ち、この場合は、再帰性反射とはならない)、立体像表示装置としての機能も有する。即ち、第1、第2の光反射面及び傾斜光反射面が、それぞれの光反射面の姿勢(角度)を一定に保ちながら多数配置されるので、第1、第2の光反射面及び傾斜光反射面で反射する光は結像する。これによって、対象物(ディスプレイ、実像、物体等)からの光を、対象物とは別位置に結像させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係る再帰性反射体の一部を省略した平面図である。
図2図1における矢視A−A’断面図である。
図3図1における矢視B−B’断面図である。
図4】同再帰性反射体の斜視図である。
図5】同再帰性反射体の動作状態の説明図である。
図6】同再帰性反射体の動作状態の説明図である。
図7】同再帰性反射体を立体像表示装置として動作させる場合の説明図である。
図8】同再帰性反射体を立体像表示装置として動作させる場合の説明図である。
図9】同再帰性反射体を用いた大型再帰性反射体の概略平面図である。
図10】同再帰性反射体を用いた大型立体像表示装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。図1図4に示すように、本発明の一実施例に係る再帰性反射体10は、例えば、不透明又は透明な樹脂(例えば、メタクリル樹脂 ポリカーボネイト、オレフイン樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、又はその他の熱硬化性樹脂)からなる平板状ブロック11の上側12に、断面が直角二等辺三角形の平行配置された光反射溝11aと、所定ピッチで平行配置され、この光反射溝11aを横切る(直交する)仕切り壁15とを有している。光反射溝11aはそれぞれ平行かつ交互に並べて直角配置された第1、第2の光反射面13、14を有している。仕切り壁15は、並べて配置された第1、第2の光反射面13、14を所定ピッチで分断している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0019】
仕切り壁15の一側に第1、第2の光反射面13、14と直交する垂直光反射面(第4の光反射面)19が、他側に第1、第2の光反射面13、14に対して非直交状態で傾斜して配置され、第1、第2の光反射面13、14と同一角度で交差する傾斜光反射面(第3の光反射面)16が形成されている。ここで、非直交状態とは、第1、第2の光反射面13、14又は、第1、第2の光反射面13、14が交差する交差線(谷底線)17に対して傾斜光反射面16が直交していないことを言い、広くは図2に示すように、傾斜光反射面16の傾斜角度θ1が、例えば、第1、第2の光反射面13、14の交差線17に対して、50〜89度(より好ましくは70〜88度)の範囲にあることを言う。
【0020】
なお、θ1が鋭角である場合には、上方に向かって仕切り壁15の幅は狭くなる(即ち、抜き勾配を有する)ので、樹脂成形時の型抜き成形が容易となるという利点を有する。また、傾斜光反射面16が傾くことによって、結像される実像の位置が変わるので、結像できる範囲で適宜その傾斜角度を決めることになる。
図1図4に示すように、仕切り壁15の高さhと、第1、第2の光反射面13、14で形成される断面直角二等辺三角形の高さaはこれらを区別するために、高さh>高さaのように示しているが、図5図8に示すように、高さh=高さaとするのが好ましく、製造が極めて容易となる。また、仕切り壁15の上端には平面部を設けるのが好ましく、これによって、仕切り壁15が丈夫になり欠け難く、寸法精度が向上する。
【0021】
第1、第2の光反射面13、14、傾斜光反射面16、垂直光反射面19の製造方法は、熱可塑性樹脂を用いて、上側12に第1、第2の光反射面13、14に対応する直角三角形断面を有する光反射溝11aと、傾斜光反射面16及び垂直光反射面19を有する仕切り壁15を形成して平板状ブロック11を形成する。そして、その上にアルミニウム、錫、チタン、クロム、ニッケル、銀の金属を蒸着して光反射面を形成する。
この場合、この透明な平板状ブロック11の上側12は全面的に金属蒸着されているので、光反射溝11aの直角三角形断面だけでなく仕切り壁15の表面にも金属蒸着されて鏡面が形成されている。
【0022】
これによって、第1、第2の光反射面13、14、傾斜光反射面16、垂直光反射面19が形成されると共に、仕切り壁15の上面にも光反射面20が形成される。なお、図1図8に示すように、仕切り壁15の高さhは変えることも可能で、高さhは第1、第2の光反射面13、14で形成される断面直角(二等辺)三角形の高さaの0.9〜1.5倍となって、第1、第2の光反射面13、14の仕切り壁15によって挟まれた長さb(最小幅、即ち交差線17の長さ)は高さaの1〜2.5倍(より好ましくは、1.1〜2.2倍、更に好ましくは1.2〜1.8倍)とすることも可能である。光反射面20はできる限り小さいのが好ましく、これにより第1、第2の光反射面13、14を有効に利用できる。
【0023】
また、仕切り壁15の最大厚み部分の幅w1は、例えば(0.1〜1)bの範囲にあり、薄い部分の厚みw2は傾斜光反射面16の傾斜角度(θ1)で決定される。従って、仕切り壁15のピッチPはb+w1となる。また、平板状ブロック11の厚みtは特に限定はないが、例えば、高さhの3〜20倍の範囲にあるのが好ましい。平板状ブロック11の厚みtは、第1、第2の光反射面13、14の数によって決定される。厚くすると全体的に強度が増加し、薄くすると収納がコンパクトになるが、強度が不足する場合がある。なお、本発明はこれらの数字に限定されず、必要に応じて異なる比率で構成される。
【0024】
続いて、再帰性反射体10の動作を図5図6を参照しながら説明する。まず、対象物Aからの光(入射光a)は、第1、第2の光反射面13、14及び垂直光反射面19に当たる。この場合、垂直光反射面19を入射光aが当たるように、例えば、図5においては、右斜め方向から光が差し込むように、光の発生源と再帰性反射体10の位置を調整する。即ち、傾斜光反射面16が入射光aに対して影になるようにする。第1、第2の光反射面13、14及び垂直光反射面19はそれぞれの面が直交配置されているので、キュービックコーナーとして働き、p1、q1、r1点で3回反射を行い、入射光aと同じ方向に出光する再帰性反射を行う。
この実施例では、第1、第2の光反射面13、14及び垂直光反射面19に当たる光は、空気以外の媒質を通過しないので、光の減衰がなく明るい再帰性反射光を得ることができる。
【0025】
次に、図7図8を参照しながら、この再帰性反射体10を立体像表示装置として使用する場合について説明する。この場合は、対象となる対象物Aからの光が、第1、第2の光反射面13、14の他に、傾斜光反射面16にも照射し、垂直光反射面19に当たらないようにする。
例えば、対象物Aからの光は、第2の光反射面14の(p1、p2)、第1の反射面13(q1、q2)で反射され、傾斜光反射面16(r1、r2)で反射する。ここで、仮に傾斜光反射面16が第1、第2の光反射面13、14に対して垂直であれば、再帰性反射体として作用し、入射光の方向と反射光の方向が同一となって、対象物Aの部分に集光し、像としては見えない。しかしながら、傾斜光反射面16は、第1、第2の光反射面13、14に対して傾いているので別位置に実像Bを形成する。なお、以上の光路は図7図8に実線で示すが、模式的に示すので、第1、第2の光反射面13、14、傾斜光反射面16の反射光の角度は正確に示していない(以下の例でも同じ)。
【0026】
次に、対象物Aからの光が、傾斜光反射面16に入光し、反射して第1、第2の光反射面13、14で反射した場合の、光路を、図7図8に二点鎖線で示す。即ち、対象物Aからの光は傾斜光反射面16(x1、x2)で反射し、第2の光反射面14(y1、y2)で反射し、第1の光反射面13(z1、z2)で反射し、実像Cを結像する。対象物Aからの光は、第1の光反射面13(q1、q2)、第2の光反射面14(p1、p2)、傾斜光反射面16(r1、r2)を反射して実像Bを結像する場合もあり得る。実像Cは実像Bとは異なる位置に結像する場合もあるが、対象物Aと再帰性反射体10の位置、角度を選択することによって、又は対象物Aと再帰性反射体10との間に遮蔽物を設けることによって、一つの実像B(又はC)とすることもできる(以下、実像Bのみ結像させるようにした場合について説明する)。
【0027】
この再帰性反射体10においては、傾斜光反射面16が第1、第2の光反射面13、14に対して傾斜しているので、再帰性反射は行われず、第1、第2の光反射面13、14、傾斜光反射面16からの反射光は、対象物Aの位置から外れる。そして、このような第1、第2の光反射面13、14、傾斜光反射面16を有する光反射ユニット22(小ブロック、図4参照)が、第1、第2の光反射面13、14、傾斜光反射面16の角度位置を保ったまま(即ち、同一姿勢で)平面状に多数並べられているので、これらの光が同一位置に集まる。従って、対象物Aからの光が複数の光反射ユニット22によって反射し、実像Bを形成する。
【0028】
この実施例の場合、対象物Aが各光反射ユニット22の傾斜光反射面16に向かって光を発する側(例えば、図7において[G]側)にある場合は、実像Bを結像するが、図7において[K]側に対象物Aがある場合は、Aからの光(光線)は垂直光反射面19、第1、第2の光反射面13、14を通って反射するので、再帰性反射を行い結像しない。また、反射面20で反射した光も結像しない。
【0029】
次に、図9に示す再帰性反射体30について説明する。再帰性反射体30は、平面視して正方形又は長方形の再帰性反射体10を複数用意し、同一平面状に並べて形成されより大型で高効率な装置となっている。この場合、並べて形成された大型の再帰性反射体30は矩形であることが好ましいが、本発明はその形状には限定されない。
再帰性反射体10において、仕切り壁15が同一方向を向いているのが好ましい。再帰性反射体10の第1、第2の光反射面13、14の方向は合わせるのが好ましいが、同一直線上に並ぶ必要はない。なお、第1、第2の光反射面13、14及び傾斜光反射面16を用いて立体像表示装置を形成する場合も同様である。
【0030】
図10に示すように、再帰性反射体10を構成する複数の平板状ブロック11を同一平面状に並べて大型再帰性反射体32を構成し、この大型再帰性反射体32の一側又は中央にハーフミラー33を直交状態で立設して立体像表示装置31を形成する。
【0031】
この立体像表示装置31において、対象物Dからの光はハーフミラー33を通過し、更に一部は反射して大型再帰性反射体32に入射される。大型再帰性反射体32では、入射された光はそのまま反射し、再度ハーフミラー33に反射及び透過し、実像Eを結像する。
この場合、大型再帰性反射体32は小型の再帰性反射体10を構成する平板状ブロック11を並べて形成したものであるので、大型のものができ、かつ各再帰性反射体10の第1、第2の光反射面13、14及び垂直光反射面19は露出しているので、光の減衰が生じ難く、より明るい実像Eを形成できる。
なお、この実施例では、大型再帰性反射体32の中央にハーフミラー33を立設したが、例えば、図10にJ−J’で示すように、大型再帰性反射体32の半分のみを使用することもできる。
【0032】
本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
また、前記実施例においては、第1、第2の光反射面13、14によって形成される断面直角二等辺三角形の溝は空間であったが、透明の樹脂を詰めることもできる。この場合、光の通過効率は下がるが、埃等が堆積することがなく、容易に表面の掃除ができる。
更には、上記実施例では、平板状ブロックの上側にある金属蒸着面を使用したが、平板状ブロックを透明材料で形成し、上記実施例とは上下を逆にして金属蒸着面を下にして使用することもできる。この場合、透明物質を光が通過するので、輝度が下がるがより平面性の良い光反射面を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る再帰性反射体は、大型再帰性反射体の単位となる再帰性反射体を例えば熱可塑性樹脂等を用いて精密かつ安価に製造できるので、ハーフミラー等と組み合わせて大型のより輝度の高い立体像表示装置を形成することが可能となる。
また、この再帰性反射体をそのまま利用して立体像表示装置を形成することもできる。
【符号の説明】
【0034】
10:再帰性反射体、11:平板状ブロック、11a:光反射溝、12:上側、13:第1の光反射面、14:第2の光反射面、15:仕切り壁、16:傾斜光反射面、17:交差線、19:垂直光反射面、20:光反射面、22:光反射ユニット、30:再帰性反射体、31:立体像表示装置、32:大型再帰性反射体、33:ハーフミラー
【要約】
平板状ブロック11の上側12に、平行配置された光反射溝11aと、所定間隔で平行配置され、光反射溝11aに直交する仕切り壁15とを有する再帰性反射体10であって、光反射溝11aは、直交する第1、第2の光反射面13、14を備え、仕切り壁15は上方に向かって幅狭となる抜き勾配が設けられ、一側に第1、第2の光反射面13、14とは直交する垂直光反射面19を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10