【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1(
図7を参照)では、電磁弁を流体ブロック100に取り付けるに際し、弁インサート50の外径とカバーディスク90の内径との寸法差、流体ブロック100の凹部の内径とカバーディスク90の外径との寸法差、コイルハウジング80の外径と流体ブロック100の凹部の内径との寸法差、コイル支持体の外内径の寸法差を見込むため、弁本体の特に弁インサート50の外径と、コイル部材の特にカバーディスク91の内径とのクリアランス、およびストッパー60の外径とコイルハウジング80の開口部80aの内径とのクリアランスの設計は前記寸法差の累積量を考慮して大きく設計する必要がある。その結果、エアーギャップGは大きくなりその分磁力は低下する。従って、所望の磁力を得るには電流値を上げるか、コイルを大きくしなくてはならなくなる。さらに、製品ごとのエアーギャップGのバラツキが大きくなり製品品質が低下する。また、カバーディスクが2つ必要になり、部品点数が多くなる。
【0006】
また、配置方法に鑑みると、プランジャー200を有する弁本体のカバーディスク90を流体ブロック100の凹部にかしめ、続いてコイル70を有するコイルハウジング80を前記弁本体に挿入し流体ブロック100の凹部にかしめたり、圧入して固定して配置したりするようになっている。しかしながら、このようにカバーディスク90と、コイルハウジング80を別々に流体ブロック100に固定する方法では、組み付け時の寸法差を考慮するとクリアランスを大きく設計しておく必要があり、前述と同様にエアーギャップGが大きくなる。また、プランジャー200の中心軸とコイルハウジング80の中心軸にずれが生じたり、コイルハウジング80を流体ブロック100に均一にかしめられていないと弁インサート50との円周上のクリアランスが不均一となったりしてしまうことがある。その結果、電磁弁の作動時にプランジャー200が所望のストロークを行えず、電磁弁としての機能が損なわれる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて成され、磁力の低下、製品品質の低下を招くことなく流体ブロックに電磁弁を取り付け可能で、さらにプランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好な電磁弁配置構造を提供することができる。さらには部品点数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載した発明が構成される。
本願の第1の発明は、ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記流体ブロックの通路の切り替えをする電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、
前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動する磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第
2の環状部と、第
2の環状部と同心に設けられた第
1の環状部を有し、第
1の環状部は流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されていることを特徴とするブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、前記カバーディスクの第
1の環状部が流体ブロックの凹部に嵌入されており、前記カバーディスクの第
2の環状部にコイルハウジングが嵌入されているので、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0009】
本願第2の発明は、ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記流体ブロックの通路の切り替えをする電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、
前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動する磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第
2の環状部 と、第
2の環状部と同心に設けられた第
1の環状部を有し、第
1の環状部は流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されているブレーキ液圧制御装置であって、前記カバーディスクの第
1の環状部を流体ブロックに形成された凹部に嵌入し、その後に前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第
2の環状部に嵌入することを特徴とするブレーキ液圧制御装置の製造方法である。
この製造方法によれば、前記カバーディスクの第
1の環状部が流体ブロックの凹部に嵌入し、その後に前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第
2の環状部に嵌入するので、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0010】
本願第3の発明は、ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記流体ブロックの通路の切り替えをする電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、
前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動する磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第
2の環状部と、第
2の環状部と同心に設けられた第
1の環状部を有し、第
1の環状部は流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されているブレーキ液圧制御装置であって、前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第
2の環状部に嵌入し、その後に前記カバーディスクの第
1の環状部を流体ブロックに形成された凹部に嵌入することを特徴とするブレーキ液圧制御装置の製造方法である。
この製造方法によれば、前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第
2の環状部に嵌入して電磁弁を製造し、その後に前記カバーディスクの第
1の環状部を流体ブロックに形成された凹部に嵌入するので、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0011】
本願第4の発明は、前記コイルハウジングの前記流体ブロック側の端部近傍には挟持部を有し、電子制御ユニットのハウジングの一部が前記挟持部と流体ブロックの間で挟まれて前記電子制御ユニットが流体ブロックに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、本願第1の発明の効果に加え、電子制御ユニットの流体ブロックへの固定も行うことができるブレーキ液圧制御装置を提供できる。