特許第6118039号(P6118039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6118039ブレーキ液圧制御装置およびその製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118039
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】ブレーキ液圧制御装置およびその製造方法。
(51)【国際特許分類】
   B60T 15/36 20060101AFI20170410BHJP
   B60T 8/36 20060101ALI20170410BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B60T15/36 Z
   B60T8/36
   F16K31/06 305K
   F16K31/06 385A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-135716(P2012-135716)
(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公開番号】特開2014-841(P2014-841A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年4月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】増野 徹
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−173451(JP,A)
【文献】 特開平05−238370(JP,A)
【文献】 特開平10−071940(JP,A)
【文献】 特開平05−319246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12− 8/1769
B60T 8/32− 8/96
B60T15/00−17/22
F16K31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、
前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、
前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、
前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動するための磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、
前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第2の環状部と、前記第2の環状部と同心に設けられ、前記第2の環状部よりも径の小さい第1の環状部を有し、前記第1の環状部は前記流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されており、
前記コイルハウジングの前記流体ブロック側の端部に挟持部を有し、前記電子制御ユニットのハウジングの一部が前記挟持部と前記流体ブロックの間で挟まれることによって、前記電子制御ユニットが前記流体ブロックに固定されていることを特徴とする、ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置の製造方法であって、
前記カバーディスクの第1の環状部を前記流体ブロックに形成された凹部に嵌入し、その後に前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第2の環状部に嵌入することを特徴とする、ブレーキ液圧制御装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置の製造方法であって、
前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第2の環状部に嵌入し、その後に前記カバーディスクの第1の環状部を前記流体ブロックに形成された凹部に嵌入することを特徴とするブレーキ液圧制御装置の製造方法。
【請求項4】
ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、
前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、
前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、
前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動するための磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、
前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第2の環状部と、前記第2の環状部と同心に設けられ、前記第2の環状部よりも径の大きい第1の環状部を有し、前記第1の環状部は前記流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されており、
前記コイルハウジングの前記流体ブロック側の端部に挟持部を有し、前記電子制御ユニットのハウジングの一部が前記挟持部と前記流体ブロックの間で挟まれることによって、前記電子制御ユニットが前記流体ブロックに固定されていることを特徴とする、ブレーキ液圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるブレーキ液圧を増圧または減圧することによって、車輪のロック傾向を回避するABS制御等を行うハイドロリック装置の電磁弁の組付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ブレーキ制御に用いられるハイドロリック装置においては、油圧制御に用いる電磁弁が流体ブロックに形成された凹部に嵌入され、流体ブロック内に形成された管路を連通、遮断する制御が行えるようになっている。そして、電磁弁を挟んで流体ブロックの反対側に、ABS制御用の電気配線を内蔵したECUハウジングが配置されており、コイルハウジングが流体ブロックとECUハウジングとの間に配置された構成となっている。
【0003】
このような配置において、振動等によりECUハウジングと流体ブロックの間でコイルハウジングがぶれたり位置ずれしたりしないように、流体ブロックのうちコイルハウジングの外周に位置する領域において、流体ブロックの一部をかしめてコイルハウジングを流体ブロックに固定したり、または、流体ブロックに形成された凹部にコイルハウジングを圧入することにより、コイルハウジングを流体ブロックに固定していた。
(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1(図7を参照)では、電磁弁を流体ブロック100に取り付けるに際し、弁インサート50の外径とカバーディスク90の内径との寸法差、流体ブロック100の凹部の内径とカバーディスク90の外径との寸法差、コイルハウジング80の外径と流体ブロック100の凹部の内径との寸法差、コイル支持体の外内径の寸法差を見込むため、弁本体の特に弁インサート50の外径と、コイル部材の特にカバーディスク91の内径とのクリアランス、およびストッパー60の外径とコイルハウジング80の開口部80aの内径とのクリアランスの設計は前記寸法差の累積量を考慮して大きく設計する必要がある。その結果、エアーギャップGは大きくなりその分磁力は低下する。従って、所望の磁力を得るには電流値を上げるか、コイルを大きくしなくてはならなくなる。さらに、製品ごとのエアーギャップGのバラツキが大きくなり製品品質が低下する。また、カバーディスクが2つ必要になり、部品点数が多くなる。
【0006】
また、配置方法に鑑みると、プランジャー200を有する弁本体のカバーディスク90を流体ブロック100の凹部にかしめ、続いてコイル70を有するコイルハウジング80を前記弁本体に挿入し流体ブロック100の凹部にかしめたり、圧入して固定して配置したりするようになっている。しかしながら、このようにカバーディスク90と、コイルハウジング80を別々に流体ブロック100に固定する方法では、組み付け時の寸法差を考慮するとクリアランスを大きく設計しておく必要があり、前述と同様にエアーギャップGが大きくなる。また、プランジャー200の中心軸とコイルハウジング80の中心軸にずれが生じたり、コイルハウジング80を流体ブロック100に均一にかしめられていないと弁インサート50との円周上のクリアランスが不均一となったりしてしまうことがある。その結果、電磁弁の作動時にプランジャー200が所望のストロークを行えず、電磁弁としての機能が損なわれる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて成され、磁力の低下、製品品質の低下を招くことなく流体ブロックに電磁弁を取り付け可能で、さらにプランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好な電磁弁配置構造を提供することができる。さらには部品点数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載した発明が構成される。
本願の第1の発明は、ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記流体ブロックの通路の切り替えをする電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動する磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第の環状部と、第の環状部と同心に設けられた第の環状部を有し、第の環状部は流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されていることを特徴とするブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、前記カバーディスクの第の環状部が流体ブロックの凹部に嵌入されており、前記カバーディスクの第の環状部にコイルハウジングが嵌入されているので、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0009】
本願第2の発明は、ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記流体ブロックの通路の切り替えをする電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動する磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第の環状部 と、第の環状部と同心に設けられた第の環状部を有し、第の環状部は流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されているブレーキ液圧制御装置であって、前記カバーディスクの第の環状部を流体ブロックに形成された凹部に嵌入し、その後に前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第の環状部に嵌入することを特徴とするブレーキ液圧制御装置の製造方法である。
この製造方法によれば、前記カバーディスクの第の環状部が流体ブロックの凹部に嵌入し、その後に前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第の環状部に嵌入するので、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0010】
本願第3の発明は、ブレーキ液の通路を形成する流体ブロックと、前記流体ブロックに形成された通路を連通または遮断する制御を行う電磁弁と、前記流体ブロックの通路の切り替えをする電磁弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、前記電磁弁は、弁カートリッジと、コイル構造体からなり、前記弁カートリッジは、シールエレメントを有するプランジャーと、前記シールエレメントが着座する弁座と、前記プランジャーを収納する筒状の弁インサートと、前記弁インサートの外周に配置され固定されたカバーディスクを備え、前記コイル構造体は、前記プランジャーを駆動する磁気回路を形成するコイルと、前記コイルを囲むコイルハウジングを備え、前記カバーディスクはその外周の一部に前記コイルハウジングが嵌入可能な第の環状部と、第の環状部と同心に設けられた第の環状部を有し、第の環状部は流体ブロックに形成された凹部に嵌入され固定されているブレーキ液圧制御装置であって、前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第の環状部に嵌入し、その後に前記カバーディスクの第の環状部を流体ブロックに形成された凹部に嵌入することを特徴とするブレーキ液圧制御装置の製造方法である。
この製造方法によれば、前記コイルハウジングを前記カバーディスクの第の環状部に嵌入して電磁弁を製造し、その後に前記カバーディスクの第の環状部を流体ブロックに形成された凹部に嵌入するので、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が略一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0011】
本願第4の発明は、前記コイルハウジングの前記流体ブロック側の端部近傍には挟持部を有し、電子制御ユニットのハウジングの一部が前記挟持部と流体ブロックの間で挟まれて前記電子制御ユニットが流体ブロックに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、本願第1の発明の効果に加え、電子制御ユニットの流体ブロックへの固定も行うことができるブレーキ液圧制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の第一実施例に係る電磁弁の縦断面図である。
図2】本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の第一実施例に係る電磁弁の変形例を示す縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の第二実施例に係る電磁弁の縦断面図である。
図4】本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の第二実施例に係る電磁弁の変形例を示す縦断面図である。
図5】本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の第二実施例に係る電磁弁のさらなる変形例を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の第三実施例に係る電磁弁の縦断面図である。
図7】従来におけるブレーキ液圧制御装置の電磁弁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、通常時に流路を開放するノーマルオープンの電磁弁2である。この電磁弁2は、磁束を生ぜしめるためのコイル構成部30と、弁カートリッジ40とから構成され、コイル構成部30は、コイル14と、コイルハウジング15と、コイル支持体31とを有しており、前記弁カートリッジ40は、カプセル41と、一端がカプセル41内に挿入され固定された弁インサート13と、プランジャー11を備えた電磁弁の可動子42と、リターンスプリング43と、弁座44を備えた弁ボディ12と、カプセル41の外周に圧入固定されたカバーディスク16とを有している。
【0014】
プランジャー11は、弁インサート13内に長手方向で可動に案内されており、該プランジャー11は、シールエレメント10を備えており、弁ボディ12の弁座44に気密に当接する。プランジャー11は、可動子42によって、リターンスプリング43のばね力に抗して弁インサート13内で移動し、この際、可動子42はコイルによって生ずる磁力によって移動する。
【0015】
弁ボディ12は、キャップ状のスリーブとして構成され、弁座44が弁インサート13内に配置されるように弁インサート13に挿入されている。
【0016】
弁下部45は、プラスチック製で弁インサート13に軸方向で当て付けられ、かつ支えられており、弁下部45はドーム形部分を介して、弁ボディ12の内室に気密に挿入されていて、外側輪郭部が流体ブロック1に対してシールされている。しかも、図示の弁下部45は、偏心配置された逆止弁46を有しており、逆止弁46は流体の還流方向を定める働きをしている。また、付加的に、弁下部45はフラットフィルタ47を有している。
【0017】
第1実施形態におけるノーマルオープンの電磁弁2を流体ブロック1に取り付ける方法は、カプセル41、弁インサート13、可動子42、リターンスプリング43、弁ボディ12、カバーディスク16等を組み付けた弁カートリッジ40と、前記コイル14、コイルハウジング15、コイル支持体31等を組み付けたコイル構造部30を用意し、流体ブロック1に加工された凹部19に、弁カートリッジ40の部品であるカバーディスク16の第1の環状部17の外周を嵌入し、流体ブロック1に弁カートリッジ40を固定する。続いてカバーディスク16の第2の環状部18の外周に、コイル構造部30の部品であるコイルハウジング15の内周を嵌入し、弁カートリッジ40にコイル構造部30を固定する。
【0018】
あるいは、図2のようにカプセル41、弁インサート13、可動子42、リターンスプリング43、弁ボディ12、カバーディスク16等を組み付けた弁カートリッジ40と、コイル14、コイルハウジング15、コイル支持体31等を組み付けたコイル構造部30を用意し、弁カートリッジ40の部品であるカバーディスク16の第2の環状部18の外周に、コイル構造部30の部品であるコイルハウジング15の内周を嵌入し、弁カートリッジ40にコイル構造部30を固定して電磁弁2を構成する。その後、カバーディスク16に設けられたフランジ22を図の下方向に押して、流体ブロック1に加工された凹部19に、カバーディスク16の第1の環状部17の外周を嵌入し、流体ブロック1に電磁弁2を固定する。
【0019】
上記いずれの組み付け方法によっても、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が精度良く一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できる。また、弁カートリッジのカバーディスクにコイルハウジングが嵌入されるのでエアーギャップが発生せず磁力が保たれ、さらにカバーディスクが1つですみ部品点数を低減できる。
【0020】
図3は、通常時に流路を開放するノーマルオープンの電磁弁2aである。磁束を生ぜしめるためのコイル構成部30aと、弁カートリッジ40とから構成され、弁カートリッジ40の構造は図1と同様である。コイル構成部30aは、コイル14aと、コイルハウジング15aと、コイル支持体31aとを有しており、コイルハウジング15aの開放端部側にはコイル14aの一端を覆うように挟持部20が形成されている。
【0021】
プランジャー11は、弁インサート13内に長手方向で可動に案内されており、該プランジャー11は、シールエレメント10を備えており、弁ボディ12の弁座44に気密に当接する。プランジャー11は、可動子42によって、リターンスプリング43のばね力に抗して弁インサート13内で移動し、この際、可動子42はコイルによって生ずる磁力によって移動する。
【0022】
弁ボディ12は、キャップ状のスリーブとして構成され、弁座44が弁インサート13内に配置されるように弁インサート13に挿入されている。
【0023】
弁下部45は、プラスチック製で弁インサート13に軸方向で当て付けられ、かつ支えられており、弁下部45はドーム形部分を介して、弁ボディ12の内室に機密に挿入されていて、外側輪郭部が流体ブロック1に対してシールされている。しかも、図示の弁下部45は、偏心配置された逆止弁46を有しており、逆止弁46は流体の還流方向を定める働きをしている。また、付加的に、弁下部45はフラットフィルタ47を有している。
【0024】
第2実施形態におけるノーマルオープンの電磁弁2aを流体ブロック1に取り付ける方法は、カプセル41、弁インサート13、可動子42、リターンスプリング43、弁ボディ12、カバーディスク16a等を組み付けた弁カートリッジ40aと、コイル14、コイルハウジング15、コイル支持体31等を組み付けたコイル構造部30aを用意し、流体ブロック1に加工された凹部19aに、弁カートリッジ40aの部品であるカバーディスク16aの第1の環状部17aの外周を嵌入し、流体ブロック1に弁カートリッジ40aを固定する。続いてカバーディスク16aの第2の環状部18aの外周に、コイル構造部30aの部品であるコイルハウジング15aの内周を嵌入する時に、流体ブロック1の表面とコイルハウジング15aの挟持部20とで電子制御ユニットのハウジング4を挟みながら嵌入し、弁カートリッジ40aにコイル構造部30aを固定する。
【0025】
上記の組み付け方法によって、プランジャーとコイルハウジングの中心軸が精度良く一致し電磁弁の作動が良好なブレーキ液圧制御装置を提供できるとともに、電子制御ユニットの流体ブロックへの固定も行うことができる。
【0026】
図4は、第二の実施形態(図3)の変形例を示すもので、挟持部20aはコイルハウジング15aの外周に突出して設けられており、図3のコイル14aを上方で固定するコイルハウジングキャップ21はコイルハウジング15aと一体品で成形することができる。
【0027】
図5は、第二の実施形態(図3)のさらなる変形例を示すもので、挟持部20aはコイルハウジング15aの外周に数箇所切り出して突出して設けられており、図3のコイル14aを上方で固定するコイルハウジングキャップ21はコイルハウジング15aと一体品で成形することができるとともに、外周への突出部分を小さく部分的にすることができ、隣り合う電磁弁との距離を最小限にできる。
【0028】
なお、図1図3は、通常時に流路を開放するノーマルオープンの電磁弁2を例にとって説明したが、図6の様な通常時に閉鎖するノーマルクローズの電磁弁2bにおいてもカバーディスク16bの構成および流体ブロック1への取り付けを同様にすれば、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 流体ブロック
2、2a、2b 電磁弁
3 電子制御ユニット
4、4a、4b 電子制御ユニットのハウジング
10、10b シールエレメント
11、11b プランジャー
12、12b 弁ボディ
13、13b 弁インサート
14、14a、14b コイル
15、15a、15b コイルハウジング
16、16a、16b カバーディスク
17、17a、17b 第1の環状部
18、18a、18b 第2の環状部
19、19a、19b 凹部
20、20a、20b 挟持部
21 コイルハウジングキャップ
22 フランジ
30、30a、30b コイル構造部
31、31a、31b コイル支持体
40 弁カートリッジ
41 カプセル
42 可動子
43、43b リターンスプリング
44 弁座
45 弁下部
46 逆止弁
47 フラットフィルタ
48 磁極心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7