(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、空気冷却器に蓄冷機能を付加する場合には、特許文献1、2のように空気冷却器の一部に蓄冷材の封入空間を設けるのが一般的である。このとき、空気冷却器における蓄冷材の封入空間の占める割合と、冷媒の流通する空間の占める割合とを調整することによって乗員の快適性をより一層向上させることができる。すなわち、冷媒の流通する空間の占める割合を減少させると、最大冷房能力が低下していき、冷房の立ち上がりが遅くなる一方、蓄冷材の封入空間の占める割合を減少させると、蓄冷機能を付加した意味が低下していく。車両の仕様によっては、最大冷房能力と蓄冷能力とを変えることがあり、また、車両の開発段階でも、両能力を微妙に変えて調整を行うことがある。さらに、車両の仕様によっては蓄冷機能が不要な場合がある。
【0009】
しかしながら、特許文献1では、ヘッダタンクを外部空気の流れ方向に2つに仕切ることによって冷媒が流通する部分と蓄冷材を封入する部分とを設けてそれぞれに冷媒流通チューブと蓄冷材封入チューブとを連通させているので、空気冷却器における蓄冷材の封入空間の割合を変えようとすると、ヘッダタンクの外部空気の流れ方向に仕切り部分を増やすか、減らすかしなければならない。そうすると、仕切りの数に対応して外部空気の流れ方向に並ぶチューブの列数も変える必要が生じる。チューブの列数を変えるには、空気冷却器の厚み(外部空気流れ方向の寸法)も変えなければならない。また、蓄冷機能が不要な空気冷却器とする場合にも、ヘッダタンクの仕切構造及び外部空気の流れ方向に並ぶチューブの列数を変えなければならない。
【0010】
つまり、特許文献1の空気冷却器で最大冷房能力と蓄冷能力とを変える場合、及び蓄冷機能付きとなしとを作り分けようとすると、基本構造の大きな変更を招くので、その度に設計及び生産設備の大きな変更を行わなければならないという問題がある。
【0011】
また、空気冷却器を収容するケーシングについても、上記のように空気冷却器の基本構造が変わると構造変更が必要になり、コスト高を招く。
【0012】
そこで、特許文献2のように、フィンの一部を蓄冷材容器と置き換えることによって蓄冷機能を付加することが考えられる。しかしながら、蓄冷材容器は外部空気を通さないものなので、空気冷却器の通気抵抗が大きく上昇してしまい、風量の低下を招くことになる。このことを防止するには、通気抵抗が上昇しないように設計変更する必要が生じ、結局、基本構造の大きな変更を招くことになり、特許文献1のものと同様な問題が生じ得る。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気冷却器の基本構造を大きく変更することなく、かつ、通気抵抗を増大させることなく、最大冷房能力と蓄冷能力との変更や、蓄冷機能の有無の変更を行えるようにして、設計を容易にすることともに、生産設備やケーシングの大きな変更を伴わないようにしてコストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明では、ヘッダタンクをチューブ及びフィンの並び方向に仕切ることによって蓄冷材の封入空間を確保するようにした。
【0015】
第1の発明は、
複数のチューブ及びフィンが交互に所定方向に並ぶように配置されたコアと、
上記チューブの端部に配置されたヘッダタンクとを備えた蓄冷機能付き空気冷却器において、
上記チューブは、外部空気の流れ方向に複数列並ぶように設けられ、
上記ヘッダタンクの内部には、
上記チューブの外部空気の流れ方向の配列に対応して外部空気流れ方向の上流側空間と下流側空間とが形成されるとともに、該下流側空間を、上記チューブ及びフィンの並び方向に少なくとも第1空間と第2空間とに仕切るための仕切部が設けられ、該第1空間と第2空間とにそれぞれ上記チューブの端部が連通し、
上記第1空間には、熱交換媒体が供給される供給管が接続され、
上記第2空間に接続されたチューブには蓄冷材が充填され
、該蓄冷材が充填されたチューブは、外部空気の流れ方向下流側に配置され、
上記チューブ及びフィンの並び方向において、上記蓄冷材が充填されたチューブの隣りに位置するチューブは上記第1空間に接続されていることを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、供給管から供給された熱交換媒体は、ヘッダタンクの第1空間に流入して第1空間に接続されたチューブ内を流通して外部空気と熱交換し、これにより外部空気が冷却される。このとき、熱交換媒体の冷熱は第2空間に接続されたチューブ内の蓄冷材に蓄えられるので、熱交換媒体の供給が停止しても、しばらくの間は蓄冷材に蓄冷した冷熱によって外部空気を冷却することが可能になる。
【0017】
例えば、蓄冷性能を向上させる場合には、ヘッダタンクの仕切部を、第2空間が広くなるように移動させることで、第2空間に接続されるチューブの本数が増えて蓄冷材の量が増え、よって、蓄冷性能が向上する。このとき、第1空間が狭くなるので、熱交換媒体が流通するチューブの本数が減り、よって、最大冷房能力が減少する。すなわち、ヘッダタンクの仕切部を、ヘッダタンク内においてチューブ及びフィンの並び方向に移動させるだけで、最大冷房能力と蓄冷能力とを変更することが可能になるので、ヘッダタンクの構造変更は小変更で済み、また、外部空気の流れ方向のチューブ列数を変更する必要もない。
【0018】
また、蓄冷材を充填するにあたってはフィンを潰さずに済むので、空気冷却器の通風抵抗が増大しない。
【0019】
さらに、蓄冷機能を付加しない場合には、ヘッダタンク内で第2空間を形成しないように仕切部を除去すればよいので、この場合も小変更で済む。
【0020】
また、蓄冷材が充填されたチューブに向けて上流側で冷却された外部空気が流れるので冷熱が伝わり易くなる。さらに、蓄冷材が充填されたチューブの隣り位置するチューブには熱交換媒体が流れているので、このことによっても、蓄冷材が充填されたチューブに冷熱が伝わり易くなる。よって、蓄冷材への蓄冷時間が短縮される。
【0021】
第2の発明は、第1の発明において、
上記第1空間に接続された第1チューブと、上記第2空間に接続された第2チューブとは同一チューブであることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、蓄冷機能の無い空気冷却器のヘッダタンクに仕切部を設けるだけで蓄冷機能を付加することが可能になる
。
【0023】
第
3の発明は、第
2の発明において、
上記ヘッダタンクの第2空間には、熱交換媒体を、該第2空間をバイパスして流すためのバイパス通路が設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、熱交換媒体のバイパス通路をヘッダタンクの内部に設けることが可能になる。これにより、空気冷却器の外形状を変更せずに済むので、ケーシングに収容する場合にケーシングの形状変更が不要になる。
【0025】
第
4の発明は、第1から
3のいずれか1つの発明において、
上記ヘッダタンクに熱交換媒体を供給する供給管と、上記ヘッダタンクから熱交換媒体を排出する排出管とは、空気冷却器の同一側面から該ヘッダタンクに接続されることを特徴とするものである。
【0026】
この構成によれば、供給管と排出管とは空気冷却器の同一側面にあるため、空気冷却器を収容するケーシングの設計が容易になる。
【0027】
第
5の発明は、第
4の発明において、
上記供給管と上記排出管とは同一ヘッダタンクに接続され、互いに隣接していることを特徴とするものである。
【0028】
この構成によれば、供給管と排出管とが隣接しているため、例えばエンジンルーム側への配管レイアウトが容易になる。
【0029】
第
6の発明は、第1から
5のいずれか1つの発明において
、
蓄冷材が充填されたチューブの外部空気流れ方向上流側に位置するチューブに流通する熱交換媒体の流量を増加させる熱交換媒体制御部が上記ヘッダタンクに設けられていることを特徴とするものである。
【0030】
すなわち、蓄冷材が充填されたチューブ間を通過する外部空気の温度は、熱交換媒体が流通するチューブ間を通過する外部空気の温度よりも高くなる傾向にあるが、この発明によれば、蓄冷材が充填されたチューブの外部空気流れ方向上流側に位置するチューブに流通する熱交換媒体の流量が増加するので、蓄冷材が充填されたチューブ間を通過する外部空気の温度を低くすることが可能になる。
【0031】
第
7の発明は、第1から
6のいずれか1つの発明において、
熱交換媒体が流通するチューブ間を通過した外部空気を、蓄冷材が充填されたチューブが配置された側へ案内する風向ガイドが設けられていることを特徴とするものである。
【0032】
この構成によれば、熱交換媒体が流通するチューブ間を通過した外部空気と、蓄冷材が充填されたチューブ間を流れる外部空気とを混合させて下流側の空気温度を略均一化することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
第1の発明によれば、ヘッダタンクの内部空間を、仕切部によってチューブ及びフィンの並び方向に少なくとも第1空間と第2空間とに仕切り、第1空間と第2空間とにそれぞれチューブの端部を接続し、第1空間に熱交換媒体を供給する一方、第2空間に接続したチューブには蓄冷材を充填するようにしている。これにより、仕切部を移動させるだけで、空気冷却器の基本構造を大きく変更することなく、かつ、通気抵抗を増大させることなく、最大冷房能力と蓄冷能力との変更を行うことができ、また、第2空間の有無によって蓄冷機能の有無を変更できる。その結果、空気冷却器の設計を容易にすることができるとともに、生産設備やケーシングの大きな変更が不要になってコストを低減できる。
【0034】
また、蓄冷材が充填されたチューブを、外部空気の流れ方向下流側に配置し、さらに、チューブ及びフィンの並び方向において、蓄冷材が充填されたチューブの隣りに位置するチューブに熱交換媒体を流通させるようにしたので、蓄冷材への蓄冷時間を短縮することができる。
【0035】
第2の発明によれば、第1空間に接続された第1チューブと、第2空間に接続された第2チューブとを同一チューブとしたので、蓄冷機能の無い空気冷却器を容易に蓄冷機能付きにすることができる
。
【0036】
第
3の発明によれば、ヘッダタンクの第2空間にバイパス通路を設けたので、空気冷却器の外形状を変えずに済む。これにより、空気冷却器をケーシングに収容する場合にケーシングの形状変更を不要にすることができ、より一層低コスト化を図ることができる。
【0037】
第
4の発明によれば、熱交換媒体の供給管と排出管とが空気冷却器の同一側面からヘッダタンクに接続されるので、ケーシングの設計を容易にすることができる。
【0038】
第
5の発明によれば、供給管と排出管とを隣接させたので、例えばエンジンルーム側への配管が必要な場合にその配管レイアウトを容易にすることができる。
【0039】
第
6の発明によれば、蓄冷材が充填されたチューブの外部空気流れ方向上流側に位置するチューブに流通する熱交換媒体の流量を増加させるようにしたので、空気冷却器の略全体に亘って吹出温度の均一化を図ることができる。
【0040】
第
7の発明によれば、風向ガイドを設けたことにより、熱交換媒体が流通するチューブ間を通過した外部空気と、蓄冷材が充填されたチューブ間を流れる外部空気とを混合させることができる。これにより、下流側の空気温度を略均一化することができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0043】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る蓄冷機能付き空気冷却器1の斜視図である。
図2は、空気冷却器1の上側ヘッダタンク3の水平断面を示す図である。この空気冷却器1は、図示しないが、車両用空調装置の冷凍サイクルの一要素である蒸発器である。冷凍サイクルは、空気冷却器1の他、熱交換媒体としての冷媒を圧縮する圧縮機、凝縮器、膨張弁を備えており、これら機器は冷媒配管によって接続されて冷媒が循環するようになっている。圧縮機は、車両のエンジンによって駆動されるようになっている。この車両には、停車時で、かつ、エンジン自動停止の所定条件が成立した場合にエンジンのアイドリングを自動停止するように構成された、いわゆるアイドリングストップ装置が搭載されている。アイドリングストップ装置の構成については、従来周知のものなので説明を省略する。アイドリングストップ装置は、空調装置の作動中であっても、車両制御装置が、例えば乗員の要求する冷房性能や暖房性能を確保できると判断した場合には、アイドリングの自動停止を許可し、乗員の要求する冷房性能や暖房性能を確保できないと判断した場合には、アイドリングの自動停止を禁止するようになっている。
【0044】
空気冷却器1は、例えば加熱用熱交換器等と共にケーシング100(
図1にのみ仮想線で示す)に収容されている。ケーシング100には、エアミックスダンパや吹出方向切替ダンパ等を収容することもできるようになっている。
【0045】
空気冷却器1は、コア2と、上側ヘッダタンク3と、下側ヘッダタンク4とを備えている。コア2は、複数の風下側チューブ21及び風上側チューブ22(
図3に模式的に示す)と、複数のフィン23と、一対のエンドプレート24とを備えている。
【0046】
風下側チューブ21は、空気冷却器1の外部空気流れ方向(各図に矢印Xで示す方向)下流側に配置され、風上側チューブ22は、空気冷却器1の外部空気流れ方向上流側に配置されており、この空気冷却器1は、外部空気の流れ方向に2列のチューブ21,22が配置された複列型の構造となっている。
【0047】
風下側チューブ21及び風上側チューブ22は、上下方向に延びており、外部空気の流れ方向に長い断面形状を有する偏平チューブである。風下側チューブ21は、空気冷却器1の幅方向(
図1の左右方向)に所定の間隔をあけて配置されており、隣り合う風下側チューブ21間に上記フィン23が配置されている。風下側チューブ21は、後述する上側ヘッダタンク3の第2仕切板32の配設によって左右に2つのチューブ群に分けられており、第2仕切板32よりも右側のチューブ21aには蓄冷材が充填され、第2仕切板32よりも左側のチューブ21bには、冷媒が流通するようになっている。チューブ21aとチューブ21bとは、断面形状、外形状、長さ等が同じに設定された同一チューブである。
【0048】
尚、蓄冷材としては、従来から使用されているものを用いることができ、種類は特に限定されない。また、チューブ21aの上端部及び下端部を閉塞して蓄冷材をチューブ21aに封入してもよいし、チューブ21aの上端部及び下端部は閉塞せずに、ヘッダタンク3,4におけるチューブ21aの連通する空間に蓄冷材を充填してもよい。
【0049】
図3中、太線で囲まれた部分は、蓄冷材が充填されたチューブ21aからなる蓄冷部を表している。
【0050】
また、風上側チューブ22も風下側チューブ21と同様に配置されているので、風下側チューブ21及び風上側チューブ22は、外部空気の流れ方向から見たとき、互いに重複することになる。このため、例えば、外部空気の流れ方向上流側から風上側チューブ22を見たときには風下側チューブ21は殆ど見えない。
【0051】
フィン23は、上下方向に延びるコルゲートフィンである。このフィン23は、空気冷却器1の風下側チューブ21から風上側チューブ22に亘って連続している。つまり、コア2は、複数の風下側チューブ21と風上側チューブ22及びフィン23が交互に空気冷却器1の幅方向に並ぶように配置されてなるものである。
【0052】
エンドプレート24は、コア2の外端部のフィン23を外側から覆うように配置されている。
【0053】
上側ヘッダタンク3は、チューブ21、22の上端部に配置されており、空気冷却器1の幅方向(チューブ21,22及びフィン23の並び方向)に延びる筒状をなしている。上側ヘッダタンク3の内部には、該上側ヘッダタンク3の内部空間を、外部空気の流れ方向下流側の風下側空間Rと上流側の風上側空間Sとに仕切るための第1仕切板31と、風下側空間Rを空気冷却器1左側の左側空間R2と右側の右側空間R1とに仕切るための第2仕切板32と、風上側空間Sを空気冷却器1左側の左側空間S2と右側の右側空間S1とに仕切るための第3仕切板33とが設けられている。第1〜第3仕切板31〜33は、上側ヘッダタンク3の仕切部となるものである。
【0054】
風下側空間Rの左側空間R2は、本発明の第1空間であり、この左側空間R2には、風下側チューブ21のうち、冷媒が流通するチューブ21bの上端部が接続されている。また、風下側空間Rの右側空間R1は、本発明の第2空間であり、この右側空間R1には、蓄冷材が充填されたチューブ21aが接続されている。また、上側ヘッダタンク3の風上側空間Sには、風上側チューブ22の上端部が接続されている。
【0055】
図1に示すように、上側ヘッダタンク3の右端面の風下側には、上側ヘッダタンク3に冷媒を供給する供給管50が設けられており、この供給管50は、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R1に接続されている。上側ヘッダタンク3の右端面の風上側には、上側ヘッダタンク3内の冷媒を排出する排出管51が設けられており、この排出管51は、上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に接続されている。従って、供給管50及び排出管51は、空気冷却器1の同一側面から該ヘッダタンク3に接続されており、互いに隣接している。
【0056】
また、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R1の内部には、バイパス通路を構成するバイパス管39が設けられている。バイパス管39は、供給管50から供給された冷媒を、右側空間R1をバイパスして左側空間R2に流すためのものである。バイパス管39の上流側は供給管50に接続されている。バイパス管39の下流側は第2仕切板32を貫通して左側空間R2に接続されている。従って、供給管50はバイパス管39を介して左側空間R2に連通することになる。
【0057】
また、上側ヘッダタンク3の第1仕切板31における第2仕切板32よりも左側の部分には、風下側空間Rの左側空間R2と風上側空間Sの左側空間S2とを連通させるための連通孔31aが形成されている。
【0058】
下側ヘッダタンク4は、チューブ21,22の下端部に配置されており、空気冷却器1の幅方向に延びる筒状をなしている。下側ヘッダタンク4の内部には、該下側ヘッダタンク4の内部空間を、外部空気の流れ方向下流側の風下側空間Tと上流側の風上側空間Uとに仕切るための第1仕切板41と、風下側空間Tを空気冷却器1左側の左側空間T2と右側の右側空間T1とに仕切るための第2仕切板42とが設けられている。第1、第2仕切板41、42は、下側ヘッダタンク4の仕切部となるものである。
【0059】
風下側空間Tの左側空間T2は、本発明の第1空間であり、この左側空間T2には、風下側チューブ21のうち、冷媒が流通するチューブ21bの下端部が接続されている。また、風下側空間Tの右側空間T1は、本発明の第2空間であり、この右側空間T1には、蓄冷材が充填されたチューブ21aが接続されている。また、下側ヘッダタンク4の風上側空間Uには、風上側チューブ22の下端部が接続されている。
【0060】
また、下側ヘッダタンク4の第1仕切板41における第2仕切板42よりも左側の部分には、風下側空間Tの左側空間T2と風上側空間Uとを連通させるための連通孔41aが形成されている。
【0061】
次に、上記のように構成された空気冷却器1の作用について説明する。エンジンが運転状態にあり、冷凍サイクルが作動している場合には、膨張弁を介して減圧された冷媒が供給管50から
図3の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R1内のバイパス管39に流入し、矢印Bで示すようにバイパス管39を左側へ流れる。バイパス管39を流れた冷媒は、風下側空間Rの左側空間R2に流入した後、分流し、矢印C1で示すように風下側チューブ21bに流入し、風下側チューブ21bを流通して下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの左側空間T2に流入するとともに、矢印C2で示すように連通孔31aから風上側空間Sの左側空間S2に流入する。下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの左側空間T2に流入した冷媒は、矢印Dで示すように下側ヘッダタンク3の連通孔41aから風上側空間Uに流入する。一方、上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの左側空間S2に流入した冷媒は、矢印Eで示すように左側空間S2に接続された風上側チューブ22に流入し、風上側チューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uに流入する。下側ヘッダタンク4の風上側空間Uに流入した冷媒は、矢印Fで示すように上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に接続された風上側チューブ22に流入し、風上側チューブ22を流通して上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に流入する。上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に流入した冷媒は、矢印Gで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0062】
この形態では、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの左側空間R2の冷媒を、矢印C2で示すように、蓄冷材が充填されたチューブ21aの風上側に重複する風上側チューブ22に流すようにしている。これにより、蓄冷材が充填されたチューブ21aの外部空気流れ方向上流側に位置するチューブ22に流通する冷媒の流量を増加させることができる。連通孔31aは、本発明の熱交換媒体制御部である。
【0063】
冷媒は、風下側チューブ21b及び風上側チューブ22を流通する間に外部空気と熱交換して外部空気を冷却するとともに、風下側チューブ21a内の蓄冷材に冷熱を与えて蓄冷材に冷熱が蓄えられる。このとき、風下側チューブ21aには、風上側チューブ22を通過して冷却された冷風が接触するので、蓄冷材への蓄冷時間が短縮される。さらに、冷媒が流れる風下側チューブ21bが風下側チューブ21aの左側に隣接しているので、風下側チューブ21bの冷熱が風下側チューブ21aの蓄冷材に伝わりやすくなり、このことによっても蓄冷材への蓄冷時間が短縮される。
【0064】
エンジンのアイドリングが自動停止した場合には冷媒が循環しなくなるので、風下側チューブ21aの蓄冷材に蓄えられた冷熱が放出されて外部空気が冷却される。
【0065】
この実施形態では、蓄冷性能を向上させる場合には、蓄冷材の充填された風下側チューブ21aの本数を増やせばよく、具体的には、上側ヘッダタンク3の第2仕切板32を左側に移動させるとともに、下側ヘッダタンク4の第2仕切板42を同様に左側に移動させる。蓄冷性能を低下させる場合には、第2仕切板32,42を右側に移動させればよい。
【0066】
一方、最大冷房性能を向上させる場合には、冷媒の流通する風下側チューブ21bの本数を増やせばよく、具体的には、上側ヘッダタンク3の第2仕切板32を右側に移動させるとともに、下側ヘッダタンク4の第2仕切板42を同様に右側に移動させる。最大冷房性能を低下させる場合には、第2仕切板32,42を左側に移動させればよい。
【0067】
蓄冷性能や最大冷房性能を変更するにあたっては、上側ヘッダタンク3や下側ヘッダタンク4に大きな構造変更が伴わず、また、外部空気の流れ方向についてチューブの列数を変更する必要もなく、容易に行うことが可能となっている。
【0068】
また、この実施形態では、蓄冷材をチューブ21aに充填するようにしているので、フィン23を潰す必要はなく、蓄冷機能を付与するために空気冷却器1の通風抵抗が増大することはない。
【0069】
さらに、空気冷却器1に蓄冷機能を付加しない場合には、上側及び下側ヘッダタンク3,4内の第2仕切板32,42を除去すればよいので、この場合も小変更で済み、空気冷却器1の外形状の変更はない。
【0070】
以上説明したように、この実施形態1に係る空気冷却器1によれば、上側及び下側ヘッダタンク3,4内の第2仕切板32,42を移動させるだけで、空気冷却器1の基本構造を大きく変更することなく、かつ、通気抵抗を増大させることなく、最大冷房能力と蓄冷能力との変更を行うことができ、また、第2仕切板32,42の有無によって蓄冷機能の有無を変更できる。その結果、空気冷却器1の設計を容易にすることができるとともに、生産設備やケーシング100の大きな変更が不要になってコストを低減できる。
【0071】
また、冷媒が流通するチューブ21bと、蓄冷材が封入されたチューブ21aとを同一チューブとしたので、蓄冷機能の無い空気冷却器1を容易に蓄冷機能付きにすることができる。
【0072】
また、蓄冷材が充填されたチューブ21aを、外部空気の流れ方向下流側に配置し、さらに、チューブ21,22及びフィン23の並び方向において、蓄冷材が充填されたチューブ21aの隣りに位置するチューブ21bに冷媒を流通させるようにしたので、蓄冷材への蓄冷時間を短縮することができる。
【0073】
また、上側ヘッダタンク3にバイパス管39を設けたので、空気冷却器1の外形状を変えずに冷媒をバイパスして流すことができる。これにより、空気冷却器1をケーシング100に収容する場合にバイパス管39の有無によってケーシング100の形状を変更せずに済み、より一層低コスト化を図ることができる。
【0074】
また、供給管50と排出管51とが空気冷却器1の同一側面から上側ヘッダタンク3に接続されるので、ケーシング100の設計を容易にすることができる。
【0075】
また、供給管50と排出管51とを隣接させたので、例えばエンジンルーム側への配管が必要な場合にその配管レイアウトを容易にすることができる。
【0076】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態2の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0077】
上側ヘッダタンク3には、第4仕切板34が配設されている。第4仕切板34は、風下側空間Rにおいて第3仕切板33よりも右側に位置している。従って、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rには、右側空間R3、中央空間R4及び左側空間R5が形成されることになる。
【0078】
また、下側ヘッダタンク4には、第3仕切板43が配設されている。第3仕切板43は、風下側空間Tにおいて第2仕切板42よりも右側に位置しており、上側ヘッダタンク3の第4仕切板34に対応している。従って、下側ヘッダタンク4の風下側空間Tには、右側空間T3、中央空間T4及び左側空間T5が形成されることになる。
【0079】
風下側チューブ21は、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3及び下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの右側空間T3に接続されるチューブ21cが設定される。このチューブ21cには、冷媒が流通する。
【0080】
また、下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの中央空間T4内部には、バイパス通路を構成するバイパス管49が設けられている。バイパス管49は、風下側空間Tの右側空間T3の冷媒を、中央空間T4をバイパスして左側空間T5に流すためのものである。バイパス管49の上流側は右側空間T3に接続されている。バイパス管49の下流側は左側空間T5に接続されている。
【0081】
次に、実施形態2に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図4の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3に流入した後、矢印Bで示すように右側空間R3に接続されたチューブ21cに流入し、チューブ21cを流通する。チューブ21cを流通した冷媒は、矢印Cで示すように下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの右側空間T3に流入した後、バイパス管49に流入し、矢印Dで示すようにバイパス管49を左側へ流れる。バイパス管49を流れた冷媒は、風下側空間Tの左側空間T5に流入した後、矢印Eで示すように左側空間T5に接続されたチューブ21bに流入し、矢印Fで示すようにチューブ21bを流通する。チューブ21bを流通した冷媒は、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの左側空間R5に流入し、矢印Gで示すように連通孔31aから風上側空間Sの左側空間S2に流入する。その後、左側空間S2に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uに流入した後、矢印Hで示すように右側空間S1に接続されたチューブ22を流通して上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に流入し、矢印Iで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0082】
この実施形態2の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。さらに、蓄冷材が充填されたチューブ21aの両隣りに冷媒が流通するチューブ21b、21cが配置されているので、空気冷却器1の蓄冷部が両隣りから冷却されることになり、蓄冷材への蓄冷時間を短縮することができる。
【0083】
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態3の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0084】
実施形態3の空気冷却器1は、上側ヘッダタンク3に第4仕切板34を設けている点、下側ヘッダタンク4に第3仕切板43を設けている点、下側ヘッダタンク4にバイパス管49を設けている点で実施形態2と同様である。
【0085】
下側ヘッダタンク4の風上側空間Uには、第4仕切板44が設けられている。第4仕切板44は、第2仕切板42と第3仕切板43との間に位置しており、この第4仕切板44によって風上側空間Uは右側空間U1と左側空間U2とに仕切られている。
【0086】
上側ヘッダタンク3の第3仕切板33は、下側ヘッダタンク4の第4仕切板44よりも左側に位置している。
【0087】
また、排出管51は、下側ヘッダタンク4の右側面において風上側に設けられており、風上側空間Uの右側空間U1に接続されている。
【0088】
次に、実施形態3に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図5の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3に流入した後、矢印Bで示すように右側空間R3に接続されたチューブ21cに流入し、チューブ21cを流通する。チューブ21cを流通した冷媒は、矢印Cで示すように下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの右側空間T3に流入した後、バイパス管49に流入し、矢印Dで示すようにバイパス管49を左側へ流れる。バイパス管49を流れた冷媒は、風下側空間Tの左側空間T5に流入した後、矢印Eで示すように左側空間T5に接続されたチューブ21bに流入し、矢印Fで示すようにチューブ21bを流通する。チューブ21bを流通した冷媒は、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの左側空間R5に流入し、矢印Gで示すように連通孔31aから風上側空間Sの左側空間S2に流入する。その後、左側空間S2に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの左側空間U2に流入した後、矢印Hで示すように左側空間U2に接続されたチューブ22を流通して上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に流入する。そして、下側ヘッダタンク3の風上側空間Uの右側空間U1に接続されたチューブ22を流通して右側空間U1に流入し、矢印Jで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0089】
この実施形態3の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0090】
(実施形態4)
図6は、本発明の実施形態4に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態4の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0091】
実施形態4の空気冷却器1は、上側ヘッダタンク3に第4仕切板34を設けている点、下側ヘッダタンク4に第3仕切板43を設けている点で実施形態2と同様である。また、下側ヘッダタンク4に第4仕切板44を設けている点で実施形態3と同様である。
【0092】
上側ヘッダタンク3の風上側空間Sには、第5仕切板35が設けられている。第5仕切板35は、第4仕切板34と対応するように位置しており、従って、上側ヘッダタンク3の風上側空間Sには、右側空間S3、中央空間S4及び左側空間S5が形成されることになる。また、上側ヘッダタンク3の第3仕切板33は、第2仕切板32と対応するように位置している。上側ヘッダタンク3の第1仕切板31の第4仕切板34よりも右側には、右側空間R3と右側空間S3とを連通させる連通孔31bが形成されている。
【0093】
下側ヘッダタンク4の第1仕切板41には、第2仕切板42よりも左側に左側空間T5と左側空間U2とを連通させる連通孔41aが形成されている。さらに、下側ヘッダタンク4の第1仕切板41には、第3仕切板43よりも右側に右側空間T3と右側空間U1とを連通させる連通孔41bが形成されている。
【0094】
また、排出管51は、上側ヘッダタンク3の左側面において風下側に設けられており、風下側空間Rの左側空間R5に接続されている。
【0095】
次に、実施形態4に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図6の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3に流入した後、分流し、矢印B1で示すように連通孔31bから風下側空間Sの右側空間S3に流入するとともに、矢印B2で示すように右側空間R3に接続されたチューブ21cに流入し、チューブ21cを流通する。風下側空間Sの右側空間S3に流入した冷媒は、矢印Dで示すように右側空間S3に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの右側空間U1に流入する。また、チューブ21cを流通した冷媒は、矢印Cで示すように下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの右側空間T3に流入して連通孔41bから風上側空間Uの右側空間U1に流入する。右側空間U1に流入した冷媒は、矢印Eで示すように右側空間U1に接続されたチューブ22を流通して上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの中央空間S4に流入し、さらに、矢印Fで示すように左側空間U2に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの左側空間U2に流入する。左側空間U2に流入した冷媒は、矢印G及びH2で示すように上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの左側空間S5に接続されたチューブ22を流通して左側空間S5に流入し、さらに、矢印Jで示すように連通孔31aから風下側空間Rの左側空間R5に流入する。また、左側空間U2の冷媒は、矢印H1で示すように連通孔41aから風下側空間Tの左側空間T5に流入し、左側空間T5に接続されたチューブ21bを流通して上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの左側空間R5に流入する。左側空間R5の冷媒は、矢印Kで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0096】
この実施形態4の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0097】
(実施形態5)
図7は、本発明の実施形態5に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態5の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0098】
実施形態5の空気冷却器1は、実施形態6のものに対して、バイパス管49を設けている点、下側ヘッダタンク4の第1仕切板41の連通孔を設けていない点で異なっている。
【0099】
バイパス管49は、実施形態3のバイパス管49と同様である。
【0100】
次に、実施形態5に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図7の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3に流入した後、矢印Bで示すように右側空間R3に接続されたチューブ21cに流入し、チューブ21cを流通する。チューブ21cを流通した冷媒は、矢印Cで示すように下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの右側空間T3に流入した後、バイパス管49に流入し、矢印Dで示すようにバイパス管49を左側へ流れる。バイパス管49を流れた冷媒は、風下側空間Tの左側空間T5に流入した後、矢印Eで示すように左側空間T5に接続されたチューブ21bに流入し、矢印Fで示すようにチューブ21bを流通する。チューブ21bを流通した冷媒は、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの左側空間R5に流入し、矢印Gで示すように連通孔31aから風上側空間Sの左側空間S5に流入する。その後、左側空間S5に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの右側空間U2に流入した後、矢印Hで示すように左側空間U2に接続されたチューブ22を流通して上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの中央空間S4に流入する。そして、矢印Iで示すように中央空間S4に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク3の風上側空間Uの右側空間U1に流入する。右側空間U1に流入した冷媒は、矢印Jで示すように上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S3に接続されたチューブ22を流通して右側空間S3に流入し、矢印Kで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0101】
この実施形態5の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0102】
(実施形態6)
図8は、本発明の実施形態6に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態6の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0103】
実施形態6の空気冷却器1は、実施形態5のものに対して、上側ヘッダタンク3の仕切板の3枚にしている点、下側ヘッダタンク4に第5仕切板45を設けている点で異なっている。
【0104】
上側ヘッダタンク3の構造は、実施形態2のものと同様である。また、下側ヘッダタンク4の第5仕切板45は、風上側空間Uにおいて第4仕切板44よりも左側に配置されており、第2仕切板42と対応している。第4仕切板44は、第3仕切板43と対応している。第4仕切板44及び第5仕切板45により、風上側空間Uは、風下側空間Tと同様に、右側空間U3、中央空間U4及び左側空間U5に仕切られる。
【0105】
第4仕切板44には、右側空間U3と中央空間U4とを連通させる連通孔44aが形成されている。また、第5仕切板45には、左側空間U5と中央空間U4とを連通させる連通孔45aが形成されている。
【0106】
次に、実施形態6に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図8の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3に流入した後、矢印Bで示すように右側空間R3に接続されたチューブ21cに流入し、チューブ21cを流通する。チューブ21cを流通した冷媒は、矢印Cで示すように下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの右側空間T3に流入した後、バイパス管49に流入し、矢印Dで示すようにバイパス管49を左側へ流れる。バイパス管49を流れた冷媒は、風下側空間Tの左側空間T5に流入した後、矢印Eで示すように左側空間T5に接続されたチューブ21bに流入し、矢印Fで示すようにチューブ21bを流通する。チューブ21bを流通した冷媒は、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの左側空間R5に流入し、矢印Gで示すように連通孔31aから風上側空間Sの左側空間S2に流入する。その後、左側空間S2に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの中央空間U4に流入した後、矢印Hで示すように上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に接続されたチューブ22を流通して右側空間S1に流入する。そして、矢印Iで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0107】
尚、連通孔44a及び45aは、本発明の熱交換媒体制御部であり、これにより、蓄冷材が充填されたチューブの外部空気流れ方向上流側に位置するチューブに流通する冷媒(熱交換媒体)の流量を増加させることができる。
【0108】
この実施形態6の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0109】
(実施形態7)
図9は、本発明の実施形態2に係る空気冷却器1の下側ヘッダタンク4の内部にバイパス管を設けることなく、バイパス通路48を形成した形態を示すものである。
【0110】
この実施形態7の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0111】
(実施形態8)
図10は、本発明の実施形態8に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態8の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0112】
実施形態8の空気冷却器1は、実施形態4と同様に上側ヘッダタンク3に第1〜第5仕切板31〜35を設けるとともに、下側ヘッダタンク4に第1〜第4仕切板41〜44を設けている。また、上側ヘッダタンク3の風下側空間Rには、バイパス管39が設けられている。バイパス管39は、供給管50から供給された冷媒を、右側空間R3及び中央空間R4をバイパスして左側空間R5に流すためのものである。バイパス管39の上流側は供給管50に接続されている。バイパス管39の下流側は第2仕切板32を貫通して左側空間R5に接続されている。
【0113】
次に、実施形態8に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図10の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3のバイパス管39に流入した後、矢印Bで示すようにバイパス管39を流通して左側空間R5に流入する。左側空間R5に流入した冷媒は、分流して、矢印Dで示すように連通孔31aから風上側空間Sの左側空間S5に流入するとともに、左側空間R5に接続されたチューブ21bを流通して下側ヘッダタンク4の風下側空間Tの左側空間T5に流入する。左側空間T5に流入した冷媒は、矢印Eで示すように連通孔41aから風上側空間Uの左側空間U2に流入する。また、上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの左側空間S5に流入した冷媒は、左側空間S5に接続されたチューブ22を流通して下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの左側空間U2に流入する。左側空間U2に流入した冷媒は、矢印Gで示
すように上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの中央空間S4に接続されたチューブ22を流通して中央空間S4に流入し、矢印Hで示すように下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの右側空間U1に接続されたチューブ22を流通して右側空間U1に流入する。右側空間U1に流入した冷媒は、矢印I、Lで示すように上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S3に接続されたチューブ22を流通して右側空間S3に流入する。また、下側ヘッダタンク4の右側空間U1の冷媒は、矢印Mで示すように連通孔41bから風下側空間Tの右側空間T3に流入し、矢印Jで示すように右側空間T3に接続されたチューブ21cを流通して上側ヘッダタンク3の風下側空間Rの右側空間R3に流入する。右側空間R3に流入した冷媒は、矢印Kで示すように連通孔31bから風上側空間Sの右側空間S3に流入する。右側空間S3に流入した冷媒は、矢印Nで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0114】
この実施形態8の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0115】
尚、
図11に示す実施形態2〜8の変形例として、空気冷却器1には、冷媒が流通するチューブ21b,21c間を通過した外部空気を、蓄冷材が充填されたチューブ21aが配置された側へ案内する風向ガイド61,61を設けてもよい。この風向ガイド61,61は、例えば板材等で構成することができ、チューブ21b間を流通した外部空気を空気冷却器1の幅方向中央側へ向けて案内し、チューブ21c間を流通した外部空気も空気冷却器1の幅方向中央側へ向けて案内するように、外部空気の流れ方向に対し傾斜配置されている。
【0116】
この変形例によれば、冷媒が流通するチューブ21b,21c間を通過した外部空気と、蓄冷材が充填されたチューブ21a間を流れる外部空気とを混合させて下流側の空気温度を略均一化することが可能になるので、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
【0117】
尚、風向ガイド61の形状や構造は、冷媒が流通するチューブ21b,21cの位置や、蓄冷材が充填されたチューブ21aに位置に応じて任意に変更することが可能である。
【0118】
(実施形態9)
図12は、本発明の実施形態9に係る空気冷却器1の内部構造を簡略化して示した図である。この実施形態9の空気冷却器1は上側ヘッダタンク3及び下側ヘッダタンク4の仕切構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様に構成されているので、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0119】
上側ヘッダタンク3の風下側空間Rには、第2仕切板32の他に、第4〜6仕切板34〜36が左右方向に間隔をあけて設けられている。風下側空間Rは、右側から左側へ順に、空間R6〜R10の5つの空間に仕切られている。第3仕切板33は、第4仕切板34と第5仕切板35との間に位置している。空間R9には、バイパス管39が設けられている。バイパス管39は、冷媒を、空間R9をバイパスさせるためのものであり、上流端は空間R8に接続され、下流端は空間R10に接続されている。
【0120】
下側ヘッダタンク4の風下側空間Tには、第2仕切板42の他に、第4〜6仕切板44〜46が左右方向に間隔をあけて設けられている。これら第4〜6仕切板44〜46の左右方向の位置関係は、上側ヘッダタンク3の第4〜6仕切板34〜36と同じに設定されている。風下側空間Tは、右側から左側へ順に、空間T6〜T10の5つの空間に仕切られている。第3仕切板43は、第2仕切板42と第6仕切板46との間に位置している。空間T7には、バイパス管49が設けられている。バイパス管49は、冷媒を、空間T7をバイパスさせるためのものであり、上流端は空間T6に接続され、下流端は空間T8に接続されている。
【0121】
風下側チューブ21は、5つに分けられている。すなわち、空間R6及び空間T6に接続されたチューブ21c、空間R7及び空間T7に接続されたチューブ21d、空間R8及び空間T8に接続されたチューブ21e、空間R9及び空間T9に接続されたチューブ21a、空間R10及び空間T10に接続されたチューブ21bである。このうち、チューブ21a、21dに蓄冷材が充填されており、チューブ21b、21c、21eには冷媒が流通するようになっている。
【0122】
次に、実施形態9に係る空気冷却器1の冷媒の流れについて説明する。冷媒は供給管50から
図12の矢印Aで示すように上側ヘッダタンク3の空間R6に流入した後、矢印Bで示すように空間R6に接続されたチューブ21cを流通して下側ヘッダタンク3の風下側空間Tの空間T6に流入する。空間T6に流入した冷媒は、バイパス管49を流通して空間T8に流入し、矢印Dで示すように空間T8に接続されたチューブ21eを流通した後、空間R8に流入する。空間R8に流入した冷媒は、矢印Eで示すようにバイパス管39を流通して空間R10に流入し、矢印Fで示すように空間R10に接続されたチューブ21bを流通して空間T10に流入する。その後、空間T10の冷媒は、連通孔41aから風上側空間Uの左側空間U2に流入し、左側空間U2に接続されたチューブ22を流通して上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの左側空間S2に流入する。左側空間S2に流入した冷媒は、下側ヘッダタンク4の風上側空間Uの右側空間U1に接続されたチューブ22を流通して右側空間U1に流入し、その後、上側ヘッダタンク3の風上側空間Sの右側空間S1に接続されたチューブ22を流通して右側空間S1に流入する。右側空間S1に流入した冷媒は、矢印Hで示すように排出管51から外部へ排出される。
【0123】
この実施形態9の空気冷却器1では、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0124】
尚、本発明は、上記実施形態に示す以外にも様々な冷媒流路を持つ空気冷却器1に適用することができる。
【0125】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。